(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
炭素鎖数が10の直鎖または分岐構造をもつジアクリレートモノマーが1,10−デカンジオールジアクリレートであることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明では、少なくとも重合性2官能モノマーとして、炭素鎖数が10の直鎖または分岐構造をもつジアクリレートモノマーをインキ中に含有することにより、原理は定かではないが、射出時の液滴形状が安定となり、長期間安定して画像の描画を行うことができる。この性能は単官能モノマーでは発現せず、またジアクリレートモノマーであっても、炭素鎖を持たないモノマーでは発現しない。また1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどの炭素鎖数が短いモノマーではモノマーの乾燥性が速くヘッド表面でインキが乾燥しノズル詰まりを起こすため、インクジェットインキとして使用するには適さない。また低分子量のモノマーは環境や生体への毒性も危険視されていることから好まれない。さらには炭素鎖数が11以上のモノマーではモノマーの粘度が高いため、インキとしての粘度も高くなってしまい生産性が低下する。
【0011】
炭素鎖数が10の直鎖または分岐構造をもつジアクリレートモノマーの好ましい含有量はインキ組成物中10重量%〜90重量%であり、より好ましくは30重量%〜90重量%である。10重量%未満では、インキ中のモノマー濃度が薄すぎるためその他モノマーや顔料などの影響を大きく受け、吐出性は良くならない。30重量%以上であれば、十分にモノマーの影響が及ぶようになり、吐出性は長時間安定かつ静置後の初期吐出性も良好となる。また90重量%より多いと、顔料濃度が薄くなりすぎてしまい、インクジェットで1滴で再現できる色域が狭くなってしまったり、開始剤量が少なくなってしまい硬化性が悪くなってしまう。
【0012】
本発明では、炭素鎖数が10の直鎖または分岐構造をもつジアクリレートモノマー以外にも、必要に応じて2官能および3官能以上の多官能モノマーを用いることができる。
【0013】
2官能および3官能以上の多官能のモノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、2−ビニロキシエタノール、2−(又は3−)ビニロキシプロパノール、2−(又は4−)ビニロキシブタノール、6−ビニロキシヘキサノール、2−(ビニロキシエトキシ)エタノール、2−(ビニロキシ−i−プロポキシ)プロパノール、2−(ビニロキシエトキシ)−i−プロパノール、2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エタノール、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等のヒドロキシル基含有ビニルエーテル類;1−クロロ−2−ビニロキシエタン、1−クロロ−3−ビニロキシプロパン、1−クロロ−4−ビニロキシブタン、1−クロロ−6−ビニロキシヘキサン、1−クロロ−2−(ビニロキシ−i−プロポキシ)エタン、1−クロロ−2−(ビニロキシエトキシ)プロパン、1−クロロ−2−(ビニロキシエトキシ)−i−プロパン、1−クロロ−2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エタン、1−クロロ−2−(ビニロキシポリエトキシ)エタン、1−クロロ−2−(ビニロキシポリ−i−プロポキシエタン、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチルエステル、フェノールノボラック樹脂ビニルエーテル、クレゾールノボラック樹脂ビニルエーテル、エチレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、エチレングリコールビス(2−ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エチルエーテル、ジエチレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、トリエチレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、プロピレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、ジプロピレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、ブタンジオールビス(2−ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エチルエーテル、ヘキサンジオールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エルエーテル、シクロヘキサンジメタノールビス(2−ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エチルエーテル、トリメチロールプロパントリ(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、1,1,1−トリ(4−ビニロキシフェニル)エタン、1−〔α−メチル−α−(4−ビニロキシフェニル)エチル〕−4−〔α,α−ビス(4−ビニロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス(4−ビニロキシフェニルスルホニルメチル)ベンゼン、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシル20ビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、オエンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリビニルエーテル、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヒドロキシピバリン酸トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化リン酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシレートグリセリルトリアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌール酸トリアクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヒドロキシピバリン酸トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化リン酸トリアクリレート、エトキシ化トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシレートグリセリルトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。