(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部(10s)に所定の薬液が充填される筒状の第1本体部(10)と、前記第1本体部(10)の一端(10a)に設けられた噴霧ノズル(12)と、前記第1本体部(10)の他端(10b)に設けられた第1開口部(14)と、前記第1本体部(10)の内周面(10c)上に筒径方向の内側に向かって突出して設けられた突出部(16)とを有するバレル(1)と、
筒状の第2本体部(20)と、前記第2本体部(20)の他端(20b)に設けられた第2開口部(24)と、前記第2本体部(20)に設けられ筒軸方向と平行な方向に延在する第1長穴部(26)と、前記第1長穴部(26)よりも前記第2開口部(24)側に設けられ前記筒軸方向と平行な方向に延在する第2長穴部(28)とを有し、前記バレル(1)に一端(20a)側から挿入され、前記バレル(1)の前記内周面(10c)に対して前記筒軸方向に摺動されるプランジャー(2)と、
前記第2本体部(20)の一端(20a)側に取り付けられ、前記プランジャー(2)とともに前記バレル(1)に挿入されることにより、前記バレル(1)の前記内周面(10c)とともに前記内部(10s)に前記薬液を封入するガスケット(4)と、
第3本体部(30)と、前記第3本体部(30)の他端(30b)に設けられた押圧部(34)と、前記第3本体部(30)に設けられ、前記筒径方向の外側に向かって突出し且つ前記筒径方向の内側に向かって弾性的に変位可能な第1係止部(36)と、前記第1係止部(36)よりも前記押圧部(34)寄りの前記第3本体部(30)に設けられ、前記筒径方向の外側に向かって突出し且つ前記筒径方向の内側に向かって前記第1係止部(36)に追従して変位可能な第2係止部(38)とを有し、前記第2本体部(20)に一端(30a)側から挿入され、前記第2本体部(20)の内周面(20c)に対して前記筒軸方向に摺動されるプランジャーロッド(3)と、
前記プランジャー(2)に挿入された前記プランジャーロッド(3)を、前記プランジャー(2)から抜き出す方向に付勢する弾性部材(5)と、
を備え、
第1投与開始状態(S2)において、前記第2係止部(38)は前記第1長穴部(26)に係止し、前記弾性部材(5)は圧縮され、前記第1係止部(36)は前記第1長穴部(26)を通じて前記第2本体部(20)の外周面(20d)からさらに前記筒径方向の外側に突出し、
前記第1投与開始状態(S2)において前記押圧部(34)が押圧されるにつれて、前記第1係止部(36)は前記突出部(16)に向かって前進し、前記第1係止部(36)は前記突出部(16)に当接し、前記第1係止部(36)は前記筒径方向の内側に向かって弾性的に変位し、前記第2係止部(38)の前記第1長穴部(26)への係止状態が解除され、当該鼻腔投与容器(100)は第1投与完了状態(S3)へと移行し、
前記第1投与完了状態(S3)の後の押圧開放状態(S4)において前記押圧部(34)に対する押圧が開放されるにつれて、前記弾性部材(5)の復元力により前記押圧部(34)および前記第2係止部(38)は後退し、前記第2係止部(38)は前記第2長穴部(28)に係止し、当該鼻腔投与容器(100)は第2投与開始状態(S5)へと移行し、
前記第2投与開始状態(S5)において前記押圧部(34)が押圧されるにつれて、前記第2係止部(38)の前記第2長穴部(28)への係止により、前記プランジャー(2)は前記プランジャーロッド(3)に押圧される、
鼻腔投与容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2004−49726号公報(特許文献1)に開示される技術を鼻腔投与容器に適用して各鼻腔に薬液を投与する場合、上記のとおり、プランジャーロッドを回転させる必要がある。プランジャーロッドを回転させるためには、プランジャーを一方の手で把持し、プランジャーロッドを他方の手で回転させる。一方の手のみでプランジャーロッドを回転させることは容易ではなく、両手を用いる必要がある。
【0008】
