(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記着色組成物に含有される[I]アルカリ可溶性樹脂は、(I−1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種から形成される構成単位と、(I−2)エポキシ基含有不飽和化合物から形成される構成単位とを含む共重合体であることを特徴とする請求項2または3に記載のカラーフィルタ。
前記第1の感放射線性樹脂組成物に含有される[A]エポキシ基を有する化合物は、重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
前記第1の感放射線性樹脂組成物に含有される[A]エポキシ基を有する化合物は、カルボキシル基をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
前記第2の感放射線性樹脂組成物に含有される[E]アルカリ可溶性樹脂は、(E−1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種から形成される構成単位と、(E−2)エポキシ基含有不飽和化合物から形成される構成単位とを含む共重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態について、以下で説明する。
尚、本発明において、露光に際して照射される「放射線」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等を含む概念である。
【0047】
<液晶表示素子>
本実施の形態の液晶表示素子は、本実施の形態のカラーフィルタを有するカラー液晶表示素子である。
以下、本実施の形態のカラー液晶表示素子の構造を説明する。
【0048】
カラー液晶表示素子は、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)が配置された駆動用基板と、本実施の形態のカラーフィルタを構成する別の基板とが、液晶層を介して対向する構造とすることができる。あるいは、カラー液晶表示素子は、薄膜トランジスタ(TFT)が配置された駆動用基板上に後述する本実施の形態の着色パターンや保護膜やスペーサを形成して構成された基板と、ITO(Indium Tin Oxide:錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造とすることも可能である。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【0049】
図1は、本実施の形態のカラーフィルタの模式的な断面図である。
【0050】
図1に示すカラーフィルタ10は、本実施の形態のカラーフィルタの一例である。透明な基板5の上に、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の着色パターン6と、ブラックマトリクス7と、着色パターン6の上に設けられた保護膜8と、保護膜8上に設けられたITO電極4と、ITO電極4上に立設されたスペーサ9とを配置した構造を有する。尚、着色パターン6の色は、上記のRGB3色に限られるわけではなく、他の色を選択することや、さらに黄色(Y)を加えて4色の着色パターンとすることも可能である。
【0051】
後述するように、本実施の形態のカラーフィルタ10において、着色パターン6は、好適な着色剤を含有して構成される。具体的には、好ましい着色剤を含有した着色組成物を基板上に塗布・パターニングした後、硬化して形成される。保護膜8も同様に感放射線性樹脂組成物を塗布・パターニングした後、硬化して形成され、スペーサ9も同様に感放射線性樹脂組成物を塗布・パターニングした後、硬化して形成される。尚、以下の説明においては、便宜上、保護膜8を形成するため感放射線性樹脂組成物を第1の感放射線性樹脂組成物と称し、スペーサ9を形成するための感放射線性樹脂組成物を第2の感放射線性樹脂組成物と称することにする。そして、その着色組成物、第1の感放射線性樹脂組成物および第2の感放射線性樹脂組成物は、後述するように、いずれも同系の類似の材料を用いた感放射線性の樹脂組成物とすることが可能である。それらは200℃以下の低温硬化により、それぞれ着色パターンと保護膜8とスペーサ9とを形成できるという特徴を備える。
【0052】
したがって、本実施の形態のカラーフィルタ10では、200℃以下の低温硬化により、着色パターン6と保護膜8とスペーサ9とをそれぞれ形成できることになる。本実施の形態のカラーフィルタ10は、低温硬化による製造が可能である。
また、カラーフィルタ10では、着色パターン6を形成した後に保護膜8を形成する。保護膜8は200℃以下の低温硬化により形成することができるため、着色パターン6においては、形成された後に、保護膜形成のための高温加熱の状態に晒されることがなくなる。同様に、カラーフィルタ10では、着色パターン6を形成し、保護膜8を形成した後にスペーサ9を形成する。スペーサ9は200℃以下の低温硬化により形成することができるため、着色パターン6においては、形成された後に、スペーサ9形成のための高温加熱の状態に晒されることがなくなる。したがって、カラーフィルタ10では、着色パターン6の形成に色特性に優れるものの耐熱性に課題を有する染料を着色剤として使用しても、工程劣化を低減することが可能となる。すなわち、着色組成物の着色剤として染料を選択することが可能となり、染料を使用した着色組成物から色特性に優れた着色パターン6を形成することが可能となる。
【0053】
さらに、上述のように、着色組成物、第1の感放射線性樹脂組成物および第2の感放射線性樹脂組成物は、いずれも同系の類似の材料を用いた感放射線性の樹脂組成物とすることが可能である。そして、カラーフィルタ10の製造のためにそれぞれ使用される。したがって、カラーフィルタ10の製造時において、着色パターン6上に保護膜8が形成されることを考慮し、着色パターン6形成時の硬化温度を調整することが可能である。すなわち、基板5上、着色パターン6を単独で形成するのに最適な硬化温度に比べ、低い硬化温度によって着色パターン6を形成する。その後、着色パターン6上に形成される保護膜8の硬化加熱により、着色パターン6に対する加熱を行うことが可能である。同様に、カラーフィルタ10の製造時において、着色パターン6が形成された後にスペーサ9が形成されることを考慮し、着色パターン6形成時の硬化温度を調整することが可能である。すなわち、基板5上、着色パターン6のみを形成するのに最適な硬化温度に比べ、低い硬化温度によって着色パターン6を形成する。そして、ITO電極4が形成された後、ITO電極4の上に立設されるスペーサ9の硬化加熱により、着色パターン6に対しても加熱を行うことが可能である。
【0054】
例えば、着色パターン6と保護膜8の最適な硬化温度がそれぞれ200℃以下、具体的には、180℃であった場合、基板5上、着色パターン6を、例えば、150℃の硬化温度で形成しておくことが可能である。次に、その着色パターン6の上に第1の感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成し、最適な180℃で硬化することにより、保護膜8を形成する。併せて、その下層にある着色パターン6に対する加熱を行うことになり、所望の状態の着色パターン6を得ることが可能である。また、基板5上、着色パターン6を例えば、150℃の硬化温度で形成しておき、その後に第2の感放射線性樹脂組成物からスペーサ9を最適な180℃の硬化温度で形成する。その結果、スペーサ9の下層にある着色パターン6に対しても加熱を行うことになり、所望の状態の着色パターン6を得ることが可能である。以上の場合、着色組成物の着色剤として染料を選択することが可能となり、染料を使用した着色組成物から形成された着色パターン6により、色特性に優れたカラーフィルタ10を提供できる。
【0055】
また、カラーフィルタ10の製造時において、着色パターン6と保護膜8とが形成された後にスペーサ9が形成されることを考慮し、着色パターン6形成における硬化温度とともに保護膜8形成における硬化温度も調整することが可能である。すなわち、基板5上、着色パターン6のみを形成するのに最適な硬化温度に比べ、低い硬化温度によって着色パターン6を形成する。次いで、保護膜8のみを形成するのに最適な硬化温度に比べ、低い硬化温度によって保護膜8を形成する。そして、ITO電極4が形成された後、ITO電極4の上に立設されるスペーサ9の硬化加熱により、着色パターン6および保護膜8に対しても加熱を行うことが可能である。
【0056】
例えば、着色パターン6と保護膜8とスペーサ9の最適な硬化温度がそれぞれ200℃以下、具体的には、180℃であった場合、基板5上、着色パターン6を、例えば、150℃の硬化温度で形成しておくことが可能である。次いで、その着色パターン6の上に第1の感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成し、例えば、150℃の硬化温度で形成しておくことが可能である。次に、保護膜8上にITO電極4が形成された後、ITO電極4の上に、第2の感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する。そして、その塗膜をパターニングし、最適な180℃で硬化することにより、スペーサ9を形成する。その結果、下層にある着色パターン6および保護膜8に対する加熱を行うことになり、所望の状態の着色パターン6および保護膜8を得ることが可能である。その場合、着色組成物の着色剤として染料を選択することが可能となり、染料を使用した着色組成物から形成された着色パターン6により、色特性に優れたカラーフィルタ10を提供できる。
【0057】
さらに、本実施の形態のカラーフィルタ10では、スペーサ9を形成した後、後述するように液晶配向用の配向膜(
図1には図示されない)を設けることが可能である。配向膜は、光配向性基を有する感放射線性重合体を含む液晶配向剤または光配向性基を有さないポリイミドを含む液晶配向剤を用いて得ることができる。その場合、200℃以下の加熱温度で配向膜を形成することが可能となる。
次に、本実施の形態のカラーフィルタを適用した本実施の形態の液晶表示素子について説明する。
【0058】
図2は、本実施の形態のカラーフィルタを備えたカラー液晶表示素子の模式的な断面図である。
【0059】
図2に示す液晶表示素子1は、本実施の形態のカラー液晶表示素子の一例であり、TFT駆動によるTN(Twisted Nematic)型の液晶モードの表示素子である。このカラー液晶表示素子は、上記した駆動用基板と、上述の本実施の形態のカラーフィルタを構成する基板とが、TN液晶の層を介して対向した構造を有する。
図2に示すように、透明な基板2の液晶13に接する側には、ITOからなる透明な画素電極3とTFT(図示されない)とが格子状に配設され、駆動用基板を構成している。また、透明な基板5の液晶13に接する側には、上述した低温硬化により製造された着色パターン6などが配置され、カラーフィルタ10を構成している。より具体的には、画素電極3に対向する位置に設けられた赤色、緑色および青色の着色パターン6と、ブラックマトリクス7と、着色パターン6の上に設けられた保護膜8と、保護膜8の上に設けられたITO電極4と、ITO電極4上に立設されたスペーサ9と、配向膜12とを基板5上に有するカラーフィルタ10が配置されている。ITO電極4は、液晶表示素子1において、共通電極を構成する。
【0060】
基板2には、基板5と同様の配向膜12が設けられている。それぞれの配向膜12を、必要な場合、例えば、ラビング処理などの配向処理をすることにより、両基板2、5の間に挟持された液晶13の均一な配向を実現できる。
基板2と基板5において、液晶13に接する側と反対の側には、それぞれ偏光板14が配置されている。基板2と基板5の間隔は、通常、2μm〜10μmであり、これらは、周辺部に設けられたシール材16によって互いに固定されている。
【0061】
図2において、符号17は、バックライトユニット(図示されない)から液晶13に向けて照射されたバックライト光である。バックライトユニットとしては、例えば、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)などの蛍光管と、散乱板とが組み合わされた構造のものを用いることができる。また、白色LEDを光源とするバックライトユニットを用いることもできる。白色LEDとしては、例えば、独立したスペクトルを有する赤色LEDと、緑色LEDと、青色LEDとを用いて白色光を得る白色LED、赤色LEDと、緑色LEDと、青色LEDとを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、赤色LEDと、緑色蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、YAG系蛍光体との混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、橙色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと、赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体と、青色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LEDなどを挙げることができる。
【0062】
本実施形態のカラー液晶表示素子には、上述のTN型の他、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型またはOCB(Optically Compensated Birefringence)型などの液晶モードとすることもできる。その場合、液晶配向用の配向膜は、各液晶モードに最適なものが選択され、例えば、VA型の場合には垂直配向型の配向膜が用いられる。
【0063】
次に、本実施の形態の液晶表示素子の主要な構成要素である、本実施の形態のカラーフィルタについてより詳しく説明する。
本実施の形態のカラーフィルタは、上述のように、着色パターンと、その着色パターンの上に設けられた保護膜と、保護膜上のITO電極の上に立設されたスペーサとを有し、色特性に優れるとともに、低温硬化によって製造が可能なカラーフィルタである。
着色パターンは着色組成物を用いて適当な基板上に形成することが可能であり、保護膜は第1の感放射線性樹脂組成物を用いてその着色パターン上に形成することが可能である。スペーサは第2の感放射線性樹脂組成物を用いて保護膜の上のITO電極の上に形成することが可能である。すなわち、本実施形態のカラーフィルタは、着色組成物、第1の感放射線性樹脂組成物および第2の感放射線性樹脂組成物を用いて製造することができる。
以下ではまず、本実施の形態のカラーフィルタの着色パターンについて、特にその形成に用いられる着色組成物について説明する。
【0064】
<着色組成物>
本実施の形態のカラーフィルタの製造に用いられる着色組成物は、[I]アルカリ可溶性樹脂、[II]重合性化合物、[III]重合開始剤、および[IV]着色剤を含有する。そしてさらに、[V]化合物を含有することができる。また、本発明の効果を損なわない限りその他の任意成分を含有してもよい。以下、着色組成物に含有される各成分について説明する。
【0065】
<[I]アルカリ可溶性樹脂>
[I]アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有することで、アルカリ現像性を有する樹脂であれば、特に限定されない。そして、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位およびエポキシ基を有する構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位を含む共重合体であることが好ましい。[I]アルカリ可溶性樹脂が、上記特定構造単位を含むことで、優れた表面硬化性および深部硬化性を有する硬化膜を形成することができる。
【0066】
[I]アルカリ可溶性樹脂は、(I−1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種(以下、「(I−1)化合物」とも称する)から形成される構成単位と、(I−2)エポキシ基含有不飽和化合物(以下、「(I−2)化合物」とも称する)から形成される構成単位とを共重合して合成し、それら構成単位を含む共重合体として得ることができる。
【0067】
[I]アルカリ可溶性樹脂は、例えば、溶媒中で重合開始剤の存在下、カルボキシル基含有構造単位を与える(I−1)化合物と、エポキシ基含有構造単位を与える(I−2)化合物とを共重合することによって製造できる。また、(I−3)水酸基含有構造単位を与える水酸基含有不飽和化合物(以下、「(I−3)化合物」とも称する)をさらに加えて、共重合体とすることもできる。さらに、[I]アルカリ可溶性樹脂の製造においては、上記(I−1)化合物、(I−2)化合物および(I−3)化合物と共に、(I−4)化合物(上記(I−1)、(I−2)および(I−3)化合物に由来する構造単位以外の構造単位を与える不飽和化合物)をさらに加えて、共重合体とすることもできる。以下、各化合物を詳述する。
【0068】
[(I−1)化合物]
(I−1)化合物としては、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸の無水物、多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル、両末端にカルボキシル基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する不飽和多環式化合物およびその無水物等が挙げられる。
【0069】
不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;
不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等;
不飽和ジカルボン酸の無水物としては、例えば、上記ジカルボン酸として例示した化合物の無水物等;
多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステルとしては、例えば、コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等;
両末端にカルボキシル基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等;
カルボキシル基を有する不飽和多環式化合物およびその無水物としては、例えば、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等が挙げられる。
【0070】
これらの(I−1)化合物のうち、モノカルボン酸、ジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が共重合反応性、アルカリ水溶液に対する溶解性および入手の容易性からより好ましい。これらの(I−1)化合物は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0071】
(I−1)化合物の使用割合としては、(I−1)化合物並びに(I−2)化合物(必要に応じて任意の(I−3)化合物および(I−4)化合物)の合計に基づいて、5質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜25質量%がより好ましい。(I−1)化合物の使用割合を5質量%〜30質量%とすることによって、[I]アルカリ可溶性樹脂のアルカリ水溶液に対する溶解性を最適化すると共に、放射線性感度に優れる着色組成物が得られる。
【0072】
[(I−2)化合物]
(I−2)化合物はラジカル重合性を有するエポキシ基含有不飽和化合物である。エポキシ基としては、オキシラニル基(1,2−エポキシ構造)、オキセタニル基(1,3−エポキシ構造)が挙げられる。
【0073】
オキシラニル基を有する不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシブチル、メタクリル酸3,4−エポキシブチル、アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロへキシルメチル等が挙げられる。これらのうち、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルが、共重合反応性および着色パターン等の耐溶媒性等の向上の観点から好ましい。
【0074】
オキセタニル基を有する不飽和化合物としては、例えば、
3−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2−エチルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2−フェニルオキセタン等のアクリル酸エステル;
3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−エチルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2,2−ジフルオロオキセタン等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0075】
これらの(I−2)化合物のうち、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましい。これらの(I−2)化合物は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
(I−2)化合物の使用割合としては、(I−1)化合物並びに(I−2)化合物(必要に応じて任意の(I−3)化合物および(I−4)化合物)の合計に基づいて、5質量%〜60質量%が好ましく、10質量%〜50質量%がより好ましい。(I−2)化合物の使用割合を5質量%〜60質量%とすることによって、優れた硬化性等を有する硬化膜を形成できる。
【0076】
[(I−3)化合物]
(I−3)化合物としては、まず、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、フェノール性水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシスチレンが挙げられる。
水酸基を有するアクリル酸エステルとしては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等が挙げられる。
また、水酸基を有するメタクリル酸エステルとしては、メタククリル酸2−ヒドロキシエチル、メタククリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタククリル酸4−ヒドロキシブチル、メタククリル酸5−ヒドロキシペンチル、メタククリル酸6−ヒドロキシヘキシル等が挙げられる。
【0077】
フェノール性水酸基を有するアクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシフェニルアクリレート等が挙げられる。フェノール性水酸基を有するメタクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシスチレンとしては、o−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレンが好ましい。これらの(I−3)化合物は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0078】
(I−3)化合物の使用割合としては、(I−1)化合物、(I−2)化合物並びに(I−3)化合物(必要に応じて任意の(I−4)化合物)の合計に基づいて、1質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜25質量%がより好ましい。
【0079】
[(I−4)化合物]
(I−4)化合物は、上記の(I−1)化合物、(I−2)化合物および(I−3)化合物以外での不飽和化合物であれば特に制限されるものではない。(I−4)化合物としては、例えば、メタクリル酸鎖状アルキルエステル、メタクリル酸環状アルキルエステル、アクリル酸鎖状アルキルエステル、アクリル酸環状アルキルエステル、メタクリル酸アリールエステル、アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン、テトラヒドロフラン骨格、フラン骨格、テトラヒドロピラン骨格、ピラン骨格等をもつ不飽和化合物およびその他の不飽和化合物等が挙げられる。
【0080】
メタクリル酸鎖状アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸n−ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸n−ステアリル等が挙げられる。
メタクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルオキシエチル、メタクリル酸イソボロニル等が挙げられる。
【0081】
アクリル酸鎖状アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸n−ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸n−ステアリル等が挙げられる。
アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルアクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート等が挙げられる。
【0082】
メタクリル酸アリールエステルとしては、例えば、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。
アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等が挙げられる。
ビシクロ不飽和化合物としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
【0083】
マレイミド化合物としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシベンジル)マレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等が挙げられる。
不飽和芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン等が挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
【0084】
テトラヒドロフラン骨格を含有する不飽和化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシ−プロピオン酸テトラヒドロフルフリルエステル、3−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフラン−2−オン等が挙げられる。
