特許第5786908号(P5786908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5786908
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】分離装置および分離装置を有する掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/16 20060101AFI20150910BHJP
   A47L 9/10 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   A47L9/16
   A47L9/10 E
   A47L9/10 Z
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-171481(P2013-171481)
(22)【出願日】2013年8月21日
(62)【分割の表示】特願2010-95440(P2010-95440)の分割
【原出願日】2010年3月31日
(65)【公開番号】特開2013-230406(P2013-230406A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2013年8月22日
(31)【優先権主張番号】0905500.5
(32)【優先日】2009年3月31日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】0912938.8
(32)【優先日】2009年7月24日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ホーン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ロバート ジュープ
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド コリン ワーカー
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム クリスチャン ステッドマン
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02435626(GB,A)
【文献】 特開2003−250734(JP,A)
【文献】 特開2005−021469(JP,A)
【文献】 実公昭43−010791(JP,Y1)
【文献】 特開2007−252577(JP,A)
【文献】 特開2008−272474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/10−9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサイクロン式クリーニングステージと、
前記第1のサイクロン式クリーニングステージの下流に配置された第2のサイクロン式クリーニングステージと、
前記第2のサイクロン式クリーニングステージの下流に、前記第2のサイクロン式クリーニングステージとは分離されて配置された細長いフィルタとを備え、前記フィルタは、前記第1のサイクロン式クリーニングステージにより少なくとも部分的に取り囲まれ、且つ、前記第1のサイクロン式クリーニングステージからの空気流は、前記第2のサイクロン式クリーニングステージを通ってから、前記フィルタを通過するようになっていて、
前記第2のサイクロン式クリーニングステージの前記集塵容器は、前記第1のサイクロン式クリーニングステージによって取り囲まれる、
ことを特徴とする分離装置。
【請求項2】
縦軸を有し、前記フィルタの前記縦軸は、前記分離装置の前記縦軸と一致する、
ことを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記フィルタは、プラスチック材料から形成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分離装置。
【請求項4】
前記フィルタは、有機材料から形成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分離装置。
【請求項5】
前記フィルタは、ソックフィルタである、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項6】
前記フィルタは、静電フィルタである、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項7】
前記静電フィルタは、高圧電源に接続される、
ことを特徴とする請求項6に記載の分離装置。
【請求項8】
前記高圧電源は、前記分離装置内に位置するPCBにより発電される、
ことを特徴とする請求項7に記載の分離装置。
【請求項9】
前記第2のサイクロン式クリーニングステージは、複数の二次サイクロンと集塵容器とを含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項10】
前記静電フィルタは、前記第2のサイクロン式クリーニングステージにより部分的に又は完全に取り囲まれる、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の分離装置。
【請求項11】
前記第1のサイクロン式クリーニングステージと、前記第2のサイクロン式クリーニングステージと、前記フィルタとは、前記分離装置の共通の中心軸の周囲に同心円状に配置される、
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項12】
前記フィルタは、前記第2のサイクロン式クリーニングステージの上端又はこの近くから前記分離装置の基部又はその近くへ延びる、
