(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5786400
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】電力の運転制御装置、電力の運転制御方法、プログラム、電力の自立運転制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20150910BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20150910BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20150910BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
H02J9/06
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
H02J3/46
H02J3/14 130
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-67722(P2011-67722)
(22)【出願日】2011年3月25日
(65)【公開番号】特開2012-205393(P2012-205393A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2014年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 哲
【審査官】
馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−92844(JP,A)
【文献】
特開2011−10471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
H02J 13/00
H02J 3/14
H02J 3/38
H02J 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停電時に、電力の自立運転に切替え可能な電力の運転制御装置であって、
電力供給側からの停電レベル情報を受信する停電レベル受信部と、
電力を消費する負荷部の負荷装置情報が少なくとも格納されたデータ格納部と、
前記停電レベル受信部で受信した前記停電レベル情報に基づいて、前記負荷部、自家発電を行う発電部、および前記発電部により発電された電力を蓄電する蓄電部から電力の需給情報を収集し、前記データ格納部にアクセスして前記負荷部ごとの前記負荷装置情報を取得し、前記停電レベル情報、前記需給情報、および前記負荷装置情報に基づいて、前記負荷部への前記電力の供給量と優先順位とを決定し、前記負荷部、前記発電部、および前記蓄電部に対し運転制御を行う制御部と、
前記停電レベル情報に基づいて停電が復旧したか否か判断し、停電が復旧した場合に、自立運転から前記電力供給側との連系運転に切り替えた際の前記電力供給側に対する電力需要を示す電力需要情報を前記電力供給側に送信する電力需要送信部と、
前記電力需要情報を用いて判断された、前記電力供給側との連系が可能であることを示す連系可能情報の受信に応じて、自立運転から前記電力供給側との連系運転に切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする電力の運転制御装置。
【請求項2】
停電時に、電力の自立運転に切替えを実行させる電力の運転制御方法であって、
コンピュータが、
電力供給側からの停電レベル情報を受信し、
前記停電レベル情報に基づいて、電力の消費情報、自家発電情報、および当該発電された電力の蓄電情報からなる需給情報を収集し、
電力を消費する負荷手段の負荷装置情報が少なくとも格納されたデータ格納部にアクセスして、前記負荷手段ごとの前記負荷装置情報を取得し、
前記停電レベル情報、前記需給情報、および前記負荷装置情報に基づいて、各負荷手段への前記電力の供給量と優先順位とを決定し、各負荷手段への電力の供給を制御し、
前記停電レベル情報に基づいて停電が復旧したか否か判断し、停電が復旧した場合に、自立運転から前記電力供給側との連系運転に切り替えた際の前記電力供給側に対する電力需要を示す電力需要情報を前記電力供給側に送信し、