フラン骨格を含有する不飽和化合物としては、例えば、2−メチル−5−(3−フリル)−1−ペンテン−3−オン、フルフリル(メタ)アクリレート、1−フラン−2−ブチル−3−エン−2−オン、1−フラン−2−ブチル−3−メトキシ−3−エン−2−オン、6−(2−フリル)−2−メチル−1−ヘキセン−3−オン、6−フラン−2−イル−ヘキシ−1−エン−3−オン、アクリル酸−2−フラン−2−イル−1−メチル−エチルエステル、6−(2−フリル)−6−メチル−1−ヘプテン−3−オン等が挙げられる。
【0085】
テトラヒドロピラン骨格を含有する不飽和化合物としては、例えば、(テトラヒドロピラン−2−イル)メチルメタクリレート、2,6−ジメチル−8−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−オクト−1−エン−3−オン、2−メタクリル酸テトラヒドロピラン−2−イルエステル、1−(テトラヒドロピラン−2−オキシ)−ブチル−3−エン−2−オン等が挙げられる。
ピラン骨格を含有する不飽和化合物としては、例えば、4−(1,4−ジオキサ−5−オキソ−6−ヘプテニル)−6−メチル−2−ピラン、4−(1,5−ジオキサ−6−オキソ−7−オクテニル)−6−メチル−2−ピラン等が挙げられる。
その他の不飽和化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0086】
これらの(I−4)化合物のうち、メタクリル酸鎖状アルキルエステル、メタクリル酸環状アルキルエステル、メタクリル酸アリールエステル、マレイミド化合物、テトラヒドロフラン骨格、フラン骨格、テトラヒドロピラン骨格、ピラン骨格、不飽和芳香族化合物、アクリル酸環状アルキルエステルが好ましい。これらのうち、スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル、p−メトキシスチレン、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフラン−2−オンが、共重合反応性およびアルカリ水溶液に対する溶解性の点からより好ましい。これらの(I−4)化合物は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0087】
(I−4)化合物の使用割合としては、(I−1)化合物、(I−2)化合物並びに(I−4)化合物(および任意の(I−3)化合物)の合計に基づいて、10質量%〜80質量%が好ましい。
【0088】
<[I]アルカリ可溶性樹脂の合成方法1>
[I]アルカリ可溶性樹脂は、例えば、溶媒中で重合開始剤の存在下、上記(I−1)化合物並びに(I−2)化合物(任意の(I−3)化合物および(I−4)化合物)を共重合することによって製造できる。かかる合成方法によれば、少なくともエポキシ基含有構造単位を含む共重合体を合成することができる。
【0089】
[I]アルカリ可溶性樹脂を製造するための重合反応に用いられる溶媒としては、例えば、アルコール、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、ケトン、エステル等が挙げられる。
【0090】
[I]アルカリ可溶性樹脂を製造するための重合反応に用いられる重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものが使用できる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。
[I]アルカリ可溶性樹脂を製造するための重合反応においては、分子量を調整するために、分子量調整剤を使用できる。分子量調整剤としては、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類;ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0091】
[I]アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜30,000が好ましく、5,000〜20,000がより好ましい。[I]アルカリ可溶性樹脂のMwを上記範囲とすることで、着色組成物の感度および現像性を高めることができる。なお、本明細書における重合体のMwおよび数平均分子量(Mn)は下記の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
装置:GPC−101(昭和電工製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803およびGPC−KF−804を結合
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0092】
<[I]アルカリ可溶性樹脂の合成方法2>
また、[I]アルカリ可溶性樹脂は、例えば、上述の(I−1)化合物を1種以上使用して合成できる共重合体(以下、「特定共重合体」とも称する)と、上記(I−2)化合物とを反応させて合成できる。かかる合成方法によれば、少なくとも(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位を含む共重合体を合成することができる。
[I]アルカリ可溶性樹脂が含む(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位は、下記式(3)で表される。この構造単位は、(I−1)化合物に由来する特定共重合体中のカルボキシル基と(I−2)化合物のエポキシ基とが反応し、エステル結合を形成して得られる。
【0094】
上記式(3)中、R
20およびR
21は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。cは、1〜6の整数である。R
22は、下記式(4−1)または(4−2)で表される2価の基である。
【0096】
上記式(4−1)中、R
23は、水素原子またはメチル基である。上記式(4−1)および式(4−2)中、*は、酸素原子と結合する部位を示す。
【0097】
上記式(3)で表される構造単位について、例えば、カルボキシル基を有する共重合体に、(I−2)化合物としてメタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル等の化合物を反応させた場合、式(3)中のR
22は、式(4−1)となる。一方、(I−2)化合物としてメタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル等の化合物を反応させた場合、式(3)中のR
22は、式(4−2)となる。
【0098】
特定共重合体の合成に際しては、(I−1)化合物以外の化合物、例えば、上述の(I−3)化合物、(I−4)化合物等を共重合成分として用いてもよい。これらの化合物としては、共重合反応性の点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル、スチレン、p−メトキシスチレン、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、1,3−ブタジエンが好ましい。
【0099】
特定共重合体の共重合の方法としては、例えば、(I−1)化合物、および必要に応じて(I−3)化合物等を、溶媒中ラジカル重合開始剤を使用して重合する方法が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、上述の[I]アルカリ可溶性樹脂の項で例示したものと同様のものが挙げられる。ラジカル重合開始剤の使用量としては、重合性不飽和化合物100質量%に対して、通常0.1質量%〜50質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%である。特定共重合体は、重合反応溶液のまま[I]アルカリ可溶性樹脂の製造に供してもよく、共重合体を一旦溶液から分離した後に[I]アルカリ可溶性樹脂の製造に供してもよい。
【0100】
特定共重合体のMwとしては、2,000〜100,000が好ましく、5,000〜50,000がより好ましい。Mwを2,000以上とすることで、着色組成物の十分な現像マージンを得ると共に、形成される塗膜の残膜率(パターン状薄膜が適正に残存する比率)の低下を防止し、さらには得られるパターンの形状や耐熱性等を良好に保つことができる。一方、Mwを100,000以下とすることで、高度な感度を保持し、良好なパターン形状を得ることができる。また、特定共重合体の分子量分布(Mw/Mn)としては、5.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましい。Mw/Mnを5.0以下とすることで、得られるスペーサーパターンの形状を良好に保つことができる。また、上記特定範囲のMw/Mnを有する特定共重合体を含む着色組成物は、高度な現像性を有し、現像工程において、現像残りを生じることなく容易に所定パターン形状を形成することができる。
【0101】
[I]アルカリ可溶性樹脂の(I−1)化合物に由来する構造単位の含有率としては、5質量%〜60質量%が好ましく、7質量%〜50質量%がより好ましく、8質量%〜40質量%が特に好ましい。
[I]アルカリ可溶性樹脂の(I−1)化合物以外の(I−3)化合物、(I−4)化合物等の化合物に由来する構造単位の含有率としては、10質量%〜90質量%、20質量%〜80質量%である。
【0102】
特定共重合体と(I−2)化合物との反応においては、必要に応じて適当な触媒の存在下において、好ましくは重合禁止剤を含む共重合体の溶液に、エポキシ基を有する不飽和化合物を投入し、加温下で所定時間攪拌する。上記触媒としては、例えばテトラブチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。上記重合禁止剤としては、例えばp−メトキシフェノール等が挙げられる。反応温度としては、70℃〜100℃が好ましい。反応時間としては、8時間〜12時間が好ましい。
【0103】
(I−2)化合物の使用割合としては、共重合体中の(I−2)化合物に由来するカルボキシル基に対して、5質量%〜99質量%が好ましく、10質量%〜97質量%がより好ましい。(I−2)化合物の使用割合を上記範囲とすることで、共重合体との反応性、硬化膜の硬化性等がより向上する。(I−2)化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0104】
<[II]重合性化合物>
本実施の形態のカラーフィルタの製造に用いられる着色組成物に含有される[II]重合性化合物について説明する。
[II]重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物である。
[II]重合性化合物として使用できるものは、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート等の他、直鎖アルキレン基および脂環式構造を有しかつ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基を有しかつ3個〜5個の(メタ)アクリロイロキシ基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0105】
使用可能な[II]重合性化合物の市販品としては、例えば、
アロニックス(登録商標)M−400、同M−402、同M−405、同M−450、同M−1310、同M−1600、同M−1960、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同M−8100、同M−8530、同M−8560、同M−9050、アロニックス(登録商標)TO−756、同TO−1450、同TO−1382(以上、東亞合成社)、KAYARAD(登録商標) DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同MAX−3510(以上、日本化薬社)、ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業社)、ウレタンアクリレート系化合物としてニューフロンティア(登録商標) R−1150(第一工業製薬社)、KAYARAD(登録商標) DPHA、KAYARAD(登録商標) DPHA−40H、UX−5000(日本化薬社)、UN−9000H(根上工業社)、アロニックス(登録商標)M−5300、同M−5600、同M−5700、同M−210、同M−220、同M−240、同M−270、同M−6200、同M−305、同M−309、同M−310、同M−315(以上、東亞合成社)、KAYARAD(登録商標) HDDA、KAYARAD(登録商標) HX−220、同HX−620、同R−526、同R−167、同R−604、同R−684、同R−551、同R−712、UX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−3301、UX−4101、UX−6101、UX−7101、UX−8101、UX−0937、MU−2100、MU−4001(以上、日本化薬社)、アートレジンUN−9000PEP、同UN−9200A、同UN−7600、同UN−333、同UN−1003、同UN−1255、同UN−6060PTM、同UN−6060P、同SH−500B(以上、根上工業社)、ビスコート260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業社)等が挙げられる。
【0106】
[II]重合性化合物は、単独または2種以上を混合して使用できる。着色組成物における[II]重合性化合物の使用割合としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して10質量部〜700質量部が好ましく、20質量部〜600質量部がより好ましい。[II]重合性化合物の使用割合を上記範囲とすることで、着色組成物は、低露光量においても十分な耐熱性、耐溶媒性、電圧保持率を有した着色パターン等を形成できる。
【0107】
<[III]重合開始剤>
本実施の形態のカラーフィルタの製造に用いられる着色組成物に含有される[III]重合開始剤について説明する。
[III]重合開始剤は、感放射線性重合開始剤であり、放射線に感応して[II]重合性化合物の重合を開始しうる活性種を生じる成分である。このような[III]重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0108】
O−アシルオキシム化合物としては、例えば、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0109】
これらのうち、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)またはエタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
【0110】
アセトフェノン化合物としては、例えば、α−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物が挙げられる。
α−アミノケトン化合物としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
α−ヒドロキシケトン化合物としては、例えば、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
【0111】
これらのうちα−アミノケトン化合物が好ましく、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンがより好ましい。
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールまたは2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましく、そのうち、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールがより好ましい。
【0112】
[III]重合開始剤の使用割合としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、1質量部〜40質量部が好ましく、5質量部〜30質量部がより好ましい。[III]重合開始剤の使用割合を1質量部〜40質量部とすることで、当該着色組成物は、低露光量の場合でも高い耐溶媒性等を有する着色パターンおよびカラーフィルタを形成できる。
【0113】
<[IV]着色剤>
上述のように、着色パターンおよびカラーフィルタには高い色純度、輝度、コントラスト等が強く求められている。したがって、本実施の形態のカラーフィルタの製造に用いられる着色組成物に含有される[IV]着色剤としては、そうした特性の実現に適したものの選択が必要となる。[IV]着色剤としては、例えば、顔料、染料および天然色素のいずれをも使用できるが、着色パターンおよびカラーフィルタに求められる高い色純度や輝度などを考慮すると顔料および染料の選択が好ましい。そして、染料の選択が特に好ましい。
【0114】
[IV]着色剤として使用可能な染料については、例えば、油溶性染料、アシッド染料またはその誘導体、ダイレクト染料、モーダント染料等が挙げられる。染料として、有機溶媒に可溶である限り公知の染料を使用できる。
【0115】
C.I.油溶性染料としては、例えば、
C.I.ソルベントイエロー4(以下、「C.I.ソルベントイエロー」の記載を省略し、番号のみを記載する。その他の染料も同様に記載する)、14、15、23、24、38、62、63、68、82、88、94、98、99、162、179;
C.I.ソルベントレッド45、49、125、130;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56;
C.I.ソルベントブルー35、37、59、67;
C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35等が挙げられる。
【0116】
C.I.アシッド染料としては、例えば、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242
、243、251;
Valifast yellow 1101、1109、1151、3108、3120、3130、3150、3170、4120;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、66、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、182、183、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、195、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173;
C.I.アシッドブルー1、7、9、15、18、23、25、27、29、40、42、45、51、62、70、74、80、83、86、87、90、92、96、103、108、112、113、120、129、138、147、150、158、171、182、192、210、242、249、243、256、259、267、278、280、285、290、296、315、324、335、340;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、17、19、49;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、9、16、25、27、50、58、63、65、80、104、105、106、109;
C.I.アシッドブラック24等の染料が挙げられる。
【0117】
C.I.ダイレクト染料としては、例えば、
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトブルー57、77、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、166、167、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、196、198、199、200、207、209、210、212、213、214、222、228、229、237、238、242、243、244、245、247、248、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等が挙げられる。
【0118】
C.I.モーダント染料としては、例えば、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、30、32、33、36、37、38、39、41、43、45、46、48、53、56、63、71、74、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントバイオレット1、2、4、5、7、14、22、24、30、31、32、37、40、41、44、45、47、48、53、58;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、15、19、26、29、33、34、35、41、43、53等が挙げられる。
【0119】
[IV]着色剤として使用可能な顔料については、有機顔料、無機顔料のいずれの使用も可能である。有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられる。具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものが挙げられる。
【0120】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211;
【0121】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74;
【0122】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0123】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80;
【0124】
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
【0125】
次に、染料や顔料等である[IV]着色剤の化学構造について説明する。化学構造については、アゾ系、トリアリール系メタン系、アントラキノン系、ベンジリデン系、オキソノール系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ジケトピロロピロール系等が挙げられる。これらのうち、トリアリール系メタン系、バルビツール酸アゾ系、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、トリアリールメタン系、フタロシアニン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系およびジケトピロロピロール系の着色剤の選択が好ましい。
【0126】
好ましい[IV]着色剤の例であるトリアリールメタン系着色剤は、青色、バイオレット色を呈するものである。
青色、バイオレット色を呈するものとは、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントバイオレット等の顔料、C.I.ベーシックブルー、C.I.ベーシックバイオレット等の塩基性染料、C.I.ソルベントブルー、C.I.ソルベントバイオレット等の油溶性染料、C.I.アシッドブルー、C.I.アシッドバイオレット等の酸性染料、C.I.ディスパースブルー、C.I.ディスパースバイオレット等の分散性染料等、C.I.フードブルー、C.I.フードバイオレット等の食用着色剤等に属するものである。
さらに、これらの酸性染料(直接染料も含む)、塩基性染料をカウンタイオンで変性した造塩染料に属するものである。
【0127】
トリアリールメタン系着色剤の例である、トリフェニルメタン系着色剤は、中心の炭素に対してパラの位置にあるNH
2またはOH基が酸化によりキノン構造をとることによって発色するものである。また、主として塩基性染料であるが、スルホン酸基を導入したものは酸性染料となる。
NH
2、OH基の数によって以下3つの型に分けられるが、中でもトリアミノトリフェニルメタン系染料の形態であることが良好な青色を発色する点で好ましいものである。
a)ジアミノトリフェニルメタン系染料
b)トリアミノトリフェニルメタン系染料
c)OH基を有するロゾール酸系染料
トリアミノトリフェニルメタン系染料は色調が鮮明であり、耐光性に優れ好ましい。また、その中でも塩基性染料であるジフェニルナフチルメタン染料が、特に好ましい。
【0128】
トリアリールメタン系着色剤としては、以下の5つの形態の染料および顔料を用いることができる。
1)トリアリールメタン系染料の塩基性染料(トリアリールメタン系塩基性染料)
2)トリアリールメタン系塩基性染料と有機スルホン酸との造塩化合物、トリアリールメタン系塩基性染料と芳香族ヒドロキシカルボン酸との造塩化合物
3)トリアリールメタン系染料の酸性染料
4)トリアリールメタン系酸性染料と第四級アンモニウムとの造塩化合物
5)トリアリールメタン系染料のレーキ顔料(特に、トリアリールメタン系染料の金属レーキ顔料)
【0129】
これらの形態としては、中でもトリアリールメタン系染料の塩基性染料、トリアリールメタン系塩基性染料と有機スルホン酸との造塩化合物、トリアリールメタン系塩基性染料と芳香族ヒドロキシカルボン酸との造塩化合物、トリアリールメタン系染料の金属レーキ顔料を用いることが好ましい。
トリアリールメタン系染料は、400nm〜430nmにおいて高い透過率を持つ分光特性を有している。しかし、良好な分光特性を持つにもかかわらず、一般的な染料と同様に、耐熱性が極めて乏しい。高い信頼性が要求される、カラー液晶表示画像表示装置に用いるには、従来、特性が十分ではないとされてきた。そのため、本実施の形態のカラーフィルタに用いることが好ましい。また、従来のトリアリールメタン系染料の問題点の改善を行うよう、染料をベース化、造塩化、油溶性化、樹脂により変性して使用することも可能である。または、染料をレーキ化して顔料とすることも可能である。
【0130】
トリアリールメタン系染料の塩基性染料、油溶性染料はカルボキシル基のごとき酸基を有する樹脂やロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂(ロジン変性フマル酸樹脂も同義である)と混合することで、耐性が改善され好ましいものである。これら、酸基を有する樹脂、ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂の酸価は、20〜200であることが好ましい。ここで、酸価とはJIS K−0070の方法により測定された値である。
【0131】
トリアリールメタン系塩基性染料としては、C.I.ベーシックブルー1、5、7、26、C.I.ベーシックバイオレット1、3等があげられる。中でもC.I.ベーシックブルー7を用いることが好ましい。
次いで、トリアリールメタン系塩基性染料と有機スルホン酸との造塩化合物について説明する。トリアリールメタン系塩基性染料と有機スルホン酸は水溶液、アルコール溶液中等に両者を溶解させることで、反応し造塩化合物を得ることができる。