2官能および3官能以上の多官能のモノマーは、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
中でも、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルを含有すると、塗膜の硬化性が向上する。
【0014】
上記2官能モノマーに関しては含有量は制限されないが、3官能以上の多官能モノマーの好ましい含有量は15重量%以下である。それ以上添加すると、塗膜の硬化収縮性が高くなりすぎて、紙や軟包材などへの印刷において基材のそりが激しくなってしまったり、塗膜の基材への密着性が低下してしまう。
【0015】
本発明では、必要に応じて重合性単官能モノマーを併用することが出来る。具体的には、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、ジプロピレングリコールジアクリレートヒドロキシフェノキシエチルアクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2-アクリロイロキシプロピルフタレート、β-カルボキシルエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート(あるいは、そのエチレンオキサイド並び/またはプロピレンオキサイド付加モノマー)、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、1、4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、エトキシ化コハク酸アクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、N−ビニルカプロラクタムを挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、これら化合物は、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
中でも、N−ビニルカプロラクタムを含有すると、塗膜の硬化性が向上する。
【0016】
本発明のインクジェットインキには、上記以外にオリゴマー、プレポリマーと呼ばれるものを使用できる。具体的には、ダイセルUCB社製「Ebecryl230、244、245、270、280/15IB、284、285、4830、4835、4858、4883、8402、8803、8800、254、264、265、294/35HD、1259、1264、4866、9260、8210、1290.1290K、5129、2000、2001、2002、2100、KRM7222、KRM7735、4842、210、215、4827、4849、6700、6700−20T、204、205、6602、220、4450、770、IRR567、81、84、83、80、657、800、805、808、810、812、1657、1810、IRR302、450、670、830、835、870、1830、1870、2870、IRR267、813、IRR483、811、436、438、446、505、524、525、554W、584、586、745、767、1701、1755、740/40TP、600、601、604、605、607、608、609、600/25TO、616、645、648、860、1606、1608、1629、1940、2958、2959、3200、3201、3404、3411、3412、3415、3500、3502、3600、3603、3604、3605、3608、3700、3700−20H、3700−20T、3700−25R、3701、3701−20T、3703、3702、RDX63182、6040、IRR419」、サートマー社製「CN104、CN120、CN124、CN136、CN151、CN2270、CN2271E、CN435、CN454、CN970、CN971、CN972、CN9782、CN981、CN9893、CN991」、BASF社製「Laromer EA81、LR8713、LR8765、LR8986、PE56F、PE44F、LR8800、PE46T、LR8907、PO43F、PO77F、PE55F、LR8967、LR8981、LR8982、LR8992、LR9004、LR8956、LR8985、LR8987、UP35D、UA19T、LR9005、PO83F、PO33F、PO84F、PO94F、LR8863、LR8869、LR8889、LR8997、LR8996、LR9013、LR9019、PO9026V、PE9027V」、コグニス社製「フォトマー3005、3015、3016、3072、3982、3215、5010、5429、5430、5432、5662、5806、5930、6008、6010、6019、6184、6210、6217、6230、6891、6892、6893−20R、6363、6572、3660」、根上工業社製「アートレジンUN−9000HP、9000PEP、9200A、7600、5200、1003、1255、3320HA、3320HB、3320HC、3320HS、901T、1200TPK、6060PTM、6060P」、日本合成化学社製「紫光 UV−6630B、7000B、7510B、7461TE、3000B、3200B、3210EA、3310B、3500BA、3520TL、3700B、6100B、6640B、1400B、1700B、6300B、7550B、7605B、7610B、7620EA、7630B、7640B、2000B、2010B、2250EA、2750B」、日本化薬社製「カヤラッドR−280、R−146、R131、R−205、EX2320,R190、R130、R−300,C−0011、TCR−1234、ZFR−1122、UX−2201,UX−2301,UX3204、UX−3301、UX−4101,UX−6101、UX−7101、MAX−5101、MAX−5100,MAX−3510、UX−4101」等が挙げられる。
