(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連通部側壁面(541)は、前記内溝部(56)の下流端における前記吹出口(25D)に対向した側面(562)よりも前記狭小部(254)の先端面(542)側に位置することにより、当該連通部側壁面(541)と前記吹出口(25D)に対向した側面(562)との間に段差部(545A)を形成する請求項1又は2に記載の空気調和装置の室内機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の室内機100において、ドレンポンプ108がドレン受け部107の二次側に配置され、ドレン受け部107のドレンポンプ108近傍において一次側のドレンが二次側のドレンと合流する場合、この一次側のドレンと共に熱交換器104の下側を通過する空気の流れによって、一次側のドレンと二次側のドレンとが合流する領域においてドレンの表面(水面)が波立ち、その一部が室内機100の吹出口109から外部に飛散することが懸念される。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、ドレン受け部において、一次側のドレンが二次側のドレンと合流する領域における波立ちを抑えることでドレンが外部に飛散し難い空気調和装置の室内機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、熱交換器(10)と、前記熱交換器(10)の下側に配置されるドレンパン(50)と、前記熱交換器(10)を通過した空気を室内に吹き出させるための吹出口(25D)が形成されたケーシング(21)と、を備える。そして、前記ドレンパン(50)は、前記熱交換器(10)に沿って延び、且つ当該熱交換器(10)の下側において当該熱交換器(10)の表面に生じた前記水を受ける溝状のドレン受け部(52)と、前記ドレン受け部(52)の対向する一対の側面間において前記熱交換器(10)に下側から当接するように立設されて前記側面間の空間を空気の流れにおける上流側と下流側とに仕切ることによって、前記水を前記上流側において一方の端部に流す内溝部(56)及び前記下流側の外溝部(58)を形成する仕切り壁(54)と、当該室内機(2)の空気の吹出方向に見て吹出口(25D)の幅の範囲内において、前記水の流れ方向における前記内溝部(56)の下流端を前記外溝部(58)に連通させる連通部(540A)と、を有し、前記仕切り壁(54)は、前記内溝部(56)の下流端(56B)に向かって当該内溝部(56)の溝幅を狭くする狭小部(254)を有し、前記連通部(540A)は、前記熱交換器(10)の下側において、前記吹出口(25D)に対向した側面(562)に連続して延び、且つ前記内溝部(56)の内側面を規定する連通部側壁面(541)と、この連通部側壁面(541)に対向する前記仕切り壁(54)の狭小部(254)の先端面(542)との間に規定される。
【0008】
かかる構成によれば、熱交換器(10)の下側における一次側(内溝部(56))のドレン(熱交換器(10)の表面に生じた水)が二次側(外溝部(58))のドレンに合流するために通過できる範囲を連通部(540A)(連通部側壁面(541)と狭小部(254)の先端面(542)との間)に絞ると共に、一次側(内溝部(56))のドレンが連通部(540A)を通って二次側(外溝部(58))に流れ込むときに当該連通部(540A)を通過するドレンを、内溝部(56)を流れるドレンの流れ方向に沿った壁面(連通部側壁面(541))に沿わせるようにすることで、ドレン受け部(52)において一次側(内溝部(56))のドレンが二次側(外溝部(56))のドレンと合流する領域におけるドレン表面(水面)の波立ちを抑えることができる。