有機スルホン酸としては、ナフタレン類のスルホン化物、ナフトール類のスルホン化物などを用いることができる。
【0132】
ナフタレン類のスルホン化物はナフタレンの炭素原子にスルホン酸基が結合した化合物の総称であり、ナフトール類のスルホン化物はナフトールの炭素原子にスルホン酸基が結合した化合物の総称である。
ナフタレン類のスルホン化物にはスルホン酸基が1個結合したナフタレンモノスルホン酸、2個結合したナフタレンジスルホン酸、3個結合したナフタレントリスルホン酸がある。具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、1,6−ナフタレンジスルホン酸、1,7−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、1,3,5−ナフタレントリスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、1,3,7−ナフタレントリスルホン酸などである。
【0133】
また、ナフタレン類のスルホン化物は、前記述べたナフタレンスルホン酸に加え、ナフチルアミンスルホン酸も含む。そして、スルホン酸基が1個結合したナフチルアミンモノスルホン酸、2個結合したナフチルアミンジスルホン酸、3個結合したナフチルアミントリスルホン酸がある。具体的には、1,4−ナフチルアミンスルホン酸(ナフチオン酸)、1,5−ナフチルアミンスルホン酸(ローレンツ酸)、1,6−ナフチルアミンスルホン酸(6−クレーブ酸)、1,7−ナフチルアミンスルホン酸(7−クレーブ酸)、1,8−ナフチルアミンスルホン酸(ペリ酸)、2,1−ナフチルアミンスルホン酸(トビアス酸)、2,5−ナフチルアミンスルホン酸、2,6−ナフチルアミンスルホン酸(ブレンナー酸)、1,3,6−ナフチルアミンジスルホン酸(フロイント酸)、1,3,7−ナフチルアミンジスルホン酸、2,3,6−ナフチルアミンジスルホン酸(アミノR酸)、2,4,6−ナフチルアミンジスルホン酸(C酸)、2,5,7−ナフチルアミンジスルホン酸(アミノJ酸)、2,6,8−ナフチルアミンジスルホン酸(アミノG酸)、1,3,6,8−ナフチルアミントリスルホン酸(コッホ酸)などである。
【0134】
ナフトール類のスルホン化物にもスルホン酸基が1個結合したナフトールモノスルホン酸、2個結合したナフトールジスルホン酸、3個結合したナフトールトリスルホン酸がある。具体的には、1−ナフトール−2−スルホン酸、1−ナフトール−4−スルホン酸(NW酸)、1−ナフトール−5−スルホン酸(L酸)、1−ナフトール−8−スルホン酸、2−ナフトール−1−スルホン酸、2−ナフトール−6−スルホン酸(シェーファー酸)、2−ナフトール−8−スルホン酸(クロセイン酸)、1−ナフトール−2,4−ジスルホン酸、1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、1−ナフトール−3,8−ジスルホン酸(ε酸)、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸(R酸)、2−ナフトール−3,8−ジスルホン酸、2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸(G酸)、1−ナフトール−2,4,7−トリスルホン酸、1−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸(オキシコッホ酸)、2−ナフトール−3,6,8−トリスルホン酸などである。
【0135】
この中でもスルホン酸基が2個結合したナフタレンジスルホン酸およびナフトールジスルホン酸が好ましい。中でも1,5−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、2−ナフトール−3,8−ジスルホン酸が好ましい。
さらにはビクトリアピュアブルーBO(C.I.ベーシックブルー7)とナフタレンジスルホン酸とからなる造塩化合物、ビクトリアピュアブルーBO(C.I.ベーシックブルー7)とナフトールジスルホン酸とからなる造塩化合物は好ましい染料である。
【0136】
ナフタレン類のジスルホン化物、ナフトール類のジスルホン化物をトリアリールメタン系塩基性染料と反応せしめ、本実施形態の[IV]着色剤とする場合、トリアリールメタン系染料2モルに対し、1モルのジスルホン化物が反応し造塩する。これは電荷を中和し、かつ着色剤成分がカウンタイオン成分のモル比で2倍の量を有していることで、着色剤として染料の発色を損なわないものとなり好ましいものである。すなわち少なくとも2つのスルホン酸基を有する有機スルホン酸を用いることが好ましいものである。
また、トリアリールメタン系塩基性染料と有機スルホン酸、(芳香族ヒドロキシカルボン酸)との造塩化合物は従来知られている方法により合成することができる。特開2003−215850号公報などに具体的な手法が開示されている。
【0137】
また、上述の有機スルホン酸と同様に芳香族ヒドロキシカルボン酸を用いて造塩化合物を得ることができる。好ましい芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、中でも3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−フェニルサリチル酸を用いることが好ましい。芳香族ヒドロキシカルボン酸を用いる場合は、トリアリールメタン系染料中のアミノ基(−NHC
2H
5)の部分と芳香族ヒドロキシカルボン酸のカルボン酸(−COOH)の部分が結合した造塩化合物が得られる。また水酸基(−OH)は造塩の反応とは関係なく残存している。
さらにはビクトリアピュアブルーBO(C.I.ベーシックブルー7)と3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸とからなる造塩化合物は好ましい染料である。
【0138】
トリアリールメタン系染料の酸性染料としては、食用青色101号(C.I.アシッドブルー1)、アシッドピュアブルー(C.I.アシッドブルー3)、レーキブルーI(C.I.アシッドブルー5)、レーキブルーII(C.I.アシッドブルー7)食用青色1号(C.I.アシッドブルー9)、C.I.アシッドブルー22、C.I.アシッドブルー83、C.I.アシッドブルー90、C.I.アシッドブルー93、C.I.アシッドブルー100、C.I.アシッドブルー103、C.I.アシッドブルー104、C.I.アシッドブルー109を用いることが好ましい。
【0139】
トリアリールメタン系酸性染料と第四級アンモニウム化合物との造塩化合物としては、従来知られている方法により合成することができる。
一例をあげると、トリアリールメタン系酸性染料を水に溶解した後、第四級アンモニウム化合物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。ここでトリアリールメタン系酸性染料中のスルホン酸基(−SO
3H)の部分と第四級アンモニウム化合物のアンモニウム基(NH
4+)の部分が結合した造塩化合物が得られる。第四級アンモニウム化合物としては、トリエチルベンジルクロライドなどを用いることが好ましい。
【0140】
本実施形態において、トリアリールメタン系着色剤として、トリアリールメタンレーキ顔料を用いることができる。
顔料化においてなされるレーキ化とは、可溶性である染料から沈殿剤により不溶性塩として得ることであり、化学的に反応を有しながら、沈殿剤粒子に染料成分が吸着している状態である。
トリアミノトリフェニルメタン系染料はレーキ化することで耐候性、耐熱性が改善され、安定した良好な着色剤となる。
【0141】
トリアリールメタン系染料をレーキ化するための沈澱剤としては、塩化バリウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、酢酸鉛、タンニン酸、カタノール、タモール、コンプレックスアシッドと称されるコンプレックスヘテロポリ酸(フォスフォタングステン酸、フォスフォモリブデン酸、フォスフォタングステン・モリブデン酸、シリコタングステンモリブデン酸、シリコタングステン酸、シリコモリブデン酸)等が挙げられる。中でもコンプレックスヘテロポリ酸を用いたレーキ顔料は、鮮明で着色力が大きく、耐光性が著しく向上したもので、好ましいものである。
【0142】
トリアリールメタン系顔料として具体的に、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット39等が挙げられる。
更に好ましいものを具体的に示すと、
C.I.ピグメントブルー1。
C.I.ベーシックブルー26、C.I.ベーシックブルー7をリンタングステン・モリブデン酸でレーキ化。
C.I.ピグメントバイオレット3。
C.I.ベーシックバイオレット1をリンタングステン・モリブデン酸でレーキ化。
C.I.ピグメントバイオレット39。
C.I.ベーシックバイオレット3(クリスタルバイオレット)をリンタングステン・モリブデン酸でレーキ化。
中でもC.I.ピグメントブルー1を用いることが好ましい。
【0143】
次に、好ましい[IV]着色剤の例であるバルビツール酸アゾ系染料およびピリドンアゾ系は、例えば、以下の構造を有する。しかし、本実施の形態において用いられるバルビツール酸アゾ系染料およびピリドンアゾ系は、これらに限られるわけではない。
【0145】
式(101)中、T
1およびT
2は、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。
R
101〜R
104は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアシル基を表す。
R
105〜R
112は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシル基、カルボキシル基、スルホ基、スルファモイル基またはN位−置換スルファモイル基を表す。上記脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0146】
より詳細に説明すると、式(101)において、R
101〜R
104における炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよい。炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは2〜8、より好ましくは3〜6である。炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、エチルヘキシル基(2−エチルヘキシル基など)、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘキシルアルキル基などが挙げられる。
また、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシル基、炭素数1〜8の(好ましくは炭素数1〜4の)アルコキシル基または炭素数1〜8の(好ましくは炭素数1〜4の)チオアルコキシル基で置換されていてもよい。置換された脂肪族炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシエチル基(2−ヒドロキシエチル基など)、エトキシエチル基(2−エトキシエチル基など)、エチルヘキシルオキシプロピル基(3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル基など)およびメチルチオプロピル基(3−メチルチオプロピル基など)などが挙げられる。
【0147】
R
101〜R
104における炭素数6〜20のアリール基は、無置換であってもよく、脂肪族炭化水素基、アルコキシル基、カルボキシル基、スルホ基またはエステル結合を含む基などの置換基を有していてもよい。前記アリール基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて数えられ、好ましくは6〜10である。アリール基としては、例えばフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、3−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基およびエトキシカルボニルフェニル基(4−(COOC
2H
5)Ph基(Ph基はフェニル基を示す)など)などが挙げられる。
【0148】
R
101〜R
104における炭素数7〜20のアラルキル基のアルキル部分は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよい。アラルキル基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて数えられ、好ましくは7〜10である。炭素数7〜20のアラルキルとしては、ベンジル基およびフェネチル基などが挙げられる。
R
101〜R
104における炭素数2〜10のアシル基は、無置換であってもよく、脂肪族炭化水素基またはアルコキシル基などの置換基が結合していてもよい。アシル基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて数えられ、その数は、好ましくは2〜10である。アシル基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、メトキシベンゾイル基(p−メトキシベンゾイル基など)などが挙げられる。
【0149】
R
105〜R
112における炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基は、R
101〜R
104の場合と同様のものが挙げられる。R
105〜R
112の脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子として、好ましくはフッ素原子が挙げられる。ハロゲン原子で置換された脂肪族炭化水素基の具体例としては、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
R
105〜R
112における炭素数1〜8のアルコキシル基の炭素数は、好ましくは1〜4である。アルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基およびtert−ブトキシ基などが挙げられる。
【0150】
R
105〜R
112におけるN位−置換スルファモイル基は、例えば、N位−一置換スルファモイル基であることが好ましく、−SO
2NHR
140で表される。
−SO
2NHR
140に含まれるR
140は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアシル基を表す。
【0151】
R
140における炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数は含まれず、その数は、好ましくは6〜10である。
R
140における炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メチルブチル基(1,1,3,3−テトラメチルブチル基など)、メチルヘキシル基(1−メチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基など)、エチルヘキシル基(2−エチルヘキシル基など)、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基(2−メチルシクロヘキシル基など)およびシクロヘキシルアルキル基などが挙げられる。
【0152】
−SO
2NHR
140に含まれるR
140における炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基は、炭素数1〜8の(好ましくは炭素数1〜4の)アルコキシル基で置換されていてもよく、例えば、プロポキシプロピル基(3−(イソプロポキシ)プロピル基など)などが挙げられる。
R
140における炭素数6〜20のアリール基は、無置換であってもよく、脂肪族炭化水素基またはヒドロキシル基などの置換基を有していてもよい。前記アリール基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて数えられ、好ましくは6〜10である。アリール基としては、例えば、フェニル基、ヒドロキシフェニル基(4−ヒドロキシフェニル基など)、トリフルオロメチルフェニル基(4−トリフルオロメチルフェニル基など)などが挙げられる。
【0153】
R
140における炭素数7〜20のアラルキル基のアルキル部分は、直鎖状または分岐状のいずれでもよい。アラルキル基の炭素数は、通常、7〜20、好ましくは7〜10である。このアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルプロピル基(1−メチル−3−フェニルプロピル基など)、フェニルブチル基(3−アミノ−1−フェニルブチル基など)などのフェニルアルキル基などが挙げられる。
R
140における炭素数2〜10のアシル基は、無置換であってもよく、アシル基に含まれる水素原子が脂肪族炭化水素基またはアルコキシル基で置換されていてもよい。アシル基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて数えられ、その数は、好ましくは6〜10である。アシル基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、o−トルイル基、m−トルイル基、p−トルイル基およびメトキシベンゾイル基(p−メトキシベンゾイル基など)などが挙げられる。
【0154】
好ましい[IV]着色剤の例であるピリドンアゾ系は、例えば、以下の構造を有する。
【0156】
式(102)中、Zは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、スルホ基、スルファモイル基およびN位−置換スルファモイル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を1個または2個有するフェニル基、あるいはハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、スルホ基、スルファモイル基およびN位−置換スルファモイル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を1〜3個有するナフチル基を表す。
【0157】
R
121は、水素原子、直鎖状、分岐状または環状である炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、カルボキシル基あるいはトリフルオロメチル基を表す。
R
122は、水素原子、シアノ基、カルバモイル基、N位−置換カルバモイル基、スルファモイル基またはスルホ基を表す。
R
123は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の複素環基、カルバモイル基、N位−置換カルバモイル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の脂肪族スルホニル基あるいは置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリールスルホニル基を表す。
【0158】
より詳細に説明すると、式(102)中、Zにおける炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれでもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数を全て含み、その数は、通常、1〜12、好ましくは2〜11である。脂肪族炭化水素基としては、例えば、n−オクチル基、メチルヘキシル基(1,5−ジメチルヘキシル基など)、エチルヘキシル基(2−エチルヘキシル基など)、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基(2、2−ジメチルシクロヘキシル基など)およびシクロヘキシルアルキル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜8のアルコキシル基またはカルボキシル基で置換されていてもよい。置換基を有する脂肪族炭化水素基としては、アルコキシプロピル基(3−(2’−エチルヘキシルオキシ)プロピル基など)および8−(カルボキシ)オクチル基などが挙げられる。
【0159】
Zにおける炭素数1〜8のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基およびtert−ブトキシ基などが挙げられる。
Zにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
ZにおけるN位−置換スルファモイル基は、−SO
2N(R
141)R
142で表される。R
141およびR
142は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜15のアシル基を表す(ただし、R
141およびR
142が、同時に水素原子であることはない)。
炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜16である。
【0160】
R
141およびR
142における、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれでもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数は含まれず、その数は、通常、1〜16、好ましくは6〜10である。脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メチルブチル基(1,1,3,3−テトラメチルブチル基など)、メチルヘキシル基(1,5−ジメチルヘキシル基など)、エチルヘキシル基(2−エチルヘキシル基など)、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基(2−メチルシクロヘキシル基など)およびシクロヘキシルアルキル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜8のアルコキシル基またはカルボキシル基で置換されていてもよい。置換基を有する脂肪族炭化水素基としては、プロポキシプロピル基(3−(イソプロポキシ)プロピル基など)、2−(カルボキシ)エチル基、3−(カルボキシ)エチル基および4-カルボキシエチル基などが挙げられる。
【0161】
R
141およびR
142における、炭素数6〜20のアリール基は、脂肪族炭化水素基またはヒドロキシル基などの置換基を有していてもよい。アリール基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて数えられ、通常、6〜20、好ましくは6〜10である。アリール基としては、フェニル基、カルボキシフェニル基(2−カルボキシフェニル基、2,4−カルボキシフェニル基など)、ヒドロキシフェニル基(4−ヒドロキシフェニル基など)、トリフルオロメチルフェニル基(4−トリフルオロメチルフェニル基など)およびメトキシフェニル基(4−メトキシフェニル基)などが挙げられる。
R
141およびR
142における炭素数7〜20のアラルキル基のアルキル部分は、直鎖状または分岐状のいずれでもよい。アラルキル基の炭素数は、通常、7〜20、好ましくは7〜10である。アラルキルとしては、ベンジル基、フェニルエチル基(2−フェニルエチル基、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基など)、フェニルエチレン基(2−フェニルエチレン基など)、フェニルプロピル基(1−メチル−3−フェニルプロピル基など)およびフェニルブチル基(3−アミノ−1−フェニルブチル基など)などのフェニルアルキル基が挙げられる。
【0162】
R
141およびR
142における炭素数2〜15のアシル基は、無置換であってもよく、脂肪族炭化水素基、アルコキシル基またはカルボキシル基などの置換基を有していてもよい。アシル基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて数えられ、その数は、通常、2〜15、好ましくは6〜10である。アシル基としては、例えばアセチル基、ベンゾイル基、メトキシベンゾイル基(p−メトキシベンゾイル基など)、カルボキシアセチル基、2−カルボキシプロピオニル基、3−カルボキシプロピオニル基、2−カルボキシブチリル基、3−カルボキシブチリル基および4−カルボキシブチリル基などが挙げられる。
【0163】
R
121は水素原子、直鎖状、分岐状または環状である炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、カルボキシル基あるいはトリフルオロメチル基を表す。
R
121における炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。その炭素数は、好ましくは2〜8、より好ましくは3〜6である。脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0164】
R
122は、水素原子、シアノ基、カルバモイル基またはN位−置換カルバモイル基、スルファモイル基またはスルホ基を表す。
R
122におけるN位−置換カルバモイル基としては、−CON(R
143)R
144が挙げられる。R
143およびR
144は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアシル基を表す。
R
143およびR
144の脂肪族炭化水素基、アリール基、アラルキル基およびアシル基の説明および具体例は、前述のR
141およびR
142と同じである。ただし、アシル基はハロゲン原子を有していてもよい。ハロゲン原子を有しているアシル基としては、例えば、ブロモベンゾイル基(p−ブロモベンゾイル基など)などが挙げられる。
【0165】
R
123は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の複素環基、カルバモイル基、N位−置換カルバモイル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の脂肪族スルホニル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリールスルホニル基を表す。
R
123における脂肪族炭化水素基としては、上述のR
121における脂肪族炭化水素基と同じ基が挙げられる。
【0166】
R
123におけるアリール基としては、炭素数は、通常、6〜30であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜16である。アリール基の具体的な例としては、フェニル基、4−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、2−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基および2−メトキシカルボニル−4−ニトロフェニル基などが挙げられる。