【0017】
また、インキの低粘度化、及び基材への濡れ広がり性を向上させるために、インキ中に有機溶剤を含有させてもよい。
【0018】
有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチルジグリコール、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、エチレングリコールプロピオネートブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールアセテートジブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールプロピオネートブチレート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートジブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールプロピオネートブチレート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールアセテートジブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールプロピオネートブチレート、ジプロピレングリコールジプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートジブチレート等のグリコールジアセテート類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類があげられる。この中でも、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチルジグリコールが好ましい。
【0019】
本発明では、基材への濡れ広がり性を向上させるために表面調整剤を加えることが好ましい。本発明における表面調整剤とは、インキに1重量%添加した際に、インキ表面張力を0.5mN/m以上下げる樹脂のことである。
表面調整剤には、シリコン系表面調整剤やアクリル系表面調整剤が挙げられる。
【0020】
アクリル系表面調整剤の具体例としては、ビックケミー社製「BYK−350、352、354、355、358N、361N、381N、381、392」等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これら表面調整剤は、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
アクリル系以外の表面調整剤の具体例としては、ビックケミー社製「BYK−300、302、306、307、310、315、320、322、323、325、330、331、333、337、340、344、370、375、377、355、356、357、390、UV3500、UV3510、UV3570」テゴケミー社製「Tegorad−2100,2200、2250、2500、2700」等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これら表面調整剤は、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
【0021】
表面調整剤は組成物中に、0.001〜5重量%含まれることが好ましい。0.001重量%未満では濡れ広がりが悪くなり、5重量%より多くても、表面調整剤がインキ界面に配向しきれず、一定の効果までしか発現しない。
【0022】
発明で説明する活性エネルギー線とは、電子線、紫外線、赤外線などの被照射体の電子軌道に影響を与え、ラジカル、カチオン、アニオンなどの重合反応の引き金と成りうるエネルギー線を示すが、重合反応を誘発させるエネルギー線であれば、これに限定しない。
本発明で示される活性エネルギー線硬化型組成物とは、基材表面に印刷、または塗工される液体を示す。このインキは、着色成分を含まない場合、コーティング用途として用いることができ、また、着色成分を含有する場合、グラフィックや、文字、写真などを表示する材料として用いることができる。この着色成分としては、従来、染料や顔料が広く使用されているが、特に耐候性の面から顔料を用いる場合が多い。顔料成分としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色の顔料または有彩色の有機顔料が使用できる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系有機顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系有機顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンエローなどのキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエローなどのイソインドリン系有機顔料、その他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
【0023】
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86 93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
【0024】