前記電力需要情報を用いて判断された、前記電力供給側との連系が可能であることを示す連系可能情報の受信に応じて、自立運転から前記電力供給側との連系運転に切り替える、
ことを含むことを特徴とする電力の運転制御方法。
【請求項3】
電力を消費する負荷装置、自家発電を行う発電装置、および前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置、と通信するコンピュータであって、
前記コンピュータを、
電力供給側からの停電レベル情報を受信する停電レベル受信手段、
前記負荷装置の負荷装置情報が少なくとも格納されたデータ格納手段、
前記停電レベル受信手段で受信した前記停電レベル情報に基づいて、前記負荷装置、前記発電装置、および前記蓄電装置から需給情報を収集し、前記データ格納手段にアクセスして前記負荷装置ごとの前記負荷装置情報を取得し、前記停電レベル情報、前記需給情報、および前記負荷装置情報に基づいて、前記負荷装置への前記電力の供給量と優先順位とを決定し、前記負荷装置、前記発電装置、および前記蓄電装置に対し運転制御を行う制御手段、
前記停電レベル情報に基づいて停電が復旧したか否か判断し、停電が復旧した場合に、自立運転から前記電力供給側との連系運転に切り替えた際の前記電力供給側に対する電力需要を示す電力需要情報を前記電力供給側に送信する電力需要送信手段、
前記電力需要情報を用いて判断された、前記電力供給側との連系が可能であることを示す連系可能情報の受信に応じて、自立運転から前記電力供給側との連系運転に切り替える切替手段、
として機能させることを特徴とする電力の運転制御プログラム。
【請求項4】
電力供給側に設けられた停電レベル通知装置と、
電力需要側に設けられた電力の運転制御装置と、
電力を消費する負荷装置と、
自家発電を行う発電装置と、
前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置と、を有し、
前記停電レベル通知装置が、
停電レベルを検出する検出部と、
停電レベル情報を送信する停電レベル送信部と、
停電が復旧した場合に前記電力の運転制御装置から送信される、前記電力の運転制御装置での自立運転から前記電力供給側からの電力供給による連系運転に切り替えた際の電力需要を示す電力需要情報を受信する電力情報受信部と、
前記電力需要情報と前記電力供給側から供給可能な電力とに基づいて連系運転が可能か否かを確認し、連系運転が可能である場合、連系運転が可能であることを示す連系可能情報を前記電力需要側に送信する連系可能情報送信部と、を有し、
前記電力の運転制御装置が、
前記停電レベル送信部からの停電レベル情報を受信する停電レベル受信部と、
各種負荷装置の負荷装置情報が少なくとも格納されるデータ格納部と、
前記停電レベル受信部で受信した前記停電レベル情報に基づいて、前記負荷装置、前記発電装置、および前記蓄電装置から需給情報を収集し、前記データ格納部にアクセスして前記負荷装置ごとの前記負荷装置情報を取得し、前記停電レベル情報、前記需給情報、および前記負荷装置情報に基づいて、前記負荷装置への前記電力の供給量と優先順位とを決定し、前記負荷装置、前記発電装置、および前記蓄電装置に対し運転制御を行う制御部と、
前記停電レベル情報に基づいて停電が復旧したか否か判断し、停電が復旧した場合、前記電力需要情報を前記電力供給側に送信する電力需要送信部と、
前記連系可能情報の受信に応じて、前記電力の運転制御装置での自立運転から前記電力供給側からの電力供給による連系運転に切り替える切替部と、を有する、
電力の運転制御装置を用いた停電時の電力の自立運転制御システム。
【請求項5】
前記制御部が、前記電力供給側からの停電レベル情報を受信するごとに、前記需給情報の収集と、前記負荷装置情報の取得と、前記停電レベル情報、前記需給情報、および前記負荷装置情報に基づいて、前記負荷装置への前記電力の供給量と優先順位との決定と、各負荷装置への電力の供給の制御と、を繰り返す請求項4に記載の電力の運転制御装置を用いた停電時の電力の自立運転制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停電時における電力の自立運転への切替え技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自立発電機器を有する電力需要家が、停電等により電力会社やその他の電力供給系統からの電力供給が停止した際に、当該電力需要家は、自立運転を行うため、管理している自立発電機器の消費電力と発電・蓄電の情報に基づいて電力量消費のコントロールを行っていた。しかしながら、停電復旧までの時間が把握できないため、どの程度の電力量を消費して良いかが分からず、必要最低限の負荷以外は、電力を必要とする機器や作業等を停止せざるを得なかった。また、停電復旧時に需要家側の電力の需給状況の把握ができないため、地域全体での需給バランスが大きく崩れ、再度の停電事故が生じる可能性があるという課題があった。