即ち、連通部(540A)によって熱交換器(10)の下側を空気が通過できる範囲を絞って熱交換器(10)の下側(連通部(540A))を通過する空気の風量を抑えることでこの空気の流れによるドレン表面の波立ちを抑えると共に、一次側(内溝部(56))のドレンがこの連通部(540A)を前記空気と共に通過するときに、内溝部(56)を構成する一方の側面(562)から連続して延びる壁面(連通部側壁面(541))に当該ドレンを沿わすことによって連通部(540A)を通過するドレンの水面を安定させ、これらによって、ドレン受け部(52)における一次側(内溝部(56))のドレンが二次側(外溝部(58))のドレンと合流する領域でのドレン表面の波立ちが抑えられる。しかも、連通部(540A)においてドレンを沿わせる壁面(連通部側壁面(541))が熱交換器(10)の下側において室内機(2)の吹出口(25D)と対向することで、連通部(540A)を通過するドレンの流れが、当該室内機(2)の吹出口(25D)から吹き出される空気の流れの下側位置において当該空気の流れと交差する方向となる。即ち、連通部(540A)の向きが、吹出口(25D)とは異なる方向に向かうように形成されている。このため、当該連通部(540A)を通過したドレンが波立ち易い領域(連通部(540A)を通過した一次側のドレンと、二次側のドレンとが合流する領域)を前記吹き出される空気の通過する領域と異なる位置とすることができ、これにより、連通部(540A)を通過したドレンの表面が波立ったとしても、このドレンが吹出口(25D)から吹き出される空気の流れに乗って室内機(2)の外部に飛散し難くなる。
【0009】
以上より、室内機(2)の吹出口(25D)の正面位置においてドレン受け部(52)の一次側(内溝部(56))のドレンを二次側(外溝部(58))のドレンに合流させても、ドレンが室内機(2)の外側に飛散し難くなる。
【0010】
本発明に係る空気調和装置(1)の室内機(2)は、前記外溝部(58)における前記連通部(540A)の下流位置に配置されるドレンポンプ(60)を備え、前記ドレンポンプ(60)は、水位を検知する水位センサ(62)と、前記水位センサ(62)の検知結果に基づいて前記外溝部(58)の前記水を排水するポンプ本体(61)と、を有してもよい。
【0011】
かかる構成によれば、外溝部(58)における連通部(540A)の下流位置(一次側のドレンが二次側のドレンと合流する領域)においてドレンの表面の波立ちが抑えられるため、この波立ちに起因する水位センサ(62)の誤検知を防ぐことができ、その結果、ポンプ本体(61)の誤作動による消費電力の増加等を防ぐことができる。即ち、外溝部(58)における連通部(540A)の下流位置(ドレンポンプ(60)の配置位置)においてドレン表面が波立つと、当該位置において所定の水位までドレンが溜まっていない状態でも水位センサ(62)が所定の水位であると誤検知し、これにより、排水を開始する水位にまで達していない状態でもポンプ本体(61)がドレンの排水を始める(即ち、ポンプ本体(61)が誤作動する)ため消費電力の増加等が生じるが、波立ちを抑えて水位センサ(62)の誤検知を防ぐことによって、前記ポンプ本体(61)の誤作動を防ぐことができ、その結果、前記消費電力の増加等を防ぐことができる。
【0012】
また、外溝部(58)における連通部(540A)の下流位置(ドレンポンプ(60)の配置位置)においてドレン表面の波立ちが抑えられることにより、この波がドレンポンプ(60)に衝突することにより生じる水滴の飛散も抑えることができる。
【0013】
前記連通部側壁面(541)は、前記内溝部(56)の下流端における前記吹出口(25D)に対向した側面(562)よりも前記狭小部(254)の先端面(542)側に位置することにより、当該連通部側壁面(541)と前記吹出口(25D)に対向した側面(562)との間に段差部(545A)を形成してもよい。
【0014】
かかる構成によれば、連通部(540A)の幅(連通部側壁面(541)と狭小部(254)の先端面(542)との間隔)がより狭くなることにより当該連通部(540A)を通過する空気の風量がより抑えられると共に、内溝部(56)の側面(吹出口(25D)と対向する側面)(562)とこれから延びる壁面(連通部側壁面)(541)に沿って内溝部(56)から外溝部(58)へ向かうドレンの流れが段差部(545A)にぶつかるため連通部(540A)をドレンが通過する際の抵抗が増え、これにより、一次側のドレンと二次側のドレンとが合流する領域における波立ちをより効果的に抑えることができる。即ち、連通部(540A)を通過する空気の風量がより抑えられることによってこの空気の流れによるドレン表面の波立ちがより抑えられると共に、段差部(545A)にぶつかることで連通部(540A)を通過するドレンの流れが抑えられて一次側のドレンが二次側のドレンと合流することによる波立ちが抑えられる。
