【実施例】
【0014】
[第1実施例]
図1は本発明の第1実施例であるパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、
図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、
図3はパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。
【0015】
[パチンコ機10の全体構成]
第1実施例のパチンコ機10は、
図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(
図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。
【0016】
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定される。
【0017】
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
【0018】
上受け皿14は、その上面部に、CRユニットに挿入されたカードの価値残高(有価残高)の範囲内で遊技球の貸し出しを指示するための球貸ボタン24aと、CRユニットに挿入されているカードの返却を指示するための返却ボタン24bとが配設されている。また、上受け皿14は、その上面中央部に、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン26が配設されている。
【0019】
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられており、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチセンサ18a(
図3参照)や遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ18b(
図3参照)が設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータ19(
図3参照)が回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
【0020】
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、
図2に示すように、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の右部に配置され遊技球の通過を検知するゲートスイッチ32a(
図3参照)を有する普通図柄作動ゲート32と、遊技領域31の右下部に配置された図柄表示装置40と、遊技領域31の中央部に配置された演出表示装置34と、演出表示装置34の周囲を囲むように配置されたセンター役物49と、センター役物49の下側に配置され遊技球の入賞を検知する第1始動口スイッチ36a(
図3,
図4参照)を有する第1始動口36と、同じくセンター役物49の下側に配置され遊技球の入賞を検知する第2始動口スイッチ38a(
図3,
図4参照)を有する第2始動口38と、第1始動口36および第2始動口38の上部に入球口61が設けられ入球口61に入球した遊技球を第1始動口36および第2始動口38のいずれかに振り分ける始動口振分装置60と、センター役物49の右部に入球口39が設けられ入球口39に入球した遊技球を第2始動口38に誘導するワープ通路66と、ワープ通路66の入球口39に取り付けられた開閉可能なチューリップ式の普通電動役物39と、遊技領域31の右下部に配置され遊技球の入賞を検知する大入賞口スイッチ44a(
図3参照)を有する大入賞口44と、遊技領域31の左下部に配置され一般入賞口スイッチ45a(
図3参照)を有する一般入賞口45と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口46と、を備える。また、遊技盤30には、この他に、遊技領域31を流下する遊技球をガイドしたり弾いたりする風車48や図示しない多数の釘が設けられている。
【0021】
ワープ通路66の入球口39は、普通電動役物として設けられる可変式の入球口であり、翼片部39aと、翼片部39aを作動させる普通電動役物ソレノイド39b(
図3参照)と、を備える。この入球口39は、翼片部39aが直立しているときには遊技球の入球の可能性が比較的低い通常状態となり(
図2の点線参照)、翼片部39aが右側に開いているときには遊技球の入球の可能性が通常状態よりも高い開放状態となる(
図2の実線参照)。ワープ通路66は入球口39に入球した遊技球を第2始動口38へ誘導するよう構成されているから、開放状態では第2始動口38への遊技球の入球の可能性が通常状態よりも高い状態となる。なお、本実施例では、翼片部39aが直立した通常状態においては、入球口39への遊技球の入球が不可能となるように構成されている。
【0022】
図4は、始動口振分装置60の構成の概略を示す構成図である。始動口振分装置60は、
図4に示すように、遊技球が入球可能な入球口61と、入球口61に連通する入球口側通路62aが第1始動口36に連通する第1始動口側通路62bと第2始動口38に連通する第2始動口側通路62cとに逆Y字型に分岐された遊技球通路62と、遊技球通路62の分岐点に設けられ入球口61から入球し入球口側通路62aを通過した遊技球を第1始動口側通路62bおよび第2始動口側通路62cのいずれかに振り分ける振分部材64と、を備える。第2始動口側通路62cにはワープ通路66の排出口68が形成されており、ワープ通路66を通って排出口68から排出された遊技球は振分部材64を介さずに直接に第2始動口38へ誘導されるようになっている。
【0023】
