(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1以上の単一塩基の変化により1以上の多数標的ヌクレオチド配列と相違している1以上の少数標的ヌクレオチド配列を、サンプル中で検出および定量する方法であって、前記少数標的ヌクレオチド配列がサンプル中に前記多数標的ヌクレオチド配列に比較して少量存在し、且つサンプル中に未知の量で存在する前記多数および少数標的ヌクレオチド配列の相対量を定量し、該方法が、
1以上の単一塩基の変化により1以上の多数標的ヌクレオチド配列と相違している1以上の少数標的ヌクレオチド配列であって、前記少数標的ヌクレオチド配列がサンプル中に前記多数標的ヌクレオチド配列に比較して少量存在する、1以上の少数標的ヌクレオチド配列を準備し;
複数のオリゴヌクレオチドプローブセットを準備し、各セットは、(a)標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブおよび(b)標的特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドとを特徴とし、特定セット中のオリゴヌクレオチドプローブは、対応する標的ヌクレオチド配列上で互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適するが、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を阻止するミスマッチを有し;
リガーゼを準備し;
サンプル、複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合し、リガーゼ検出反応混合物を形成し;
リガーゼ検出反応混合物を変性処理およびハイブリダイゼーション処理を含む1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけ、この変性処理において、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離され、このハイブリダイゼーション処理において、オリゴヌクレオチドプローブセットは隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在していれば、その夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、互いに連結して、各セットがリガーゼ検出反応混合物中の他の核酸と識別し得るために、連結反応産物配列と一緒に結合した標的特異的部分を含有する連結反応産物配列を形成し、その中で、オリゴヌクレオチドプローブセットは、その夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中のヌクレオチド配列にハイブリダイズできるが、1以上のミスマッチの存在によって一緒に連結せず、そして変性処理の際に個々に分離しているものであり;
サンプル中に存在する少数標的ヌクレオチド配列の結果として産生された連結反応産物配列の存在を検出する;
ことを含む方法であって、さらに、
該混合の前に、ポリメラーゼ連鎖反応によってサンプル中の多数および少数の標的ヌクレオチド配列を多数と少数の両方の標的ヌクレオチド配列に共通するオリゴヌクレオチドプライマーでもって増幅し;
既知量の1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列を準備し;
前記マーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブを含む、1以上の配列特異的プローブセットを提供し;
前記マーカー標的ヌクレオチド配列、および前記マーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットをリガーゼ検出反応混合物と混合し;
前記多数および小数連結産物配列を定量し;そして
前記未知のサンプルから生成した多数および小数連結産物配列の量と、既知量のマーカー標的ヌクレオチド配列から生成した連結産物配列の量を比較し、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の相対量を定量的に測定する、
ことを含む、方法。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多重検出
高度に多形的な座の大規模多重解析が、父親検定および法医学(Reynolds et al., Anal. Chem., 63:2-15(1991))、臓器移植のドナーとレシピエントの組み合わせ(Buyse et al., Tissue Antigens, 41:1-14(1993) and Gyllensten et al., PCR Meth. Appl, 1:91-98(1991))、遺伝疾患の診断、予後および出産前の相談(Chamberlain et al., Nucleic Acids Res., 16:11141-11156(1988) and L. C. Tsui, Human Mutat., 1:197-203(1992))および発ガン変異(Hollstein et al., Science, 253:49-53(1991))などについて個体の実際的な同定に必要である。さらに、核酸解析による感染疾患診断の費用効率はパネル試験における多重規模で直接的に変動する。これらの適用の多くは、時に密接なスペース座の多重性において単一塩基の相違の識別力に依存している。
【0003】
多数の配列領域を含むサンプル中に1以上の選択ポリヌクレオチド配列の存在を検出するのに、様々なDNAハイブリダイゼーション技法が利用される。フラグメント捕捉と標識による簡単な方法において、選択された配列含有のフラグメントが固定化プローブにハイブリダイゼーションされる。捕捉フラグメントは検出可能なレポーター部分を含有する第2プローブへのハイブリダイゼーションによって標識される。
【0004】
広く用いられている他の方法はサザンブロット法である。この方法において、サンプル中のDNAフラグメントの混合物はゲル電気泳動により分別されて、ニトロセルローズ・フィルター上に固定される。フィルターをハイブリダイゼーション条件で1以上の標識プローブと反応さすことにより、プローブ配列含有のバンドが同定される。この方法は、与えられたプローブ配列含有の制限酵素DNA消化においてフラグメントを同定するのに、および制限フラグメント長・多形性(”RFLP”)を解析するのに、特に有用である。
【0005】
ポリヌクレオチドサンプル中の、与えられた単数または複数の配列の存在を検出する他の方法に、ポリメラーゼ連鎖反応による配列の選択的増幅がある。Mullis et alの米国特許第4,683,202号およびR. K. Saiki, et al., Science 230:1350(1985)。この方法において、選択した配列の反対側の末端部分に相補的なプライマーがプライマー開始複製の連続ラウンドを熱サイクリングと共に推進するのに用いられる。増幅配列は種々の技術により容易に同定することができる。この方法は、ポリヌクレオチド含有サンプル中の低コピー配列の存在を検出するのに、例えば体液サンプル中の病原菌配列を検出するのに特に有用である。
【0006】
さらに最近、既知の標的配列をプローブ連結方法によって同定する方法が報告されている。N. M. Whiteley et al.の米国特許第4,883,750号、D. Y. Wu et al., Genomics 4:560(1989)、U. Landegren et al., Science 241:1077(1988)およびE. Winn-Deen et al., Clin. Chem. 37:1522(1991)。オリゴヌクレオチド連結アッセイ(”OLA”)として知られる一つの方法において、所望の標的領域にまたがる2つのプローブまたはプローブエレメントが標的領域にハイブリダイズされる。プローブエレメントが隣接の標的塩基と塩基対になると、プローブエレメントの向かい合う末端は、連結反応により、例えばリガーゼ処理により結ばれる。連結プローブエレメントは検定されて、標的配列の存在が明らかにされる。
【0007】
この方法の修飾として、連結プローブエレメントは相補的プローブエレメント対について鋳型として働く。対のプローブエレメントの存在における変性、ハイブリダイゼーションおよび連結反応の継続的サイクルでもって、標的配列は直線的に増幅され、非常に少量の標的配列が検出および/または増幅されるのを可能とする。この方法をリガーゼ検出反応と呼ぶ。プローブエレメントの2つの相補対が使用されるとき、そのプロセスはリガーゼ連鎖反応と呼ばれ、標的配列の指数的増幅を達成する。F. Barany, ”Genetic Disease Detection and DNA Amplification Using Cloned Thermostable Ligase,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189-93(1991)およびF. Barany, ”The Ligase Chain Reaction (LCR) in a PCR World,” PCR Methods and Applications, 1:5-16(1991)。
【0008】
核酸配列相違の多重検出についての他の方式はGrossman et al.の米国特許第5,470,705号に開示されている。そこでは、検出可能標識と電荷/翻訳摩擦ドラッグの顕著な比率とを有する配列特異的プローブが標的にハイブリダイズされ、そして一緒に連結される。この技法は、嚢胞性線維症・透過膜レギュレーター遺伝子の大規模多重解析についてGrossman, et al., ”High-density Multiplex Detection of Nucleic Acid SequencesおよびOligonucleotide Ligation Assay and Sequence-coded Separation,” Nucl. Acids. Res. 22(21):4527-34(1994)で用いられた。
【0009】
Jou, et al., ”Deletion Detection in Dystrophin Gene by Multiplex Gap Ligase Chain Reaction and Immunochromatographic Strip Technology,” Human Mutation 5:86-93(1995)は、いわゆる”ギャップリガーゼ連鎖反応”の利用に関し、各エクソンについてのプローブ上の相違するハプテンに特異的な抗体を有する免疫クロマトグラフィー上で読まれる増幅産物でもって、多重エクソンの同時に選択された領域を増幅する。
【0010】
標的ポリヌクレオチドにおける多数の配列の各々の存在・不存在を検出するのに有用な方法に関して、(例えば、遺伝子スクリーニング分野において)必要性が増大している。例えば400種もの変異が嚢胞性線維症に関連している。この疾患に対する遺伝子的前処置のためのスクリーニングにおいて、”嚢胞性線維症”の積極的な同定を行うために、対象者のゲノムDNAにおける可能性のある相違する遺伝子配列変異のすべてを検査することが最適である。1回のアッセイで可能性ある変異部位のすべての存在・不存在を検査するのが理想的である。しかし、上記した先行技術は、便利な自動的な単一アッセイとして多数の選択配列を検出するのに容易に用いることができない。
【0011】
固相ハイブリダイゼーションアッセイにおいては、多数の液体処理工程を必要とし、単一ヌクレオチド・ミスマッチ識別に要するストリジェンシィを保持するために、いくつかのインキュベーションおよび洗浄温度を注意深くコントロールしなければならない。最適ハイブリダイゼーション条件がプローブ配列によって大きく変わるので、この方法の多重化は困難である。
【0012】
等量の各PCR産物を得る多重PCRプロセスの開発は、困難であり、労力を要する。これは、反応におけるプライマーのアニール比率の変動と与えられたMg
2+濃度での各配列のポリメラーゼ伸長比率の変動によるものである。典型的には、アニール温度に加え、プライマー、Mg
2+および塩濃度は、反応におけるプライマーアニール比率とポリメラーゼ伸長比率のバランスを保つように調整される。残念ながら、各々新しいプライマーセットを反応に加えると、形成することのできる可能なアンプリコンとプライマー二量体の数が指数的に増加する。従って、各追加プライマーセットで、各々比較的等量の正確な産物を得る条件をつくりだすのがますます困難になり、時間を要することになる。
【0013】
対立遺伝子特異的PCR産物は一般に同じ大きさを有し、アッセイ結果は、各反応チューブに関連するゲル・レーンでの産物バンドの存在・不存在によって計られる。Gibbs et al., Nucleic Acids Res., 17:2437-2448(1989)。この方法は、異なるプライマーの組み合わせを有する多数の反応チューブに試験サンプルを分割することを要し、アッセイ費用が増大する。PCRにおいて、1つの反応チューブ中で対立遺伝子プライマーを競合せしめるように相違する蛍光染料を付着せしめることにより、対立遺伝子を識別し得るが(F. F. Chehab et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:9178-9182(1989))、多重解析へのこの経路は、現在の機器および染料化学でもっては経済的にスペクトル的に分解できる染色が比較的少ないので、規模が限られている。粗大側鎖による修飾塩基の取り込みが、その電気泳動運動性によって対立遺伝子PCR産物を識別するのに用いられるが、この方法は、ポリメラーゼによるこれら修飾塩基の取り込みの成功性からして、およびこれらの基の唯一つによって大きさが相違する比較的大きいPCR産物を分解するための電気泳動性からして、限定されたものである。Livak et al., Nucleic Acids Res., 20:4831-4837(1989)。各PCR産物は単一変異のみを探すのに用いられ、多重化を難しくする。
【0014】
対立遺伝子特異的プローブの連結反応は一般的に、対立遺伝子シグナルを分解するのに、固相捕捉反応(U. Landegren et al., Science, 241:1077-1080(1988); Nickerson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:8923-8927(1990))またはサイズ依存分離法(D. Y. Wu, et al., Genomics, 4:560-569(1989) and F. Barany, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:189-193(1991))を用い、後者の方法は連結プローブのサイズ幅が狭いので多重規模では限定されている。さらに、多重フォーマットにおいて、リガーゼ検出反応だけでは少量の標的配列を検出および計測するのに充分な産物をつくることができない。ギャップリガーゼ連鎖反応は追加の工程、すなわちポリメラーゼ伸長を必要とする。より複雑な多重化プロセスのために電荷/翻訳摩擦ドラッグ(translational frictional drag)の明白な比率を有するプローブを用いることは、長い電気泳動時間かあるいは検出の他の形態の使用を必要とする。
【0015】
それらの配列が低豊富であるとき、ポリヌクレオチドサンプルにおける多重選択配列の存在・不存在を検出するための迅速な単一アッセイ方式が必要である。過剰の正常細胞中に癌関連変異が存在するとき、このような検出が必要とされる。
【0016】
DNAリガーゼ
DNAリガーゼは、二本鎖DNAにおける一本鎖の切断(ニック)にホスホジエステル結合を形成するのに触媒作用を及ぼし、DNA復製、修復および組換えに要する。連結反応の一般的メカニズムは、NAD
+依存性リガーゼについて下記に示された3つの可逆性工程を含む。この実施例において、ニックDNA基質は、2つの短いオリゴヌクレオチド(オリゴAおよびB)を長い相補的オリゴヌクレオチドにアニールすることにより形成される。最初に、共有結合的にアデニル化された酵素中間体を、酵素中においてNAD
+のアデニレート基をリシンのe−NH
2基へ転移することにより形成する。第2に、アデニレート部分を酵素からオリゴB上の5’末端リン酸塩に転移する。最後に、ホスホジエステル結合を、オリゴBの活性化5’ホスホリル基上のオリゴAの3’ヒドロキシル末端の求核的作用により形成する(Gumport, R.I., et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 68:2559-63(1971); Modrich, P., et al.,
J. Biol. Chem., 248:7495-7501(1973); Modrich, P., et al.,
J. Biol. Chem., 248:7502-11(1973); Weiss, B., et al.,
J. Biol. Chem., 242:4270-72(1967); Weiss, B., et al.,
J. Biol. Chem., 243:4556-63(1968); Becker, A., et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 58:1996-2003(1967); Yudelevich, A., et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 61:1129-36(1968); Zimmerman, S.B., et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 57:1841-48(1967); Zimmerman, S.B., et al.,
J. Biol. Chem., 244:4689-95(1969);およびLehman, I.R.,
Science, 186:790-97(1974))。
(i) E-(lys)-NH
2 + AMP〜PRN
+ ⇔ E-(lys)-NH
2+〜AMP + NMN
(ii) E-(lys)-NH
2+〜AMP + 5’P-オリゴB ⇔ AMP〜P-オリゴB + E-(lys)-NH
2
(iii) オリゴA-3’OH + AMP〜P-オリゴB ⇔ オリゴA- P-オリゴB+ AMP
【0017】
最近の10年間において、ATP依存性DNAリガーゼをコードする遺伝子は、バクテリオファージT3、T4およびT7(Dunn, J. J., et al.,
J. Mol. Biol., 148:303-30(1981); Armstrong, J., et al.,
Nucleic Acids Res., 11:7145-56(1983)およびSchmitt, M.P., et al.,
J. Mol. Biol., 193:479-95(1987)、アフリカブタ熱ウイルス(Hammond, J.M., et al.,
Nucleic Acids Res., 20:2667-71(1992))、ワクシニアウイルス(Smith, G.L., et al.,
Nucleic Adics Res., 17:9051-62(1989))、ショープ線維腫ウイルス(Parks, R.J., et al.,
Virology, 202:642-50(1994))、高度好熱菌性archaeon Desulfurolobus ambivalens(Kletzin, A.,
Nucleic Adics Res., 20: 5389-96(1992))、S. cerevisiae(CDC9遺伝子)(Barker, D.G., et al.,
Mol. Gen. Genet., 200:458-62(1985)); S. pombe(cdc 17
+)(Barker, D.G., et al.,
Eur. J. Biochem., 162:659-67(1988))、Xiphophorus(Walter, R.B., et al.,
Mol. Biol. Evol., 10:1227-38(1993));マウス繊維芽細胞(Savini, E., et al.,
Gene, 144:253-57(1994))およびホモサピエンス(ヒトDNAリガーゼI、IIIおよびIV)(Barnes, D.E., et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6679-83(1990); Chen, J., et al.,
Molec. and Cell. Biology, 15:5412-22(1995); and Wei, Y.F., et al.,
Molec. & Cell. Biology, 15:3206-16(1995))からクローン化および配列決定されている。さらに、5つのNAD
+依存性細菌性DNAリガーゼもまたクローン化された:E.coli(Ishino, Y., et al.,
Mol. Gen. Genet., 204:1-7(1986))、Zymomonas mobilis(Shark, K.B. et al.,
FEMS Microbiol. Lett., 96:19-26(1992))、Thermus thermophilus(Barany, F., et al.,
Gene, 109:1-11(1991)および Lauer, G., et al.,
J. Bacteriol., 173:5047-53(1991))、Rhodothermus marinus(Thorbjarnardottir, S.H., et al.,
Gene, 161:1-6(1995)およびThermus scotoductus(Jonsson, Z.O., et al.,
Gene, 151:177-80(1994)。ATP依存性DNAリガーゼおよび哺乳類DNAリガーゼIおよびIIは、アデニル化されるリシン残基を含む保護活性部位モチーフ、K(Y/A)DGXRを含有する(Tomkinson, A.E., et al,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:400-04(1991)およびWang, Y.C., et al.,
J. Biol. Chem., 269:31923-28(1994))。NAD
+依存性細菌性DNAリガーゼは類似の活性部位モチーフ、KXDGを含有し、その重要性は本研究において確認される。
【0018】
プラスミドまたは合成オリゴヌクレオチド基質を用いるインビトロ試験により、T4 DNAリガーゼが緩和された特異性を示すことが明らかである;3’−または5’−AP部位(アプリンまたはアピリミジン)(Goffin, C., et al.,
Nucleic Acids Res., 15(21):8755-71(1987))、一つのヌクレオチドギャップ(Goffin, C., et al.,
Nucleic Acids Res., 15(21):8755-71(1987))、3’−および5’−A−AまたはT−Tミスマッチ(Wu, D.Y., et al.,
Gene, 76:245-54(1989))、5’−G−Tミスマッチ(Harada, K., et al.,
Nucleic Acids Res., 21(10): 2287-91(1993))、3’−C−A、C−T、T−G、T−T、T−C、A−C、G−G、またはG−Tミスマッチ(Landegren, U., et al.,
Science, 241:1077-80(1988))でニックを閉じる。T4 DNAリガーゼの適合性は明らかに、T−GまたはG−Tミスマッチ連結反応のみが検出されたスペルミジン、高い塩濃度、および非常に低いリガーゼ濃度の存在において高められる(Wu, D.Y., et al.,
Gene, 76:245-54(1989)およびLandeger, U., et al.,
Science, 241:1077-80(1988))。Saccharomyces cerevisiaeからのDNAリガーゼは、一つのヌクレオチドギャップおよび3’−A−GまたはT−Gミスマッチにより分離された3’−ヒドロキシルおよび5’−リン酸塩末端を識別するが、5’−A−C、T−C、C−AまたはG−Aミスマッチは連結反応効率において非常にわずかな効果しかもたらさなかった(Tomkinson, A.E., et al.,
Biochemistry, 31:11762-71(1992))。哺乳類DNAリガーゼIおよびIIIは、3’C−T、G−TおよびT−Gミスマッチの連結において異なる効率を示す(Husain, I., et al.,
J. Biol. Chem., 270:9638-90(1995))。ワクシニアDNAウイルスは、一つのヌクレオチド、二つのヌクレオチドギャップおよび3’−G−A,A−A、G−G、またはA−G(プリン−プリン)ミスマッチに対して効率的に識別するが、5’−C−T、G−T、T−T、A−C、T−C、C−C、G−G、T−GまたはA−Gミスマッチおよび3’−C−A、C−T、G−T、T−T、またはT−Gミスマッチ(Shuman, S.,
Biochem., 34:16138-47(1995))を容易に閉じる。
【0019】
熱安定性
Thermus thermophilusDNAリガーゼ(
Tth DNAリガーゼ)は、クローン化され、感染性因子および遺伝子病の検出のためにリガーゼ連鎖反応(LCR)およびリガーゼ検出反応(LDR)に用いられている(Barany, F.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189-93(1991); Day, D., et al.,
Genomics, 29:152-62(1995); Eggerding, F.A.,
PCR Methods and Applications, 4:337-45(1995); Eggerding, F.A., et al.,
Human Mutation, 5:153-65(1995); Feero, W., et al.,
Neurology, 43:668-73(1993); Frenkel, L.M., et al.,
J. Clin. Micro., 33(2):342-47(1995); Grossman, P.D., et al.,
Nucleic Acids Res., 22:4527-34(1994); Iovannisci, D.M., et al.,
Mol. Cell. Probes, 7:35-43(1993); Prchal, J.T., et al.,
Blood, 81:269-71(1993); Ruis-Opaz, N., et al.,
Hypertension, 24:260-70(1994); Wiedmann, M., et al.,
Appl. Environ. Microbiol., 58:3443-47(1992); wiedmann, M., et al.,
Appl Environ Microbiol, 59(8):2743-5(1993); Winn-Deen, E., et al.,
Amer. J. Human Genetics, 53:1512(1993); Winn-Deen, E.S., et al.,
Clin. Chem., 40:1092(1994);およびZebala, J., et al., ”Detection of Leber’s Hereditary Optic Neuropathy by nonradioactive-LCR. PCR Strategies,” (Innis, M.A., Gelfand, D.H., and Sninsky, J.J., Eds.), Academic Press, San Diego(1996))。過剰の正常DNAにおける腫瘍関連変異の同定など、これらおよび将来の疾病の検出アッセイの成功は、Tth DNAリガーゼの優れた適合性にかかっている。
【0020】
癌検出
米国における死亡原因の第2位として、年間約600,000人が癌で死亡し、癌をすべての医療診断において最も不安なもののひとつとしている。男性および女性における進行性癌の発生に対する生命の危険性は各々、50%および33%である。1995年には、120万以上の新しい癌患者が米国において診断される見込みである。1994年の癌に対する健康管理費は約1040億ドルであった。しかしながら、癌が家族および社会に与えたすべての影響は、診断や治療に費やされた金額のみでは測れない。多くの人々が彼らの最も生産的な年齢で癌にかかっている。1985年における早死の18%は癌が原因であり、1991年に9,200人以上の米国女性が乳癌により55歳前に死亡している。推定では、1995年には結腸直腸癌および乳癌について、それぞれ140,000および183,000近くの新しい診断がなされると予測されている。
【0021】
現在、癌の診断は、病理学者による腫瘍組織の組織学的評価に基づいている。癌の診断の後、腫瘍の範囲または進展度により治療が最初に決定される。腫瘍進展度は臨床的、放射線学的、検査室的な方法により決められる。腫瘍の進展度診断のための標準分類システムは、癌患者の臨床情報を明確に伝えるために開発されてきた。進展度診断は重要な予後情報を提供し、新しい治療戦略を試みることを可能にする臨床試験の基礎を形づくる。初期腫瘍のサイズ、癌が発見される局部リンパ節の数および身体の他の部分への転移の存在または不存在で腫瘍を分類する進展度診断システムが開発された(TNM進展度診断システム)。リンパ節に何の影響もなく、広い転移のない小さな癌は初期段階の癌であると考えられ、外科的切除によりしばしば治癒する。普通の予後測定は、5年生存率、一定の進展度における癌の診断後5年の生存患者の割合である。多くの癌の5年生存率が過去数十年の間に高まってきたが、5年以内またはその後においていくつかの初期段階の癌が再発するので、研究者は組織学的段階、細胞計算結果、ホルモン受容体状態および多くのほかの腫瘍マーカーを含む他の付加的予後マーカーの調査をしている。さらに最近、研究者は予後マーカーとして癌における分子的変質を使用する方法を探っている。
【0022】
点変異および上記の小さな欠失など、癌における遺伝的変質が悪性細胞のマーカーとして作用し得る。
【0023】
少数核酸配列の検出
PCRを用いて癌を検出するために多くの方法が開示されている。Sidransky, et al., ”Identification of ras Oncogene Mutations in the Stool of Patients with Curable Colorectal Tumors,”
Science 256:102-05(1992)は、K−ras変異の同定により結腸癌を検出する。これは、全DNAのPCR増幅、バクテリオファージベクターへのクローニング、バクテリオファージの平板培養、いくつかの異なるK−ras変異に特異的な個々のオリゴヌクレオチドによる反復プローブおよび一定のプレート上の陽性プラークの割合の計算を含む。これは、便のサンプル中の野生型DNAに対する変異の割合を測定する技術的に難しい方法で、完了するのに3日かかる。Brennan, et al., ”Molecular Assessment of Histopathological Staging in Squamous-Cell Carcinoma of the Head and Neck,”
N. Engl. J. Med. 332(7):429-35(1995)は、配列決定によりp53変異を発見した。この特異的変異は、全DNAのPCR増幅、バクテリオファージベクターへのクローニング、バクテリオファージの平板培養、配列決定によって発見された変異に特異的な個々のオリゴヌクレオチドによるプローブおよび一定のプレート上の陽性プラーク割合の計算を用いて、周縁組織についてプローブされる。Berthelemy, et al., ”Brief Communications -- Identification of K-ras Mutations in Pancreatic Juice in the Early Diagnosis of Pancreatic Cancer,”
Ann. Int. Med. 123(3):188-91(1995)は、膵臓分泌物におけるK−ras変異を検出するためにPCR/制限酵素方法を使用する。しかし、この技法は不完全であって、変異を定量しない。同様に、Tada, et al., ”Detection of ras Gene Mutations in Pancreatic Juice and Peripheral Blood of Patients with Pancreatic Adenocarcinoma,”
Cancer Res. 53:2472-74(1993)およびTada, et al., ”Clinical Application of ras Gene Mutation for Diagnosis of Pancreatic Adenocarcinoma,”
Gastroent. 100:233-38(1991)は、膵臓癌の検出のためにこのようなサンプルを対立遺伝子特異的PCRにかける。これには、正常鋳型からのポリメラーゼ伸張により偽のポジティブを提供し、プライマーニ量体と識別するために産物の電気泳動分解を要し、重複プライマーの阻害により近接クラスター部位の多重化を不可能とし、小さな反復配列における単一塩基または小さな挿入および欠失の検出を不可能とし、および正常DNAの高いバックグラウンドにおける変異DNAの定量について理想的には適切でないというデメリットがある。Hayashi, et al., ”Genetic Detection Identifies Occult Lymph Node Metastases Undetectable by the Histopathological Method,”
Cancer Res. 54:3853-56(1994)は、結腸癌における隠れたリンパ節転移を同定するためにK−rasまたはp53変異を発見する対立遺伝子特異的PCR技法を使用する。千の正常細胞において一つの腫瘍細胞という感受性が要求される;しかしながら、量の値を得るには、困難なクローニング、平板培養およびプローブ工程を要する。Mitsudomi, et al., ”Mutations of ras Genes Distinguish a Subset of Non-small-cell Lung Cencer Cell Lines from Small-cell Lung Cancer Cell Lines,”
Oncogene 6:1353-62(1991)において、遺伝子DNAのPCR増幅中のミスマッチプライマーからつくられた制限フラグメント長・多型性を用いて、ヒト肺癌細胞系はK−、H−およびN−rasの点変異について検査される。このようなプライマー媒介RFLPのデメリットには、正常DNAから変異を識別するために電気泳動分解を必要とし、制限部位に転換される部位への適用が限られ、変異の特性を決定するために追加分析を要し、および正常DNAの高いバックグラウンドにおける変異DNA定量が難しいということがある。さらに、これらの方法は労力を要し、不正確になりがちである。
【0024】
組み合せたPCR/連結反応プロセスは、多数ヌクレオチド配列の存在下における少数ヌクレオチド配列の検出に使用されている。PCR/LDRプロセスは、Frenkel, ”Specific, Sensitive, and Rapid Assay for Human Immunodeficiency Virus Type 1 pol Mutations Associated with Resistance to Zidovudine and Didanosive,”
J. Clin. Microbiol. 33(2):342-47(1995)においてHIV変異の検出に使用される。しかしながら、このアッセイは多重検出に使用できない。参照、Abravaya, et al., ”Detection of Point Mutations With a Modified Ligase Chain (Gap-LCR),”
Nucl. Adics. Res. 23(4):675-82(1995)およびBalles, et al., ”Facilitated Isolation of Rare Recombinants by Ligase Chain Reaction: Selection for Intragenic Crossover Events in the Drosophila optomotor-blind Gene,”
Molec. Gen. Genet. 245:734-40(1994)。
【0025】
結腸直腸病変は、PCR増幅およびその次のオリゴヌクレオチド連結反応アッセイを含む方法により検出される。参照、Jen, et al., ”Molecular Determinants of Dysplasia in Colorectal Lesions,”
Cancer Res. 54:5523-26(1994)およびRedston, et al., ”Common Occurrence of APC and K-ras Gene Mutations in the Spectrum of Colitis-Associated Neoplasias,”
Gastroenter. 108:383-92(1995)。この方法は、Powell, et al., ”Molecular Diagnosis of Familial Adenomatous Polyposis,”
N. Engl. J. Med. 329(27):1982-87(1993)からの進歩として開発された。これらの技法は実施が制限され、困難な傾向がある。
【0026】
少数ヌクレオチド配列を検出するために、他の方法が開発されている。Lu, et al., ”Quanititative Aspects of the Mutant Analysis by PCR and Restriction Enzyme Cleavage (MAPREC)”
PCR Methods and Appl. 3:176-80(1993)は、PCRおよび制限酵素分解によりウイルス復帰突然変異株を検出する。MAPRECのデメリットには、正常DNAから変異を識別するために電気泳動分解を要し、制限部位に転換される部位への適用が制限され、変異の特性を決定するために追加分析を要し、および正常DNAの高いバックグラウンドにおける変異DNAの定量が困難であるということがある。Kuppuswamy, et al., ”Single Nucleotide Primer Extension to Detect Genetic Diseases: Experimental Application to Hemophilia G (Factor IX) and Cystic Fibrosis Genes,”
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1143-47(1991)において、PCRプロセスは、各フラグメントについて2つの反応混合物を用いて実施され、各フラグメントは正常コード配列に対応するプライマーおよび標識ヌクレオチドを含有する一つの混合物により増幅され、一方、もう一つの混合物は変異配列に対応するプライマーおよび標識ヌクレオチドを含有する。このようなミニ配列決定(例えば、SNuPe)のデメリットは、変異が既知でなければならず、重複プライマーの阻害により近接クラスター部位の多重化が不可能で、小さな反復配列における単一塩基または小さな挿入および欠失の検出が不可能であり、および4つの分離反応を必要とすることである。変異原的に分割するPCRプロセスが、異なる長さの対立遺伝子特異的プライマーを用いて正常および変異対立遺伝子を識別することについて、Rust, et al., ”Mutagenically Separated PCR (MS-PCR): a Highly Specific One Step Procedure for easy Mutation Detection”
Nucl. Acids. Res. 21(16):3623-29(1993)に開示されている。MS−PCRのデメリットには、ポリメラーゼ伸長非正常鋳型により偽のポジティブを提供する可能性があり、プライマーニ量体から識別するために産物の電気泳動分解を要し、重複プライマーの阻害により近接クラスター部位の多重化が不可能であり、小さな反復配列における単一塩基または小さな挿入および欠失の検出が不可能であり、正常DNAの高いバックグラウンドにおける変異DNAの定量に理想的には適切でないということがある。Suzuki, et al., ”Detection of ras Gene Mutation in Human Lung Cancers by Single-Strand Conformation Polymorphism Analysis of Polymerase Chain Reaction Products,”
Oncogene 5:1037-43(1990)において、PCR相に続き増幅DNAフラグメントの一本鎖DNA高次構造多型(”SSCP”)を含む相を有するプロセスで、検出される。SSCPのデメリットには、正常立体配座異性体から変異立体配座異性体を識別するために電気泳動分解を要し、可能性のある変異の30%が検出できず、変異の特性を決定するのに追加分析を要し、および不活性多型性から変異を識別できないということがある。
【0027】
多数配列の存在下において少数ヌクレオチド配列を検出する技法は存在するが、その方法は改善される必要がある。特に少数ヌクレオチド配列を定量できる技法の開発が望ましい。
【発明の開示】
【0028】
発明の概要
本発明の1つの実施態様は、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により1以上の多数標的ヌクレオチド配列と相違している1以上の少数標的ヌクレオチド配列をサンプル中で検出する方法に関し、少数標的ヌクレオチド配列はサンプル中に多数配列よりも少量で存在する。
【0029】
本方法に関する使用のために、1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを準備する。各セットは、(a)標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドおよび(b)標的特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドを含む。特定セット中のオリゴヌクレオチドプローブは、対応する標的多数配列上で互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結するのに適するが、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結を阻止するミスマッチを有する。
【0030】
サンプル、1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合して、リガーゼ検出反応混合物を形成する。リガーゼ検出反応混合物を変性処理およびハイブリダイゼーション処理を含む1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかける。変性処理において、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離される。ハイブリダイゼーション処理は、オリゴヌクレオチドプローブセットを隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在していれば、夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズすることを含む。各セット由来のハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブは互いに連結して、一緒に結合した標的特異的部分を含有する連結産物配列を形成する。各セットについての連結産物配列は、連結検出反応混合物中の他の核酸と識別され得る。オリゴヌクレオチドプローブセットは、夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中の隣接配列にハイブリダイズできるが、1以上のミスマッチの存在によって一緒に連結しない。ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブは、連結しないとき、変性処理の際に個々に分離する。
