(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示す駐車支援システム100は、駐車支援ECU1、前部測距センサ2、後部測距センサ3、後方カメラ4、舵角センサ5、車輪速センサ6、表示装置7、及び音声出力装置8を含んでいる。例えば、駐車支援ECU1と前部測距センサ2、後部測距センサ3、後方カメラ4、舵角センサ5、車輪速センサ6、表示装置7、及び音声出力装置8とは、CAN(controller areanetwork)などの通信プロトコルに準拠した車内LANで各々接続されている構成とすればよい。なお、駐車支援システム100を搭載している車両を以降では自車と呼ぶ。
【0013】
前部測距センサ2及び後部測距センサ3は、探査波を送信し、障害物で反射されるその探査波の反射波を受信することで障害物までの距離を検知するために用いられるセンサである。前部測距センサ2及び後部測距センサ3は、探査波を送信し、その探査波の反射波を受信するセンサであればよく、音波を用いるものであっても、光波を用いるものであっても、電波を用いるものであってもよい。例えば、前部測距センサ2及び後部測距センサ3としては、超音波センサ、レーザレーダ、ミリ波レーダ等のセンサを用いることができる。
【0014】
前部測距センサ2は、指向性の中心線が自車の車軸方向から自車前方に傾くように、例えば自車の前部バンパの左右側面に1つずつ配置される。前部測距センサ2の指向性の中心線は、自車の車軸方向から例えば20°程度まで自車前方に傾いて配置されていてもよい。これにより、前部測距センサ2からは、少し前方寄りの側方に向けて探査波が送信される。以降では、自車左側の前部測距センサ2を前部測距センサ2a、自車右側の前部測距センサ2を前部測距センサ2bとする。
【0015】
なお、前部測距センサ2は、自車の前部バンパの左右側面に1つずつ配置される構成に限らず、自車の前部バンパの前方に向いた面にも例えば2つずつ配置されるなど、さらに多く配置される構成としてもよい。
【0016】
後部測距センサ3は、指向性の中心線が自車の車軸方向から自車後方に傾くように、例えば自車の後部バンパの左右側面に1つずつ配置される。後部測距センサ3の指向性の中心線は、自車の車軸方向から例えば20°程度まで自車後方に傾いて配置されていてもよい。これにより、後部測距センサ3からは、少し後方寄りの側方に向けて探査波が送信される。以降では、自車左側の後部測距センサ3を後部測距センサ3a、自車右側の後部測距センサ3を後部測距センサ3bとする。
【0017】
なお、後部測距センサ3は、自車の後部バンパの左右側面に1つずつ配置される構成に限らず、自車の後部バンパの後方に向いた面にも例えば2つずつ配置されるなど、さらに多く配置される構成としてもよい。後部測距センサ3(3a・3b)が請求項の測距センサに相当する。
【0018】
前部測距センサ2及び後部測距センサ3の指向性は、想定されている車速範囲での使用において送受波を良好に行うことができる程度の広さがありさえすれば、より狭い方が好ましい。
【0019】
ここで、前部測距センサ2を用いた駐車空間に隣接した駐車車両や壁等の障害物及び駐車空間の検出態様の一例についての説明を行う。ここでは、便宜上、自車の左側に障害物に挟まれた駐車空間が存在する場合を例に挙げて説明を行う。以降では、
図2の例をもとに説明を続けるものとする。
【0020】
図2中のAが自車を示しており、黒塗りの矢印が自車Aの進行方向を示しており、B1・B2が自車の前進時の進行方向に対して奥側の障害物、B3が手前側の障害物を示している。なお、障害物B2は障害物B1の付帯物であるものとする。また、
図2中のCが障害物B1・B2と障害物B3とに挟まれた駐車空間を示している。
【0021】
自車Aは、自車Aの左側に配置された前部測距センサ2aから自車Aの少し前方寄りの左側方に向けて探査波を逐次送信しながら障害物B3、駐車空間C、障害物B1・B2の側方を通過しつつ、障害物B3、障害物B1・B2からの反射波を逐次受信することになる。そして、自車Aが走行しながら前部測距センサ2aで逐次受信した反射波をもとにして、自車Aの通過した経路並びに自車Aのこれから通過する経路の左側方に存在する障害物B1・B2、障害物B3に隣接する駐車空間Cを、駐車支援ECU1が検出する。
【0022】
後方カメラ4は、自車Aの例えば後部バンパよりも上方に設置され、自車後方に所定角範囲で広がる領域を撮像するものである。後方カメラ4は、光軸が車体後部の路面を向くように設置される。例えば後方カメラ4としては、CCDカメラを用いる構成とすればよい。後方カメラ4が撮像した自車後方周辺の画像情報は、駐車支援ECU1に供給される。
