(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5786477
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】光度計
(51)【国際特許分類】
G02B 7/198 20060101AFI20150910BHJP
G01J 3/02 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
G02B7/198
G01J3/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-133319(P2011-133319)
(22)【出願日】2011年6月15日
(65)【公開番号】特開2013-3303(P2013-3303A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2013年9月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098671
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 俊文
(74)【代理人】
【識別番号】100102037
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 裕之
(72)【発明者】
【氏名】篠山 智生
【審査官】
井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−181918(JP,U)
【文献】
特開平04−003006(JP,A)
【文献】
特開2000−321136(JP,A)
【文献】
特開平09−005693(JP,A)
【文献】
実開平03−119808(JP,U)
【文献】
特開2001−343286(JP,A)
【文献】
実開平02−111111(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18 − 7/24
G01J 3/00 − 4/04
G01J 7/00 − 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を保持する台座を備え、
前記光学素子はホルダを介して垂直な姿勢で前記台座に保持されており、前記ホルダは前記光学素子の光軸方向に沿って配置された2本の調整ビスによって取り付けられ、前記2本の調整ビスを進退させることにより前記ホルダを変位させて前記光学素子の仰角を調整し、
前記台座はピンに並びに取付ネジによりベースに対してピンを支点として回動調整可能に取り付けられ、
さらに、前記台座の額縁近傍位置で当該台座の移動調整を許容する間隔をあけて前記ベースから突出する突起部が設けられ、
前記台座と前記突起部との間に回動工具の先端を差し込んで回動することにより、前記台座に前記ピンを中心とする回転モーメントを与えて前記光学素子のヨー方向の回動調整を行うようにした光度計。
【請求項2】
前記台座が前記光学素子の光軸方向に移動調整可能に形成され、前記台座の光軸方向と交差する2つの端面の近傍位置に前記台座の移動を許容する間隔をあけてベースから突出する突起部が設けられており、前記台座と前記突起部との間に回転工具の先端を差し込んで回動することにより、前記台座に前記光軸方向の直線変位を与えて前記光学素子のフォーカス方向の調整を行うようにした請求項1に記載の光度計。
【請求項3】
光学素子を保持する台座に備え、
前記台座はピン並びに取付ネジによりベースに対してピンを支点として回動調整可能に取り付けられ、
さらに、前記台座に略四角形の開口部が形成され、当該開口部の中心に前記台座の移動調整を許容する間隔をあけて前記ベースから突出する突起部が形成されており、前記突起部と前記開口部の四方に形成される端面との間の選択された箇所に回動工具の先端を差し込んで回動することにより、前記台座に前記ピンを中心とする回転モーメントを与えて前記ミラーのヨー方向の回動調整を行うとともに、前記回動工具の差し込み箇所を選択することにより前記台座に前記ミラーの光軸方向に沿った直線変位を与えてフォーカス方向の調整を行うようにした光度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラー等の光学素子が、ベース上に光軸調整を行うことによって取り付けられる光度計に関する。本発明は、例えば分光器を備えた分光光度計等に関する。
【背景技術】
【0002】
分光光度計は、測定光をサンプルに照射し、その透過光や反射光を光検出器にて測定することにより分光スペクトルを求めてサンプルの定量もしくは定性分析を行う装置である。例えば、特許文献1や特許文献2で開示されているようなツェルニターナ型分光器を用いた光度計が知られている。