【0031】
リガーゼ検出反応混合物を1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけると、連結産物配列が検出される。結果として、サンプル中の少数標的ヌクレオチド配列の存在が同定され得る。
【0032】
本発明の第2の実施態様も複数の標的ヌクレオチド配列において1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している1以上の複数の配列を同定する方法に関する。上記したように、サンプルおよび1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットをリガーゼと混合して、リガーゼ検出反応混合物を形成する。リガーゼ検出反応混合物を1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけて、連結産物配列の存在を検出する。しかし、ここでは熱安定性変異リガーゼが使用される。このリガーゼは、連結部で標的ヌクレオチド配列と3’末端を有するオリゴヌクレオチドプローブとの間の連結部においてミスマッチを有する標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結するための一定の初速度対する、連結部で標的ヌクレオチド配列と3’末端を有するオリゴヌクレオチドプローブとの間で連結部において完全マッチを有する標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結するための一定の初速度として定義される忠実性比率(適合性比率)によって特徴付けられる。熱安定性変異リガーゼの忠実性比率(適合性比率)は、野生型リガーゼの忠実性比率(適合性比率)より高い。
【0033】
本発明の第3の実施態様も複数の標的ヌクレオチド配列において1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している1以上の複数の配列を同定する方法に関する。上記したように、サンプルおよび1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットをリガーゼと混合して、リガーゼ検出反応混合物を形成する。リガーゼ検出反応混合物を1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけて、連結産物配列の存在を検出する。しかし、ここでは、オリゴヌクレオチドプローブセットに関して、連結が起きる連結部で3’末端を有するオリゴヌクレオチドプローブが修飾される。この修飾は、標的ヌクレオチド配列と連結部で3’末端を有するオリゴヌクレオチドプローブとの間の連結部においてミスマッチを有する標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結するための一定の初速度を、標的ヌクレオチド配列と連結部で3’末端を有するオリゴヌクレオチドプローブとの間の連結部において完全マッチを有する標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結するための一定の初速度に比べて、識別できるように変化せしめる。修飾オリゴヌクレオチドプローブでの連結は、シグナル対ノイズ比率、少数および多数の標的ヌクレオチド配列についての連結産物配列量の、多数標的配列単独の同量から産生される連結反応産物配列の量に対する比率を有する。これは、修飾のないオリゴヌクレオチドプレーブを用いた連結についてのシグナル対ノイズ比率よりも大きい。
【0034】
癌関連変異および少数標的ヌクレオチド配列の存在についての検出方法の開発において、早期に癌を診断し得る方法が必要である。それには、臨床サンプルから同定され、正確に定量される少なくとも1つのクローナル変異を要する。このタイブの理想的な試験は、多重遺伝子における数百もの共通変異を迅速に選別できるものである。正常のDNAの存在における1%以下の変異DNAが正確に同定され、多重の体裁で密接に群がる多くの変異が正しく識別されねばならない。一般的に点変異について、および特定的に小さい反復配列において、小さい挿入および欠失が正確に同定されねばならない。偽のポジティブ結果に対する内部コントロールおよび高度な情報量の自動化についての適用がなければならない。本発明のLDR方法はこれらのすべての目的にかなうものである。
【0035】
図面の簡単な説明
図1は、電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による癌関連変異の検出のためのPCR/LCRプロセスを表わす流れ図である。ここでは、野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブがLDR相から排除され、少数変異標的からのシグナルが圧倒されることを回避し(to avoid overwhelming signal from minority mutant target)、LDR相にマーカーは加えられていない。
図2は、電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による癌関連変異の検出のためのPCR/LCRプロセスを表わす流れ図である。ここでは、野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブがLDR相から排除され、少数変異標的からのシグナルが圧倒されることを回避し(to avoid overwhelming signal from minority mutant target)、LDR相にマーカーは加えられている。
図3は、電気泳動またはアドレス可能アレイ上の捕捉による癌関連変異の検出のためのPCR/LCRプロセスを表わす流れ図である。ここでは、野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが低レベルで、LDR相において使用され、および/または修飾されて、多数標的に対応する少ない連結反応産物を製出する。これは少数変異標的からのシグナルが圧倒されるのを防ぐ。
図4は、連結反応産物を分離するために電気泳動を用いる
図1のPCR/LDRプロセスを表わす模式図である。
図5は、連結反応産物を分離するために電気泳動を用いる
図2のPCR/LDRプロセスを表わす模式図である。
【0036】
図6は、連結反応産物を分離するために電気泳動を用いる
図3のPCR/LDRプロセスを表わす模式図である。
図7は、連結反応産物を分離するためにアドレス可能アレイを用いる
図1のPCR/LDRプロセスを表わす模式図である。
図8は、連結反応産物を分離するためにアドレス可能アレイを用いる
図2のPCR/LDRプロセスを表わす模式図である。
図9は、連結反応産物を分離するためにアドレス可能アレイを用いる
図3のPCR/LDRプロセスを表わす模式図である。
図10は、部位特異的変異生成を用いて、アミノ酸残基294でのThemus thermophilus DNAリガーゼ変異体の構築に関する。
【0037】
図11は、Thリガーゼのポジティブ活性部位領域の部位指向変異生成を示す。水平棒は、C末端を示す矢印と共に、完全長のTthDNAリガーゼタンパク質を表わす。黒地斜線部は、
Tth(すなわち、Themus thermophilus)DNAリガーゼとE.coliリガーゼとの強い相同性を有する領域を表わし、白地斜線部は、相同性の小さい領域を表わす。K118、D120、K294、R337、G339、C412、C415、C428およびC433での部位指向変異生成により産生されたアミノ酸置換が示されている。既知のNAD
+依存リガーゼ中で同一であるアミノ酸残基に下線が引かれている。
図12A−Bは、
図11の変異リガーゼをつくるためのプライマーを表わす。
これらのプライマーは以下の配列番号を有する:プライマーaは、配列番号:1(JL501)、および配列番号:78 (JL505)として特定される;プライマーbは、配列番号:2 (JL503R)、配列番号:79 (JL507R)、配列番号:80 (JL537R)、配列番号:81 (JL535R)、配列番号:82 (JL525R)、配列番号:83 (JL527R)、配列番号:84 (JL529R)、配列番号:85 (JL531R)、および配列番号:86 (JL533R) として特定される;プライマーcは、配列番号:3 (JL502)、配列番号:87 (JL509)、配列番号:88 (JL506)、配列番号:89 (JL536)、配列番号:90 (JL534)、配列番号:91 (JL524)、配列番号:92 (JL526)、配列番号:93 (JL528)、配列番号:94 (JL530)、および配列番号:95 (JL532)として特定される;プライマーdは、配列番号:4 (JL504R)、配列番号:96 (JL508R)、および配列番号:97 (JL518R)として特定される;プライマーb1は、配列番号:5として特定される;プライマーc1は、配列番号:6として特定される;プライマーb2は、配列番号:8として特定される;およびプライマーc2は、配列番号:7として特定される。
【0038】
図13A−Cは、連結反応アッセイのために用いられたオリゴヌクレオチドの模式的表示である。プローブ配列は、ヒト真核蛋白質合成開始因子eIF-4E(Rychlik, W., et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:945-49(1987)、出典明示により本明細書の一部とする)から誘導された。このランダム真核DNA配列は、部分的に精製された変異TthDNAリガーゼ製造における細菌性DNA汚染からの偽のシグナルを回避するために選別された。プローブの融点は、最も近似の熱力学的方法(Breslauer, K. J., et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:3746-3750(1986)、出典明示により本明細書の一部とする(OLIGO4.0 program, National Biosciences Inc., Plymouth, MN)を用いて、推測した。
図13Aおよび
図13Bは、例として鋳型鎖の一つALgを用いてのニックDNA二重らせんの形成を表わす。
図13Aに示すように、4つの異なるニックDNA基質が、共通の蛍光標識オリゴヌクレオチド、com5F(配列番号:9)および識別 oligo(RP5’A(配列番号:10)、RP5’C(配列番号:11)、RP5’G(配列番号:12)、RP5’T(配列番号:13))の一つを鋳型鎖、ALg(配列番号:14)にアニールすることによって形成される。
図13Bでは4つの異なるニックDNA基質が、共通の蛍光標識オリゴヌクレオチド、com3F(配列番号:15)および識別 olego(LP3’A(配列番号:16)、LP3’C(配列番号:17)、LP3’G(配列番号:18)、LP3’T(配列番号:19))の一つを鋳型鎖、ALg(配列番号:14)にアニールすることによって形成される。マッチおよびミスマッチ塩基対の全16組合せの完全セットが、鋳型鎖としてALg(配列番号:14)、GLg(配列番号20:)、TLg(配列番号:21)およびCLg(配列番号:22)(
図13Cに示す)を用いて、形成される。これは下線を引いた塩基で相異している。共通蛍光標識プローブへの連結反応で形成された産物は、異なる長さの”A”テイルの取りこみよって変性ポリアクリルアミドゲル上のサイズによって識別することができる。
図14は、
図13のオリゴヌクレオチドをつくるために用いられたプローブの配列を表わす。
【0039】
図15A−Eは、ニックの3’側での
TthDNAリガーゼによるニック再結合の忠実性(適合性)を表わす。
図15Aに示すように、リガーゼ基質(ニックDNA二重らせん)は、鋳型鎖上で識別オリゴヌクレオチドLP3’(A、C、GまたはT)をリン酸化共通オリゴヌクレオチド(3’−蛍光標識、com3F)でアニーリングすることにより形成される。識別オリゴヌクレオチドの3’側での識別塩基”N”および鋳型鎖における”n”は、変化して、塩基対の全16の可能性ある組合せを与える。”Am”は、識別オリゴヌクレオチドの5’末端での”A”テイルを表わす。反応は、1mM NAD
+、12.5nM(500fmole)のニックDNA二重らせん基質および0.125nM(5fmole)TthDNAリガーゼを含有する混合物40μl中、65℃で行なわれた。アリコット(5μl)を0、2、4、6、8および23時間後に採取し、変性ポリアクリルアミドゲル上で分離した。データはGenescan version 1.2 ソフトウェアーを用いて解析した。結果はDeltagraph Pro3 ソフトウェアーを用いてプロットした。
図15B−Eは、同じ識別オリゴによるが、異なる鋳型鎖を用いて得られた結果である。パネル3’−A(
図15B)において、識別オリゴヌクレオチドはLP3’Aであった。A−T(◆)、A−C(△)、A−A(▽)およびA−G(○)は鋳型鎖として夫々、TLg、CLg、ALgおよびGLgを含有するDNA基質を表わす。パネル3’−G(
図15D)において、識別オリゴヌクレオチドはLP3’Aであった。G−C(◆)、G−T(△)、G−A(▽)およびG−G(○)は、鋳型鎖として夫々、CLg、TLg、ALgおよびGLgを含有するDNA基質を表わす。パネル3’−C(
図15C)において、識別オリゴヌクレオチドはLP3’Aであった。C−G(◆)C−A(△)、C−T(▽)およびC−C(○)は、鋳型鎖として夫々、GLg、ALg、TLgおよびCLgを含有するDNA基質を表わす。パネル3’−T(
図15E)において、識別オリゴヌクレオチドはLP3’Tであった。T−A(◆)、T−G(△)、T−T(▽)およびT−C(○)は、鋳型鎖として夫々、ALg、GLg、TLgまたはCLgを含有するDNA基質を表わす。
【0040】
図16A−Eは、ニックの5’側での熱安定性DNAリガーゼによるニック再結合の忠実性(適合性)を表わす。反応条件は、異なる識別および共通オリゴヌクレオチドを用いた以外は
図15と同じである。識別塩基はニックの5’側(リン酸化オリゴヌクレオチドRP5’A、C、GまたはT)にあり、共通オリゴヌクレオチドはニックの3’側にあって、FAM(すなわち、6−カルボキシフルオレセイン、配列決定および変異検出に用いられた蛍光塗料)で5’−標識されていた。参照、
図16A。パネル5’A(
図16B)において、識別オリゴヌクレオチドはPR5’Aであり、A−T(◆)、A−C(△)、A−A(▽)およびA−G(○)は、鋳型鎖として夫々TLg、CLg、ALgおよびGLgを含有するDNA基質を表わす。パネル5’−G(
図16D)において、識別オリゴヌクレオチドはPR5’Gであり、G−G(◆)、G−T(△)、G−A(▽)およびG−G(○)は、鋳型鎖として夫々CLg、TLg、ALgおよびGLgを含有するDNA基質を表わす。パネル5’−C(
図16C)において、識別オリゴヌクレオチドはRP5’Cであり、C−G(◆)、C−A(△)、C−T(▽)およびC−C(○)は、鋳型鎖として夫々GLg、ALg、TLgおよびCLgを含有するDNA基質を表わす。パネル5’−T(
図16E)において、識別オリゴヌクレオチドはRP5’Tであり、T−A(◆)、T−G(△)、T−T(▽)およびT−C(○)は、鋳型鎖として夫々ALg、GLg、TLgまたはCLgを含有するDNA基質を表わす。
【0041】
図17A−Cは、ニックの3’側上の第3部位での塩基類似体およびミスマッチを含有するオリゴヌクレオチドプローブを示す図である。
【0042】
図18は、
Thermus thermophilusリガーゼの忠実性(適合性)の改善に関する表である。プローブLP3’C、LP3’TおよびCom3Fの配列は
図14に示されている。他の識別プローブの配列は下記の通り。
SLP3'C: 5' TACGTCTGCGGTGTTGCGTC 3' (配列番号:23).
SLP3'T: 5' CGTCTGCGGTGTTGCGTT 3' (配列番号:24).
SLP3'ATC: 5' ATGCGTCTGCGGTGTTGCATC 3' (配列番号:25).
SLP3'ATT: 5' GCGTCTGCGGTGTTGCATT 3' (配列番号:26).
SLP3'QTC: 5' AAATGCGTCTGCGGTGTTGCQTC 3' (配列番号:27)
SLP3'QTT: 5' ATGCGTCTGCGGTGTTGCQTT 3' (配列番号:28)
識別オリゴヌクレオチドにおける塩基“N”はCまたはTのいずれかである。“Q”はQ塩基類似体を示す。Q塩基類似体を含有する鋳型鎖を除き、試験した全基質についての鋳型鎖はGLgであり、その配列を
図14に示す。Q塩基類似体を含有する基質における鋳型鎖はGLg.m3Aであり、太字体で示された単一部位でGLgと相違する。連結反応の初速度(fmol/min)は、分での時間を表わすX軸とfmolでの産物量を表わすY軸との直線グラフの勾配として計算した。
TthDNAリガーゼの連結反応忠実性は、完全マッチ連結反応の初速度のミスマッチ連結反応の初速度に対する割合と定義する。
図17は、また、プライマーSLP3’TTCC(配列番号:29)、SLP3’TTT (配列番号:30)、Com 610-3’F (配列番号:31)、GLg.m3A (配列番号:32)、GLg.m3A.Rev (配列番号:33)、ALg.m3A (配列番号:34)、ALg.m3A.Rev (配列番号:35)、GLg. (配列番号:36)、GLg.Rev (配列番号:37)、SLP3’GTC (配列番号:38)、SLP3’GTT (配列番号:39)、GLg.m3T (配列番号:40)、およびGLg.m3T.Rev (配列番号:41)のための配列を示す。
【0043】
図19は、野性型またはK294R TthDNAリガーゼのいずれかによる正常DNA過剰における単一塩基変異の定量的検出に用いられたプライマーを示す。LDR反応は、25fmoleの精製野性型または変異K294Rのいずれかの酵素の存在下に、12.5nM(250fmole)のミスマッチ鋳型(GLg.m3AおよびGLg.m3A.res=正常鋳型)および0−2.5nM(50fmole)の完全マッチ鋳型(ALg.m3AおよびALg.m3A.rev=癌鋳型)に関する。各反応は、20mM Tris-HCl,pH7.6; 10mM MgCl
2; 100mM KCl; 10mM DTT; 1mM NAD
+; 25nM(500 fmole)の2つの短い検出プライマーおよび鋳型混合物を含有する20μlの混合物中で実施された。反応混合物をGene Amp9600(Perkin Elmer)中で15秒、94℃で加熱し、次いで野性型または変異TthDNAリガーゼを加えた。さらに30秒、94℃で酵素と共にインキュベーションした後、20サイクルを各サイクルつき15秒94℃および4分65℃で、LDR反応を行った。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000 分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI 373DNAシクエンサーで1400voltで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。
【0044】
図20A−Bは、野性型または変異K294R
TthのDNAリガーゼによる正常DNAの過剰におけるT:GミスマッチについてのLDRオリゴヌクレオチドプレーブ(
図20A)および鋳型配列(
図20B)を示す。GLg.m3AおよびGLgm3A.revはミスマッチ鋳型(正常鋳型)を表わし、AALg.m3AおよびALg.m3A.revは完全なマッチ鋳型(癌鋳型)を表わす。プライマーSLP3’TTTは、完全マッチ(癌)鋳型についての正常プライマーを表わし、SLP3’TTCはミスマッチ(正常)鋳型についての正常プライマーを表わす。同様に、T:GミスマッチについてのQ類似体での実験では、マッチ(癌)鋳型についての正常プライマーとしてSLP3’Q
2TT(配列番号:42)およびSLP3’Q
18TT(配列番号:43)を用いる。
図20についての残りの配列は、
図17について示された配列番号を有する。
【0045】
図21A−Bは、野性型またはK294R
TthDNAリガーゼによる正常DNAの過剰における単一塩基変異(T:Gミスマッチ)の定量検出を示す。0、0.025nM(0.5fmol)、0.05nM(1fmol)0.125nM(2.5fmol)0.25nM(5fmol)、1.25nM(25fmol)および2.5nM(50fmol)の”癌”鋳型を12.5nM(250fmol)の“正常”鋳型と併用したときに、LDR産物が形成された。反応は、25nM(500fmol)の正規プライマー(SLP3’TTTおよび Com 610 3’F)および1.25nM(25fmol)の野性型またはK294R変異の酵素の存在下に行なわれた。この反応に用いたオリゴヌクレオチドプライマーは、連結反応部で”正常”鋳型上にT:Gミスマッチを、”癌”鋳型上にT:Aマッチをつくる。LDR反応は各サイクルにつき94℃で15秒および65℃で4分の20サイクルがなされた。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000 分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI373DNAシクエンサーで1400 voltで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。表(
図21B)はグラフ(
図21A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は12.5nM(250fmol)の正常鋳型における癌鋳型の種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は1.25nM(25fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は1.25nM(25mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0046】
図22A−Bは、正常DNAにおける変異鋳型の種々の濃度を有するLDR産物のシグナル対ノイズ比率を示す。単一塩基変異鋳型(“癌”)を12.5nM(250fmol)の“正常”鋳型に希釈し、0.125nM(25fmol)の野性型または変異K294R Tth DNAリガーゼを用いて解析した。この反応に用いたオリゴヌクレオチドプローブは、連結反応部で”正常”鋳型上にT:Gミスマッチを、”正常”鋳型上にT:Aマッチをつくった。シグナル対ノイズ比率は、”正常”鋳型(12.5nM=250fmol鋳型)の存在下で”癌”鋳型で形成された産物量の、正常鋳型単独での同量により形成された産物量に対する割合と定義される。表(
図22B)はグラフ(
図22A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は12.5nM(250fmol)の正常鋳型における癌鋳型の種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は1.25nM(25fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は1.25nM(25fmol)の変異K294R酵素を表わす。
【0047】
図23A−Bは、0、0.005nM(0.1fmol)、0.0125nM(0.25fmol)、0.025nM(0.5fmol)、0.05nM(1.0fmol)、0.125nM(2.5fmol)0.25nM(5fmol)および0.5nM(10fmol)の正常鋳型(Glg.m3A and GLg.m3.Arev)を25nM(500fmol)の正規プライマー(SLP3’TTCおよびCom610 3’F)および1.25nM(25fmol)の野性型または変異の酵素と混合したときに形成したLDR産物の量を示す。この反応に用いたプライマーは連結反応部で”正常”鋳型上にC:Gマッチをつくる。LDR反応は各サイクルにつき94℃で15秒および65℃で4分の20サイクルがなされた。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000 分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI373DNAシクエンサーで1400 voltで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。表(
図23B)はグラフ(
図23A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターを Deltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は12.5nM(250fmol)の正常鋳型における癌鋳型の種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は1.25nM(25fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は1.25nM(25mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0048】
図24は、リガーゼの忠実性(適合性)を検定するために用いたプライマーを含有するヌクレオチド類似体を示す。典型的なLDRアッセイにおける野性型および変異TthのDNAリガーゼの忠実性(適合性)を検定するために、4つの異なる条件を用いた。各反応は、20mM Tris-HCl、pH7.6;10mM MgCl
2;100mM KCl;10mM DTT;1mM NAD
+;25nM(500fmol)の2つの短い検出プライマーおよび12.5nM(250fmol)の正常鋳型単独、または正常鋳型に併せて125nM(2.5fmol)および0.5nM(10fmol)の癌鋳型(比率、夫々1:100および1:25)を含有する混合物20μl中で行った。この反応において用いたオリゴヌクレオチドプローブは、連結反応部で”正常”鋳型上にT:Gミスマッチを、”癌”鋳型上にT:Aマッチをつくる。さらに、オリゴヌクレオチドプローブSLP3’QTTは、3’末端から3番目の位置にQ
2:AまたはQ
18:Tの対をつくる。この反応混合物は、94℃で15秒、Gene Amp 9600 テルモサイクラー(Perkin Elmer)中て加熱し、25fmolの野性型および変異TthのDNAリガーゼを加えた。さらに30秒、94℃で酵素と共にインキュベーションした後、20サイクルを各サイクルつき15秒94℃および4分65℃で、LDR反応を行った。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000 分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI373DNAシクエンサーで1400voltで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。
【0049】
図25A−Dは、本発明のPDR/LDRプロセスのLDR相のためのヌクレオチド類似体を有するオリゴヌクレオチドプローブの種々の形を示す。
図25A、B、CおよびD中でヌクレオチドアナログQを有するプローブは、それぞれ、指定された配列番号:44、45、46、および47である。これらの図のそれぞれにおいて、標的DNA配列は同じであり、指定された配列番号:48である。
【0050】
図26は、野性型またはK294のいずれかのTthDNAリガーゼによる正常DNAの過剰における単一塩基変異(C:Aミスマッチ)の定量的検出に用いられたプライマーを示す。LDR反応は、25fmolの精製野性型酵素または変異酵素K294Rの存在下に、12.5nM(250fmole)のミスマッチ鋳型(GLg.m3Aおよび GLg.m3A.res=正常鋳型)および0−2.5nM(50fmole)の完全マッチ鋳型(ALg.m3AおよびALg.m3A.rev=癌鋳型)に関する。各反応は、20mM Tris-HCl,pH7.6; 10mM MgCl
2; 100mM KCl; 10mM DTT; 1mM NAD
+; 25nM(500 fmol)の2つの短い検出プライマーおよび鋳型混合物を含有する20μlの混合物中で実施された。この反応で用いたプローブは、連結反応部で正常鋳型上にC:Aミスマッチを、癌鋳型上にC:Gマッチをつくる。反応混合物をGene Amp9600(Perkin Elmer)中で15秒、94℃で加熱し、次いで野性型または変異TthDNAリガーゼを加えた。さらに30秒、94℃で酵素と共にインキュベーションした後、20サイクルを各サイクルつき15秒94℃および4分65℃で、LDR反応を行った。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI373DNAシクエンサーで1400voltで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。
【0051】
図27A−Bは、野性型またはK294R TthDNAリガーゼによる正常DNAの過剰における単一塩基変異(C:Aミスマッチ)の定量検出を示す。0、0.025nM(0.5fmol)、0.05nM(1fmol)0.125nM(2.5fmol)0.25nM(5fmol)、1.25nM(25fmol)および2.5nM(50fmol)の”癌”鋳型(すなわちGlg.m3A/Glg.m3A.rev)を12.5nM(250fmol)の”正常”鋳型(すなわちALg.m3A/ALg.m3A.rev)と併用したときに、LDR産物が形成された。反応は、25nM(500fmol)の正規オリゴヌクレオチドプローブ(SLP3’TTTおよび Com 610 3’F)および1.25nM(25fmol)の野性型またはK294R変異の酵素の存在下に行なわれた。この反応に用いたオリゴヌクレオチドプライマーは、連結反応部で”正常”鋳型上にC:Aミスマッチを、”癌”鋳型上にC:Gマッチをつくる。LDR反応は各サイクルにつき94℃で15秒および65℃で4分の20サイクルがなされた。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000 分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI373DNAシクエンサーで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。表(
図26B)はグラフ(
図26A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は12.5nM(250fmol)の正常鋳型における癌鋳型の種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は1.25nM(25fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は1.25nM(25mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0052】
図28A−Bは、野性型または変異K294R TthDNAリガーゼによる0.125nM(25fmol)での12.5nM(250fmol)の”正常”鋳型と併用したときの種々の濃度の単一変異鋳型(”癌”)でのLDR産物のシグナル対ノイズ比率を示す。シグナル対ノイズ比率は、12.5nM(250fmol)の正常鋳型の存在下に種々の濃度の癌鋳型で形成された産物量と12.5nM(250fmol)の正常鋳型単独で形成された産物の量との割合である。この反応に用いられたオリゴヌクレオチドプローブ(SLp3’TTCおよびCom610 3’F)は、連結反応部で”正常”鋳型(ALg.m3A/ALg.m3A.rev)上にC:Aミスマッチを、および”癌”鋳型(GLg.m3A/GLg.m3A.rev)上にC:Gマッチをつくる。表(
図28B)はグラフ(
図28A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は12.5nM(250fmol)の正常鋳型における癌鋳型の種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は1.25nM(25fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は1.25nM(25mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0053】
図29A−Bは、0、0.005nM(0.1fmol)、0.0125nM(0.25fmol)、0.025nM(0.5fmol)、0.05nM(1.0fmol)、0.125nM(2.5fmol)0.25nM(5fmol)および0.5nM(10fmol)の正常鋳型(すなわち、ALg.m3A/ALg.m3.Arev)単独を25nM(500fmol)の正規プライマー(SLP3’TTCおよびCom610 3’F)および1.25nM(25fmol)の野性型または変異酵素と混合したときに形成したLDR産物の量を示す。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI373DNAシクエンサーで1400volt で電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。表(
図29B)はグラフ(
図29A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は正常鋳型の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は1.25nM(25fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は1.25nM(25mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0054】
図30A−Cは、K−rasのコドン12、13および61における変異についてのPCR/LDC検出を表わす。上部の図(
図30A)は、K−ras遺伝子を含有する染色体DNAの模式図である。エクソンは斜線部であり、コドン12、13および61位置が示される。これらの3コドンを両側からはさむK−rasDNAを選択的に増幅するために、エクソン特異的プライマーを用いた。中段(
図30B)および下部(
図30C)の図は、コドン12、13および61におけるすべての可能なアミノ酸変化についてのLDR検出のためのプライマー設計を表わす模式図である。例えば、コドン12(
GGT)は、G
AT、G
CTまたはG
TTに変異をおこす。対立遺伝子特異的LDRオリゴヌクレオチドプローブは3’末端に識別塩基を、5’末端に蛍光標識を含む。共通オリゴヌクレオチドは5’末端リン酸化されて、3’末端にポリ−Aテイルおよびブロック基を含有する。種々の変異がポリアクリルアミドゲル上で産物を分離することにより識別される。コドン12で変異を検出するために用いられたLDRオリゴヌクレオチドプローブは、コドン13で変異を検出するために用いられたオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを阻止し得る。これらのプローブが他のLDRプローブの存在下で変異シグナルを正しく同定し得るかどうかを実験的に決定する必要がある。
図31A−Bは、野性型または変異K294
TthDNAリガーゼによる正常DNAの過剰下の典型的LDR反応におけるコドン12、13および61での種々の変異を検出するために使用したK−rasLDRオリゴヌクレオチドプローブの名前および配列を示している。
図31A−Bは、以下のプライマーのための配列を示す:Fam-K-ras c12.2D (配列番号:49)、Tet-K-ras c12.2A (配列番号:50)、Fam-K-ras c12.2V (配列番号:51)、K-ras c12 Com-2 (配列番号:52)、Tet-K-ras c12.1S (配列番号:53)、Fam-K-ras c12.1R (配列番号:54)、Tet-K-ras c12.1C (配列番号:55)、K-ras c12 Com-1 (配列番号:56)、Fam-K-ras c13.4D (配列番号:57)、Tet-K-ras c13.4A (配列番号:58)、Fam-K-ras c13.4V (配列番号:59)、K-ras c13 Com-4 (配列番号:60)、Tet-K-ras c13.3S (配列番号:61)、Fam-K-ras c13.3R (配列番号:62)、Tet-K-ras c13.3C (配列番号:63)、K-ras c13 Com-3 (配列番号:64)、Tet-K-ras c61.7HT (配列番号:65)、Fam-K-ras c61.7HC (配列番号:66)、K-ras Com-7 (配列番号:67)、Tet-K-ras c61.6R (配列番号:68)、Fam-K-ras c61.6P (配列番号:69)、Tet-K-ras c61.6P (配列番号:70)、K-ras Com-6 (配列番号:71)、Fam-K-ras c61.5K (配列番号:72)、Tet-K-ras c61.5E (配列番号:73)、およびK-ras Com-5 (配列番号:74)。
【0055】
図32および33A−Bは、野性型またはK294 Tth DNAリガーゼによる正常K−ras配列の過剰下でK−ras遺伝子(G12D)のコドン12におけるGly−>Asp変異(C:Aミスマッチ)の定量的検出を示す。
図32でゲル#mk960423(#1−11)についての左側11レーンは、野性型Tth DNAリガーゼを用いたときに得られたデータを表し、
図32で右側(#13−23)の11レーンは変異
Tth DNAリガーゼ、K294Rを用いたときに得られたデータを表す。各々の場合における最初の3レーンは変異Kras配列の加えられていないネガティブ・コントロールである。次の8レーンは、夫々5nM(100fmol)、2nM(40fmol)、0.8nM(20fmol)、0.4nM(8fmol)、0.2nM(4fmol)、0.1nM(2.0fmol)、0.05nM(1fmol)および0.025nM(0.5fmol)の変異K−ras鋳型を100nM(2000fmol)の野性型K−ras DNAと併用したとき形成されたLDR産物の量を示す。反応は、25nM(500fmol)の1つの識別オリゴヌクレオチドプローブ(Fam−K−ras c12.2Dおよび共通プライマーK−ras c12Com−2)および5nM(100fmol)の野性型またK294R変異の酵素の存在下に実施された。この反応で用いられたGly−>Asp変異を検出するためのLDRプローブは、連結反応部で野性型鋳型上にC:Aミスマッチを、K−ras鋳型上にT:Aマッチをつくる。PCR反応を30サイクル、各サイクルにつき94℃で15秒、55℃で1分および72℃で1分間(+3秒/サイクル)行った。LDR反応を20サイクル、各サイクルにつき94℃で15秒および65℃で4分間行った。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000 分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI 373DNAシクエンサーで1400voltで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。表(
図33B)はグラフ(
図33A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は100nM(2000fmol)の野性型鋳型におけるG12D鋳型の種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は5nM(100fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は5nM(100mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0056】
図34A−Bは、5nM(100fmol)の野性型または変異K294RのTth DNAリガーゼを用いて、100nM(2000fmol)の野性型K−ras鋳型と併用した単一塩基変異(G12D)を含有する種々の濃度のK−ras遺伝子(0.025mM〔0.5fmol〕から5nM〔100fmol〕)でのLDR産物のシグナル対ノイズ比率を表す。この反応で用いたプローブは、連結反応部で野性型鋳型上にC:Aミスマッチを、G12D鋳型上にT:Aマッチをつくる。シグナル対ノイズ比率は野性型鋳型の存在(100nMに2000fmol鋳型)におけるG12Dで形成された産物の量の、野性型鋳型単独の同量で形成された産物量に対する比率であると定義される。表(
図34B)はグラフ(
図34A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は100nM(2000fmol)の野性型鋳型におけるG12Dの種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は5nM(100fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は5nM(100mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0057】
図35および36A−Bは、野性型またはK294のTth DNAリガーゼによる正常K−ras配列の過剰下でK−ras遺伝子(G12V)のコドン12におけるGly−>Val変異(C:Tミスマッチ)の定量的検出を示す。
図35でゲル#mk960423(#1−11)についての左側11レーンは、野性型Tth DNAリガーゼを用いたときに得られたデータを表し、
図35で右側(#13−23)の11レーンは変異Tth DNAリガーゼ、K294Rを用いたときに得られたデータを表す。各々の場合における最初の3レーンは変異Kras配列の加えられていないネガティブ・コントロールである。次の8レーン(