【0003】
このような事態に備えるため、通信回線を用いて、停電時に電力需要者に対して復旧予定時間等の情報を提供するシステムが開示されている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−92844号公報
【特許文献2】特開2006−191281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、停電時に自家発電装置の電力を使用する場合に、復旧予定時間に応じて電力を供給する電気機器を選択するため、電力の残量に応じて電気機器への電力供給を停止して、その作動を停止する。そのため、電力残量が減るに従って、電気機器が次々に停止することとなっていた。そして、最終的に、最も重要な電気機器以外への電力の供給が停止する事態を招く場合があった。また、特許文献2に記載の従来発明では、復旧見込みを一方的に電力需要家に連絡するだけで、復旧までの対応は当該電力需要家にまかせるしかなかった。
【0006】
本発明の目的は、停電情報を受信した際に、停電復旧までに電気機器を停止することなく、効率的に電力を使用することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の各態様では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
【0008】
第1の態様は、電力の運転制御装置に関する。第1の態様に係る電力の運転制御装置は、
停電時に、電力の自立運転に切替え可能な電力の運転制御装置であって、
電力供給側からの停電レベル情報を受信する停電レベル受信部と、
電力を消費する負荷部の負荷装置情報が少なくとも格納されたデータ格納部と、
停電レベル受信部で受信した停電レベル情報に基づいて、負荷部、自家発電を行う発電部、および発電部により発電された電力を蓄電する蓄電部から電力の需給情報を収集し、データ格納部にアクセスして負荷部ごとの負荷装置情報を取得し、停電レベル情報、需給情報、および負荷装置情報に基づいて、負荷部への電力の供給量と優先順位とを決定し、負荷部、発電部、および蓄電部に対し運転制御を行う制御部と、を備える。
【0009】
第2の態様は、電力の運転制御方法に関する。第2の態様に係る電力の運転制御方法は、
停電時に、電力の自立運転に切替えを実行させる電力の運転制御方法であって、
コンピュータが、
電力供給側からの停電レベル情報を受信し、
停電レベル情報に基づいて、電力の消費情報、自家発電情報、および当該発電された電力の蓄電情報からなる需給情報を収集し、
電力を消費する負荷手段の負荷装置情報が少なくとも格納されたデータ格納部にアクセスして、負荷手段ごとの負荷装置情報を取得し、
停電レベル情報、需給情報、および負荷装置情報に基づいて、各負荷手段への電力の供給量と優先順位とを決定し、各負荷手段への電力の供給を制御することを含む。
【0010】
なお、第3の態様として、以上の何れかの構成をコンピュータに実現させる電力の運転制御プログラムであってもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であってもよい。
【0011】
また、第4の態様は、電力の運転制御装置を用いた停電時の電力の自立運転制御システムに関する。第4の態様に係る電力の運転制御装置を用いた停電時の電力の自立運転制御システムは、
電力供給側に設けられた停電レベル通知装置と、
電力需要側に設けられた電力の運転制御装置と、を有し、
停電レベル通知装置が、
停電レベルを検出する検出部と、
停電レベル情報を送信する停電レベル送信部と、を有し、
電力の運転制御装置が、
停電レベル送信部からの停電レベル情報を受信する停電レベル受信部と、