【発明の効果】
【0017】
以上より、本発明によれば、ドレン受け部において、一次側のドレンが二次側のドレンと合流する領域における波立ちを抑えることでドレンが外部に飛散し難い空気調和装置の室内機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0020】
本実施形態に係る室内機(以下、単に「室内機」と称する。)は、
図1に示されるように、配管4、4によって室外機3と接続されることにより空気調和装置1を構成する。この空気調和装置1は冷媒回路を有し、この冷媒回路は、室内側熱交換器10と、圧縮機12と、室外側熱交換器13と、膨張弁14と、四路切換弁15とを主な構成要素としている。この空気調和装置1では、四路切換弁15が切り換えられることにより、冷媒回路における冷媒の循環方向が切り換えられ、これにより、冷房運転と暖房運転との切り換えが行われる。
【0021】
室内機2は、天井吊り下げ型(いわゆる天吊りタイプ)であり、
図2及び
図3にも示されるように、天井から延びる吊り下げボルト等の吊り下げ部材によって天井に吊り下げられるケーシング21と、ケーシング21の下部に取り付けられる化粧板22と、を備える。ケーシング21は、略正方形の天板23と、この天板23の周縁から略下方に向かって延びる側壁24とを有する。天板23の各辺に対応する側壁24の部位において、水平方向の略中央部に吹出口25A〜25Dが設けられている。この吹出口25A〜25Dには、吹出口25A〜25Dから吹き出される温調後の風の吹き出し方向を変えるための風向板25Fが設けられている。この風向板25Fは、水平方向に長尺な矩形状の板状部材であり、水平方向の両端部に図略のスイングモータが接続され、当該スイングモータの駆動により揺動若しくは回動する。また、化粧板22は、その中央部に矩形状の吸込みグリル26を有する。
【0022】
また、室内機2は、ケーシング21内に、送風機27、ベルマウス28、エアフィルタ29、室内側熱交換器10、ドレンパン50、ドレンポンプ60等を有する。
【0023】
送風機27は、羽根車31と、ファンモータ32とを有する遠心送風機(ターボファン)であり、化粧板22の吸込みグリル26に対応する位置に送風機27の吸込口33が臨むように配置されている。この送風機27は、下側の吸込口33から吸気した空気(室内空気等)を側方(室内側熱交換器10に向けて)に吹き出す。送風機27の吸込口33と吸込みグリル26との間には、ベルマウス28が配置されている。
【0024】
エアフィルタ29は、ベルマウス28の入口を覆う大きさを有し、ベルマウス28と吸込みグリル26との間において吸込みグリル26に沿うように配置されている。
【0025】
室内側熱交換器10は、薄板状の複数のフィン34、34、…と、各フィン34に形成された貫通孔に挿通された複数の伝熱管35、35、…とを有する所謂クロスフィン型の熱交換器である。この室内側熱交換器10は、水平方向から送風機27(羽根車31)の周囲を囲むように配置されている。この室内側熱交換器10は、伝熱管35の管壁及びフィン34を介して各伝熱管35内を流れる冷媒と送風機27から送風される室内空気(外気)との熱交換を行う。
【0026】
ドレンパン50は、室内側熱交換器10において生じる水滴を受け止めて室内へ落下するのを防ぐための部材であり、室内側熱交換器10の下側において当該室内側熱交換器10に沿うように配置されている(
図4参照)。
【0027】
具体的に、ドレンパン50は、
図5乃至
図9に示されるように、平面視において中央部が開口した(即ち、送風機27の吸込口33と対応した開口51を有する)略四角形状であり、ドレン受け部52と、仕切り壁54と、下流端連通部540Aと、を有する。
