特許第5786397号(P5786397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5786397
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】圧力調整用補助具
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/02 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   A61M1/02 570
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-64967(P2011-64967)
(22)【出願日】2011年3月23日
(65)【公開番号】特開2011-218157(P2011-218157A)
(43)【公開日】2011年11月4日
【審査請求日】2014年1月31日
(31)【優先権主張番号】特願2010-71242(P2010-71242)
(32)【優先日】2010年3月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】岡本 恭典
(72)【発明者】
【氏名】田中 聖真
(72)【発明者】
【氏名】大森 正芳
【審査官】 石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−194718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/02
A61M 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管状部と、
前記第1管状部の一端側に設けられ空気吸引装置に接続可能な第1接続部と、
前記第1管状部の他端側に配置される第1ケース及び第2ケースと、
基端側が前記第1ケース及び前記第2ケースを介して前記第1管状部の他端側に連結され先端側が分岐した分岐管状部と、
前記分岐管状部それぞれの先端側に設けられ吸引対象物に接続可能な一対の第2接続部と、を備え
前記第1ケースは、一端側が前記第1管状部に挿入される管状の第1挿入部と、該第1挿入部の他端側に設けられる第1連結部と、を備え、
前記第2ケースは、一端側が前記分岐管状部に挿入される管状の第2挿入部と、該第2挿入部の他端側に設けられる第2連結部と、を備え、
前記第1連結部と前記第2連結部とは、互いに周方向に回転可能に連結されている圧力調整用補助具。
【請求項2】
前記分岐管状部側から前記第1管状部側への空気の流通を可能とすると共に、前記第1管状部側から前記分岐管状部側への空気の流通を遮断する一方弁を更に備え
前記一方弁は、前記第1ケースと、前記第2ケースと、該第1ケース及び該第2ケースの内部に配置される弁体と、を備える請求項1に記載の圧力調整用補助具。
【請求項3】
前記第1管状部及び前記分岐管状部は、それぞれ、可撓性を有するチューブにより構成される請求項1又は2に記載の圧力調整用補助具。
【請求項4】
前記一対の第2接続部は、前記吸引対象物における該第2接続部との連結部分に挿入可能な接続部本体と、該接続部本体の外側に配置され前記連結部分の外面に螺合又は嵌合可能なナット部と、を備える請求項1〜3のいずれかに記載の圧力調整用補助具。
【請求項5】
前記ナット部は、前記接続部本体の長手方向にスライド可能に構成される請求項4に記載の圧力調整用補助具。
【請求項6】
前記ナット部は、前記接続部本体に対して周方向に回転可能に構成される請求項4又は5に記載の圧力調整用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調整用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に、対象者から採取した血液を貯留する血液貯留部と、この血液貯留部に貯留された血液のうちの少なくとも一部の成分を収容する成分収容部と、これら血液貯留部及び成分収容部を無菌的に連結する連結部と、を備える血液成分分離収容装置を提案している(特許文献1参照)。この血液成分分離収容装置によれば、対象者から採取した血液から閉鎖系で無菌的に血清等の所定の血液成分を分離、収容できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−50696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の血液成分分離収容装置では、血液貯留部は、可撓性を有すると共に採血チューブが接続された血液貯留容器と、この血液貯留容器との間に圧力調整空間を形成するように血液貯留容器を収容する硬質の収容容器と、これら血液貯留容器及び収容容器を密閉可能なキャップと、を含んで構成される。