【0023】
舵角センサ5は、自車Aのステアリングの操舵角を検出するセンサであり、自車Aが直進状態で走行するときの操舵角を中立位置(0度)とし、その中立位置からの回転角度を操舵角として出力する。なお、この操舵角は、中立位置から右回転する場合には正(+)の符号を付して出力され、中立位置から左回転する場合には負(−)の符号を付して出力される。また、車輪速センサ6は、各転動輪の回転速度から自車Aの速度を検出するセンサである。
【0024】
表示装置7は、駐車支援ECU1の指示に従ってテキストや画像を表示する。例えば表示装置7は、フルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。また、表示装置7としては、例えば、車載ナビゲーション装置に設けられたディスプレイを利用する構成としてもよいし、車載ナビゲーション装置のディスプレイとは別に、インストゥルメントパネル等に設けたディスプレイを用いる構成としてもよい。
【0025】
音声出力装置8は、スピーカ等から構成され、駐車支援ECU1の指示に従って音声を出力する。なお、音声出力装置8としては、例えば、車載ナビゲーション装置に設けられた音声出力装置を利用する構成としてもよい。
【0026】
駐車支援ECU1は、主にマイクロコンピュータとして構成され、何れも周知のCPU、ROM・RAM・EEPROM等のメモリ、I/O、及びこれらを接続するバスによって構成される。駐車支援ECU1は、前部測距センサ2、後部測距センサ3、後方カメラ4、舵角センサ5、車輪速センサ6から入力された各種情報に基づき、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車を後退させて駐車空間へ並列駐車させるための駐車支援に関する処理(以下、後退駐車支援関連処理)等の各種の処理を実行する。駐車支援ECU1が請求項の駐車支援装置に相当する。
【0027】
ここで、
図3のフローチャートを用いて、駐車支援ECU1での後退駐車支援関連処理についての説明を行う。本フローは、駐車支援ECU1が所定の開始トリガを検出したときに開始される。開始トリガとしては、例えば図示しない駐車支援開始スイッチをオンにする操作入力などが挙げられる。
【0028】
まず、ステップS1では、駐車空間検出処理を行って、ステップS2に移る。駐車空間検出処理では、障害物B3、駐車空間C、障害物B1・B2の横を前進しながら通過する際に、前部測距センサ2aから逐次得られる障害物B1・B2、障害物B3までの距離を逐次(例えば100msecごと)取得する。そして、取得した障害物までの距離を時系列に記憶した距離データ系列(点列)から、障害物B1・B2、障害物B3の輪郭形状を特定して駐車空間Cを検出する。
【0029】
ここで、距離データ系列から特定される障害物B1・B2、障害物B3の輪郭形状は、自車Aの通過した経路側に向いた面の、地上面を基準とした平面座標系における輪郭形状である。また、ここでは、障害物B2は障害物B1の付帯物であるため、障害物B1と障害物B2との輪郭形状は一体であるものとして特定されてしまうものとする。
【0030】
一例としては、特開2008−21039号公報に開示されているのと同様の公知の方法によって、距離データ系列(点列)を楕円もしくは放物線により近似した上で障害物B1・B2、障害物B3の輪郭形状を特定する。そして、特定した輪郭形状から、障害物B1・B2と障害物B3とに挟まれる駐車空間Cを検出する。
【0031】
ステップS2では、自車Aが駐車可能な駐車空間Cであるか否かを判定する。自車Aが駐車可能な駐車空間Cであるか否かは、駐車空間Cの大きさと自車Aの寸法とに基づいて判定する。ここで言うところの駐車空間Cの大きさとは、自車Aの通過した経路方向における駐車空間Cの長さとする。また、自車Aの寸法は、駐車支援ECU1の例えばEEPROM等の不揮発性メモリに予め記憶されているものとすればよい。
【0032】
そして、自車Aが駐車可能と判定した場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に移る。また、自車Aが駐車可能でないと判定した場合(ステップS2でNO)には、ステップS1に戻り、障害物B1・B2よりも自車Aの進行方向に対してさらに奥側に存在する障害物の検出を行ってフローを繰り返す。
【0033】
ステップS3では、目標初期位置算出処理を行って、ステップS4に移る。目標初期位置算出処理では、駐車空間検出処理で検出した駐車空間Cに自車Aを駐車する際の目標とする駐車位置(以下、目標駐車位置)及び目標とする駐車角度(以下、目標駐車角度)を設定する。