【0003】
図9に、一般的なツェルニターナ型分光器の光路構成を示す。光源から入口スリット21を通過して分光器内部に導入された光は、第1ミラー22で平行光束となって反射されて平面回折格子(分光素子)23に送られる。平面回折格子23により波長分散された光は平行を保ったまま第2ミラー24で反射されて集光され、出口スリット25に送られる。出口スリット25を通過した特定の波長を有する光は、後段の試料室(不図示)で試料を透過した後、光検出器(不図示)で検出される。平面回折格子23は反射角度が変えられるように回動可能に形成されており、平面回折格子23を回動させることにより出口スリット25の開口位置に達する光の波長が変わり、所望の波長の単色光を取り出すことができる。
【0004】
良好な波長分解性能を得るには、出口スリット面上に入口スリット開口部での像が鮮明に合焦した状態で結像されていなければならない。このような状態を得るためには、第1ミラー22や第2ミラー24の光軸に対する鏡面角度を調整したり、或いはその位置を光軸方向に移動させたりするなどしてピント調整作業を行う必要がある。
【0005】
そこで従来は、ミラーなどの光学素子を保持するホルダを、
図10、
図11の平面図並びにA−A線断面図に示すような構成として、ピント調整を行うようにしている。即ち、第1ミラー22や第2ミラー24を垂直姿勢で保持するL字形のホルダ26が平らな台座27に前後2本の調整ビス28を介して取り付けられており、この2本の調整ビス28を押し込んだり、緩めたりすることによりミラーの仰角(ピッチ角ともいう)を調整するようになっている。好ましくはホルダ26の下面に形成した突起39を支点としてホルダ26をシーソーのように変位しやすくさせてミラーの仰角を調整するようになっている。また、台座27はその下面に形成したピン29がベース30に形成した孔31に回動可能に挿入され、かつ、取付ビス32を介してベース30に固定されている。取付ビス32が挿入される台座27のビス受孔33はビスの外径より大きく形成されていて、取付ビス32との間に調整用の隙間が生じるように形成されている。
従ってこの隙間の分だけ台座27がピン29を支点として回動できるようになっている。これによりミラー22,24の縦軸の周りでの角度調整(これをヨー方向の調整という)を行うことができる。また、ピン29を受けるベース30の孔31を、光軸方向に沿った長孔とすることにより、台座27を前記調整用の隙間の範囲内で光軸方向に移動調整(これをフォーカス方向の調整という)することが可能となっている。これらの調整は、出口スリット25の外側にスクリーンもしくは2次元撮像素子を配置して、このスクリーンもしくは2次元撮像素子を介してモニタに写し出された像を観察しながら行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−145793号公報
【特許文献2】特開2000−321136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の方法では、ヨー方向やフォーカス方向の調整を行うのに、取付ビス32を緩めた後、ホルダ26の上部を直接手で持って調整を行うか、或いは、
図12に示すような大掛かりな調整治具34を用いて調整を行っている。しかし、前者の手で持って行う調整方法では、微調整は大変難しく、調整時間がかかるとともに、熟練を必要とした。
また、調整治具34を用いて行う場合は、調整治具34の中央のネジ35の先端フック部35aをミラーの台座27の後端に設けた係合部36に係合させ、左右のネジ37,38の先端を台座27の後端面に当接させた状態で調整治具34を光度計のベース30に取り付ける。そして、取付ビス32を緩めた後、左右のネジ37,38を螺進させたり後退させたりすることにより台座27を、ピン29を支点として回動させてヨー方向の調整を行い、中央のネジ35を前後に移動させることによりフォーカス方向の調整を行う。しかし、このような調整治具34を用いる場合はコストが高くつくと共に、その取り付けや取り外し作業が煩雑であり、かつ、治具の管理、格納が面倒であるといった問題点があった。
【0008】
そこで本発明は、上述した課題を解決し、大掛かりな調整治具を使用することなく、容易かつ正確にミラー(光学素子)の角度や位置を微調整することができる光度計を簡単な構成で提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。即ち、本発明の光度計は、光学素子を保持する台座を備え、