カーボンブラックの具体例としては、デグサ社製「Special Black350、250、100、550、5、4、4A、6」「PrintexU、V、140U、140V、95、90、85、80、75、55、45、40、P、60、L6、L、300、30、3、35、25、A、G」、キャボット社製「REGAL400R、660R、330R、250R」「MOGUL E、L」、三菱化学社製「MA7、8、11、77、100、100R、100S、220、230」「#2700、#2650、#2600、#200、#2350、#2300、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#850、#750、#650、#52、#50、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#332、#30、#25、#20、#10、#5、CF9、#95、#260」等が挙げられる。
【0025】
酸化チタンの具体例としては、石原産業社製「タイペークCR−50、50−2、57、80、90、93、95、953、97、60、60−2、63、67、58、58−2、85」「タイペークR−820,830、930、550、630、680、670、580、780、780−2、850、855」「タイペークA−100、220」「タイペークW−10」「タイペークPF−740、744」「TTO−55(A)、55(B)、55(C)、55(D)、55(S)、55(N)、51(A)、51(C)」「TTO−S−1、2」「TTO−M−1、2」、テイカ社製「チタニックスJR−301、403、405、600A、605、600E、603、805、806、701、800、808」「チタニックスJA−1、C、3、4、5」、デュポン社製「タイピュアR−900、902、960、706、931」等が挙げられる。
【0026】
上記顔料の中で、キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。 有機顔料は、レーザー散乱による測定値で平均粒径10〜150nmの微細顔料であることが好ましい。顔料の平均粒径が10nm未満の場合は、粒径が小さくなることによる耐光性の低下が生じ、150nmを越える場合は、分散の安定維持が困難になり、顔料の沈澱が生じやすくなる。
【0027】
有機顔料の微細化は下記の方法で行うことができる。すなわち、有機顔料、有機顔料の3重量倍以上の水溶性の無機塩および水溶性の溶剤の少なくとも3つの成分からなる混合物を粘土状の混合物とし、ニーダー等で強く練りこんで微細化したのち水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌してスラリー状とする。次いで、スラリーの濾過と水洗を繰り返して、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤を除去する。微細化工程において、樹脂、顔料分散剤等を添加してもよい。
【0028】
水溶性の無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。これらの無機塩は、有機顔料の3重量倍以上、好ましくは20重量倍以下の範囲で用いる。無機塩の量が3重量倍よりも少ないと、所望の大きさの処理顔料が得られない。また、20重量倍よりも多いと、後の工程における洗浄処理が多大であり、有機顔料の実質的な処理量が少なくなる。
【0029】
水溶性の溶剤は、有機顔料と破砕助剤として用いられる水溶性の無機塩との適度な粘土状態をつくり、充分な破砕を効率よく行うために用いられ、水に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、混練時に温度が上昇して溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から沸点120〜250℃の高沸点の溶剤が好ましい。水溶性溶剤としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0030】
本発明において顔料は、十分な濃度および十分な耐光性を得るため、組成物中に0.1〜30重量%の範囲で含まれることが好ましい。
【0031】
本発明では、顔料の分散性およびインキの保存安定性を向上させるために顔料分散剤を添加するのが好ましい。顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
【0032】
分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110、111(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」が挙げられる。
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
【0033】
さらに、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000GR、32000、33000、35000、39000、41000、53000」、日光ケミカル社製「ニッコール T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline 4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821、822、824、827、711」、テゴケミサービス社製「TEGODisper685」等が挙げられる。
【0034】
分散剤は組成物中に0.01〜10重量%含まれることが好ましい。
【0035】
本発明の組成物には、顔料の分散性およびインキの保存安定性をより向上させるために、有機顔料の酸性誘導体を顔料の分散時に配合することが好ましい。
【0036】
本発明において活性エネルギー線として紫外線を使用するときは、光ラジカル重合開始剤をインキ中に配合する。光ラジカル重合開始剤の具体例としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、4、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム))、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド等があげられる。これら重合禁止剤は一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。これらの重合開始剤は一例であり、これに限定されるものではない。