R
123におけるアラルキル基としては、直鎖状または分岐状のいずれでもよく、炭素数は、好ましくは7〜10である。アラルキルの具体的な例としては、ベンジル基、フェニルプロピル基(1−メチル−3−フェニルプロピル基など)およびフェニルブチル基(3−アミノ−1−フェニルブチル基など)などのフェニルアルキル基が挙げられる。
【0167】
R
123における炭素数3〜20の複素環基としては、飽和であっても不飽和であってもよく、炭素数としては、3〜20が好ましく、より好ましくは5〜15である。複素環基の具体的な例としては、ピラゾール基、1,2,4−トリアゾール基、イソチアゾール基、ベンゾイソチアゾール基、チアゾール基、ベンゾチアゾール基、オキサゾール基および1,2,4−チアジアゾール基などが挙げられる。また、さらに置換基を有していてもよい。
R
123におけるN位−置換カルバモイル基としては、R
122について上述したN位−置換カルバモイル基と同じである。
【0168】
R
123におけるアルキルオキシカルボニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、環状であってもよい。アルキルオキシカルボニル基の炭素数としては、通常、2〜20であり、好ましくは2〜16であり、さらに好ましくは2〜10である。アルキルオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基およびブトキシカルボニル基などが挙げられる。
R
123におけるアリールオキシカルボニル基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、炭素数としては、通常、7〜30であり、好ましくは7〜20であり、さらに好ましくは7〜16である。アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基および4−メチルフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
【0169】
R
123にけるアシル基としては、脂肪族カルボニル基であってもアリールカルボニル基であってもよく、飽和または不飽和のいずれでもよく、環状であってもよく、更に置換基を有していてもよい。炭素数としては、通常、2〜20であり、好ましくは2〜15であり、さらに好ましくは2〜10である。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
R
123における脂肪族スルホニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、環状であってもよい。炭素数としては、通常、1〜30であり、好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜16である。脂肪族スルホニル基としては、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、メトキシメタンスルホニル基、メトキシエタンスルホニル基およびエトキシエタンスルホニル基などが挙げられる。
【0170】
R
123におけるアリールスルホニル基としては、置換基を有していてもよく、炭素数としては、通常、6〜30であり、好ましくは6〜20であり、さらに好ましくは6〜18である。アリールスルホニル基としては、ベンゼンスルホニルおよびトルエンスルホニル基などが挙げられる。
【0171】
次に、好ましい[IV]着色剤の例であるジケトピロロピロール系およびフタロシアニン系は、例えば、以下の構造を有する。しかし、本実施の形態において用いられるジケトピロロピロール系およびフタロシアニン系着色剤は、これらに限られるわけではない。
【0173】
式(103)中、Yは、酸素原子または硫黄原子を表す。R
131とR
132は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基を表す。R
133、R
134は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、または炭素環もしくは複素環式芳香族残基を表す。
【0174】
より詳細に説明すると、式(103)において、R
131、R
132、R
133およびR
134におけるアルキル基としては分岐していても分岐していなくともよく、好ましくは1個〜18個、更に好ましくは、1個〜12個、とりわけ好ましくは、1個〜6個の炭素原子を有しているのがよい。具体的には、メチル、エチル、イソプロピル、第二ブチル、第三ブチル、第三アミル基、オクチル、デシル、ドデシルまたはオクタデシル基等が挙げられる。
【0175】
R
131、R
132、R
133およびR
134におけるシクロアルキル基としては、好ましくは3個〜8個、更に好ましくは、3個〜6個の炭素原子を有しているのがよく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。R
131、R
132におけるアルケニル基としては、好ましくは2個〜8個、更に好ましくは、2個〜6個の炭素原子を有しているのがよく、具体的には、ビニル基、アリル基等が挙げられる。R
131、R
132におけるアルキニル基としては、好ましくは2個〜8個、更に好ましくは、2個〜6個の炭素原子を有しているのがよく、具体的には、エチニル基等が挙げられる。
R
131、R
132におけるアリール基としては、好ましくは6個〜10個の炭素原子を有しているのがよく、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R
131、R
132におけるアルキルカルバモイル基のアルキル基としては、上記のアルキル基と同様のものを挙げることができる。R
131、R
132におけるアリールカルバモイル基のアリール基としては、上記のアリール基と同様のものを挙げることができる。R
131、R
132におけるアルコキシカルボニル基のアルコキシ基としては、炭素数1個〜4個のものを挙げることができ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
【0176】
式(103)においてR
131、R
132、R
133およびR
134がアラルキル基を表わす場合には、特に、単環〜三環式、さらに好ましくは、単環式または二環式のアリール残基を含有するのがよい。具体的には、例えば、ベンジルおよびフェニルエチルが挙げられる。式(103)において、R
133およびR
134が炭素環式芳香族残基を表わす場合には、単環〜四環式、とりわけ単環式または二環式残基、すなわちフェニル、ジフェニリルまたはナフチルが好適である。
【0177】
式(103)において、R
133およびR
134が複素環式芳香族残基を表わす場合には、単環〜三環式のものが好適である。これらのものは純複素環式であってもよく、また1個の複素環および1個または複数の縮合ベンゼン環を含有していてもよく、具体的には、例えば、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、キノリル、クマリニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリルまたはベンゾオキサゾリル等が挙げられる。
式(103)においては、R
131、R
132は水素原子が好ましい。また、R
133、R
134、各々独立に炭素数1〜4個のアルキル基、ジアルキルアミノ基、ハロアルキル基あるいはハロゲン原子を置換基として有していてもよいフェニル基が好ましい。
次に、好ましい[IV]着色剤の例であるフタロシアニン系着色剤は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン系着色剤であることが好ましく、例えば、以下の構造を有する。
【0179】
式(104)中、X
1〜X
16は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子または臭素原子を表す。
【0180】
より詳細には、式(104)中、X
1〜X
16で表される置換基の数は、好ましくは塩素原子が0個〜6個で、臭素原子が10個〜16個であり、かつ塩素原子と臭素原子との和が10個〜16個であり、より好ましくは、塩素原子が0個〜3個で、臭素原子が13個〜16個であり、かつ塩素原子と臭素原子との和が13個〜16個であり、さらに好ましくは塩素原子が1個〜3個で、臭素原子が13個〜15個であり、かつ塩素原子と臭素原子との和が14個〜16個である。
【0181】
次に、[IV]着色剤に使用可能な無機顔料については、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等が挙げられる。
【0182】
次に、着色組成物に含有される[IV]着色剤の含有量について説明する。
[IV]着色剤の含有量としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、1質量部〜400質量部が好ましく、5質量部〜350質量部がより好ましい。[IV]着色剤の含有量を上記範囲とすることで、着色組成物のアルカリ現像性や、画素の耐熱性、耐溶媒性と着色パターンおよびカラーフィルタとしての高輝度化や高コントラスト化が高いレベルでバランス良く達成できる。
【0183】
<[V]化合物>
本実施の形態のカラーフィルタの製造に用いられる着色組成物は、[V]化合物を含有ることができる。[V]化合物は、硬化剤としての機能を果たす化合物である。よって、[V]硬化剤と称されることもある。
[V]化合物は、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、3級アミン化合物、アミン塩、ホスホニウム塩、アミジン塩、アミド化合物、チオール化合物、ブロックイソシアネート化合物およびイミダゾール環含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物である。着色組成物が、その特定の化合物群から選択される[V]化合物を含有することで着色パターンの低温硬化を実現することができる。併せて、着色組成物の保存安定性を向上させることもできる。以下、各化合物について詳述する。
【0186】
[上記式(1)および式(2)で表される化合物]
[V]化合物としては、上記式(1)および式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。[V]化合物として、アミノ基と電子欠乏基とを有する、上述の特定化合物を選択することで、着色パターンの低温硬化を実現することができる。併せて、着色組成物の保存安定性を向上させることもできる。さらに得られたカラーフィルタを使用した液晶表示素子の電圧保持率をより向上できる。
【0187】
式(1)中、R
1〜R
6は、それぞれ独立して水素原子、電子吸引性基またはアミノ基である。但し、R
1〜R
6のうち少なくとも1つは電子吸引性基であり、かつR
1〜R
6のうち少なくとも1つはアミノ基であり、上記アミノ基は、水素原子の全部または一部が炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
上記式(2)中、R
7〜R
16は、それぞれ独立して水素原子、電子吸引性基またはアミノ基である。但し、R
7〜R
16のうち少なくとも1つはアミノ基である。また、そのアミノ基は、水素原子の全部または一部が炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよい。そして、着色組成物に用いられる[V]化合物の場合、そのアミノ基は、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。Aは、単結合、カルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルメチレン基、スルフィニル基、スルホニル基、メチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基である。但し、上記メチレン基およびアルキレン基は、水素原子の全部または一部がシアノ基、ハロゲン原子またはフルオロアルキル基で置換されていてもよい。
【0188】
上記R
1〜R
16が示す電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、アシル基、アルキルスルホニル基、アルキルオキシスルフォニル基、ジシアノビニル基、トリシアノビニル基、スルホニル基等が挙げられる。これらのうち、ニトロ基、アルキルオキシスルフォニル基、トリフルオロメチル基が好ましい。Aが示す基としては、スルホニル基、フルオロアルキル基で置換されていてもよいメチレン基が好ましい。
【0189】
上記式(1)および式(2)で表される化合物としては、
2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3−ビス(4−アミノフェニル)スクシノニトリル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ジアミノ−2−クロロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ブロモベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ヨードベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−トリフルオロメチルベンゼン、2,5−ジアミノベンゾニトリル、2,5−ジアミノアセトフェノン、2,5−ジアミノ安息香酸、2,2’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジブロモベンジジン、2,2’−ジヨードベンジジン、2,2’−ジニトロベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−アミノベンゼンスルホン酸エチル、3,5−ビストリフルオロメチル−1,2−ジアミノベンゼン、4−アミノニトロベンゼン、N,N−ジメチル−4−ニトロアニリンが好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−アミノベンゼンスルホン酸エチル、3,5−ビストリフルオロメチル−1,2−ジアミノベンゼン、4−アミノニトロベンゼン、N,N−ジメチル−4−ニトロアニリンがより好ましい。
【0190】
上記式(1)および式(2)で表される化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。上記式(1)および式(2)で表される化合物の含有割合としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、0.2質量部〜10質量部がより好ましい。上記式(1)および式(2)で表される化合物の含有割合を上記範囲とすることで、着色組成物の保存安定性と低温硬化とをより高いレベルで両立できる。
【0191】
[3級アミン化合物]
反応性の高い一般的な1級アミン化合物や2級アミン化合物をエポキシ化合物と共存させると、組成物溶液の保存中にアミンのエポキシ基への求核攻撃により硬化反応が進行し、製品としての品質を損なうおそれがある。しかし、3級アミンを使用した場合は、比較的反応性が低いことに起因してか組成部中ではエポキシ化合物と共存させても保存安定性は良好となる。
3級アミン化合物としては、下記式(5)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を使用することができる。
【0193】
上記式(5)中、R
24〜R
26は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基または炭素数7〜30のアラルキル基である。但し、R
24およびR
25は互いに結合して、それらが結合する窒素原子と共に環構造を形成していてもよい。上記アルキル基、アリール基およびアラルキル基は水素原子の一部または全部が置換されていてもよい。
【0194】
上記R
24〜R
26が示す上記炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、直鎖状または分岐状のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。
上記R
24〜R
26が示す炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記R
24〜R
26が示す炭素数7〜30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0195】
3級アミン化合物としては、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリドデシルアミン、ジブチルベンジルアミン、トリナフチルアミン、N−エチル−N−メチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−フェニル−N−メチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−4−ブロモアニリン、N,N−ジメチル−4−メトキシアニリン、N−フェニルピペリジン、N−(4−メトキシフェニル)ピペリジン、N−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、6−ベンジルオキシ−N−フェニル−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、2−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられる。
【0196】
これらの3級アミン化合物のうち、トリオクチルアミン、2−ジメチルアミノメチルフェノール、N,N−ジエチルアニリン等が好ましい。3級アミン化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。着色組成物における3級アミン化合物の含有割合としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。3級アミン化合物の含有割合を上記特定範囲とすることで、着色組成物の保存安定性と低温硬化とをより高いレベルで両立できる。
【0197】
[アミン塩およびホスホニウム塩]
アミン塩およびホスホニウム塩としては、下記式(6)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0199】
上記式(6)中、A
1は、窒素原子またはリン原子である。R
27〜R
30は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基または炭素数7〜30のアラルキル基である。但し、これらの基は水素原子の一部または全部が置換されていてもよい。Q
−は、1価の陰イオンである。
【0200】
上記R
27〜R
30が示す炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、直鎖状または分岐状の、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。
上記R
27〜R
30が示す炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記R
27〜R
30が示す炭素数7〜30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0201】
上記Q
−が示す1価の陰イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、過マンガン酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸二水素イオン、硫化水素イオン、チオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオン、テトラフルオロボレートイオン、テトラアリールボレートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン等が挙げられる。
【0202】
A
1が窒素原子である場合、すなわちアンモニウム塩としては、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムが挙げられる。
【0203】
A
1がリン原子である場合、すなわちホスホニウム塩としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(p−トリル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(p−エチルフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(p−メトキシフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(p−エトキシフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(p−tert−ブトキシフェニル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(m−トリル)ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ(m−メトキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)フェニルホスホニウム・テトラ(p−トリル)ボレート、テトラ(p−トリル)ホスホニウム・テトラ(p−トリル)ボレート、トリ(p−メトキシフェニル)フェニルホスホニウム・テトラ(p−トリル)ボレート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート、メチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート、p−トリルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。
【0204】
これらのアミン塩およびホスホニウム塩のうち、塩化テトラメチルアンモニウム、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネートが好ましい。アミン塩およびホスホニウム塩は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。着色組成物におけるアミン塩およびホスホニウム塩の含有割合としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.05質量部〜10質量部が好ましく、0.1質量部〜5質量部がより好ましい。アミン塩およびホスホニウム塩の含有割合を上記特定範囲とすることで、着色組成物の保存安定性と低温硬化とをより高いレベルで両立できる。
【0205】
[アミジン塩]
アミジン塩としては、下記式(7)で表される化合物の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0207】
上記式(7)中、mは2〜6の整数である。但し、アルキレン基が有する水素原子の一部または全部が有機基で置換されていてもよい。なお、上記アルキレン基とは、テトラヒドロピリミジン環中のアルキレン基および式(7)において(CH
2)
mで表されるアルキレン基の両方をいう。
【0208】
上記アルキレン基が置換基として有していてもよい有機基としては、例えば、
メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;
ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシイソプロピル基、3−ヒドロキシ−t−ブチル基、6−ヒドロキシヘキシル基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基;
ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、t−ブチルメチルアミノ基、ジn−ヘキシルアミノ基等の炭素数2〜12のジアルキルアミノ基等が挙げられる。
【0209】
上記式(7)で表される化合物としては、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−ノネン−5(DBN)、1,5−ジアザビシクロ[4,4,0]−デセン−5、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7(DBU)、5−ヒドロキシプロピル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7、5−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7等が挙げられる。これらのうち、DBNおよびDBUが好ましい。
【0210】
上記式(7)で表される化合物が塩を形成するための酸としては、有機酸および無機酸が挙げられる。
有機酸としては、例えばカルボン酸、モノアルキル炭酸、芳香族ヒドロキシ化合物、スルホン酸等が挙げられる。
これらの酸のうち、カルボン酸、芳香族ヒドロキシ化合物、スルホン酸が好ましく、飽和脂肪酸、芳香族ヒドロキシ化合物、スルホン酸がより好ましく、強酸であるスルホン酸が特に好ましく、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸が最も好ましい。アミジン塩としては、DBUとトルエンスルホン酸との塩、DBUとオクチルベンゼンスルホン酸との塩、DBNとトルエンスルホン酸との塩、DBNとオクチルベンゼンスルホン酸との塩が好ましい。
【0211】
アミジン塩は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。着色組成物におけるアミジン塩の含有割合としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。アミジン塩の含有割合を上記特定範囲とすることで、着色組成物の保存安定性と低温硬化とをより高いレベルで両立できる。
【0212】
[アミド化合物]
アミド化合物としては、下記式(8)〜式(10)で表されるアミド基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0216】
上記式(8)中、R
31およびR
32は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ビニル基、または2−ピリジル基である。但し、上記炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基およびナフチル基は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基またはアセチル基で置換されていてもよい。
【0217】
上記式(9)中、R
33およびR
34は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基またはシクロヘキシル基である。A