電力を消費する負荷部と、
各種電力の負荷手段の負荷装置情報が少なくとも格納されるデータ格納部と、
自家発電を行う発電部と、
発電部により発電された電力を蓄電する蓄電部と、
停電レベル受信部で受信した停電レベル情報に基づいて、負荷部、発電部、および蓄電部から需給情報を収集し、データ格納部にアクセスして負荷部ごとの負荷装置情報を取得し、停電レベル情報、需給情報、および負荷装置情報に基づいて、負荷部への電力の供給量と優先順位とを決定し、負荷部、発電部、および蓄電部に対し運転制御を行う制御部と、を有し、
停電時に、停電レベル情報に対応して、電力供給側からの電力供給による連系運転から、電力の運転制御装置での自立運転への切替えを行う。
【発明の効果】
【0012】
上記各態様によれば、停電情報を受信した際に、停電復旧までに電気機器を停止することなく、効率的に電力を使用することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態における停電時の電力の自立運転制御システムのシステム構成例を示す概念図。
【
図2】
図1における電力需要家側の電力の運転制御装置のシステム構成例を示す概念図。
【
図3】電力の需給情報を記憶したテーブル(データベース)を示す概念図。
【
図4】電力を使用する負荷手段(電気機器)とその消費電力や重要度を記憶したテーブル(データベース)を示す概念図。
【
図5】停電事故発生時における、電力供給側の停電レベル通知装置と、電力需要家側の電力の運転制御装置との間で実施される通信プロトコルの手順およびサービスの実施手順を示すシーケンス図。
【
図6】停電事故復旧時における、電力供給側の停電レベル通知装置と、電力需要家側の電力の運転制御装置との間で実施される通信プロトコルの手順およびサービスの実施手順を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態の構成に限定されない。なお、本明細書でいう電力供給側とは、電力会社等を示し、電力需要側や電力需要家とは、電力の自家発電装置や蓄電装置を有する会社、工場、一般家庭等を示す。また、電力供給側から通知される停電レベル情報とは、停電が発生したこと、停電復旧までの時間、停電復旧時間の変更、停電が復旧したこと、等であり、これらがネットワークを介して電力需要側に随時通知される。
【0015】
本実施形態に係る、電力の運転制御装置は、停電時に、電力の自立運転に切替え可能な電力の運転制御装置であって、電力供給側からの停電レベル情報を受信する停電レベル受信部と、電力を消費する負荷部の負荷装置情報が少なくとも格納されたデータ格納部と、停電レベル受信部で受信した停電レベル情報に基づいて、負荷部、自家発電を行う発電部、および発電部により発電された電力を蓄電する蓄電部から電力の需給情報を収集し、データ格納部にアクセスして負荷部ごとの負荷装置情報を取得し、停電レベル情報、需給情報、および負荷装置情報に基づいて、負荷部への電力の供給量と優先順位とを決定し、負荷部、発電部、および蓄電部に対し運転制御を行う制御部と、
停電レベル情報に基づいて停電が復旧したか否か判断し、停電が復旧した場合に、自立運転から電力供給側との連系運転に切り替えた際の電力供給側に対する電力需要を示す電力需要情報を電力供給側に送信する電力需要送信部と、電力需要情報を用いて判断された、電力供給側との連系が可能であることを示す連系可能情報の受信に応じて、自立運転から電力供給側との連系運転に切り替える切替部と、を備える。
【0016】
本実施形態に係る、電力の運転制御方法は、停電時に、電力の自立運転に切替えを実行させる電力の運転制御方法であって、コンピュータが、電力供給側からの停電レベル情報を受信し、停電レベル情報に基づいて、電力の消費情報、自家発電情報、および当該発電された電力の蓄電情報からなる需給情報を収集し、電力を消費する負荷手段の負荷装置情報が少なくとも格納されたデータ格納部にアクセスして、負荷手段ごとの負荷装置情報を取得し、停電レベル情報、需給情報、および負荷装置情報に基づいて、各負荷手段への電力の供給量と優先順位とを決定し、各負荷手段への電力の供給を制御
し、停電レベル情報に基づいて停電が復旧したか否か判断し、停電が復旧した場合に、自立運転から電力供給側との連系運転に切り替えた際の電力供給側に対する電力需要を示す電力需要情報を電力供給側に送信し、電力需要情報を用いて判断された、電力供給側との連系が可能であることを示す連系可能情報の受信に応じて、自立運転から電力供給側との連系運転に切り替える、ことを含む。