本発明は、薬液を各鼻腔に投与する際、片手で容易に投与することができる鼻腔投与容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づく鼻腔投与容器は、バレルと、プランジャーと、ガスケットと、プランジャーロッドと、弾性部材とを備えている。上記バレルは、第1本体部と、噴霧ノズルと、第1開口部と、突出部とを有している。上記第1本体部は、筒状に形成されている。上記第1本体部の内部には、所定の薬液が充填される。上記噴霧ノズルは上記第1本体部の一端に設けられている。上記第1開口部は、上記第1本体部の他端に設けられている。上記突出部は、上記第1本体部の内周面上に筒径方向の内側に向かって突出して設けられている。
【0010】
上記プランジャーは、第2本体部と、第2開口部と、第1長穴部と、第2長穴部とを有している。上記第2本体部は、筒状に形成されている。上記第2開口部は、上記第2本体部の他端に設けられている。上記第1長穴部は、上記第2本体部に設けられ、筒軸方向と平行な方向に延在している。上記第2長穴部は、上記第1長穴部よりも上記第2開口部側に設けられ、上記筒軸方向と平行な方向に延在している。上記プランジャーは、上記バレルに一端側から挿入され、上記バレルの上記内周面に対して上記筒軸方向に摺動される。
【0011】
上記ガスケットは、上記第2本体部の一端側に取り付けられる。上記ガスケットは、上記プランジャーとともに上記バレルに挿入されることにより、上記バレルの上記内周面とともに上記内部に上記薬液を封入する。
【0012】
上記プランジャーロッドは、第3本体部と、押圧部と、第1係止部と、第2係止部とを有している。上記押圧部は、上記第3本体部の他端に設けられている。上記第1係止部は、上記第3本体部に設けられている。上記第1係止部は、上記筒径方向の外側に向かって突出し、且つ上記筒径方向の内側に向かって弾性的に変位可能となっている。上記第2係止部は、上記第1係止部よりも上記押圧部寄りの上記第3本体部に設けられている。上記第2係止部は、上記筒径方向の外側に向かって突出し、且つ上記筒径方向の内側に向かって上記第1係止部に追従して変位可能となっている。上記プランジャーロッドは、上記第2本体部に一端側から挿入され、上記第2本体部の内周面に対して上記筒軸方向に摺動される。
【0013】
上記弾性部材は、上記プランジャーに挿入された上記プランジャーロッドを、上記プランジャーから抜き出す方向に付勢する。
【0014】
第1投与開始状態において、上記第2係止部は上記第1長穴部に係止している。上記弾性部材は圧縮されている。上記第1係止部は、上記第1長穴部を通じて上記第2本体部の外周面からさらに上記筒径方向の外側に突出している。
【0015】
上記第1投与開始状態において上記押圧部が押圧されるにつれて、上記第1係止部は上記突出部に向かって前進する。上記第1係止部は、上記突出部に当接する。上記第1係止部は、上記筒径方向の内側に向かって弾性的に変位する。上記第2係止部の上記第1長穴部への係止状態は、解除される。当該鼻腔投与容器は、第1投与完了状態へと移行する。
【0016】
上記第1投与完了状態の後の押圧開放状態において上記押圧部に対する押圧が開放されるにつれて、上記弾性部材の復元力により上記押圧部および上記第2係止部は後退する。上記第2係止部は、上記第2長穴部に係止する。当該鼻腔投与容器は、第2投与開始状態へと移行する。
【0017】
上記第2投与開始状態において上記押圧部が押圧されるにつれて、上記第2係止部の上記第2長穴部への係止により、上記プランジャーは上記プランジャーロッドに押圧される。
【0018】
本発明の他の形態に基づく鼻腔投与容器においては、上記第2本体部が、第1突起部をさらに有している。上記第1突起部は、上記第1投与開始状態において上記第1係止部が上記第1長穴部を通じて突出している位置よりも上記第2本体部の上記一端寄りに位置するように配設される。上記第1突起部は、上記第2本体部の上記外周面から上記筒径方向の外側に向かって突出し且つ上記筒径方向の内側に向かって弾性的に変位可能となっている。
【0019】
上記第1投与開始状態の前の準備状態において、上記押圧部が押圧されるにつれて、上記第1突起部は上記突出部に向かって前進する。上記第1突起部が上記突出部に当接することにより投与されるべき上記薬液の容量が設定される。当該鼻腔投与容器は、上記第1投与開始状態へと移行する。
【0020】