【0028】
ドレン受け部52は、室内側熱交換器10に沿って延びる溝(凹部)によって形成されており、空気中の水分が凝縮することによって室内側熱交換器10の表面に生じた水を当該熱交換器10の下側において受ける。このドレン受け部52の下流側の端部(終端:
図5及び
図6における左側の辺の上端近傍)には、ドレンポンプ60が配置されている。
【0029】
仕切り壁54は、ドレン受け部52の一対の側面(
図7における溝状のドレン受け部52を構成する左右の側壁面)間において室内側熱交換器10に下側から当接するように立設されて前記側面間(ドレン受け部52内)の空間を一次側と二次側とに仕切ることにより、内溝部56と外溝部58とを形成する。即ち、仕切り壁54は、内溝部56における外溝部58側の側面と、外溝部58における内溝部56側の側面とによって規定される壁である。ここで、一次側とは、送風機27から吹き出された空気の流れW(
図3参照)における室内側熱交換器10よりも上流側であり、二次側とは、前記空気の流れWにおける室内側熱交換器10よりも下流側のことである。この仕切り壁54は、先端側(後述する内溝部の下流端側)に狭小部254を有する。
【0030】
内溝部56は、室内側熱交換器10に沿って延び且つ前記室内側熱交換器10の表面に生じた水を一次側において受ける溝である。具体的に、内溝部56は、平面視において略四角形のドレンパン50の各辺に沿うと共に開口51を囲うように延びている。
図5及び
図6の例では、内溝部56は、ドレンパン50における上側の辺の左端近傍を始端56Aとして時計回りにドレンパン50の各辺に沿って延び、その終端56B(左側の辺の上端近傍)において外溝部58に連通することによりドレンポンプ60と通じている。
【0031】
この内溝部56は、仕切り壁54の一方の壁面154と、エアフィルタ29をドレンパン50の底面側に設置するための空間を水平方向から囲う壁560の外側の壁面562と、を対向する一対の側面とし、これら一対の側面154、562と、その下端同士を接続する底面56aとによって形成される。この内溝部56の底面56aは、前記始点からドレンポンプ60に向かって一定の下り勾配となるように傾斜している。即ち、内溝部56の長手方向の各位置において室内側熱交換器10から滴下してきた水(ドレン)は、内溝部56内をドレンポンプ60に向かって流れる。
【0032】
外溝部58は、室内側熱交換器10に沿って延び且つ前記室内側熱交換器10の表面に生じた水を二次側において受ける溝である。この外溝部58の底部は、内溝部56と同様に、ドレンポンプ60に向けてドレンが流れるように下り勾配となるように傾斜している。この外溝部58の底部の傾斜角は、内溝部56の底面56aの傾斜角よりも大きい。
【0033】
具体的に、外溝部58は、内溝部56の外側(ドレンパン50の開口51と反対側)において当該内溝部56に沿って延びる。即ち、外溝部58は、内溝部56の外側において、平面視において略四角形のドレンパン50の各辺に沿うと共に開口51を囲うように延びている。
【0034】
この外溝部58は、その長手方向(内溝部56の水の流れ方向)において、複数の区間(本実施形態の外溝部58は、第1区間581、第2区間582、第3区間583、第4区間584の4つの区間)に仕切られている。具体的には、外溝部58は、ドレンパン50の角部の位置において仕切られている。本実施形態の外溝部58においては、
図5及び
図6に示すドレンパン50の上側の辺に沿った区間を第1区間581とし、右側の辺に沿った区間を第2区間582とし、下側の辺に沿った区間を第3区間583とし、左側の辺に沿った区間を第4区間584とする。
【0035】
各区間581〜584の底部は、内溝部56におけるドレンの流れ方向に沿うように下り勾配となっている。即ち、第1区間581の底部は、
図6における左端(始端)581Aが最も高く、右端(終端)581Bが最も低くなるように傾斜している。第2区間582の底部は、