2は、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、またはビニレン基である。但し、上記メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、フェニレン基およびナフチレン基は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記式(10)中、R
35およびR
36は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基またはシクロヘキシル基である。A
3は、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、またはビニレン基である。但し、上記メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、フェニレン基およびナフチレン基は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0218】
上記式(8)で表されるアミド化合物は分子内に一つのアミド結合を有する化合物である。その具体例としては、例えば、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、フタルアミド酸、アクリルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド等が挙げられる。
これらのうち、室温での保存安定性、得られる着色パターン等の耐熱性、電圧保持率等を向上できる観点からアセトアミド、N−メチルアセトアミド、フタルアミド酸が好ましい。
【0219】
上記式(9)および(10)で表される化合物は分子内に2つのアミド結合を有する化合物である。その具体例としては、例えば、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、マロンアミド、スクシンアミド、N,N’−ジアセチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジアセチル−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジアセチル−ドデシルメチレンジアミン等が挙げられる。
これらのうち、保存安定性と低温硬化とを高いレベルで両立できるという観点から、イソフタルアミド、アジピンアミド、N,N’−ジアセチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジアセチル−ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
【0220】
アミド化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。着色組成物におけるアミド化合物の含有割合としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。アミド化合物の含有割合を上記特定範囲とすることで、着色組成物の保存安定性と低温硬化とをより高いレベルで両立できる。
【0221】
[チオール化合物]
チオール化合物としては、1分子中に2個以上のメルカプト基を有する化合物である。チオール化合物は、1分子中に2個以上のメルカプト基を有する限り特に限定されるものではないが、下記式(11)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0223】
式(11)中、R
37は、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基である。但し、これらの基は水素原子の一部または全部がアルキル基で置換されていてもよい。Y
1は、単結合、−CO−またはO−CO−
*である。但し、*を付した結合手がR
37と結合する。nは2〜10の整数である。A
4は、1個または複数個のエーテル結合を有していてもよい炭素数2〜70のn価の炭化水素基、またはnが3の場合下記式(12)で示される基である。
【0225】
上記式(12)中、R
38〜R
40は、それぞれ独立してメチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基である。「*」は、それぞれ結合手であることを表す。
【0226】
上記式(11)で表される化合物として、典型的にはメルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル化物などを使用することができる。エステル化物を構成するメルカプトカルボン酸としては、例えばチオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトブタン酸、3−メルカプトペンタン酸等が挙げられる。また、エステル化物を構成する多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、テトラエチレングリコール、ジペンタエリスリトール、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0227】
上記式(11)で表される化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトペンチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンが好ましい。
【0228】
チオール化合物の1分子中に2個以上のメルカプト基を有する化合物としては、下記式(13)〜式(15)で表される化合物を用いることもできる。
【0231】
上記式(13)中、R
41は、メチレン基または炭素数2〜20のアルキレン基である。R
42は、メチレン基または炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐アルキレン基である。kは1〜20の整数である。
上記式(14)中、R
43〜R
46は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または下記式(15)で表される基である。但し、R
43〜R
46の少なくとも1つは下記式(15)で表される基である。
【0233】
上記式(15)中、R
47は、メチレン基または炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐アルキレン基である。
【0234】
チオール化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。着色組成物におけるチオール化合物の含有割合としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、1質量部〜20質量部が好ましく、5質量部〜15質量部がより好ましい。チオール化合物の含有割合を上記特定範囲とすることで、着色組成物の保存安定性と低温硬化とをより高いレベルで両立できる。
【0235】
[ブロックイソシアネート化合物]
ブロックポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を活性水素基含有化合物(ブロック剤)と反応させて常温で不活性としたものであり、これを加熱するとブロック剤が解離してイソシアネート基が再生されるという性質を持つものである。着色組成物がブロックポリイソシアネートを含有することで、効果的な架橋剤としてイソシアネート−水酸基架橋反応が進行し、着色組成物の保存安定性と低温硬化とを高いレベルで両立できる。
ブロックポリイソシアネート化合物は、脂肪族または脂環族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートと活性水素とを有する化合物(ブロック剤)との公知の反応によって得られる。
【0236】
ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリジンイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
【0237】
市販品としては、例えば、
イソシアネート基をメチルエチルケトンのオキシムでブロックしたものとして、デュラネート(登録商標)TPA−B80E、TPA−B80X、E402−B80T、MF−B60XN、MF−B60X、MF−B80M(以上、旭化成工業社);
イソシアネート基を活性メチレンでブロックしたものとして、デュラネート(登録商標)MF−K60X(旭化成工業社);
(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物のブロック体として、カレンズ(登録商標)MOI−BP、カレンズ(登録商標)MOI−BM(以上、昭和電工社)が挙げられる。これらのうち、デュラネート(登録商標)E402−B80T、MF−K60Xを用いた場合に高いフレキシブル性が発現し、他との混合系にして使用する事で、自在にその硬さを制御する事ができるため好ましい。
【0238】
ジイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートとしては、例えば、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュウレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロファネート型ポリイソシアネート等が挙げられる。硬化性の観点からイソシアヌレート型ポリイソシアネートが好ましい。
ブロック剤としては、例えば、アルコール系化合物、フェノール系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、ピリジン系化合物等が挙げられる。
【0239】
アルコール系化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等;
フェノール系化合物としては、例えばフェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等;
活性メチレン系化合物としては、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等;
メルカプタン系化合物としては、例えば、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等;
酸アミド系化合物としては、例えば、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等;
酸イミド系化合物としては、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等;
イミダゾール系化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等;
ピラゾール系化合物としては、例えば、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−エチルピラゾール等;
尿素系化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等;
オキシム系化合物としては、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等;
アミン系化合物としては、例えば、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール等;
イミン系化合物としては、例えば、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等;
ピリジン系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン等が挙げられる。
【0240】
ブロックポリイソシアネート化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。着色組成物におけるブロックポリイソシアネート化合物の含有割合としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。ブロックポリイソシアネート化合物の含有割合を上記範囲とすることで、着色組成物の保存安定性と低温硬化とをより高いレベルで両立できる。
【0241】
[イミダゾール環含有化合物]
イミダゾール環含有化合物としては、下記式(16)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0243】
上記式(16)中、A
5、A
6、A
7およびR
48は、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状の炭化水素基である。また、A
6とA
7は互いに連結して環を形成してもよい。
【0244】
A
5、A
6、A
7およびR
48が示す炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状の炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基;
フェニル基、トルイル基、ベンジル基、メチルベンジル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基等の炭素数6〜20のアリール基;
ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基、エチルアダマンチル基、ブチルアダマンチル基等の炭素数6〜20の有橋脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0245】
上記炭化水素基は置換されていてもよく、この置換基の具体例としては、
水酸基;
カルボキシル基;
ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基;
メトキシル基、エトキシル基、n−プロポキシル基、i−プロポキシル基、n−ブトキシル基、2−メチルプロポキシル基、1−メチルプロポキシル基、t−ブトキシル基等の炭素数1〜4のアルコキシル基;
シアノ基;
シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等の炭素数2〜5のシアノアルキル基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基;
メトキシカルボニルメトキシル基、エトキシカルボニルメトキシル基、t−ブトキシカルボニルメトキシル基等の炭素数3〜6のアルコキシカルボニルアルコキシル基;
フッ素、塩素等のハロゲン原子;
フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のフルオロアルキル基等が挙げられる。
【0246】
上記A
6とA
7が互いに連結して形成する環としては、好ましくは芳香環、炭素数2〜20の飽和若しくは不飽和の含窒素複素環が挙げられる。A
6とA
7が互いに連結して形成する環が、ベンゼン環の場合のイミダゾール環含有化合物としては、下記式(17)で表される化合物が挙げられる。
【0248】
上記式(17)中、R
48およびA
5は、上記式(16)と同義である。R
49〜R
52は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状の炭化水素基である。なお、R
49〜R
52が示す炭化水素基としては、上記式(16)中の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
【0249】
イミダゾール環含有化合物としては、2−フェニルベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2―メチルベンズイミダゾールが好ましい。イミダゾール環含有化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。イミダゾール環含有化合物の含有割合としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。イミダゾール環含有化合物の含有割合を上記特定範囲とすることで、着色組成物の保存安定性と低温硬化とをより高いレベルで両立できる。
【0250】
<その他の任意成分>
本実施の形態のカラーフィルタ製造に用いられる着色組成物は、上記の[I]アルカリ可溶性樹脂、[II]重合性化合物、[III]重合開始剤、[IV]着色剤、および[V]化合物(硬化剤)に加え、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて界面活性剤、保存安定剤、接着助剤、耐熱性向上剤等のその他の任意成分を含有できる。これらの各任意成分は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。以下、各成分を詳述する。
【0251】
[界面活性剤]
界面活性剤は、着色組成物の塗膜形成性をより向上させるために使用できる。界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他の界面活性剤が挙げられる。
【0252】
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖および側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキル基および/またはフルオロアルキレン基を有する化合物が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、フタージェント(登録商標)FT−100、同−110、同−140A、同−150、同−250、同−251、同−300、同−310、同−400S、フタージェント(登録商標)FTX−218、同−251(以上、ネオス社)等が挙げられる。
【0253】
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、同DC7PA、同SH11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH−190、同SH−193、同SZ−6032、同SF−8428、同DC−57、同DC−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社)等が挙げられる。
【0254】
界面活性剤の使用量としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、1.0質量部以下が好ましく、0.7質量部以下がより好ましい。界面活性剤の使用量が1.0質量部を超えると、膜ムラを生じやすくなる。
【0255】
[保存安定剤]
保存安定剤としては、例えば、硫黄、キノン類、ヒドロキノン類、ポリオキシ化合物、アミン、ニトロニトロソ化合物等が挙げられ、より具体的には、4−メトキシフェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム等が挙げられる。
【0256】
保存安定剤の使用量としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、3.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましい。保存安定剤の配合量が3.0質量部を超えると、感度が低下してパターン形状が劣化する場合がある。
【0257】
[接着助剤]
接着助剤は、得られる着色パターンおよびカラーフィルタと基板との接着性をさらに向上させるために使用できる。接着助剤としてはカルボキシル基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、オキシラニル基等の反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤が好ましく、例えばトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0258】
接着助剤の使用量としては、[I]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。接着助剤の使用量が20質量部を超えると、現像残りを生じやすくなる傾向がある。
【0259】
<着色組成物の調製方法>
本実施形態のカラーフィルタ製造に用いられる着色組成物は、[I]アルカリ可溶性樹脂、[II]重合性化合物、[III]重合開始剤、[IV]着色剤、[V]化合物(硬化剤)、および必要に応じ添加されるその他の任意成分を均一に混合することによって調製される。この着色組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状で用いられる。
着色組成物の調製に用いられる溶媒としては、必須成分および任意成分を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。このような溶媒としては、上述した[I]アルカリ可溶性樹脂を製造するために使用できる溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0260】
このような溶媒のうち、各成分の溶解性、各成分との反応性、塗膜形成の容易性等の観点から、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0261】
酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、酢酸エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−メチル−3−メトキシブチル等の酢酸(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0262】
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オン)、4−ヒドロキシ−4−メチルヘキサン−2−オン等のケトン類;
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピオン酸n−ブチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、2−オキソ酪酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
【0263】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸3−メトキシブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチルが好ましい。溶媒は単独または2種以上を使用できる。
【0264】
さらに、上記溶媒と共に、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶媒を併用することもできる。上記高沸点溶媒は、単独または2種以上を使用できる。
【0265】
溶媒の含有量としては限定されないが、得られる着色組成物の塗布性、安定性等の観点から着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5質量%〜50質量%となる量が好ましく、10質量%〜40質量%となる量がより好ましい。着色組成物を溶液状態として調製する場合、固形分濃度(組成物溶液中に占める溶媒以外の成分)は、使用目的や所望の膜厚の値等に応じて任意の濃度(例えば5質量%〜50質量%)に設定できる。さらに好ましい固形分濃度は、基板上への塗膜の形成法方により異なるが、これについては後述する。このようにして調製された組成物溶液は、孔径0.5μm程度のミリポアフィルタ等を用いて濾過した後、使用に供することができる。
【0266】
以上の成分と調製方法による着色組成物は、低温硬化により着色パターンを形成することができる。具体的には、200℃以下の硬化温度で、さらには180℃以下の硬化温度であっても、耐溶媒性等の良好な信頼性を有する着色パターンを得ることができる。そして、低温硬化によって本実施の形態のカラーフィルタを提供することができる。
【0267】
次に、本実施の形態のカラーフィルタは、着色パターンの上に設けられた保護膜を有する。この保護膜は、着色パターン上、第1の感放射線性樹脂組成物を用いて形成される。以下で、本実施の形態のカラーフィルタの保護膜の形成に用いられる第1の感放射線性樹脂組成物について説明する。
【0268】
<第1の感放射線性樹脂組成物>
本実施形態のカラーフィルタの保護膜の形成に用いられる第1の感放射線性樹脂組成物は、[A]化合物、[B]重合性化合物、[C]重合開始剤および[D]化合物を含有し、さらに任意成分を含有してもよい。第1の感放射線性樹脂組成物は、感放射線性を利用した露光・現像によって容易に微細かつ精巧なパターンを形成することも可能であり、低温硬化を実現する。併せて、保存安定性を有し、かつ充分な解像度および放射線感度を有する。以下、各成分を詳述する。
【0269】
<[A]化合物>
第1の感放射線性樹脂組成物に含有される[A]化合物は、エポキシ基を有する化合物である。[A]化合物としては、例えば、1分子内に2個以上の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物等が挙げられる。
【0270】
1分子内に2個以上の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
【0271】
その他の[A]化合物としては、例えば、
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物のジグリシジルエーテル;
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;
ポリフェノール型エポキシ樹脂;
環状脂肪族エポキシ樹脂;
脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル;
高級脂肪酸のグリシジルエステル;
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
【0272】
これらの市販品としては、例えば、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、エピコート1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010、同828(以上、ジャパンエポキシレジン社)等;
ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、エピコート807(ジャパンエポキシレジン社)等;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂として、エピコート152、同154、同157S65(以上、ジャパンエポキシレジン社)、EPPN201、同202(以上、日本化薬社)等;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、EOCN(登録商標)102、同103S、同104S、同1020、同1025、同1027(以上、日本化薬社)、エピコート180S75(ジャパンエポキシレジン社)等;