本発明のさらに他の形態に基づく鼻腔投与容器においては、上記第2本体部が、第2突起部をさらに有している。上記第2突起部は、上記外周面から上記筒径方向の外側に向かって突出し且つ上記筒径方向の内側に向かって弾性的に変位可能となっている。上記第1投与開始状態において上記押圧部が押圧されるにつれて、上記第2突起部は上記突出部に向かって前進する。上記第2突起部が上記突出部に当接したとき、上記第1係止部は上記筒径方向の内側に向かって弾性的に変位している。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、薬液を各鼻腔に投与する際、片手で容易に投与することができる鼻腔投与容器を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に基づいた実施の形態に係る鼻腔投与容器について、以下、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。以下に説明する実施の形態において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0024】
[鼻腔投与容器100の構成]
図1〜
図3を参照して、実施の形態に係る鼻腔投与容器100の構成について説明する。
図1を参照して、鼻腔投与容器100は、バレル1と、プランジャー2と、プランジャーロッド3と、ガスケット4と、弾性部材5とを備えている。
【0025】
(バレル1)
図2を参照して、バレル1は、第1本体部10と、噴霧ノズル12と、第1開口部14と、突出部16とを有している。第1本体部10は、筒状に形成されている。第1本体部10は、大径部10Mと、大径部10Mよりも筒径が小さい小径部10Tとから構成されている。
【0026】
大径部10Mと小径部10Tとの間に、突出部16が傾斜して形成されている。突出部16は、大径部10M側から小径部10T側に向かうにつれ、第1本体部10の内周面10cから筒径方向の内側に向かって徐々に突出するように構成されている。第1開口部14は、第1本体部10の他端10bに位置している。
【0027】
噴霧ノズル12は、第1本体部10の一端10aに設けられている。噴霧ノズル12は、鼻腔(不図示)に挿入される。噴霧ノズル12の開口部13を通して、薬液が霧状に噴出される。噴霧ノズル12の周縁部には、ネジ加工15が施されていてもよい。ネジ加工15を利用して、所定の機器(不図示)を噴霧ノズル12の周縁部に螺合させる。所定の機器を利用して、薬液(アジュバンド)を噴霧ノズル12側から第1本体部10の内部10sに充填することができる。
【0028】
バレル1は、フィンガクリップ部18をさらに有していてもよい。この場合、フィンガクリップ部18は、第1本体部10の他端10b側に設けられる。フィンガクリップ部18は、第1本体部10の他端10b側の外周面10dから、筒径方向の外側に向かって延在している。フィンガクリップ部18を有していることにより、薬液をより容易に投与することが可能となる。
【0029】
(プランジャー2・ガスケット4)
図1を参照して、プランジャー2は、第2本体部20と、第2開口部24と、第1長穴部26と、第2長穴部28とを有している。第2本体部20は、筒状に形成されている。第2開口部24は、第2本体部20の他端20bに位置している。
【0030】
第1長穴部26の長さは、後述する第1係止部36の前端部36aから第2係止部38の後端部38bまでの距離よりも長く設定される(
図2参照)。第1長穴部26は、第2本体部20の筒軸と平行な方向に延在している。第2長穴部28の長さは、後述する第2係止部38の前端部38aから第2係止部38の後端部38bまでの距離よりも長く設定される。第2長穴部28も、第2本体部20の筒軸と平行な方向に延在している。第1長穴部26と第2長穴部28とは、略同一直線上に配置されている。第2長穴部28は、第1長穴部26よりも第2開口部24側に位置している。
【0031】
ガスケット4は、プランジャー2の一端20aに設けられたネジ部22に取り付けられる。プランジャー2は、ガスケット4とともに一端20aからバレル1に挿入される。プランジャー2およびガスケット4は、バレル1の内周面10cに対して筒軸方向に摺動する。
【0032】
プランジャー2は、溝29をさらに有していてもよい。この場合、溝29は、プランジャー2(第2本体部20)の他端20b側の内周面20cに配設される。溝29は、筒軸と平行な方向に延在する。プランジャー2に挿入されるプランジャーロッド3に、溝29に対応したリブ39(