この血液貯留部への血液の採取は、例えば、以下の手順で行われる。
【0005】
まず、採血チューブの経路をクランプ等により閉鎖しておく。次いで、血液貯留容器の内部空間の空気を吸引すると共に、圧力調整空間の空気を吸引する。これにより、血液貯留容器の内部空間及び圧力調整空間にそれぞれ陰圧が付加される。ここで、血液貯留容器の内部空間と圧力調整空間との間には圧力差が生じないので、血液貯留容器の内部空間に陰圧が付加されても可撓性を有する血液貯留容器は変形しない(つぶれない)。
この状態で、採血針を対象者に刺した後、採血チューブの経路を開放する。すると、血液貯留容器の内部空間の陰圧により採血針から採取された血液は、血液貯留容器側に強く吸引されて血液貯留容器に導入される。
【0006】
以上の手順によれば、血液の採取を行う過程において、血液貯留容器がつぶれないので、血液貯留容器に採血量を示す目盛が付してある場合等に、採血量を正確に把握できる。
【0007】
ところで、以上の手順においては、血液貯留容器の内部空間及び圧力調整空間に陰圧を付加する場合には、一端側が血液貯留容器の内部空間に連通するチューブ及び一端側が圧力調整空間に連通するチューブのそれぞれの他端側にシリンジを接続し、これらのシリンジにより血液貯留容器の内部空間の空気及び圧力調整空間の空気を吸引している。このように、2つのシリンジを用いて2箇所の空間に別個に陰圧を付加することは非常に煩雑であった。また、2つのシリンジを用いているので、2箇所の空間に同時に陰圧を付加することは困難であった。
【0008】
従って、本発明は、2箇所の空間に同時に陰圧を付加できる圧力調整用補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1管状部と、前記第1管状部の一端側に設けられ空気吸引装置に接続可能な第1接続部と、基端側が前記第1管状部の他端側に連結され先端側が分岐した分岐管状部と、前記分岐管状部それぞれの先端側に設けられ吸引対象物に接続可能な一対の第2接続部と、を備える圧力調整用補助具に関する。
【0010】
また、圧力調整用補助具前記第1管状部と前記分岐管状部との連結部近傍に設けられ、前記分岐管状部側から前記第1管状部側への空気の流通を可能とすると共に、前記第1管状部側から前記分岐管状部側への空気の流通を遮断する一方弁を更に備えることが好ましい。
【0011】
また、前記第1管状部及び前記分岐管状部は、それぞれ、可撓性を有するチューブにより構成されることが好ましい。
【0012】
また、前記一対の第2接続部は、前記吸引対象物における該第2接続部との連結部に挿入可能な接続部本体と、該接続部本体の外側に配置され前記連結部の外面に螺合又は嵌合可能なナット部と、を備えることが好ましい。
【0013】
また、前記ナット部は、前記接続部本体の長手方向にスライド可能に構成されることが好ましい。
【0014】
また、前記ナット部は、前記接続部本体に対して周方向に回転可能に構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の圧力調整用補助具によれば、2箇所の空間に同時に陰圧を付加できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の圧力調整用補助具の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示す圧力調整用補助具を示す平面図である。
図3図1に示す圧力調整用補助具を示す正面図である。
図4図3のA−A線断面図である。
図5】一方弁の他の形態を示す図である。
図6】圧力調整用補助具の使用状態の一例を示す斜視図である。
図7】圧力調整用補助具の使用状態の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の圧力調整用補助具の好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の圧力調整用補助具1は、例えば、シリンジのような空気吸引装置を用いて、2箇所の空間から空気を吸引して、これら2箇所の空間の圧力を調整する場合に用いられる。この圧力調整用補助具1は、図1図3に示すように、第1管状部10と、第1接続部20と、分岐管状部30と、一対の第2接続部40と、一方弁50と、を備え、略Y字形状に構成される。
【0018】
第1管状部10は、可撓性を有する所定の内径の透明チューブにより構成される。