図35)は、夫々0.1nM(2.0fmol)、0.2nM(4fmol)、0.4nM(8fmol)、0.8nM(20fmol)、2nM(40fmol)、4nM(80fmol)、5nM(100fmol)および20nM(200fmol)の変異K−ras鋳型を100nM(2000fmol)の野性型K−ras DNAと併用したとき形成されたLDR産物の量を示す。反応は、25nM(500fmol)の6識別プローブ(Tet−K−ras c12.2A、Tet−K−ras c12.1S、Tet−K−ras c12.1C、Fam−K−ras c12.1R、Fam−K−ras c12.2D、Fam−K−ras c12.2V)、75nM(1500fmol)の2共通プローブ(K−ras c12Com−2およびK−ras c12Com−1)および5nM(100fmol)の野性型またはK294変異の酵素の存在下に行われた。Tetはテトラ塩化−6−カルボキシフルオロレセイン;配列決定/変異検出に用いられた蛍光染料であり、Comは3’アミノ酒色C3CPGカラムを用いるオリゴヌクレオチドプローブである。このカラムは、標的オリゴヌクレオチドの3’末端に対する最初のアミンを産生する。これらの3’アミノ・修飾体の最初の使用は、診断プローブとしての次の標識のためであり、また3’エクソヌクレアーゼ活性に抵抗性のオリゴヌクレオチドを産生するためである。このセットのプローブは、多重反応においてK−ras遺伝子のコドン12中のすべての6単塩基変異の存在を検出し得る。この反応で用いられたGly−>Val変異を検出するためのLDRプローブは、連結反応部で野性型鋳型上にC:Tミスマッチを、Gly−>Val変異K−ras鋳型上にA:Tマッチをつくる。PCR反応を30サイクル、各サイクルにつき94℃で15秒、55℃で1分および72℃で1分間(+3秒/サイクル)行った。LDR反応を20サイクル、各サイクルにつき94℃で15秒および65℃で4分間行った。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000 分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI 373DNAシクエンサーで1400voltで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。表(
図36B)はグラフ(
図36A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は100nM(2000fmol)の野性型鋳型におけるG12V鋳型の種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は5nM(100fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は5nM(100mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0058】
図37A−Bは、5nM(100fmol)の野性型または変異K294RのTth DNAリガーゼを用いて、100nM(2000fmol)の野性型K−ras鋳型と併用した単一塩基変異(G12V)を含有する種々の濃度のK−ras遺伝子(0.1nM〔0.2fmol〕から10nM〔200fmol〕)でのLDR産物のシグナル対ノイズ比率を表す。この反応で用いたG12V特異的プローブは、連結反応部で野性型鋳型上にC:Tミスマッチを、G12V鋳型上にA:Tマッチをつくる。この多重反応における最も大きいバックグランドノイズは、G:Tミスマッチを表すQ61Rを検出するように設計されたプローブからである。これはG12D、すなわちC:Aミスマッチを表すように設計されたプライマーよりも、10倍高い。他のアッセイと同様に、この多重アッセイにおけるシグナル対ノイズ比率は、野性型鋳型の存在においてG12V鋳型(100mM=2000fmol鋳型)で形成された産物量の、野性型鋳型単独(C:Aミスマッチを提示する)の同量で形成されたG12D LDR産物量に対する比率であると定義される。表(
図37B)はグラフ(
図37A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は100nM(2000fmol)の正常鋳型における癌鋳型の種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は5nM(100fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は5nM(100mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0059】
図38および39A−Bは、野性型またはK294 Tth DNAリガーゼによる正常K−ras配列の過剰下でK−ras遺伝子のコドン12におけるGly−>Val変異(C:Tミスマッチ)の定量的検出を示す。
図38でゲル#mk960423(#1−11)についての左側11レーンは、野性型Tth DNAリガーゼを用いたときに得られたデータを表し、
図38で右側(#13−23)の11レーンは変異Tth DNAリガーゼ、K294Rを用いたときに得られたデータを表す。各々の場合における最初の3レーンは変異K−ras配列の加えられていないネガティブ・コントロールである。次の8レーンは、夫々0.1nM(2.0fmol)、0.2nM(4fmol)、0.4nM(8fmol)、0.8nM(10fmol)、2nM(20fmol)、4nM(40fmol)、5nM(100fmol)および20nM(200fmol)の変異K−ras鋳型を100nM(2000fmol)の野性型K−ras DNAと併用したとき形成されたLDR産物の量を示す。反応は、25nM(500fmol)の19識別プライマー(Tet−K−ras c12.2A、Tet−K−ras c12.1S、Tet−K−ras c12.1C、Tet−K−ras c13.4A、Tet−K−ras c13.3S、Tet−K−ras c13.3C、Tet−K−ras c61.7HT、Tet−K−ras c61.6R、Tet−K−ras c61.5K、Tet−K−ras c61.6P、Fam−K−ras c12.1R、Fam−K−ras c12.2D、Fam−K−ras c12.2V、Fam−K−ras c13.4D、Fam−K−ras c13.4V、Fam−K−ras c13.3R、Fam−K−ras c61.7HC、Fam−K−ras c61.6L、Fam−K−ras c61.5K);50nM(1000fmol)の2つの共通プローブ(K−ras c61 Com−7およびK−ras c12 Com−5);および75nM(1500fmol)の5つの共通プライマー(K−ras c12 Com−2、K−ras c12 Com−1、K−ras c13 Com−4、K−ras c13 Com−3およびK−ras c61 Com−6)および5nM(100fmol)の野性型またはK294の変異酵素の存在下に行われた。このセットのプローブは、多重反応においてK−ras遺伝子のコドン12中のすべての6単塩基変異の存在を検出し得る。この反応で用いられたGly−>Val変異を検出するためのLDRプローブは、連結反応部で野性型K−ras鋳型上にC:Tミスマッチを、Gly−>Val変異K−ras鋳型上にA:Tマッチをつくる。PCR反応を30サイクル、各サイクルにつき94℃で15秒、55℃で1分および72℃で1分間(+3秒/サイクル)行った。LDR反応を20サイクル、各サイクルにつき94℃で15秒および65℃で4分間行った。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000 分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI 373DNAシクエンサーで1400voltで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。表(
図39B)はグラフ(
図39A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は100nM(2000fmol)の野性型鋳型におけるG12V鋳型の種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は5nM(100fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は5nM(100mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0060】
図40A−Bは、5nM(100fmol)の野性型または変異K294RのTth DNAリガーゼを用いて、100nM(2000fmol)の野性型K−ras鋳型と併用した単一塩基変異(G12V)を含有する種々の濃度のK−ras遺伝子(0.1nM〔2fmol〕から10nM〔200fmol〕)でのLDR産物のシグナル対ノイズ比率を表す。この反応で用いたG12V特異的プローブは、連結反応部で野性型鋳型上にC:Aミスマッチを、G12D鋳型上にT:Aマッチをつくる。この多重反応における最も大きいバックグランドノイズは、G:Tミスマッチを表すQ61Rを検出するように設計されたプローブからである。これはG12D、すなわちC:Aミスマッチを表すように設計されたプライマーよりも、10倍高い。他のアッセイと同様に、この多重アッセイにおけるシグナル対ノイズ比率は、野性型鋳型の存在においてG12V鋳型(100mM=2000fmol鋳型)で形成された産物量の、野性型鋳型単独(C:Aミスマッチを提示する)の同量で形成されたG12D LDR産物量に対する比率であると定義される。表(
図40B)はグラフ(
図40A)についての元のデータを記述する。データを解析し、指数式のパラメーターをDeltagraph Pro 3.5 ソフトウェアーを用いてデータに適用せしめた。X軸は100nM(2000fmol)の正常鋳型における癌鋳型の種々の量を表わし、Y軸は、生じたLDR産物の量を表わす。(■)は5nM(100fmol)の野性型酵素を表わし、(●)は5nM(100mol)の変異K294R酵素を表わす。
【0061】
図41−42は、K294変異Tth DNAリガーゼによるK−ras遺伝子における変異の定量的検出である。ゲル#mk950513における第1レーンは野性型K−ras DNAを用いたネガティブ・コントロールである。第2レーン(
図41)は変異Gly−>Val K−ras DNAを含有するポジティブ・コントロールである。次の20レーン(
図41)は、異なる変異K−ras DNAを含有する20サンプルについてのLDR反応のブラインド試験を表す。反応は、25nM(500fmol)の19識別プローブ(Tet−K−ras c12.2A、Tet−K−ras c12.1S、Tet−K−ras c12.1C、Tet−K−ras c13.4A、Tet−K−ras c13.3S、Tet−K−ras c13.3C、Tet−K−ras c61.7HT、Tet−K−ras c61.6R、Tet−K−ras c61.5K、Tet−K−ras c61.6P、Fam−K−ras c12.1R、Fam−K−ras c12.2D、Fam−K−ras c12.2V、Fam−K−ras c13.4D、Fam−K−ras c13.4V、Fam−K−ras c13.3R、Fam−K−ras c61.7HC、Fam−K−ras c61.6L、Fam−K−ras c61.5K);50nM(1000fmol)の2つの共通プローブ(K−ras c61 Com−7およびK−ras c12 Com−5);および75nM(1500fmol)の5つの共通プローブ(K−ras c12 Com−2、K−ras c12 Com−1、K−ras c13 Com−4、K−ras c13 Com−3およびK−ras c61 Com−6)および5nM(100fmol)の野性型またはK294の変異の酵素の存在下に行われた。このセットのプローブは、多重反応においてK−ras遺伝子のコドン12、13および61中のすべて17変異の存在を検出し得る。微切開組織をPCRチューブに移し、キシレンに10分間さらし、95%エタノールで3回洗い、次いで乾燥した。PCR反応を30サイクル、各サイクルにつき94℃で15秒、55℃で1分および72℃で1分間(+3秒/サイクル)行った。LDR反応を20サイクル、各サイクルにつき94℃で15秒および65℃で4分間行った。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000 分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI 373DNAシクエンサーで1400voltで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。
データを解析し、その結果を
図42に示し(コールド変異)、ジデオキシ配列決定の結果(期待変異)と比較した。
【0062】
図43は、
図41−42について上記したPCR/LDRプロセスからの10の不一致サンプルを比較した表である。
【0063】
図44および45A−Bは、種々の量の野性型プローブを用いたとき、野性型またはK294 Tth DNAリガーゼによる種々の量のK−ras正常鋳型の定量的検出を示す。LDR量は、25nM(500fmol)、50nM(1000fmol)および100nM(2000fmol)の”正常”鋳型を、0.5nM(100fmol)、2.5nM(50fmol)および5nM(100fmol)の野性型識別プローブ(Tet−K−ras c12.2 WtG)および共通プローブ(K−ras c12 Com−2)に、25nM(500fmol)の19識別プローブ(Tet−K−ras c12.2A、Tet−K−ras c12.1S、Tet−K−ras c12.1C、Tet−K−ras c13.4A、Tet−K−ras c13.3S、Tet−K−ras c13.3C、Tet−K−ras c61.7HT、Tet−K−ras c61.6R、Tet−K−ras c61.5K、Tet−K−ras c61.6P、Fam−K−ras c12.1R、Fam−K−ras c12.2D、Fam−K−ras c12.2V、Fam−K−ras c13.4D、Fam−K−ras c13.4V、Fam−K−ras c13.3R、Fam−K−ras c61.7HC、Fam−K−ras c61.6L、Fam−K−ras c61.5K);50nM(1000fmol)の2つの共通プローブ(K−ras c61 Com−7およびK−ras c12 Com−5);および75nM(1500fmol)の5つの共通プローブ(K−ras c12 Com−2、K−ras c12 Com−1、K−ras c13 Com−4、K−ras c13 Com−3およびK−ras c61 Com−6)および5nM(100fmol)の野性型またはK294の変異の酵素の存在下に、形成せしめた。20サイクルを各サイクルつき15秒94℃および4分65℃で、LDR反応を行った。反応は、エタノールドライアイス浴中でチューブを冷やし、0.5mM EDTA0.5μlを加えて、完全に停止せしめた。アリコットの反応産物2.5μlを負荷緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17% Bleu Dextram)2.5μlおよび Gene Scan Rox-1000 分子量マーカー0.5μlに混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急冷し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに負荷し、ABI 373DNAシクエンサーで1400voltで電気泳動した。ABI Gene Scan 672ソフトウェアを用いて、蛍光連結反応産物を分析し、定量した。
X軸は正常鋳型の種々の量を表し、Y軸は生じたLDR産物の量を表す。(■、△、□)は、夫々0.5nM(10fmol)、2.5nM(50fmol)および5nM(100fmol)の、野性型酵素と共に用いた野性型プローブを表し、(●、◆、○)は、夫々0.5nM(10fmol)、2.5nM(50fmol)および5nM(100fmol)の、K294R変異酵素と共に用いた野性型プローブを表す。
【0064】
発明の詳細な説明
本発明の1つの実施態様は、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により1以上の多数標的ヌクレオチド配列と相違している1以上の少数標的ヌクレオチド配列をサンプル中で検出する方法に関し、少数標的ヌクレオチド配列はサンプル中に多数配列よりも少量で存在する。
【0065】
本方法に関する使用のために、1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを準備する。各セットは、(a)標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドおよび(b)標的特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドを含む。特定セット中のオリゴヌクレオチドプローブは、対応する標的多数配列上で互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結するのに適するが、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結を阻止するミスマッチを有する。
【0066】
サンプル、1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合して、リガーゼ検出反応混合物を形成する。リガーゼ検出反応混合物を変性処理およびハイブリダイゼーション処理を含む1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかける。変性処理において、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離される。ハイブリダイゼーション処理は、オリゴヌクレオチドプローブセットを隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在していれば、夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズすることを含む。各セット由来のハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブは互いに連結して、一緒に結合した標的特異的部分を含有する連結産物配列を形成する。各セットについての連結産物配列は、連結検出反応混合物中の他の核酸と識別され得る。オリゴヌクレオチドプローブセットは、夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中の隣接配列にハイブリダイズできるが、1以上のミスマッチの存在によって一緒に連結しない。ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブは、連結しないとき、変性処理の際に個々に分離する。
【0067】
リガーゼ検出反応混合物を1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけると、連結産物配列が検出される。結果として、サンプル中の少数標的ヌクレオチド配列の存在が同定され得る。
【0068】
検出/定量を行うについて、本発明のPCR/LDRプロセスの実施には3方法があり、各々2つのホーマットのいずれかを用いて実施される。より特定的に、LDR相は、(1)LDR相から野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを排除して、少数変異標的からのシグナルが圧倒されることを回避し(to avoid overwhelming signal from minority mutant target)、そしてマーカーを加えないこと、(2)LDR相から野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを排除するが、この相にマーカーを加えること、および(3)低レベルでLDR相中の野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブおよび/またはこれらのプローブの修飾型を用いて、少数変異標的由来のシグナルが圧倒されるのを防ぐ多数標的に対応する少ない連結産物を産出することによって実施される。1つの検出ホーマットには、毛管電気泳動またはゲル電気泳動と蛍光定量法が含まれる。あるいは、検出は捕捉オリゴヌクレオチドアドレスのアレイ上での捕捉と蛍光定量法により実施される。これらの方法については
図1−9を参照して詳細に説明する。
【0069】
図1は、癌関連変異の検出を表わす。ここでは野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブがLDR相から排除されて、少数変異標的からのシグナルが圧倒されることが回避され、LDR相にマーカーを加えない。工程1において、DNAサンプル作成後、Taqポリメラーゼを用いたPCR増幅に、ホットスタート条件で、標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーと共に、多重エクソンをかける。PCRの際に産生された伸長産物を工程2で1/20に希釈する。工程3において、伸長産物を対立遺伝子特異的部分と共通部分を含有するオリゴヌクレオチドプローブと混合し、LDR相の方法をホットスタート条件でTaqリガーゼの追加によって開始する。LDRの際に、オリゴヌクレオチドプローブはその隣接のオリゴヌクレオチドに、連結部で完全な相補性を与える標的配列の存在下でのみ、連結する。野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブの不存在およびその結果の野性型特異的連結産物の不存在は、少数変異標的から生じる連結検出反応シグナルが圧倒的されるのを防止する。
【0070】
この産物は2種のホーマットのいずれかで検出される。工程4aのホーマットにおいて、産物は毛管ゲル電気泳動により分離され、蛍光シグナルが定量される。他方、工程4bのホーマットにおいて、産物は、アドレス可能アレイ上で相補的配列との特異的ハイブリダイゼーションにより検出される。
【0071】
図2は癌関連変異を表わす。ここでは野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブがLDR相から排除され、少数変異標的からのシグナルが圧倒されることが回避され、マーカーをLDR相に加える。工程1において、DNAサンプル作成後、Taqポリメーラーゼを用いたPCR増幅に、ホットスタート条件で、標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーと共に、多重エクソンをかける。工程3において、産物は1/100希釈のマーカーDNA(各フラグメントにつき)でスパイクされる。このDNAは、野性型DNAに相同的であるが、たゞ癌細胞に見られない変異、しかし適当なLDRプローブで容易に検出され得る変異を含有している。工程4において、PCR相からの混合DNA産物を、対立遺伝子特異的部分および共通部分含有のLDRオリゴヌクレオチドプローブを含む新鮮なLDR緩衝液中に20倍に希釈する。工程5では、LDR相がホットスタート条件下でTaqリガーゼを加えることにより開始する。LDRにおいて、オリゴヌクレオチドプローブは、連絡部で完全な相補性を与える標的配列の存在においてのみ、その隣接のオリゴヌクレオチドプローブに連結する。
【0072】
この産物は2種のホーマットのいずれかで検出される。工程6aのホーマットにおいて、毛管またはゲル電気泳動により産物が分離され、そして蛍光シグナルが定量される。変異ピークのマーカーピークに対する割合は、元のサンプル中に存在する癌関連変異の概量を100で除して算出される。工程6bのホーマットにおいて、アドレス可能アレイ上の相補的配列についての特異的ハイブリダイゼーションによって産物が検出される。マーカードットに対する変異ドット中の蛍光シグナルの割合は、元のサンプル中に存在する癌関連変異の概量を100で除して算出される。
【0073】
図3は追加の癌関連変異を表わす。ここでは野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが低レベルでLDR相において用いられ、および/または修飾されて多数標的に対応する少ない連結産物を産出する。工程1において、DNAサンプル作成後、Taqポリメラーゼを用いたPCR増幅に、ホットスタート条件で、標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーと共に多重エクソンをかける。PCRの際に産生した伸長産物を工程2において1/20に希釈する。工程3において伸長産物を対立遺伝子特異的部分および共通部分含有のオリゴヌクレオチドプローブと混合し、LDR相はホットスタートでTaqリガーゼの追加で開始される。LDRの際に、オリゴヌクレオチドプローブはその隣接オリゴヌクレオチドに、連結部で完全な相補性を与える標的配列の存在においてのみ、連結する。野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブの濃度および/または修飾によって、これらのプローブで生じた連結産物のレベルは、少数標的ヌクレオチド配列から生じた連結反応配列の量に匹敵する。
【0074】
産物は2種のホーマットのいずれかから検出され得る。工程4aのホーマットにおいて、産物は毛管またはゲル電気泳動で分離され、蛍光シグナル定量により定量される。例として、多数標的ヌクレオチド特異的の一定量(すなわち、1picomole)上で連結する低レベルおよび/または修飾野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドブローブは、多数標的ヌクレオチド配列の同量(すなわち、1picomole)中で100倍希釈で(すなわち、10femtomole)として存在する一定量の少数標的配列から(少数対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いて)生じた同量の多数標的ヌクレオチド配列を生じる。変異ピークの野性ピークに対する割合は、元のサンプル中に存在する少数標的(癌関連変異)の概量を100で除して算出される。工程4bのホーマットにおいて、産物はアドレス可能アレイ上の相補的配列との特異的ハイブリダイゼーションによって検出される。少量産物の量は上記のようにして定量される。
【0075】
リガーゼ検出反応は、Barany et al.によるWO90/17239、 F. Barany et al., ”Cloning, Overexpression and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA Ligase-encoding Gene,” Gene, 109:1-11(1991),および F.Barany, ”Genetic Disease Detection and DNA Amplification Using Cloned Thermostable Ligase,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189-193(1991)(出典明示により本明細書の一部とする)に一般的に記載されている。本発明において、リガーゼ検出反応で2セットの相補的オリゴヌクレオチドが用いられる。これはリガーゼ鎖反応として知られるもので上記3引用に記載されている。他方、リガーゼ検出反応には、オリゴヌクレオチド連結反応検出法として知られる単一サイクル法もある。参照、Landegren, et al., ”A Ligase-Mediated Gene Detection Technique,” Science 241:1077-80(1988); Landegren, et al., ”DNA Diagnostics -- Molecular Techniques and Automation,” Science 242:229-37(1988); およびLandegren et al. による米国特許第4,988,617号(出典明示により本発明の一部とする)。
【0076】
リガーゼ検出反応相において、変性処理は温度80−105℃でなされ、ハイブリダイゼーションは50−80℃で行われる。各サイクルは変性処理と熱ハイブリダイゼーションを含み、合計で約1−5分間の長さである。典型的には、連結検出反応は変性およびハイブリダイゼーションが2−50サイクル反復される。リガーゼ検出反応相の全時間は1−250分である。
オリゴヌクレオチドプローブセットまたはプライマーは、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシヌクレオチド、修飾ホスフェート−糖−骨格オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよびこれらの混合物であり得る。
一つの変法において、オリゴヌクレオチドプローブセットのオリゴヌクレオチド各々、ハイブリダイゼーションすなわち溶融温度(すなわち、Tm)66−70℃を有する。これらのオリゴヌクレオチドは長さが20−28ヌクレオチドである。
上記したように、オリゴヌクレオチドプローブセットまたはプライマーは検出に適したレポーター標識を有する。有用な標識には、発色団、蛍光分子、酵素、抗原、重金属、磁気プローブ、色素、燐光性基、放射活性物質、化学ルミネセント分子および電気化学的検出分子がある。
【0077】
ポリメラーゼ連鎖反応法はH. Erlich, et. al., ”Recent Advances in the Polymerase Chain Reaction,” Science 252:1643-50(1991); M. Innis, et. al., PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press: New York(1990); およびR. Saiki, et. al., ”Primer-directed Enzymatic Amplification of DNA with a Thermostable DNA Polymerase,” Science 239:487-91(出典明示により本明細書の一部とする)に完全に記載されている。
【0078】
本発明の特に重要な態様は、サンプル中の標的ヌクレオチド配列を定量できる能力である。これは、内部(すなわち、標準確立物質をサンプルと共に増幅および検出するとき)または外部(すなわち、標準確立物質を増幅せずに、サンプルと共に検出するとき)的であり得る基準を確立して、多くの方法で達成される。
【0079】
一つの定量法に従い、レポーター標識により発生したシグナルを検出する。このシグナルは、分析するサンプルから製造された連結反応産物を捕捉して得られる。このシグナルの強度は、サンプル中の連結反応産物配列の捕捉で生じるシグナルを既知量の標的ヌクレオチド配列とを比較して目盛曲線から得られる。結果として、分析サンプル中の標的ヌクレオチド配列の量が測定できる。この技法は外部標準を用いる。
【0080】
本発明に関する別の定量法は内部標準を用いるものである。この方法では、サンプルに1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列の既知量を加える。さらに、複数のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットを加えて、リガーゼ、前記のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびサンプルと共に混合物とする。マーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットは、(1)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブ、および(2)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドプローブおよび検出可能レポーター標識を含有する。特定のマーカー特異的オリゴヌクレオチドセット中のオリゴヌクレオチドプローブは、対応するマーカー標的ヌクレオチド配列が互いに隣接してハイブリダイズするときに、連結反応するのに適している。しかし、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列または添加したマーカー配列がハイブリダイズするときに、このような連結反応を妨害するミスマッチがある。連結反応産物配列の存在は、レポーター標識の検出によって同定される。サンプル中の標的ヌクレオチド配列の量は、マーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から生じた連結反応産物配列の量と他の連結反応産物配列の量を比較することにより測定される。
【0081】
本発明の別の定量法は、複数の配列相違を有する2以上の複数の標的ヌクレオチド配列を含有するサンプルの分析である。標的ヌクレオチド配列に対応する連結反応産物配列は、前記の方法により検出および識別される。サンプル中の標的ヌクレオチド配列の相対量は、発生した捕捉連結反応産物配列の相対量と比較することにより定量される。これはサンプル中の標的ヌクレオチド配列の相対レベルの定量測定を提供する。
【0082】
本発明における他の定量法は、複数の配列相違を有する2以上の複数の標的ヌクレオチド配列を含有するサンプルの解析を含む。ここでは1以上の標的ヌクレオチド配列が他の少数標的ヌクレオチド配列に対し過剰(多数)で存在している。少数標的ヌクレオチド配列についての対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブに加えて、修飾された野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが低レベルでLDR相で用いられ、および/または修飾されて、少数標的に対応する少ない連結産物を産出する。少数標的特異的連結産物および多数標的特異的連結産物の両者の存在は、レポーター標識の検出により同定される。サンプル中の少数標的ヌクレオチド配列の量は、多数標的ヌクレオチド配列から生じた低収量の連結産物配列量を他の連結産物量と比較することにより測定される。
【0083】
好ましい熱安定性リガーゼはThermus aquaticusから誘導される。この酵素は生体から単離される。M. Takahashi, et al., ”Thermophillic DNA Ligase,” J. Biol. Chem. 259:10041-47(1984)(出典明示により本明細書の一部とする)。他方、これは組換え法でもつくられる。この単離方法およびThermus aquaticusリガーゼ(Thermus themopilusリガーゼも同様)の産生は、Barany, et al.によるWO90/17239およびF.Barany, et al., ”Cloning Overexpression and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA-Ligase Encoding Gene” Gene 109:1-11(1991)(出典明示により本明細書の一部とする)に開示されている。
【0084】
これらの引用には、このリガーゼおよびコードDNAについての完全な配列情報が含まれている。他の適当なリガーゼにはE.coliリガーゼ、T4リガーゼおよびPycoccusリガーゼがある。
【0085】
連結検出反応混合物は担体DNAやサケ精子DNAを含み得る。
連結検出反応でのハイブリダイゼーション段階は、好ましくは熱ハイブリダイゼーション処理であり、連結反応の接合部において識別されるヌクレオチドを基にしたヌクレオチド配列の間を識別する。標的ヌクレオチド配列間の相違は、例えば、単一核酸塩基の相違、核酸欠失、核酸挿入または再配置である。1以上の塩基を含むこのような配列相違もまた検出できる。好ましくは、オリゴヌクレオチドプローブセットは、実質的に同じハイブリダイゼーション条件下で標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように、実質的に同じ長さである。結果として、本発明のプロセスは、感染性疾患、遺伝的疾患および癌の検出を可能とする。環境監視、法医学および食物科学においても有用である。
【0086】
広範囲の感染性疾患が本発明プロセスで検出できる。典型的には、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌感染作用因子によって起きる。種々の感染作用因子の薬剤に対する耐性も本発明を用いて測定できる。
【0087】
本発明により検出できる細菌感染作用因子は、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、クレブシエラ、シュードモナス、リステリア・モノサイトゲネス、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・アビウム−イントラセルラレ、エルシニア、フランシセラ、パスツレラ、ブルセラ、クロストリディア、ボルデテラ・ペルツシス、バクテリア状物、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・ニューモニア、B−溶血性連鎖球菌、コリネバクテリア・レジオネラ、ミコプラズマ、ウレアプラズマ、クラミジア、ナイセリア・ゴノレア、ナイセリア・メニンギティデス、ヘモフィラス・インフルエンザ、エンテロコッカス・ファエカリス、プロテウス・ブルガリス、プロテウス・ミラビリス、ヘリコバクター・ピロリ、トレポネマ・パラジウム、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・レクレンティス、リケッチア病原菌、ノカルディアおよびアクチノマイセテスを含む。
【0088】
本発明で検出できる真菌感染作用因子は、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ブラストミセス・デルマティティディス、ヒストプラスマ・カプスラタム、コシディオイデス・イミティス、パラコシシオイデス・ブラシリエンシス、カンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・フミガウトゥス、フィマイセテス(リゾプス)、スポロスリックス・シェンキー、クロモマイコシスおよびマドゥロマイコシスを含む。
本発明により検出できるウイルス感染作用因子は、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトTリンパ球好性ウイルス、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、エプスタイン−バールウイルス、サイトメガロウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、トガウイルス、ブニャウイルス、アレナウイルス、ルベラウイルスおよびレオウイルスを含む。
【0089】
本発明により検出できる寄生虫作用因子は、プラスモジウム・ファルシパルム、プラスモジウム・マラリア、プラスモジウム・ビバックス、プラスモジウム・オバレ、オンコベルバ・ボルブルス、レイシュマニア、トリパノソーマ種、シストソーマ種、エンタモエバ・ヒストリティカ、クリプトスポリジウム、ギアルディア種、トリコモナス種、バラチジウム・コリ、ウシェレリア・バンクロフティ、トキソプラスマ種、エンテロビウス・バーミクラリス、アスカリス・ルンブリコイデス、トリシュリス・トリシウラ、ドラクンクルス・メディネシス、吸虫類、ジフィロボスリウム・ラトゥム、タエニア種、ニューモシスティス・カリニおよびネカター・アメリカニスを含む。
本発明はまた感染作用因子による医薬耐性の検出にも有用である。例えば、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・ファエシウム、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、ペニシリン耐性ストレプトコッカス・ニューモニアエ、多剤耐性マイコバクテリウム・ツベルクローシスおよびAZT耐性ヒト免疫不全ウイルスを本発明によりまた同定できる。
【0090】
遺伝的疾患もまた本発明の方法により検出できる。これは染色体および遺伝的異常のための出生前スクリーニングまたは遺伝的疾患のための出生後スクリーニングにより行い得る。検出可能な遺伝的疾患の例は:21ヒドロキシラーゼ欠損症、嚢胞線維症、フラジレX症候群、ターナー症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ダウン症候群または他のトリソミー、心臓疾患、単一遺伝子疾患、HLAタイピング、フェニルケトン尿症、鎌状赤血球性貧血、テイ・サックス病、サラセミア、クラインフェルター症候群、ハンチントン病、自己免疫疾患、リピドーシス、肥満欠損、血友病、代謝の先天性異常および糖尿病を含む。
【0091】
本発明の方法により検出できる癌は、一般的にオンコジーン、腫瘍抑制遺伝子またはDNA増幅、複製、組換えまたは修復に関与する遺伝子を含む、これらの例は:BRCA1遺伝子、p53遺伝子、APC遺伝子、Her2/Neu増幅、Bcr/Abl、K−ras遺伝子、ヒト乳頭腫ウイルスタイプ16および18を含む。下記の一般的なヒト癌における上記遺伝子の増幅、大きい欠失、点変異および小さい欠失/挿入を同定するために、本発明の様々な態様が用いられる。白血病、大腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、脳腫瘍、中枢神経系腫瘍、膀胱癌、黒色腫、肝臓癌、骨肉腫および他の骨癌、精巣および卵巣癌、頭部・頚部腫瘍および脳新生物を含む。
【0092】
環境監視の領域で、本発明は、天然および工学的生態系ならびに都市廃棄水浄化システムおよび貯水槽中または生物改善を行っている汚染領域のような微小生態系における病原性および常在性微生物の検出、同定および追跡に使用できる。新陳代謝生体異物であり得る遺伝子を含むプラスミドの検出もまた可能であり、集団機能的研究における特異的標的微生物の追跡、または環境的および工学的植物における遺伝的に修飾された微生物の検出、同定または追跡をする。
【0093】
本発明は、また、軍務上の人的あるいは犯罪上の検査、父親検定および家族関係解析のためのヒト同定、HLA適合性タイプ分類、および汚染に関する血液、精液または移植臓器のスクリーニングを含む種々の領域または法医学領域で使用できる。
【0094】
食物および飼料産業において、本発明は広範囲の適用を有する。例えば、ビール、ワイン、チーズ、ヨーグルト、パン等の製造のための酵母のような製造生物の同定および特徴付けのために使用できる。使用の他の領域は汚染に対する産物および処理(例えば、家畜、滅菌および肉処理)の品質コントロールおよび保証に関する。他の使用は、育種目的の植物、球根および種子の特徴付け、植物特異的病原体の同定および種々の家畜感染の検出および同定を含む。
【0095】
望ましくは、オリゴヌクレオチドプローブは、連結反応の接合部における完全相補性のため、対応する標的ヌクレオチド配列と互いに隣接してハイブリダイズするとき、連結反応の接合部で互いに連結するのに適している。しかしながら、セット中のオリゴヌクレオチドプローブがサンプル内に存在する他のヌクレオチド配列とハイブリダイズするとき、連結を妨害する連結反応の接合部の塩基ミスマッチがある。最も好ましくは、ミスマッチは連結反応の接合部の3’塩基に隣接した塩基である。あるいは、ミスマッチは連結反応の接合部に隣接した塩基であり得る。
【0096】
上述のように、検出および定量は、毛管またはゲル電気泳動あるいはアレイ捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物で実施され得る。
【0097】