ポリフェノール型エポキシ樹脂として、エピコート1032H60、同XY−4000(以上、ジャパンエポキシレジン社)等;
環状脂肪族エポキシ樹脂として、CY−175、同177、同179、アラルダイトCY−182、同192、同184(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)、ERL−4234、同4299、同4221、同4206(以上、U.C.C社)、ショーダイン509(昭和電工社)、エピクロン200、同400(以上、大日本インキ社)、エピコート871、同872(以上、ジャパンエポキシレジン社)、ED−5661、同5662(以上、セラニーズコーティング社)等;
脂肪族ポリグリシジルエーテルとしてエポライト100MF(共栄社化学社)、エピオールTMP(日本油脂社)等が挙げられる。
これらのうち、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびポリフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
【0273】
上記に例示したような[A]化合物と、後述するカルボキシル基を有する共重合体である[A]化合物とが共に感放射線性組成物に含有される場合における、上記に例示した[A]化合物の使用量としては、後述するカルボキシル基を有する共重合体である[A]化合物100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、2質量部〜15質量部の範囲内とすることが特に好ましい。
【0274】
[A]化合物は重合体であることが好ましく、この重合体がカルボキシル基をさらに有することがより好ましい。そして、[A]化合物は、カルボキシル基を有する共重合体であることがより好ましい。[A]化合物が、カルボキシル基を持つ構造を有することで第1の感放射線性樹脂組成物は、耐熱性、耐光性、耐薬品性、透過率、平坦性等により優れる硬化膜を形成できる。
【0275】
[A]化合物としては、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種から形成される構成単位と、エポキシ基含有不飽和化合物から形成される構成単位とを含む共重合体を用いることができる。その場合、[A]化合物としては、上述した本実施の形態のカラーフィルタ製造に用いられる着色組成物に含有される[I]アルカリ可溶性樹脂と同様の共重合体を用いることができる。例えば、上述の(I−1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種((I−1)化合物)と、(I−2)エポキシ基含有不飽和化合物((I−2)化合物)とを共重合してなる、アルカリ可溶性のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。
【0276】
<[B]重合性化合物>
[B]重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物である。[B]重合性化合物としては、上述した本実施の形態のカラーフィルタ製造に用いられる着色組成物に含有される[II]重合性化合物と同様の化合物を用いることができる。
【0277】
[B]重合性化合物は、単独で、または2種以上を混合して使用できる。感放射線性樹脂組成物における[B]重合性化合物の含有割合としては、カルボキシル基を有する共重合体である[A]化合物100質量部に対して、20質量部〜200質量部が好ましく、40質量部〜160質量部がより好ましい。[B]重合性化合物の含有割合を上記範囲とすることで、感放射線性樹脂組成物は、密着性に優れ低露光量においても十分な硬度を有した硬化膜を形成でき、優れた保護膜を提供できる。
【0278】
<[C]重合開始剤>
[C]重合開始剤は感放射線性重合開始剤であり、放射線に感応して重合反応を開始しうる活性種を生じる成分である。上述した本実施の形態のカラーフィルタ製造に用いられる着色組成物に含有される[III]重合開始剤と同様の化合物を用いることができる。
【0279】
[C]重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。感放射線性樹脂組成物における[C]重合開始剤の含有割合としては、カルボキシル基を有する共重合体である[A]化合物100質量部に対して、1質量部〜40質量部が好ましく、5質量部〜30質量部がより好ましい。[C]重合開始剤の含有割合を1質量部〜40質量部とすることで、第1の感放射線性樹脂組成物は、低露光量の場合でも高い硬度および密着性を有する硬化膜を形成でき、優れた保護膜を提供することができる。
【0280】
<[D]化合物>
本実施形態のカラーフィルタの保護膜の形成に用いられる第1の感放射線性樹脂組成物は、アミノ基と電子吸引性基とを有する[D]化合物を含有することで感放射線性樹脂組成物の低温硬化における硬化膜の硬化促進を実現できる。併せて、保存安定性も実現し、さらに、得られた保護膜を有するカラーフィルタを備えた液晶表示素子の電圧保持率を高いレベルで保持できる。
【0281】
[D]化合物は、上記式(1)および式(2)で表わされる化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。式(1)および式(2)で表わされる化合物の構造の詳細については、上述の着色組成物に含有される[V]化合物を説明する際に説明した。よって、R
7〜R
16のうち少なくとも1つはアミノ基であり、そのアミノ基の水素原子の全部または一部が炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよいが、第1の感放射線性樹脂組成物に用いられる[D]化合物の場合、そのアミノ基は、水素原子の全部または一部が炭素数2〜6のアルキレン基で置換されていてもよい。
【0282】
[D]化合物としては、
2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3−ビス(4−アミノフェニル)スクシノニトリル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ジアミノ−2−クロロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ブロモベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ヨードベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−トリフルオロメチルベンゼン、2,5−ジアミノベンゾニトリル、2,5−ジアミノアセトフェノン、2,5−ジアミノ安息香酸、2,2’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジブロモベンジジン、2,2’−ジヨードベンジジン、2,2’−ジニトロベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−アミノベンゼンスルホン酸エチル、3,5−ビストリフルオロメチル−1,2−ジアミノベンゼン、4−アミノニトロベンゼン、N,N−ジメチル−4−ニトロアニリンが好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−アミノベンゼンスルホン酸エチル、3,5−ビストリフルオロメチル−1,2−ジアミノベンゼン、4−アミノニトロベンゼン、N,N−ジメチル−4−ニトロアニリンがより好ましい。
【0283】
第1の感放射線性樹脂組成物における[D]化合物の含有割合としては、カルボキシル基を有する共重合体である[A]化合物100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、0.2質量部〜10質量部がより好ましい。[D]化合物の含有割合を0.1質量部〜10質量部とすることで、第1の感放射線性樹脂組成物から形成される保護膜の硬化促進を実現することができる。併せて、第1の感放射線性樹脂組成物の保存安定性を向上し、さらに、得られた保護膜を有するカラーフィルタを備えた液晶表示素子の電圧保持率を高いレベルで保持できる。
【0284】
<その他の任意成分>
本実施形態のカラーフィルタの保護膜の形成に用いられる第1の感放射線性樹脂組成物は、上述した[A]化合物、[B]重合性化合物、[C]重合開始剤、および[D]化合物に加え、所期の効果を損なわない範囲で必要に応じて[J−1]接着助剤、[J−2]界面活性剤、[J−3]保存安定剤および[J−4]耐熱性向上剤等の任意成分を含有できる。これらの各任意成分は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。以下、順に詳述する。
【0285】
[[J−1]接着助剤]
[J−1]接着助剤は、得られる保護膜と基板との接着性をさらに向上させるために使用できる。このような[J−1]接着助剤としては、上述した着色組成物のその他の任意成分である接着助剤と同様の化合物を用いることができる。
[J−1]接着助剤の使用量としては、カルボキシル基を有する共重合体である[A]化合物100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。[J−1]接着助剤の使用量が20質量部を超えると現像残りを生じやすくなる傾向がある。
【0286】
[[J−2]界面活性剤]
[J−2]界面活性剤は、第1の感放射線性樹脂組成物の塗膜形成性をより向上させるために使用できる。[J−2]界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他の界面活性剤が挙げられるが、上述した着色組成物のその他の任意成分である界面活性剤と同様のものを用いることができる。
[J−2]界面活性剤の使用量としては、カルボキシル基を有する共重合体である[A]化合物100質量部に対して、1.0質量部以下が好ましく、0.8質量部以下がより好ましい。[J−2]界面活性剤の使用量が1.0質量部を超えると、膜ムラを生じやすくなる。
【0287】
[[J−3]保存安定剤]
[J−3]保存安定剤としては、上述した着色組成物のその他の任意成分である保存安定剤と同様のものを用いることができ、例えば、硫黄、キノン類、ヒドロキノン類、ポリオキシ化合物、アミン、ニトロニトロソ化合物等が挙げられ、より具体的には、4−メトキシフェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム等が挙げられる。
【0288】
[J−3]保存安定剤の使用量としてはカルボキシル基を有する共重合体である[A]化合物100質量部に対して、3.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましい。[J−3]保存安定剤の配合量が3.0質量部を超えると、第1の感放射線性樹脂組成物の感度が低下してパターン形状が劣化する場合がある。
【0289】
[[J−4]耐熱性向上剤]
[J−4]耐熱性向上剤としては、上述した着色組成物のその他の任意成分である耐熱安定剤と同様のものを用いることができる。
[J−4]耐熱性向上剤の使用量としては、カルボキシル基を有する共重合体である[A]化合物100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。[J−4]耐熱性向上剤の配合量が50質量部を超えると、第1の感放射線性樹脂組成物の感度が低下してパターン形状が劣化する場合がある。
【0290】
<第1の感放射線性樹脂組成物の調製>
本実施形態のカラーフィルタの有する保護膜を形成する第1の感放射線性樹脂組成物は、[A]化合物、[B]重合性化合物、[C]重合開始剤および[D]化合物に加え、所期の効果を損なわない範囲で必要に応じて任意成分を所定の割合で混合することにより調製される。この第1の感放射線性樹脂組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状態で用いられる。
【0291】
第1の感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、[A]化合物、[B]重合性化合物、[C]重合開始剤、[D]化合物および任意成分を均一に溶解または分散し、各成分と反応しないものが用いられる。このような溶媒としては、上述した本実施形態のカラーフィルタの着色組成物の調製に用いられる溶媒として例示したものが挙げられる。溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0292】
第1の感放射線性樹脂組成物の溶媒として、高沸点溶媒を併用する場合、その使用量としては、全溶媒量に対して、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。高沸点溶媒の使用量が50質量%以下の時、塗膜の膜厚均一性、感度および残膜率が良好となる。
【0293】
第1の感放射線性樹脂組成物を溶液状態として調製する場合、固形分濃度(組成物溶液中に占める溶媒以外の成分)は、使用目的や所望の膜厚の値等に応じて任意の濃度(例えば5質量%〜50質量%)に設定できる。より好ましい固形分濃度としては、基板上への塗膜の形成方法により異なるが、これについては後述する。このようにして調製された組成物溶液については、孔径0.5μm程度のミリポアフィルタ等を用いて濾過した後、使用に供することができる。
【0294】
以上の成分と調製方法による第1の感放射線性樹脂組成物は、低温硬化により保護膜を形成することができる。具体的には、200℃以下の硬化温度で、さらには180℃以下の硬化温度であっても、良好な信頼性を有する保護膜を得ることができる。そして、低温硬化によって本実施の形態のカラーフィルタを提供することができる。
【0295】
次に、本実施の形態のカラーフィルタは、保護膜上にITO電極を有する。ITO電極は、スパッタリング法など公知の方法を用いて保護膜上にITO膜を成膜して形成される。尚、着色パターン上の透明な電極は、ITOの他、可視光に対する高い透過率と導電性を有する透明な材料を用いて構成することができる。例えば、IZO(Indium Zinc Oxide)や、ZnO(酸化亜鉛)などを用いて構成することができる。
【0296】
次に、本実施の形態のカラーフィルタは、保護膜上のITO電極の上に立設された柱状のスペーサを有する。このスペーサは、第2の感放射線性樹脂組成物を用いて形成される。以下で、本実施の形態のカラーフィルタのスペーサの形成に用いられる第2の感放射線性樹脂組成物について説明する。
【0297】
<第2の感放射線性樹脂組成物>
本実施形態のカラーフィルタのスペーサの形成に用いられる第2の感放射線性樹脂組成物は、[E]化合物、[F]重合性化合物、[G]重合開始剤および[H]化合物を含有し、さらに任意成分を含有してもよい。第2の感放射線性樹脂組成物は、感放射線性を利用した露光・現像によって容易に微細かつ精巧なパターンを形成でき、低温硬化を実現する。併せて、保存安定性を有し、かつ充分な解像度および放射線感度を有する。以下、各成分を詳述する。
【0298】
<[E]化合物>
第2の感放射線性樹脂組成物に含有される[E]化合物としては、本実施形態のカラーフィルタのスペーサのパターニングを考慮して、アルカリ可溶性樹脂を選択することが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有することで、アルカリ現像性を有する樹脂であれば、特に限定されない。そして、アルカリ可溶性樹脂には、エポキシ基を有する化合物を含有することができる。
エポキシ基を有する化合物としては、例えば、1分子内に2個以上のオキシラニル基、オキセタニル基、グリシジル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物等が挙げられる。
【0299】
1分子内に2個以上の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
1分子中に2個以上のオキセタニル基(1,3−エポキシ構造)を有する化合物としては、例えば1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0300】
その他の[E]化合物に含有できるエポキシ化合物としては、グリシジル基を有する化合物として、例えば、
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物のジグリシジルエーテル;
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;
ポリフェノール型エポキシ樹脂;
環状脂肪族エポキシ樹脂;
脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル;
高級脂肪酸のグリシジルエステル;
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
【0301】
これらの市販品としては、例えば、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、エピコート1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010、同828(以上、ジャパンエポキシレジン社)等;
ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、エピコート807(ジャパンエポキシレジン社)等;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂として、エピコート152、同154、同157S65(以上、ジャパンエポキシレジン社)、EPPN201、同202(以上、日本化薬社)等;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、EOCN(登録商標)102、同103S、同104S、1020、1025、1027(以上、日本化薬社)、エピコート180S75(ジャパンエポキシレジン社)等;
ポリフェノール型エポキシ樹脂として、エピコート1032H60、同XY−4000(以上、ジャパンエポキシレジン社)等;
環状脂肪族エポキシ樹脂として、CY−175、同177、同179、アラルダイトCY−182、同192、同184(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)、ERL−4234、同4299、同4221、同4206(以上、U.C.C社)、ショーダイン509(昭和電工社)、エピクロン200、同400(以上、大日本インキ社)、エピコート871、同872(以上、ジャパンエポキシレジン社)、ED−5661、同5662(以上、セラニーズコーティング社)等;
脂肪族ポリグリシジルエーテルとしてエポライト100MF(共栄社化学社)、エピオール(登録商標)TMP(日本油脂社)等が挙げられる。
これらのうち、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびポリフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
【0302】
第2の感放射線性樹脂組成物の含む[E]化合物であるアルカリ可溶性樹脂としては、(E−1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種((E−1)化合物)から形成される構造単位と、(E−2)エポキシ基含有不飽和化合物((E−2)化合物)から形成される構造単位とを含む共重合体であるアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。そして、上述した本実施の形態のカラーフィルタ製造に用いられる着色組成物に含有される[I]アルカリ可溶性樹脂と同様の共重合体を用いることができる。例えば、(E−1)化合物として上述の(I−1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種((I−1)化合物)を用い、(E−2)化合物として(I−2)エポキシ基含有不飽和化合物((I−2)化合物)を用いることができる。そして、[E]化合物であるアルカリ可溶性樹脂として、(I−1)化合物から形成される構造単位と、(I−2)化合物から形成される構造単位とを含む共重合体であるアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。
【0303】
<[F]重合性化合物>
[F]重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物である。そして、[F]重合性化合物としては、上述した本実施の形態のカラーフィルタ製造に用いられる着色組成物に含有される[II]重合性化合物と同様の化合物を用いることができる。
[F]重合性化合物は、単独で、または2種以上を混合して使用できる。感放射線性樹脂組成物における[F]重合性化合物の含有割合としては、[E]化合物100質量部に対して、20質量部〜200質量部が好ましく、40質量部〜160質量部がより好ましい。[F]重合性化合物の含有割合を上記範囲とすることで、感放射線性樹脂組成物は、密着性に優れ低露光量においても十分な硬度を有した硬化膜を形成でき、優れたスペーサを提供できる。
【0304】
<[G]重合開始剤>
[G]重合開始剤は、感放射線性の重合開始剤である。[G]重合開始剤としては、上述した本実施の形態のカラーフィルタ製造に用いられる着色組成物に含有される[III]重合開始剤と同様の化合物を用いることができる。
【0305】
[G]重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。第2の感放射線性樹脂組成物における[G]重合開始剤の含有割合としては、[F]化合物100質量部に対して、1質量部〜40質量部が好ましく、5質量部〜30質量部がより好ましい。[G]重合開始剤の含有割合を1質量部〜40質量部とすることで、第2の感放射線性樹脂組成物は、低露光量の場合でも高い硬度および密着性を有する硬化膜することができ、優れたスペーサを形成できる。
【0306】
<[H]化合物>
本実施形態のカラーフィルタのスペーサの形成に用いられる第2の感放射線性樹脂組成物は、アミノ基と電子吸引性基とを有する[H]化合物を含有することで第2の感放射線性樹脂組成物の低温硬化における硬化膜の硬化促進を実現できる。併せて、保存安定性も実現し、さらに、得られたスペーサを有するカラーフィルタを備えた液晶表示素子の電圧保持率を高いレベルで保持できる。
【0307】
[H]化合物は、上記式(1)および式(2)で表わされる化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。式(1)および式(2)で表わされる化合物の構造の詳細については、上述の着色組成物に含有される[V]化合物を説明する際に説明した。よって、R
7〜R
16のうち少なくとも1つはアミノ基であり、そのアミノ基の水素原子の全部または一部が炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよいが、第2の感放射線性樹脂組成物に用いられる[H]化合物の場合、そのアミノ基は、水素原子の全部または一部が炭素数2〜6のアルキレン基で置換されていてもよい。
【0308】
[H]化合物としては、
2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3−ビス(4−アミノフェニル)スクシノニトリル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ジアミノ−2−クロロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ブロモベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ヨードベンゼン、1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−トリフルオロメチルベンゼン、2,5−ジアミノベンゾニトリル、2,5−ジアミノアセトフェノン、2,5−ジアミノ安息香酸、2,2’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジブロモベンジジン、2,2’−ジヨードベンジジン、2,2’−ジニトロベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−アミノベンゼンスルホン酸エチル、3,5−ビストリフルオロメチル−1,2−ジアミノベンゼン、4−アミノニトロベンゼン、N,N−ジメチル−4−ニトロアニリンが好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−アミノベンゼンスルホン酸エチル、3,5−ビストリフルオロメチル−1,2−ジアミノベンゼン、4−アミノニトロベンゼン、N,N−ジメチル−4−ニトロアニリンがより好ましい。
【0309】
第2の感放射線性樹脂組成物における[H]化合物の含有割合としては、[E]化合物100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、0.2質量部〜10質量部がより好ましい。[H]化合物の含有割合を0.1質量部〜10質量部とすることで、第2の感放射線性樹脂組成物から形成されるスペーサの硬化促進を実現することができる。併せて、第2の感放射線性樹脂組成物の保存安定性を向上し、さらに、得られたスペーサを有するカラーフィルタを備えた液晶表示素子の電圧保持率を高いレベルで保持できる。
【0310】
<その他の任意成分>
本実施形態のカラーフィルタのスペーサの形成に用いられる第2の感放射線性樹脂組成物は、上述した[E]化合物、[F]重合性化合物、[G]重合開始剤、および[H]化合物に加え、所期の効果を損なわない範囲で必要に応じて[K−1]接着助剤、[K−2]界面活性剤、[K−3]保存安定剤および[K−4]耐熱性向上剤等の任意成分を含有できる。これらの各任意成分は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。以下、順に詳述する。
【0311】
[[K−1]接着助剤]
[K−1]接着助剤は、得られるスペーサと基板との接着性をさらに向上させるために使用できる。このような[K−1]接着助剤としては、上述した着色組成物のその他の任意成分である接着助剤と同様の化合物を用いることができる。
[K−1]接着助剤の使用量としては、[E]化合物100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。[K−1]接着助剤の使用量が20質量部を超えると現像残りを生じやすくなる傾向がある。
【0312】
[[K−2]界面活性剤]
[K−2]界面活性剤は、第2の感放射線性樹脂組成物の塗膜形成性をより向上させるために使用できる。[K−2]界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他の界面活性剤が挙げられるが、上述した着色組成物のその他の任意成分である界面活性剤と同様のものを用いることができる。