振分部材64は、円弧状に形成された胴部64aと、胴部64aの円弧の左端点に繋がる左肩部64bと、胴部64aの円弧の右端点に繋がる右肩部64cと、左肩部64bと右肩部64cとの間から突出された突出部64dとを有する。胴部64aは、遊技球通路62の分岐点に形成された支持部63によって、円弧の中心点を回動軸として所定角度範囲内で回動自在に支持されている。
【0024】
図5は、始動口振分装置60(振分部材64)が遊技球を第1始動口36と第2始動口38とに振り分ける様子を示す説明図である。図示するように、振分部材64の突出部64dが左側に傾いている状態で入球口61に遊技球が入球すると、入球した遊技球は右肩部64cに落下する(
図5(a),(b)参照)。遊技球が右肩部64cに落下すると、遊技球の重みによって胴部64aが時計回りに回動すると共に突出部64dが右側に傾き、遊技球を第2始動口38へ誘導する(
図5(c)参照)。振分部材64の突出部64dが右側に傾いている状態で次に入球口61に遊技球が入球すると、入球した遊技球は左肩部64bに落下する(
図5(d),(e)参照)。遊技球が左肩部64bに落下すると、遊技球の重みによって胴部64aが反時計回りに回動すると共に突出部64dが左側に傾き、遊技球を第1始動口36へ誘導する(
図5(f)参照)。このように、振分部材64は、遊技球が入球する度に、遊技球を第1始動口36と第2始動口38とに交互に振り分けるように構成されている。
【0025】
大入賞口44は、特別電動役物として設けられる可変式の入球口であり、開閉板44cと、開閉板44cを作動させる大入賞口ソレノイド44b(
図3参照)と、を備える。この大入賞口44は、通常は開閉板44cによって塞がれて遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態)とされており、大当り遊技(特定遊技)のときに、大入賞口ソレノイド44b(
図3参照)によって開閉板44cが作動して手前側に開くことで、遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態)となる。大入賞口44には、遊技球の入球を検知すると共にその入球数をカウントするための大入賞口スイッチ44a(
図3参照)が取り付けられている。本実施例では、大当り遊技の処理として、大入賞口スイッチ44aが遊技球の入球を10個カウントするか10個カウントする前に所定時間(例えば、25秒)が経過するまでを1ラウンドとして大入賞口44を開放し、規定ラウンドまで大入賞口44の開放動作を繰り返す。なお、各ラウンドの間には、所定時間(例えば、2秒間)だけ大入賞口44を閉状態とする。
【0026】
図柄表示装置40は、
図6の構成図に例示するように、普通図柄の変動表示および停止表示が可能な普通図柄表示部(普通図柄表示装置)41と、特別図柄の変動表示および停止表示が可能な特別図柄表示部(特別図柄表示装置)42と、大当り遊技の規定ラウンド数(最大ラウンド数)を示す図柄を表示するラウンド表示部(ラウンド表示装置)43と、を備える。普通図柄表示部41は、発光ダイオード(LED)を用いて構成された左普通図柄表示部41aおよび右普通図柄表示部41bを備える。
図7に、普通図柄表示部41の表示態様の一例を示す。普通図柄表示部41は、図示するように、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に消灯した表示態様(上から1段目参照)と、左普通図柄表示部41aが点灯し右普通図柄表示部41bが消灯した表示態様(上から2段目参照)と、左普通図柄表示部41aが消灯し右普通図柄表示部41bが点灯した表示態様(上から3段目参照)と、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に点灯した表示態様(上から4段目参照)の4通りの表示態様がある。普通図柄表示部41は、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過するのを検知したときに、4通りの表示態様を順次切り替えることにより普通図柄を変動表示させ、変動表示の実行時間が経過すると、上記表示態様のうちのいずれかの表示態様で普通図柄を停止表示させる。このとき、停止表示された普通図柄の表示態様が特定の表示態様(例えば、上から4段目に示す表示態様)であるときに、当りとして入球口39(第2始動口38)を一定時間(例えば、0.5秒)に亘って開放する。なお、普通図柄の変動表示中に、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過したときには、普通図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。
【0027】
特別図柄表示部42は、
図6に示すように、7セグメント表示器を用いて構成された第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bとを備えており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数通りの表示態様(最大128通り)を表現している。特別図柄表示部42は、第1始動口36か第2始動口38かのいずれかへの遊技球の入球が検知されたときに、第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bのうち対応する特別図柄表示部の表示状態を順次切り替えることにより特別図柄を変動表示させ、変動表示の実行時間が経過すると、表現可能な表示態様のうちのいずれかの表示態様で特別図柄を停止表示させる。このとき、停止表示された特別図柄の表示態様が特定の表示態様(当り特別図柄)である場合に、大当りとなる。本実施例では、第1特別図柄表示部42aが第1始動口36への遊技球の入球に基づき特別図柄を変動表示させる第1始動口対応表示部となっており、第2特別図柄表示部42bが第2始動口38への遊技球の入球に基づき特別図柄を変動表示させる第2始動口対応表示部となっている。以下、第1特別図柄表示部42aで表示される特別図柄を第1特別図柄(特