図4は連結反応産物を分離するための電気泳動を用いた
図1のPCR/LDRプロセスを表わす模式図である。より特定的に、本図は、グリシン(Gly)をコードする
GGT配列を有するK−ras遺伝子のコドン12の検出に関する。少数の細胞が
GATにおけるGからAへの変異を含有しており、これはアスパラギン酸Asp)をコードする。図示するように、工程1は最初のPCR増幅であり、工程2はLDR法であり、および工程3は蛍光産物の分離と定量である。あるいは、工程3は、エチジウム・ブロマイド染色または正常のオリゴヌクレオチドプローブを用いた希釈産物上の追加のLDR法の実施を含む(参照、
図23および29)。野性型(すなわち、正常)配列についてのLDRプローブは反応から欠如している。正常LDRプローブ(Gである識別塩基を有する)が含まれると、これは共通プローブに連結して、少数変異標的由来のシグナルを圧倒する。他方、
図4に示すように、単一ヌクレオチド(N
1と名付ける)にカップルした蛍光標識F1を有する44塩基の連結反応産物配列およびAnティルの存在はアスパラギン酸をコードする変異の存在を表わす。この連結反応産物配列は、アルギニンおよびバリンコードの変異の存在により形成されるのと同じF1標識を有する。しかしこれらの配列は、相違する長さのティルおよび連結反応産物配列の残基に標識をカップルせしめるヌクレオチドNの相違する数からくるそれらの異なる長さによって識別可能である。さらに特定的には、F1標識の48塩基の連結反応産物配列の存在は、アルギニンコードコドンの存在を示唆し、F1標識の48塩基の連結反応産物配列の存在はバリンコードコドンの存在を示す。これらの連結反応産物配列は、比較的低い電気泳動運動性を有する長い産物とサイズにより識別される。F2標識連結反応産物は、相違する長さのティルおよび連結反応産物配列の残基に標識をカップルせしめるヌクレオチドNの相違する数からくるそれらの異なる長さによって識別可能である。より特定的に49塩基連結反応産物配列(標識およびAn+4ティルをカップルする2ヌクレオチドNによる)は、システインコードコドンの存在を示唆し、47塩基連結反応産物配列(標識およびAn+4をカップルするヌクレオチドNなしによる)は、セリンコードコドンを示し、45塩基連結反応産物配列(標識およびAnティルをカップルする2ヌクレオチドNによる)は、アラニンコードコドンを示す。
【0098】
図5は、連結反応産物を分離するための電気泳動を用いた
図1のPCR/LDRを表わす模式図である。より特定的に、本図は、グリシン(Gly)をコードする
GGT配列を有するK−ras遺伝子のコドン12の検出に関する。少数の細胞が
GATにおけるGからAへの変異を含有しており、これはアスパラギン酸Asp)をコードする。図示するように、工程1は最初のPCR増幅であり、工程2はLDR法および工程3は蛍光産物の分離と定量である。マーカー鋳型を加えた後にLDR相にかけられ、ここでは対立遺伝子特異的およびマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブが使用される。野性型(すなわち、正常)配列についてのLDRプローブは反応から欠如している。正常LDRプローブ(Gである識別塩基を有する)が含まれると、これは共通プローブに連結して、少数変異標的由来のシグナルを圧倒する。他方、
図5に示すように、単一ヌクレオチド(N
1と名付ける)にカップルした蛍光標識F1を有する44塩基の連結反応産物配列およびAnティルの存在はアスパラギン酸をコードする変異の存在を表わす。この連結反応産物配列は、アルギニンおよびバリンコードの変異の存在により形成されるのと同じF1標識を有する。しかしこれらの配列は、相違する長さのティルおよび連結反応産物配列の残基に標識をカップルせしめるヌクレオチドNの相違する数からくるそれらの異なる長さによって識別可能である。さらに特定的には、F1標識の48塩基の連結反応産物配列の存在は、アルギニンコードコドンの存在を示唆し、F1標識の48塩基の連結反応産物配列の存在はバリンコードコドンの存在を示す。これらの連結反応産物配列は、比較的低い電気泳動運動性を有する長い産物とサイズにより識別される。F2標識連結反応産物は、相違する長さのティルおよび連結反応産物配列の残基に標識をカップルせしめるヌクレオチドNの相違する数からくるそれらの異なる長さによって識別可能である。より特定的に49塩基連結反応産物配列(標識およびAn+4ティルをカップルする2ヌクレオチドNによる)は、システインコードコドンの存在を示唆し、47塩基連結反応産物配列(標識およびAn+4をカップルするヌクレオチドNなしによる)は、セリンコードコドンを示し、45塩基連結反応産物配列(標識およびAnティルをカップルする2ヌクレオチドNによる)はアラニンコードコドンを示す。マーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブにより形成された連結反応産物は、43塩基であり、F2標識(標識およびAnティルにカップルするOヌクレオチドNによる)を有する。上述したように、サンプル中の少数標識ヌクレオチド配列量は、既知量のマーカー標識ヌクレオチド配列から生じた連結反応産物配列の量を他の連結反応産物配列の量と比較することにより測定される。
【0099】
図6は連結反応産物を分離するための電気泳動を用いた
図1のPCR/LDRプロセスを表わす模式図である。より特定的に、本図は、グリシン(Gly)をコードする
GGT配列を有するK−ras遺伝子のコドン12の検出に関する。少数の細胞が
GATにおけるGからAへの変異を含有しており、これはアスパラギン酸Asp)をコードする。図示するように、工程1は最初のPCR増幅であり、工程2はLDR法および工程3は蛍光産物の分離と定量である。野生型(すなわち、正常)配列についてLDRプローブは、低レベルで用いられ、および/または修飾され、野生型標的ヌクレオチド配列に対応する少ない連結反応産物配列を産出する。
図6に示すように、単一ヌクレオチド(N
1と名付ける)にカップルした蛍光標識F1を有する44塩基の連結反応産物配列およびAnティルの存在はアスパラギン酸をコードする変異の存在を表わす。この連結反応産物配列は、アルギニンおよびバリンコードの変異の存在により形成されるのと同じF1標識を有する。しかしこれらの配列は、相違する長さのティルおよび連結反応産物配列の残基に標識をカップルせしめるヌクレオチドNの相違する数からくるそれらの異なる長さによって識別可能である。さらに特定的には、F1標識の48塩基の連結反応産物配列の存在は、アルギニンコードコドンの存在を示唆し、F1標識の48塩基の連結反応産物配列の存在はバリンコードコドンの存在を示す。これらの連結反応産物配列は、比較的低い電気泳動運動性を有する長い産物とサイズにより識別される。F2標識連結反応産物は、相違する長さのティルおよび連結反応産物配列の残基に標識をカップルせしめるヌクレオチドNの相違する数からくるそれらの異なる長さによって識別可能である。より特定的に49塩基連結反応産物配列(標識およびAn+4ティルをカップルする2ヌクレオチドNによる)は、システインコードコドンの存在を示唆し、47塩基連結反応産物配列(標識およびAn+4をカップルするヌクレオチドNなしによる)は、セリンコードコドンを示し、45塩基連結反応産物配列(標識およびAnティルをカップルする2ヌクレオチドNによる)はアラニンコードコドンを示す。野性型対立遺伝子特異的オリゴヌクオチドプローブにより形成された連結反応産物は43塩基であり、F2標識(標識およびAnティルにカップルするOヌクレオチドNによる)を有する。この連結反応産物を形成する標識プローブにおいて、連結反応部から3塩基離れた場所に位置する塩基Nが存在し、これは、野性型標的についての通常の適切なヌクレオチド(もしこのプローブが低レベルで使用されていると)あるいはミスマッチまたはヌクレオチド塩基類似体のいずれかであり得る。ミスマッチヌクレオチド、ヌクレオチド塩基類似体および/または糖ホスフェートバックボーン中の修飾の利用は、野性型標識から離れて形成した連結反応産物の量を低下する。このように、野性型標識の存在は、少数変異標的の存在により生じた圧倒的なシグナルなしに検出することができる。サンプル中の少数標的ヌクレオチド配列の量は、多数標的ヌクレオチド配列から生じた低収量の連結反応産物配列の量を他の連結反応産物の量と比較することにより測定される。
【0100】
図4〜6は、相違するオリゴヌクレオチドプローブの3末でのミスマッチを検出するためにリガーゼ検出反応を利用することに関している。他の場合、ミスマッチが3末から2番目の位置または3末から3番目の位置にあり得る。
この目的のための毛管およびゲル電気泳動の使用はよく知られている。参照、例えばGrossman, el al., ”High-density Multiplex Detection of Nucleic Acid Sequences: Oligonucleotide Ligation Assay and Sequence-coded Separation”,
Nucl. Acids Res. 22(21):4527-34(1994)(出典明示により本明細書の一部とする)。
【0101】
図7は、アドレス可能アレイを用いて隣接対立遺伝子で癌関連変異を検出するための
図1のPCR/LCR法を表わす模式図である。
図7は、グリシン(Gly)をコードする野性型
GGT配列およびアスパラギン酸をコードする少数変異
GAT配列を有するK−ras遺伝子のコドン12の検出に関する。
図7には、工程1の最初のPCR増幅、工程2のLDR法および工程3の固体支持物上の捕捉が含まれる。
図4のように、野性型標的配列についてのLDRプローブは反応から欠如しており、変異標的配列により産出された圧倒的なシグナルを回避する。本発明のこの実施態様において、
図7に示すように、アスパラギン酸コード
GAT配列の存在は、標識Fおよびアドレス可能アレイ特異的部分Z4を有する連結反応産物配列を産生する。このような連結反応産物配列の存在は、標識Fを有し、アドレス可能アレイ特異的部分Z4に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドで固体支持物上のアドレスでハイブリダイズされた核酸の存在によって、明らかにされる。
図7に示すように支持物は、相違するアドレス可能アレイ特異的部分Z1からZ6に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドを保持するアドレスのアレイを有する。標識Fを有する共通オリゴヌクレオチドプローブを用いるので、それらがハイブリダイズする固体支持物上の部位を見ることにより、異なる連結反応産物配列が識別される。
【0102】
図8は、アドレス可能アレイを用いて隣接対立遺伝子で癌関連変異を検出するための
図2のPCR/LCR法を表わす模式図である。
図8は、グリシン(Gly)をコードする野性型
GGT配列およびアスパラギン酸をコードする少数変異
GAT配列を有するK−ras遺伝子のコドン12の検出に関する。
図8には、工程1の最初のPCR増幅、工程2のLDR法および工程3の固体支持物上の捕捉が含まれる。
図5のように、野性型標的配列についてのLDRプローブは反応から欠如しており、変異標的配列により産出された圧倒的なシグナルを回避する。本発明のこの実施態様において、
図8に示すように、アスパラギン酸コード
GAT配列の存在は、標識Fおよびアドレス可能アレイ特異的部分Z4を有する連結反応産物配列を産生する。このような連結反応産物配列の存在は、標識Fを有し、アドレス可能アレイ特異的部分Z4に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドで固体支持物上のアドレスでハイブリダイズされた核酸の存在によって、明らかにされる。
図8に示すように支持物は、相違するアドレス可能アレイ特異的部分Z1からZ7に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドを保持するアドレスのアレイを有する。標識Fを有する共通オリゴヌクレオチドプローブを用いるので、それらがハイブリダイズする固体支持物上の部位を見ることにより、異なる連結反応産物配列が識別される。マーカー特異的プローブから産生された連結反応産物配列の存在は、標識Fを有し、アドレス可能アレイ特異的部分Z7に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドで固体支持物上のアドレスでハイブリダイズされた核酸の存在で明らかにされる。サンプル中の標識ヌクレオチド配列の量は、マーカー標的ヌクレオチド配列の既知量から生じた連結反応産物配列の量を他の連結反応産物配列の量と比較することにより測定される。
【0103】
図9は、アドレス可能アレイを用いて隣接対立遺伝子で癌関連変異を検出するための
図3のPCR/LCR法を表わす模式図である。
図9は、グリシン(Gly)をコードする野性型
GGT配列およびアスパラギン酸をコードする少数変異
GAT配列を有するK−ras遺伝子のコドン12の検出に関する。
図9には、工程1の最初のPCR増幅、工程2のLDR法および工程3の固体支持物上の捕捉が含まれる。野生型(すなわち、正常)配列についてLDRプローブは、低レベルで用いられ、および/または修飾され、野生型標的ヌクレオチド配列に対応する少ない連結反応産物配列を産出する。本発明のこの実施態様において、
図9に示すように、アスパラギン酸コード
GAT配列の存在は、標識Fおよびアドレス可能アレイ特異的部分Z4を有する連結反応産物配列を産生する。このような連結反応産物配列の存在は、標識Fを有し、アドレス可能アレイ特異的部分Z4に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドで固体支持物上のアドレスでハイブリダイズされた核酸の存在によって、明らかにされる。
図9に示すように支持物は、相違するアドレス可能アレイ特異的部分Z1からZ7に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドを保持するアドレスのアレイを有する。標識Fを有する共通オリゴヌクレオチドプローブを用いるので、それらがハイブリダイズする固体支持物上の部位を見ることにより、異なる連結反応産物配列が識別される。野生型対立遺伝子特異的プローブから産生された連結反応産物は、標識Fを有し、アドレス可能アレイ特異的部分Z7に相補的な捕捉オリゴヌクレオチドで固体支持物上のアドレスでハイブリダイズされた核酸の存在で明らかにされる。この連結反応産物を形成する標識プローブにおいて、連結反応部から3塩基離れた場所に位置する塩基Nが存在し、これは、野性型標的についての通常のヌクレオチド(もしこのプローブが低レベルで使用されていると)あるいはミスマッチまたはヌクレオチド塩基類似体のいずれかであり得る。ミスマッチヌクレオチド、ヌクレオチド塩基類似体および/または糖ホスフェートバックボーン中の修飾の利用は、野性型標識から離れて形成した連結反応産物の量を低下する。このように、野性型標識の存在は、少数変異標的の存在により生じた圧倒的なシグナルなしに検出することができる。サンプル中の少数標的ヌクレオチド配列の量は、多数標的ヌクレオチド配列から生じた低収量の連結反応産物配列の量を他の連結反応産物の量と比較することにより測定される。
【0104】
捕捉オリゴヌクレオチドアレイを有する固体支持物の使用は、米国特許出願第60/011,359(出典明示により本明細書の一部とする)に完全に開示されている。このようなアレイを使用するときには、上記のPCR相およびLDR相において用いられるオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブはアドレス可能アレイ特異的部分を有する。LDR相またはPCR相が完了した後、その産物についてのアドレス可能アレイ特異的部分は、単鎖を残し、捕捉相の際に捕捉オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。C. Newton, et al.,”The Production of PCR Products With 5’ Single-Stranded Tails Using Primers That Incorporate Novel Phosphoramidite Intermediates,” Nucl. Acids Res. 21(5):1155-62(1993)(出典明示により本明細書の一部とする)。
【0105】
本方法の捕捉相において、混合物は固体支持物と温度45−90℃および60分間までの時間で接触する。ハイブリダイゼーションはカチオン、量排除またはカオトロピック剤を加えることにより促進される。アレイが何10から100アドレスよりなるとき、正しい連結反応産物配列が適切なアドレスにハイブリダイズする機会を持つことが重要である。これは、用いた高温でのオリゴヌクレオチドの熱運動、アレイ表面に接触する液体の機械的運動または電場でのアレイを通るオリゴヌクレオチドの運動により達成される。ハイブリダイゼーション後、アレイを低ストリジェンシー緩衝液および高ストリジェンシー緩衝液で順次洗う。
【0106】
安定な状態でハイブリダイズする捕捉オリゴヌクレオチドおよびアドレス可能ヌクレオチド配列を選択することが重要である。それには、捕捉オリゴヌクレオチドがアドレス可能アレイ特異的部分にハイブリダイズする温度よりも低い温度で、オリゴヌクレオチドセットが標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするように、オリゴヌクレオチドセットと捕捉オリゴヌクレオチドが立体配座することが必要である。このようにオリゴヌクレオチドが設計されていないと、標的にハイブリダイズする同じオリゴヌクレオチドセットからの隣接未反応オリゴヌクレオチドの捕捉によって、偽の正シグナルが起きる。
【0107】
捕捉オリゴヌクレオチドには、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシヌクレオチド、ペプチドヌクレオチドアナログ、修飾ペプチドヌクレオチドアナログ、修飾ホスフェート−糖−骨格オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよびこれらの混合物がある。
【0108】
アレイを使用するとき、本方法の検出相は、LDRまたはPCR産物が生じているかを走査および同定し、かかる産物の存在を試験サンプル中の標的ヌクレオチド配列の存在・不存在と相関せしめることを含む。走査は、走査電子顕微鏡、共焦顕微鏡、電子結合装置、走査透過電子顕微鏡、赤外線顕微鏡、原子力顕微鏡、電気的コンダクタンスおよび蛍光および燐光造影により行うことができる。相関処理はコンピューターで行う。
【0109】
本発明は、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のG:TまたはT:Gミスマッチの場合、各比率(respective ratio)1:500でサンプル中の多数ヌクレオチド配列から少数標的ヌクレオチド配列を識別するのに有用である。更に、この方法は、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のG:TまたはT:Gミスマッチ以外の場合、各比率1:2000でサンプル中の多数ヌクレオチド配列から少数標的ヌクレオチド配列を識別できる。
【0110】
近接または隣接する複数位置で低存在量複対立遺伝子の相違がある場合、本発明の方法は、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のミスマッチ全てについて、各比率1:100で多数標的配列から少数標的ヌクレオチド配列を識別する。このような状況では、多数標的ヌクレオチド配列に対する少数標的ヌクレオチド配列の各比率は、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のG:TまたはT:Gミスマッチ以外の場合1:500である。
【0111】
本発明の第2の態様は、また、多数の標的ヌクレオチド配列中、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している多数の配列のうち1以上を同定する方法にも関する。上記のとおり、サンプルと1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを、リガーゼと混合して、リガーゼ検出反応混合物を形成させる。このリガーゼ検出反応混合物を1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけ、連結反応産物の存在を検出する。しかしながら、ここでは、熱安定性変異リガーゼが利用される。このリガーゼは、標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部でミスマッチを持つ標的にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結する場合の初速度定数に対する、標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部で完全マッチを持つ標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結する場合の初速度定数として定義される適合性比率(fidelity ratio)によって特性化できる。熱安定性変異リガーゼの適合性比率は、野生型リガーゼの適合性比率よりも大きい。
【0112】
本発明の方法による変異リガーゼの使用は、下記のように説明できる。酵素反応の特異性は、触媒定数k
catと見かけの結合定数K
Mにより測定し、特異性定数k
cat/K
Mと表す。酵素自身や基質または反応条件が変わると、k
catまたはK
Mあるいは両方に影響し、その特異性を変えてしまう。変異酵素を用いると、完全マッチおよびミスマッチした酵素DNA複合体の安定性に様々な度合いで影響を与え得るので、これらの連結反応においては別個のKM作用を発揮させる。完全にマッチしたおよびミスマッチした基質の連結反応などの競合反応では、特異性定数の比率は、各基質に対するK
Mや起こり得るk
cat変化の結果として変わることもある。下記等式(K294Rについて示す)を満たす全ての変異酵素は、過剰の正常DNA存在下の癌関連変異の識別力を増すものである。
【数1】
【0113】
あるいは、本発明の第2の態様では、下記のように適合性比率(即ち、3’末端での基質とミスマッチとの連結反応の初速度で割った、3’末端での基質と完全マッチとの連結反応の初速度)で表すことができる。
【数2】
【0114】
上記等式において、[k
1]
マッチは、標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部で完全マッチを持つ標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結する場合の初速度定数を表す。[k
1]
ミスマッチは、標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部でミスマッチを持つ標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結する場合の初速度定数を表す。変異熱安定性リガーゼの場合、[k
1]
ミスマッチで割った[k
1]
マッチ(=適合性比率)は、野生型リガーゼの適合性比率よりも大きい。上記の等式(K294Rについて示す)を満たす全ての変異酵素は、過剰の正常DNA存在下の癌関連変異の識別力を増すものである。このことはまた、もっと総括的に、下記のようなシグナル対ノイズ比率で述べることもできる。
【数3】
【0115】
上記等式において、[LDR産物]
少数標的は、第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが少数標的ヌクレオチド配列および連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズした場合に生成する連結反応産物配列の量を表す。[LDR産物]
多数標的は、同じ第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが多数標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの間の連結反応部でミスマッチを持つ多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする場合に生成する連結反応産物配列の量を表す。このリガーゼは、少数および多数標的ヌクレオチド配列の両方から生成する連結反応産物配列の量を、同じ量の多数標的ヌクレオチド配列単独から生成する連結反応産物配列の量で割った、シグナル対ノイズ比率を持つ。
【0116】
変異および野生型リガーゼは共に、少数変異検出用のシグナル対ノイズ比率に付随し、本発明の第2の態様では、変異リガーゼシグナル対ノイズ比率が野生型リガーゼシグナル対ノイズ比率より大きいと表現することができる。
【数4】
上記等式は、次のようにもっと簡単に言い換えることもできる:
【数5】
【0117】
変異熱安定性リガーゼの場合、そのシグナル対ノイズ比率は、野生型リガーゼのシグナル対ノイズ比率よりも大きい。上記の等式を満たす全ての変異酵素は、過剰の正常DNA存在下の癌関連変異の識別力を増すものである。
【0118】
本発明の第3の態様は、また、多数の標的ヌクレオチド配列中、1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により相違している多数の配列のうち1以上を同定する方法にも関する。上記のとおり、サンプルと1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを、リガーゼと混合して、リガーゼ検出反応混合物を形成させる。このリガーゼ検出反応混合物を1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけ、次いで、連結反応産物の存在を検出する。しかしながら、ここでは、オリゴヌクレオチドプローブセットに関し、連結反応が起こる連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブを修飾している。この修飾により、第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが、多数標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つヌクレオチドプローブとの連結反応部でミスマッチを持つサンプルの多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするときの連結反応速度と比較して、第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが、少数標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部で完全マッチを持つサンプル中の少数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするときの連結反応速度が区別しやすいように変わる。修飾オリゴヌクレオチドプローブとの連結反応は、同量の多数標的配列単独から生成する連結反応産物配列の量に対する少数および多数標的ヌクレオチド配列の連結反応産物配列量のシグナル対ノイズ比率を持ち、これは、修飾していないオリゴヌクレオチドプローブを用いる連結反応のシグナル対ノイズ比率よりも大きい。
【0119】
本発明の方法による修飾オリゴヌクレオチドプローブの使用は、下記の通り説明できる:
識別性プライマーの第3位にQ
2およびQ
18類似体を導入すると、シグナル対ノイズ比率は約2−3培に増進し、これによって、癌シグナルをバックグラウンドから識別するLDRシステムの能力が増大する。このアッセイは、最も困難なケース、即ちT:A完全マッチからT:Gミスマッチを識別するリガーゼの能力を比較するものである。プローブの3’末端から3ヌクレオチドの位置にあるQ
2またはQ
18類似体は、3’位のミスマッチに関して存在する場合、局所融解を高め、同時に、3’末端の塩基対マッチに関して存在する場合は、ミスマッチ以上にらせん構造の保全を保護する。プローブの3’末端近くにQ
2またはQ
18類似体を用いると、完全マッチおよびミスマッチの酵素DNA複合体の安定性に様々な度合いで影響を及ぼすことがあり、そのため、これらの連結反応では別個のKM作用を働かせる。完全にマッチしたおよびミスマッチした基質の連結反応などの競合反応では、特異性定数の比率は、各基質に対するK
Mや起こり得るk
cat変化の結果として変わることもある。下記等式(Q類似体について示す)を満たす全ての修飾プローブは、過剰の正常DNA存在下の癌関連変異の識別力を増すものである。
【0121】
あるいは、本発明の第3の態様では、下記のように適合性比率(即ち、基質と3’末端並びに3’末端のミスマッチから3ヌクレオチドの位置にある類似体との連結反応の初速度で割った、基質と3’末端並びに3’末端の完全マッチから3ヌクレオチドの位置にある類似体との連結反応の初速度)で表すことができる。
【数7】
【0122】
上記は、もっと一般的に、他のヌクレオチド類似体または糖ホスフェート主幹修飾を含めて下記のように言い換えることができる。
【数8】
【0123】
上記等式において、[k
1]
修飾オリゴ,マッチは、1つのオリゴヌクレオチドプローブが修飾部分を含み、並びに標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部で完全マッチを持つ標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結する場合の初速度定数を表す。[k
1]
修飾オリゴ,ミスマッチは、1つのオリゴヌクレオチドプローブが修飾部分を含み、並びに標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部でミスマッチを持つ標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結する場合の初速度定数を表す。[k
1]
非修飾オリゴ,マッチは、標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部で完全マッチを持つ標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結する場合の初速度定数を表す。[k
1]
非修飾オリゴ,ミスマッチは、標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部でミスマッチを持つ標的にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結する場合の初速度定数を表す。修飾オリゴヌクレオチドプローブの場合、[k
1]
修飾オリゴ,ミスマッチで割った[k
1]
修飾オリゴ,マッチ(=適合性比率)は、対応する非修飾オリゴヌクレオチドプローブの適合性比率よりも大きい。上記の等式を満たす全ての修飾オリゴヌクレオチドプローブは、過剰の正常DNA存在下の癌関連変異の識別力を増すものである。
【0124】
上記の等式についての別の解釈は、第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが、多数標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部でミスマッチを持つ多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするときの連結反応速度と比較して、第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが、少数標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部で完全マッチを持つ少数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするときの連結反応速度を区別的に変える1以上の修飾部分を持つ連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブである。
【0125】
このことはまた、もっと総括的に、下記に定義のシグナル対ノイズ比率で述べることもできる。
【数9】
【0126】
上記等式において、[LDR産物]
少数標的は、第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが少数標的ヌクレオチド配列および連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部で完全マッチを持つ少数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした場合に生成する連結反応産物配列の量を表す。[LDR産物]
多数標的は、同じ第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが多数標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの間の連結反応部でミスマッチを持つ多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする場合に生成する連結反応産物配列の量を表す。このリガーゼは、修飾または非修飾オリゴヌクレオチドプローブのいずれかを用いて、少数および多数標的ヌクレオチド配列の両方から生成する連結反応産物配列の量を、同じ量の多数標的ヌクレオチド配列単独から生成する連結反応産物配列の量で割った、シグナル対ノイズ比率を持つ。
修飾および非修飾オリゴヌクレオチドプローブを持つ熱安定性リガーゼを用いる場合、少数変異検出用の各プローブに付随するシグナル対ノイズ比率があり、本発明の第3の態様では、修飾オリゴヌクレオチドプローブを用いて得られるシグナル対ノイズ比率は、非修飾オリゴヌクレオチドプローブを用いて得られるシグナル対ノイズ比率より大きいと表現することができる。
【0127】
【数10】
上記等式は、次のようにもっと簡単に言い直すこともできる:
【数11】
【0128】
修飾オリゴヌクレオチドプローブを用いる連結反応は、多数および少数標的ヌクレオチド配列の両方から生成するLDR産物量の、同量の多数標的ヌクレオチド配列単独から生成するLDR産物量に対するシグナル対ノイズ比率を有し、これは修飾していないオリゴヌクレオチドプローブを用いる連結反応のシグナル対ノイズ比率よりも大きい。上記の等式を満たす全ての修飾オリゴヌクレオチドプローブは、過剰の正常DNA存在下の癌関連変異の識別力を増すものである。
【0129】
適切な修飾には、ヌクレオチド類似体の使用があり、例えば、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−4−カルボキサミド、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、4−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−2−カルボキサミド、2’−デオキシ−5−フルオロウリジン、2’−デオキシイノシン、6−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−6H,8H−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−c][1,2]オキサジン−7−オン、2−アミノ−7−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−6−メトキシアミノプリン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−5−ニトロインドール、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピラゾール−4−カルボキサミド、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド、3−アミノ−1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール、5−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−ピリミジノン、5−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−チオピリミジン、5−アミノ−1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−4−カルボキサミド、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピラゾール、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ヨードピラゾール、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−プロピニルピラゾール、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピロール−3−カルボキサミド、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピラゾン−4−カルボキサミド、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ニトロイミダゾール、または1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ニトロピラゾールである。あるいは、修飾オリゴヌクレオチドプローブは、オリゴヌクレオチドプローブの糖ホスフェート主幹にチオホスフェート、ジチオホスフェート、2’−メトキシ、または3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−修飾を含有する。この修飾は、連結反応を受ける位置、隣接位置または連結反応を受ける第3の位置のいずれかにある。
【0130】
本発明のいくつかの実施態様では、例えば、以下の(1)〜(61)を提供する。
(1)
1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により1以上の多数標的ヌクレオチド配列と相違している1以上の少数標的ヌクレオチド配列を、前記少数標的ヌクレオチド配列が前記多数標的ヌクレオチドに対して1:10より小さく、且つ1:1000より大きい割合で、前記少数標的ヌクレオチド配列および前記多数標的ヌクレオチド配列を含むサンプル中で、検出する方法であって、
該方法が、
1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを準備し、各セットは、(a)少数標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブおよび(b) 少数標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドとを特徴とし、特定セット中のオリゴヌクレオチドプローブは、対応する少数標的ヌクレオチド配列上で互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適するが、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を阻止するミスマッチを有し、そして、1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットは標的核酸配列の相補物にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブセットを含まないものであり;
リガーゼを準備し;
サンプル、1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合し、リガーゼ検出反応混合物を形成し;
リガーゼ検出反応混合物を変性処理およびハイブリダイゼーション処理を含む1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけ、この変性処理において、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離され、このハイブリダイゼーション処理において、オリゴヌクレオチドプローブセットは隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在していれば、その夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、互いに連結して線形的な増幅を達成し、各セットがリガーゼ検出反応混合物中の他の核酸と識別し得るために、連結反応産物配列と一緒に結合した標的特異的部分を含有する連結反応産物配列を形成し、その中で、オリゴヌクレオチドプローブセットは、その夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中のヌクレオチド配列にハイブリダイズできるが、1以上のミスマッチの存在によって一緒に連結せず、そして変性処理の際に個々に分離しているものであり;
サンプル中に存在する少数標的ヌクレオチド配列の結果として産生された連結反応産物配列の存在を検出する;
ことを含む方法であって、
多数標的ヌクレオチド配列の存在下で少数標的ヌクレオチド配列によって生成された連結反応産物配列量の、多数標的ヌクレオチド配列単独によって生成された連結反応産物配列量に対する割合という意味において測定される、3.4:1より大きく、106:1より小さいシグナル対ノイズ比率を達成する、方法。
(2)
特定セット中のオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がリガーゼ検出反応混合物中の他の核酸と識別され得るようにユニーク長を有し、該方法がさらに、
連結反応産物配列をサイズまたは電気泳動運動能によって分離し;
該検出後に、サイズの相違する連結反応産物配列を識別する;
ことを含む、(1)の方法。
(3)
各セットの第2オリゴヌクレオチドプローブがアドレス可能アレイ特異的部分を有し、該方法がさらに、
異なる特定の部位で固定された相違する捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し、ここで捕捉オリゴヌクレオチドはアドレス可能アレイ特異的部分に相補的なヌクレオチド配列を有し、
1以上のリガーゼ検出反応サイクルにリガーゼ検出反応混合物をかけた後に、該混合物を固体支持物に、連結反応産物配列を捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズさすのに効果的な条件で接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物にアドレス可能アレイ特異的部分を捕捉し、該検出は、アドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉され、特定部位で固体支持物に固定された連結反応産物配列の存在を示し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を示す;
ことを含む、(1)の方法。
(4)
サンプル中に未知量で存在する多数および少数ヌクレオチド配列の相対量を定量するものであり、該方法がさらに、