[K−2]界面活性剤の使用量としては、[E]化合物100質量部に対して、1.0質量部以下が好ましく、0.8質量部以下がより好ましい。[K−2]界面活性剤の使用量が1.0質量部を超えると、膜ムラを生じやすくなる。
【0313】
[[K−3]保存安定剤]
[K−3]保存安定剤としては、上述した着色組成物のその他の任意成分である保存安定剤と同様のものを用いることができ、例えば、硫黄、キノン類、ヒドロキノン類、ポリオキシ化合物、アミン、ニトロニトロソ化合物等が挙げられ、より具体的には、4−メトキシフェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム等が挙げられる。
[K−3]保存安定剤の使用量としては、[E]化合物100質量部に対して、3.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましい。[K−3]保存安定剤の配合量が3.0質量部を超えると、第2の感放射線性樹脂組成物の感度が低下してパターン形状が劣化する場合がある。
【0314】
[[K−4]耐熱性向上剤]
[K−4]耐熱性向上剤としては、上述した着色組成物のその他の任意成分である耐熱安定剤と同様のものを用いることができる。
[K−4]耐熱性向上剤の使用量としては、[E]化合物100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。[K−4]耐熱性向上剤の配合量が50質量部を超えると、第2の感放射線性樹脂組成物の感度が低下してパターン形状が劣化する場合がある。
【0315】
<第2の感放射線性樹脂組成物の調製>
本実施形態のカラーフィルタの有するスペーサを形成する第2の感放射線性樹脂組成物は、[E]化合物、[F]重合性化合物、[G]重合開始剤および[H]化合物に加え、所期の効果を損なわない範囲で必要に応じて任意成分を所定の割合で混合することにより調製される。この第2の感放射線性樹脂組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状態で用いられる。
【0316】
第2の感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、[E]化合物、[F]重合性化合物、[G]重合開始剤、[H]化合物および任意成分を均一に溶解または分散し、各成分と反応しないものが用いられる。このような溶媒としては、上述した本実施形態のカラーフィルタの着色組成物の調製に用いられる溶媒として例示したものが挙げられる。溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
第2の感放射線性樹脂組成物の溶媒として、高沸点溶媒を併用する場合、その使用量としては、全溶媒量に対して、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。高沸点溶媒の使用量が50質量%以下の時、塗膜の膜厚均一性、感度および残膜率が良好となる。
【0317】
第2の感放射線性樹脂組成物を溶液状態として調製する場合、固形分濃度(組成物溶液中に占める溶媒以外の成分)は、使用目的や所望の膜厚の値等に応じて任意の濃度(例えば5質量%〜50質量%)に設定できる。より好ましい固形分濃度としては、基板上への塗膜の形成方法により異なるが、これについては後述する。このようにして調製された組成物溶液については、孔径0.5μm程度のミリポアフィルタ等を用いて濾過した後、使用に供することができる。
【0318】
以上の成分と調製方法による第2の感放射線性樹脂組成物は、低温硬化によりスペーサを形成することができる。具体的には、200℃以下の硬化温度で、さらには180℃以下の硬化温度であっても、良好な信頼性を有するスペーサを得ることができる。そして、低温硬化によって本実施の形態のカラーフィルタを提供することができる。
【0319】
本実施の形態のカラーフィルタは、液晶表示素子を構成する際の液晶層側の面に、上述のように、液晶配向用の配向膜を設けることが可能である。配向膜は、光配向性基を有する感放射線性重合体を含む液晶配向剤または光配向性基を有さないポリイミドを含む液晶配向剤を用いて得ることができる。その場合、200℃以下の加熱温度で配向膜を形成することが可能となる。次に、配向膜を形成する液晶配向剤について、特にその主要な成分について説明する。
【0320】
<液晶配向剤>
本実施の形態のカラーフィルタが有する配向膜を形成する液晶配向剤は、上述のよう、光配向性基を有する[L]感放射線性重合体、または光配向性基を有さない[M]ポリイミドを主要な成分として含有する。特に、本実施の形態のカラーフィルタが有する配向膜を形成する液晶配向剤は、光配向性基を有する[L]感放射線性重合体を含有することが好ましい。これらはいずれも、例えば、200℃以下など、低温の加熱温度で配向膜を形成することが可能である。また、本発明の効果を損なわない限り[N]その他の成分を含有することができる。以下、それら成分について説明する。
【0321】
[[L]感放射線性重合体]
本実施の形態のカラーフィルタの配向膜を形成する液晶配向剤に含有される[L]感放射線性重合体は、光配向性基を有する重合体である。この[L]感放射線性重合体が有する光配向性基は、光照射により膜に異方性を付与する官能基であり、本実施の形態では、特に、光異性化反応及び光二量化反応の少なくともいずれかを生じることにより膜に異方性を与える基である。
【0322】
光配向性基として具体的には、アゾベンゼン、スチルベン、α−イミノ−β−ケトエステル、スピロピラン、スピロオキサジン、桂皮酸、カルコン、スチルバゾール、ベンジリデンフタルイミジン、クマリン、ジフェニルアセリレンおよびアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物由来の構造を有する基である。上述の光配向性基としては、これらの中でも、桂皮酸由来の構造を有する基が特に好ましい。
【0323】
光配向性基を有する[L]感放射線性重合体としては、上述の光配向性基が直接または連結基を介して結合された重合体であるのが好ましい。そのような重合体としては、例えば、ポリアミック酸およびポリイミドの少なくともいずれかの重合体に上述の光配向性基が結合したもの、ポリアミック酸およびポリイミドとは別の重合体に上述の光配向性基が結合したものが挙げられる。後者の場合、光配向性基を有する重合体の基本骨格としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエーテル、ポリオレフィン、ポリオルガノシロキサン等を挙げることができる。
感放射線性重合体としては、ポリアミック酸、ポリイミドまたはポリオルガノシロキサンを基本骨格とするものが好ましい。また、これらの中でも、ポリオルガノシロキサンが特に好ましく、例えば、国際公開(WO)第2009/025386号に記載された方法により得ることができる。
【0324】
[[M]ポリイミド]
本実施の形態のカラーフィルタの配向膜を形成する液晶配向剤に含有される[M]ポリイミドは、光配向性基を有さないポリイミドである。
このような光配向性基を有さない[M]ポリイミドは、光配向性基を有さないポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。このようなポリアミック酸は、例えば、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとを反応させることにより得ることができ、特開2010−97188号公報に記載されるようにして得ることができる。
【0325】
[M]ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造が併存する部分イミド化物であってもよい。[M]ポリイミドは、そのイミド化率が30%以上であることが好ましく、50%〜99%であることがより好ましく、65%〜99%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよく、例えば、特開2010−97188号公報に記載されるようにして得ることができる。
【0326】
[[N]その他の成分]
本実施の形態のカラーフィルタの配向膜を形成する液晶配向剤は、光配向性基を有する感放射線性重合体および光配向性基を有さないポリイミド以外の[N]その他の成分を含有することができる。[N]その他の成分としては、例えば、光配向性基を有する[L]感放射線性重合体および光配向性基を有さない[M]ポリイミド以外の重合体、硬化剤、硬化触媒、硬化促進剤、エポキシ化合物、官能性シラン化合物、界面活性剤、光増感剤などを挙げることができる。
【0327】
<着色パターン、保護膜、スペーサ、カラーフィルタおよびこれらの製造方法>
本実施の形態のカラーフィルタの製造においては、上述した着色組成物から着色パターンを形成するための工程と、上述した第1の感放射線性樹脂組成物から保護膜を形成するための工程と、上述した第2の感放射線性樹脂組成物からスペーサを形成するための工程とが主要な製造工程として含まれる。以下、着色パターン、保護膜、スペーサ、カラーフィルタおよびこれらの製造方法について説明する。
【0328】
本実施の形態のカラーフィルタの製造方法は、少なくとも下記の工程[1]〜工程[11]を下記の順で含む。
[1]着色組成物の塗膜を基板上に形成する工程(以下、「[1]工程」と称することがある。)、
[2]着色組成物の塗膜に着色パターンを形成する工程(以下、「[2]工程」と称することがある。)、
[3]着色パターンが形成された塗膜を200℃以下で硬化する工程(以下、「[3]工程」と称することがある。)
[4]第1の感放射線性樹脂組成物の塗膜を[3]工程の後の基板上に形成する工程(以下、「[4]工程」と称することがある。)、
[5」その基板上の第1の感放射線性樹脂組成物の塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程(以下、「[5]工程」と称することがある。)、
[6]放射線が照射された塗膜を現像する工程(以下、「[6]工程」と称することがある。)、および
[7]現像された塗膜を200℃以下で硬化する工程(以下、「[7]工程」と称することがある。)
[8]第2の感放射線性樹脂組成物の塗膜を、[7]工程で硬化された塗膜を有する基板上に形成する工程(以下、「[8]工程」と称することがある。)、
[9][8]工程で形成された第2の感放射線性樹脂組成物の塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程(以下、「[9]工程」と称することがある。)、
[10]放射線が照射された塗膜を現像する工程(以下、「[10]工程」と称することがある。)、および
[11]現像された塗膜を200℃以下で硬化してスペーサを形成する工程(以下、「[11]工程」と称することがある。)
【0329】
そして、本実施形態のカラーフィルタが液晶配向用の配向膜を有する場合、[11]工程の後に、[12]配向膜を形成する工程(以下、「[12]工程」と称することがある。)を設けることができる。
【0330】
以上の本実施形態のカラーフィルタの製造方法により、上述した着色組成物を用いて基板上に着色パターンを形成し、上述した第1の感放射線性樹脂組成物を用いて保護膜を形成し、上述した第2の感放射線性樹脂組成物を用いてスペーサを形成することができる。そして、本実施の形態のカラーフィルタが配向膜を有する場合、上述した液晶配向剤を用いて配向膜を形成することができる。その結果、耐熱性、耐薬品性、電圧保持率等が良好なカラーフィルタを形成することができる。その場合、低温硬化を実現することができ、上記[3]工程、上記[7]工程および上記[11]工程においては、それぞれ200℃以下の温度で硬化が可能となる。従って、上述の着色組成物には着色剤として耐熱性に課題がある染料を使用することができる。そのため、色特性に優れたカラーフィルタを製造することができる。さらに、上記[12]工程においても200℃以下の加熱温度で配向膜の形成を行うことが可能である。そして、このようにして製造されるカラーフィルタは、省エネルギーの観点から低温硬化が望まれる場合においても好適なカラーフィルタとなる。以下、各工程について詳述する。
【0331】
[[1]工程]
本工程では上述の着色組成物の塗膜を基板上に形成する。
基板の表面上に、必要に応じて画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の[IV]着色剤を含有する着色組成物を塗布した後、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。基板上に着色パターンを形成する他の方法としては、特開平7−318723号公報および特開2000−310706号公報等に開示されているインクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用できる。この方法はまず基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、赤色の着色剤を含有する着色組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光し赤色の画素パターンを形成する。なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記のブラックマトリックスに比べ膜厚が厚い。
【0332】
基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラスや無アルカリガラス等のガラス、シリコン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等が挙げられる。また、これらの基板には、所望によりシランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0333】
着色組成物を基板に塗布する方法としては、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。これらのうち、スピンコート法、スリットダイ塗布法が好ましい。
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥としては、通常50Pa〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件としては、通常70℃〜110℃で1分間〜10分間程度である。
乾燥後の膜厚としては、通常0.6μm〜8.0μm、好ましくは1.2μm〜5.0μmである。
【0334】
[[2]工程]
[2]工程では、[1]工程で形成した塗膜にフォトマスクを介して露光をし、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去することにより赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイが形成され、着色パターンを得ることができる。
【0335】
次いで、緑色または青色の各着色組成物を用い、上述の[1]工程および[2]工程を繰り返し緑色の画素アレイおよび青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色および青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本実施形態においては、各色の画素を形成する順序および色数は、上記のものに限定されない。
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィ法を利用して所望のパターンとすることにより形成できるが、黒色の着色剤を含有する着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成できる。
【0336】
放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザ、YAGレーザ、XeClエキシマーレーザ、窒素レーザ等のレーザ光源等が挙げられる。波長が190nm〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。放射線の露光量は、10J/m
2〜10,000J/m
2が好ましい。
【0337】
アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネンが好ましい。
アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤等を適量添加できる。尚、アルカリ現像後は通常、水洗する。現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用できる。現像条件としては、常温で5秒間〜300秒間が好ましい。
【0338】
[[3]工程]
[2]工程で着色パターンを形成した後、硬化(ポストベークとも言う)を行うことにより、着色パターンを硬化させることができ、着色パターンの形成を完了することができる。ポストベークの加熱条件としては200℃以下である。ポストベークの加熱時間としては、10分間〜60分間である。本実施の形態ではポストベーク温度が低温であっても、耐溶媒性等の良好な着色パターンを得ることができる。具体的には、ポストベーク温度が200℃以下であっても、さらには180℃以下であっても、十分な耐溶媒性等を有するカラーフィルタが得られる。画素の膜厚としては、通常0.5μm〜5.0μmであり、1.0μm〜3.0μmが好ましい。なお、実際に商業上要求されるレベルまで硬度等を高めるためには通常120℃を超える温度での硬化工程が必要とされる。そして、180℃以下の範囲内で、より高い温度での硬化が好ましい。
【0339】
[[4]工程]
[3]工程で着色パターンを形成した後、その着色パターンの形成された基板の上の、着色パターンの上に第1の感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する。
塗布法により塗膜を形成する場合、着色パターンの形成された基板の上に第1の感放射線性樹脂組成物の溶液を塗布した後、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより、塗膜を形成することができる。塗布法に用いる組成物溶液の固形分濃度としては、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましく、15質量%〜35質量%が特に好ましい。第1の感放射線性樹脂組成物溶液の塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリット塗布法(スリットダイ塗布法)、バー塗布法、インクジェット塗布法等の適宜の方法が採用できる。これらのうち、スピンコート法またはスリット塗布法が好ましい。
【0340】
上記プレベークの条件としては、各成分の種類、配合割合等によって異なるが、70℃〜120℃が好ましく、1分間〜15分間程度である。塗膜のプレベーク後の膜厚は、0.5μm〜10μmが好ましく、1.0μm〜7.0μm程度がより好ましい。
【0341】
[[5]工程]
次いで、形成された塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、塗膜の一部にのみ照射する際には、例えば、所定のパターンを有するフォトマスクを介して照射する方法によることができる。
照射に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線等が挙げられる。このうち波長が250nm〜550nmの範囲にある放射線が好ましく、365nmの紫外線を含む放射線がより好ましい。
【0342】
放射線照射量(露光量)は、照射される放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OAI model 356、Optical Associates Inc.製)により測定した値として、100J/m
2〜5,000J/m
2が好ましく、200J/m
2〜3,000J/m
2がより好ましい。
本実施形態のカラーフィルタの保護膜形成に用いられる第1の感放射線性樹脂組成物は、従来知られている保護膜形成の組成物と比較して放射線感度が高い。したがって、上記放射線照射量が700J/m
2以下、さらには600J/m
2以下であっても所望の膜厚、良好な形状、優れた密着性および高い硬度の保護膜を得ることができる利点を有する。
【0343】
[[6]工程]
次に、放射線照射後の塗膜を現像することにより、不要な部分を除去して、所定のパターンを形成する。
現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等のアルカリ性化合物の水溶液が使用できる。上記アルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を適当量添加して使用することもできる。さらに、界面活性剤をそれのみで、または、上述の水溶性有機溶媒を添加とともに、適当量添加して使用することもできる。
【0344】
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、シャワー法等のいずれでもよく、現像時間は、常温で10秒間〜180秒間程度が好ましい。現像処理に続いて、例えば、流水洗浄を30秒間〜90秒間行った後、圧縮空気や圧縮窒素で風乾することによって所望のパターンが得られる。
【0345】
[[7]工程]
次いで、得られたパターン状塗膜を、ホットプレート、オーブン等の適当な加熱装置により硬化(ポストベークとも言う)することによって、硬化膜として保護膜が得られる。硬化温度としては、200℃以下が好ましい。そして、180℃以下であっても十分な特性の保護膜が得られる。具体的には、100℃〜200℃が好ましく、低温硬化と信頼性能を高いレベルで両立させようとする場合、150℃〜180℃がより好ましい。硬化時間としては、例えば、ホットプレート上では5分間〜30分間、オーブン中では30分間〜180分間が好ましい。第1の感放射線性樹脂組成物は、上述のように[D]化合物を含有するため、このように低い低温硬化を実現することができる。併せて、保存安定性を実現するとともに、充分な解像度および放射線感度を有する。
【0346】
従って、第1の感放射線性樹脂組成物は、保護膜を形成する場合において、低温硬化が望ましい染料を使用する着色パターンと組み合わせて用いられる保護膜の形成材料として好適に用いられる。
【0347】
本実施の形態のカラーフィルタの製造においては、保護膜を形成する[7]工程の後、その保護膜の上にITO電極を形成する工程を有する。ITO電極を形成する方法は、スパッタ法を用いてITO膜を成膜して行うことができる。パターニングされたITO電極が必要な場合は、成膜されたITO膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして形成することができる。
【0348】
[[8]工程]
[7]工程で保護膜を形成し、その後、その保護膜上にITO電極を形成した後、その保護膜の形成された基板の上であって、ITO電極の上に第2の感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する。
【0349】
塗布法により塗膜を形成する場合、着色パターン等の形成された基板の上に第2の感放射線性樹脂組成物の溶液を塗布した後、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより、塗膜を形成することができる。塗布法に用いる組成物溶液の固形分濃度としては、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましく、15質量%〜35質量%が特に好ましい。第2の感放射線性樹脂組成物溶液の塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリット塗布法(スリットダイ塗布法)、バー塗布法、インクジェット塗布法等の適宜の方法が採用できる。これらのうち、スピンコート法またはスリット塗布法が好ましい。
【0350】
上述のプレベークの条件としては、各成分の種類、配合割合等によって異なるが、70℃〜120℃が好ましく、1分間〜15分間程度である。塗膜のプレベーク後の膜厚は、0.5μm〜10μmが好ましく、1.0μm〜7.0μm程度がより好ましい。
【0351】
[[9]工程]
次いで、[8]工程で形成された塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、所望の位置にスペーサを形成するため、塗膜の一部に放射線を照射するが、例えば、所定のパターンを有するフォトマスクを介して照射する方法によることができる。
照射に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線等が挙げられる。このうち波長が250nm〜550nmの範囲にある放射線が好ましく、365nmの紫外線を含む放射線がより好ましい。
【0352】
放射線照射量(露光量)は、照射される放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OAI model 356、Optical Associates Inc.製)により測定した値として、100J/m
2〜5,000J/m
2が好ましく、200J/m
2〜3,000J/m
2がより好ましい。
本実施形態のカラーフィルタのスペーサ形成に用いられる第2の感放射線性樹脂組成物は、従来知られているスペーサ形成の組成物と比較して放射線感度が高い。したがって、上記放射線照射量が700J/m
2以下、さらには600J/m
2以下であっても所望の膜厚、良好な形状、優れた密着性および高い硬度の硬化膜としてスペーサを得ることができる利点を有する。
【0353】
[[10]工程]
次に、放射線照射後の塗膜を現像することにより、不要な部分を除去して、所定のスペーサのパターンを形成する。
現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等のアルカリ性化合物の水溶液が使用できる。上記アルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を適当量添加して使用することもできる。さらに、界面活性剤をそれのみで、または、上述の水溶性有機溶媒を添加とともに、適当量添加して使用することもできる。
【0354】
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、シャワー法等のいずれでもよく、現像時間は、常温で10秒間〜180秒間程度が好ましい。現像処理に続いて、例えば、流水洗浄を30秒間〜90秒間行った後、圧縮空気や圧縮窒素で風乾することによって所望のスペーサのパターンが得られる。
【0355】
[[11]工程]
次いで、得られたパターン状塗膜を、ホットプレート、オーブン等の適当な加熱装置により硬化(ポストベークとも言う)することによって、硬化膜としてスペーサが得られる。硬化温度としては、200℃以下が好ましい。そして、180℃以下であっても十分な特性のスペーサが得られる。具体的には、100℃〜200℃が好ましく、低温硬化と信頼性能を高いレベルで両立させようとする場合、150℃〜180℃がより好ましい。硬化時間としては、例えば、ホットプレート上では5分間〜30分間、オーブン中では30分間〜180分間が好ましい。第2の感放射線性樹脂組成物は、上述のように[H]化合物を含有するため、このように低い低温硬化を実現することができる。併せて、保存安定性を実現するとともに、充分な解像度および放射線感度を有する。