図2参照)を設ける。リブ39を溝29に嵌合させた状態で、プランジャーロッド3をプランジャー2の内周面20cに対して筒軸方向に摺動させる。プランジャーロッド3の筒軸回りの回転動作が抑制される。
【0033】
図2および
図3を参照して、プランジャー2は、第1突起部25、第2突起部27、および環状突起部23のうちいずれかまたはすべてをさらに有していてもよい。
【0034】
プランジャー2が第1突起部25をさらに有していることにより、鼻腔に投与されるべき薬液の容量を適切に設定することが可能となる。プランジャー2が第1突起部25を有している場合、第1突起部25は、突起部25aと、板バネ部25bとを含んで構成される。突起部25aは、板バネ部25bの(
図2紙面下方側の)端部寄りに設けられる。突起部25aは、板バネ部25b上から筒径方向の外側に向かってわずかに突出している。
【0035】
板バネ部25bは、筒軸と平行な方向に延在している。板バネ部25bは、第2本体部20に略C字状の切欠25cを設けることにより形成されている。突起部25aが筒径方向の内側に向かって変位することにより、板バネ部25bは筒径方向の内側に向かって弾性的に撓む(第1突起部25に関するその他の詳細は、
図4を参照して後述する)。
【0036】
プランジャー2が第2突起部27をさらに有していることにより、鼻腔に投与されるべき薬液の容量を適切に設定することが可能となる。プランジャー2が第2突起部27を有している場合、第2突起部27は、突起部27aと、板バネ部27bとを含んで構成される。突起部27aは、板バネ部27bの(
図2紙面下方側の)端部寄りに設けられる。突起部27aは、板バネ部27b上から筒径方向の外側に向かってわずかに突出している。
【0037】
板バネ部27bは、筒軸と平行な方向に延在している。板バネ部27bは、第2本体部20に略C字状の切欠27cを設けることにより形成されている。突起部27aが筒径方向の内側に向かって変位することにより、板バネ部27bは筒径方向の内側に向かって弾性的に撓む(第2突起部27に関するその他の詳細は、
図5を参照して後述する)。
【0038】
プランジャー2が環状突起部23を有していることにより、鼻腔に投与されるべき薬液の容量を適切に設定することが可能となる。プランジャー2が環状突起部23を有している場合、環状突起部23は、第2本体部20の外周面20dに配設される。環状突起部23は、第2本体部20の外周面20dから筒径方向の外側に向かって突出するように、環状に構成されている(環状突起部23に関するその他詳細は、
図9を参照して後述する)。
【0039】
(プランジャーロッド3・弾性部材5)
図1を参照して、プランジャーロッド3は、第3本体部30と、押圧部34と、第1係止部36と、第2係止部38とを有している。
【0040】
図2を参照して、第3本体部30は、支持部30Mと板バネ部30Lとを含んで構成されている。支持部30Mと板バネ部30Lとは、他端30b側に位置する押圧部34に連続している。支持部30Mと板バネ部30Lとの間には、略L字状の切欠37が(
図2紙面垂直方向に)延在している。
【0041】
板バネ部30Lは、他端30bを中心にして、矢印AR6に示す方向に弾性的に撓むことができる。矢印AR6に示す方向とは、プランジャーロッド3がプランジャー2に挿入されたとき、プランジャー2の筒径方向の内側に向かう方向である。
【0042】
第1係止部36は、板バネ部30L上に設けられている。第1係止部36は、板バネ部30Lの先端(
図2紙面上方)寄りに位置している。第1係止部36は、板バネ部30L上から、筒径方向の外側に向かう方向に突出している。第1係止部36の前端部36aは、他端30b側の部分から一端30a側の部分に向かうにつれ、筒径方向の内側に向かって徐々に傾斜している。
【0043】
第2係止部38は、第1係止部36と同様に、板バネ部30L上に設けられている。第2係止部38は、第1係止部36よりも他端30b側に位置している。第2係止部38は、第1係止部36と同様に、板バネ部30L上から筒径方向の外側に向かって突出している。
【0044】
第1係止部36が筒径方向の内側に向かって(矢印AR6に示す方向に)変位することにより、板バネ部30Lも同方向に撓む。板バネ部30Lが撓むことにより、第1係止部36には、第1係止部36を筒径方向の外側に向かって変位させようとする復元力が作用する。つまり、第1係止部36は、筒径方向の内側に向かって弾性的に変位している。