【0037】
本発明では、光ラジカル重合開始剤の効果を高めるため、増感剤を含有してもよい。
増感剤の具体例としては、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等があげられる。もちろん、上記光ラジカル重合開始剤や増感剤は、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。また、上記増感剤は一例であり、これに限定されるものではない。
【0038】
上記光重合開始剤および増感剤は、重合性モノマーに対し、2〜25重量%含有することが好ましい。2重量%未満であると硬化速度が著しく悪化し、25重量%より多いと、含有量が10重量%のものと硬化速度が変わらないばかりか、溶解残りが発生する場合があり、熱をかけて溶け残りを溶かしたとしても、インキの粘度が上昇し、インクジェット吐出性が悪化するという問題がある。
【0039】
本発明では、インキの経時での粘度安定性、経時後の吐出性、記録装置内での機上の粘度安定性を高めるため、重合禁止剤としてフェノチアジンを0.01重量%から2重量%程度含有することが好ましい。0.01重量%未満では、十分に効果を発揮せず、2重量%より多いとラジカル補足作用が強く、硬化不良が発生する。
原理は定かではないが、フェノチアジンは他の重合禁止剤と比べて、安定性に優れ、少量で効果を発揮する。特に、インキ組成中にビニルモノマーを含有することによって起きる経時の粘度安定性を著しく向上させ、経時後の吐出不良を防ぐ効果がある。
【0040】
本発明では、フェノチアジン以外の重合禁止剤として、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、ピロガロール、ブチルヒドロキシトルエン等の重合禁止剤を必要に応じて、1種類または2種類以上用いることができる。本発明のインクジェットインキには、重合禁止剤インキ中0.01〜5重量%配合することが好ましい。
【0041】
[実施例]
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は、「重量部」を表す。
なお、実施例1〜5、7〜11、13〜14は、参考実施例である。
【0042】
(顔料分散体Aの作成)
顔料 Special Black 350
(デグサ社製 カーボンブラック顔料) 30.0部
顔料分散剤 ソルスパース32000(ルーブリゾール社製) 6.0部
モノマー 1,10−デカンジオールジアクリレート 64.0部
上記材料をハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌後、得られたミルベースを横型サンドミルで約1時間分散して作成した。
【0043】
また、下記のような配合で顔料分散体Bを作成した。分散体の製造方法は、分散体Aと同様の製造方法で作成した。
【0044】
(顔料分散体Bの作成)
顔料 LIONOL BLUE FG−7400G
(東洋インキ製造社製 フタロシアニン顔料) 30.0部
顔料分散剤 ソルスパース32000(ルーブリゾール社製) 9.0部
モノマー 1,10−デカンジオールジアクリレート 61.0部
【0045】
また、下記のような配合で顔料分散体Cを作成した。分散体の製造方法は、分散体Aと同様の製造方法で作成した。
【0046】
(顔料分散体Cの作成)
顔料 Novoperm Yellow P−HG
(クラリアント社製 ベンズイミダゾロン顔料) 35.0部
顔料分散剤 ソルスパース32000(ルーブリゾール社製) 7.0部
モノマー 1,10−デカンジオールジアクリレート 58.0部
上記材料をハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌後、得られたミルベースを横型サンドミルで約1時間分散して作成した。
【0047】
また、下記のような配合で顔料分散体Dを作成した。分散体の製造方法は、分散体Aと同様の製造方法で作成した。
【0048】
(顔料分散体Dの作成)
顔料 Hostaperm Red E5B02
(クラリアント社製 キナクリドン顔料) 25.0部
顔料分散剤 ソルスパース32000(ルーブリゾール社製) 10.0部
モノマー 1,10−デカンジオールジアクリレート 65.0部
【0049】
また、下記のような配合で顔料分散体Eを作成した。分散体の製造方法は、分散体Aと同様の製造方法で作成した。
【0050】
(顔料分散体Eの作成)
顔料 Special Black 350
(デグサ社製 カーボンブラック顔料) 30.0部
顔料分散剤 ソルスパース32000(ルーブリゾール社製) 6.0部
モノマー 2−フェノキシエチルアクリレート 64.0部
上記材料をハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌後、得られたミルベースを横型サンドミルで約1時間分散して作成した。
【0051】
また、下記のような配合で顔料分散体Fを作成した。分散体の製造方法は、分散体Aと同様の製造方法で作成した。
【0052】
(顔料分散体Fの作成)
顔料 LIONOL BLUE FG−7400G
(東洋インキ製造社製 フタロシアニン顔料) 30.0部
顔料分散剤 ソルスパース32000(ルーブリゾール社製) 9.0部
モノマー 2−フェノキシエチルアクリレート 61.0部
【0053】
また、下記のような配合で顔料分散体Gを作成した。分散体の製造方法は、分散体Aと同様の製造方法で作成した。
【0054】
(顔料分散体Gの作成)
顔料 Novoperm Yellow P−HG
(クラリアント社製 ベンズイミダゾロン顔料) 35.0部
顔料分散剤 ソルスパース32000(ルーブリゾール社製) 7.0部
モノマー 2−フェノキシエチルアクリレート 58.0部
上記材料をハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌後、得られたミルベースを横型サンドミルで約1時間分散して作成した。
【0055】
また、下記のような配合で顔料分散体Hを作成した。分散体の製造方法は、分散体Aと同様の製造方法で作成した。