【0356】
従って、感放射線性樹脂組成物は、低温硬化が望ましい染料を用いた着色パターンと組み合わせて使用するスペーサの形成材料として好適に用いられる。
以上の製造方法に従い、着色パターン、保護膜およびスペーサを製造し、本実施の形態のカラーフィルタを製造することが可能である。上述のように、本実施の形態のカラーフィルタの着色パターンは、着色組成物を適当な基板上に塗布・パターニングした後、硬化して形成される。保護膜も同様に第1の感放射線性樹脂組成物を塗布・パターニングした後、硬化して形成される。スペーサも同様に第2の感放射線性樹脂組成物を塗布・パターニングした後、硬化して形成される。そして、着色組成物、第1の感放射線性樹脂組成物および第2の感放射線性樹脂組成物はいずれも、上述したように、同系の材料を用いた感放射線性の樹脂組成物とすることができる。そして、それらはそれぞれ、200℃以下の低温硬化により、着色パターンや保護膜やスペーサを形成できる。
【0357】
したがって、本実施の形態のカラーフィルタでは、200℃以下の低温硬化により、着色パターンと保護膜とスペーサとをそれぞれ形成できる。本実施の形態のカラーフィルタは、低温硬化による製造が可能である。
また、本実施の形態のカラーフィルタでは、着色パターンを形成した後に保護膜を形成する。保護膜が200℃以下の低温硬化により形成できるため、着色パターンは形成の後に、保護膜形成のための高温加熱の状態に晒されることがない。同様に、本実施の形態のカラーフィルタでは、着色パターンを形成した後にスペーサを形成する。スペーサが200℃以下の低温硬化により形成できるため、着色パターンは形成の後に、スペーサ形成のための高温加熱の状態に晒されることがない。したがって、色特性に優れるものの耐熱性に課題を有する染料を着色剤として使用しても、工程劣化を低減することが可能となる。
【0358】
さらに、上述のように、着色組成物と第1の感放射線性樹脂組成物と第2の感放射線性樹脂組成物は、いずれも同系の材料を用いた感放射線性の樹脂組成物とすることが可能である。したがって、本実施の形態のカラーフィルタの製造時の着色パターンの形成時において、その後の保護膜形成やスペーサ形成を考慮して硬化温度を調整することが可能である。すなわち、基板上、着色パターンを単独で形成するのに最適な硬化温度に比べ、低い硬化温度によって着色パターンを形成する。その後、着色パターン上に形成される保護膜の硬化加熱やスペーサの硬化加熱により、着色パターンに対しても加熱をすることが可能である。
【0359】
例えば、着色パターンと保護膜とスペーサの最適な硬化温度がそれぞれ200℃以下、具体的には180℃であった場合、着色パターンを、例えば、150℃の硬化温度で形成しておくことができる。次いで、その着色パターンの上に第1の感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成し、最適な180℃で硬化することにより、保護膜を形成する。その結果、その下層に形成されている着色パターンにも加熱がなされ、所望の状態の着色パターンと保護膜を備えた本実施の形態のカラーフィルタを得ることが可能となる。また、例えば、着色パターンと保護膜を150℃の硬化温度で形成しておき、その後に第2の感放射線性樹脂組成物の塗膜から、最適な180℃の硬化温度でスペーサを形成することが可能である。その結果、その前に形成されていた着色パターンと保護膜にも加熱がなされ、所望の状態の着色パターンと保護膜とスペーサとを備えた本実施の形態のカラーフィルタを得ることが可能となる。
【0360】
[[12]工程]
次に、本実施の形態のカラーフィルタの製造法では、上述したように、[11]工程の後に[12]配向膜を形成する工程を設けることが可能である。そうして、カラーフィルタにおいて液晶配向能を備えた配向膜を設けることが可能である。
【0361】
[12]工程では、上述した液晶配向剤を用いる。そして、上述した[1]工程〜[11]工程により着色パターンと保護膜とスペーサの形成された基板の上に、上述した液晶配向剤を、例えば、ロールコーター法、スピンナ法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法により塗布する。次いで、液晶配向剤の塗布された基板をプレベークし、その後、ポストベークすることにより塗膜を形成する。プレベーク条件としては、例えば、40℃〜120℃で0.1分間〜5分間である。ポストベーク条件としては、好ましくは120℃〜230℃、より好ましくは150℃〜200℃、さらに好ましくは150℃〜180℃で、好ましくは5分間〜200分間、より好ましくは10分間〜100分間である。ポストベーク後の塗膜の膜厚は、好ましくは0.001μm〜1μmであり、より好ましくは0.005μm〜0.5μmである。
【0362】
基板上に液晶配向剤を塗布する際に使用される液晶配向剤の固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1重量%〜10重量%の範囲である。
【0363】
光配向性基を有する[L]感放射線性重合体を含む液晶配向剤を用いる場合は、上述の塗膜に直線偏光もしくは部分偏光された放射線、または非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する。こうした処理は、ラビング処理など従来の配向処理の方法に対応するものであり、より簡便に行うことができる。ここで、放射線としては、例えば、150nm〜800nmの波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができる。特に、放射線としては、300nm〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。使用する放射線が直線偏光または部分偏光している場合には、照射は基板面に垂直の方向から行っても、プレチルト角を付与するために斜め方向から行ってもよく、また、これらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向である必要がある。
放射線の照射量としては、好ましくは1J/m
2以上10,000J/m
2未満であり、より好ましくは10J/m
2〜3,000J/m
2である。
【0364】
光配向性基を有さない[M]ポリイミドを含む液晶配向剤を用いる場合は、ポストベーク後の塗膜をそのまま配向膜として使用することができる。そして、必要に応じてポストベーク後の塗膜に対し、例えば、ナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦る処理(ラビング処理)を施して、液晶配向能を付与することも可能である。
以上のように、本実施の形態のカラーフィルタ製造方法では、上述した液晶配向剤を使用し、200℃以下の加熱温度、さらに、180℃以下の加熱温度で配向膜を形成することが可能である。したがって、上述した[1]工程〜[3]工程で形成された、カラーフィルタの着色パターンが、配向膜を形成する[12]工程で高温の状態に晒されることを避けることができる。
【実施例】
【0365】
以下、実施例に基づき本発明の実施形態を詳述するが、この実施例によって本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0366】
<着色パターンの形成と評価>
実施例1
[[I]アルカリ可溶性樹脂(IA)の合成]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル220質量部を仕込んだ。引き続き、(I−1)化合物としてメタクリル酸18質量部、(I−2)化合物としてメタクリル酸2−メチルグリシジル14質量部およびメタクリル酸グリシジル20質量部、(I−4)化合物としてスチレン10質量部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル23質量部およびメタクリル酸メチル15質量部を仕込み、窒素置換したのち、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体であるアルカリ可溶性樹脂(IA)を含有する溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は31.5%であり、共重合体であるアルカリ可溶性樹脂(IA)のMwは、10,100であった。
【0367】
実施例2
[[I]アルカリ可溶性樹脂(IB)の合成]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、AIBN4質量部およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル300質量部を仕込み、引き続き(I−1)化合物としてメタクリル酸23質量部、(I−4)化合物としてスチレン10質量部、メタクリル酸ベンジル32質量部およびメタクリル酸メチル35質量部を仕込み、さらにα−メチルスチレンダイマー2.7質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇し、この温度を4時間保持した後、100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより共重合体を含有する溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は24.9%、Mwは12,500であった。次いで、得られた共重合体を含む溶液に、テトラブチルアンモニウムブロミド1.1質量部、重合禁止剤として4−メトキシフェノール0.05質量部を加え、空気雰囲気下90℃で30分間攪拌後、(I−2)化合物としてメタクリル酸グリシジル16質量部を入れて90℃のまま10時間反応させることにより、共重合体であるアルカリ可溶性樹脂(IB)を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は29.0%であり、Mwは、14,200であった。
【0368】
実施例3
[着色組成物の調製]
実施例1で得られた共重合体であるアルカリ可溶性樹脂(IA)90質量部に対し、[II]重合性化合物としてエチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(II−1)と多官能アクリレート化合物の混合物(KAYARAD(登録商標) DPHA−40H、日本化薬社)(II−2)との混合物(混合比率((II−1)/(II−2))=4)を100質量部、[III]重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)(III−1)を25質量部、[IV]着色剤として赤色染料からなる赤色着色剤(IV−1)を100質量部、[V]化合物としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(V−1)と3−アミノベンゼンスルホン酸エチル(V−2)との混合物(混合比率((V−1)/(V−2)=5)を6質量部、別のアルカリ可溶性樹脂として実施例2で得られたアルカリ可溶性樹脂(IB)を10質量部混合した。次いで、溶媒としてシクロヘキサノンを用い、着色組成物の固形分濃度が30質量%となるように溶媒を加えた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタでろ過することにより、赤色着色組成物を調製した。
【0369】
[IV]着色剤として緑色染料からなる緑色着色剤(IV−2)を用いた以外は上記と同様にして、緑色着色組成物を調製した。また、[IV]着色剤として青色染料からなる青色着色剤(IV−3)を用いた以外は上記と同様にして、青色着色組成物を調製した。
【0370】
実施例4
[着色パターンの形成]
表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が形成されたソーダガラス基板上に、実施例3で得られた赤色着色組成物を、スピンコータを用いて塗布した。次いで、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、プレベーク後の膜厚が2.5μmの塗膜を形成した。これらの基板を室温に冷却した後、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nmおよび436nmの各波長を含む放射線を1,000(J/m
2)の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して現像液(23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液)を現像圧1(kgf/cm
2)(ノズル径1mm)で吐出することにより、シャワー現像を行い基板上に200μm×200μmの着色パターンを形成した。さらに180℃で30分間ポストベークを行って赤色の着色パターンを形成した。
【0371】
着色組成物として実施例3で得られた緑色着色組成物を用いた以外は上記と同様にして、緑色の着色パターンを形成した。また、着色組成物として実施例3で得られた青色着色組成物を用いた以外は上記と同様にして、青色の着色パターンを形成した。
【0372】
実施例5
[着色パターンの評価]
製造した着色パターンについて下記の評価を行った。
【0373】
現像耐性の評価
上記各色の着色パターンの形成において、下記式
現像前後の膜厚比=(現像後の膜厚/現像前の膜厚)×100
の値を算出した。上記各色の着色パターンはいずれも現像前後の膜厚比が95%以上であり、良好な現像耐性を有することがわかった。
【0374】
耐熱性の評価
上記各色の着色パターンについて、さらに180℃で30分間追加加熱した。そして、追加加熱前後の色変化ΔEab
*を求めた。上記各色の着色パターンはいずれもΔEab
*が3未満であり、良好な耐熱性を有することがわかった。
【0375】
耐溶媒性の評価
上記、着色パターンについて、基板とともに、60℃のN−メチルピロリドンに30分間浸漬した。その後、基板上の各色の着色パターンを観察したところ、いずれも、浸漬後に着色パターンが保持されており、かつ浸漬後のN−メチルピロリドンが全く着色していないことが確認された。上記いずれの着色パターンも耐溶媒性が良好であることがわかった。
【0376】
<保護膜の形成と評価>
実施例6
[[A]化合物の合成]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7質量部およびジエチレングリコールエチルメチルエーテル200質量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸16質量部、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルメタクリレート16質量部、メチルメタクリレート38質量部、スチレン10質量部、メタクリル酸グリシジル20質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を4時間保持して重合することにより、共重合体(A−1)を含有する溶液を得た(固形分濃度=34.4質量%、Mw=8,000、Mw/Mn=2.3)。なお、固形分濃度は共重合体溶液の全質量に占める共重合体質量の割合を意味する。
【0377】
実施例7
[感放射線性樹脂組成物の調製]
[A]化合物である実施例6で得られた共重合体(A−1)100質量部に対し、[B]重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(B−1)を100質量部、[C]重合開始剤としてエタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)(C−1)を5質量部、および[D]化合物として4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(D−1)を混合し、さらに[J−1]接着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5質量部、[J−2]界面活性剤(FTX−218、ネオス社)0.5質量部、[J−3]保存安定剤として4−メトキシフェノール0.5質量部を混合し、固形分濃度が30質量%となるように、それぞれプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタでろ過することにより、感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0378】
実施例8
[保護膜の形成]
無アルカリガラス基板上に、実施例7で調製した感放射線性樹脂組成物溶液をスピンナにより塗布した後、100℃のホットプレート上で2分間プレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて露光量700J/m
2として放射線照射を行った。次いで、オーブン中で180℃の硬化温度および30分間の硬化時間でポストベークすることにより保護膜を形成した。
【0379】
実施例9
[保護膜の評価]
保存安定性の評価
調製直後の実施例7の感放射線性樹脂組成物溶液から、実施例8の形成方法により保護膜を形成し、膜厚を測定した(下記式において、「調製直後の膜厚」と称する)。また、実施例7の形成方法により調製した後、5日間25℃で感放射線性樹脂組成物溶液を保存し、5日後に同様に形成した保護膜の膜厚を測定した(下記式において、「5日後の膜厚」と称する)。膜厚増加率(%)を下記式から算出した。
膜厚増加率(%)=(5日後の膜厚−調製直後の膜厚)/(調製直後の膜厚)×100
膜厚増加率が3%以下であり、保存安定性は良好と判断した。
【0380】
耐光性の評価
実施例8の形成方法による保護膜ついて、さらに、UV照射装置(UVX−02516S1JS01、ウシオ社)にて130mWの照度で800,000J/m
2照射して、膜減り量を調べた。膜減り量は2%以下であり、耐光性は良好と判断した。
【0381】
耐熱性の評価
実施例8の形成方法による保護膜について、さらにオーブン中、230℃で20分加熱し、この加熱前後での膜厚を触針式膜厚測定機(アルファステップIQ、KLAテンコール社)で測定した。そして、残膜率(処理後膜厚/処理前膜厚×100)を算出し、この残膜率を耐熱性とした。残膜率は99%であり、耐熱性は良好と判断した。
【0382】
耐薬品性の評価
実施例8の形成方法による保護膜について、60℃に加温した配向膜剥離液ケミクリーン(登録商標)TS−204(三洋化成工業社)中に15分浸漬し、水洗後、さらにオーブン中、120℃で15分乾燥させた。この処理前後の膜厚を触針式膜厚測定機(アルファステップ社IQ、KLAテンコール社)で測定し、残膜率(処理後膜厚/処理前膜厚×100)を算出し、この残膜率を耐薬品性とした。残膜率は99%であり、耐薬品性は良好と判断した。
【0383】
<スペーサの形成と評価>
実施例10
[スペーサの形成]
スペーサの形成の例として、基板上にスペーサのみを形成する例を説明する。スペーサを形成するための感放射線性樹脂組成物には、実施例7で調製した、保護膜の形成に使用した感放射線性樹脂組成物を用いた。
無アルカリガラス基板上に、実施例7で調製した感放射線性樹脂組成物溶液を、スピンコータを用いて塗布した。次いで、100℃のホットプレート上で2分間プレベークすることにより膜厚6.0μmの塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて露光量700J/m
2として放射線照射を行った。その後、この基板に対して現像液(23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液)を現像圧1(kgf/cm
2)(ノズル径1mm)で吐出することにより、シャワー現像を行い基板上にスペーサのパターンを形成した。次いで、オーブン中で180℃の硬化温度および30分間の硬化時間でポストベークすることにより、基板上にスペーサを形成した。そして、所望の位置と形状(解像度)で基板上にスペーサが形成されていることを確認した。
【0384】
実施例11
[スペーサの評価]
実施例10で得られたスペーサについて、断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察した。形成されたスペーサは、いずれも、パターンエッジが順テーパであり、良好であった。
次に、実施例10において基板上形成されたスペーサの上に、液晶配向膜としてAL3046(ジェイエスアール(株)製)を液晶配向膜塗布用印刷機により塗布し、180℃で1時間乾燥し、乾燥膜厚0.05μmの配向膜の塗膜を形成した。この塗膜に、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシンにより、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒の条件でラビング処理を行った。このとき、スペーサにおいては、削れや剥がれは生じなかった。
【0385】
<カラーフィルタの製造>
実施例12
実施例3で説明した各色の着色組成物(赤色着色組成物、緑色着色組成物および青色着色組成物)を使用し、カラーフィルタを製造した。先ず、赤色着色組成物をブラックマトリックスパターンが形成されたガラス基板に、スリットダイコーターにより塗布し、ホットプレート上で90℃、2分間プレベークして塗膜を形成した。その後、所定のパターンマスクを介して、露光機Canon PLA501F(キャノン社)を用いてghi線(波長436nm、405nm、365nmの強度比=2.7:2.5:4.8)をi線換算で1,000J/m
2の露光量で照射し、0.05%水酸化カリウム水溶液を用いて現像し、超純水にて60秒間リンスした後、さらにオーブン中で180℃にて30分間加熱処理して、膜厚が2.0μmの赤色のストライプ状パターン(パターン幅100μm)を形成した。
【0386】
次いで、同様に操作して、緑色着色組成物を用いて緑色のストライプ状パターンを形成した。さらに、青色着色組成物を用いて青色のストライプ状パターンを形成し、赤、緑、および青の3色のストライプ状カラーフィルタ(ストライプ幅100μm)を形成した。上記の形成したポストベーク温度180℃、30分の条件で形成した赤色、緑色、青色の3色の着色パターンは、硬化不十分によるパターンの欠け、基板との剥がれ等の問題が発生せず、3色のストライプ状パターンを形成できた。
【0387】
次に、得られた3色のストライプ状パターンの上に、実施例7で説明した感放射線性樹脂組成物をスリットダイコーターで塗布した。次いで、ホットプレート上で90℃、5分間プレベークして塗膜を形成し、さらにオーブン中で180℃にて60分間加熱処理し、3色のストライプ状パターンの上面からの膜厚が2.0μmの保護膜を形成した。以上のようにして、着色パターン上に保護膜の形成されたカラーフィルタを製造した。
【0388】
得られた着色パターン上に保護膜が形成された基板について、接触式膜厚測定装置α−ステップ(テンコールジャパン社)にて保護膜の表面の凹凸(平坦性)を測定した(測定長2,000μm、測定範囲2,000μm角、測定点数n=5)。すなわち、測定方向を赤、緑、青方向のストライプライン短軸方向および赤・赤、緑・緑、青・青の同一色のストライプライン長軸方向の2方向とし、各方向につきn=5で測定した(合計のn数は10)。測定ごとの最高部と最低部との高低差(nm)の10回の平均値を求めた。この時の平均値は220nmであった。保護膜形成後も着色パターンが収縮、膨張することなく、保護膜の表面の凹凸はなく、良好な平坦性を示した。
【0389】
次に、得られた着色パターン上に保護膜が形成された基板について、保護膜の上に、スパッタ法を用いてITO膜を成膜し、ITO電極を形成した。
【0390】
次に、実施例7で調製した感放射線性樹脂組成物をITO電極上にスリットダイコーターで塗布した。次いで、100℃のホットプレート上で2分間プレベークすることにより膜厚6.0μmの塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて露光量700J/m
2として放射線照射を行った。その後、この基板に対して現像液(23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液)を現像圧1(kgf/cm
2)(ノズル径1mm)で吐出することにより、シャワー現像を行い基板上にスペーサのパターンを形成した。次いで、オーブン中で180℃の硬化温度および30分間の硬化時間でポストベークを行った。こうして、ITO電極の上にスペーサを形成した。スペーサは、ITO電極の上の、ブラックマトリクスの形成領域に対応する領域内に形成されている。
以上のようにして、本実施例のカラーフィルタを製造した。製造された本実施例のカラーフィルタは優れた色特性を有していた。
【0391】
実施例13
[光配向膜を有するカラーフィルタの製造]
本実施例においては、実施例12で得られたカラーフィルタを用い、光配向性基を有する感放射線性重合体を含む液晶配向剤を用いて光配向膜を形成する。
はじめに、実施例12のカラーフィルタのスペーサの形成された基板上に、光配向性基を有する感放射線性重合体を含む液晶配向剤として、国際公開(WO)2009/025386号の実施例6に記載の液晶配向剤A−1をスピンナにより塗布する。次いで、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、内部を窒素置換したオーブン中、180℃で1時間加熱して膜厚80nmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜表面に、Hg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線200J/m
2を、基板表面に垂直な方向に対して40°傾いた方向から照射し、光配向膜を有するカラーフィルタを製造した。
【0392】
実施例14
[垂直配向膜を有するカラーフィルタの製造]
本実施例においては、実施例12で得られたカラーフィルタを用い、光配向性基を有さないポリイミドを含む液晶配向剤を用いて垂直配向膜を形成する。
はじめに、実施例12のカラーフィルタのスペーサの形成された基板上に、光配向性基を有さないポリイミドを含む液晶配向剤として、垂直配向膜形成用のAL60101(ジェイエスアール(株)製)をスピンナにより塗布した。次いで、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、内部を窒素置換したオーブン中、180℃で1時間加熱して膜厚80nmの塗膜を形成し、垂直配向膜を有するカラーフィルタを製造した。
【0393】
<カラーフィルタの液晶表示素子への適用>
実施例15
[カラー液晶表示素子の製造]
実施例13で得られた、光配向膜を有するカラーフィルタを用い、液晶表示素子を製造した。製造されたカラー液晶表示素子は、上述した
図2に示すカラー液晶表示素子と同様の構造を有する。本実施例のカラー液晶表示素子は、液晶を挟持する基板間ギャップの高い均一性を示した。そして、優れた電気特性と表示特性と信頼性能を示した。