【0045】
板バネ部30Lが同方向に撓むのに伴って、第2係止部38も同方向に変位する。板バネ部30Lが撓むことにより、第2係止部38にも、第2係止部38を筒径方向の外側に向かって変位させようとする復元力が作用する。つまり、第2係止部38も、筒径方向の内側に向かって弾性的に変位している。
【0046】
プランジャーロッド3は、一端30aからプランジャー2に挿入される。弾性部材5は、プランジャーロッド3の一端30aに設けられた台座部32と、プランジャー2の一端20a側の内周面20cに設けられた台座部21との間に配置される。
【0047】
プランジャーロッド3は、押圧部34を押圧されることによって、プランジャー2の内周面20cに対して筒軸方向に摺動する。弾性部材5は、押圧部34に付与された押圧力に対抗する。弾性部材5は、プランジャー2に挿入されたプランジャーロッド3を、プランジャー2から抜き出す方向に付勢する。
【0048】
弾性部材5は、プランジャーロッド3をプランジャー2から抜き出す方向に付勢することが可能であれば、他の場所に配置されていてもよい。弾性部材5は、たとえばプランジャー2の他端20bと、プランジャーロッド3の押圧部34(表面34a)との間に配置されていてもよい。弾性部材5は、上記の付勢が可能であれば、コイルバネに限らず、ゴム状の部材であってもよい。弾性部材5は、上記の付勢が可能であれば、板バネ状の部材を含んで構成されていてもよい。
【0049】
図2を参照して、プランジャーロッド3は、リブ39をさらに有していてもよい。この場合、リブ39は、第3本体部30から筒径方向の外側に向かって突出するように設けられる。リブ39は、筒軸と平行な方向に所定の長さをもって延在する。プランジャーロッド3を挿入するプランジャー2に、リブ39に対応した溝29を設ける。リブ39を溝29に嵌合させた状態で、プランジャーロッド3をプランジャー2の内周面20cに対して筒軸方向に摺動させる。プランジャーロッド3の筒軸回りの回転動作が抑制される。
【0050】
プランジャー2が、第1突起部25および/または第2突起部27を有している場合、プランジャーロッド3は、窪み部33を有しているとよい。窪み部33は、プランジャーロッド3の一端30a側に位置している。窪み部33は、プランジャーロッド3の背面部35から筒径方向の内側に向かって窪んで形成される。窪み部33は、筒軸と平行な方向に所定の長さをもって延在する。背面部35は、プランジャー2の内周面20cに対して摺動する。窪み部33および背面部35の動作については、後述する。
【0051】
[鼻腔投与容器100の作用・効果]
図4〜
図9を参照して、鼻腔投与容器100の作用および効果について説明する。鼻腔投与容器100を用いて薬剤を鼻腔に投与する場合、鼻腔投与容器100は、準備状態S1(
図4)、第1投与開始状態S2(
図5)、第1投与完了状態S3(
図6)、押圧開放状態S4(
図7)、第2投与開始状態S5(
図8)、および第2投与完了状態S6(
図9)の各状態に順次移行する。
【0052】
(準備状態S1)
図4を参照して、プランジャー2に、弾性部材5が挿入される。次に、プランジャー2に、プランジャーロッド3が挿入される。プランジャー2にプランジャーロッド3が挿入されるにつれて、板バネ部30Lは、他端30bを中心として、筒径方向の内側に向かって弾性的に撓む。
【0053】
プランジャーロッド3がプランジャー2にさらに挿入されるにつれて、弾性部材5は圧縮される。プランジャーロッド3は、第2係止部38の後端部38bが、第1長穴部26に到達するまでプランジャー2に挿入される。
【0054】
第2係止部38の後端部38bが第1長穴部26に到達したとき、板バネ部30Lの復元力により、第2係止部38は筒径方向の外側に向かって変位する。第2係止部38が第1長穴部26に係止する。第1係止部36も筒径方向の外側に向かって変位する。第1係止部36は、第1長穴部26を通じて、第2本体部20の外周面20dからさらに筒径方向の外側に向かって突出する。
【0055】
第2係止部38を弾性部材5の付勢力により第1長穴部26に係止させた状態で、バレル1に、ガスケット4とプランジャー2とを順に挿入する。第1係止部36の前端部36aと、バレル1の突出部16(16a)とを対向させる。ガスケット4とバレル1とにより囲まれた空間(内部10s)に、薬液(アジュバンド)が充填される。こうして、準備状態S1として、