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の分離装置を含む、
ことを特徴とする掃除機。
【請求項14】
前記分離装置は、前記掃除機の本体に着脱可能に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項13に記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体流から粒子を分離するための分離装置に関する。具体的には、限定的な意味ではないが、本発明は、塵埃含有空気流から塵埃粒子を除去するためのこのような分離装置を有する掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の分離装置には、掃除機で使用されるもの、例えばサイクロン式分離装置がある。このようなサイクロン式分離装置は、比較的大きな粒子を分離するための低効率サイクロンと、この低効率サイクロンの下流に位置する、空気流内に同伴されたままの微粒子を分離するための高効率サイクロンとを含むことが知られている(例えば欧州特許第0042723号B参照)。
【0003】
使用する分離装置の種類に関わらず、少量のごみ及び塵埃が分離装置を通過してモータ駆動式ファンユニットへ運ばれる危険性があり得る。ごみ及び塵埃粒子がモータのファン及びファンユニットを通過すると、ファンが損傷を受け、又は動作効率が悪くなる恐れがあるので、このことは望ましくない。
【0004】
この問題を軽減するために、掃除機によっては、分離装置と空気流発生器との間の空気流路に細目フィルタを含むものもある。このフィルタは、一般にモータ前置フィルタとして知られており、空気流が分離装置を通過した後に空気流内に残留するあらゆる微細なごみ及び塵埃粒子を抽出するために使用される。
【0005】
空気流が機器から出る前にあらゆる残留ごみ及び塵埃粒子を抽出するために、空気流発生器の下流の空気流路にフィルタを設けることも知られている。この種のフィルタはモータ後置フィルタとして知られている。モータ後置フィルタはまた、モータのブラシによって生じる粒子も捕捉する。
【0006】
ダイソンの一連の掃除機、例えばモデル番号DC04、DC07、DC12、DC14及びDC15にはフィルタ組立体が使用されている。この種のフィルタ組立体が動作するための原理は、英国特許第2349105号及び欧州特許第1239760号Bに記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0042723号B公報
【特許文献2】英国特許第2349105号公報
【特許文献3】欧州特許第1239760号B公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
掃除機の用途では、塵埃分離効率が可能な限り高い一方で、適当なフィルタ寿命が保持されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、第1のサイクロン式クリーニングステージと、この第1のサイクロン式クリーニングステージの下流に配置された第2のサイクロン式クリーニングステージと、第2のサイクロン式クリーニングステージの下流に配置されたフィルタとを備えた分離装置を提供し、このフィルタは、第1のサイクロン式クリーニングステージにより少なくとも部分的に取り囲まれる。
【0010】
これには、小型構造を提供するという利点がある。好ましい実施形態では、フィルタをバリアフィルタとすることができる。本明細書で使用する場合、「バリアフィルタ」という用語は、ごみ及び塵埃粒子を捕捉してフィルタの本体内に保持するフィルタのことを意味すると理解すべきである。
【0011】
好ましい実施形態では、フィルタを細長くすることができる。換言すれば、フィルタは幅広であるよりも細長い方が好ましい。好ましい実施形態では、分離装置を通じてフィルタを縦方向に配置することができる。フィルタの縦軸を分離装置の縦軸と一致させることができると好ましい。フィルタを分離装置の中央に収容できることが理想的である。
【0012】
フィルタの断面はいずれの形状であってもよく、例えば円形、正方形、又は長方形の断面であってもよい。或いは、フィルタはソックフィルタであってもよい。本明細書で使用する場合、「ソックフィルタ」という用語は、フィルタが下端を閉じられたほぼ管状であることを意味すると理解されたい。フィルタを変形可能とすることもでき、例えば柔らかな折り畳み可能材料又は布から作ることができる。例えば細長いフィルタハウジングなどのフィルタハウジングにフィルタを収容することもできる。フィルタは、例えばプラスチック又はゴム材料などの変形可能材料から作られたシールのような、1又はそれ以上のシールをさらに含むことができる。シールは、分離装置の使用中に第2のサイクロン式クリーニングステージから排出される空気の全て又は実質的に全てがフィルタに入ってこれを通過するように配置されることが最も好ましい。
【0013】
フィルタは、例えばガラス、フリース、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、又はその他のあらゆる適当なプラスチック材料などのあらゆる適当な材料から形成することができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体を、例えばポリウレタンフォームなどのオープンセル型網状プラスチックフォームとすることができる。ポリウレタンフォームは、ポリエステル又はポリエチレンのいずれかから合成することができる。
【0014】
別の実施形態では、フィルタを、例えば綿、セルロース、紙、又は炭などの有機材料から形成することができる。
【0015】