図1)とも呼び、第2特別図柄表示部42bで表示される特別図柄を第2特別図柄(特
図2)とも呼ぶ。
図8に、大当り時における特別図柄表示部42の表示態様の一例を示す。図示するように、第1の通常大当りとなる特別図柄(第1の通常大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける右上,右下および左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける中段の横棒セグメントと右上および左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様とがある(上から1段目参照)。また、第1の確変大当りとなる特別図柄(第1の確変大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける上段の横棒セグメントと右下および左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける上段の横棒セグメントと左上および左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様とがある(上から2段目参照)。また、第2の確変大当りとなる特別図柄(第2の確変大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける上段の横棒セグメントと右下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける上段および下段の横棒セグメントと左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様とがある(上から3段目参照)。なお、大当り時における特別図柄の表示態様は、上記態様に限られることはなく、如何なる態様で表示するものとしてもよいし、大当り時における特別図柄の表示態様の種類も1種類に限られず、複数種類用意するものとしてもよい。特別図柄の変動表示中に、遊技球が第1始動口36および第2始動口38のいずれかに入球したときには、それぞれの始動口毎に特別図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている特別図柄の変動表示が順次消化される。なお、後述するが、第1特別図柄の変動表示の保留数は第1保留図柄35aによって表示され、第2特別図柄の変動表示の保留数は第2保留図柄35bによって表示される。
【0028】
ここで、第1の通常大当りは、大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、16ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、大当り判定の結果(特別図柄の当否判定)が大当りとなる確率(大当り確率)を低確率(通常確率)に設定し、所定回数(例えば、100回)の特別図柄の変動表示が行われるまで、特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮されると共に普通図柄が当りで停止表示されたときに入球口39(第2始動口38)の開放時間が延長される電サポあり状態を発生させる大当り態様である。なお、大当り遊技の終了後に所定回数の特別図柄の変動表示が行われると、電サポあり状態が終了し、電サポなし低確率状態となる。第1の確変大当りは、第1の通常大当りと同様に大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、16ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、所定回数(例えば、10,000回)の特別図柄の変動表示が行われるまで、大当り確率を低確率よりも高い高確率に設定し、且つ、電サポあり状態を発生させる大当り態様である。また、第2の確変大当りは、大入賞口44の開放が第1の通常大当りよりも少ないラウンド数(例えば、2ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、所定回数(例えば、10,000回)の特別図柄の変動表示が行われるまで、大当り確率を高確率に設定し、且つ、電サポあり状態を発生させる大当り態様である。
【0029】
演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されており、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出や予告演出などの様々な演出表示が行われる。本実施例の演出表示装置34は、
図9に例示する画面構成に示すように、横方向に並んで配置されキャラクタや数字により構成される左,中,右の3つの演出図柄(疑似特別図柄)34L,34M,34Rと、図示しない背景図柄とを有している。この演出表示装置34は、遊技球が第1始動口36に入球した場合と、遊技球が第2始動口38に入球した場合に、3つの演出図柄34L,34M,34Rを変動表示させる。演出図柄34L,34M,34Rは、変動表示が開始されると、それぞれ上から下に向かって高速でスクロールするように変動表示され、変動表示の実行時間(変動時間)が経過すると、左の演出図柄34L,右の演出図柄34R,中の演出図柄34Mの順に停止表示される。このとき、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致しなかったときにはリーチなしの単純な外れとなり、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなる。そして、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかったときにはリーチありの外れとなり、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致したときに大当りとなる。この演出表示装置34で表示される演出図柄の当否の結果は、基本的には、上述した特別図柄表示部42により表示される特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)の当否の結果と対応する。