前記光学素子はホルダを介して垂直な姿勢で前記台座に保持されており、前期ホルダは前記光学素子の光軸方向に沿って配置された2本 の調整ビスによって取り付けられ、前記2本の調整ビスを進退させることにより前記ホルダを変位させて前記光学素子の仰角を調整し、前記台座はピンに並びに取付ネジによりベースに対してピンを支点として回動調整可能に取り付けられ、さらに、前記台座の額縁近傍位置で当該台座の移動調整を許容する間隔をあけて前記ベースから突出する突起部が設けられ、前記台座と前記突起部との間に回動工具の先端を差し込んで回動することにより、前記台座に前記ピンを中心とする回転モーメントを与えて前記光学素子のヨー方向の回動調整を行うようにした光度計としている。
ここで、光学素子には、ミラーの他、ハーフミラー、セクターミラー、回折格子、レンズなど光学系に用いる光学部品で、光路著油性が行われているものが含まれる。
回動工具としてはマイナスドライバを用いることができるが、これに類似する先端が扁平な形態を有する回動工具であれば特に限定されない。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、回動工具を台座の端縁と突起部との間に差し込んで、こじるように回動することにより、軽い力で容易にかつ正確にヨー方向の微調整を行うことができ、これにより別途大掛かりな調整治具を用いる必要がなくなって、治具着脱の手間や管理の煩雑さを解消することができ、作業時間を短縮することができる。また、回動の際、回動工具による倍力効果も期待できるので、取付ネジを緩める際にもその緩め量は少なくて済み、これにより、再締め付けの際の微動からくる調整ズレの可能性を低くおさえることができるといった効果がある。
【0011】
また、前記台座はピンによりベースに対してピンを支点として回動調整可能に取り付けられ、前記台座と前記突起部との間に回動工具の先端を差し込んで回動することにより、前記台座に前記ピンを中心とする回転モーメントを与えて前記光学素子のヨー方向の回動調整を行うようにして
あり、台座にピンを中心とする回転モーメントを与えて回動させるものであるから、さらにヨー方向の微調整を容易に行うことができる。
【0012】
また、上記発明において、前記光学素子はホルダを介して垂直な姿勢で前記台座に保持されており、前記ホルダは前記光学素子の光軸方向に沿って配置ざれた2本の調整ビスによって取り付けられ、この2本の調整ビスを進退させることによりホルダを変位させて光学素子の仰角を調整する
ことが可能な構成である。
【0013】
上記発明において、前記台座が前記光学素子の光軸方向に移動調整可能に形成され、台座の光軸方向と交差する2つの端面の近傍位置に台座の移動を許容する間隔をあけてベースから突出する突起部が設けられており、この台座と突起部との間に回動工具の先端を差し込んで回動することにより、前記台座に前記光軸方向の直線変位を与えて光学素子のフォーカス方向の調整を行うようにしてもよい。
これにより、光学素子のヨー方向の調整とフォーカス方向の調整の両方を、ドライバなどの回動工具により軽い力で容易にかつ正確に行うことができる。
【0014】
また、別の観点からなされた本発明は、入口スリットを通過した光を第1ミラーで反射させて回折格子に送り、前記回折格子により波長分散した光を第2ミラーで反射させて出口スリットに送って分光する分光器を備えた光度計であって、前記第1ミラー、第2ミラーをそれぞれ保持する台座を備え、少なくとも前記台座の一方はピン並びに取付ネジによりベースに対してピンを支点として回動調整可能に取り付けられ、さらに、前記台座の端縁近傍位置で前記台座の移動調整を許容する間隔をあけて前記ベースから突出する突起部が設けられており、前記台座と前記突起部との間に回動工具の先端を差し込んで回動することにより前記台座に前記ピンを中心とする回転モーメントを与えて前記ミラーのヨー方向の回動調整を行うようにしている。
これにより、分光器のミラーのヨー方向の調整をドライバなどの回動工具により軽い力で容易かつ正確に行うことができる。
【0015】
さらに、別の観点からなされた本発明は、光学素子を保持する台座を備え、前記台座は
ピン並びに取付ネジによりベースに
対してピンを支点として回動調整可能に取り付けられ、さらに、前記台座に略四角形の開口部が形成され、当該開口部の中心に前記台座の移動調整を許容する間隔をあけて前記ベースから突出する突起部が形成されており、前記突起部と前記開口部の四方に形成される端面との間の選択された箇所に回動工具の先端を差し込んで回動することにより、前記台座に前記ピンを中心とする回転モーメントを与えて前記ミラーのヨー方向の回動調整を行うとともに、前記回動工具の差し込み箇所を選択することにより前記台座に前記ミラーの光軸方向に沿った直線変位を与えてフォーカス方向の調整を行うようにしている。