フィルタ媒体は、孔径が0.1ミクロン、又は0.5mm、又は1mm、又は1.5mm、又は2mm、又は2.5mm、又は3mm、又は3.5mmから、4mm、又は4.5mm、又は5mm、又は5.5mm、又は6mm、又は6.5mm、又は7mm、又は7.5mm、又は8mmまでの、3、又は10、又は50、又は100、又は500、又は1000pores per inch (孔/インチ)(PPI)からのポアサイズを有することができる。特に好ましい実施形態では、フィルタをHEPAフィルタ又はULPAフィルタとすることができる。
【0016】
フィルタ媒体のポアサイズ又は種類は、フィルタ媒体の全長に沿って変化することができる。例えば、ポアサイズは下流方向に増減することができる。このようなポアサイズの変化は、単一のフィルタ媒体内で生じる段階的な変化であってもよく、又はフィルタ媒体の複数の区域をまとめて、その全長にわたってポアサイズが変化するフィルタ媒体を形成してもよい。この場合も、ポアサイズは下流方向に増減することができ、或いは別の無作為的な又は非無作為的な方法で変化することもできる。
【0017】
代替の実施形態では、フィルタを静電フィルタ、例えば摩擦静電フィルタ、エレクトレット媒体フィルタとすることができ、或いは高圧電源に接続された静電フィルタとすることもできる。好ましい実施形態では、好ましくは分離装置内の、例えば分離装置の排気マニホルド内に位置するPCBにより、高圧電源を発電させることができる。
【0018】
しかしながら、PCBは、使用中に分離装置が着脱可能に取り付けられる表面処理装置の本体上に位置することもできる。
【0019】
或いは、上記の材料のいずれかの組合せからフィルタを形成することもできる。例えば、あらゆる適当な方法でともに接着、接合又は縫合することができるフィルタ媒体の1又はそれ以上の層からフィルタを形成することができる。
【0020】
第1のサイクロン式クリーニングステージは、単一の円筒形サイクロンと集塵容器とを含むことが理想的である。集塵容器は、円筒形サイクロン自体の下部から形成されてもよく、或いは円筒形サイクロンの基部に着脱可能に取り付けられる別個の集塵容器の形状であってもよい。
【0021】
第1のサイクロン式クリーニングステージ又はこの一部は、フィルタがこの第1のサイクロン式クリーニングステージにより部分的に又は全体的に取り囲まれるようにフィルタの周囲に配置される。フィルタの外面は、第1のサイクロン式クリーニングステージ内部のサイクロン空気流にさらされないことが理想的である。換言すれば、フィルタは、単一の円筒形サイクロンの内部には存在せず、第1のサイクロン式クリーニングステージ内に収容され、これに取り囲まれる。
【0022】
好ましい実施形態では、第1のサイクロン式クリーニングステージを、第2のサイクロン式クリーニングステージ又は第2のサイクロン式クリーニングステージの一部の周囲に配置して、第2のサイクロン式クリーニングステージ又はこの一部が、第1のサイクロン式クリーニングステージによって取り囲まれるようにすることができる。従って、この実施形態では、第2のサイクロン式クリーニングステージ又はこの一部を第1のサイクロン式クリーニングステージ内に収容することができる。好ましい実施形態では、第2のサイクロン式クリーニングステージ又はこの一部を、第1のサイクロン式クリーニングステージの中を通して縦方向に配置することができる。従って、第1のサイクロン式クリーニングステージの形状を環状とすることができる。
【0023】
特定の実施形態では、第2のサイクロン式クリーニングステージが、並列に配置された複数の二次サイクロンと、この二次サイクロンの下に配置できる集塵容器とを含むことができる。好ましい実施形態では、二次サイクロンを、第1のサイクロン式クリーニングステージ上に又は少なくとも部分的にこの上にリング状に形成することができる。二次サイクロンは、第1のサイクロン式クリーニングステージの縦軸を中心とすることが理想的である。
【0024】
好ましい実施形態では、第2のサイクロン式クリーニングステージの集塵容器を分離装置の中を通して縦方向に配置することにより、第2のサイクロン式クリーニングステージの集塵容器が第1のサイクロン式クリーニングステージによって取り囲まれるとともにこの中に収容されるようにすることができる。
【0025】
フィルタは、第2のサイクロン式クリーニングステージの中心を通って縦方向に配置されることが理想的である。このような実施形態では、第2のサイクロン式クリーニングステージの集塵容器も環状形状とすることができる。このような実施形態では、第1のサイクロン式クリーニングステージと、第2のサイクロン式クリーニングステージと、フィルタとを同心円状に配置することができる。これらは、分離装置の共通の中心軸の周囲に配置されることが好ましい。二次サイクロンがフィルタの最上部を取り囲み、第2のサイクロン式クリーニングステージの集塵容器がフィルタの下部を取り囲むことが好ましい。
【0026】
好ましい実施形態では、フィルタが、第2のサイクロン式クリーニングステージと流体連通状態ではあるが、これから分離される。本明細書で使用する「〜から分離する」という用語は、フィルタが、使用中にサイクロン式クリーニングステージ内部で発生するサイクロン空気流にさらされないことを意味すると理解されたい。
【0027】
フィルタは、第2のサイクロン式クリーニングステージのすぐ下流に存在することができ、或いは空気通路を介して第2のサイクロン式クリーニングステージと流体連通することができる。
【0028】
特定の実施形態では、フィルタが、第2のサイクロン式クリーニングステージの上端から分離装置の基部又はその近くへ延びることができる。フィルタは、第2のサイクロン式クリーニングステージの上端と分離装置の基部との間の距離の40、又は45、又は50、又は55、又は60、又は65、又は70、又は75から、80、又は85、又は90、又は95、又は100%に沿って延びることができると好ましい。これとは別に、或いはこれに加えて、フィルタは、分離装置の全長の50、又は55、又は60、又は65、又は70%から、75、又は80、又は85、又は90、又は95、又は100%まで延びることができる。