【0017】
上記電力の運転制御装置および電力の運転制御方法では、停電レベル情報に基づいて、停電復旧までの間に、各負荷部(電気機器等)を停止することのない、効率的な電力の使用が可能となる。
【0018】
また、本実施形態に係る、電力の運転制御装置を用いた停電時の電力自立運転制御システムは、電力供給側に設けられた停電レベル通知装置と、電力需要側に設けられた電力の運転制御装置と、
電力を消費する負荷装置と、自家発電を行う発電装置と、発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電装置と、を有し、停電レベル通知装置が、停電レベルを検出する検出部と、停電レベル情報を送信する停電レベル送信部と、
停電が復旧した場合に電力の運転制御装置から送信される、電力の運転制御装置での自立運転から電力供給側からの電力供給による連系運転に切り替えた際の電力需要を示す電力需要情報を受信する電力情報受信部と、電力需要情報と電力供給側から供給可能な電力とに基づいて連系運転が可能か否かを確認し、連系運転が可能である場合、連系運転が可能であることを示す連系可能情報を電力需要側に送信する連系可能情報送信部と、を有し、電力の運転制御装置が、停電レベル送信部からの停電レベル情報を受信する停電レベル受信部と
、各種
負荷装置の負荷装置情報が少なくとも格納されるデータ格納部と
、停電レベル受信部で受信した停電レベル情報に基づいて、負荷
装置、発電
装置、および蓄電
装置から需給情報を収集し、データ格納部にアクセスして負荷
装置ごとの負荷装置情報を取得し、停電レベル情報、需給情報、および負荷装置情報に基づいて、負荷
装置への電力の供給量と優先順位とを決定し、負荷
装置、発電
装置、および蓄電
装置に対し運転制御を行う制御部と、
停電レベル情報に基づいて停電が復旧したか否か判断し、停電が復旧した場合、電力需要情報を電力供給側に送信する電力需要送信部と、連系可能情報の受信に応じて、電力の運転制御装置での自立運転から電力供給側からの電力供給による連系運転に切り替える切替部と、を有
する。
【0019】
上記電力の運転制御装置を用いた停電時の電力自立運転制御システムでは、停電時に停電レベル情報に対応して、電力供給側からの電力供給による連系運転から、運転制御部での自立運転への切替えを行うことにより、停電復旧までの間に、各負荷部(電気機器等)を停止することのない、効率的な電力の使用が可能なシステムを得ることができる。
【0020】
[第1実施形態]
〔システム構成〕
図1は、本発明の第1実施形態における電力の運転制御装置(以下、単に「運転制御装置」と呼ぶことがある)10を用いた、停電時の電力の自立運転制御システム100のシステム構成例を示す概念図である。第1実施形態における停電時の電力の自立運転制御システム100は、電力供給側の停電レベル通知装置20と、ネットワーク60を介して接続された電力供給側、すなわち、電力需要家の電力の運転制御装置10と、当該運転制御装置10により制御される負荷装置30、発電装置40、および蓄電装置50と、を有して構成される。
【0021】
電力の運転制御装置10は、
図2に示すように、運転制御装置10全体および負荷装置(すなわち、電気機器)30等を制御する制御部11と、停電レベル情報を受信する停電レベル受信部12と、
図3に示す、制御部11が負荷装置30等から収集した需給情報131、
図4に示す各負荷装置30の負荷装置情報132等の各種情報が記憶されるデータ格納部13と、を有して構成される。制御部11、停電レベル受信部12等は、コンピュータが起動した際にCPUやメモリ上に展開され、プログラムとして動作する。
【0022】
制御部11は、負荷装置30、発電装置40、および蓄電装置50から電力の需給情報等を収集し、データ格納部13へ格納する。なお、需給情報131は、データ格納部13に格納せずに、メモリ上に記憶してもよく、データアクセスが迅速となる。また、負荷装置情報132も、システム起動時に、制御部11が全データを読み込んでメモリ上に展開しておいてもよく、この場合も、データアクセスが迅速となる。また、制御部11は、停電レベル情報と需給情報131と負荷装置情報132に基づいて、効率的な電気の使用をシミュレートして、各装置(30〜50)に対し、運転制御を行う、等の処理を行う。停電レベル受信部12は、電力供給側の停電レベル通知装置20からネットワーク60を介して送信される停電開始情報、当該停電レベル情報、停電復旧情報等を随時受信する。