【0030】
また、本実施例では、演出表示装置34の表示画面内に第1保留図柄35aと第2保留図柄35bも表示されている。第1保留図柄35aは、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示中に第1始動口36に遊技球が入球するごとに左側から順に一つずつ表示され、第1特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入球時とは逆の順に消去される。第2保留図柄35bも、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示中に第2始動口38に遊技球が入球するごとに左側から順に一つずつ表示され、第2特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入球時とは逆の順に消去される。
【0031】
こうして構成された第1実施例のパチンコ機10では、第1始動口36および第2始動口38の上部に設けられた始動口振分装置60が演出表示装置34の下部に配置されており、大当り遊技中でないときに、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側に流下させるように発射ハンドル18の回転操作(所謂左打ち)を行うことにより、遊技球を始動口振分装置60(入球口61)に入球させて、振分部材64の振り分けを経て第1始動口36および第2始動口38のいずれかに入球させることができる。また、普通図柄作動ゲート32およびワープ通路66の入球口39が演出表示装置34の右側に配置されており、遊技者は発射ハンドル18を最大限右回転させて遊技球を発射させる所謂右打ちを行うことにより、遊技球を普通図柄作動ゲート32に通過させることができ、普通図柄が当りとなって入球口39が開放すると、遊技者は右打ちを継続することにより、遊技球を入球口39からワープ通路66を経て第2始動口38に入球させることができる。なお、前述したように、第2始動口38は、遊技者が左打ちを行うことで遊技球が始動口振分装置60を経由して入球する場合と、遊技者が右打ちを行うことで遊技球がワープ通路66を経由して入球する場合とがある。電サポなし状態では、電サポあり状態に比してワープ通路66の入球口39への遊技球の入球が困難となるから、遊技者は右打ちを行うよりも左打ちを行う方が第2始動口38に遊技球を入球させ易い。一方、電サポあり状態では、ワープ通路66の入球口39への遊技球の入球が容易となるから、遊技者は左打ちを行うよりも右打ちを行う方が第2始動口38に遊技球を入球させ易い。また、大入賞口44は遊技領域31の右下部に配置されており、大当り遊技が開始されると、遊技者は右打ちを行うことにより、遊技球を遊技領域31の右側(演出表示装置34の右側領域)に流下させて、開状態となった大入賞口44に入球させることができる。
【0032】
[制御回路の構成]
次に、実施例のパチンコ機10の制御回路の構成について主として
図3を参照しながら説明する。パチンコ機10の制御回路は、
図3に示すように、遊技の基本的な進行の制御を司る主制御基板70と、賞球や球貸の払い出しに関する制御を司る払出制御基板80と、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板100と、外部装置との通信を司る外部制御基板110などの制御基板により構成されている。これらの制御基板は、各種論理演算や算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM,プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM,各種制御に必要な時間を計るタイマ(システムタイマ),周辺機器との間でデータをやり取りするための周辺機器インターフェース(PIO),CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器,CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ,定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマー・サーキット)などの種々の周辺LSIがバスにより相互に接続されている。なお、
図3では、各制御基板に搭載された各種デバイスのうち主制御基板70のCPU70a,ROM70b,RAM70c,タイマ70dのみを図示し、その他については図示を省略した。また、制御回路の一部をなすサブ制御基板90の構成の概略を示すブロック図を
図10に示す。
【0033】
主制御基板70は、遊技の基本的な進行の制御を行うために必要な信号として、