図6における上端(始端)582Aが最も高く、下端(終端)582Bが最も低くなるように傾斜している。第3区間583の底部は、
図6における右端(始端)583Aが最も高く、左端(終端)583Bが最も低くなるように傾斜している。第4区間584の底部は、
図6における下端(始端)584Aが最も高く、上端(終端)584B(詳しくは、ドレンポンプ60が配置されている位置)が最も低くなるように傾斜している。これら、各区間581〜584における始端581A〜584Aの底部の高さ位置はそれぞれ同じであり、各区間581〜584における終端581B〜584Bの底部の高さ位置はそれぞれ同じである。従って、隣接する区間(例えば、第2区間582と第3区間583)において、上流側の区間の終端(例えば第2区間582の終端582B)における底部の高さ位置に比べ、下流側の区間の始端(例えば第3区間583の始端583A)における底部の高さ位置が高くなるように設けられている。
【0036】
本実施形態のドレンパン50では、隣接する区間の間には、室内側熱交換器10の側部を当接させることによりドレンパン50に対する当該室内側熱交換器10の水平方向の位置決めを行う位置決め部59が形成されている。位置決め部59は、隣接する区間(例えば、第2区間582と第3区間583と)の間において上流側の区間の終端(第2区間582の終端582B)の底部位置から上方に向かって突出し、外溝部58を各区間581〜584に分断するように形成されている。この位置決め部59を利用して、上流側の区間の終端(例えば、第2区間582の終端582B)とこれに隣接する下流側の区間の始端(例えば、第3区間583の始端583A)との底部における高低差を形成している。尚、第1〜第3区間581〜583における終端581B〜583Bの底部の高さ位置が、内溝部56における当該終端581B〜583Bに対応する部位(後述する連通部540によって連通する部位)の底部の高さ位置と同じ又は高くなるように、第1〜第3区間581〜583における始端581A〜583Aの高さ位置が設定されている。
【0037】
以上のように、外溝部58を長手方向(内溝部56の水の流れ方向)に区分けし且つ隣接する区間の終端(例えば、第2区間582の終端582B)と始端(例えば、第3区間583の始端583A)との間に高低差を設けた鋸歯状の配置とすることによって、外溝部58(各区間581〜584)の底部の傾斜を急勾配としつつドレンパン50の厚みを抑えることができる。
【0038】
仕切り壁54における第1〜第3区間581〜583の終端581B〜583Bと対応する位置には、外溝部58と内溝部56とを連通する連通部540がそれぞれ設けられている。連通部540は、外溝部58から内溝部56にドレンが流れ込む部位である。この連通部540は、仕切り壁54を横断するように設けられた溝である。尚、連通部540は、溝に限定されず、外溝部58と内溝部56とを連通する貫通孔等であってもよい。
【0039】
本実施形態では、第1〜第3区間581〜583の終端581B〜583Bがドレンパン50の角部位置(室内機2のケーシング21の角部、即ち、吹出口25A〜25Cの正面位置からずれた位置)に形成されているため、これら終端581B〜583Bと対応する位置に設けられる連通部540もそれぞれドレンパン50の角部位置に設けられる。尚、ドレンパン50の周縁部における各直線部53A〜53Dは、室内機2の各吹出口25A〜25Dの下端を規定する部位である(
図3参照)。
【0040】
第1〜第3区間581〜583の終端581B〜583Bでは、外溝部58の底部と連通部540の底部とが一体となって内溝部56に向かう下り勾配の傾斜面を構成する。これにより、第1〜第3区間581〜583において始端581A〜583A側から流れてきたドレンが終端581B〜583Bに長時間滞留することなく内溝部56により確実に流れ込む。
【0041】
下流端連通部540Aは、内溝部56の終端(下流端)56Bを第4区間584の終端584Bに連通させる。これにより、内溝部56を流れてきたドレン(第1〜第3区間581〜583を流れて内溝部56に流れ込んだドレンを含む)が外溝部58における第4区間584の終端584Bに流れ込む。