【0023】
次に、データ格納部13のデータ構造について説明する。まず、需給情報131は、
図3に示すような構造を有し、制御部11が発電装置40から収集した発電情報を設定する発電情報設定領域131aと、制御部11が蓄電装置50から収集した蓄電情報を設定する蓄電情報設定領域131bと、制御部11が負荷装置情報132から収集した消費電力情報を設定する消費電力情報設定領域131cと、から構成される。
【0024】
負荷装置情報132は、
図4に示すような構造を有し、電力を使用する負荷装置の種類または装置名が設定される負荷装置設定領域132aと、当該負荷装置の消費電力が設定される消費電力設定領域132bと、当該負荷装置の重要度がランク付けされて設定される重要度設定領域132cとから構成される。負荷装置設定領域132aは、負荷装置(31、32、33、34、・・・、n)をキーとして、消費電力や重要度を検索できるようになっている。
【0025】
上記データ格納部13は、コンピュータのメモリに格納されていてもよいし、ハードウエアのデータベースや外部メモリやUSB等に格納されていてもよい。また、システム起動時に、コンピュータのメモリ上にテーブルとして展開され、終了時にデータベース等に書き出して更新するものであってもよい。また、システムダウン対策のために、一定時間ごとに自動更新するよう構成してもよい。また、テーブル展開せずに、データベースに直接アクセスして各情報を読み書きするものであってもよい。
【0026】
停電レベル通知装置20は、
図1に示すように、停電レベルを検出する停電レベル検出部22と、その情報を、電力需要家の電力の運転制御装置10に通知する停電レベル送信部21と、を有して構成される。
【0027】
〔動作例〕
次に、
図1、
図2のシステム構成図、
図3、
図4のデータ構成図、
図5のシーケンス図を用いて、本実施形態の停電時の電力の自立運転制御システム100の動作例について詳細に説明する。
図4に示すように、通常時、すなわち、停電等のトラブルが発生していない状態では、運転制御装置10は、制御部11で管理している負荷装置30から消費電力情報を、発電装置40から発電情報を、蓄電装置50から蓄電情報を定周期で収集し、各情報の合計値をデータ格納部13において、需給情報131として発電情報設定領域131a、蓄電情報設定領域131b、消費電力情報設定領域131cに設定して管理する(以上、ステップA1〜A4)。
【0028】
次に、停電発生時には、停電レベル通知装置20は停電レベル検出部22にて停電状況から復旧までの時間を把握し、復旧までの時間に応じた停電レベル(以下、「停電レベル情報」と呼ぶ)を確定する(以上、ステップB1、B2)。そして、停電レベル通知装置20は、停電レベル送信部21からネットワーク60を介して運転制御装置10へ停電レベル情報を通知する(ステップB3)。
【0029】
運転制御装置10は、停電レベル受信部12で停電レベル情報を受信した際(ステップB4)、制御部11に通知し、当該制御部11は、電力供給系統からの電力供給による連系運転から、自立運転への切替えを行う(ステップB5)。この際、制御部11はデータ格納部13の需給情報131の設定値を参照し、さらに、負荷装置情報132の負荷装置設定領域132aに設定された各負荷装置31〜nについて、消費電力(消費電力設定領域132bより取得)、重要度(重要度設定領域132cより取得)を取得し、どの機器(負荷装置30)にどのように動作させるのが一番効率的かをシミュレートし、負荷装置30への電力の供給量と優先順位を決定し、負荷装置30、発電装置40、蓄電装置50に対し、好適な動作制御を行う(以上、ステップB6〜B9)。
【0030】
負荷装置30、発電装置40、蓄電装置50は制御に基づき動作し、動作後の消費電力情報、発電情報、蓄電情報を制御部11に対し通知する(以上、ステップB10〜B12)。この通知情報は、需給情報131に随時反映される。
【0031】