図3に示すように、第1始動口スイッチ36aからの入球信号や第2始動口スイッチ38aからの入球信号が直接に入力されると共にゲートスイッチ32aからの通過信号や大入賞口スイッチ44aからの入球信号,一般入賞口スイッチ45aからの入球信号などが中継端子板72を介して入力されている。主制御基板70からは、図柄表示装置40の表示制御を司る図柄表示基板40aへの制御信号や普通電動役物ソレノイド39bへの駆動信号,大入賞口ソレノイド44bへの駆動信号などが中継端子板72を介して出力されている。また、主制御基板70は、払出制御基板80やサブ制御基板90,発射制御基板100(払出制御基板80を介して通信)と通信しており、各種指令信号(コマンドや駆動信号など)やデータのやり取りを行っている。また、主制御基板70は、外部装置としてパチンコ機10が設置されたホールに設けられているホールコンピュータ120に、外部制御基板110を介して通信可能に接続されている。
【0034】
払出制御基板80は、賞球や球貸の払い出しに関する制御を行うために必要な信号として、
図3に示すように、前面枠11の開放を検知する枠開放スイッチ81からの検知信号が直接に入力され、球貸ボタン24aや返却ボタン24bからの操作信号が球貸表示基板82,中継端子板83を介して入力され、賞球の払い出しを検知する払出前スイッチ84および払出後スイッチ85からの検知信号が中継端子板87を介して入力されている。払出制御基板80からは、賞球の払い出しを行う払出モータ86への駆動信号などが中継端子板87を介して出力されている。また、払出制御基板80は、主制御基板70や発射制御基板100と通信しており、各種指令信号やデータのやり取りを行っている。
【0035】
サブ制御基板90は、
図10に示すように、CPU90aやROM90b,RAM90cなどを備えており、主制御基板70から各種指令信号を受信してその指令に応じた遊技の演出を行う。サブ制御基板90は、演出表示装置34の制御を行う演出表示制御基板91や各種スピーカ28a,28bを駆動するアンプ基板92、各種LEDランプ93aを駆動したり図示しない可動演出役物を作動させるための装飾モータ93bを駆動したりする装飾駆動基板93,演出ボタン26に設けられ演出ボタン26の操作を検知する操作検知スイッチ27からの操作信号を入力する演出ボタン基板94などが接続されている。
【0036】
発射制御基板100は、タッチセンサ18aからの検知信号や発射停止スイッチ18bからの操作信号,下受け皿16に遊技球が満タン状態となるのを検知する下受け皿満タンスイッチ102からの検知信号などを入力しており、発射モータ19へ駆動用のパルス信号などを出力している。発射制御基板100は、発射ハンドル18が回転操作されてタッチセンサ18aがオンで発射停止スイッチ18bがオフで下受け皿満タンスイッチ102がオフのときに発射モータ19を駆動して遊技球を発射し、タッチセンサ18aがオフか発射停止スイッチ18bがオンか下受け皿満タンスイッチ102がオンかのいずれかが成立したときに発射モータ19の駆動を停止して遊技球の発射を停止する。また、発射制御基板100は、払出制御基板80を介して主制御基板70と通信しており、タッチセンサ18aからの検知信号などの発射ハンドル18の操作状態に関するデータを払出制御基板80を介して主制御基板70に送信する。
【0037】
[主制御処理]
次に、こうして構成された実施例のパチンコ機10の動作について説明する。
図11は、主制御基板70のCPU70aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機10の電源が投入されたときに実行される。主制御処理は、電源投入に必要な電源投入処理(S100)とタイマ70dをスタートさせるタイマスタート処理(S110)とを実行した後、遊技開始処理(S120)と、普通図柄遊技処理(S130)と、普通図柄当り遊技処理(S140)と、特別図柄遊技処理(S150)と、大当り遊技処理(S160)と、異常判定処理(S170)とを繰り返し実行することにより行われる。なお、本実施例では、S120〜S170の処理に要する時間は約4msecとなっているため、これらの処理は約4msecの間隔で繰り返し実行されることになる。主制御基板70は、これらの処理の実行に伴って、各種コマンドを担当する制御基板に送信してコマンドに応じた処理を実行させることにより、パチンコ機10の全体の遊技を進行させている。
【0038】
[遊技開始処理]
S120の遊技開始処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、各種センサ(ゲートスイッチ32aや第1始動口スイッチ36a,第2始動口スイッチ38a,大入賞口スイッチ44a,一般入賞口スイッチ45aなど)の状態を検出してRAM70cの所定の状態記憶領域に保存したり、各種判定用情報(後述する大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数,リーチ用乱数,変動パターン決定用乱数、普通図柄当否判定用乱数など)を更新したりする。続いて、遊技球の入球に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ36aや第2始動口スイッチ38a,大入賞口スイッチ44a,一般入賞口スイッチ45aなど)により遊技球が検知されたか否かを判定し、検知されたと判定すると、払い出すべき賞球数を演算して賞球情報としてRAM70cの所定の賞球情報記憶領域に保存し、賞球情報が値0でないときには賞球数指定コマンド(賞球情報)を払出制御基板80に送信して遊技開始処理を終了する。払出制御基板80は、賞球数指定コマンドを受信すると、払出モータ86を駆動制御して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出前スイッチ84および払出後スイッチ85により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入球が検知されて主制御基板70から新たな賞球数指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。遊技開始処理が終了すると、主制御処理に戻って次のS130の普通図柄遊技処理に進む。