これにより、一つの突起部を台座の開口部内に配置するだけで、分光器のミラーのヨー方向の調整とフォーカス方向の調整を、ドライバなどの回動工具によって軽い力で容易にかつ正確に行うことができる。
なお、ミラーの光軸方向とは、ミラー反射面の法線方向をいうが、概ね光軸方向に沿ったものも包含される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例である分光光度計の分光器の部分を示す概略的な平面図。
【
図6】本発明の別の実施例を示す
図2と同様の平面図。
【
図7】本発明のさらに別の実施例を示す一部切欠斜視図。
【
図9】従来の分光光度計の分光器の光路構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る光度計を、
図1〜
図8に示した実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態である分光光度計の分光器の部分を示す概略的な平面図である。この分光器の光路構成はツェルニターナ型分光器を採用している。
即ち、光源からの光を通過させる入口スリット1と、入口スリット1を通過して分光器内部に導入された光を平行光束にして反射する第1ミラー(コリメートミラー)2と、第1ミラー2から送られてきた光を波長分散して平行を保ったまま反射する平面回折格子(分光素子)3と、平面回折格子3からの光を反射集光して出口スリット5に送る第2ミラー(カメラミラー)4とから構成されている。
【0018】
分光器の出口スリット5を通過した特定の波長を有する光は、外部に設けた光検出器6で検出される。なお、実際の分光光度計には、出口スリット5と光検出器6の間にも、試料室が設けられたり、セクターミラーなどの光路切換素子が設けられたりして、光路上にはさらに別の光学部品が配置されているが、便宜上、図示による説明を省略する。
平面回折格子3は、反射角度が変えられるように回動可能に取り付けられており、平面回折格子3を回動させることにより出口スリット5の開口位置に達する光の波長が変化し、光検出器6で所望の波長の単色光を取り出すことができる。
【0019】
本発明において、第1ミラー2並びに第2ミラー4は、L字形のホルダ7の垂直な片7aに垂直姿勢で固定されている。ホルダ7は、平らな台座8に前後2本の調整ビス9,9を介して取り付けられている。この2本の調整ビス9,9はほぼ光軸方向に沿って配置されており、調整ビス9,9を押し込んだり、緩めたりすることによりホルダ7の下面に形成した突起10を支点としてホルダ7をシーソーのように変位させてミラー2,4の仰角(ピッチ角)を調整するようにしてある。
【0020】
なお、ここでいう光軸方向とは、第1ミラー2や第2ミラー4の反射面の法線方向をいうものであるが、光路方向の位置調整ができれば足りるので、概ね光軸方向に沿ったものも包含される。
【0021】
また、ミラー2,4の下方部には、台座8の下面に垂直なピン11が設けられており、このピン11がベース12に形成した孔13に回動可能に挿入され、かつ、取付ビス14を介してベース12に固定されている。取付ビス14が挿入される台座8のビス受孔15は、取付ビス14の外径より大きく形成されていて、取付ビス14との間に調整用の隙間Sが生じるように形成されている。従って、この隙間Sの分だけ、台座8がピン11を支点として回動調整できるようになっている。これにより、ピン11を支点とするミラー2,4の縦軸の周りでの角度(ヨー方向)の調整を行うことができるようになっている。
【0022】
さらに、ミラー2,4の光軸方向にほぼ沿った、台座8の左右の端縁8a,8bの近傍位置で、台座8の調整時の移動を阻害しない間隔をあけて、ベース12から突出する突起部16a,16bが設けられている。この台座8の端縁と突起部との間に、
図2に示すようにマイナスドライバ18(回動工具)の先端を差し込んでこじるように回動することにより、台座8にピン11を中心とする回転モーメントを与えてミラー2、4のヨー方向の回動調整を行うことができるように形成されている。即ち、
図4に示すように、取付ビス14を緩めた後、台座8の右側の端縁8aと突起部16aとの間にマイナスドライバ18を差し込んで回動することにより、台座8を、ピン11を支点として時計方向に回動調整でき、台座8の左側の端縁8bと突起部16bとの間に差し込んで回動することにより、台座8を反時計方向に回動調整することができる。
【0023】