【0056】
(顔料分散体Hの作成)
顔料 Hostaperm Red E5B02
(クラリアント社製 キナクリドン顔料) 25.0部
顔料分散剤 ソルスパース32000(ルーブリゾール社製) 10.0部
モノマー 2−フェノキシエチルアクリレート 65.0部
【0057】
実施例1〜14
表1配合処方にて、表の上から順次撹拌しながら添加し、樹脂および重合開始剤が溶解するまで穏やかに混合させた後、1μmのメンブランフィルターで濾過を行い、粗大粒子を除去することでインクジェットインキ組成物を得た。
【0058】
表1におけるインキ原料は、
DPHA :ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
1,10‐DDDA :1,10−デカンジオールジアクリレート
1,6−HDDA :1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
DPGDA :ジプロピレングリコールジアクリレート
TEGDA :トリエチレングリコールジアクリレート
TEGDVE :トリエチレングリコールジビニルエーテル
VEEA :アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル
PEA :2−フェノキシエチルアクリレート
NVC :N−ビニルカプロラクタム
LA :ラウリルアクリレート
IBXA :イソボルニルアクリレート
Irg819 :イルガキュア819 (BASF社製)
TPO :DAROCUR TPO (BASF社製)
Irg369 :イルガキュア369 (BASF社製)
EsaOne :Esacure One (日本シイベルへグナー社製) (日本化薬社製)
BYK−UV3510:BYK−UV3510(BYK Chemie社製 シリコン樹脂)
BYK−352 :BYK−352(BYK Chemie社製 アクリル樹脂)
BYK−361N :BYK−361N(BYK Chemie社製 アクリル樹脂)
BHT :BHTスワノックス(精工化学社製)
フェノチアジン :フェノチアジン(精工化学社製)
を使用して作製した。
【0059】
次にこのインクジェットインキ組成物を用い、京セラヘッド乃至はKonica社のKM512ヘッドを用いて吐出観察を行った。
さらには京セラヘッドを積んだインクジェット吐出装置により、PVC上へ吐出し、硬化性の評価を行った。
PVC(ヒシプレート302:三菱樹脂)
【0060】
比較例1〜6
実施例1〜14と同様に、表2配合処方にて、インクジェットインキ組成物を作製し、吐出観察および印刷、硬化を行った。
これらの塗膜およびインクジェットインキ組成物について評価を行なった。
【0061】
・連続吐出性
得られたインキを京セラ社のヘッド(公称14pl/1drop)乃至はKonica社のKM512ヘッド(公称42pl/1drop)に充填し、電圧26Vで連続安定吐出評価を行った。この評価は、全ノズルから吐出を連続で行い、10分ごとにPVCに印字を行い、印字の様子を観察した。評価内容は、印字間隔にバラツキがでた場合、液滴が偏飛行していると判断し、ドットが欠けている部分はヘッドつまりが発生したと判断した。評価は、120分まで評価を継続して行った。
【0062】
120分まで良好な吐出を行えた場合 ◎
60分まで良好な吐出を行えた場合 ○
30分以内に偏飛行やつまりが発生した場合 ×
【0063】
・間欠吐出性
上記インクジェット吐出評価装置を用い、同様に間欠吐出性評価を行った。この評価は、吐出後30分間吐出を止めた後に普通紙に印字を行い、印字の様子を観察した。評価内容は、印字間隔にバラツキがでた場合、液滴が偏飛行していると判断し、ドットが欠けている部分はヘッドつまりが発生したと判断した。
【0064】
良好な吐出を行えた場合 ◎
静置直後は偏飛行やつまりが発生しても、1分以内に回復しその後は良好な吐出を行えた場合 ○
偏飛行やつまりが発生し、その後も回復せず良好な吐出を行えない場合 ×
【0065】
・硬化性
次にこのインクジェットインキ組成物を用い、京セラヘッドを積んだインクジェット吐出装置により、インキ液滴量14pl、600×600dpiの印字条件で、PVC上へ吐出した。吐出後ハリソン東芝ライティング社製120W/cm、メタルハライドランプ1灯、コンベア速度25min、1Passで紫外線硬化し、塗膜を得た。
100%ベタ印字部分が1passで硬化する印字速度から硬化性の程度を判断した。印刷物を触診し、インキが手に付かない状態を硬化判断した。
評価基準は以下の通りであり、○以上を硬化性良好とする。
【0066】
印字速度 50m/minで硬化する ◎
25m/minで硬化する ○
25m/minで硬化しない ×
【0067】
実施例1〜14の印字条件と試験結果を表1に示した。実施例1〜14では、1,10−デカンジオールジアクリレートをインキ中に10重量%〜90重量%含有し、良好な吐出安定性、硬化性を示した。このことから、保存安定性に優れ、インクジェット吐出安定性が良く塗工紙に対し良好な画像を形成し、優れた硬化性を示す活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物を得る事ができた。
【0068】
実施例1〜14のうち3を除く例では、1,10−デカンジオールジアクリレートを30重量%以上含有しており、実施例3と比較して、さらに良好な連続吐出性と間欠吐出性を示している。
実施例1、3、5〜12では、N−ビニルカプロラクタムないしはアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルを含有しており、実施例2と比較して、さらに良好な硬化性を示している。
【0069】
比較例1〜比較例6の印字条件と試験結果を表2に示した。比較例1〜6では、1,10−デカンジオールジアクリレートがインキ中に含まれておらず、吐出安定性が悪い。比較例1〜3は1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを含んでいるが、乾燥性が速いため間欠吐出性が悪い。
比較例6では、2官能モノマーを含んでいないため、塗膜の硬化性が悪い。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】