【0039】
[普通図柄遊技処理]
S130の普通図柄遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、普通図柄の保留が値0でない即ち値1以上あるか否かを判定し、保留が値1以上あるときには保留数を値1だけデクリメントして普通図柄の当否判定を行うと共に当否判定の結果に基づいて停止表示させる普通図柄(
図7参照)を決定する。普通図柄の当否判定は、普通図柄作動ゲート32を遊技球が通過することに基づき取得される普通図柄当否判定用乱数と、普通図柄当り判定テーブルを用いて行われるもので、電サポなし状態にあるときには当り確率の低い(例えば、約0.8%)低確率用の普通図柄当り判定テーブルが用いられ、電サポあり状態にあるときには当り確率の高い(例えば、約99.2%)高確率用の普通図柄当り判定テーブルが用いられる。また、当否判定の結果が当りのときには、当り図柄を停止表示させる図柄に決定し、当否判定の結果が外れのときには、外れ図柄のうちのいずれかを停止表示させる図柄に決定する。そして、普通図柄の変動時間を設定して普通図柄の変動表示を開始し、変動時間が経過するのを待つ。変動時間の設定は、電サポなし状態にあるときには長時間(例えば、30秒)に設定され、電サポあり状態にあるときには短時間(例えば、1秒)に短縮される。変動時間が経過すると、決定した図柄で普通図柄を停止表示し、停止表示した図柄が当り図柄のときには、入球口39(第2始動口38)の開放時間を設定し、入球口39(第2始動口38)の開放を開始して普通図柄遊技処理を一旦終了し、停止表示した図柄が外れ図柄のときには、何もせずに普通図柄遊技処理を終了する。入球口39(第2始動口38)の開放時間は、電サポなし状態にあるときには短時間(例えば0.5秒)に設定され、電サポあり状態にあるときには長時間(例えば5秒)に延長される。また、入球口39(第2始動口38)の開放は、上述したように、普通電動役物ソレノイド39bを駆動制御することによって、翼片部39cを右側に開くことにより行う。普通図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS140の普通図柄当り遊技処理に進む。このように、電サポあり状態においては、普通図柄の変動時間を短縮する変動時間短縮機能を作動させると共に普通図柄の当否判定の結果が当りとなる確率(普図当り確率)を高くする確率変動機能を作動させ、且つ、入球口39(第2始動口38)の開放時間を延長する開放延長機能を作動させる。このため、本実施例の電サポあり状態を、開放延長機能作動状態、時短状態または普図確変状態ともいう。また、これら3つの機能を同時に作動させる形態のみを例示したが、いずれか1つの機能またはいずれか2つの機能を作動させる形態とすることもできる。
【0040】
[普通図柄当り遊技処理]
S140の普通図柄当り遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、入球口39(第2始動口38)が開放を開始してからの経過時間(開放経過時間)が普通図柄遊技処理で設定された設定時間に達しているか否か、規定数(例えば、8個)の遊技球が入球口39(第2始動口38)に入球しているか否かを判定する。開放経過時間が設定時間に達しておらず規定数の遊技球が入球口39(第2始動口38)に入球してもいないと判定すると、入球口39(第2始動口38)の開放を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、開放経過時間が設定時間に達していると判定したり、開放経過時間が設定時間に達する前であっても既に規定数の遊技球が入球口39(第2始動口38)に入球していると判定すると、普通電動役物ソレノイド39bの駆動を停止して、普通図柄当り遊技処理を終了する。普通図柄当り遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS150の特別図柄遊技処理に進む。
【0041】
[特別図柄遊技処理]
S150の特別図柄遊技処理は、
図12〜
図14に示すフローチャートに従って実行される。特別図柄遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、第1始動口スイッチ36aからの検知信号を入力して第1始動口36に遊技球が入球したか否かを判定する(S200)。第1始動口36に遊技球が入球したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S202)。第1特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S204)、判定用情報を取得してRAM70cの所定の判定用情報記憶領域に格納し(S206)、第1特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S208)。ここで、S206で取得される判定用情報としては、第1始動口36への遊技球の入球に基づいて行われる大当り判定の際に用いられる大当り判定用乱数や、大当り判定の結果が大当りのときに第1特別図柄表示部42aに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,第1特別図柄の変動パターンを決定するための変動パターン決定用乱数などの図柄変動遊技の進行に関する情報が例示できる。なお、大当り判定は、特別図柄の当否判定に相当するものである。また、第1特別図柄保留発生時コマンドには、保留数を演出表示装置34の表示画面内の第1保留図柄35aで表示するための第1特別図柄の保留数指定コマンドが含まれる。なお、S200で第1始動口36に遊技球が入球していないと判定したり、S202で第1特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S204〜S208の処理をスキップして次のS210の処理に進む。
