特許第5786284号(P5786284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5786284
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】鳥追い払い装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/16 20110101AFI20150910BHJP
【FI】
   A01M29/16
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-131559(P2010-131559)
(22)【出願日】2010年6月9日
(65)【公開番号】特開2011-254750(P2011-254750A)
(43)【公開日】2011年12月22日
【審査請求日】2013年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三石 祐治
(72)【発明者】
【氏名】野本 勇
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−292495(JP,A)
【文献】 特開平8−126176(JP,A)
【文献】 特開2008−295353(JP,A)
【文献】 特開平9−107865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥類が近づいたとき検出信号を出力し、かつ感知面周辺部に突起部を設け、かつ可変である指向性を有するセンサーと、
該センサーに接続され前記検出信号が入力されたとき威嚇音を発する音源部と、
前記威嚇音を放射し、かつ可変である指向性を有するスピーカーと、
一次電池とを有し、
これらが一次電池の筐体と一体に構成されていることを特徴とする鳥追い払い装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電鉄塔にカラスが営巣するのを防止する鳥追い払い装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、カラス1は3月から4月にかけて、しばしば高圧送電線路の鉄塔2の腕金3先端に巣4を作る。カラス1は巣4の外側に小枝、木片などの素材を使うが、都市部では、ポリエチレンのひも、ビニール袋など自然界にはないものまで材料として使用する。なかでも針金ハンガーは、巣4を頑丈に作るための格好の材料となる。しかし針金ハンガーは導電性を有するため、送電線と腕金3が短絡してしまう場合がある。このため、腕金3に対する営巣を阻止する必要がある。
【0003】
この問題を解決するための技術としては、「鉄塔用鳥害防止装置」(特許文献1)がある。この鉄塔用鳥害防止装置は、鳥感知センサーと、音声記憶回路と、音声選択出力回路と、太陽電池および二次電池とからなり、前記鳥感知センサーが作動するに従い音声記憶回路からランダムに選択された威嚇音を周囲に発声させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−107865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の「鉄塔用鳥害防止装置」は、威嚇音を大音量に増幅しスピーカーより周囲に発声させるもので、住宅地にある鉄塔に使用するのは難しかった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、威嚇音が小音量で、住宅地にある鉄塔にも使用できる鳥追い払い装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる代表的な鳥追い払い装置は、鳥類が近づいたとき検出信号を出力し、かつ感知面周辺部に突起部を設け、かつ可変である指向性を有するセンサーと、該センサーに接続され前記検出信号が入力されたとき威嚇音を発する音源部と、前記威嚇音を放射し、かつ可変である指向性を有するスピーカーと、一次電池とを有し、これらが一次電池の筐体と一体に構成されていることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、威嚇音が小音量となり、かつ装置がコンパクトで取付け取外しが容易となる。また、取付け位置の自由度が広がる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、威嚇音が小音量で、住宅地にある鉄塔にも使用できる鳥追い払い装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一次電池を用いた実施形態に係る鳥追い払い装置の機能ブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る鳥追い払い装置の側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る鳥追い払い装置の設置斜視図である。
図4】本発明の二次電池及び太陽電池を用いた実施形態に係る鳥追い払い装置の機能ブロック図である。
図5】カラスの鉄塔腕金における営巣斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す形状などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本発明の一次電池を用いた実施形態に係る鳥追い払い装置の機能ブロック図、図2は、本発明の実施形態に係る鳥追い払い装置の側面図、図3は、本発明の実施形態に係る鳥追い払い装置の設置斜視図である。
【0015】