【0042】
この下流端連通部540Aは、室内機2の対応する吹出口25Dの空気の吹出方向から見て当該吹出口25Dの幅の範囲内(即ち、吹出口25Dから見える位置)に設けられ、当該下流端連通部540Aが設けられている第4区間584の終端584Bには、ドレンポンプ60が配置されている。
【0043】
具体的に、下流端連通部540Aは、連通部側壁面541と、この連通部側壁面541と対向する仕切り壁54の狭小部254の先端面542と、先端面542と連通部側壁面541との下端同士を接続する底面543と、を含み、これら連通部側壁面541、仕切り壁54の狭小部254の先端面542、及び底面543によって規定される溝状の部位である。
【0044】
連通部側壁面541は、内溝部56の下流端における吹出口25Dと対向する側面(詳しくは、ドレンパン50の底面側においてエアフィルタ29を設置するための空間を水平方向から囲う壁560の外側の壁面)562の下流端から連続して同方向(内溝部56におけるドレンの流れる方向)に延びる面である。詳しくは、連通部側壁面541は、下流端連通部540Aの底面543から垂直に立ち上がり、内溝部56の側面562よりも仕切り壁54の狭小部254の先端面542側(吹出口25D側)に位置している。そして、連通部側壁面541と内溝部56の側面562との間には、段差部(段差面)545Aが形成されている。また、この段差部545Aが形成されている連通部側壁面541の端部と反対側の端部にも、同様の段差部545Bが形成されている。尚、内溝部56の下流端における側面562は、第4区間584と対応する吹出口25D側を向いて当該吹出口25D(ドレンパン50の周縁部における直線部53D)に沿って延びている。この吹出口25Dは、内溝部56の下流端56Bに対応する吹出口である。
【0045】
仕切り壁54における第4区間584に対応する部位は、第4区間584の始端584Aから中央部までは吹出口25D(内溝部56の側面562)に沿って真っ直ぐ延び、前記中央部よりも終端584B側(狭小部254)は、内溝部56の側面562との間隔が徐々に狭くなるように延びる。即ち、仕切り壁54の狭小部254は、連通部側壁面541と交差する方向に当該連通部側壁面541に向かって延びている。この仕切り壁54の狭小部(先端部)254は、その先端面542と連通部側壁面541との間が所定の間隔となる位置まで延びている。本実施形態の仕切り壁54の狭小部254の先端面542は、側面視が円弧状の曲面である。
【0046】
具体的に、本実施形態では、内溝部56の底面56aからの仕切り壁54の高さが、例えば、15〜25mmであり、下流端連通部540Aの底面543の位置において仕切り壁54の狭小部254の先端面542と連通部側壁面541との間隔が、例えば、4〜8mmである。また、内溝部56の底面56aからの連通部側壁面541の高さが、例えば、15〜25mmであり、幅が、例えば、35〜45mmである。そして、連通部側壁面541は、内溝部56の側面562よりも仕切り壁54(吹出口25D)側に、例えば、3〜6mm突出した位置に設けられている。
【0047】
下流端連通部540Aの底面543は、内溝部56の底面56aの下流端から連続的に延びており、内溝部56の底面56aと同じ傾斜角を有する。
【0048】
ドレンポンプ60は、ポンプ本体61と、水位センサ62とを有し、外溝部(詳しくは、第4区間)の終端における下流端連通部540Aの下流位置に配置される。このドレンポンプ60は、水位センサ62によって第4区間584の終端584B(外溝部58の終端)に溜まったドレンが所定の水位になったことを検出すると、ポンプ本体61が駆動してこのドレンを室内機2の外部に排出する。
【0049】