第1接続部20は、第1管状部10の一端側に接続される。この第1接続部20は、ポリエチレンやポリプロピレン等の硬質樹脂により筒状に構成された透明な部材からなる。第1接続部20の一端側の外径は、第1管状部10の内径と略等しく構成される。そして、第1接続部20と第1管状部10とは、第1接続部20の一端側が第1管状部10の一端側に挿入されて接続される。
【0019】
第1接続部20の他端側の外径及び内径は、第1接続部20の一端側の外径及び内径よりも大きく構成される。具体的には、第1接続部20の他端側の内径は、2mm〜5mm程度に構成されており、空気吸引装置としてのシリンジの先端側が挿入可能となっている。また、第1接続部20の他端側の外周面には、ねじ山が形成されている。
【0020】
分岐管状部30は、先端側が2つに分岐している。この分岐管状部30の基端側は、第1管状部10の他端側に一方弁50を介して連結される。この分岐管状部30の先端側における分岐部分の長さは、略等しく構成される。
分岐管状部30は、可撓性を有する所定の内径の透明チューブにより構成される。
【0021】
一対の第2接続部40は、それぞれ、分岐管状部30の先端側に接続される。一対の第2接続部40は、それぞれ、接続部本体41と、この接続部本体41の外周面側に配置されるナット部42と、を備える。
【0022】
接続部本体41は、図4に示すように、筒状に構成される。この接続部本体41の一端側の外径は、分岐管状部30の先端側の内径と略等しく構成される。そして、接続部本体41と分岐管状部30とは、接続部本体41の一端側が分岐管状部30の先端側に挿入されて接続される。
接続部本体41の他端側の外径は、接続部本体41の一端側の外径と略等しく構成される。この接続部本体41の他端側は、吸引対象物に設けられた接続部材(例えば、第1接続部20と同様の構成を有する接続部材)に挿入されて、吸引対象物に接続される。
接続部本体41の長手方向の中央部における外周面には、長手方向に所定の幅で外径が小さくなった縮径部411が形成されている。
【0023】
ナット部42は、接続部本体41の外径よりも大きな内径を有する筒状に構成される。このナット部42の内面には、突起部421及びねじ溝422が形成されている。突起部421は、ナット部42の内面における基端側に設けられ、接続部本体41の縮径部411に係合される。ねじ溝422は、ナット部42の内面における先端側に設けられる。
【0024】
以上のナット部42は、縮径部411が設けられた範囲で接続部本体41の長手方向にスライド可能となっている。また、このナット部42は、吸引対象物に設けられた接続部材の外面にねじ山が設けられていた場合には、この接続部材のねじ山にねじ溝422を螺合することで、第2接続部40と接続対象物との接続をより確実にできる。
また、ナット部42は、接続部本体41の縮径部411の外周面側に配置され、接続部本体41に対して周方向に回転可能に取り付けられている。これにより、ナット部42と接続対象物とを螺合により接続する際、ナット部42が自在に回転可能となる。よって、ナット部42を回転操作しても、接続部本体41を含む圧力調整用補助具1が回転して捩れたりすることがなく、安全で確実な接続操作が可能になる。
接続部本体41及びナット部42は、いずれもポリエチレンやポリプロピレン等の硬質樹脂により透明な部材として構成される。
【0025】
一方弁50は、図4に示すように、第1管状部10の他端側に接続される第1ケース51と、分岐管状部30の基端側に接続されると共に第1ケース51に連結される第2ケース52と、第1ケース51及び第2ケース52の内部に配置される弁体53と、を備える。
【0026】
第1ケース51は、一端側が第1管状部10に挿入される管状の第1挿入部511と、この第1挿入部511の他端側に設けられる第1連結部512と、を備える。
第2ケース52は、一端側が分岐管状部30に挿入される管状の第2挿入部521と、この第2挿入部521の他端側に設けられる第2連結部522と、を備える。
第1連結部512における第1挿入部511側と反対の端部側の外径は、第2連結部522における第2挿入部521側と反対の端部側の内径と略等しく構成されている。また、第1連結部512の外周面及び第2連結部522の内周面には、互いに対応した形状の凹凸が形成されており、第1連結部512と第2連結部522とは、互いに周方向に回転可能に連結される。これにより、例えば、第1接続部20とシリンジを接続する場合に、第1接続部20及び第1管状部10に対して周方向に回転する力が加えられても、この周方向に回転する力が分岐管状部30及び一対の第2接続部40に及ぶことを防げる。よって、第1接続部20側を回転操作したとしても、接続部本体41を含む圧力調整用補助具1全体が回転して捩れたりすることがなく、安全で確実な接続操作が可能になる。