【0029】
本発明の第2の態様は、上述のような分離装置を含む掃除機を提供する。特定の実施形態では、分離装置を掃除機の本体に着脱可能に取り付けることができる。
【0030】
以下、一例として添付図面を参照しながら本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による分離装置を組み入れたキャニスター型掃除機である。
図2】本発明による分離装置を組み入れた直立型掃除機である。
図3a図1及び図2に示す分離装置の縦方向断面図である。
図3b図1及び図2に示す分離装置の水平方向断面図である。
図4図3に示す静電フィルタの概略断面図である。
図5】分離装置の代替の実施形態の断面図である。
図6a】分離装置の代替の実施形態の縦方向断面図である。
図6b図6aに示す実施形態の水平断面図である。
図7】分離装置の代替の実施形態の断面図である。
図8a】分離装置の代替の実施形態の断面図である。
図8b図8aの分離装置の交差ダクト組立体の斜視図である。
図9a】本発明によるフィルタの概略断面図である。
図9b】本発明によるフィルタの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
明細書全体を通じて、同様の参照符号は同様の部品を示す。
【0033】
図1及び図2を参照すると、掃除機を示し、参照符号1で大まかに示している。
【0034】
図1では、掃除機1が、本体2と、この本体2に取り付けられた、掃除機1を掃除対象面を横切って操作するためのホイール4と、本体2に着脱可能に取り付けられた分離装置6とを含む。ホース8が分離装置6と連通し、ホース8を介して塵埃含有空気を分離装置6内に吸い込むためのモータ及びファンユニット(図示せず)が本体2内に収容される。一般的には、掃除対象面上における汚れた空気の吸入口10の操作を容易にするために、床に関与する掃除機ヘッド(図示せず)がワンドを介してホース8の遠位端に結合される。
【0035】
使用中、ホース8を介して分離装置6内に吸い込まれた塵埃含有空気は、分離装置6内でこの空気から分離される塵埃粒子を含む。分離装置6内でごみ及び塵埃が収集される一方で、清浄化された空気が冷却目的でモータを通じて導かれ、その後掃除機1から排出される。
【0036】
図2に示す直立型掃除機1は、内部にモータ及びファンユニット(図示せず)を取り付けられた本体2を有し、これにホイール4が取り付けられて、掃除機1を掃除対象面を横切って操作できるようにされる。本体2の下端には掃除機ヘッド14が枢動可能に取り付けられ、掃除対象面に面する掃除機ヘッド14の底面に汚れた空気の吸入口10が設けられる。本体2には分離装置6が着脱可能に設けられ、ダクト16が汚れた空気の吸入口10と分離装置6との間の連通を提供する。分離装置6の後側の本体2上に、ワンド及びハンドル組立体18が解放可能に取り付けられる。
【0037】
使用中、モータ及びファンユニットは、汚れた空気の吸入口10又はワンド18のいずれかを介して、塵埃含有空気を掃除機1の中に吸い込む。塵埃含有空気は、ダクト16を介して分離装置6へ運ばれ、同伴する塵埃粒子が空気から分離されて分離装置6内で保持される。清浄化された空気が冷却目的でモータを通過し、その後掃除機1から排出される。
【0038】
掃除機1の各々の部分を形成する分離装置6を、図3a、図3b、図5図6a、図6b、及び図7にさらに詳細に示す。分離装置6の特定の全体形状は、分離装置6を使用する掃除機1の種類によって変化することができる。例えば、分離装置6の直径に対して分離装置6の全長を増減させることができる。
【0039】
分離装置6は、第1のサイクロン式クリーニングステージ20と、第2のサイクロン式クリーニングステージ22と、分離装置6を通じて縦方向に位置する静電フィルタ70とを含む。静電フィルタの実施形態は、図4でより詳細に分かる。
【0040】
第1のサイクロン式クリーニングステージ20は、実質的に円筒形状の外壁24と、外壁24から径方向内向きに配置されて外壁24と間隔を空けた第2の円筒壁36との間に位置する環状チャンバ38であることが分かる。第1のサイクロン式クリーニングステージ20の下端は基部26により閉鎖され、この基部は枢動部28により外壁24に枢動可能に取り付けられ、留め金30により閉鎖位置に保持される。閉鎖位置では、基部26が壁24、36の下端に対して密閉される。留め金30を解放することにより、基部26が外壁24及び第2の円筒壁36から離れて枢動し、第1のサイクロン式クリーニングステージ20及び第2のサイクロン式クリーニングステージ22を空にすることができるようになる。
【0041】
この実施形態では、環状チャンバ38の最上部が第1のサイクロン式クリーニングステージ22の円筒形サイクロン32を形成し、下部が集塵容器34を形成する。第2のサイクロン式クリーニングステージ22は、並列に配置された12個の二次サイクロン50及び第2の集塵容器64を備える。
【0042】
第1ステージのサイクロン20の外壁24内に、塵埃含有空気の吸入口40が設けられる。塵埃含有空気の吸入口40は、吸入する塵埃含有空気が環状チャンバ38の周囲の螺旋経路をたどるように強要されることを確実にするために、外壁24に対して接線方向に配置される。第1のサイクロン式クリーニングステージ20からの流体出口はシュラウド42の形で設けられる。シュラウド42は、数多くの貫通孔46が形成された円筒壁44を備える。このシュラウド42内の貫通孔46により、第1のサイクロン式クリーニングステージ20からの唯一の流体出口が形成される。
【0043】
シュラウド42の下流には通路48が形成される。通路48は、第2のサイクロン式クリーニングステージ22と連通する。通路48は、二次サイクロン50の吸入口52に通じる環状チャンバの形であってもよく、又は各々が別々の二次サイクロン50に通じる複数の異なる空気通路の形であってもよい。