図1に示すように、鳥追い払い装置8(図3参照)は、鳥類としてカラス1(図3参照)が近づいたとき検出信号を出力するセンサーである赤外線センサー5と、赤外線センサー5に接続され検出信号が入力されたとき威嚇音を発する音源部6と、威嚇音を放射するスピーカー7と、一次電池11とを有している。赤外線センサー5はカラス1(図3参照)を検出すると、音源部6がその検出信号を受けてスピーカー7から威嚇音を発する。
【0016】
図2に示すようにスピーカー7、音源部6、赤外線センサー5は、一次電池11の筐体10と一体に構成されている。このように鳥追い払い装置8(図3参照)が一体の構成となっていることによりコンパクトとなり、鉄塔2(図3参照)上への持ち運び、取付け取外しが容易となる。
【0017】
図3に示すように、鳥追い払い装置8は高圧送電線路の鉄塔2の本体部材にバインド線で縛って固定する。カラス1の営巣場所は主に腕金3の先端と予想がつくため、その近傍に鳥追い払い装置8を設置する。また、カラス1が営巣を開始したのを発見してから鳥追い払い装置8を設置してもよい。
【0018】
ここで、赤外線センサー5の検出範囲9は指向性を有し、検出範囲9を腕金3の先端に向けて設置する。赤外線センサー5の受光面周辺部に突起部を設けることにより、太陽光による誤動作を防止し、また指向性をもたせることができる。そして、カラス1が営巣のために腕金3の先端に近づいたことを検出したときにのみ威嚇音を発することにより、威嚇音を発する頻度を減らすことができる。これより、近隣住民に迷惑をかける頻度が少なくなり、また消費電力も抑えられる。
【0019】
なお、センサーは赤外線センサー5に限られず、遠赤外性、超音波などを用いてもよい。検出対象はカラス1に限られず、鳩など他の鳥を対象としてもよい。また、設置場所も鉄塔2に限られず、電柱や樹木、建物の軒下など他の営巣場所の近くでもよい。
【0020】
また、図3に示す赤外線センサー5は筐体10(図2参照)に雲台を用いて取付けられている。そのため赤外線センサー5は筐体10(図2参照)に固定されず、前後左右に回転できる。これにより、鉄塔2に対する筐体10(図2参照)の固定方向にかかわらず、赤外線センサー5の検出範囲9を営巣場所に向けることができ、鳥追い払い装置8の設置箇所の自由度を向上させることができる。
【0021】
なお、赤外線センサー5は前後左右に回転できる場合に限られず、方向ごとに赤外線センサー5を有しこれを切換えることにより指向性の方向を変えてもよい。また、鳥追い払い装置8自体が前後左右に回転できてもよい。
【0022】
図2に示すように、スピーカー7はラッパ状のカバー12を有し、カバー12は腕金3(図3参照)の先端に向けて設置されている。これによりスピーカー7の音声出力方向は指向性を有するため、小音量でも威嚇音が腕金3(図3参照)の先端に達し、消費電力が抑えられる。また、カバー12を腕金3(図3参照)の先端に向けることより、住宅地に届く威嚇音を減らして近隣住民にかける迷惑を低減することができる。
【0023】
また、カバー12は筐体10に雲台を用いて取付けられている。そのためカバー12は筐体10に固定されず前後左右に回転できる。これにより、鉄塔2(図3参照)に対する筐体10の固定方向にかかわらず、音声出力方向を営巣場所に向けることができる。
【0024】
なお、カバー12が前後左右に回転できる場合に限られず、鳥追い払い装置8(図3参照)自体が前後左右に回転できてもよい。
【0025】
このように、赤外線センサー5の検出範囲9(図3参照)およびスピーカー7の音声出力方向を筐体10に対して回転可能とすることにより、鳥追い払い装置8(図3参照)の設置箇所の自由度を向上させることができる。
【0026】
また図1に示すように、一次電池11から赤外線センサー5、音源部6、スピーカー7に電源線が接続され、電力が供給される。一次電池11を用いることにより初期費用が安価となり、また商用電源からの電源線を布設する必要がなく、取付け取外しが容易となる。ここで、一次電池11は、カラス1(図3参照)が巣を作る3月から4月にかけての少なくとも2ケ月間は鳥追い払い装置8(図3参照)が動作するのに十分な電源容量を有するとよい。
【0027】
なお、電池は一次電池11に限られず、図4に示すように筐体10(図2参照)外部の上面に貼付けた太陽電池14と筐体10(図2参照)内部の二次電池13からなるものでもよい。これより、一次電池11(図2参照)の交換が不要となる。
【0028】
このように、スピーカー7の音声出力方向が指向性を有することにより小音量でも威嚇音が腕金3の先端に達し、カバー12を腕金3の先端に向けることより住宅地に届く威嚇音を減らして近隣住民にかける迷惑を低減することができる。
【0029】
また、赤外線センサー5の検出範囲9は指向性を有し、カラス1が営巣のために腕金3の先端に近づいたことを検出したときにのみ威嚇音を発することにより、威嚇音を発する頻度を減らすことができる。
【0030】
さらに、鳥追い払い装置8を一体構成とすることによりコンパクトとなり、鉄塔2上への持ち運び、取付け取外しが容易となる。
【0031】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【実施例】
【0032】
営巣シーズンが始まる段階で営巣がたびたび発生している鉄塔を選び試験したところ、本装置設置後はカラスが留まらなくなり営巣がなくなった。
【0033】
なお、公然実施とならないように、肉眼では視認できない地上25〜30メートルの高所に本装置を設置し、試験を行った。
【符号の説明】
【0034】
1 カラス
2 鉄塔
3 腕金
4 巣
5 赤外線センサー
6 音源部
7 スピーカー
8 鳥追い払い装置
9 検出範囲
10 筐体
11 一次電池
12 カバー
13 二次電池
14 太陽電池
図1
図2
図3
図4
図5