【0034】
一例として、駐車空間Cにおける自車Aの前進時の進行方向に対して手前側の縁部から一定距離(例えば60cm)だけ離間した位置に設定する。また、目標駐車角度は、自車Aの前進時に通過した経路のうちの駐車空間Cを通過した際の経路に直行する方向に平行に設定する。
【0035】
ステップS4では、駐車経路算出処理を行って、ステップS12に移る。駐車経路算出処理では、自車Aの現在位置に基づいて後退開始位置を設定し、目標駐車位置及び目標駐車角度で駐車するための駐車経路を決定する。駐車経路の決定方法については、特開2003−34206号公報や特開2009−83806号公報に開示されているように公知であるので、詳細については省略する。
【0036】
ステップS5では、駐車支援処理を開始して、ステップS6に移る。駐車支援処理では、駐車経路算出処理で算出された駐車経路に沿って自車Aが走行するように操舵支援や自動操舵を行う。よって、このステップS5の処理が請求項の支援手段に相当する。
【0037】
ここで、操舵支援としては、例えば後方カメラ4で撮像した自車Aの後方画像に、自車Aが後退する際に通ると予想される後退予想軌跡を重畳させて表示装置7に表示させたりする。後退予想軌跡については、舵角センサ5から得られる操舵角や車輪速センサ6から得られる車速に基づいて、公知の方法によって算出する構成とすればよい。また、ステアリングの操舵タイミングや操舵量の案内音声を音声出力装置8から出力する構成としてもよい。
【0038】
ステップS6では、自車Aが後退を開始したことを検知した場合(ステップS6でYES)には、ステップS7に移る。一方、自車Aが後退を開始したことを検知していない場合(ステップS6でNO)には、ステップS6のフローを繰り返す。自車Aが後退を開始したことは、シフト位置が後退位置となったことを示す信号が図示しないシフトポジションセンサから得られたことをもとに駐車支援ECU1が検知する構成とすればよい。
【0039】
ステップS7では、側方障害物検出処理を行って、ステップS8に移る。側方障害物検出処理では、後退して駐車空間Cに進入する際に、後部測距センサ3a・3bから逐次得られる自車Aの左右に位置することになる障害物B1・B2、障害物B3までの距離を逐次(例えば100msecごと)取得する。そして、取得した障害物B1・B2までの距離、障害物B3までの距離をそれぞれ時系列に記憶する。よって、このステップS7の処理が請求項のセンサ情報取得手段に相当する。側方障害物検出処理では、一定数の距離データ系列(点列)をメモリに記憶した後に、ステップS8に移る構成とすればよい。
【0040】
ステップS8では、直線性決定処理を行って、ステップS9に移る。直線性決定処理では、側方障害物検出処理でそれぞれ時系列に記憶した距離データ系列(点列)を例えば数個分ずつの区分に分けて、その区分内でそれぞれ直線近似を実施する(
図4中のD参照)。そして、隣接する各区分の近似直線の傾きの差が所定値内に収まる区間(つまり、区分の集合)を直線部分と特定し(
図4中のE参照)、この直線部分の長さを車両対向面の輪郭形状の直線らしさと決定する。よって、このステップS8の処理が請求項の直線性決定手段に相当する。
【0041】
車両対向面とは、側方障害物の自車側に向いた面である。また、ここでの車両対向面の輪郭形状とは、隣接する区分の近似直線を繋いだ形状である。また、直線らしさについては、自車Aの左右の側方障害物(障害物B1・B2、障害物B3)の車両対向面の各々について決定する。
【0042】
また、直線らしさの決定の方法は、上述したものに限らない。例えば、以下のような方法で直線らしさを決定する構成としてもよい。
【0043】
1つ目の他の方法では、側方障害物検出処理でそれぞれ時系列に記憶した距離データ系列(点列)を順番に結んだ線分のうちの、傾きの差が所定値内の区分を直線部分と特定する。そして、その直線部分に含まれる点列について直線近似を実施し、得られた近似直線の長さを、車両対向面の輪郭形状の直線らしさと決定する。
【0044】
なお、上述のいずれの方法においても、1つの車両対向面に複数の直線部分が特定された場合に、その各々の直線部分の長さを直線らしさとして決定する構成としてもよいが、本実施形態では、最も長い直線部分の長さを直線らしさとして決定するものとする。
【0045】
また、2つ目の方法では、側方障害物検出処理でそれぞれ時系列に記憶した距離データ系列(点列)から相関係数を算出し、算出した相関係数を、車両対向面の輪郭形状の直線らしさと決定する構成としてもよい。なお、相関係数が1に近いほど直線らしさが高いことになる。