以上の室内機2によれば、室内側熱交換器10の下側における一次側(内溝部56)のドレンが二次側(外溝部58)のドレンに合流するために通過できる範囲を下流端連通部540A(連通部側壁面541と仕切り壁54の先端面542との間)に絞ると共に、一次側(内溝部56)のドレンが下流端連通部540Aを通って二次側(外溝部58)に流れ込むときに当該下流端連通部540Aを通過するドレンを、内溝部56を流れるドレンの流れ方向に沿った壁面(連通部側壁面541)に沿わせるようにすることで、ドレン受け部52において一次側(内溝部56)のドレンが二次側(外溝部58)のドレンと合流する領域におけるドレン表面(水面)の波立ちを抑えることができる。即ち、下流端連通部540Aによって室内側熱交換器10の下側を空気が通過できる範囲を絞って室内側熱交換器10の下側(下流端連通部540A)を通過する空気の風量を抑えることでこの空気の流れによるドレン表面の波立ちを抑えると共に、一次側(内溝部56)のドレンがこの下流端連通部540Aを前記空気と共に通過するときに、内溝部56を構成する一方の側面562から同方向(ドレンの流れ方向)に延びる壁面(連通部側壁面541)に前記ドレンを沿わすことによって下流端連通部540Aを通過するドレンの水面を安定させ、これらによって、ドレン受け部52における一次側(内溝部56)のドレンが二次側(外溝部58)のドレンと合流する領域でのドレン表面の波立ちが抑えられる。しかも、下流端連通部540Aにおいてドレンを沿わせる壁面(連通部側壁面541)が室内側熱交換器10の下側において室内機2の吹出口25Dと対向することで、下流端連通部540Aを通過するドレンの流れが、当該室内機2の吹出口25Dから吹き出される空気の流れの下側位置において前記ドレンの流れる方向が当該空気の流れと交差する方向となる。即ち、下流端連通部540Aの向きが、吹出口25Dとは異なる方向に向かうように形成されている。このため、当該下流端連通部540Aを通過したドレンが波立ち易い領域(下流端連通部540Aを通過した一次側のドレンと、二次側のドレンとが合流する領域)を前記吹き出される空気の通過する領域と異なる位置とすることができ、これにより、下流端連通部540Aを通過したドレンの表面が波立ったとしても、このドレンが吹出口25Dから吹き出される空気の流れに乗って室内機2の外部に飛散し難くなるため、室内機2の外部へのドレンの飛散をより確実に防ぐことができる。
【0050】
これにより、室内機2の吹出口25Dの正面位置においてドレン受け部52の一次側(内溝部56)のドレンを二次側(外溝部58)のドレンに合流させても、ドレンが室内機2の外側に飛散し難くなる。
【0051】
また、本実施形態の室内機2では、ドレンパン50の外溝部58における下流端連通部540Aの下流位置(一次側のドレンが二次側のドレンと合流する領域)においてドレンの表面の波立ちが抑えられるため、外溝部58(第4区間584)の終端584Bにおける下流端連通部540Aの下流位置にドレンポンプ60が配置されることで、前記波立ちに起因する水位センサ62の誤検知を防ぐことができ、その結果、ポンプ本体61の誤作動による消費電力の増加を防ぐことができる。即ち、外溝部58における下流端連通部540Aの下流位置(ドレンポンプ60の配置位置)においてドレンの表面が波立つと、当該位置において所定の水位までドレンが溜まっていない状態でも水位センサ62が所定の水位であると誤検知し、これにより、排水を開始する水位にまで達していない状態でもポンプ本体61がドレンの排水を始める(即ち、ポンプ本体61が誤作動する)ため消費電力が増加するが、波立ちを抑えて水位センサ62の誤検知を防ぐことによって、ポンプ本体61の誤作動を防ぐことができ、その結果、前記消費電力の増加を防ぐことができる。
【0052】
また、外溝部58における下流端連通部540Aの下流位置(ドレンポンプ60の配置位置)においてドレン表面の波立ちが抑えられることにより、この波がドレンポンプ60に衝突することにより生じる水滴の飛散も抑えることができる。
【0053】