一方、停電レベル検出部22が停電レベル情報の変化を検出した際は(ステップB13)、リアルタイムに上記と同様に、運転制御装置10に対して情報を通知する(ステップB14)。停電レベル情報の変化を受信した制御部11は(ステップB15)、その都度、最適な動作を再シミュレートし、上記と同様に負荷装置30、発電装置40、蓄電装置50に対し動作制御を行う(以上、ステップB6〜B9)。このように、停電復旧情報を検出するまで、同様の動作を繰り返し継続する。
【0032】
〔第1実施形態の作用及び効果〕
以上のように、本発明の電力の運転制御装置10を用いた停電時の電力の自立運転制御システム100は、自立運転時に電力の運転制御装置10が停電復旧までの時間情報を入手することにより、管理対象装置(負荷装置30)の需要と供給とを効率良くコントロールしながら自立運転を行い、限られた電力を最大限に活用することができる。さらに、停電復旧までの時間が変化した際、停電レベル送信部21からの停電レベル情報を受信した停電レベル受信部12が、制御部11にリアルタイムに当該情報を通知することにより、状況変化に追随した自立運転を行う事ができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態では、
図6のシーケンス図を用いて、停電復旧時の動作について説明する。なお、停電時の電力の自立運転制御システム100は、第1実施形態と同様のものを用いているため、その構成の詳細については省略する。
【0034】
まず、停電事故復旧時に、停電レベル通知装置20は停電復旧を停電レベル送信部21からネットワーク60を介して、運転制御装置10へ通知する(以上、ステップC1〜C3)。
【0035】
停電復旧通知を停電レベル受信部12で受信した運転制御装置10は、自立運転から連系運転へ切り替えた際の需給情報131を、停電レベル受信部12を介して停電レベル通知装置20へ通知する(以上、ステップC4、C5)。
【0036】
停電レベル通知装置20は、地域全体から収集した需給情報131の合計値と、電力供給側が管理している需給情報から、連系運転が可能か否かを確認し、確認ができた場合には、連系運転可能であることを運転制御装置10へ通知する(以上、ステップC6、C7、C8)。
【0037】
次に、運転制御装置10は制御部11の制御により、負荷装置30、発電装置40、蓄電装置50へ動作制御を行いながら、電圧値、周波数及び位相の差異を調整し、自立運転から連系運転への切替えを行う(ステップC9〜C13)。
【0038】
〔第2実施形態の作用及び効果〕
このように、本実施形態では、電力供給側が停電復旧時に地域全体の需給情報をあらかじめ把握した上で自立運転から連系運転への切替えを行うので、停電復旧時に需給のバランスが大きく崩れることを防止できる。その結果、再度の停電事故発生を防ぐことが可能となる。本構成において、運転制御装置10はパワーコンディショナーや、家庭、ビル、工場等の各種エネルギーマネジメントシステム(EMS)で構成してもよい。また、停電レベル情報は、停電復旧までの時間だけではなく、電力供給側から需要家側に対しての需給制御に関する情報で構成してもよい。
【0039】
なお、上記実施形態の説明には、複数の通信プロトコルを用いており、それぞれに複数のステップを順番に記載してあるが、その複数のステップの順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。また、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
停電時に、電力の自立運転に切替え可能な電力の運転制御装置であって、
電力供給側からの停電レベル情報を受信する停電レベル受信部と、
電力を消費する負荷部の負荷装置情報が少なくとも格納されたデータ格納部と、
前記停電レベル受信部で受信した前記停電レベル情報に基づいて、前記負荷部、自家発電を行う発電部、および前記発電部により発電された電力を蓄電する蓄電部から電力の需給情報を収集し、前記データ格納部にアクセスして前記負荷部ごとの前記負荷装置情報を取得し、前記停電レベル情報、前記需給情報、および前記負荷装置情報に基づいて、前記負荷部への前記電力の供給量と優先順位とを決定し、前記負荷部、前記発電部、および前記蓄電部に対し運転制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする電力の運転制御装置。
2.