図4に示す状態が得られる。
【0056】
上記の準備状態S1において、フィンガクリップ部18が設けられている場合、患者は、人差指および中指が表面18aに触れ、親指が押圧部34の裏面34bに触れるように、バレル1を支持する。上記の準備状態S1において、フィンガクリップ部18が設けられていない場合、患者は、小指が一端10a寄りに位置し、親指が押圧部34の裏面34bに触れるように、バレル1を把持してもよい。
【0057】
押圧部34は、患者の親指により矢印AR1に示す方向にゆっくりと押圧される。プランジャー2の他端20bが、押圧部34の表面34aに押圧される。プランジャー2、プランジャーロッド3、ガスケット4および弾性部材5は一体となって、バレル1に対して(紙面上方向に)前進する。
【0058】
ガスケット4が前進するにつれて、薬液が噴霧ノズル12から徐々に排出される。ガスケット4が前進するにつれて、不要な空気も噴霧ノズル12から抜かれる。こうして、鼻腔投与容器100は、準備状態S1から第1投与開始状態S2(
図5に示す状態)へと移行する。
【0059】
上述のとおり、プランジャー2は、第1突起部25をさらに有していてもよい。この場合、第1突起部25は、第2本体部20上において次の位置に配設される。準備状態S1(または次述する第1投与開始状態S2)において、第1係止部36は第1長穴部26から突出している。第1突起部25は、第1突起部25の突起部25aが、第1係止部36の上記突出位置よりも前方側(一端20a側)に位置するように、第2本体部20上に配設される。
【0060】
押圧部34が押圧されるにつれて、第1突起部25は、突出部16(16b)に向かって前進する。第1突起部25は、距離L1だけ前進する。第1突起部25は、突出部16bに当接する。この当接は、患者の親指に抵抗を感じさせる。患者は、押圧部34に対する押圧を停止する。薬液は、噴霧ノズル12から排出されなくなる。
【0061】
プランジャー2が第1突起部25を有していることにより、投与するべき薬液の容量を正確に設定することが可能となる。第1突起部25の位置を変更することにより、投与するべき薬液の容量を自由に得ることが可能となる。
【0062】
(第1投与開始状態S2・第1投与完了状態S3)
図5を参照して、第1投与開始状態S2において、第2係止部38は弾性部材5の付勢力により第1長穴部26に係止している。弾性部材5は、圧縮されている。第1係止部36は、第1長穴部26を通じて筒径方向の外側に向かって突出している。第1係止部36の前端部36aと、突出部16aとは対向している。この状態で、鼻腔投与容器100は、左右のうち一方の鼻腔に挿入される。
【0063】
患者は、押圧部34に対する押圧を再開する。押圧部34が、患者の親指により矢印AR2に示す方向に押圧される。プランジャー2の他端20bが、押圧部34の表面34aに押圧される。プランジャー2、プランジャーロッド3、ガスケット4および弾性部材5は一体となって、バレル1に対して前進する。
【0064】
ガスケット4が前進するにつれて、薬液が噴霧ノズル12から噴出される。通常、噴霧ノズル12から鼻腔に向かって適切に薬液が投与されるために、押圧部34は勢いよく押圧される。
【0065】
プランジャー2が第1突起部25を有している場合、第1突起部25は、患者が押圧部34に対して所定以上の押圧力を付与することにより、弾性的に撓む。バレル1の内周面10cは、突起部25aを筒径方向の内側に向かって変位させる。板バネ部25bは、筒径方向の内側に向かって弾性的に撓む。板バネ部25b(および突起部25a)は、プランジャーロッド3が窪み部33を有している場合、窪み部33内に形成された空間に向かって撓むことができるように構成されているとよい。
【0066】
第1突起部25と、突出部16bとの当接状態は解除される。プランジャー2が第1突起部25を有している場合であっても、第1突起部25は、プランジャー2、プランジャーロッド3、ガスケット4および弾性部材5の前進を妨げない。患者は、噴霧開始時から、高い圧力(所望の圧力)で鼻腔に薬液を投与することができる。
【0067】
プランジャー2、プランジャーロッド3、ガスケット4および弾性部材5は、距離L2だけ前進する。押圧部34の表面34aは、バレル1の他端10bに当接する。この当接は、患者の親指に強い抵抗を感じさせる。患者は、押圧部34に対する押圧を停止する。この当接により、一方の鼻腔に投与されるべき薬液の容量が設定される。