該混合の前に、ポリメラーゼ連鎖反応によってサンプル中の多数および少数の標的ヌクレオチド配列を多数と少数の両方の標的ヌクレオチド配列に共通するオリゴヌクレオチドプライマーでもって増幅し;
サンプル中に存在する多数標的ヌクレオチドの結果として産生した多数連結反応産物配列を検出し;
検出した多数連結反応産物配列を定量し;
検出した少数連結反応産物配列を定量する;
ことを含む、(1)の方法。
(5)
サンプル中に未知量で存在する多数および少数ヌクレオチド配列の相対量を定量するものであり、該方法がさらに、
該混合の前に、ポリメラーゼ連鎖反応によってサンプル中の多数および少数の標的ヌクレオチド配列を多数と少数の両方の標的ヌクレオチド配列に共通するオリゴヌクレオチドプライマーでもって増幅し;
既知量の1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列を準備し;
マーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットを含む1以上の配列特異的プローブセットを準備し;
マーカー標的ヌクレオチド配列およびマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットをリガーゼ検出反応混合物と混合し;
多数および少数の連結反応産物配列を定量し;
未知のサンプルから生じた多数および少数の連結反応産物配列の量を既知量のマーカー標的ヌクレオチド配列から生じた連結反応産物配列の量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の相対レベルについて定量的計測を提供する;
ことを含む、(1)の方法。
(6)
第2オリゴヌクレオチドプローブがアドレス可能アレイ特異的部分を有し、該方法がさらに、
異なる特定の部位で固定された相違する捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し、ここで捕捉オリゴヌクレオチドはアドレス可能アレイ特異的部分に相補的なヌクレオチド配列を有し、
1以上のリガーゼ検出反応サイクルにリガーゼ検出反応混合物をかけた後に、該混合物を固体支持物に、連結反応産物配列を捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズさすのに効果的な条件で接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物にアドレス可能アレイ特異的部分を捕捉し;
アドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉され、特定の部位で固体支持物に固定された連結反応産物配列を定量し;
未知のサンプルから生じた捕捉連結反応産物配列の量を既知量のマーカー標的ヌクレオチド配列から生じた捕捉連結反応産物配列の量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の相対レベルについて定量的計測を提供する;
ことを含む、(5)の方法。
(7)
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列が1以上の単一ヌクレオチド位置における標的ヌクレオチド配列と相違する、(5)の方法。
(8)
オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループは単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別できるように設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、各グループのオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、検出可能なレポーター標識を有する共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、与えられた対立遺伝子またはマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なる長さを有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がユニーク長の産物を産生するものであり、該方法がさらに、
連結反応産物配列をサイズまたは電気泳動運動能によって分離し;
サイズの相違する連結反応産物配列を識別する;
ことを含む、(5)の方法。
(9)
オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループは単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別できるように設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブを含有し、各グループのオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、与えられた対立遺伝子またはマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なるレポーター標識を有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がユニーク長の産物を産生するものであり、該方法がさらに、
連結反応産物配列をサイズまたは電気泳動運動能によって分離し;
サイズの相違する連結反応産物配列を識別する;
ことを含む、(5)の方法。
(10)
オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループは単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別できるように設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブを含有し、各グループのオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、検出可能なレポーター標識を有する共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、与えられた対立遺伝子またはマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なるアドレス可能アレイ特異的部分を有する、(6)の方法。
(11)
オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループは単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別できるように設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブを含有し、各グループのオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、アドレス可能なアレイ特異的部分を有する共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、与えられた対立遺伝子またはマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なる検出可能なレポーター標識を有する、(6)の方法。
(12)
単一標的ヌクレオチド配列中の2以上の近接または隣接のヌクレオチド位置における多数対立遺伝子の相違、または多数標的ヌクレオチド配列中の2以上の近接または隣接のヌクレオチド位置における多数対立遺伝子の相違を、重複し得る部分を有するオリゴヌクレオチドプローブセットで識別する、(1)の方法。
(13)
サンプルにおいて、過剰の正常配列の存在下に単一標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違、または過剰の正常配列の存在下に多重標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違を識別し、オリゴヌクレオチドプローブが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループが単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、グループ内の1以上のセットが共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を除く与えられた対立遺伝子に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、該検出において、連結反応産物配列の標識が検出され、それによって1以上の標的ヌクレオチド配列中の1以上のヌクレオチド位置における1以上の低存在量の対立遺伝子のサンプル中の存在が示される、(1)の方法。
(14)
サンプル中に未知量で存在する、過剰の正常配列の存在下に単一標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違、または過剰の正常配列の存在下に多重標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違を定量し、該方法がさらに、
既知量の1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列を準備し;
1以上のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットを準備し;
各セットは、(a)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブおよび(b) マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分および検出可能なレポーター標識を有する第2オリゴヌクレオチドとを特徴とし、特定マーカー特異的オリゴヌクレオチドセット中のオリゴヌクレオチドプローブは、対応する標的ヌクレオチド配列上で互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適するが、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を阻止するミスマッチを有し、該複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよび該複数のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットは、マーカーヌクレオチド配列を含み、単一ヌクレオチド位置における多重対立遺伝子の相違を識別するためのオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し得、グループ内の1以上のセットが、マーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブを含有して、共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を除く与えられた対立遺伝子に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブとを分かち持ち、リガーゼ検出反応混合物を形成するための該混合が、マーカー標的ヌクレオチド配列およびマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブをリガーゼ検出反応混合物に混合することを含み;
連結反応産物配列を定量し;
低存在量の未知のサンプルから生じた連結反応産物配列の量を既知量のマーカー標的ヌクレオチド配列から生じた連結反応産物配列の量と比較して、サンプル中の1以上の低存在量の標的ヌクレオチド配列のレベルについて定量的計測を提供する;
ことを含む、(1)の方法。
(15)
過剰の正常配列の存在下に単一標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違、または過剰の正常配列の存在下に多重標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違を識別し、オリゴヌクレオチドプローブが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループが単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、グループ内の1以上のセットが共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を除く与えられた対立遺伝子に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、グループ内の1以上のセットが共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を含む与えられた対立遺伝子に、塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、正常対立遺伝子特異的プローブが変異対立遺伝子特異的プローブよりも低い濃度でリガーゼ検出反応混合物中に存在し、それによって多数正常標的から生じた連結反応産物の量が既知の希釈の少数標的から推測される連結反応産物配列の量と類似であって、
連結反応産物配列を定量し;
低存在量の未知サンプルから生じた連結反応産物配列の量を高存在量の正常標的ヌクレオチド配列から生じた連結反応産物配列の量と比較し;
低レベルの正常連結反応産物配列形成を基にして高存在量の正常標的ヌクレオチド配列の量を測定し、サンプルにおける1以上の低存在量の標的ヌクレオチド配列の、高存在量の正常標的ヌクレオチド配列に比較した比率についての定量的計測を提供する;
ことを含む、(1)の方法。
(16)
過剰の正常配列の存在下に単一標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違、または過剰の正常配列の存在下に多重標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違を識別し、オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループが単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、グループ内の1以上のセットが共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を除く与えられた対立遺伝子に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、グループ内の1以上のセットが共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を含む与えられた対立遺伝子に、塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、正常対立遺伝子特異的プローブが低い濃度でリガーゼ検出反応混合物中に存在し、および/または1以上の内部ミスマッチまたは修飾を含有し、それによって多数正常標的から生じた連結反応産物の量が既知の希釈の少数標的から推測される連結反応産物配列の量と類似であって、
連結反応産物配列を定量し;
低存在量の未知サンプルから生じた連結反応産物配列の量を高存在量の正常標的ヌクレオチド配列から生じた連結反応産物配列の量と比較し;
低レベルの正常連結反応産物配列形成を基にして高存在量の正常標的ヌクレオチド配列の量を測定し、サンプルにおける1以上の低存在量の標的ヌクレオチド配列の、高存在量の正常標的ヌクレオチド配列に比較した比率についての定量的計測を提供する;
ことを含む、(1)の方法。
(17)
正常対立遺伝子特異的プローブが正常塩基を3’末端に含有する、(16)の方法。
(18)
正常対立遺伝子特異的プローブが1以上の内部ミスマッチまたは修飾を3’末端から4塩基以内に含有する、(17)の方法。
(19)
修飾が1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、4−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−2−カルボキサミド、2'−デオキシ−5−フルオロウリジン、2−デオキシイノシン、6−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−6H,8H−3,4−ジヒドロピリミド〔4,5−C〕〔1,2〕オキサジン−7−オン、2−アミノ−7−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−6−メトキシアミノプリン、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−5−ニトロインドール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピラゾール−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド、3−アミノ−1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール、5−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−ピリミジノン、5−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−チオピリミジン、5−アミノ−1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピラゾール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ヨードピラゾール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−プロピニルピラゾール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピロール−3−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピラゾン−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ニトロイミダゾールおよび1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ニトロピラゾールよりなる群から選ばれるヌクレオチド類似体である、(16)の方法。
(20)
修飾オリゴヌクレオチドプローブがチオホスフェート、ジチオホスフェート、2'−メトキシまたは3'−アミノ−2',3'−ジデオキシ修飾をその糖ホスフェート・バックボーンに、連結反応部から4塩基の1つまたは組合せの位置に含有する、(16)の方法。
(21)
サンプル中で少数標的ヌクレオチド配列が多数標的ヌクレオチド配列と、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のG:TまたはT:Gミスマッチについて相対比率1:500で、識別される、(1)の方法。
(22)
サンプル中で少数標的ヌクレオチド配列が多数標的ヌクレオチド配列と、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のG:TまたはT:Gミスマッチについて相対比率1:2000で、識別される、(1)の方法。
(23)
少数標的ヌクレオチド配列が多数標的ヌクレオチド配列と、多重の近接または隣接の位置での低存在量の多重対立遺伝子相違のために、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のすべてのミスマッチについて相対比率1:100で、識別される、(1)の方法。
(24)
少数標的ヌクレオチド配列が多数標的ヌクレオチド配列と、多重の近接または隣接の位置での低存在量の多重対立遺伝子相違のために、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のG:TまたはT:G以外のミスマッチについて相対比率1:500で、識別される、(1)の方法。
(25)
1以上の単一塩基の変更、挿入、欠失または転座により1以上の多数標的ヌクレオチド配列と相違している1以上の少数標的ヌクレオチド配列を、前記少数標的ヌクレオチド配列が前記多数標的ヌクレオチドに対して1:10より小さく、且つ1:1000より大きい割合で、前記少数標的ヌクレオチド配列および前記多数標的ヌクレオチド配列を含むサンプル中で、検出する方法であって、
該方法が、
1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを準備し、各セットは、(a)標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブおよび(b)標的特異的部分を有する第2オリゴヌクレオチドとを特徴とし、特定セット中のオリゴヌクレオチドプローブは、対応する標的ヌクレオチド配列上で互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適するが、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を阻止するミスマッチを有するものであり、連結反応部に3’末端を有する第1オリゴヌクレオチドプローブは1以上の修飾を有し、その修飾は、第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが、少数標的ヌクレオチド配列と連結反応部に3’末端を有する第1オリゴヌクレオチドプローブとの間の連結反応部で完全マッチを有するサンプル中の少数標的ヌクレオチドにハイブリダイズするときの連結反応速度を、第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが、多数標的ヌクレオチド配列と連結反応部に3’末端を有する第1オリゴヌクレオチドプローブとの間の連結反応部でミスマッチを有するサンプル中の多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするときの連結反応速度に比べて識別的に変えるものであり、修飾第1オリゴヌクレオチドプローブを用いた前記連結反応過程が、サンプル中の少数および多数標的ヌクレオチド配列から生成される連結反応産物合計の、少数標的ヌクレオチド配列が存在しないサンプル中の同じ量の多数標的ヌクレオチド配列から生じた連結反応産物量に対する割合として定義されたシグナル対ノイズ比率を有し、この比率は修飾を欠く第1オリゴヌクレオチドプローブを用いた連結検出反応についてのシグナル対ノイズ比率よりも大きく、そして、1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットは標的核酸配列の相補物にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブセットを含まないものであり;
リガーゼを準備し;
サンプル、1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットおよびリガーゼを混合し、リガーゼ検出反応混合物を形成し;
リガーゼ検出反応混合物を変性処理およびハイブリダイゼーション処理を含む1以上のリガーゼ検出反応サイクルにかけ、この変性処理において、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列から分離され、このハイブリダイゼーション処理において、オリゴヌクレオチドプローブセットは隣接部位で塩基特異的に、もしサンプル中に存在していれば、その夫々の標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、線形的な増幅を達成するためのオリゴヌクレオチドプローブの修飾なしで互いに連結して、各セットがリガーゼ検出反応混合物中の他の核酸と識別し得るために、連結反応産物配列と一緒に結合した標的特異的部分を含有する連結反応産物配列を形成し、その中で、オリゴヌクレオチドプローブセットは、その夫々の標的ヌクレオチド配列以外のサンプル中のヌクレオチド配列にハイブリダイズできるが、1以上のミスマッチの存在によって一緒に連結せず、そして変性処理の際に個々に分離しているものであり;
連結反応産物配列の存在を検出する;
ことを含む方法。
(26)
1以上の修飾が連結反応部から9塩基以内のヌクレオチド類似体である、(25)の方法。
(27)
修飾がオリゴヌクレオチドプローブの3’末端から9塩基以内にある、(26)の方法。
(28)
修飾がオリゴヌクレオチドプローブの3’末端から3塩基離れた位置のヌクレオチド類似体である(26)の方法。
(29)
修飾が1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、4−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−2−カルボキサミド、2'−デオキシ−5−フルオロウリジン、2−デオキシイノシン、6−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−6H,8H−3,4−ジヒドロピリミド〔4,5−C〕〔1,2〕オキサジン−7−オン、2−アミノ−7−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−6−メトキシアミノプリン、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−5−ニトロインドール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピラゾール−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド、3−アミノ−1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール、5−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−ピリミジノン、5−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−チオピリミジン、5−アミノ−1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピラゾール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ヨードピラゾール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−プロピニルピラゾール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピロール−3−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピラゾン−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ニトロイミダゾールおよび1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ニトロピラゾールよりなる群から選ばれるヌクレオチド類似体である、(28)の方法。
(30)
修飾が連結反応部から9塩基内の1つまたは組合せた位置での第1オリゴヌクレオチドプローブの糖ホスフェートバックボーンにある、(25)の方法。
(31)
修飾第1オリゴヌクレオチドプローブがチオホスフェート、ジチオホスフェート、2'−メトキシおよび3'−アミノ−2',3'−ジデオキシ修飾を含有する、(30)の方法。
(32)
特定セット中のオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がリガーゼ検出反応混合物中の他の核酸と識別され得るようにユニーク長を有し、該方法がさらに、
連結反応産物配列をサイズまたは電気泳動運動能によって分離し;
該検出後に、サイズの相違する連結反応産物配列を識別する;
ことを含む、(25)の方法。
(33)
各セットの第2オリゴヌクレオチドプローブがアドレス可能アレイ特異的部分を有し、該方法がさらに、
異なる特定の部位で固定された相違する捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し、ここで捕捉オリゴヌクレオチドはアドレス可能アレイ特異的部分に相補的なヌクレオチド配列を有し、
1以上のリガーゼ検出反応サイクルにリガーゼ検出反応混合物をかけた後に、該混合物を固体支持物に、連結反応産物配列を捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズさすのに効果的な条件で接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物にアドレス可能アレイ特異的部分を捕捉し、該捕捉はアドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉され、特定部位で固体支持物に固定された連結反応産物配列を示し、それによってサンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の存在を示す;
ことを含む、(25)の方法。
(34)
サンプル中に未知量で存在する多数および少数ヌクレオチド配列の相対量を定量するものであり、該方法がさらに、
該混合の前に、ポリメラーゼ連鎖反応によってサンプル中の多数および少数の標的ヌクレオチド配列を多数と少数の両方の標的ヌクレオチド配列に共通するオリゴヌクレオチドプライマーでもって増幅し;
サンプル中に存在する多数標的ヌクレオチドの結果として産生した多数連結反応産物配列を検出し;
検出した多数連結反応産物配列を定量し;
検出した少数連結反応産物配列を定量する;
ことを含む、(25)の方法。
(35)
サンプル中に未知量で存在する多数および少数ヌクレオチド配列の相対量を定量するものであり、該方法がさらに、
該混合の前に、ポリメラーゼ連鎖反応によってサンプル中の多数および少数の標的ヌクレオチド配列を多数と少数の両方の標的ヌクレオチド配列に共通するオリゴヌクレオチドプライマーでもって増幅し;
既知量の1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列を準備し;
マーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブを含む1以上の配列特異的プローブセットを準備し;
マーカー標的ヌクレオチド配列およびマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブセットをリガーゼ検出反応混合物と混合し;
多数および少数の連結反応産物配列を定量し;
未知のサンプルから生じた多数および少数の連結反応産物配列の量を既知量のマーカー標的ヌクレオチド配列から生じた連結反応産物配列の量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の相対レベルについて定量的計測を提供する;
ことを含む、(25)の方法。
(36)
各セットの第2オリゴヌクレオチドプローブがアドレス可能アレイ特異的部分を有し、該方法がさらに、
異なる特定の部位で固定された相違する捕捉オリゴヌクレオチドを有する固体支持物を準備し、ここで捕捉オリゴヌクレオチドはアドレス可能アレイ特異的部分に相補的なヌクレオチド配列を有し、
1以上のリガーゼ検出反応サイクルにリガーゼ検出反応混合物をかけた後に、該混合物を固体支持物に、連結反応産物配列を捕捉オリゴヌクレオチドに塩基特異的にハイブリダイズさすのに効果的な条件で接触せしめ、それによって相補的捕捉オリゴヌクレオチドを有する部位で固体支持物にアドレス可能アレイ特異的部分を捕捉し;
アドレス可能アレイ特異的部分を用いて捕捉され、特定の部位で固体支持物に固定された連結反応産物配列を定量し;
未知のサンプルから生じた捕捉連結反応産物配列の量を既知量のマーカー標的ヌクレオチド配列から生じた捕捉連結反応産物配列の量と比較して、サンプル中の1以上の標的ヌクレオチド配列の相対レベルについて定量的計測を提供する;
ことを含む、(35)の方法。
(37)
1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列が1以上の単一ヌクレオチド位置における標的ヌクレオチド配列と相違する、(35)の方法。
(38)
オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループは単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別できるように設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブを含有し、各グループのオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、検出可能なレポーター標識を有する共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、与えられた対立遺伝子またはマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なる長さを有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がユニーク長の産物を産生するものであり、該方法がさらに、
連結反応産物配列をサイズまたは電気泳動運動能によって分離し;
サイズの相違する連結反応産物配列を識別する;
ことを含む、(35)の方法。
(39)
オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループは単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別できるように設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブを含有し、各グループのオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、与えられた対立遺伝子またはマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なるレポーター標識を有し、特定セットのオリゴヌクレオチドプローブの連結反応産物配列がユニーク長の産物を産生するものであり、該方法がさらに、
連結反応産物配列をサイズまたは電気泳動運動能によって分離し;
サイズの相違する連結反応産物配列を識別する;
ことを含む、(35)の方法。
(40)
オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループは単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別できるように設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブを含有し、各グループのオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、検出可能なレポーター標識を有する共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、与えられた対立遺伝子またはマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なるアドレス可能アレイ特異的部分を有する、(36)の方法。
(41)
オリゴヌクレオチドプローブセットが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループは単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別できるように設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブを含有し、各グループのオリゴヌクレオチドプローブセットにおいて、アドレス可能なアレイ特異的部分を有する共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、与えられた対立遺伝子またはマーカーヌクレオチド配列に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブが存在し、各第2オリゴヌクレオチドプローブは異なる検出可能なレポーター標識を有する、(36)の方法。
(42)
単一標的ヌクレオチド配列中の2以上の近接または隣接のヌクレオチド位置における多数対立遺伝子の相違および多数標的ヌクレオチド配列中の2以上の近接または隣接のヌクレオチド位置における多数対立遺伝子の相違を、重複し得る部分を有するオリゴヌクレオチドプローブセットで識別する、(25)の方法。
(43)
サンプルにおいて、過剰の正常配列の存在下に単一標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違、または過剰の正常配列の存在下に多重標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違を識別し、オリゴヌクレオチドプローブが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループが単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、グループ内の1以上のセットが共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を除く与えられた対立遺伝子に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、該検出において、連結反応産物配列の標識が検出され、それによって1以上の標的ヌクレオチド配列中の1以上のヌクレオチド位置における1以上の低存在量の対立遺伝子のサンプル中の存在が示される、(25)の方法。
(44)
サンプル中に未知量で存在する、過剰の正常配列の存在下に単一標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違、または過剰の正常配列の存在下に多重標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違を定量し、該方法がさらに、
既知量の1以上のマーカー標的ヌクレオチド配列を準備し;
1以上のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットを準備し;
各セットは、(a)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分を有する第1オリゴヌクレオチドプローブおよび(b)マーカー標的ヌクレオチド配列に相補的な標的特異的部分および検出可能なレポーター標識を有する第2オリゴヌクレオチドとを特徴とし、特定セット中のオリゴヌクレオチドプローブは、対応する標的ヌクレオチド配列上で互いに隣接してハイブリダイズするときに一緒に連結反応するのに適するが、サンプル中に存在する他のヌクレオチド配列にハイブリダイズするときに該連結反応を阻止するミスマッチを有し、該複数のオリゴヌクレオチドプローブセットおよび該複数のマーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブセットは、マーカーヌクレオチド配列を含み、単一ヌクレオチド位置における多重対立遺伝子の相違を識別するためのオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し得、グループ内の1以上のセットが、マーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブを含有して、共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を除く与えられた対立遺伝子に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、リガーゼ検出反応混合物を形成するための該混合が、マーカー標的ヌクレオチド配列およびマーカー標的ヌクレオチド配列のために特異的に設計されたプローブをリガーゼ検出反応混合物に混合することを含み;
連結反応産物配列を定量し;
低存在量の未知のサンプルから生じた連結反応産物配列の量を既知量のマーカー標的ヌクレオチド配列から生じた連結反応産物配列の量と比較して、サンプル中の1以上の低存在量の標的ヌクレオチド配列のレベルについて定量的計測を提供する;
ことを含む、(25)の方法。
(45)
過剰の正常配列の存在下に単一標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違、または過剰の正常配列の存在下に多重標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違を識別し、オリゴヌクレオチドプローブが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループが単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、グループ内の1以上のセットが、共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を除く与えられた対立遺伝子に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、グループ内の1以上のセットが、マーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブを含有して、共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を含む与えられた対立遺伝子に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、正常対立遺伝子特異的プローブが変異対立遺伝子特異的プローブよりも低い濃度でリガーゼ検出反応混合物中に存在し、それによって多数正常標的から生じた連結反応産物の量が既知の希釈の少数標的から推測される連結反応産物配列の量と類似であって、
連結反応産物配列を定量し;
低存在量の未知サンプルから生じた連結反応産物配列の量を高存在量の正常標的ヌクレオチド配列から生じた連結反応産物配列の量と比較し;
低レベルの正常連結反応産物配列形成を基にして高存在量の正常標的ヌクレオチド配列の量を測定し、サンプルにおける1以上の低存在量の標的ヌクレオチド配列の、高存在量の正常標的ヌクレオチド配列に比較した比率についての定量的計測を提供する;
ことを含む、(25)の方法。
(46)