【0046】
直線性決定処理では、自車の左右の一方にしか側方障害物が存在しなかった場合には、その一方の側方障害物の車両対向面の輪郭形状の直線らしさを決定するとともに、存在しない側については例えば直線らしさを0と決定する構成とすればよい。
【0047】
ステップS9では、閾値判定処理を行う。閾値判定処理では、直線性決定処理で決定した直線らしさが所定の閾値以上であるか否かの閾値判定を行う。そして、直線らしさが所定の閾値未満の車両対向面が一方でも存在する、つまり、直線らしさが所定の閾値未満のものがある場合(ステップS9でYES)には、ステップS10に移る。一方、自車Aの左右の車両対向面の両方について、直線らしさが所定の閾値以上、つまり、直線らしさが所定の閾値未満のものがない場合(ステップS9でNO)には、ステップS11に移る。
【0048】
ステップS10では、第1補正処理を行って、ステップS12に移る。第1補正処理では、より直線らしさが高い車両対向面に沿う方向に、目標駐車角度を補正する。そして、目標駐車角度の補正に合わせて駐車経路も算出し直す。一例としては、より直線らしさが高い車両対向面の輪郭形状のうちの、最も長い直線部分に沿う方向に、目標駐車角度を補正する。
【0049】
直線部分が一直線になっていない場合には、近似直線を求め、この近似直線に沿う方向に、目標駐車角度を補正する構成とすればよい。また、点列から算出した相関係数を直線らしさと決定する構成とした場合には、より直線らしさが高い車両対向面についての各点列の近似直線に沿う方向に、目標駐車角度を補正する構成とすればよい。
【0050】
なお、目標駐車角度の補正に合わせて、目標駐車位置も補正を行う構成としてもよいし、補正を行わない構成としてもよい。目標駐車位置の補正も行う場合には、目標駐車位置の補正にも応じて駐車経路を算出し直す。また、目標駐車角度や目標駐車位置の補正に応じて、複数回の後退と前進との繰り返し運転である切り返しが必要となる場合には、この切り返しを行う駐車経路を算出し直すものとする。
【0051】
ステップS11では、第2補正処理を行って、ステップS12に移る。第2補正処理では、自車Aの左右の側方障害物の車両対向面の輪郭形状間の中心を通る線(以下、中心線)を、目標駐車位置及び目標駐車角度の自車Aの前後方向の中心軸として、目標駐車位置及び目標駐車角度を補正する。そして、目標駐車位置及び目標駐車角度の補正に合わせて駐車経路も算出し直す。一例としては、左右の側方障害物の各点列のうちの同時点に検知された点同士を結んだ線分の中心点の集合から得られる近似直線を上記中心線とすればよい。
【0052】
これによれば、左右の側方障害物のいずれも直線らしさが高い場合に、その中間の位置及び角度となるように駐車支援を行うので、例えば左右の駐車車両のうちの一方が駐車枠に対して大きく傾いていた場合にも、この駐車車両に沿って駐車することで自車Aも大きく傾いてしまうことがないようにすることができる。その結果、自車Aが駐車空間Cに対して大きく傾いて駐車されてしまう不具合を生じにくくすることが可能になる。
【0053】
ステップS12では、補正後支援処理を開始して、ステップS13に移る。補正後支援処理では、算出し直された駐車経路に沿って自車Aが走行するように操舵支援や自動操舵を行う。よって、ステップS10〜ステップS12の処理も請求項の支援手段に相当する。
【0054】
ステップS13では、自車Aが駐車を完了したことを検知した場合(ステップS13でYES)には、フローを終了する。自車Aが駐車を完了したことは、例えばシフト位置が駐車位置となったことを示す信号が図示しないシフトポジションセンサから得られたことをもとに駐車支援ECU1が検知する構成とすればよい。一方、自車Aが駐車を完了したことを検知していない場合(ステップS13でNO)には、ステップS7に戻ってフローを繰り返す。
【0055】
本実施形態の構成によれば、駐車空間Cに自車Aが後退して進入する際の自車Aの側方障害物のうち、車両対向面の輪郭形状がより直線らしい側の車両対向面に沿った向きで自車Aを駐車空間Cに並列駐車させる支援が行われることになる。よって、本実施形態の構成によれば、付帯物等の存在によって輪郭形状の一部が傾いて検出されるような車両対向面(
図5のF参照)に沿った向きで自車Aを駐車空間Cに並列駐車させることが回避される。
【0056】
また、直線らしさがより高い車両対向面は、付帯物等が存在しない側の駐車車両や壁など、輪郭形状の一部が傾いていない可能性がより高いので、この車両対向面(