また、本実施形態の室内機2では、連通部側壁面541と内溝部56の側面562との間に段差部545Aが設けられることにより、下流端連通部540Aの幅(連通部側壁面541と仕切り壁54の狭小部254の先端面542との間隔)がより狭くなって当該下流端連通部540Aを通過する空気の風量がより抑えられると共に、内溝部56の側面562とこれから延びる壁面(連通部側壁面541)に沿って内溝部56から外溝部58へ向かうドレンの流れが段差部545Bにぶつかるため下流端連通部540Aをドレンが通過する際の抵抗が増え、これにより、一次側のドレンと二次側のドレンとが合流する領域における波立ちがより効果的に抑えられる。即ち、下流端連通部540Aを通過する空気の風量がより抑えられることによってこの空気の流れによるドレン表面の波立ちがより抑えられると共に、段差部545Aにぶつかることで下流端連通部540Aを通過するドレンの流れが抑えられて一次側のドレンが二次側のドレンと合流することによる波立ちが抑えられる。
【0054】
尚、本発明の空気調和装置の室内機は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0055】
上記実施形態では、室内側熱交換器10の下側において、空気が通ることができる範囲を下流端連通部540A(連通部側壁面541と仕切り壁54の狭小部254の先端面542との間)に絞って通過できる空気の風量を抑えると共に、下流端連通部540Aを通って一次側(内溝部56)から二次側(外溝部58)に流れ出るドレンを内溝部56の側面562から連続して延びる連通部側壁面541に沿わすことにより、一次側のドレンと二次側のドレンとが合流する領域におけるドレン表面の波立ちを抑えているが、この構成に限定されない。
【0056】
例えば、
図10(A)及び
図10(B)に示されるように、連通部540Aが内溝部56の側面562から離れた位置に設けられている場合や、下流端連通部540Aの幅が広く十分な流量の空気が通過できる場合には、一次側のドレンと二次側のドレンとが合流する領域においてドレン表面が波立つが、これらの場合には、例えば、
図11(A)及び
図11(B)に示されるように、外溝部58においてドレンポンプ60と下流端連通部540Aとの間に遮蔽板(遮蔽部)70を設けることにより波立ちを抑えることができる。
【0057】
これら遮蔽板70は、外溝部58の底部から立ち上がる平板状の部位であり、下流端連通部540Aからドレンポンプ60に向かう方向と交差する方向(
図11(A)及び図11(B)では略直交する方向)に広がる。
【0058】
ドレンポンプ60(ポンプ本体61及び水位センサ62)の側面形状は、平板状の遮蔽板70に比べて複雑な形状であるため、流れてきたドレンがドレンポンプ60の側面に衝突するとドレン表面が波立ち、これにより、ドレンが水滴となって飛散し易くなる。しかし、上記のような単純な形状の遮蔽板70が設けられることによって、下流端連通部540Aを通じて一次側(内溝部56)から流れてきたドレンがドレンポンプ60に直接ぶつかることを防ぐことができ、前記衝突に起因するドレン表面の波立ちを抑えることができる。
【0059】
また、上記実施形態の室内機2は、天井吊り下げ型であるが、天井埋め込み型(いわゆるカセット型)の室内機であってもよい。即ち、上記実施形態では、側面に吹出口25A〜25Dが形成された室内機2であるが、底面に吹出口が形成された室内機であってもよい。
【0060】
天井埋め込み型の室内機であっても、室内側熱交換器10の下側において、空気が通ることができる範囲を下流端連通部540Aに絞って通過できる空気の風量を抑えると共に、下流端連通部540Aを通って一次側(内溝部56)から二次側(外溝部58)に流れ出るドレンを内溝部56の側面562から連続して延びる連通部側壁面541に沿わすことにより、一次側のドレンと二次側のドレンとが合流する領域におけるドレン表面の波立ちを抑えドレンが室内機の外部に飛散するのを防ぐことができる。
【0061】
また、上記実施形態では、四方向に風を吹き出す室内機2であるが、これに限定されず、2方向に風を吹き出す室内機であってもよく、1方向に風を吹き出す室内機であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態の室内機2は、冷房運転及び暖房運転の両方を行う空気調和装置1に用いられるが、冷房専用の空気調和装置に用いられる室内機であってもよく、暖房専用の空気調和装置に用いられる室内機であってもよい。