過剰の正常配列の存在下に単一標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違、または過剰の正常配列の存在下に多重標的ヌクレオチド配列中の多重の近接または隣接の位置における低存在量の多重対立遺伝子相違を識別し、オリゴヌクレオチドプローブが複数のオリゴヌクレオチドプローブグループを形成し、各グループが単一ヌクレオチド位置で多重対立遺伝子の相違を識別するために設計された1以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを含有し、グループ内の1以上のセットが、共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を除く与えられた対立遺伝子に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、グループ内の1以上のセットが、マーカー特異的オリゴヌクレオチドプローブを含有して、共通の第1オリゴヌクレオチドプローブと、正常対立遺伝子を含む与えられた対立遺伝子に塩基特異的にハイブリダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを分かち持ち、正常対立遺伝子特異的プローブが低い濃度でリガーゼ検出反応混合物中に存在し、および/または1以上の内部ミスマッチまたは修飾を含有し、それによって多数正常標的から生じた連結反応産物の量が既知の希釈の少数標的から推測される連結反応産物配列の量と類似であって、
連結反応産物配列を定量し;
低存在量の未知サンプルから生じた連結反応産物配列の量を高存在量の正常標的ヌクレオチド配列から生じた連結反応産物配列の量と比較し;
低レベルの正常連結反応産物配列形成を基にして高存在量の正常標的ヌクレオチド配列の量を測定し、サンプルにおける1以上の低存在量の標的ヌクレオチド配列の、高存在量の正常標的ヌクレオチド配列に比較した比率についての定量的計測を提供する;
ことを含む、(25)の方法。
(47)
正常対立遺伝子特異的プローブが正常塩基を3’末端に含有する、(46)の方法。
(48)
正常対立遺伝子特異的プローブが1以上の内部ミスマッチまたは修飾を3’末端から4塩基以内に含有する、(47)の方法。
(49)
修飾が1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、4−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−2−カルボキサミド、2'−デオキシ−5−フルオロウリジン、2−デオキシイノシン、6−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−6H,8H−3,4−ジヒドロピリミド〔4,5−C〕〔1,2〕オキサジン−7−オン、2−アミノ−7−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−6−メトキシアミノプリン、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−5−ニトロインドール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピラゾール−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド、3−アミノ−1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール、5−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−ピリミジノン、5−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−チオピリミジン、5−アミノ−1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)イミダゾール−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピラゾール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ヨードピラゾール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−プロピニルピラゾール、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピロール−3−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピラゾン−4−カルボキサミド、1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ニトロイミダゾールおよび1−(2'−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−4−ニトロピラゾールよりなる群から選ばれるヌクレオチド類似体である、(46)の方法。
(50)
修飾オリゴヌクレオチドプローブがチオホスフェート、ジチオホスフェート、2'−メトキシまたは3'−アミノ−2',3'−ジデオキシ修飾をその糖ホスフェート・バックボーンに含有する、(46)の方法。
(51)
サンプル中で少数標的ヌクレオチド配列が多数標的ヌクレオチド配列と、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のG:TまたはT:Gミスマッチについて相対比率1:500で、識別される、(25)の方法。
(52)
サンプル中で少数標的ヌクレオチド配列が多数標的ヌクレオチド配列と、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のG:TまたはT:Gミスマッチについて相対比率1:2000で、識別される、(25)の方法。
(53)
少数標的ヌクレオチド配列が多数標的ヌクレオチド配列と、多重の近接または隣接の位置での低存在量の多重対立遺伝子相違のために、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のすべてのミスマッチについて相対比率1:100で、識別される、(25)の方法。
(54)
少数標的ヌクレオチド配列が多数標的ヌクレオチド配列と、多重の近接または隣接の位置での低存在量の多重対立遺伝子相違のために、多数標的ヌクレオチド配列とオリゴヌクレオチドプローブの1つとの間のG:TまたはT:G以外のミスマッチについて相対比率1:500で、識別される、(25)の方法。
(55)
リガーゼ検出混合物が、ミスマッチなしで多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする、識別力のあるオリゴヌクレオチドプローブを含まない、(1)に記載の方法。
(56)
リガーゼ検出混合物が、多数標的ヌクレオチド配列に対するミスマッチなしで多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする識別力のあるオリゴヌクレオチドプローブを、少数標的ヌクレオチド配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブの量より少量で、且つサンプル中の少数標的ヌクレオチド配列の存在の結果として生成される連結反応産物配列の存在を検出することを妨げない、多数標的ヌクレオチド配列に相当する連結反応産物配列の量を産出するのに有効である量で、含む、(1)に記載の方法。
(57)
リガーゼ検出混合物が、サンプル中の少数標的ヌクレオチド配列の存在の結果として生成される連結反応産物配列の存在を検出することを妨げない、多数標的ヌクレオチド配列に相当する連結反応産物配列の量を産出するのに有効な形態で、多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする修飾オリゴヌクレオチドプローブを含む、(1)に記載の方法。
(58)
リガーゼ検出混合物が、ミスマッチなしで多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする識別力のあるオリゴヌクレオチドプローブを含まない、(25)に記載の方法。
(59)
リガーゼ検出混合物が、多数標的ヌクレオチド配列に対するミスマッチなしで多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする識別力のあるオリゴヌクレオチドプローブを、少数標的ヌクレオチド配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブの量より少量で、且つサンプル中の少数標的ヌクレオチド配列の存在の結果として生成される連結反応産物配列の存在を検出することを妨げない、多数標的ヌクレオチド配列に相当する連結反応産物配列の量を産出するのに有効である量で、含む、(25)に記載の方法。
(60)
リガーゼ検出混合物が、サンプル中の少数標的ヌクレオチド配列の存在の結果として生成される連結反応産物配列の存在を検出することを妨げない、多数標的ヌクレオチド配列に相当する連結反応産物配列の量を産出するのに有効な形態で、多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズする修飾オリゴヌクレオチドプローブを含む、(25)に記載の方法。
(61)
第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが連結反応部において完全マッチで標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズされるとき、第2オリゴヌクレオチドプローブに、連結反応部で、その3’末端で連結するために好適な第1オリゴヌクレオチドプローブであって、該第1オリゴヌクレオチドプローブはヌクレオチドアナログを含み、該ヌクレオチドアナログは、第1および第2オリゴヌクレオチドプローブが多数標的ヌクレオチド配列と第1オリゴヌクレオチドプローブとの間の連結反応部でミスマッチを伴ってサンプルの多数標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするときのライゲーション速度に比較して、第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブが少数標的ヌクレオチド配列と第1オリゴヌクレオチドプローブとの間において完全マッチでハイブリダイズするときのライゲーション速度を、異なるように変化させ、そして、第1オリゴヌクレオチドプローブを用いる連結が、同量の多数標的ヌクレオチド配列のみから生成される連結反応産物配列の量に対する、小数および多数標的ヌクレオチド配列から生成される連結反応産物配列の量である、シグナル対ノイズ比率を有し、それが、修飾のない第1オリゴヌクレオチドプローブを用いる連結のシグナル対ノイズ比率より大きく、該第1オリゴヌクレオチドプローブが20−28ヌクレオチド長である、第1オリゴヌクレオチドプローブ。
【実施例】
【0131】
実施例
実施例1−部位特異的突然変異誘発法を用いたアミノ酸残基294位でのThermus thermophilusDNAリガーゼ変異の構築
Thermus thermophilus (”Tth”)DNAリガーゼ変異は、2段階PCR法(Horton et al.,”Engineering Hybrid Genes Without the Use of Restriction Enzymes: Gene Splicing by Overlap Extension”, Gene, 77: 61-68 (1989)、出典明示により本明細書の一部とする)を用いて作製した。プラスミドpDZ15(HindIIIによって鎖状にした)を鋳型として第1ラウンドのPCR反応に用いた。
図10の上部図に、クローン化Tth DNAリガーゼ遺伝子を含有するプラスミドpDZ15(Barany, F., et al., ”Cloning, Overexpression, and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA Ligase Gene”, Gene, 109: 1-11 (1991)、出典明示により本明細書の一部とする)を、PstI部位で開裂させた場合のおおよそに拡大して描いた遺伝子の略図として示す。pDZ15では、Tth リガーゼ遺伝子とその方向を太い斜め平行線を引いた矢印で表し、ベクターAp
R(bla)遺伝子は、点描(灰色)矢印で、非機能性TaqIエンドヌクレアーゼ遺伝子の切形(truncated)末端は細い斜め平行線を引いた矢印で、pBR複製起点は白塗りバーで表した。phoAおよびT7プロモーターは右角矢印で、その転写方向は矢先で示す。制限部位は、Av、AvrII;Bm、BamHI;Bg、BglII;(Bg/Bm再結合部位は、BamHIまたはBglIIのいずれかでは切断不能である;)Hd、HindIII;RI、EcoRI;Ps、PstI、Pv、PvuIIである。pTZ18R由来のポリリンカー領域は、列挙した外部制限部位のみで3本足付き三角で示す。下記の構築に使用するEscherichia coli宿主株は、次から得られた:N3098(ligts7;(Wilson, G.G., et al.,”Molecular Cloning of the DNA Ligase Gene From the Bacteriophage T4.I. Characterization of the Recombinants”, J. Mol. Biol., 132: 471-491 (1979)、出典明示により本明細書の一部とする)、N. Murrayから);JH132(mrr
−,Tn10;(Heitman, J., et al., ”Site-Specific Methylases Induce the SOS DNA Repair Response in Escherichia coli”, J. Bacteriol., 169: 3243-3250 (1987)、出典明示により本明細書の一部とする)、J. Heitmanから);MN294(endA
−、hsdR
−、hsdM
+、thi−1、supE44;(Miller, J. H., ”Experiments in Molecular Genetics”, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, pp. 201-205 (1972)、出典明示により本明細書の一部とする)、我々のコレクションから)。AK53株(mrrB
−、MM294)およびAK76(mrrB
−、N3098)は、上記JH132からmrrB
−表現型を形質導入することにより構築した(Miller, J. H., ”Experiments in Molecular Genetics”, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, pp. 201-205 (1972)、出典明示により本明細書の一部とする)。mrrB
−表現型の存在は、プラスミドpFBT71上に存在するTaq MTアーゼ−コード遺伝子に対するこれらの株の耐性により確認した(Barany, F.,”A Genetic System for Isolation and Characterization of TaqI Restriction Endonuclease Mutants”, Gene, 56: 13-27 (1987)およびBarany, F., et al.,”Cloning and Sequencing of the TthHB8I DNA Restriction and Modification Enzymes, and Comparison With the Isoschizomeric TaqI Enzymes”, Gene, 112: 3-12 (1992)、出典明示により本明細書の一部とする)。
【0132】
図10の下部図に、Tth DNAリガーゼ遺伝子とその転写方向を斜め平行線を引いた矢印で示す。Tth DNAリガーゼ遺伝子中の幾つかの制限エンドヌクレアーゼ切断部位は、太線で示す。PCR反応に使用したオリゴヌクレオチドプライマーのおおよその位置は、Tth DNAリガーゼ遺伝子上に矢印とプライマー名で示す。アミノ酸残基K294の変異部位も示す。
【0133】
残基K294位置での部位指向性突然変異誘発法は下記のように実施した:(1)鋳型としてHindIII−鎖状化pDZ15を用いる場合、2つの独立したPCR反応を実施した。1つの反応管には、PCR緩衝液100μl中、プライマーJL505とJL507R 400ngを、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPそれぞれ50μmolesとAmplitaq
TM2.5ユニットを含有するHindIII消化pDZ15 200ngに加え、(Saiki, R. K., et al., ”Primer-Directed Enzymatic Amplification of DNA With a Thermostable DNA Polymerase”, Science, 239: 487-491 (1988)、出典明示により本明細書の一部とする);Perkin-Elmer Cetus Instruments, Emoryville CA.)に記載のようにしてPCRサイクルにかける。第2の反応管には、同じ反応緩衝液中、プライマーJL506とJL508R 400ng、HindIII消化したpDZ15 200ngおよびAmplitaq
TM2.5ユニットを入れ、上記のようにインキュベーションした。(2)次いで、第3のPCR反応は、2つの初期反応から得られた生成物1μl、プライマーJL505とJL508R 400ngおよびAmplitaq
TM2.5ユニットを含有するPCR緩衝液100μlにて実施し、上記のようにインキュベーションした。Amplitaq
TMを除去後、大きい方のPCR産物フラグメントをAvrIIとBamHIで消化し、低融点アガロースで電気泳動した。436bpのAvrII−BamHIフラグメントをゲルから削り取り、既に報告(Barany, F., ”Overproduction, Purification, and Crystallization of TaqI Restriction Endonuclease”, Gene, 63: 167-177 (1988)、出典明示により本明細書の一部とする)のようにして精製した。更に、プラスミドpDZ15もまた、AvrIIとBamHIで消化し、低融点アガロースで電気泳動した。pDZ15から436bpのAvrII−BamHIフラグメントを引いたものに相当する大きい方のフラグメントを削り取り、精製した。この大きいフラグメントを、T4 DNAリガーゼの存在下、第3PCR反応産物から精製した436bpのAvrII−BamHIフラグメントと共に14℃で16時間インキュベーションンした。この連結反応混合物を、既に報告(Hanahan, D., ”Studies on Transformation of E. coli With Plasmids”, J. Mol. Biol., 166: 557-580 (1983)、出典明示により本明細書の一部とする)のようにE.コリ株AK76(ts lig)に形質転換させた。プラスミド担持細胞を、高濃度のホスフェート(10mMK
2HPO
4、pH7.6)または低濃度のホスフェート(0.2mMK
2HPO
4、pH7.6)のいずれかを補足した栄養強化ブロス(Fortified Broth)プレート上でレプリカプレーティングし、32℃および42℃で増殖させて、ts lig宿主に対する変異Tth DNAリガーゼ遺伝子の相補性能力を試験した。独立したクローンをFB−高ホスフェートプレートから拾い、10mMK
2HPO
4、pH7.6を補足した液体栄養強化ブロス中で増殖させる。Promega社のマジック・ミニプレップ・キット(Magic Miniprep kit)を用いてプラスミド・ミニプレップを作り、Perkin-Elmer CorporationのApplied Biosystems Divisionからのプリズム染料デオキシ・ターミネーター・サイクル・シーケンシングキット(Prism Dye Deoxy Terminator Cycle sequencing kit)とDNAシーケンサー373Aを用いてAvrII−BamHI領域を配列決定し、K294位の部位特異的変異を確認した。
【0134】
実施例2−Tth DNAリガーゼ変異K294RおよびK294Pの構築
図11の変異リガーゼは、下記のように
図12A−Bのオリゴヌクレオチドを用いて調製した。K294部位で複数の部位特異的変異を作るためにPCR反応用の4つのオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。それらの配列は次のとおりである:プライマーa (JL505) (配列番号:78): 5'CAG AAC CTC CTC ACC ATC 3'; プライマーb (JL507R) (配列番号:79): 5'CTC GTC CAG (G,C) (T, G, C, A) G CAC CAC CAC CCC GTC 3';プライマーc (JL506) (配列番号:88): 5' TGG TGG TGC (A, C, G, T) (C, G) C TGG ACG AGC TTG CCC T 3';およびプライマーd (JL508R) (配列番号:96): 5' CTC TAT GTA GCT CTC GTT GTG 3'。プライマーbとcは、変異部位で縮重コドンを含有する重複プライマーである。これらのプライマーは、各種試薬とPerkin-Elmer Corporation, Foster City, CAのApplied Biosystems Divisionからの394自動DNA合成機を用いて合成した。合成後、プライマーを30%水酸化アンモニウム中、55℃で12時間脱保護し、高速真空乾燥し、ddH
2O(即ち、二重蒸留水)100μlに再懸濁し、エタノール沈殿により精製した。ペレットをddH
2O200μlに再懸濁し、その濃度を分光測光法によりOD
260で測定した。次いで、プライマーを等分し、使用まで−20℃で冷凍庫に貯蔵した。
【0135】
Tth DNAリガーゼ遺伝子(Tth lig)における部位特異的突然変異誘発法は、既に報告されている(Ho et al., Gene 77: 51-59 (1989)、出典明示により本明細書の一部とする)2段階PCRベースの重複伸長法を用いて実施した。プラスミドpDZ15、Tth DNAリガーゼの発現プラスミド(Barany, et al., Gene 109: 1-11 (1991)およびHorton, et al.,”Engineering Hybrid Genes Without the Use of Restriction Enzymes: Gene Splicing by Overlap Extension”, Gene 77: 61-68 (1989)、出典明示により本明細書の一部とする)を制限エンドヌクレオアーゼHindIIIで鎖状化し、第1ラウンドのPCR反応の鋳型として使用した。プライマーa(JL505)とb(JL507R)またはプライマーc(JL506)とd(JL508R)をそれぞれ用いて、第1ラウンドのPCR反応を2つ別個に実施した。第1ラウンドPCR反応それぞれの産物1マイクロリットルをプライマーa(JL505)とd(JL508R)による第2ラウンドPCR反応の鋳型として使用した。得られた産物を制限エンドヌクレアーゼAvrIIとBamHIで消化し、シープラーク(SeePlaque)低融点アガロースゲルで分離した。変異部位を含むと予想されるDNAフラグメントを低融点アガロースゲルから切り取り、フェノール抽出により精製し、その後、AvrIIおよびBamHI消化によりpDZ15から作った大きいほうのフラグメントに連結させた。連結反応は、14℃で16時間実施した。得られた連結反応混合物は、細菌染色体上のリガーゼ遺伝子中に温度致死変異を含有する細菌株、AK76(lig ts7株、Barany, et al., Gene 109: 1-11 (1991)、出典明示により本明細書の一部とする)を形質転換させるのに使用した。50μg/mlアンピシリンを含有するTYプレート上で形質転換体を増殖させることにより、ポジティブ形質転換体を選択した。プラスミドDNAミニプレップは、Promega社のマジック・ミニプレップカラムを用いて形質転換体から作製した。Perkin-Elmer Corporation, Foster City, CAのApplied Biosystems Divisionからのプリズム染料デオキシ・ターミネーター・サイクル・シーケンシングキット(Prism Dye Deoxy Terminator Cycle sequencing kit)とDNAシーケンサー373Aを用いてPCR反応中で増幅される領域を配列決定し、その変異を確認した。
【0136】
実施例3−E.コリ中の変異Tth DNAリガーゼの発現
phoAプロモーターの制御下で変異Tth DNAリガーゼを含有するプラスミドを形質転換によりE.コリ株AK53に導入した。変異Tth DNAリガーゼタンパク質を30℃で15時間、0.2mM K
2HPO
4と75μg/mlアンピシリンを含有するMOPS培地(Neidhardt, et al., J. Bacteriol., 119: 736-47 (1974)、出典明示により本明細書の一部とする)中で過剰発現させた(F. Barany, et al., Gene 109: 1-11 (1991)、出典明示により本明細書の一部とする)。細胞を遠心して集め、VWR社のソニファイヤー350細胞破壊機(Sonifier 350 cell disruptor)にてマイクロプローブと共に3×10秒間超音波処理したTE(10mMトリス、pH8.5、1mMEDTA)400μlに懸濁し、4℃で10分間遠心した。上清を20mMトリス−HCl、pH8.5、50mMKCl、10mMMgCl
2および0.5mMEDTA、1mMDTTおよび2mM2−メルカプトエタノールに順応させた。64℃で25分間インキュベーション後、濁った懸濁液を4℃で15分間遠心して透明化した。クマシー・ブリリアント・ブルーと共に0.1%SDSを含有する7.5%ポリアクリルアミドゲルの染色により測定したところ、得られた透明懸濁液中総タンパク質の70%以上がTth DNAリガーゼであった。およそ200μgのTth DNAリガーゼを培養物6mlから単離した。いずれの変異Tth DNAリガーゼも、AK53中で過剰発現し、65℃で熱処理後も可溶性のままであった。
【0137】
実施例4−相補性アッセイ
変異したTth DNAリガーゼ遺伝子を含有するプラスミドを温度感受性リガーゼ欠損E.コリ株AK76(lig ts7 株)(F. Barany, et al., Gene 109: 1-11 (1991)、出典明示により本明細書の一部とする)に形質転換により導入した。個々の形質転換体を、高ホスフェートプレート(0.6%NaCl、2.5%バクト−トリプトン、0.75%酵母エキス、0.1%デキストロースおよび10mMK
2HPO
4、pH7.6および50μg/mlアンピシリン)および低ホスフェートプレート(0.2mMK
2HPO
4)(Neidhardt, et al., J. Bacteriol., 119: 736-47 (1974)、出典明示により本明細書の一部とする)上でレプリカプレーティングし、許容(32℃)および非許容(42℃)温度でそれぞれ一晩インキュベーションした。Tth DNAリガーゼ遺伝子は、低ホスフェート濃度でのみ誘導される。プラスミドによりコードされた活性酵素は、低ホスフェートプレート上42℃で温度感受性宿主を増殖させることができる。
【0138】
実施例5−アデニレーション(adenylation)アッセイ
アデニレーションは、野生型と上記で調製した変異のTth DNAリガーゼおよそ8μg(100fmoles)を、20mMトリス−HCl、pH7.6、50mMKCl、10mMMgCl
2、0.5mMEDTA、1mMNAD
+、1mMDTT、2mM2−メルカプトエタノールを含有する反応緩衝液100μl中65℃で25分間インキュベーションすることによりアッセイした。これらの条件下、野生型リガーゼは全て、事実上、アデニル化(adenylated)形態で見られた。120mMトリス−HCl、pH7.6、2%SDS、20%グリセロール、0.02%ブロモフェノールブルー、および300mM2−メルカプトエタノールを含有する等容量の2×サンプル緩衝液の添加により反応を止めた。サンプルを5分間沸騰させ、7.5%ポリアクリルアミド−0.1%SDSゲル上に50μlを充填することにより分析した。アデニル化酵素は、脱アデニル化形態(78Kd)よりも見かけの分子量が高い(81Kd)ので識別できる。
幾つかの変異ではアデニレーション後も移動度が変わらないという可能性を除外するために、放射性[
32P]NAD
+を用いる実験も実施した。この場合、反応は、3.3μCi[
32P]NAD
+(800Ci/mmol、NEN-DuPont Company, Chadds Ford, PA)を使用する以外は上記と同じ条件下、反応混合物25μl中で実施した。65℃で15分インキュベーション後、非放射性NAD
+1.5pmolesを反応混合物に加え、5分以上インキュベーションさせてアデニレーション反応をほぼ完了するまで進める。2×サンプル緩衝液25μlを添加して反応を止める。得られた混合物を100℃で5分間沸騰させ、その後7.5%ポリアクリルアミド−0.1%SDSゲルにて分析した。このゲルを室温で3時間、コダックXAR−5フィルム対してオートラジオグラフィーにかけた。各レーンのタンパク質サンプルを確かめるために、次いで、ゲルをクマシー・ブリリアント・ブルーで染色した。
【0139】
実施例6−脱アデニレーション(deadenylation)アッセイ
脱アデニレーション活性(酵素からDNA基質へのアデニル基の転移)についてアッセイするために、鮭精子DNA(Sigma, St. Louis)を膵臓DNase I(Barany et al., Gene 109: 1-11 (1991)、出典明示により本明細書の一部とする)とインキュベーションすることにより調製したニック形成鮭精子DNA5μgを1mMNAD
+の代わりに使用した以外はアデニレーション実験と同じ条件を使用した。脱アデニル化酵素は、7.5%ポリアクリルアミド−0.1%SDSゲルでの電気泳動により分離した場合、高速移動バンド(78Kd)として認識された。
【0140】
実施例7−[γ−
32P]ATPによるオリゴヌクレオチドプローブの5’−標識
オリゴヌクレオチドプローブJL514を、50mMトリス−HCl、pH7.6、10mMMgCl
2、1mMEDTA、10mMDTT、[γ−
32P]ATP(6000Ci/mmol、NEN-DuPont Company)45pmole、ゲル精製オリゴヌクレオチド15pmoleおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs, Beverly, MA)を含有する反応物10μl中、37℃で45分間インキュベーション後、5’標識した。10mMATP 1μlを反応混合物に加え、インキュベーションを2分以上続けた。60mMEDTAを加えて反応を止めた。キナーゼを64℃で20分間インキュベーションすることにより熱不活性化した。リン酸化オリゴヌクレオチドをTE緩衝液中で平衡化したセファデックスG−25カラムにて分離した。リン酸化オリゴヌクレオチドを含有するフラクションを集め合わせ、使用まで等分ずつ−20℃で貯蔵した。リン酸化オリゴヌクレオチドJL514の比放射能は、9×10
6cpm/pmolであった。
【0141】
実施例8−ニック−閉鎖(closure)活性についてのアッセイ
2つの短いオリゴヌクレオチドプローブ(JL538およびJL514)をより長い相補性オリゴヌクレオチド標的(JL539)にアニーリングすることによりニック形成DNA二本鎖基質を形成させた。これらのヌクレオチド配列は:JL538 (配列番号:75): 5' AAC CAC AGG CTG CTG CGG ATG CCG GTC GGA G 3'; JL514 (配列番号:76): 5' AGA GCC GCC ACC CTC AGA ACC GCC ACC CTC 3'; JL539配列番号:77): 5' GAG GGT GGC GGT TCT- GAG GGT GGC GGC TCT CTC CGA CCG GCA TCC GCA GCA GCC TGT GGT T 3'である。
反応は、20mMトリス−HCl、pH7.6、10mMMgCl
2、100mMKCl、10mMDTT、1mMNAD
+とニック形成DNA二本鎖基質60fmolを含有する緩衝液40μl中で実施した。DNAプローブと標的は、反応混合物を94℃で2分間インキュベーションして変性させ、65℃で2分間再度アニーリングした。連結反応は、
Tth DNAリガーゼの添加により開始し、65℃で30分間実施した。停止溶液(83%ホルムアミド、8.3mMEDTAおよび0.17%ブルーデキストラン)40μlを添加して反応を止めた。サンプルを93℃で2分間変性させ、迅速に氷で冷却し、その後、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲル上に20μlを充填した。電気泳動後、ゲルをホスホリメジャースクリーン(phosphorimager screen)に20分間さらした。放射性標識連結反応産物をMolecular Dynamics Phosphorimager (Sunnyvale, CA)にて分析し、Image-Quant ソフトトウェアを用いて定量した。
【0142】
Tth DNAリガーゼ遺伝子のアミノ酸配列は、2つの短い配列、K
118VDGとDGVVVK
294を含み、これらは、ヒトDNAリガーゼIの活性部位配列(KYDGQR)に似ている。ヒトDNAリガーゼIはコファクターとしてATPを必要とするのに対し、Tth DNAリガーゼではその代わりにNAD
+を使用し、酵素アデニレート(enzyme-adenylate)形成に対するそれらの活性部位が異なることもあり得る。配列K
118VDGは、配列DGVVVK
294以上にヒトDNAリガーゼI、IIIおよびIVの活性部位配列(KY/LDGXR)に似ており、アデニレーションについて両方の配列を試験した。
【0143】
部位特異的変異は、3つのアミノ酸部位K118、D120およびK294(
図11)で構築した。側鎖変更領域を暴露するために各部位に少なくとも4つの異なる単一アミノ酸置換を施した(
図11)。変異Tth DNAリガーゼをAK53細胞中で過剰発現させ、部分的に精製し、7.5%ポリアクリルアミド−0.1%SDSゲルで分析した(Barany, et al.,”Cloning, Overexpression, and Nucleotide Sequence of a Thermostable DNA Ligase Gene”, Gene 109:1-11(1991)、出典明示により本明細書の一部とする)。Tth DNAリガーゼ遺伝子を欠くプラスミドベクターで形質転換させたE.コリ細胞は、Tth DNAリガーゼの分子量範囲(76−81Kd)にはなんのタンパク質も示さなかったが、宿主細菌由来の熱耐性不純物が若干認識できる。野生型Tth DNAリガーゼおよびK294でアミノ酸置換した変異リガーゼは、電気泳動の際、二重バンドとして移動する。見かけの分子量が81Kdの上側のバンドは、アデニル化形態であるのに対し、下側の78Kdのバンドは、脱アデニル化形態である。同上。K118とD120の10の変異リガーゼのうち9つは、単一バンドとして移動した。例外はD120Eであり、その大多数がアデニル化形態として発現されたが、脱アデニル化形態も非常に少量見られた。
部分精製した変異Tth DNAリガーゼを、NAD
+の存在下でアデニレーションについて、また、ニック形成鮭精子DNAの存在下で脱アデニレーションについてアッセイした。試験した野生型酵素も全K294変異もNAD
+の存在下でアデニル化され、ニック形成鮭精子DNAと共にインキュベーションすると脱アデニル化される。
【0144】
【表1】
【0145】
K118部位での変異体は全て、NAD
+またはニック形成鮭精子DNAのいずれかで処理しても変化せず、これは、アデニレーションまたは脱アデニレーション反応における欠失の可能性を示す。同様に、変異体D120Vもまた、アデニレーションまたは脱アデニレーションにおける欠失を示した(表1)。変異体D120A、D120G、D120YおよびD120Nは、アデニレーションを受けた(下記参照)が、移動度変化は変異体の幾つかでは識別困難であった。E.コリ細胞から単離した場合、変異体D120Eタンパク質の殆どはアデニル化形態のままであり、これは、脱アデニレーション段階の際の欠失の可能性を示す。変異体D120Eと野生型酵素5μgをニック形成鮭精子DNA2.5μgと共にインキュベーションすると、野生型酵素は完全に脱アデニル化され、D120Eの殆どはアデニル化形態として残った(データ示さず)。しかしながら、変異体D120Eは、ニック形成鮭精子DNA量を25μg以上に上げると、実質的に脱アデニル化された。反応混合物にはβ−ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を添加していないので、この変更がアデニレーション段階の反転によるとは考えられない。よって、変異体D120Eは、DNA基質に対する親和性が低いか、またはAMP部分をDNA基質の5’ホスフェートに転移する速度が低いかのいずれかである。
【0146】
幾つかの変異体がSDSゲル上での移動度を変えずにアデニル化され得るという可能性を除外するために、[
32P]NAD
+を用いるアデニレーションも実施した。放射性基質でアッセイすると、K118変異体はどれもアデニル化されなかったが、野生型酵素からは強い放射性アデニル化酵素のバンドが得られた。このことは、K118が酵素アデニレート形成のためには必須であることを示す。D120部位での変異体はD120V以外は全て、野生型酵素の場合に匹敵する量の放射性AMPを取り込んでいた。しかしながら、オートラジオグラフィー後、ゲルをクマシー・ブルーで染色すると、変異体タンパク質D120YとD120Gは部分アデニレーションのみを示し、これは、放射性アッセイの感受性がより高いことを示す。変異体D120Aは、その電気泳動移動度を変えることなく、酵素アデニレートを形成したのに対し、変異体K118P1とK118P2はアデニレーションの結果としてではなく、リジンをプロリンに置換することにより生じたコンホーメーション変化によって移動度を変えた。よって、首尾よいアデニレーションでは、普通、コンホーメーション変化(SDSゲルでの移動度の変化により証明される)が観察されるが、酵素アデニレート複合体の形成を止める同一変異の幾つかによっても達成され得る。
【0147】
Tth DNAリガーゼの全活性に対するK118、D120およびK294でのアミノ酸置換の効果を、相補性アッセイおよびインビトロ連結反応アッセイ(表1)によって試験した。このインビトロアッセイでは、様々な濃度の野生型および変異Tth DNAリガーゼをニック形成DNA二本鎖基質(合成標的にハイブリダイズした2つのプローブから構成される)と共にインキュベーションし、連結反応産物を変性ゲルにて分離した。野生型Tth DNAリガーゼは、E.コリlig ts7宿主と相補であったが、K118とD120の変異は相補でなかった。K118変異体も全て、インビトロ連結反応活性を欠失していたが、予想外にも、幾つかのD120変異は、若干のインビトロ活性を保持した(表1)。変異体D120EとD120Nは、それぞれ6.2%と8.5%の活性を有したのに対し、D120Y、D120GおよびD120Aは全て、0.5%活性以下であった。D120Vではインビトロ活性はなんら検出されなかった。K294変異体は、二重変異K294P/G339E1つを除いて全て、42℃でのE.コリ lig ts7宿主増殖を支持し、並びに、顕著なインビトロ酵素活性を保持した。異常型クローンは、E.コリ lig ts7宿主と相補でなかったが、アデニレーションおよび脱アデニレーションに対して正常活性を示した。このクローンの配列決定により、K294Pに加えて第2変異のG339Eが明らかになった。更に、ホスホジエステル結合の形成にG339が関連する可能性を研究し、下記に論じる。
【0148】
K118、D120およびK294の単一アミノ酸置換に関する結果は、酵素アデニレート形成にとって重要であり、D120は脱アデニレーションを促進し、よって、K
118VDGがTth DNAリガーゼアデニレート(adenylate)形成部位であることが推論される。このことは、KXDGがNAD+依存性DNAリガーゼの活性部位であり得るという配列アラインメントからの予想を支持するものである。同様の結果が、部位指向性突然変異誘発法を用いて、ATP−依存性ヒトDNAリガーゼI(Kodama, K., et al., Nucleic Acids Res., 19: 6093-99 (1991)、出典明示により本明細書の一部とする)や、ワクシニアDNAリガーゼ(Cong, P., et al., J. Biol.Chem., 268: 7256-60 (1993)およびShuman, S., et al., Virology, 211: 73-83 (1995)、出典明示により本明細書の一部とする)についても報告された。ヒトDNAリガーゼIにおけるHisまたはArgによる活性部位Lys(K568)の置換、およびワクシニアDNAリガーゼにおけるAsnまたはArgによるK231の置換は、アデニレーション活性の損失を引き起こした。ヒトDNAリガーゼIにおける保存Asp(D570)位でのAsn、GluおよびGlnへの変異は、酵素アデニレート形成を低減させ、インビボ相補性の損失を引き起こした(Kodama, K., et al., Nucleic Acids Res., 19: 6093-99 (1991)、出典明示により本明細書の一部とする)。KEDGモチーフは、アデニル化ペプチドの質量分析(Thogersen, H.C., et al., Eur. J. Biochem., 14-: 325-29 (1985)、出典明示により本明細書の一部とする)と部位指向性突然変異誘発研究(Heaphy, S., et al., Biochemistry, 26: 1688-96 (1987)、出典明示により本明細書の一部とする)に基づき、T4 RNAリガーゼの活性部位として同定された。この酵素では、保存Asp(D101)のAsn、SerまたはGluによる置換は、酵素アデニレート形成に対して十分に許容されるのに対し、脱アデニレーションおよびホスホジエステル結合形成段階は、各変異により完全に保護されている。このAsp残基は置換3’−OH末端またはアデニレート基よりもむしろ置換5’−ホスフェート末端と相互作用することが示唆された。我々のD120置換も全て、相補性活性の損失を引き起こしたが(インビボ、42℃でアッセイ)、D120EやD120Nは依然として、インビトロ連結反応活性を保持した(65℃でアッセイ、表1参照)。故に、D120は明らかにTth DNAリガーゼにおける脱アデニレーションを促進するが、連結反応にとってはそれほど必須のものではない。この事実は、キャップ形成酵素とATP依存性リガーゼの研究に基づくShumanとSchwerによる同様の結論の確証となる(Shuman, S., et al., Molec. Microbiol., 17:; 405-10 (1995)、出典明示により本明細書の一部とする)。
【0149】