【0027】
弁体53は、ゴム等の弾性を有する部材により構成され、第1ケース51の第1連結部512の内面側に配置される。この弁体53は、一端側が第1連結部512の内周面に嵌合され、他端側が第1管状部10側に向けて突出している。弁体53における第1管状部10側の突出端には、スリット(図示せず)が形成されている。
【0028】
以上の一方弁50によれば、第1接続部20側から空気を吸引した場合には、第1管状部10の内部において第1接続部20側に働く吸引力により弁体53のスリットが開口する。これにより、一対の第2接続部40側から第1接続部20側に向けて分岐管状部30の内部及び第1管状部10の内部を空気が流通する。
一方、第1接続部20側からの空気の吸引を停止した場合には、弁体53のスリットは閉じるため、第1接続部20側から一対の第2接続部40側に空気は流通しない。
【0029】
尚、本発明における一方弁50は、内部の空気の圧力変動により、弁が開閉可能であり、一方向にのみ空気の流通が可能な態様が好ましく、その構造は特に限定されることはなく、公知の技術が採用可能である。
本実施形態では、一方弁50として、上述のいわゆる「ダックビル式」の弁体53を備える弁構造を示したが、これに限らない。例えば、図5に示すような、柄部531Aと、この柄部531Aの一端に配置される傘部532Aと、を備え、柄部531A側から傘部532A側にのみ空気の流通が可能な、いわゆる「アンブレラ式」の弁体53Aを備える一方弁50Aを用いてもよい。
【0030】
次に、以上の圧力調整用補助具1の使用方法につき、図6を参照しながら説明する。図6は、圧力調整用補助具1を用いて、吸引対象物としての血液採取装置100から空気吸引装置としてのシリンジ60により空気を吸引して減圧を行う様子を示す斜視図である。
【0031】
図6に示すように、吸引対象物としての血液採取装置100は、可撓性を有すると共に採血チューブ110が接続された血液貯留容器71と、この血液貯留容器71との間に圧力調整空間を形成するように血液貯留容器71を収容する硬質の収容容器72と、これら血液貯留容器71及び収容容器72を密閉可能なキャップ73と、を備える。キャップ73には、血液貯留容器71の内部空間に連通するチューブ120及び圧力調整空間に連通するチューブ130が接続されている。
【0032】
圧力調整用補助具1は、この血液採取装置100により対象者から血液を採取する場合に用いられる。
まず、圧力調整用補助具1の一対の第2接続部40の一方をチューブ120に、他方をチューブ130に接続する。ここで、チューブ120の先端及びチューブ130の先端には、それぞれ、外周面にねじ山が形成された接続部材121、131が接続されており、一対の第2接続部40は、これらの接続部材121、131を介してチューブ120、130に接続される。より具体的には、一対の第2接続部40は、接続部本体41を、それぞれ、接続部材121、131に挿入し、次いで、ナット部42のねじ溝422を接続部材121、131のねじ山に螺合させることで、接続部材121、131に接続される。
次いで、圧力調整用補助具1の第1接続部20に空気吸引装置としてのシリンジ60の先端を挿入して接続する。
【0033】
次いで、採血チューブ110の経路をクランプ等(図示せず)により閉鎖しておく。この状態で、シリンジ60のピストンを引く。すると、分岐管状部30の一方からは、チューブ120を介して血液貯留容器71の内部空間の空気が吸引される。また、分岐管状部30の他方からは、チューブ130を介して圧力調整空間の空気が吸引される。これにより、血液貯留容器71の内部空間及び圧力調整空間にそれぞれ同時に陰圧が付加される。ここで、血液貯留容器の内部空間と圧力調整空間との間には圧力差が生じないので、血液貯留容器71の内部空間に陰圧が付加されても可撓性を有する血液貯留容器71は変形しない(つぶれない)。また、第1管状部10と分岐管状部30との連結部分には一方弁50が設けられているので、シリンジ60による空気の吸引を停止しても空気は逆流せず、血液貯留容器71の内部空間及び圧力調整空間の減圧状態は維持される。
【0034】
この状態で、採血チューブ110の先端に取り付けられた採血針(図示せず)を対象者に刺した後、採血チューブ110の経路を開放する。すると、血液貯留容器71の内部空間の陰圧により採血針から採取された血液は、血液貯留容器71側に強く吸引されて血液貯留容器に導入される。