【0044】
二次サイクロン50の各々の上面を形成する渦ファインダ板56から基部26へ向けて第3の円筒壁54が下方に延びる。第3の円筒壁54は、第2の円筒壁36の径方向内向きに配置されて第2の円筒壁36と間隔を空け、これらの間に第2の環状チャンバ58を形成する。
【0045】
図5及び図6aに示すように、基部26が閉鎖位置にあるときには、第3の円筒壁54が基部26まで下方に達し、これを基部26に対して密閉することができる。或いは、図3a及び図7に示すように、第3の円筒壁54が基部26までは至らずに、これを静電フィルタ基部プレート60により密閉することができる。
【0046】
二次サイクロン50は、実質上又は全体として第1のサイクロン式クリーニングステージ20の上方に円形に配置される。二次サイクロン50の一部は、第1のサイクロン式クリーニングステージ20の最上部内に突出することができる。二次サイクロン50は、第1のクリーニングステージ20の軸を中心としたリング状に配置される。個々の二次サイクロン50は、下方へかつ第1のサイクロン式クリーニングステージ20の軸に向かって傾斜する軸を有する。
【0047】
個々の二次サイクロン50は切頭円錐形であり、第2の環状チャンバ58の最上部内に開口する円錐開口部62を含む。使用中、二次サイクロン50によって分離された塵埃は、円錐開口部62を通じて排出され第2の環状チャンバ58内で収集される。従って、第2の環状チャンバ58が、第2のサイクロン式クリーニングステージ22の集塵容器64を形成する。個々の二次サイクロン50の上端には渦ファインダ66が備わる。渦ファインダ66は、渦ファインダ板56の一体部品であってもよく、又は渦ファインダ板56を貫通してもよい。図示の実施形態では全て、渦ファインダが静電フィルタ70と流体接続する。
【0048】
図3a、図5、及び図7に示す実施形態では、渦ファインダ66が渦フィンガ68内に通じ、この渦フィンガ68は、図3a及び図5では静電フィルタ70の下端に通じる空気通路74と連通し、図7では静電フィルタ70の上端と直接連通する。しかしながら、渦ファインダ66がプレナム又はマニホルド98と連通し、これがさらに空気通路又は直接静電フィルタ70と連通できるようにすることも可能である。図6aでは、渦ファインダ66がプレナム98と連通し、これが静電フィルタ70の上端と直接連通しているのが分かる。
【0049】
図3a及び図3bでは、空気通路74が、分離装置6の中央に縦方向に配置されているのが分かる。空気通路74が静電フィルタ70によって部分的に又は全体的に取り囲まれるように、静電フィルタ70が空気通路74の周囲に配置される。静電フィルタ70の上端は、排気マニホルド94を介して分離装置6の出口ポート96に流体接続される。排気マニホルド94は、渦フィンガ68を少なくとも部分的に取り囲んで、第1の通路が排気マニホルド94自体であり第2の通路が渦フィンガ68である、流体的に異なる2つの空気通路を含む排気マニホルドを形成する。
【0050】
図5では、空気通路74が環状形状であり、静電フィルタ70によって少なくとも部分的に取り囲まれているのが分かる。空気通路74は、静電フィルタ70の下端に至る1つの流体通路、又は個々の流体通路を提供するように配置される。排気通路100が、静電フィルタ70の上端と分離装置6の下端に位置する出口ポート96との間に流体通路を提供する。排気通路100は、分離装置6の中央に縦方向に配置される。空気通路74は、排気通路100が空気通路74により部分的に又は全体的に取り囲まれるように、排気通路100の周囲に配置される。
【0051】
図6aでは、プレナム98が渦ファインダ66と静電フィルタ70とを流体接続しているのが分かる。静電フィルタ70の下端は、分離装置6の下端に位置する分離装置6の出口ポート96に流体接続される。この実施形態では、空気通路又は排気通路は存在しない。
【0052】
図7では、渦フィンガ68が静電フィルタ70に直接通じているのが分かる。静電フィルタ70が分離装置6の中央に縦方向に配置されるとともに環状排気通路100により部分的に又は全体的に取り囲まれるように、環状排気通路100が静電フィルタ70の周囲に配置される。環状排気通路100の上端は、分離装置6の上端に位置する排気マニホルド94を介して分離装置6の出口ポート96に流体接続される。この場合も、排気マニホルド94は、渦フィンガ68を少なくとも部分的に取り囲んで、第1の通路が排気マニホルド94自体であり第2の通路が渦フィンガ68である、流体的に異なる2つの空気通路を含む排気マニホルド94を形成する。
【0053】
上述した実施形態では全て、二次サイクロン50及び集塵容器64の少なくとも一部が静電フィルタ70を取り囲むように、静電フィルタ70が分離装置6の下方に縦方向に配置される。二次サイクロン50が静電フィルタ70の最上部を取り囲み、集塵容器64が静電フィルタ70の下部を取り囲んでいるのが分かる。静電フィルタ70が、渦ファインダ板56から基部26の近くまで延びているのも分かる。
【0054】
図3a、図3b、図4及び図5に示す実施形態では、静電フィルタ70が、同心円状に配置された円筒形の第1の電極76、第2の電極78、及び、第3の電極80を備える。第1の電極76と第2の電極78との間、及び、第2の電極78と第3の電極80との間にはフィルタ媒体82が位置する。
【0055】
静電フィルタ70はまた、コロナ放電電極84及び2つの低曲率電極86の形のコロナ放電手段も含む。しかしながら、静電フィルタ70はコロナ放電手段が無くても機能する。
【0056】
第1の低曲率電極86は、フィルタ媒体82の下面88の下部における第1の電極76の延長部であり、第2の低曲率電極86は、フィルタ媒体82の下面88の下部における第3の電極80の延長部である。
【0057】