停電時に、電力の自立運転に切替えを実行させる電力の運転制御方法であって、
コンピュータが、
電力供給側からの停電レベル情報を受信し、
前記停電レベル情報に基づいて、電力の消費情報、自家発電情報、および当該発電された電力の蓄電情報からなる需給情報を収集し、
電力を消費する負荷手段の負荷装置情報が少なくとも格納されたデータ格納部にアクセスして、前記負荷手段ごとの前記負荷装置情報を取得し、
前記停電レベル情報、前記需給情報、および前記負荷装置情報に基づいて、各負荷手段への前記電力の供給量と優先順位とを決定し、各負荷手段への電力の供給を制御する、
ことを含むことを特徴とする電力の運転制御方法。
3.
コンピュータを、
電力供給側からの停電レベル情報を受信する停電レベル受信手段、
電力を消費する負荷手段、
前記負荷手段の負荷装置情報が少なくとも格納されたデータ格納手段、
自家発電を行う発電手段、
前記発電手段により発電された電力を蓄電する蓄電手段、
前記停電レベル受信手段で受信した前記停電レベル情報に基づいて、前記負荷手段、前記発電手段、および前記蓄電手段から需給情報を収集し、前記データ格納手段にアクセスして前記負荷手段ごとの前記負荷装置情報を取得し、前記停電レベル情報、前記需給情報、および前記負荷装置情報に基づいて、前記負荷手段への前記電力の供給量と優先順位とを決定し、前記負荷手段、前記発電手段、および前記蓄電手段に対し運転制御を行う制御手段、
として機能させることを特徴とする電力の運転制御プログラム。
4.
電力供給側に設けられた停電レベル通知装置と、
電力需要側に設けられた電力の運転制御装置と、を有し、
前記停電レベル通知装置が、
停電レベルを検出する検出部と、
停電レベル情報を送信する停電レベル送信部と、を有し、
前記電力の運転制御装置が、
前記停電レベル送信部からの停電レベル情報を受信する停電レベル受信部と、
電力を消費する負荷部と、
各種電力の負荷手段の負荷装置情報が少なくとも格納されるデータ格納部と、
自家発電を行う発電部と、
前記発電部により発電された電力を蓄電する蓄電部と、
前記停電レベル受信部で受信した前記停電レベル情報に基づいて、前記負荷部、前記発電部、および前記蓄電部から需給情報を収集し、前記データ格納部にアクセスして前記負荷部ごとの前記負荷装置情報を取得し、前記停電レベル情報、前記需給情報、および前記負荷装置情報に基づいて、前記負荷部への前記電力の供給量と優先順位とを決定し、前記負荷部、前記発電部、および前記蓄電部に対し運転制御を行う制御部と、を有し、
停電時に、前記停電レベル情報に対応して、前記電力供給側からの電力供給による連系運転から、前記電力の運転制御装置での自立運転への切替えを行うことを特徴とする電力の運転制御装置を用いた停電時の電力の自立運転制御システム。
5.
前記制御部が、前記電力供給側からの停電レベル情報を受信するごとに、前記需給情報の収集と、前記負荷装置情報の取得と、前記停電レベル情報、前記需給情報、および前記負荷装置情報に基づいて、前記負荷手段への前記電力の供給量と優先順位との決定と、各負荷手段への電力の供給の制御と、を繰り返す4.に記載の電力の運転制御装置を用いた停電時の電力の自立運転制御システム。
【符号の説明】
【0040】
10 運転制御装置
11 制御部
12 停電レベル受信部
13 データ格納部
20 停電レベル通知装置
21 停電レベル送信部
22 停電レベル検出部
30、31、32、33、34、n 負荷装置(負荷部)
40 発電装置(発電部)
50 蓄電装置(蓄電部)
60 ネットワーク
100 自立運転制御システム
131 需給情報
131a 発電情報設定領域
131b 蓄電情報設定領域
131c 消費電力情報設定領域
132 負荷装置情報
132a 負荷装置設定領域
132b 消費電力設定領域
132c 重要度設定領域