KTDGモチーフは、酵素グアニル酸形成に対する、ワクシニアウイルス(Cong, P., et al., J. Biol. Chem., 268: 7256-60 (1993)、出典明示により本明細書の一部とする)、S.cerevisiae(Fresco, L. D., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 6624-28 (1994))およびSschwer, B., et al., proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 4328-32 (1994)、出典明示により本明細書の一部とする)およびS. pombe(Shuman, S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 12046-50 (1994)、出典明示により本明細書の一部とする)のmRNAキャップ形成酵素の活性部位であることが論理的に導き出された。酵母tRNAリガーゼでは、アデニル化ペプチドを配列決定することによりアミノ酸配列KANGが同定された(Xu, Q., et al., Biochemistry, 29: 6132-38 (1990)、出典明示により本明細書の一部とする)。5種のキャップ形成酵素と14種のATP依存性DNAおよびRNAリガーゼを比較すると、RNAまたはDNA基質に対するヌクレオチジル結合および転移において役割を果たす5種の進化論的保存モチーフのスーパーファミリーが示唆される(Shuman, S., et al., Mole. Microbiol., 17: 405-10 (1995); Shuman, S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 12046-50 (1994)およびCong, P., et al., Molec. Cell. Biol., 15:6222-31 (1995)、出典明示により本明細書の一部とする)。これらの初期研究から、NAD
+要求リガーゼでの本研究に加えて、KXD/NGは、核酸基質において共有ホスホジエステル結合を形成するためのエネルギーを提供する、荷電酵素ヌクレオチド複合体を作るための普遍的な活性部位モチーフとしてみなすことができる。
【0150】
二重変異(K294/G339E)がリガーゼ活性を損失するという観察は、G339が連結反応の第3段階、即ち、ホスホジエステル結合の形成に重要であることを示す。この作用がG339部位での1つの変異により引き起こされるのであり、2つの変異の付加作用によるものではないことを確認するために、部位指向性突然変異誘発法によりG339位に単一アミノ酸置換を施した。部位特異的突然変異は、G339近くの保存陽性荷電アミノ酸であるR337位、およびC412、C415、C428およびC433にも施した(
図11)。Tth DNAリガーゼには4つのCys残基のみがあり、配列決定した5種のNAD
+−依存性細菌リガーゼの中で全て保存されていた。これらの4つのCys残基は、亜鉛結合部位を形成でき、細菌DNAリガーゼとDNA基質との相互作用に関与し得る(Thorbjarnardottir, S. H., et al., Gene, 161:1-6 (1995)、出典明示により本明細書の一部とする)。
【0151】
これら6部位で構築したTth DNAリガーゼ変異体は全て、NAD
+の存在下で酵素アデニレート複合体を形成でき、ニック形成鮭精子DNAの存在下で脱アデニル化された(表2)。全体的なリガーゼ活性に対する作用は、各変異毎に変わったが、インビボ活性とインビトロ活性を比較したところ、全体的に一定であった(表2)。
【表2】
【0152】
変異体R337QおよびR337Eは活性を損失し、イー・コリlig ts7宿主と相補的ではなかったが、変異体R337Kは部分的インビトロ活性および相補性を維持した。G339のAla、AspまたはGluによる置換は、総てインビボおよびインビトロの両方で酵素を不活性化した。C412において、Alaによる置換はインビボおよびインビトロの両方で効果を有しなかったが、Val、ThrおよびMetによる置換は、総ての酵素活性の損失をもたらした。同様の結果がまたC428でも見られた。C415部位の4つの変異のうち3つ(C415A、C415VおよびC415T)、総てが相補性および酵素活性を保持した。変異が酵素熱不安定性を付与し得るが、C415Mがこのような乏しい酵素活性(65℃でアッセイ)で相補性活性(42℃でアッセイ)を保持するか、理由は明らかではない。比較して、C433部位(C443A、C443V、C443TまたはC443M)での総ての変異は相補性および酵素活性の両方の損失をもたらした。
【0153】
多くのDNAリガーゼのアデニレーション活性部位が十分定義されているが、ホスホジエステル結合の形成の可能性の有る部位はあまり理解されていないままである。残基G339およびC433は、連結反応のこの第3段階に関与し得る。なぜなら、両方の部位での保存的変異が最初の2つの段階であるアデニル化および脱アデニル化に作用することなく総ての酵素活性を失わせるためである。残基G339は酵素活性に重大な局所構造を可能にし得るか、またはペプチド骨格を介して、Ala、GluまたはAsp置換と不適合である方法でDNA基質と相互作用する。グリシン残基は、これらの変異が酵素−グアニレート形成により妨害されるが、mRNAキャッピング酵素において必須の役割をになう(出典明示により本明細書の一部とするShuman, S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:12046-50 (1994)およびCong, P. et al., Molec. Cell. Biol., 15:6222-31 (1995))。残基R337、C412およびC428は、連結反応の第3段階で、非保存的変異のみがこの段階で活性の損失をもたらすため、間接的であるが、必須ではない役割を担う。これらの5つの残基での総ての変異に関して、NAD
+存在下での酵素−アデニレート複合体を形成する能力、およびニックDNA基質存在下での脱アデニル化の能力により示されるようなこれらの変異体による劇的な広い構造の変化はなかった。連結反応の第3段階の活性部位は、最初の2つの段階と十分区別し得る。これらの活性部位は互いに無関係に機能し、一つの部位での障害が他の活性に影響し得ない。
【0154】
要約として、部位特異的変異誘発実験を、TthDNAリガーゼの活性部位の同定のために行った。TthDNAリガーゼのアデニル化活性部位および促進された脱アデニル化部位はモチーフK
118VDGのLysおよびAsp残基として同定された。これらの結果は、DNAリガーゼ(出典明示により本明細書の一部とするKodama, K., et al., Nucleic Acids Res., 19:6093-99 (1991);Cong, P., et al., J. Biol. Chem., 268:7256-60 (1993)およびShuman, S., et al., Virology, 211:73-83 (1995))、T4RNAリガーゼ(出展明示により本明細書に包含させるHeaphy, S., et al., Biochemistry, 26:1688-96 (1987))およびmRNAキャッピング酵素(出典明示により本明細書の一部とするCong, P., et al., J. Biol. Chem., 268:7256-60 (1993);Fresco, L. D., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:6624-28 (1994);Schwer, B., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:4328-32 (1994);Shuman, S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:12046-50 (1994);およびCong, P., et al., Molec. Cell. Biol., 6222-31 (1955))の活性部位における他の変異誘発実験と一致する。共に、KXD/NGが酵素−ヌクレオチド複合体の形成の活性部位モチーフであるという考えを支持する。残基G339およびC433での変異はアデニル化および脱アデニル化を阻害しなかったが、総ての活性を無くし、これらの二つのアミノ酸残基が連結反応の第3段階であるホスホジエステル結合の形成に関与し得ることを示す。
【0155】
実施例9 − オリゴヌクレオチドプローブの合成
オリゴヌクレオチドプローブは、Applied Biosystems Division of Perkin-Elmer Corporation (Foster City, CA)の試薬およびモデル394自動DNA合成装置を使用して合成した。フルオレッセント標識を6−FAM(6−カルボキシフルオレッセイン)アミデイトを使用してオリゴヌクレオチドの5’末端に結合したか、またはApplied Biosystems Division of Perkin-Elmer Corporation Applied Biosystems DivisionのNHS−FAM(FAMのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)を使用して、3’−アミノ基(Glen ResearchのC
3−CPGカラム(Sterling, VA))に結合した。一般的ヌクレオチド同族体であり、本明細書でQと呼ぶ1−(2’−デオキシ−b−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロールを、記載(出典明示により本明細書の一部とするBergstrom, D. E., et al., JACS, 117:1201-1209 (1995))のように合成し、ホスホロアミデイトに形質転換し、オリゴヌクレオチド合成した。本実験で使用した総てのオリゴヌクレオチドをポリアクリルアミドゲル電気泳動で、DNAのゲルスライスからの回収をWaters Division of Millipore (Bedford, MA)のC
18−Sep-Pak Cartridgesを使用して行った。
【0156】
実施例10 − オリゴヌクレオチドプローブの5’−リン酸化
ゲル精製オリゴヌクレオチド1nmoleを、50mMトリス−HCl、pH7.6、10mM MgCl
2、1mM EDTA、10mM DTT、1mM ATPおよび10単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs, Beverly, MA)を含む25μl反応物中で、37℃で45分、リン酸化した。反応を0.5M ETDA 0.5μlの添加により停止させ、キナーゼを64℃で20分インキュベートすることにより熱不活性化した。リン酸化オリゴヌクレオチドを使用まで5μl量で−20℃で貯蔵した。
【0157】
実施例11 − 野生型および変異TthDNAリガーゼの精製
野生型TthDNAリガーゼを、phoAプロモーターコントロール下にTthリガーゼ遺伝子を含むイー・コリ株から、いくつか修飾しながら記載(出典明示により本明細書の一部とするBarany, F., et al., Gene, 109:1-11 (1991))のように精製した。簡単に、細胞を一晩30℃で低リン酸(誘導)培地で生育させ、回収し、融解緩衝液(20mMトリス−HCl pH8.5、1mM EDTA、10mM 2−メルカプトエタノール、0.15M PMSF)に再懸濁し、超音波処理(出典明示により本明細書の一部とするBarany, F., et al, Gene, 109:1-11 (1991))した。細胞残骸の除去後、上清を20mMトリス−HCl pH8.5、50mM KCl、10mM MgCl
2、0.5mM EDTA、1mM DTTおよび2mM 2−メルカプトエタノールに調節し、65℃で30分インキュベートし、4℃で遠心することにより浄化した。上清を等量の10mMトリス−HCl、pH7.6、0.5mM EDTAで希釈し、濾過し、20mMトリス−HCl、pH8.5、50mM KCl、1mM EDTA、20%グリセロールで平衡化した10ml Red-Sepharoseカラム(Pharmacia)に充填した。タンパク質を、PharmaciaのFPLC装置を使用して、50mMから1M KClの30ml直線塩勾配で溶出した(出典明示により本明細書の一部とするTakahaski, M., et al., Agric. Bio. Chem., 50:1333-1334 (1986))。TthDNAリガーゼは0.4−0.8M KClの間で溶出し、純粋Tthリガーゼ(クーマシー染色7.5%ポリアクリルアミド−0.1%SDSポリアクリルアミドゲルでアデニル化および脱アデニル化形のダブレットとして見られる)を含むDNAフラクションをプールした。酵素を等量の飽和硫酸アンモニウムで沈殿し、ペレットを1.5ml dH
2Oに溶解し、10mMトリス−HCl、pH8.5、1mM EDTA、1mM DTT、0.2mg/ml BSAおよび50%グリセロール含有貯蔵緩衝液500mlに対して4℃で透析した。タンパク質濃度をブラッドフォード法(出典明示により本明細書の一部とするBradford, M.M., Anal. Biochem., 72:248-254 (1976))により測定した。約4mgのTthDNAリガーゼを450mlの培養から得た。変異体TthDNAリガーゼを先に記載のように部分的に精製した。
【0158】
実施例12 − TthDNAリガーゼによるニック閉鎖の適合性アッセイ
各反応を、ニックDNA二本鎖基質で、20mMトリス−HCl、pH7.6;10mM MgCl
2;100mM KCl;10mM DTT;1mM NAD
+;および12.5nM(100fmoles)を含む緩衝液40μl中で行った。DNAプローブを変性(94℃で2時間)し、再アニール(65℃で2分)し、0.12nM(5fmoles)TthDNAリガーゼの添加により連結反応を開始し、65℃で行った。5μl量を0時間、2時間、4時間、6時間、8時間および23時間に取り、停止溶液(83%ホルムアミド、83mM EDTAおよび0.17%ブルー・デキストラン)18μlと混合した。この混合物5μlに、レーン内標準で蛍光標識したROX−1000 0.5μlを添加した。サンプルを93℃で2分変性し、氷で急速に凍結させ、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに充填し、モデル373A自動DNAシークエンサー(Applied Biosystems Division of Perkin-Elmer Corporation)で1400V(一定ボルト数)で電気泳動した。電気泳動条件は、製造者の指示通りであった。ゲルを1.2×TBE(54mMトリス−ホウ酸および1.2mM EDTA、pH8.0)中で重合化し、0.6×TBE(27mMトリス−ホウ酸および0.6mM EDTA、pH8.0)の流動緩衝液で、30分、サンプルの正常流と逆の電極極性で予め流し、サンプルを充填した。予め流し、サンプルを充填した後、ゲルを正常の頂上から下の方向で2.5時間流した。蛍光標識した連結反応産物を分析し、Genescan 372 ヴァージョン1.2ソフトウエア(Applied Biosystems Division of Perkin-Elmer Corporation)を使用して定量し、結果をDeltaGraph Pro3ソフトウエア(DeltaPoint, Inc. Monterey, CA)を使用してプロットした。
【0159】
実施例13 − TthDNAリガーゼによる完全マッチおよびミスマッチ連結反応の初速度の測定
これらの実験の条件は、図面の簡単な説明に示すように異なる量のTthDNAリガーゼおよび異なるプローブを使用する以外、適合性アッセイと同じであった。反応を12.5nM(2pmoles)のニックDNA二本鎖基質含有反応緩衝液160μl中、65℃で行った。DNAプローブおよび標的を反応混合物を94℃で2分インキュベートすることにより変性し、65℃で2分再アニールした。連結反応をTthDNAリガーゼの添加により開始した。一定量(10μl)をミスマッチ基質含有反応については0、2、4、6、8および10時間に:およびマッチ基質含有反応については0、10、20、30、40、50、60および70秒に回収した。マッチ基質を使用したアッセイのために、2.5μlサンプルを2.5μl充填緩衝液、0.5μl ROX−1000と混合し、ゲル電気泳動をした。373ADNAシークエンサーでのフルオレッセントサンプルの直線検出範囲が0.1fmolから10fmolの範囲であるため、1%より少ない収率のミスマッチ連結反応の産物を正確な定量のためにエタノール沈殿により濃縮した。10μl量から、9.5μlをTE緩衝液(10mMトリス−HCl、pH8.0、1mM EDTA)で200μlとし、担体としての酵母tRNA 4μgとエタノール沈殿させた。ペレットを5μl充填緩衝液および0.5μl ROX−1000に再懸濁し、ゲル電気泳動した。未反応フルオレッセントプローブの量を、10μl量の0.5μlを4.5μl充填緩衝液と0.5μl ROX−1000で希釈することにより測定した。サンプルを変性ポリアクリルアミドゲルで分離し、得られたものを上記のように分析した。初速度をx軸が時間、y軸が産物の収率であるグラフの直線の傾斜から計算した。
【0160】
実施例14 塩基同族体およびニックの3’側の3位にミスマッチを含むオリゴヌクレオチドプローブの製造
塩基同族体またはニックの3’側の3位にミスマッチを挿入することにより、TthDNAリガーゼを使用したLDR反応の適合性を改善する可能性を試験するために、オリゴヌクレオチドプローブを設計した。これらの10個の識別したプローブを5つの対に分けた。各対の二つのプローブは3’末端の一つの塩基が異なる(”C”または”T”)。3’末端に”C”を有するプローブは、”T”プローブより5’末端に二つ多い塩基を有し、配列決定ゲルにおける連結反応産物の区別を可能にする。3’末端から3位の塩基同族体”Q”および他の塩基は下線を引く。ニックDNA二本鎖基質を左側プローブの一端 (例えば、SLP3’TTT)、および共通蛍光標識プローブCom610-3’Fを鋳型プローブ(例えば、GLg.m3A)にアニールすることにより形成する。この基質はニックの3’側にT−Gミスマッチを含む。ミスマッチおよび完全マッチ連結反応産物の正確な定量は、Genescanプログラムを使用した蛍光標識産物の走査により達成できる。完全マッチ連結反応の、ミスマッチ連結反応を超える初速度は、LDR反応のマッチ性を示す。余分のミスマッチまたは塩基同族体を、適合性を改善するためにニックの3’側の3位に挿入した。
図17Aにおいて、プローブSLP3’Q2TC、SLP3’Q2TT、SLP3’TTCおよびSLP3’TTTを標的GLg.m3Aで使用し、3’側から3位のT:Aマッチと比較して増加したマッチ性におけるQ2:Aの寄与を試験した。SLP3’TTCおよびSLP3’TTTプローブを標的Glg.m3AおよびAlg.m3Aの組み合わせで使用し、共通標的(正常DNA)の過剰における、少ない標的(癌変異)の検出の試験をした。
図13Bにおいて、プローブSLP3’ATCおよびSLP3’ATTを標的GLgに使用し、3’側の3位におけるG:Cマッチと比較して改善されたマッチ性におけるA:Cの寄与を試験した。
図17Cにおいて、プローブSLP3’Q2TC、SLP3’Q2TT、SLP3’Q18TC、SLP3’Q18TT、SLP3’GTCおよびSLP3’GTTを標的GLg.m3Tに使用し、3’側から3位のT:Aマッチと比較して増加した適合性におけるQ2:T、Q18:TまたはG:Tの寄与を試験した。
【0161】
実施例15 − フルオレッセントアッセイ
図13A−Cに示されるように、4つの長さGLg、ALg、TLgまたはClgの一つ(
図13Cに示す)を、下線塩基で変化する鋳型標準として使用した。
図13A−Bは、鋳型鎖の一つ、例としてALgを使用したニックDNA二本鎖の形成を示す。
図13Aに示すように4つの異なるニックDNA基質は、共通蛍光標識オリゴ、com5Fおよび識別したオリゴ(RP5’A,RP5’C、RP5’G、RP5’T)を鋳型鎖ALgにアニールすることにより形成する。
図13Bにおいて。4つの異なるDNA基質を、蛍光標識オリゴcom3Fおよび識別したオリゴ(LP3’A、LP3’C、LP3’G、LP3’T)を鋳型鎖ALgにアニールすることにより形成する。ニックDNA二本鎖のマトリックスは、ALgが以下の鋳型鎖、GLg、TLgおよびCLgで置き換わった場合、ニックの3’および5’側マッチおよび三つマッチ塩基対の可能な総ての組み合わせで形成する。共通蛍光標識への連結反応により形成された産物は、異なる長さの”A”テイルの取りこみにより、変性ポリアクリルアミドでのサイズにより識別できる。
これらのプローブ(
図14に示す)は、ヒト真核成分タンパク質合成開始因子eIF−4E(出典明示により本明細書の一部とするRychlik, W., et al., ”Amino Acid Sequence of the mRNA Cap-Binding Protein From Human Tissue”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:945-949 (1987))から由来する。真核生物源由来のランダムDNA配列をTthDNAリガーゼ調製物における可能性のある細菌DNA汚染に起因する誤シグナルを避けるために選択する。プローブの融解温度は、最も近い近接熱力学法を使用して予測した(出典明示により本明細書の一部とするBreslauer, K. J., et al., ”Predicting DNA Duplex Stability From the Base Sequence”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:3746-3750 (1986))。National Biosciences Inc., Plymouth, MN由来のOLIGO4.0プログラムを、可能性の有るヘアピン構造、反復配列および誤プライミングを除外するために使用した。このアッセイのための鋳型および検出オリゴヌクレオチドは、融解温度がアッセイ(65℃)で使用する温度よりも十分高いように設計し、連結反応作用におけるプローブの融解温度の作用を最小とする。
【0162】
総てのオリゴヌクレオチドプローブを、Applied Biosystems Division of Perkin-Elmer Corporation, Foster City, CAの試薬および394自動DNA合成装置を使用して合成した。5’末端に結合した蛍光色素である6−FAM(6−カルボキシフルオレッセイン)を有するオリゴヌクレオチドの合成を、Applied Biosystems Division of Perkin-Elmer Corporation由来の6−FAMアミデイトを使用して行った。最初のDNA合成のために3’FAMを有するオリゴヌクレオチドを、Glen Research (Sterling, VA)からの3’−アミノ変更遺伝子c3-CPGカラムを使用して製造し、次いでFAM基を、Applied Biosystems Division of Perkin-Elmer CorporationからのNHS−FAM(FAMのN−ヒドロキシルスクシンイミドエステル)を使用して3’−アミノ基を介して結合させた。本実験に使用した総てのオリゴヌクレオチドは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で精製し、Waters Division of MilliporeのC-18 Sep Pak Caridgesを使用して、ゲルスライスからDNAをゲルから回収した。
【0163】
オリゴヌクレオチドプローブRP5’A、RP5’C、RP5’G、RP5’TおよびCom3’Fは、50mMトリス−HCl、pH7.6、10mM MgCl
2、1mM EDTA、10mM DTT、1mM ATP、1nmoleのゲル精製オリゴヌクレオチドおよび10単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs, Beverly, MA)含有溶液中、37℃で45分、5’−リン酸化した。反応を0.5μlの0.5M EDTAの添加により停止させ、キナーゼを64℃で20分、インキュベーションすることにより熱不活性化した。リン酸化オリゴヌクレオチドを−20℃で、一定量で使用まで貯蔵した。
【0164】
TthDNAリガーゼのフルオレッセント適合性アッセイは、20mMトリス−HCl、pH7.6;10mM MgCl
2;100mM KCl;10mM DTT;1mM NAD
+;そして500fmol(12.5nM)のニック二本鎖基質含有緩衝液40μl中で行った。DNAプローブを反応混合物を94℃で2分インキュベートすることにより変性し、65℃で2分、再アニールした。連結反応を5fmolの熱安定リガーゼの添加により開始し、65℃で行った。5μl量を0時間、2時間、4時間、6時間、8時間および23時間に回収し、停止溶液(83%ホルムアミド、8.3mM EDTAおよび0.17%ブルー・デキストラン)18μlと混合した。この混合物5μlを93℃で2分変性させ、氷で急速に冷凍し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルに充填し、Applied Biosystem Division of Perkin-Elmer Corporation, Foster City, CAの373A自動DNAシークエンサーで電気泳動した。蛍光標識連結反応産物を、Genescan 672ソフトウエア(Applied Biosystem Division of Perkin-Elmer Corporation, Foster City, CA)を使用して分析および定量した。Genescan 672ソフトウエアは、ゲルイメージならびに各レーンの各ピークのピーク高およびピーク領域を含む表の形で分析データを提供する。典型的に2つのバンドが各反応を代表する各レーンで見られた。低部は遊離フルオレッセント共通オリゴヌクレオチド、上部は連結反応産物の上部鎖であった。パーセントで示す産物の収率は、産物割る総ての最初の基質×100で計算した。産物の量は適当な連結反応産物のピーク領域として計算した。最初の基質の量は、産物ピークのピーク領域に遊離フルオレッセントオリゴヌクレオチドピークのものを足して計算した。結果はX軸が時間およびY軸が収率として、DeltaGraph Pro3ソフトウエア(DeltaPoint, Inc. Monterey, CA)を使用してプロットした。
【0165】
野生型Tthリガーゼ適合性の試験の方法
ニック基質を使用したフルオレッセントアッセイは、TthDNAリガーゼ適合性を試験するために開発された。ニック二本鎖基質を二つの隣接オリゴヌクレオチドプローブ(その一つはフルオレッセント色素FAMを含む)を長い相補的鋳型(底)鎖(配列は
図13参照)にアニールすることにより製造した。明瞭にするために、蛍光標識ラベルプローブを共通オリゴヌクレオチドと定義し、一方その末端に試験塩基を含むプローブを識別オリゴヌクレオチドと呼ぶ。14オリゴヌクレオチド(
図14)のセットを、ニックの3’および5`位に異なる1塩基対マッチおよびミスマッチの可能性の有る総ての組み合わせを製造するために使用した。両方の共通および識別オリゴヌクレオチドは、その融点が、アッセイ温度(65℃)よりも少なくとも10℃高いように設計した。これは、恐らく連結反応能率におけるオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションの相違の効果を最小とする。連結反応時間は23時間まで延び、ミスマッチ連結反応産物の正確な定量を可能とする。二つの隣接オリゴヌクレオチドの連結反応は、長いフルオレッセント産物を形成し、これを変性ポリアクリルアミドゲルで分離し、分析した。
野生型TthDNAリガーゼによるニック閉鎖の適合性
識別塩基がニックの3’側に存在する場合、TthDNAリガーゼによるニック閉鎖の時間経過を表3に記載し、
図15に示す。
【0166】
【表3】
【0167】
図15における各パネルは、同一の識別オリゴヌクレオチドと共通オリゴヌクレチドが単塩基で異なる4個の鋳型鎖にアニール化して得られる産物の収率を示す。すべての完全にマッチした基質は2時間以内に80%を超える産物を与えた(
図15)。ニックの3’側で試験された12のミスマッチの内、T‐GおよびG−Tミスマッチは識別性で劣り、2時間後に約2%の収率、23時間のインキュベイションで約15%の蓄積を示した(
図15)。Tth DNAリガーゼによる種々の3’側ミスマッチの識別化のこれらの結果はT4 DNAリガーゼでの報告と似ている(Landegren, U., et al., Science, 241:1077-1080(1988)、引用により本明細書の一部とする)。しかし、Tth DNAリガーゼはミスマッチ連結を抑制するために高濃度の塩、スペルミジンまたは非常に低い酵素濃度を必要としない(Wu, D.Y., et al., Gene, 76:245-254(1989)およびLandegren, U., et al., Science, 241:1077-1080 (1988)、引用により本明細書の一部とする)。
【0168】
ミスマッチがニックの5’側に位置するときは、酵素はA−G、C−C、G−GおよびT−Cミスマッチに対してなお厳密な識別化を示す。この実験の結果は表4に記録され、
図16にプロットされている。
【0169】
【表4】
【0170】
A−C、A−A、C−A、G−AおよびT−Tミスマッチの連結反応収率は、ニックの3’側に置かれたとき延長されたインキュベイション(23時間)後に僅かに検出できる程度であるが、ニックの5’側に置かれたときはかなり顕著となる。等電子(isosteric)ミスマッチ基質、G−AとA−GあるいはC−TとT−Cの間で観察される異なった連結反応比は、これらの比が、他の要因、多分隣接する塩基との重積相互作用によって影響されることを示唆している。結局、これらの結果は、Tth DNAリガーゼが、ニックの3’側のすべてのミスマッチを、ニックの5’側のミスマッチよりも効果的に識別することを示す。
【0171】
もし連結反応適合性が結合近隣の塩基対の累積安定性に主として依存するのであれば、内部安定性は、ニックの3’側よりはニックの5’側のDNA配列で高く予測されたであろう。内部安定性は5個の連続する塩基の自由エネルギーの和として計算され、ニックの5’側でより低いことが分かった(National Biosciences Inc., Plymouth, MNのOligo 4.0 Programを用いて計算)。従って、Tth DNAリガーゼによるニック3’側のミスマッチに対して観察されたより高い適合性は識別性オリゴヌクレオチド内の特定の配列によって生じたものではなく、この酵素によって認識されるニック構造の特定の要求によったものである。
【0172】
ニックの5’側のものに比してニックの3’側に位置するミスマッチの改善された識別は、バクテリオファージT4 DNAリガーゼを用いてA−AおよびT−Tミスマッチに関して報告されている(Wu,D.Y., et al., Gene, 76:245-254(1989)、引用によって本明細書の一部とする)。この相違は、(i)5’側に使用した14量体プローブよりも3’側で使用した8量体プローブのアニール化を不安定化した単塩基ミスマッチか、(ii) T4 DNAリガーゼの本質的な特徴によるものとされた(Wu,D.Y., et al., Gene, 76:245-254(1989)、引用によって本明細書の一部とする)。これらの結果は、このアッセイに使用したオリゴヌクレオチドが長さおよび融解温度で類似していたから、第2の仮説を支持する。ワクシニア・ウイルス・リガーゼの詳細な解析は、5’側の全てのミスマッチは3’側のミスマッチよりも効率的に連結されることを示した(Sheman, S., Biochem.,34:16138-16147(1955)、引用によって本明細書の一部とする)。同様の結果が、サッカロミセス・セレヴィシエからのDNAリガーゼでも示されているが、ニックの5’側で試験されたミスマッチはニックの3’側のそれと同じではなかった(Tomkinson, A.E., et al., Biochemistry, 31:11762-11771(1992)、引用によって本明細書の一部とする)。また、ニックの3’側AP領域はニックの5’側AP領域に比して、より効率悪く連結した(Goffin, C., ert al., Nucleic Acids Res., 15(21):8755-8771(1987)、引用によって本明細書の一部とする)。従って、ニックの5’側に比して、ニックの3’側では正準構造に対するより厳格な要求が全てのDNAリガーゼに対して一般的のようである。
【0173】
TthおよびT4 DNAリガーゼによる3’側のT−GまたはG−Tミスマッチに対するより低い適合性は、DNAポリメラーゼの適合性を反映している。DNAポリメラーゼの誤挿入よって形成される最も共通のミスペアはTと対をなすGを含むが、DNAポリメラーゼ、アッセイ法および検討された特定の領域によって本質的な変動が見られる(Echols, H., et al., Annu. Rev. Biochem., 60:477-511(1991)、引用によって本明細書の一部とする)。G−T、A−CおよびG−Aミスペアが大腸菌pol IIIによって許容される最も頻繁なものであることが、インビボでも(Schaaper, R.M., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:8126-8130 (1988)、引用によって本明細書の一部とする)、インビトロでも(Sloane, D.I., et al., Nucleic Acids Res., 16:6465-6475 (1988)、引用により本明細書の一部とする)示されている。さらに、3’ミスマッチプライマーのTaqDNAポリメラーゼ伸延反応は、低dNTP濃度で他のミスマッチよりT−GおよびG−Tミスマッチでより効率的であった(Kwok, S., et al., Nucleic Acids Res., 18:999-1005 (1990)、引用により本明細書の一部とする)。二重DNAオリゴヌクレオチドにおける変形塩基対の構造についてのNMRおよびX線結晶回折分析は、G−T、A−CおよびG−Aペアが正常のワトソンークリック塩基対から僅かな規模で異なる”揺らぎ”(wobble)構造として存在することを示した(Hunter, W.N., et al., Nature, 320:552-555 (1986)およびPatel, D.J., et al., Fed. Proc. Fed. Am. Soc. Exp. Biol., 43:2663-2670 (1984)、共に引用により本明細書の一部とする)。よく重積した揺らぎ対は、ワトソンークリックモデルにより近似して、重積不充分の塩基対より安定な構造をもたらすことが示唆された。細菌性および哺乳類のDNAリガーゼは共に、3’側のG−AまたはA−Gミスマッチを含む全てのプリンープリンミスマッチに対して非常に高い適合性を持ち(Landegren,U., et al., Science, 241:1077-1080 (1988); Husain, I., et al., J. Biol. Chem., 270:9683-9690 (1995) およびShuman, S., Biochem., 34:16138-16147 (1995)、すべて引用により本明細書の一部とする)、塩基対の安定性はリガーゼの適合性に影響する優先的要因ではないことを示唆する。さらにまた、関連するワクシニア・ウイルス・リガーゼおよび哺乳類リガーゼIIIは共に、G−TミスマッチよりC−Tミスマッチに対してさらにより低い適合性を示すが(Husain, I., et al., J. Biol. Chem., 270:9683-9690 (1995)およびShu,am, S., Biochem., 34:16138-16147 (1995)、引用により本明細書の一部とする)、TthおよびT4 DNAリガーゼはG−Tミスマッチに対してより低い適合性を持ち(Landegren,U., et al., Science, 241:1077-1080 (1988)、T4リガーゼに関して引用により本明細書の一部とする)、Tth DNAリガーゼは3’側C−Tミスマッチに対して事実上誤連結を行わない。このように、リガーゼの適合性は、ミスマッチ塩基対の増大した安定性と減少したヘリックスのひずみとの間の総和によるばかりでなく、個々のリガーゼ蛋白の特異的構造因子よって影響される。
【0174】
Tth DNAリガーゼの適合性改善
T4 DNAリガーゼの適合性は特異性比として表されてきたが、これは1単位の酵素で30℃において100nMの鋳型の存在下、マッチ対ミスマッチの鋳型で生成する連結産物の比として定義される(Wu, D.Y., et al., Gene, 76:245-254 (1989)、引用により本明細書の一部とされる)。高い塩濃度(200mM)では、T−Tミスマッチに対する特異性比は6から60に、A−Aミスマッチに対しては1.5から40に、増加した。このより厳しい条件は、またKmを4倍に増加させ、Vmaxを凡そ30倍に減少させる(Wu,D.Y., et al., Gene, 76:245-254 (1989)、引用によって本明細書の一部とする)。S.セレヴィシエのDNAリガーゼIの適合性は3ないし900ngの酵素の存在下、20℃で30分間、完全マッチ対ミスマッチを含む基質での連結反応効率として定義される(Tomkinson, A.E., et al., Biochemistry, 31:11762-11771 (1992)、引用によって本明細書の一部とする)。このDNAリガーゼの効率は、ニックの3’側にT−Gミスマッチが存在するときは50倍減少することが見出された。その連結反応効率は、ニックの3’側にC−Tミスマッチが、そして同じ基質の5’側にT−Cミスマッチが存在するときは100倍以上減少した。異なったDNAリガーゼ適合性を上記二つの条件で比較することは、異なったインキュベイション時間および基質の使用によって変化するので、困難である。
【0175】
異なった基質および酵素での比較を標準化するために、Tth DNAリガーゼの適合性を、ミスマッチ連結反応の初速度に対するマッチ連結反応の初速度の比として定義する。ニックの3’側にミスマッチを含む基質の内、T−GまたはG−Tミスマッチは最も識別困難であり、そのためTth DNAリガーゼの適合性比を決定する標準的アッセイとして使用された。65℃におけるT−Cミスマッチ連結反応に対するC−G完全マッチ連結反応の初速比はTth DNAリガーゼによる適合性比4.5x10
2を与えた(
図18、1列)。より短い識別プローブの使用は(Tm凡そ65℃)完全マッチ連結反応を劇的には変えず、ミスマッチ連結反応を減少させた。こうして、ミスマッチプローブの不安定化は適合性比を凡そ3倍、1.5x10
3に改善した(
図18、2列)。このTth DNAリガーゼの適合性比は、T4 DNAリガーゼについて報告されているよりは、ここで使用されているG−Tミスマッチよりは遥かに識別し易いG−Tミスマッチについて、少なくと24倍高い(Wu, D.Y., et al., Gene, 76:245-254 (1989)、引用により本明細書の一部とされる)、
図15参照。
Tth DNAリガーゼの優れた特異性は、変異対立遺伝子(A−Tマッチ)を野生型配列(G−Tミスマッチ)の200倍モル過剰の存在下に検出するためのリガーゼ連鎖反応(すなわちLCR)で利用された(Balles, J., et al., Mol. Gen. Genet., 245:734-40 (1994)、引用によって本明細書の一部とする)。いくつかの医学的DNA検出にはさらに大きな特異性が要求されるであろう。酵素−基質相互反応を不安定化することによってTth DNAリガーゼの適合性比を改善する二つの方法が、下に述べるように考案された。
【0176】
DNA基質の修飾によるTth DNAリガーゼの適合性の改善
対立遺伝子特異的PCRのための優れた方法は、識別3’塩基に隣接する意図的ミスマッチを持つプライマーの使用に基づいている(Cha, R.S., et al., PCR Methods and Applications, 2:14-20 (1992)およびRust, S., et al., Nucleic Acids Res., 21(16):3623-3629 (1993)、引用によって本明細書の一部とする)。この不安定化ミスマッチは正しい標的対立遺伝子のTaqポリメラーゼ伸延を劇的には阻害しなかったが、他の対立遺伝子の二重ミスマッチのため不正対立遺伝子の伸延効率を100ないし1000倍の因数で減少させた(Cha, R.S., et al., PCR Methods and Applications, 2:14-20 (1992)、引用によって本明細書の一部とする)。
【0177】
この方法は、ニックの3’側の第3位にA−Cミスマッチを意図的に導入することによる連結反応での使用に適合された(
図18、3列 完全マッチおよびミスマッチDNA両基質で太字で示されている)。当初の完全マッチの基質はここでは1個のミスマッチを持ち、当初のミスマッチ基質はここでは2個のミスマッチを有する(1個はニックの3’側の右に、他は同じプローブの3’側の3塩基に)。3位のこのA−Cミスマッチは、5fmolのTth DNAリガーゼを用いる3’マッチ(C−G)基質の連結反応効率を殆ど10倍減少させる(データは示していない)。正常な完全マッチ連結反応のそれに対応する初速度を得るために酵素の量を50 fmolに増量した。リガーゼ適合性比はさらなるミスマッチを導入することによって約4倍(5.8x10
3まで)増大した(
図18、3列)。内部ミスマッチは、ニックに完全マッチを含むプローブより、ニックに3’ミスマッチを含むプローブに対して、ニック近隣の構造へのより大きい不安定化効果を示す。それゆえに、リガーゼの全適合性は改善された。同様の結果(4倍増)はまた、T−GまたはG−Tミスマッチがニックの3’側の同じ3位に導入されたときにも得られた(データは示していない)。もしさらなるミスマッチ(C−A)がニックの3’側の2位に導入されると、Tth DNAリガーゼによるニックの3’側の完全マッチの連結反応は強く阻害された(2位にミスマッチがない場合により175倍低下)。反対に、TaqDNAポリメラーゼはプライマーの3’末端の2位でのさらなるミスマッチよって影響されなかった(Cha, R.S., et al., PCR Methods and Applications, 2:14-20 (1992)、引用によって本明細書の一部とする)。PCRとLCRの重要な相違は、隣接するミスマッチは初期のPCRサイクルの間標的からの伸延に影響するだけであるのに、LCRでは標的および産物上での連結反応はLCR反応の各サイクルを通じて影響される点にある。
【0178】
ミスマッチ塩基対に代わるものとして、ユニバーサルヌクレオシド類似体は、近隣のミスマッチをなお不安定化するが、完全マッチの基質でDNAヘリックスの完全性を維持し、従ってさらに連結反応適合性を改善する。天然ヌクレオチドの代わりに多くの場所にヌクレオチド同族体である3−ニトロピロールデオキシリボヌクレオチド(Q)を含むオリゴヌクレオチドが配列決定およびPCRプライマーとして効果的に機能することが示されている(Bergstrom, D.E., et al., JACS., 117:1201-1209 (1995)およびNichols, R., et al., Nature, 369:492-493 (1994)、引用によって本明細書の一部とする)。3−ニトロピロールは、4種の天然塩基の何れに対しても適合できるのに充分なほどに小さく、かつ高度に極性化したパイ電子構造のために高度の重積可能性を有しているので、ヘリックス状態の保存を可能にすると推定される。オリゴヌクレオチドを含むQに関するTmの研究はQ塩基対が比較的小さい小さい識別性(ΔTm=3℃)を持つことを示すが、Q−A(最も安定)、Q−T、Q−CおよびQ−G(最も不安定)の安定性はA−TまたはC−G塩基対のそれより有意に低い。従って、Qは、もしそれが3’末端から3塩基の位置に存在するなら、あたかも3’位のミスマッチと関連して存在するかの様に部分的融解を著しく増大するが、同時に3’末端の塩基対マッチと関連して存在するミスマッチよりもヘリックス状態に保存的である。配列SLP3’QTCおよびSLP3’QTTをTth DNAリガーゼの連結反応基質として試験すると、さらに良好な適合性比(9倍増加)が得られた(