コロナ放電電極84は、第2の電極78の鋸歯状の下端90の形をとり、フィルタ媒体82の下面88の下方に延びる。低曲率電極86が、コロナ放電電極84の鋸歯状の下端90の上流側及び下流側の双方に突出しているのが分かる。
【0058】
第1の電極76及び第3の電極80は0ボルトであり、第2の電極78は−4kVから−10kVである。第1の電極76、第2の電極78、及び、第3の電極80は高圧電源に接続される。高圧電源は、排気マニホルド94内に位置するPCBにより発電することが好ましい。
【0059】
電極76、78、80は、例えばアルミニウムなどのあらゆる適当な導電材料から形成することができる。
【0060】
図6a及び図6bに示す実施形態では、静電フィルタ70が、並列に配置された複数の第1の平板電極76及び第2の平板電極78を備える。個々の隣接する第1の電極76と第2の電極78との間にはフィルタ媒体82が位置して層状静電フィルタ70を形成する。静電フィルタ70はいずれの断面形状であってもよいが、円筒形であることが好ましい。第1の電極76及び第2の電極78は、静電フィルタ70の外面を形成する管状通路を提供する第3の円筒壁54の内側に配置される。第1の電極76及び第2の電極78は、縦方向に配置されて、静電フィルタ70を通って縦方向に延びる複数の平行な空気通路を提供する。
【0061】
静電フィルタ70はまた、コロナ放電電極84及び低曲率電極86の形のコロナ放電手段も備える。しかしながら、静電フィルタ70はコロナ放電手段が無くても機能する。個々の低曲率電極86は、フィルタ媒体82の上面102の上部における第1の電極76の延長部である。コロナ放電電極84は、フィルタ媒体82の上面102の上方に延びる第2の電極78の鋸歯状の上端91の形をとる。低曲率電極86が、コロナ放電電極84の鋸歯状の上端91の上流側及び下流側の双方に突出しているのが分かる。
【0062】
第1の電極76は0ボルトであり、第2の電極78は−4kVから−10kVである。第1の電極76、及び、第2の電極78は高圧電源に接続される。
【0063】
図7では、上述の静電フィルタ70が別の種類の静電フィルタ70に置き換えられているのが分かる。この実施形態では、静電フィルタ70を、摩擦静電フィルタ又はエレクトレット媒体静電フィルタ70とすることができる。或いは、静電フィルタ70は、例えばプラスチック及び/又は有機材料から形成されるフィルタなどのその他のいずれの適当な種類のフィルタであってもよい。
【0064】
当然ながら、この静電フィルタ70を、図3a、図3b、図4図5図6a及び図6bに関して説明した静電フィルタ70に置き換えることもできる。同様に、図3a、図3b、図4図5図6a及び図6bで説明した静電フィルタ70を、例えば摩擦静電フィルタ、エレクトレット媒体フィルタ、プラスチック及び/又は有機材料から形成されたフィルタなどの異なる種類のフィルタ70と置き換えることもできる。
【0065】
上述した実施形態の使用中、塵埃含有空気が、塵埃含有空気の吸入口40を介して分離装置6に入り、吸入口40の接線方向の配置により、この塵埃含有空気は外壁24の周囲の螺旋経路をたどる。環状チャンバ38内のサイクロン作用により、大型のごみ及び塵埃粒子が堆積し、集塵容器34内で収集される。部分的に清浄化された塵埃含有空気が、シュラウド42内の貫通孔46を介して環状チャンバ38から出て通路48に入る。次に、この部分的に清浄化された塵埃含有空気は、二次サイクロン50の接線方向入口52の中へ入る。空気流内に依然として同伴する塵埃粒子の一部を分離させるように、二次サイクロン50の内部でサイクロン分離が開始する。二次サイクロン50内で空気流から分離された塵埃粒子は、第2のサイクロン式クリーニングステージ22の集塵容器64の少なくとも一部を形成する第2の環状チャンバ58内に堆積する。次に、さらに清浄化された塵埃含有空気が、渦ファインダ66を介して二次サイクロン50から出る。その後、このさらに清浄化された塵埃含有空気は、静電フィルタ70内に入り込む。
【0066】
図3a及び図3bに示す実施形態では、さらに清浄化された塵埃含有空気が、渦ファインダ66から渦フィンガ68に沿って空気通路74を下り静電フィルタ70の下端へ向けて進む。次に空気は、コロナ放電電極84及び低曲率電極86から形成されるコロナ放電手段を通って移動し、さらに清浄化された塵埃含有空気内に残留するあらゆる塵埃粒子が帯電するようになる。次に、この帯電塵埃を含むさらに清浄化された塵埃含有空気が、フィルタ媒体82を通って上方へ移動する。フィルタ媒体82を横切って電位差が発生し、これが帯電した塵埃粒子をフィルタ媒体82のそれぞれの陽端及び陰端に引き付けることにより、これらの塵埃粒子をフィルタ媒体82内に捕捉する。
【0067】
次に、清浄化された空気が、渦ファインダ板56内の開口部92を介して静電フィルタ70の最上部を離れ、排気マニホルド94に入る。その後、清浄化された空気が、出口ポート96を介して分離装置6から出る。
【0068】
図5に示す実施形態では、さらに清浄化された塵埃含有空気が、渦ファインダ66から渦フィンガ68に沿って空気通路74を下り静電フィルタ70の底端へ向けて進む。次に空気は、コロナ放電電極84及び低曲率電極86から形成されるコロナ放電手段を通って移動し、さらに清浄化された塵埃含有空気内に残留するあらゆる塵埃粒子が帯電するようになる。次に、この帯電塵埃を含むさらに清浄化された塵埃含有空気が、フィルタ媒体82を通って上方へ移動する。フィルタ媒体82を横切って電位差が発生し、これが帯電した塵埃粒子をフィルタ媒体82のそれぞれの陽端及び陰端に引き付けることにより、これらの塵埃粒子をフィルタ媒体82内に捕捉する。
【0069】
その後、清浄化された空気が静電フィルタ70の最上部を離れて排気通路100に入り、この排気通路100が、分離装置6の中央を通じて分離装置6の下端に位置する出口ポート96まで下方に空気を導く。
