【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の結束注入管では、例えば
図7に図示するように、結束注入管1と孔壁間の間隙はセメントスラリー等からなるシール材3を充填することによりほぼ完璧にシールできるものの、結束注入管を構成する注入管4と注入管4との間隙には懸濁液が浸入し得ないので完全にシルールすることは困難であった。
【0010】
このため、各注入管の吐出口から吐出した注入材は、注入管と注入管との間隙を管軸方向に流れて地上に流出してしまうことがあった。また、ステージごとに最適量の注入材、あるいは異なる種類の注入材を注入したつもりでも、地上に溢れ出さないまでも削孔内で互いに混ざり合ってしまい、ステージごとに最適量の注入材、異なる種類の注入材を確実に注入できないという課題があった。
【0011】
特に、マイクロバブル液や空気の注入による不飽和化注入や土壌浄化法(特許文献3)のように非固結性の注入液を注入する場合、シリカ溶液のようなゲル化を伴わない注入液は透過性がきわめて高いので、注入細管どうしの隙間から上方に逸出しやすい。
【0012】
このため、特許文献3の
図11,
図12に図示する方法が提案されているが、
図11に図示するように盤状の拘束型の非透過性セパレーター30を用いる方法は、シールグラウトの管軸方向への移動を拘束するのでシールグラウトが注入管どうしの軸方向への隙間を充填するのが難しく、かつ削孔径が大きくなるという問題がある。また
図11に図示するように袋体9を用いる方法は、作製が面倒になりかつ削孔径が大きくなる等の問題があった。
【0013】
特に、結束注入管が注入細管からなっている場合、複数の注入細管どうしの隙間にシールグラウトが浸入し得ず、そこが注入液の流路となって地表面に逸出してしまうという問題があった。
【0014】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、削孔内に挿入された結束注入管の各注入管の吐出口から削孔内に吐出した注入材が、注入管と注入管との間隙に沿って管軸方向に流れて互いに混ざり合ってしまつたり、あるいは地上に溢れ出してしまう事態を防止し、簡便な構造でかつ施工条件、地盤条件に容易に順応できる結束注入管を用いて孔壁周囲の各ステージに確実に浸透注入できるようにした結束注入管および地盤注入工法を提供することを的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従来工法が特許文献3、
図11のように注入細管どうしの隙間を遮断する不透過性セパレーターによって注入細管どうしの隙間から注入液が上方に行かないように拘束する構造、或いは
図12のように結束注入細管に袋をかぶせて注入液が注入管の隙間に入らないような構成からなっており、いずれも従来方法は注入管どうしの隙間に広範囲に地盤に透過する浸透性の良い注入材が入り込まないように遮断するということを目的にしたものであるが、本発明者は発想を逆転して透過性セパレーターを注入管どうしの間に設けてシール材が管軸方向に充填しやすくすることによって、注入管どうしの隙間をシールグラウトで充填して注入液が入り込まないようにして問題を解決したものである。
【0016】
本発明は、地盤に形成した削孔内に設置して孔壁周囲の地盤中にステージ(地層)ごとに最適量の注入材を注入して、地盤強化、液状化防止、地盤の洗浄化等を行うための透過性セパレーターを用いた結束注入管およびそれを用いた注入工法の発明であり、下端部に吐出口を有する複数の注入管を各注入管の吐出口が管軸方向の異なる位置にくるように互いに添い合わせ、透過性セパレーターで注入管どうしに隙間をつくって結束することにより構成され、特に透過性セパレーターを各注入管と注入管との間に削孔内に充填されたシールグラウトが充填可能な隙間を有するように設置して、結束注入管が形成されてなることを特徴とするものである。
【0017】
シールグラウトとして懸濁液を用いるが、懸濁液は注入管と注入管との隙間に浸入しにくいため、各注入管の吐出口から吐出した注入材が隙間に沿って他のステージに混ざり込んだり地上に逸出して、各ステージに十分な注入できないおそれがあった。
【0018】
従来それを防ぐために注入管どうしを隙間ができないように互いに密着させ強く結束したり、遮閉性のセパレーターを設けたり、袋体で覆ったりして注入材の逸出を防いでいたが、本発明はむしろ注入管と注入管との間にシールグラウトが充填されやすいように注入管と注入管との間に隙間をあけることに着目したものである。
【0019】