【0068】
上述のとおり、プランジャー2は、第2突起部27をさらに有していてもよい。この場合、第2突起部27は、第1投与開始状態S2において、第2突起部27の突起部27aと突出部16との間の距離が、上記の距離L2と等しくなるように配設されるとよい。
【0069】
押圧部34が押圧されるにつれて、第2突起部27は、突出部16bに向かって前進する。第2突起部27は、距離L2だけ前進する。第2突起部27は、突出部16bに当接する。第2突起部27が突出部16bに当接することと、押圧部34の表面34aがバレル1の他端10bに当接することとは、同時であるよい。この当接により、患者は、押圧部34に対する押圧を停止する。
【0070】
プランジャー2が第2突起部27を有していることにより、投与するべき薬液の容量をより適切に設定することが可能となる。第2突起部27の位置を変更することにより、投与するべき薬液の容量を自由に得ることが可能となる。
【0071】
押圧部34が押圧されるにつれて、第1係止部36も前進する。第1係止部36は、突出部16aに向かって前進し、その後、突出部16aに当接する。押圧部34がさらに押圧されるにつれて、突出部16aは、第1係止部36を矢印AR6に示す方向に向かって変位させる。板バネ部30Lは、他端30bを中心として同方向に向かって弾性的に撓む。
【0072】
第1係止部36の変位に追従して、第2係止部38も同方向に向かって変位する。第2係止部38の第1長穴部26への係止状態は解除される。こうして、鼻腔投与容器100は、第1投与開始状態S2から第1投与完了状態S3(
図6に示す状態)へと移行する。
【0073】
(押圧開放状態S4)
図6を参照して、患者は、押圧部34に対する押圧を開放する。鼻腔投与容器100は、第1投与完了状態S3から押圧開放状態S4(
図7に示す状態)へと移行する。
【0074】
押圧部34に対する押圧の開放は、押圧部34を押圧している親指の力を抜くことのみにより容易に実現することができる。鼻腔投与容器100によれば、冒頭で説明したもとのは異なり、プランジャーロッドを回転させる必要がない。鼻腔投与容器100によれば、両手を用いる必要がない。
【0075】
図7を参照して、押圧部34に対する押圧が開放されるにつれて、プランジャーロッド3は、弾性部材5の復元力により矢印AR4に示す方向に後退する。一方、ガスケット4とバレル1との間の摩擦力により、ガスケット4およびプランジャー2の位置は変わらない。
【0076】
このとき、プランジャー2が第2突起部27を有している場合、第2突起部27の板バネ部27b(の内周面側)と、プランジャーロッド3の背面部35とが摺動するように構成されているとよい。背面部35により、板バネ部27bは筒径方向の内側に向かって撓むことが抑制される。プランジャーロッド3が後退するとき、弾性部材5の復元力が、プランジャー2を前進させる方向に作用する場合がある。この場合であっても、板バネ部27bが筒径方向の内側に向かって撓むことが無いため、第2突起部27の突起部27aと、突出部16bとの当接状態は解除されない。プランジャー2およびガスケット4が前進しないため、不意に薬液が漏れ出ることを抑制することが可能となる。
【0077】
プランジャーロッド3が後退するとき、板バネ部30Lは、筒径方向の内側に向かって弾性的に撓んでいる。第1係止部36と突出部16aとの当接状態が解除されると、板バネ部30Lの復元力により、第2係止部38は筒径方向の外側に向かって変位しようとする。よって患者は、第2係止部38が再び第1長穴部26に係止しないように所定の速度若しくはそれ以上の速度をもって押圧部34を後退させる必要がある。
【0078】
図6を参照して、換言して説明する。押圧部34が後退し、第1係止部36と突出部16aとの当接状態が解除された瞬間を時間T0とする。時間T0の後、第2係止部38の後端部38bが筒径方向の外側に向かって変位し、この後端部38bが第1長穴部26の後端部26bの紙面上方に到達するために必要な時間を時間T1とする。時間T0の後、第2係止部38の表面部38cが紙面下方に向かって後退し、この表面部38cが第1長穴部26と第2長穴部28との間に位置する内周面10caの紙面左方に到達するために必要な時間を時間T2とする。