このように、本実施形態の圧力調整用補助具1によれば、一つのシリンジ60を用いて、2箇所の空間に同時に陰圧を付加できる。
【0035】
以上説明した本実施形態の圧力調整用補助具1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)圧力調整用補助具1を、第1管状部10の一端側に設けた第1接続部20と、分岐管状部30の先端側に設けた一対の第2接続部40と、を含んで構成した。これにより、一対の第2接続部40を、それぞれ、血液貯留容器71及び収容容器72に接続した状態で、第1接続部20にシリンジ60を接続して、このシリンジ60により空気を吸引することで、血液貯留容器71の内部空間の空気及び圧力調整空間の空気を同時に吸引して、血液貯留容器71の内部空間及び圧力調整空間の両方を同時に同程度減圧できる。
【0036】
(2)第1管状部10と分岐管状部30との連結部分に分岐管状部30側から第1管状部10側にのみ空気を流通可能な一方弁50を配置した。これにより、第1接続部20側から一対の第2接続部40側に空気が侵入しない。よって、血液貯留容器71の内部空間及び圧力調整空間の減圧状態を維持できる。また、血液貯留容器71の内部空間の無菌性を確保できる。
【0037】
(3)第1管状部10及び分岐管状部30を、それぞれ、可撓性を有するチューブにより構成した。よって、圧力調整用補助具1を用いて減圧操作を行う場合に、この圧力調整用補助具1を、第1管状部10及び分岐管状部30の部分で変形させられるので、圧力調整用補助具1を用いた減圧操作の操作性をより向上できる。
【0038】
(4)第2接続部40を、接続部本体41と、ナット部42と、を含んで構成した。よって、第2接続部40と血液採取装置100との接続をより確実に行えるので、圧力調整用補助具1を用いた減圧操作の確実性を高められる。
【0039】
(5)第1管状部10、第1接続部20、分岐管状部30、及び一対の第2接続部40を、それぞれ、透明な部材により構成した。よって、圧力調整用補助具1の内部を容易に視認できるので、圧力調整用補助具1の衛生状態を容易に管理できる。
【0040】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態には制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、第2接続部40と吸引対象物との接続において、ナット部42を吸引対象物の外面に螺合させたが、これに限らない。即ち、ナット部を吸引対象物の外面に嵌合させてもよい。
【0041】
また、第2接続部40と吸引対象物との接続方式と、第1接続部20とシリンジ60との接続方式のそれぞれが相違する構成としてもよい。これにより、例えば、第1接続部20と吸引対象物とを接続不可能な構成とすることで、各接続部の誤接続が防げるので、圧力調整用補助具1を用いた減圧操作の確実性を向上できる。
尚、この誤接続を防止するための各接続部の接続方式の構成については、特に制限されることはなく、各種技術が適用可能である。具体的には、接続方式を螺合、嵌合等から適宜組み合わせてもよく、各接続部の形状や大きさ(例えば、嵌合のテーパー傾斜等)を相違させて、接続対象以外の接続部が接続できない方法を採用してもよい。
【0042】
また、本実施形態では、圧力調整用補助具1を、吸引対象物としての血液採取装置100に用いたが、これに限らない。即ち、圧力調整用補助具1を、図7に示すように、血液採取装置100と同様の構成を有する血液貯留部100Aと、この血液貯留部100Aの血液貯留容器71に無菌的に連結された成分収容容器74を有する成分収容部140と、を備える血液成分分離収容装置200に用いてもよい。
この場合、血液貯留容器71と成分収容容器74とは、チューブ150を介して接続されている。また、圧力調整用補助具1の一対の第2接続部40のうちの一方の第2接続部40は、成分収容容器74に接続されたチューブ160に、接続部材161を介して接続される。そして、血液貯留容器71の内部空間の空気は、チューブ150、成分収容容器74及びチューブ160を介して吸引される。
【符号の説明】
【0043】
1 圧力調整用補助具
10 第1管状部
20 第1接続部
30 分岐管状部
40 第2接続部
41 接続部本体
42 ナット部
50 一方弁
51 第1ケース
52 第2ケース
53 弁体
60 シリンジ(空気吸引装置)
100 血液採取装置(吸引対象物)
200 血液成分分離収容装置(吸引対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7