本発明によれば、注入管と注入管との間にシールグラウトが充填可能な隙間が設けられていることにより、削孔内に充填されたシールグラウトは各注入管と孔壁間の隙間はもとより、各注入管と注入管との間にも確実に充填されて固化するため、各注入管の吐出口から吐出した注入材が注入管と注入管との隙間を上昇して地上に流出したり、あるいは各ステージに注入された注入材が互いに混ざり合うのを防止することができ、孔壁周囲の地盤中にステージごとに最適量の注入材を確実に浸透注入させることができる。
【0020】
シール材としてはセメントグラウトやセメントベントナイト、スラグ系珪酸カルシウム系の低アルカリ懸濁液、或いは可塑性グラウト、その他懸濁液を任意の強度に配合したものを用いることができる。また、浸透性注入材を注入するにあたって、シール材の強度が固くて割れにくい場合は、あらかじめ水等を圧入してシール材を割裂してから浸透性注入材を注入してもよい。
【0021】
また、注入材にはマイクロバブル液、空気などの不飽和地盤を形成するための非固結性注入材、地盤浄化材などの非固結性注入材、或いはシリカ系固結材、CB等の懸濁性固結材、地盤浄化材やマイクロバブル液などの非固結性注入材とシリカ系固結材を併用したもの等を使用することができる。さらには、可塑状グラウト等も利用することができる。
【0022】
注入管にはポリエチレンやポリエステル等の変形自在な軟質性のチューブや生分解性注入管、塩ビ管などの硬質樹脂パイプ等が適し、また鉄筋や塩ビ棒などの硬質樹脂製の棒状材からなる芯材を抱き合わせて形状を保持することにより削孔内に容易に挿入することができ、また曲線状に形成された削孔内にも容易に挿入することができる(
図6参照)。
【0023】
また、芯材に孔開きパイプを用いることにより湾曲部、或いは所定の位置から一次注入材を注入したりシール材を追加注入することもできる。
【0024】
さらに、注入管および芯材を共に自然環境の中で水と炭酸ガスに分解する生分解質樹脂製のチューブや棒状材を利用することにより施工後数年内に或いは所定の期間内に分解せしめることができる。
【0025】
また、注入圧力を高くする必要がある場合は、ナイロン等の強度の高い素材を用いてもよい。結束注入管を軟質材料で形成する利点は、工場から現場への運搬に際して丸めて現場に搬入し、現場で削孔径が大きくても小さくても任意にその湾曲を調節できるので、削孔径を小さくできるし、また湾曲部の長さも任意に調整できる。
【0026】
結束注入管の透過性セパレーターは、平面に見てI型、Y型、X型、十字型または放射型などに形成してあればよく、或いは棒状、線状の部材を結束注入細管どうしに隙間ができるような形状なら有効である。また透過性セパレーターは結束具本体として各フランジの先端部などに形成することもできる。
【0027】
なお、I型、Y型、X型、十字型または放射型などに形成された透過性セパレーターの各フランジの先端部に、注入管の嵌合可能な把持部または凹部を設けることにより注入管の設置が容易になる(
図1(b),
図2(a),(b)参照)。
【0028】
また、透過性セパレーターを平面に見て円形または矩形、あるいは多角形の環状に形成し、外周部に注入管を一定の間隔を開けて形成した結束注入管でもよい。
【0029】
なお、透過性セパレーターの外周部に注入管の嵌合可能な把持部または凹部を透過性セパレーターの周方向に間隔を開けて複数設けることにより注入管の位置決めと固定が容易になる(
図2(c),(d)参照)。
【0030】
さらに、把持部または凹部を透過性セパレーターの周方向に波形状に連続して形成し、その中の選択したいずれかの把持部または凹部に注入管を設置するようにすることで、地盤の性状に応じて注入管の数量と設置間隔を適切に設定することができる。
【0031】
また、注入管および結束注入管の吐出口を有する位置は先端部でもよいし、管軸方向の一定範囲にわたって透水性シートや孔開きシート、麻布、マット、メッシュ材あるいはスポンジ、ジオテキスタイル等の透水性の被覆材によって被覆することにより、吐出口より削孔内に吐出した注入材を透水性被覆材を介して縦方向に拡がり、ついで水平方向に全被覆材の表面から広い範囲の孔壁周囲の地盤中に均等に浸透注入させるようにしてもよい(
図1(c)参照)。
【0032】
各注入管の吐出口を有する部分に透水性被覆部材を吐出口を有する部分を含む管軸方向の一定範囲を被覆するように取り付けて柱状浸透源とすることにより、低圧力の下でも孔壁周囲の広いステージ内に大きな吐出量で均等に浸透注入させることができる。
【0033】
また、注入管先端部の吐出口部分は、柱状浸透するように複数の吐出口から同時に注入できる構造にしてもよい。
【0034】
結束注入管を用いる場合、1削孔あたりに設置する注入管の本数をできるだけ少なくするのが好ましい。本数が多くなるとそれだけ削孔径を大きくする必要がある。このため、1削孔当りの深度方向の受け持ちステージが長くできる長尺浸透源を有する注入管を用いるのが好ましい。このためには長い1注入ステージにて軸方向に設けた複数の吐出口から同時に注入液が吐出できるのが好ましい(
図1、
図3)。