図18、4列)。鋳型ストランド上の塩基がCからAに変わっていることに注意。完全マッチ連結反応の初速度からわかるように、Q塩基同族体は、AおよびTと同等に良く、Cとはそれより劣るが良く、Gとは極めて低く、ペアを形成するようである。Qが種々の塩基とペアを形成するとき得られる初速度の比は、T:A:C:G=23:16:5:1である。上記C/Aミスマッチで見られるように、Q同族体が2位に位置するとき、連結反応速度はまた強く抑制される(2位に同族体が存在しない場合に比して55倍低い)。
モデル研究(QUANTA/CHARMM)に基づけば、Qはヘリックス構造への最小限の影響でTおよびAの両方に対して適合する(Bergstrom, D.E., et al., JACS, 117:1201-1209 (1995)、引用によって本明細書の一部とする)。ある場合には、Qはアンチ配座(Q−T)を採り、他の場合にはシン配座(Q−A)を採る。それでも、進行中の研究は、3−ニトロピロール−天然塩基相互作用には水素結合は限られた役割しか演じていないことを示唆している。
【0179】
リガーゼ蛋白質の領域指向的変異誘発によるTth DNAリガーゼの適合性の改善
DNAポリメラーゼの適合性は、プライマー−鋳型結合に係わるモチーフ(HIVポリメラーゼ)(Bead, W.A., et al., J. Biol. Chem., 269:28091-28097 (1994) 、引用によって、本明細書の一部とする)、またはPhi29 DNAポリメラーゼ(Soengas, M.D., et al., The EMBO J., 11(11):4227-4237 (1992)、引用によって本明細書の一部とする)、T4 DNAポリメラーゼ(Reha-Krantz, L.J., et al., J. Virol., 67(1):60-66 (1993) およびReah-Krantz, L.J., et al., J. Biol. Chem., 269:5635-5643 (1994)、共に引用により本明細書の一部とする)またはヒトDNAポリメラーゼ・アルファ(Dong, Q., et al., J. Biol. Chem., 268:24163-24174 (1993)、引用により本明細書の一部とする)のexoIIIモチーフの領域指向的変異誘発によって減少する。時に、この同じexoIIIモチーフまたはモチーフ”A”は”アンチミューテイター”ストレインとしても知られる適合性増大変異物を与えるが、これは全体の適合性を調整しているこれらの酵素のポリメリゼイションと3’-5’エキソヌクレアーゼ活性との間の複雑な相互作用を反映する(Reha-Krantz, L.J., et al., J. Virol., 67(1):60-66 (1993)、Reah-Krantz, L.J., et al., J. Biol. Chem., 269:5635-5643 (1994)、Dong, Q., et al., J. Biol. Chem., 268:24163-24174 (1993)およびCopeland, W.C., et al., J. Biol. Chem., 268:11041-11049 (1993)、すべて引用によって本明細書の一部とする)。
【0180】
野生型に近いニック閉鎖活性(nick-closing acitivity)を維持しているTth DNAリガーゼ変異体を、適合性の変化についてアッセイした。二つの変異体リガーゼ、K294RおよびK294Pが増大した適合性比を持つことが示された(
図18、5−8列)。通常の基質について、適合性はK294Rで凡そ4倍、K295Pで11倍増大した。Q塩基同族体が変異体Tth DNAリガーゼと共に用いられたとき、変異体リガーゼの高濃度が必要ではあったが、連結反応の適合性は殆ど200倍増大した(K294RおよびK294P)。続く実験(下記表5参照)もまたK294RおよびK294Pが増大した適合性比を持つことを示した。
【0181】
要約すると、Tth DNAリガーゼの適合性の分析のために定量的蛍光アッセイが開発された。この酵素は、ニックの5’側のそれに比して、ニックの3’側のすべての単塩基ミスマッチに対し有意に大きい識別性を示す。ニックの3’側の12の可能性ある単塩基ミスマッチの中で、T−GおよびG−Tミスマッチだけが延長されたインキュベイション時間の後に定量的な量の連結反応産物を生成させた。Tth DNAリガーゼの適合性は、ニックの3’側の3位に意図的ミスマッチまたはヌクレオシド同族体を導入することによって連結反応温度65℃に近い融解温度値を持つ識別性オリゴヌクレオチドをデザインすることおよび/またはTth DNAリガーゼ変異体を使用することによってさらに改善される。
【0182】
多くの医学的問題は鋭敏な単塩基識別を要求する。たとえば、多くの正常細胞の中の僅かな癌細胞の発見、正常菌叢中の病原性微生物の識別、混合感染中の癌原性HPV株の同定、薬剤耐性生物発生の検知などである。これらのモデル検討は純粋なミスマッチまたはマッチした標的基質に限られていたが、ヌクレオシド同族体および変異体Tth DNAリガーゼが正しくない標的の混合物中の僅かな正しい標的の識別を改善するために用いられた。これは、生物学的試料中のDNA検出をより近く再現するものである。
【0183】
実施例16−オリゴヌクレオチドの合成と精製
全てのオリゴヌクレオチドはABI 394 DNA Synthesizer (Applied Biosystems Inc., Foster, CA)で合成された。FAM(Com 610 3’F)で標識されたオリゴヌクレオチドには、蛍光CPG(Glen Research) カラムが、オリゴヌクレオチドの3’末端に蛍光分子を導入するために使用された。オリゴヌクレオチドの、30%(重量/容量)水酸化アンモニウムによる支持体からの開裂には室温で2時間を要した。オリゴヌクレオチドはその後、55℃で4時間脱保護処理された。LDRに使用した全ての他のオリゴヌクレオチドは10%アクリルアミド/7M尿素ゲル上で、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製された。電気泳動後、オリゴヌクレオチドは光sクリーンに対してUVシャドウ化することによって視覚化し、ゲルから剥ぎ取った(Applied Biosystems Inc., 1992)。それらは、500mM NaClおよび5mM EDTAを含むTNE緩衝液(100mM Trus/HCl pH 8.0)により64℃で一夜溶出し、Sec Pakカートリッジ(Millipore Corp, Milfford, MA)を業者の指示書に従って用いて回収した。
オリゴヌクレオチドは100μlのTEに溶解した。ストック溶液の一般的な濃度は凡そ1mMである。LDR用には、ゲル精製ストック溶液は約100μM=100 pmoles/μであった。
【0184】
実施例17−オリゴCom 610-3’Fの化学的リン酸化
下流の共通のオリゴヌクレオチドは、化学的リン酸化試薬(Glen Research)を用いて5’末端をリン酸化した。この試薬の使用は、酵素によるオリゴヌクレオチドのリン酸化に代わるもので、リン酸化効率を決められと言う利点がある。化学的リン酸化試薬は、オリゴヌクレオチドの5’末端のリン酸化の迅速で簡便な方法であることを証明した。化合物は4℃で乾燥保存した。ABI394機器での合成は、0.1M溶液を、化合物100μモル当たり無水アセトニトリル1mlを加えることによって調製した。この液を完全な溶解を確実にするため時々振り混ぜながら約5分間放置した。オリゴヌクレオチドの合成は、業者の指示した合成サイクルに修飾を加えて実施した。たとえば、DMTグループは、カップリング効率を決定するために標準的な脱保護法により合成機上で除いた。
【0185】
野生型および変異Tth DNAリガーゼの使用による、過剰の正常鋳型の存在下における、単一塩基変異(T:Gミスマッチ)を含む標的の定量的検出
正常DNAの過剰存在下に低存在量配列(癌変異)を定量することが出来るアッセイ法が開発された。LDRアッセイにおける野生型および変異Tth DNAリガーゼを使用して、正常および癌DNA混合物中の癌DNAのフラクションを定量することが出来た。検出限界を決定するために使用したプローブを
図19に示し、その配列を
図20に示す。2種のオリゴヌクレオチドを標的に対して、上流プローブ(SLP3’TTT)の3’末端が下流プローブ(Com610−3’F)の5’末端に直ちに隣接するようにハイブリダイズさせた。接合部におけるヌクレオチドが標的鎖と正しく塩基対を構成する場合には、Tth DNAリガーゼで二つの隣接するオリゴヌクレオチドを接合することが出来る。この反応で使用したプローブは、連結反応部において、”正常”鋳型の上にT:Gミスマッチを、”癌”鋳型の上にT:Aマッチを作り出す。精製野生型酵素および変異酵素K294R(
図21参照)の25fmoleの存在下、完全にマッチした鋳型(“癌”;ALg.m3AおよびAlg.m3Arev)の0−2.5nM(50fmole)を含むT:Gミスマッチ鋳型(“正常”;GLg.m3AおよびGlg.m3Arev)の12.5nM(250fmole)を使用して、LDR実験を3回に亙って行なった。産物をABI373ADNA配列決定用装置上で分離し、蛍光シグナルを定量する。収量が産物/(産物+プローブ)で定義されるのであれば、収量は過負荷プローブシグナルの停止により、人為的に高いものとなる。従って、希釈した産物標準を用いて検量数(1fmole=600ピーク面積単位)を発生させた。与えられたサンプル中の産物の量(fmole)は、産物の全ピーク面積を600で割ることによって算出した。この方法は、レーン当たり5μl以下の連結反応混合物を負荷させる場合、産物形成を過小に評価することになろう。両酵素共殆ど同量の産物を発生させたが、変異K294R酵素はより少ないバックグラウンドミスマッチ連結反応を与えた。従って、シグナル対ノイズ比率は野生型リガーゼに比較して変異酵素に対してほぼ2倍であった(
図22参照)。K294R変異酵素の場合、シグナル対ノイズ比率は500の“正常”鋳型中、1個の”癌”鋳型を区別する場合、3.3であり、250の”正常”鋳型中、1個を区別する場合、5.4に増加した(
図22の数値および表5に記載した類似の実験参照)。このアッセイを最も困難な場合、T:A完全マッチからT:Gミスマッチを区別するリガーゼの能力と比較する。
【0186】
図21と
図22に示した結果は過剰のミスマッチ基質(“正常”)の存在下に完全マッチ基質(“癌”変異)の存在を区別するTth DNAリガーゼの能力を証明する。
”癌”鋳型の量を正確に定量するためには、存在する”正常”鋳型の量を決定することが必要であり、これは二つの方法で行なうことが出来る。最も簡単な方法は、もとのPCR混合物中に少量比の蛍光標識プローブを含有させ、毛細管電気泳動または自動DNA配列決定装置を用いて、生成した産物の量を定量することである。第2の方法は、結合反応の定量的性質を利用して、もとの産物濃度を決定することである。
図23は、接合部に完全にマッチしたプローブ(SLP3’TTCおよびCom610−3’F)を使用して、0.005nM(0.1fmol)−0.5nM(10fmol)の“正常”鋳型(GLg.m3AおよびGlg.m3Arev)から発生したLDR産物の量を示す。K294R変異酵素を使用した場合、シグナル対ノイズ比率は、0.005nM(0.1fmol)の”正常”鋳型を検出する場合、4.5であり、0.0125nM(0.25fmol)の“正常”鋳型を検出する場合、7.4に改善された(データを示さず)。未知サンプルからのLDR産物の量を検量曲線と比較することにより、サンプル中の全DNAを定量することが出来る。これは、100attomole(500nM)から10femtomole(0.5nM)量の未希釈サンプルを直接試験することにより、またはより大量/高濃度のDNAを使用した場合には、希釈サンプルを試験することにより、達成することが出来る。これらの結果は、未知量のサンプル中に存在する特異的DNAの量や、単一塩基(“癌”)変異を含む割合(量)を決定することが出来ることを証明するものである。
【0187】
野生型および変異Tth DNAリガーゼを使用する、過剰の正常鋳型の存在下、単一塩基変異を含む標的の検出
癌検出における野生型および変異Tth DNAリガーゼの使用をさらに探求するため、連結検出反応が過剰の正常細胞中の癌細胞を区別する生物学的問題をより密接に類似する競合アッセイにおいて、効果的に使用された。この型のアッセイは、リガーゼが正しい配列をシールすることのみならず、多くの酵素が正しくない基質に結合する場合、特にそうでなければならないことを要する。それ故、先のアッセイの場合よりもより高い濃度が要求されるが、このようなより高い濃度は、バックグラウンド(ミスマッチ)連結反応を上昇させる可能性がある。2種のオリゴヌクレオチド(SLP3’TTTおよびCom610 3’F)を変性標的に対して、1つのオリゴヌクレオチドの3’末端が蛍光標識オリゴヌクレオチドの5’末端に隣接しているようにハイブリダイズさせる(
図19参照)。リガーゼは、次いで2つの隣接するオリゴヌクレオチドを、当該ヌクレオチドが連結反応部におい標的鎖と正しく塩基対を形成する場合、連結させることが出来る。LDRについての初期実験を、25fmolの精製野生型および変異酵素K294RおよびK294Lの存在下、ミスマッチ鋳型(”正常”)および完全マッチ鋳型(”癌”)を独立して、またはお互いを一緒にして使用し、3回にわたって実施した(表5)。
【0188】
【表5】
【0189】
(K294P変異は、熱安定性を損なうから、その後の研究には使用されなかった。)ミスマッチ鋳型上変異K294Rにより発生させたLDR産物の量(0.56fmol)は、野生型酵素(1.45fmol)に比較して、2倍以上低かった。LDRはまた、それぞれ1:25および1:100の比率で、完全マッチおよびミスマッチ鋳型と共に行われた。野生型および変異酵素の両方に対して、ミスマッチ鋳型の存在下に発生した産物は、完全マッチ鋳型単独の存在下に発生した産物よりも少量であった。K294Rの使用は、1.75−3倍高いシグナル対ノイズ比率を与える。K294L変異体ではバックグラウンドが検出されなかったので、シグナル対ノイズ比率を計算することは出来なかった。これらの結果は、変異体K294Rが野生型酵素についてミスマッチを区別する点でより高い適合性を示すことを支持するものである。この高められた適合性は、恐らくこの変異熱安定性酵素の特異性定数の変化によるものであろう。酵素反応の特異性は、触媒定数k
catと見掛けの結合定数K
Mによって決定され、特異性定数k
cat/K
Mとして表される。k
catまたはK
Mもしくはそれら両者に影響を与える、酵素それ自身、基質または反応条件について行われた修飾は、特異性を変化させるであろう。変異酵素の使用は、完全マッチおよびミスマッチ酵素−DNA複合体の安定性に種々の度合いで影響を及ぼすので、別々のKM効果がこれらの連結反応に発揮される。完全マッチおよびミスマッチ基質の連結反応のような競合反応において、特異性定数比は、K
Mの結果として変化することが出来、可能なk
catは各基質に対して変化する。下に示す式(K294Rについて示す)を満足するすべての変異酵素は、過剰の正常DNAの存在下、癌関連変異の区別をより高めるであろう。
【0190】
【数12】
【0191】
また、本発明の第2の態様は、適合性比率(すなわち、基質を3’末端において完全マッチと連結させる場合の初期速度を、基質を3’末端においてミスマッチと連結させる場合の初期速度で割った値)で、次のように表すことが出来る:
【0192】
【数13】
【0193】
上記等式において、[k
1]
マッチは、標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部で完全マッチを持つ標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結する場合の初速度定数を表す。[k
1]
ミスマッチは、標的ヌクレオチド配列と連結反応部にその3’末端を持つオリゴヌクレオチドプローブとの連結反応部でミスマッチを持つ標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした第1および第2オリゴヌクレオチドプローブを連結する場合の初速度定数を表す。変異熱安定性リガーゼの場合、[k
1]
ミスマッチで割った[k
1]
マッチ (=適合性比率)は、野生型リガーゼの適合性比率よりも大きい。上記の等式(K294Rについて示す)を満たす全ての変異酵素は、過剰の正常DNA存在下の癌関連変異の識別力を増すものである。
【0194】
ヌクレオチド類似体含有プローブを使用する、過剰の正常鋳型存在下における単一塩基変異を含む標的の検出
リガーゼ適合性比率を高めることを意図して、識別プローブの3’末端から第3位にQ
2またはQ
8(1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)ピロール−3−カルボキシアミド)ヌクレオチド類似体を含むプローブを合成した(
図24参照)。これらの実験において、プローブ類似体に対立する鋳型塩基は、AまたはTであり、より好ましいQ
2:A、Q
2:AおよびQ
18:T対のアッセイを可能にする。これらの類似体プローブを使用して、ミスマッチ連結反応から生ずる産物は、正規のプライマーに比較して、約2〜3倍減少した(表6)。
【0195】
図24は、リガーゼ適合性比率アッセイのために使用されたヌクレオチド類似体含有プローブを示す。表6に示した典型的LDRアッセイにおいて、野生型および変異Tth DNAリガーゼの適合性を評価するために、4つの異なった条件が使用された。各反応は、20mMトリス−HCl、pH7.6;10mMMgCl
2;100mMKCl;10mMDTT;1mMNAD
+;2種の短い検出プローブの12.5nM(500fmol)および単独使用の場合、正常鋳型12.5nM(250fmol)を、また、それぞれ1:100および1:25の割合で正常鋳型とともに使用する場合、癌鋳型の125nM(2.5fmol)および0.5nM(10fmol)を含む20μl混合物中で実施した。この反応で使用されたプローブは、”正常”鋳型上にT:Gミスマッチを、連結反応部において”癌”鋳型上にT:Aマッチを作る。加えて、プローブSLP3’QTTは、3’末端から第3位に、Q
2:AまたはQ
18:T対を形成する。反応混合物は、野生型Tth DNAリガーゼ25fmolを添加する前に、GeneAmp9600サーモサイクラー(Perkin Elmer)中で94℃に1.5秒間加熱した。酵素と更に30秒間培養した後、LDR反応を、94℃で15秒間およびサイクル当たり65℃で4分間、20サイクルにわたって実施した。エタノール−ドライアイス浴中で管を冷却し、0.5mMEDTA0.5μlを添加して、反応を完全に停止させた。反応物2.5μlを増量緩衝液2.5μl(83%ホルムアミド、8.3mMEDTAおよび0.17%ブルー・デキストラン)およびGene Scan Rox−1000分子量マーカー0.5μlと混合し、94℃で2分間変性させ、氷上で素早く冷却し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲルにかけ、ABI373DNA配列決定機上で電気泳動を行う。蛍光標識連結反応産物を、ABI Gene Scan672ソフトウエアを用いて、分析、定量した。
【0196】
図25A−Dは、本発明のPCR/LDR法のLDR相に対するヌクレオチド類似体を持ったオリゴヌクレオチドプローブの種々の形を示す。
図25Aにおいて、1つのオリゴヌクレオチドプローブは、標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、そのプローブはその3’末端(即ち、連結反応結合部)で識別性塩基と、連結反応部から第3位にヌクレオチド類似体を持つ。このようなオリゴヌクレオチドプローブは、いくらか不安定であるが、その3’末端が、ハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補性であるので、依然、連結反応を受けるであろう。
図25Bは、その3’末端が、ハイブリダイズする標的ヌクレオチド配列に相補性であるので、連結反応が起こらない以外は、
図25Aに類似である。
図25Cでは、標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブは、その3’末端(即ち、連結反応部)並びに2つの隣接位置で識別性塩基を持つ。連結反応部から4、5および6塩基位置には、ヌクレオチド類似体がある。結果として、
図25Cでは、3つのオリゴヌクレオチド類似体の存在がオリゴヌクレオチドプローブを不安定にしているが、連結反応部に最も近い3つの位置に完全な相補性があるため、連結反応は依然として起こるであろう。一方、
図25Dに示したように、連結反応部に最も近い3つの位置の1つ以上にミスマッチがある場合、連結反応は起こらない。
図25A−Bの操作に使用したオリゴヌクレオチドプローブと
図25C−Dで使用したものとを比較すると、前者は、連結反応部に最も近い3つの位置に潜在的不安定性ゾーンを持つが、後者は連結反応部に最も近い6つの位置に潜在的不安定性ゾーンを持つことが明らかである。不安定性3位置ゾーンに代わる不安定性6位置ゾーンの使用は、このようなより大きい不安定性ゾーンは、連結反応産物がその連結反応部でのミスマッチの存在にかかわらず形成されるという可能性を低下させるため、LDR適合性を向上する可能性を持つ。
【0197】
【表6】
【0198】
しかしながら、完全マッチ連結反応から生じたシグナル量は、比較的一定を維持した。より高い酵素濃度(例えば、10nM(200fmol))は、ヌクレオチド類似体との完全マッチ鋳型の飽和状態を導くので、より多くの酵素が自由にミスマッチ鋳型と結合する。結果として、高い酵素濃度でより高いミスマッチシグナルが観察された。完全マッチおよびミスマッチ鋳型(1:25および1:100)の存在下、完全マッチから生じる絶対シグナルは、非修飾プローブとQ
2またはQ
18ヌクレオチド類似体含有プローブの両方について、完全マッチ単独から生じるものよりも低かった。より低いミスマッチ連結反応により、類似体プローブにではより高いシグナル対ノイズ比率が達成された。Q
2類似体の場合、シグナル対比率は、酵素濃度5nM(100fmol)まではレギュラープローブよりも一貫して高いようである。更に、Q
18類似体の場合、酵素濃度10nM(200fmol)まではより高いシグナル対ノイズ比率が維持され、これは、酵素濃度の変化を許容する点ではQ
18がQ
2よりも適し得ることを示す。
【0199】
識別性プローブの第3位にQ
2およびQ
18類似体を導入すると、シグナル対ノイズ比率は約2−3培に向上し、これによって、癌シグナルをバックグラウンドから識別するLDRシステムの能力が増大する。このアッセイは、最も困難なケース、即ちT:A完全マッチからT:Gミスマッチを識別するリガーゼの能力を比較するものである。プローブの3’末端から3ヌクレオチドの位置にあるQ
2またはQ
18類似体は、3’位のミスマッチに関して存在する場合、局所融解を高め、同時に、3’末端の塩基対マッチに関して存在する場合は、ミスマッチ以上にらせん構造の保全を保護する。プローブの3’末端近くにQ
2またはQ
18類似体を用いると、完全マッチおよびミスマッチした酵素DNA複合体の安定性に様々な度合いで影響を及ぼすことがあり、そのため、これらの連結反応では別個のK
M作用を発揮させる。完全にマッチしたおよびミスマッチした基質の連結反応などの競合反応では、特異性定数の比率は、各基質に対するK
Mや起こり得るk
cat変化の結果として変わることもある。下記等式(Q類似体について示す)を満たす全ての修飾プローブは、過剰の正常DNA存在下の癌関連変異の識別力を増すものである。
【0200】
【数14】
【0201】
あるいは、本発明の第3の態様では、下記のように適合性比率(即ち、基質と3’末端並びに3’末端のミスマッチから3ヌクレオチドの位置にある類似体との連結反応の初速度で割った、基質と3’末端並びに3’末端の完全マッチから3ヌクレオチドの位置にある類似体との連結反応の初速度)で表すことができる。
【0202】
【数15】
【0203】
野生型および変異Tth DNAリガーゼを用いる正常鋳型過剰存在下でのC:Aミスマッチ含有標的の検出
このアッセイは、正常DNAの過剰存在下に低存在量配列(癌変異)を定量できるものであり、過剰のC:Aミスマッチの存在下でのC:Gマッチ検出限界を測定するのにも応用された。LDRアッセイにおいて野生型および変異Tth DNAリガーゼを使用して、正常および癌DNA混合物中の“癌”DNAのフラクションを定量した。検出限界を決定するために使用したプローブは
図26に、配列は表7に示す。
【0204】
【表7】
【0205】
2種のオリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズさせて、上流プローブ(SLP3’TTC)の3’末端が下流プローブ(Com610−3’F)の5’末端に直ちに隣接するようにした。この反応で使用したプローブは、連結反応部において、“正常”鋳型の上にC:Aミスマッチを、“癌”鋳型の上にC:Gマッチを作り出す。精製野生型酵素および変異酵素K294Rの25fmoleの存在下、完全マッチ鋳型(“癌”;GLg.m3AおよびGlg.m3A.rev)の0から2.5nM(50fmole)を含むC:Aミスマッチ鋳型(”正常”;ALg.m3AおよびAlg.m3Arev)の12.5nM(250fmole)を使用して、LDR実験を3回に亙って行なった(
図27参照)。両酵素共殆ど同量の産物を発生させ、変異K294R酵素はより少ないバックグラウンドミスマッチ連結反応を与えた。従って、シグナル対ノイズ比率は野生型リガーゼに比較して変異酵素に対して僅かに向上しただけであった(
図28参照)。K294R変異酵素の場合、シグナル対ノイズ比は500の“正常”鋳型中、1の“癌”鋳型を区別する場合、2.2であり、250の“正常”鋳型中、1の“癌”鋳型を区別する場合、5.4に増加した(
図28および表8に記載した類似の実験参照)。
【0206】
【表8】
【0207】
C:Aミスマッチを区別するにあたり、変異K294R酵素が野生型酵素に勝る条件を見出すことは出来るか? LDRについての初期実験が、ミスマッチ(”正常”)鋳型と完全マッチ(“癌”)鋳型を独立してまたは組み合わせて、精製野生型酵素および変異酵素K294Rの25および50fmolの存在下、3回にわたって行われた(表8)。C:Aミスマッチで得られた結果は、25fmolの酵素を使用して、T:Gミスマッチで得られた結果に匹敵するものであった。しかしながら、より高い酵素量(50fmol)を使用する場合、ミスマッチ鋳型上、野生型酵素によって産生されたLDR産物の量は、変異酵素によって産生された量の少なくとも1.8倍であった。LDRはまた、完全マッチおよびミスマッチ鋳型をそれぞれ1:25および1:100の比で一緒に使用しても行われた。野生型および変異酵素に対して、ミスマッチ鋳型の存在下に産生された産物は、完全マッチ鋳型単独により産生した産物よりも少なかった。変異体K294Rは、同一条件下で野生型酵素よりも僅かに少ない産物を産生し、正常鋳型からのより低いバックグラウンドシグナルと結合したが、K294Rの使用により、約1.5から2倍高いシグナル対ノイズ比率を生じる。ここで、これらの結果は、我々の先の結果と関連しており、変異体K294Rは野生型酵素についてミスマッチを識別する点でより高い適合性を示すという先の発見を支持するものである。我々はまた、50fmolの酵素が、Q類似体を含むプローブを使用した場合に、最善のシグナル対ノイズ比率を与えた点に注目する。
【0208】
実施例18−過剰の正常鋳型の存在下、野生型および変異Tthリガーゼを使用する単一塩基変異を含む標的の定量的検出
アッセイは、与えられたサンプル中の癌変異の量を定量するために開発された。LDRアッセイにおいて、野生型および変異Tthリガーゼを使用して、正常および癌DNAの混合物中における癌DNAのフラクションを定量した。検出限界を決定するために使用されたプローブを第30図に示す。二つのオリゴヌクレオチドを標的に対して上流プローブの3’末端が下流プローブの5’末端に隣接するようにハイブリダイズさせた。Tth DNAリガーゼは、接合部におけるヌクレオチドが標的鎖と正しく塩基対を形成する場合には、二つの隣接するオリゴヌクレオチドを接合することが出来る。LDR実験は、25fmolの精製野生型および変異酵素K294Rの存在下、0から2.5nM(50fmole)完全マッチ鋳型(“癌”)を含む12.5nM(250fmole)のミスマッチ鋳型(“正常”)を用いて、3度にわたり行われた(
図21参照)。両酵素はほぼ同量の産物を発生させたが、変異K294R酵素はより少ないバックグラウンドミスマッチ連結反応を与える。従って、シグナル対ノイズ比率は、野生型リガーゼに比較して変異酵素に対して多少ともより良好であった(約1.5倍)(
図22)。K294R変異酵素により、シグナル対ノイズ比率は、500の“正常”鋳型中1個の“癌”鋳型を区別する場合3.3であり、250の”正常”鋳型中1個を区別する場合は5.4に増加した。このアッセイは、最も困難な場合のG:TミスマッチをA:T完全マッチから識別するためのリガーゼの能力を比較するものである。Tth DNAリガーゼはC:Aミスマッチ(第2の最も困難なケース)をG:Tミスマッチに比較して区別する場合に5倍以上の適合性を示すので、変異酵素は他のすべての他のミスマッチを2,500中1またはそれ以上で区別するものと推定される。
【0209】
C:Aミスマッチを発生させる合成基質を使用して実験を行い(表7参照)、検出限界とシグナル対ノイズ値を決定した(
図27および
図29)。正常DNAの量を定量するための対照連結反応は、前と定量的に類似の結果を与えた(
図28参照)。これらの基質について、野生型と変異酵素の間に有意な差異はなかった。K294R変異酵素の場合、シグナル対ノイズ比率は、“500”の正常鋳型中、1個の”癌”鋳型を識別する場合2.2であったが、250の“正常”鋳型中、1個を区別する場合3.1に増加した。合成基質の結果は、G:TミスマッチをC:Aミスマッチから識別する点に基本的な差異が無いことを示唆するが、K−ras遺伝子を含む天然PCR産物による実験は、より有意に良好な識別はG:TミスマッチよりもC:Aミスマッチにより達成されることを暗示する。
【0210】
実施例19−K−ras癌遺伝子のコドン12、13および61におけるすべての可能な変異を検出するためのLDRプローブの設計と合成
K−ras遺伝子は、変異検出技術に対する二つの有意な試みを提供する。H−、N−およびK−ras遺伝子の間の広範な配列ホモロジーは、正しい遺伝子を選択的に増幅するために、1次エクソン特異性PCR反応を必要とする。その後の対立遺伝子特異的PCRは、個々のK−ras変異を検出するために用いられたが、すべての変異を検出するための複合PCRは、コドン12とコドン13変異の近接によって複雑化される。
【0211】
K-ras遺伝子のコドン12、13及び61において同時に変異をアッセイするための方法は、
図30に示される。PCRがコドン12と13および61の周囲の領域におけるK-ras遺伝子を正しく増幅する二つの独立したPCRプライマー対が合成された。これらのコドンに対するすべての可能なLDRプローブを設計し、合成した(
図31A−B)。識別性オリゴヌクレトチドは約66℃のT
m値を計算し、その3’末端に識別性塩基を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、自動ABI373A DNA配列決定機上で分離されたとき、FAM−またはTET−蛍光ピークを交互にすることにより区別された産物を生成する。共通のオリゴヌクレオチドは、約69℃のT
m値を計算し、その3’末端にスペーサーC3ブロッキンググループを持つポリ−Aテイルを含む。ブロッキンググループは、LDRプライマーの残留ポリメラーゼ延長を阻止し、ポリ−AテイルはLDR産物を配列決定ゲル上で分離させる。共通のプローブは、その5’末端で化学的にリン酸化された。
LDRプローブは、最も共通の変異が一般により小さな連結反応産物を提供するように設計される。結腸癌における7つの最も共通のK−ras変異に対して、産物はG12D(G
AT)に対して44bp、G12A(G
CT)に対して45bp、G12V(G
TT)に対して46bp、G12S(A
GT)に対して47bp、G12R(C
GT)に対して48bp、G12C(T
GT)に対して49bpおよびG13D(G
AC)に対して51bpである。野生型DNAに対して特異的なプローブは、また、変異DNAの検出に先立って、PCR産物の量を定量するために設計された。PCR産物は、3%アガロースゲル中、エチジウムブロマイド染色により評価される。
【0212】
実施例20−複合型におけるK-rasコドン12、13および61を同定するためのPCR/LDRを試験する
この実験は、すべてのLDRプローブを複合して、K−rasのコドン12、13および61における変異を検出出来ることを証明する。DNAは、コドン12および13(SW620,G12V;SW1116,G12A;LS180,G12D;DLD1,G13D)における既知変異により、セルラインから製造された。特定の変異に相補的な個々のプローブを使用するPCR/LDRにより、正しい連結反応産物が産生された。更に、正常DNA過剰における別の変異(G12DおよびG12V)を含む2種のDNA標的の等量混合物は、おおよそ等モル量の両LDR産物を与えた。
【0213】
PCR/LDRの感度は、野生型DNAにおけるセルラインから誘導された種々の希釈度の変異DNAを含むサンプルを再構築することによって決定された。サンプルは、独立して増幅されたPCRであり、混合して、種々の条件の試験に付した。予備的実験は、正常および変異DNAの全量(20μlの反応中、2,000fmol全量)、蛍光標識識別プローブ(それぞれ500fmol)、共通プローブ(それぞれ500−1,500fmoleから)および最終的にTth DNAリガーゼ(野生型またはK294R変異酵素の100fmol)の効果的活用を可能にした。標準PCR/LDR反応には、30PCRサイクルと20LDRサイクルが含まれていた。
【0214】
初期実験において、G12D変異を含むPCR増幅DNAの0.025nM(0.5fmol)から5nM(100fmol)を、野生型PCR増幅DNAの100nM(2000fmol)中に希釈した。野生型またはK294R変異酵素で形成されたLDR産物の量は、類似のシグナル対ノイズ値と殆ど同じであった(
図33および
図34参照)。K294R変異酵素により、シグナル対ノイズ比率は、2,000の野生型鋳型中で1個のG12D鋳型を区別する場合は1.7であり、1,000の野生型鋳型中で1個を区別する場合は3.2に増加した。
【0215】
プローブセットを合わさせて、複合LDR反応でK−rasコドン12における6種の可能な単一塩基変異すべてを試験する場合、最大のバックグラウンドノイズは、G12D(すなわち、C:Aミスマッチを表す)を検出するために設計されたプローブから得られた。それ故、複合アッセイでシグナル対ノイズ値を決定するため、G12V変異体を使用し、“シグナル”(G12Vから)および“ノイズ”(野生型鋳型についてのG12DプローブからのC:Aミス連結反応)を同じ反応で定量することが出来た。6個のプローブセットに対して、類似量の産物が両方の酵素で形成され、K294変異体はわずかにより良好なシグナル対ノイズ値を証明した(
図35−38参照)。しかしながら、野生型DNAの2000fmol中、癌鋳型の20fmol、40fmol、80fmol、100fmolおよび200fmolでは、w/K294で得られたシグナル対ノイズ比率は、野生型リガーゼで得られたものよりも有意に高かった。K294R変異酵素により、シグナル対ノイズ比率は、1000の野生型鋳型中、1個のG12V鋳型を区別する場合、3.2であり、500の野生型中、1個を区別する場合は5.5に上昇した。驚くべきことに、ハイブリダイゼーションの間の干渉に対する潜在性にもかかわらず、6個の複合反応で得られたシグナル対ノイズ値は、最低希釈濃度で単一プローブで得られた値に匹敵する。より高い癌DNA濃度において、重複するプローブ間の干渉は、8プローブまたは単一セットのプローブの使用に比較して26プローブの全ての全補体を使用した場合、より少ないシグナルの発生により明白となる。
【0216】
複合LDR反応中で、K-rasコドン12、13および61における19可能性単一塩基変異を試験するために、26プローブすべての全相補物を使用した。Q61R、すなわちG:Tミスマッチを表すものを検出するために設計されたプローブに対するバックグラウンドノイズは、G12D、すなわちC:Aミスマッチを検出するために設計されたプローブに対して観察されたものよりも約10倍高かった。プローブは、対立する鎖配列を使用することにより、G:Tミスマッチを避けるために設計されてもよい。6プローブセットよりは明らかに少量であったが、26プローブセットに対して、産物の類似量を両方の酵素で形成させた(
図39−40参照)。K294R変異酵素により、シグナル対ノイズ比率(G12DC:Aミス連結反応に比較して)は、500の野生型鋳型中、1個のG12V鋳型を区別する場合3.2であり、250の野生型鋳型中1個を区別する場合、7.2に増加した。コドン12と13にハイブリダイズする16個の重複プローブを使用すると、全シグナルもシグナル対ノイズも減少するが、なお500中の1個の変異を区別することが出来る。他の研究者らは、T4リガーゼを使用してコドン12における3つの変異を1%の感度で検出し(ブロッキングオリゴヌクレオチドと高い塩を野生型鋳型に対するミス連結反応を抑制するために必要とする)、熱安定性酵素はコドン12および13中、12の変異すべてをより高い感度で同時に検出出来ることを報告している(Powellet.al., N.E.J.Med.329:1982-87(1993), Jen,et.al., CancerRes. 54:5523-26(1994), Redston,et.,al.,Gastroent.108:383-92(1995)、出典明示により本明細書の一部とする)。
【0217】
微細切された組織からのPCR増幅鋳型で使用されたが、それに対しては既にK-ras変異が直接の配列決定法を用いて決定された。ブラインド試験において、多くがK−ras変異を含む148コードサンプルを、どの変異が存在するかをPCR/LDRを使用して決定するために提供した。単一の変異の存在は、与えられた長さで移動する単一バンドの出現によって明らかに示された(
図41−42参照)。観察された長さを期待されたLDR産物の長さと比較することにより、変異が決定された(表9および
図40)。
【0218】
【表9】
【0219】
試験された148の未知のサンプルと10の既知のサンプルのうち、既知のサンプルのすべておよび138の未知のサンプルについて一致が認められた。
図43は、10の調和しないサンプルを比較する表である。複合PCR/LDRによって得られた結果は、変異に特異的なLDRプローブセットのみを用いてPCR/LDRにより確認された。10の調和しないサンプルのうち9は、配列決定によって見出された単一の非常に稀な二重変異のみを逸するPCR/LDRによって正確にタイプされた。他の実験において、変異の検出は、微細切された癌対正常および癌組織を含む全パラフィン断片において比較された。複合PCR/LDRは、微細切に対する必要性なしでもすべての公知の変異を検出した。
すなわち、セルラインから誘導されたサンプル、微細切癌およびパラフィン包埋組織についての複合PCR/LDRの利用が示された。この技術は、非常に正確であり(99.3%)、高い感度を示す(すなわち、500正常配列中、1つの変異が検出される)。
【0220】
実施例21−サンプル中の全正常DNAを定量する低濃度LDR産物を提供するための低濃度正常プローブの使用
LDR反応を94℃で15秒およびサイクル当たり65℃で4分を20サイクル行った。管をエタノール−ドライアイス浴中で冷却し、0.5mMEDTAの0.5μlを添加することにより、反応を完全に停止させた。反応産物の2.5μlの溶液を、2.5μlの増量緩衝液(83%ホルムアミド、8.3mMEDTAおよび0.17%ブルー・デキストラン)および0.5μlGene Scan TAMRA350分子量マーカーと混合し、94℃で2分間変性し、氷上で急速に冷却し、8M尿素−10%ポリアクリルアミドゲル上に加え、ABI373DNA配列決定機上1400ボルトで電気泳動を行った。蛍光連結反応産物を分析し、指数方程式のパラメターをDeltagraph Pro3.5ソフトウエアを用いてデータに適合させた。
【0221】
図44−45は、種々変化させた野生型プローブの量が野生型またはK294RTth DNAリガーゼによって使用された場合の、種々の量のK−ras正常鋳型の量的検出を示す。LDR産物の量は、25nM(500fmol),50nM(1000fmol)及び100nM(2000fmol)の”正常”鋳型を、25nM(500fmol)の19種の識別プローブ(Tet−K−ras c12.2A,Tet−K−ras c12.1S,Tet−K−ras c12.1C,Tet−K−ras c13.4A,Tet−K−ras c13.3S,Tet−K−ras13.3C,Tet−K−ras c61.7HT,Tet−K−ras c61.6R,Tet−K−ras c61.5K,Tet−K−ras c61.6P,Fam−K−ras c12.1R,Fam−K−ras c12.2D,Fam−K−ras c12.2V,Fam−K−ras c13.4D,Fam−K−ras c13.4V,Fam−K−ras c13.3R,Fam−K−ras c61.7HC,Fam−K−ras c61.6L,Fam−K−ras c12Com−5)、50nm(1000fmol)の2種の共通プローブ(K−ras c12Com−7およびK−ras c12Com−5)および75nm(1500fmol)の5種の共通プローブ(K−ras c12Com−2,K−ras c12Com−1,K−ras c13Com−4,K−ras c13およびK−rasc61Com−6)ならびに5nm(100fmol)の野生型またはK294R変異酵素の存在下、0.5nM(10fmol),2.5nM(50fmol)および5nM(100fmol)の野生型識別プローブ(Tet-K-ras cl2.2WtG)および共通プローブ(K−ras c12Com−2)を反応させた場合に形成されたものである。X軸は正常鋳型の量、Y軸は生成したLDR産物の量を示す。(■、△、□)はそれぞれ野生型酵素と共に使用された野生型プローブの0.5nM(10fmol)、2.5nM(50fmol)および5nM(100fmol)を表し、(●、◆、○)はそれぞれK294R変異酵素と共に使用された野生型プローブの0.5nm(10fmol)、2.5nM(50fmol)および5nM(100fmol)を表す。
【0222】
本発明について、説明の目的で詳細な記載が行われたが、このような詳細な記載は単に当該目的の為に行われたものであり、以下の特許請求の範囲によって定義される発明の範囲の精神から逸脱することなく種々の変化が当業者によってなされ得ることが理解されるべきである。