【0070】
図6a及び図6bに示す実施形態では、さらに清浄化された塵埃含有空気が渦ファインダ66から出てプレナム98に入る。空気は、プレナム98を通過して静電フィルタ70の最上部に入る。次に空気は、コロナ放電電極84及び低曲率電極86から形成されるコロナ放電手段を通って移動し、さらに清浄化された塵埃含有空気内に残留するあらゆる塵埃粒子が帯電するようになる。次に、この帯電塵埃を含むさらに清浄化された塵埃含有空気が、フィルタ媒体82を通って下方へ移動する。フィルタ媒体82を横切って電位差が発生し、これが帯電した塵埃粒子をフィルタ媒体82のそれぞれの陽端及び陰端に引き付けることにより、これらの塵埃粒子をフィルタ媒体82内に捕捉する。
【0071】
その後、清浄化された空気が静電フィルタ70の下端を離れ、分離装置6の下端に位置する出口ポート96を介して分離装置6から出る。
【0072】
図7に示す実施形態では、さらに清浄化された塵埃含有空気が、渦ファインダ66から渦フィンガ68に沿って静電フィルタ70内へ入る。このさらに清浄化された塵埃含有空気が、静電フィルタ70を通って下方へ移動する。その後、清浄化された空気が静電フィルタ70の下端を離れ、排気通路100を上方に移動して、分離装置6の上端に位置する出口ポート96を介して分離装置6から出る。
【0073】
この説明から、分離装置6が2つの異なるサイクロン分離のステージ及び異なる静電フィルタ処理のステージを含むことが理解されるであろう。第1のサイクロン式クリーニングステージ20は、単一の円筒形サイクロン32を含む。この外壁24の相対的に大きな直径は、ごみ及び破片に加わる遠心力が相対的に小さいことから、比較的大きなごみ及び破片の粒子が空気から分離されることを意味する。同様に微細なごみも多少は分離される。大きな破片の大半は、集塵容器34内に確実に堆積する。
【0074】
二次サイクロン50は12個存在し、これらの各々が円筒形サイクロン32よりも小さな直径を有することにより、円筒形サイクロン32よりも微細なごみ及び塵埃粒子を分離することができる。これらはまた、すでに円筒形サイクロン32によって清浄化された空気に挑むので、同伴されるごみ粒子の量及び平均サイズが円筒形サイクロン32によって清浄化されない場合よりも小さくなるという付加的な利点も有する。二次サイクロン50の分離効率は、円筒形サイクロン32の分離効率よりも大幅に高いが、微小粒子のなかには、依然として二次サイクロン50から静電フィルタ70へ通り抜けるものもある。
【0075】
上述の実施形態では全て、フィルタ媒体82を、例えばポリエステルから合成される開放気泡網状ポリウレタンフォームなどのあらゆる適当な材料から形成することができる。
【0076】
フィルタ媒体82は、6〜12PPIの範囲の、好ましくは8〜10PPIの範囲のポアサイズを有する。フィルタ媒体82は、各々が異なるポアサイズを有する2つの部分から形成されるので、図3に示すフィルタ媒体82のポアサイズはその全長に沿って変化する。図4に示す実施形態では、上流部分が8PPIのポアサイズを有し、下流部分が10PPIのポアサイズを有する。
【0077】
さらなる実施形態を図8に示す。この実施形態では、分離装置がフィルタ136を含んでいるのが分かる。このフィルタは、縁600、基部キャップ602、及び縁600と基部キャップ602との間に位置する4つの円筒形フィルタ部材を含む。フィルタ136は概ね円筒形状であり、縁600により境界される中央開放チャンバ612、基部キャップ602、及び最内部の第1のフィルタ部材604を含む。
【0078】
フィルタ136は、柔軟性、可撓性、及び弾性があるように構成される。縁600は、軸Xに垂直な方向Zの幅Wを有する環状形状である。縁600は、硬さと変形しやすさとを備えた材料から加工され、このためユーザは、特に洗浄中に縁600を押圧し又は握ってフィルタ136を手でねじって絞ることにより縁600(従ってフィルタ136)を変形させることができるようになる。この実施形態では、縁600及び基部キャップ602はポリウレタンから形成される。
【0079】
フィルタ136の個々のフィルタ部材は長方形で加工される。この結果、4つのフィルタ部材が、縫合、接着、又はその他の適当な技法によりフィルタ部材の最長端部に沿ってともに接合及び固定され、実質的に開放した円筒形状を有するフィルタ材料のパイプ長を形成する。次に、好ましくはフィルタ組立体136の加工中に縁600及び基部キャップ602のポリウレタン材料をオーバーモールド成型することにより、個々の円筒形フィルタ部材の上端が縁600に接着される一方で、個々のフィルタ部材の下端が基部キャップ602に接着される。或いは、フィルタ部材を取り付けるための加工技術は、フィルタ部材の上端及び下端の周囲にポリウレタンを接着して回転成形することを含む。このようにして、加工プロセス中にフィルタ部材がポリウレタンにより封入されて、特にフィルタ136の洗浄中におけるユーザによる操作及び取り扱いに耐え得る強化した配置がもたらされる。
【0080】
第1のフィルタ部材604は、糸目の粗い織物構造又はメッシュ構造を有するスクリム材料又はウェブ材料の層を含む。第2のフィルタ部材606は、第1のフィルタ部材604を取り囲むとともに、フリースなどの不織フィルタ媒体から形成される。第2のフィルタ部材606の形状及び容量は、縁600の幅W及びフィルタ136の高さによって定められた容量を実質的に満たすように選択される。従って、第2のフィルタ部材606の幅は、縁600の幅Wと実質的に同じである。
【0081】
第3のフィルタ部材608は、第2のフィルタ部材606を取り囲むとともに、両側を防護布に覆われた静電フィルタ媒体を含む。縫合又はその他の密封手段により、層が公知の方法で結合される。
【0082】
第4のフィルタ部材610は、第3のフィルタ部材608を取り囲むとともに、糸目の粗い織物構造又はメッシュ構造を有するスクリム材料又はウェブ材料の層を含む。