【0079】
患者は、時間T1よりも、時間T2の方が短くなるように押圧部34に対する押圧を開放する必要がある。時間T1より時間T2の方を短くし易くするために、弾性部材5の付勢力(弾性部材5がコイルバネである場合、バネ定数)を大きくするとよい。時間T1より時間T2の方が短くなるように押圧部34に対する押圧を開放することにより、第2係止部38の表面部38cが内周面10caに接しつつ、プランジャーロッド3はプランジャー2の他端20b側に向かって後退する。
【0080】
プランジャーロッド3は、第2係止部38の前端部38aが、第2長穴部28に到達するまで、距離L3(
図6参照)だけ後退する。第2係止部38の前端部38aが第2長穴部28に到達したとき、板バネ部30Lの復元力により、第2係止部38は筒径方向の外側に向かって矢印AR7に示す方向(
図8参照)に変位する。第2係止部38は、弾性部材5の付勢力により第2長穴部28に係止する。
【0081】
第1係止部36は、第1長穴部26を通じて筒径方向の外側に向かって突出するように構成されるとよい。こうして、鼻腔投与容器100は、押圧開放状態S4から第2投与開始状態S5(
図8に示す状態)へと移行する。
【0082】
(第2投与開始状態S5・第2投与完了状態S6)
図8を参照して、第2投与開始状態S5において、第2係止部38は第2長穴部28に係止している。この状態で、鼻腔投与容器100は左右のうち他方の鼻腔に挿入される。
【0083】
患者は、押圧部34に対する押圧を再開する。押圧部34が、矢印AR5に示す方向に押圧される。第2長穴部28の前端部28aが、第2係止部38の前端部38aに押圧される。プランジャー2、プランジャーロッド3、ガスケット4および弾性部材5は一体となって、バレル1に対して前進する。ガスケット4が前進するにつれて、薬液が噴霧ノズル12から噴出される。
【0084】
図9を参照して、プランジャー2が第2突起部27を有している場合、第2突起部27は、患者が押圧部34に対して所定以上の押圧力を付与することにより、弾性的に撓む。バレル1の内周面10cは、突起部27aを筒径方向の内側に向かって変位させる。板バネ部27bは筒径方向の内側に向かって弾性的に撓む。板バネ部27b(および突起部27a)は、プランジャーロッド3が窪み部33を有している場合、窪み部33内に形成された空間に向かって撓むことができるように構成されているとよい。
【0085】
第2突起部27と、突出部16(16b)との当接状態は解除される。プランジャー2が第2突起部27を有している場合であっても、第2突起部27は、プランジャー2、プランジャーロッド3、ガスケット4および弾性部材5の前進を妨げない。患者は、噴霧開始時から、高い圧力(所望の圧力)で鼻腔に薬液を投与することができる。
【0086】
プランジャー2、プランジャーロッド3、ガスケット4および弾性部材5は、距離L4(
図8参照)だけ前進する。ガスケット4の前端が、バレル1の一端10a側の内周面10cに当接する。この当接は、患者の親指に強い抵抗を感じさせる。患者は、押圧部34に対する押圧を停止する。この当接により、他方の鼻腔に投与されるべき薬液の容量が設定される。薬液は、噴霧ノズル12から噴出されなくなる。こうして、鼻腔投与容器100は、第2投与開始状態S5から第2投与完了状態S6(
図9に示す状態)へと移行する。各鼻腔への薬剤の投与は完了する。
【0087】
上述のとおり、プランジャー2は、環状突起部23をさらに有していてもよい。この場合、環状突起部23は、第2投与開始状態S5(
図8参照)において、環状突起部23と突出部16との間の距離が、上記の距離L4と等しくなるように配設されるとよい。
【0088】
押圧部34が押圧されるにつれて、環状突起部23は、突出部16に向かって前進する。環状突起部23は、距離L4だけ前進する。環状突起部23は、突出部16に当接する。環状突起部23が突出部16に当接することと、ガスケット4の前端が、バレル1の一端10a側の内周面10cに当接することとは、同時であるよい。この当接により、患者は、押圧部34に対する押圧を停止する。薬液は、噴霧ノズル12から噴出されなくなる。
【0089】
以上、本発明の発明を実施するための形態について説明したが、今回開示された形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。