このように、マイナスドライバ18を台座8の端縁と突起部との間に差し込んでこじるように回動することにより、台座12にピン11を中心とする回転モーメントを与えて回動させるものであるから、軽い力で容易にかつ迅速に微調整することができ、これにより別途大掛かりな調整治具を用いる必要がなくなって治具着脱の手間や管理の煩雑さを解消することができる。また、回動の際、マイナスドライバ18による倍力効果も期待できるので、取付ネジ14を緩める際にもその緩め量は少なくて済み、これにより、再締め付けの際の微動からくる調整ズレの可能性を低くおさえることができる。
【0024】
図6は本発明の他の実施例を示す図であって、上記構成に加えて、ミラー2,4の光軸方向の位置調整もできるようにしたものである。
この実施例では、台座8の光軸方向と交差する2つの端縁8c,8dの近傍位置に台座12(
図2参照)の調整時の移動を許容する間隔をあけてベース12から突出する突起部16c,16dが設けられている。また、ピン11を受けるベース12の孔13は光軸方向に沿った長孔に形成されており、これにより、台座8が前記取付ビス14の調整用隙間Sの範囲内で光軸方向(フォーカス方向)に移動調整することができるようになっている。従って、取付ビス14を少し緩めた後、台座8の図の下側の端縁8cと突起部16cとの間にマイナスドライバ18を差し込んで回動することにより、台座8を光軸方向に沿って上方に移動調整でき、台座8の上側の端縁8dと突起部16dとの間に差し込んで回動することにより、台座8を下方に移動調整することができる。
【0025】
図7並びに
図8は、本発明のさらに他の実施例を示す図である。
この実施例において、ミラーを保持するホルダ7は、先の実施例と同様に、2つの調整ネジ9,9を介してミラー仰角調整可能に台座8に取り付けられている。また台座8は、
図6で示した実施例と同様に、垂直なピン11並びに取付ネジ14を介してベース12に対してピン11を支点として回動してヨー方向の調整ができるようになっており、かつ、ピン11と長穴状の孔13によって光軸方向に直線移動してフォーカス方向の調整ができるようになっている。
【0026】
さらに、この実施例では、台座8のピン11から離れた箇所でミラー後方側に略四角形の開口部17が形成されており、この開口部中心に、台座8の調整に必要な移動を許容する間隔をあけてベース12から突出する突起部16eが設けられている。この突起部16eと開口部17の四方に形成される端縁17a,17b,17c,17dとの隙間の選択された箇所にマイナスドライバの先端を差し込んでこじるように回動することにより、ミラーのヨー方向の調整とフォーカス方向の調整ができるようになっている。
即ち、取付ビス14を緩めた後、開口部17の図における右側の端縁17aに隣接する空間にマイナスドライバを差し込んで回動することにより、ピン11を支点として台座8を時計方向に回動調整でき、開口部17の左側の端縁17bに隣接する空間に差し込んで回動することにより、台座8を反時計方向に回動調整することができる。また、開口部17の下側の端縁17cに隣接する空間にマイナスドライバを差し込んで回動することにより、台座8を光軸方向に沿って下方に移動調整することができ、開口部17の上側の端縁17dに隣接する空間に差し込んで回動することにより、台座8を光軸方向に沿って上方に移動調整することができる。なお、上記開口部17の中心に形成された突起部16eは、開口部17と相似形の四角形とするのがよいが、円形であってもよい。
【0027】
以上本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものでない。例えば、上記実施例では台座8を回動させる工具としてマイナスドライバを用いたが、これに類似する先端形状を備えた回動工具であればどのようなものであってもよい。また、ヨー方向に回動させるためのピン11は台座8から突出させてベース12にあけた孔13に挿入したが、その逆であってもよい。
また、ホルダに固定されて台座上に取り付けられ、光路調整が行われる光学部品は、ミラーに限らず、光路の調整に用いる他の光学部品、例えばレンズ、ハーフミラー、回折格子、セクターミラーなどでもよい。分光光度計では、これらの光学部品が分光器内、および、分光器の外側の光路で、用いられるが、それらのうち、光軸調整、光路調整が必要な光学部品について本発明を用いることができる。
その他、本発明の目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、光軸調整、光路調整が行われる光度計に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 入口スリット
2 第1ミラー(光学素子)
3 回折格子(光学素子)
4 第2ミラー(光学素子)
5 出口スリット
6 光検出器
7 ホルダ
8 台座
11 ピン
12 ベース
13 孔
14 取付ビス
15 ビス受孔
16 突起部
17 開口部