【0083】
加工中、第1のフィルタ部材604の上部が、第2のフィルタ部材606に直接隣接する縁600及び基部キャップ602に接着される。第3のフィルタ部材608の上部は、第2のフィルタ部材606に直接隣接する縁600及び基部キャップ602に接着され、第4のフィルタ部材610の上部は、第3のフィルタ部材608に直接隣接する縁600及び基部キャップ602に接着される。このようにして、フィルタ部材604、606、608、610が、縁600及び基部キャップ602に対してフィルタ組立体136内の適所に保持されることにより、空気流がまず第1のフィルタ部材に衝突してから、順に第2、第3及び第4のフィルタ部材に衝突するようになる。防護布で両側を覆われた静電フィルタ媒体を含む第3のフィルタ部材608では、第3のフィルタ部材608の層を全て縁600及び基部キャップ602に接着することにより、使用中における第2のフィルタ部材608の層間剥離の危険性が低下するようになることが好ましい。
【0084】
この実施形態では、使用中、空気は、第2のサイクロン式クリーニングステージ22から出ると、中央開放チャンバ612を通過して、フィルタ136のフィルタ部材へ向けて接線方向外向きに強制される。空気流は、まず第1のフィルタ部材604に入り、その後第2のフィルタ部材606、第3のフィルタ部材608及び第4のフィルタ部材610を順次通過し、個々のフィルタ部材を通過するにつれ、空気流からごみ及び塵埃が除去される。
【0085】
フィルタ136から放出された空気流は円筒形チャンバ132に入り込み、フィルタ出口ダクト176内に吸い込まれて分離装置の最上端72から出る。
【0086】
この実施形態のフィルタ136の配置に起因して、分離装置は交差ダクト組立体138をさらに備える。この交差ダクト組立体138を図8bに示しており、環状シール162及び交差ダクト164を含む。好ましい実施形態では、シール162がゴムであり、これが交差ダクト164の外面周囲に摩擦嵌めで固定される。交差ダクト164は上部及び下部を含む。交差ダクト164の上部にはシール162が位置する。交差ダクト164の上部は、分離装置からの流体出口を提供する、凸状の、好ましくは半球状の外面を有する概ねカップ形状部分166を含む。交差ダクト164の下部は、リップ168と、円筒形チャンバ132のサイズ及び形状に対応するように成形された円筒形外側ハウジング170とを含む。リップ168は、円筒形外側ハウジング170の直径よりもわずかに大きな直径を有するように成形され、円筒形外側ハウジング170の上端に向かって位置する。交差ダクト164の上部と下部との間には入口チャンバ172が形成される。入口チャンバ172は、カップ形状部分166の下面と、円筒形外側ハウジング170の上面と、リップ168とによって境界される。
【0087】
交差ダクト164は、空気が交差ダクト164を第1の方向に通過する第1のダクトの組、及び空気が交差ダクト164を第1の方向とは異なる第2の方向に通過する第2のダクトの組を含む。この実施形態では、交差ダクト164の円筒形外側ハウジング170内に8つのダクトが位置する。これらダクトは、4つのフィルタ入口ダクト174からなる第1の組、及び4つのフィルタ出口ダクト176からなる第2の組を含む。フィルタ入口ダクト174は軸Xを中心とする環状構成で配置され、この構成内でフィルタ入口ダクト174が均等に間隔を空ける。同様にフィルタ出口ダクト176も均等に配置され軸Xを中心に間隔を空けるが、フィルタ入口ダクト174から約45度の角度だけ角度補正される。
【0088】
図8aを参照すると、渦フィンガ68が交差ダクト組立体138と連通している。個々の渦フィンガ68の出口は、交差ダクト組立体138の入口チャンバ172で終端する。
【0089】
個々のフィルタ入口ダクト174は、円筒形外側ハウジング170の上面に向かうとともに入口チャンバ172に隣接して位置する入口開口部と、円筒形外側ハウジング170の基部に向かって位置する出口開口部とを有する。個々のフィルタ入口ダクト174は、入口開口部と出口開口部との間に延びる通路184を含む。通路184は、交差ダクト164を通過する空気流のノイズ及び乱流を低減させるための、滑らかに変化する断面を有する。
【0090】
個々のフィルタ出口ダクト176は、円筒形外側ハウジング170の外面内の入口開口部188と、清浄化された空気をフィルタ組立体136から離してダクトに通すための出口ポート190とを含む。入口開口部188と出口ポート190との間に延びる通路186は、円筒形外側ハウジング170を円筒形外側ハウジング170の外面から軸Xの方へ通過する。必然的に、出口ポート190は、外側開口部188よりも軸Xに近い方に位置する。出口ポート190は円形であることが好ましい。
【0091】
図9a及び図9bに代替の配置を示している。これらの実施形態では、第1及び第2のサイクロン式クリーニングステージは除去されている。フィルタ136が、図8に示すフィルタ136と同じ位置に位置決めされる。しかしながら、上述した交差ダクトは不要である。
【0092】
図9aに示す実施形態では、第2のサイクロン式クリーニングステージから移動する空気が、フィルタ136を取り囲む外側空気通路650を下方へ移動する。次に空気はフィルタ136を通過し、その後中央排気通路652を介してフィルタ136の最上部から出る。
【0093】
図9bに示す実施形態では、第2のサイクロン式クリーニングステージから移動する空気が中央開放チャンバ612を通過し、フィルタ組立体132のフィルタ部材へ向けて接線方向外向きに強制される。この実施形態では、フィルタ136から放出された空気流が外側円筒形チャンバ132に入り込み、分離装置の下端72における出口ポート96へ向かう。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図9a
図9b