図5のG参照)に沿った向きで自車Aを駐車空間Cに並列駐車させるように支援することで、自車Aが駐車空間Cに対して傾いて駐車されにくくすることが可能になる。従って、自車Aを後退させて障害物に隣接する駐車空間Cに並列駐車させる駐車支援を行う場合に、自車Aが駐車空間Cに対して大きく傾いて駐車されてしまう不具合を生じにくくすることが可能になる。
【0057】
さらに、駐車支援ECU1は、車両対向面の輪郭形状のうちに、最も長い直線部分に対して自車A側に所定値以上突出している部分(
図6の破線で示す円を参照)がある場合には、並列駐車完了時に、その突出している部分の突端部と自車Aの側面との間に予め設定した間隔(
図6のI参照)が空くように目標駐車位置を補正する構成とすることが好ましい。例えば塀(
図6のB3参照)の付近に柱(
図6のB4参照)がある場合に、車両対向面の輪郭形状のうちに、最も長い直線部分に対して自車A側に所定値以上突出している部分が生じる。
【0058】
また、上記補正に合わせて駐車経路も算出し直すことで、上記突端部と自車Aの側面との間に予め設定した間隔を空けて並列駐車できるように車両走行を支援する構成とすることが好ましい。これによれば、自車Aの乗員の乗降車時に通過できるだけの間隔を自車Aの側面に確保することができる。
【0059】
他にも、上記突端部と自車Aの側面との間に予め設定した間隔が空くようにするとともに、自車Aの側面のうちのドアの配置されている領域(以下、ドア領域)が、車両対向面のうちの最も長い直線部分(以下、最長直線部分)の横に位置するように目標駐車位置を補正したり、当該補正に合わせて駐車経路を算出し直したりする構成としてもよい。これによれば、自車Aのドアを開くことのできるスペースをより多くとることで、自車Aの乗員の乗降車をより容易にすることが可能になる。
【0060】
さらに、自車Aの左右に側方障害物が検知された場合には、自車Aの左側のドア領域と左の側方障害物の最長直線部分との間の距離(
図6のJ参照)と、自車Aの右側のドア領域と右の側方障害物の最長直線部分との間の距離(
図6のK参照)とが均等になるように目標駐車位置を補正したり、当該補正に合わせて駐車経路を算出し直したりする構成としてもよい。
【0061】
また、従来の技術では、誤検知等の影響を小さくするため、一度の切り返しで補正する自車Aの傾き(
図7のL参照)に上限値を設けていたが、駐車支援ECU1は、直線性決定処理で決定した車両対向面の直線らしさに応じて、この上限値を変化させることが好ましい。
【0062】
従来の技術では、誤検知等の影響を小さくするため、前述したように、一度の切り返しで補正する自車Aの傾き(つまり、一度の切り返しで補正する車両角度)に上限値を設けていた。しかしながら、その上限値が災いして、通路に対して駐車枠が斜めに引かれている駐車空間への駐車時等の、初期の目標駐車角度と側方障害物の検知により補正された目標駐車角度との傾きズレが大きいシーンにおいて、何度も切り返しを要するといった課題があった。
【0063】
これに対して、上述の構成によれば、直線らしさ(直線度や直線部分の長さ)に応じて、一度の切り返しで補正する車両角度の上限値を変化させる。具体的には、直線らしさが高いほど、付帯物等による車両対向面の輪郭形状の誤検知が生じていない可能性が高いので、直線らしさが高いほど、上限値を高く変化させる構成とすればよい。
【0064】
一例としては、直線らしさが第1の閾値以上の場合には、上限値をデフォルトよりも高く変化させる一方、直線らしさが第2の閾値以下の場合には、上限値をデフォルトよりも低く変化させる構成とすればよい。
【0065】
ここで言うところの第1の閾値は、任意に設定可能な値である。また、第2の閾値は第1の閾値未満の値であって、任意に設定可能な値である。また、ここでの閾値判定に用いる直線らしさは、自車Aの左右の車両対抗面の両方のものであってもよいし、直線らしさがより高い側のものであってもよい。
【0066】
以上の構成によれば、直線らしさが高く、付帯物等による車両対向面の輪郭形状の誤検知が生じていない可能性が高い場合には、上限値を高く変化させることで、より少ない切り返し回数で目標駐車角度の補正を完了できるようにすることができる。また、直線らしさが低く、付帯物等による車両対向面の輪郭形状の誤検知が生じている可能性が高い場合には、上限値を低く変化させることで、誤った方向への目標駐車角度の補正が大きく行われる可能性を低減することができる。
【0067】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。