【0042】
続いて、第2始動口スイッチ38aからの検知信号を入力して第2特別図柄を変動表示させるための第2始動口38に遊技球が入球したか否かを判定する(S210)。第2始動口38に遊技球が入球したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S212)。第2特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S214)、判定用情報を取得してRAM70cの所定の判定用情報記憶領域に格納し(S216)、第2特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S218)。ここで、S216で取得される判定用情報としては、第2始動口38への遊技球の入球に基づいて行われる大当り判定の際に用いられる大当り判定用乱数や、大当り判定の結果が大当りのときに第2特別図柄表示手段42bに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,第2特別図柄の変動パターンを決定するための変動パターン決定用乱数などの図柄変動遊技の進行に関する情報が例示できる。また、第2特別図柄保留発生時コマンドには、保留数を演出表示装置34の表示画面内の第2保留図柄35bで表示するための第2特別図柄の保留数指定コマンドが含まれる。なお、S210で第2始動口38に遊技球が入球していないと判定したり、S212で第2特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S214〜S218の処理をスキップして次のS220の処理に進む。
【0043】
次に、大当り遊技中であるか否か(S220)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中であるか否か(S222)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが停止表示時間中であるか否か(S224)をそれぞれ判定する。大当り遊技中と判定すると、これで特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS160の大当り遊技処理に進む。一方、大当り遊技中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが変動表示中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが停止表示時間中でないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S226)。第2特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、判定用情報記憶領域(RAM70c)に記憶されている第2特別図柄の判定用情報(大当り判定用乱数)のうち最も古い判定用情報を読み出し(S228)、第2特別図柄の変動表示関連処理を実行して(S230)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。
【0044】
一方、第2特別図柄の保留数が値0と判定すると、第1特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S232)。第1特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、判定用情報記憶領域(RAM70c)に記憶されている第1特別図柄の判定用情報(大当り判定用乱数)のうち最も古い判定用情報を読み出し(S234)、第1特別図柄の変動表示関連処理を実行して(S236)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。第1特別図柄の保留数も値0のときには、これで特別図柄遊技処理を終了する。S226〜S236では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0でないときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される(特
図2優先変動)。以下、変動表示関連処理の詳細について説明する。なお、第1特別図柄の変動表示関連処理と第2特別図柄の変動表示関連処理はいずれも共通の処理が実行されるため、共通のフローチャート(
図15のフローチャート)を用いて説明する。
【0045】
変動表示関連処理では、まず、確変フラグがオンか否か、即ち現在の遊技状態が高確率状態および低確率状態のいずれであるかを判定する(S300)。確変フラグがオフのとき、即ち現在の遊技状態が低確率状態のときにはS228またはS234で読み出した大当り判定用乱数と低確率用大当り判定テーブルとを用いて大当り判定を行い(S302)、確変フラグがオンのとき、即ち現在の遊技状態が高確率状態のときには読み出した大当り判定用乱数と高確率用大当り判定テーブルとを用いて大当り判定を行って(S304)、その判定結果が大当りか否かを判定する(S306)。大当り判定テーブルの一例を
図16に示す。なお、
図16(a)に低確率用大当り判定テーブルを示し、
図16(b)に高確率用大当り判定テーブルを示す。低確率用大当り判定テーブルでは大当り判定用乱数が値0〜796のうち値60,61のときに大当りとし(1/398.5の大当り確率)、高確率用大当り判定テーブルでは当り判定用乱数が値0〜796のうち値60〜79のときに大当りとするものとした(1/39.85の大当り確率)。なお、本実施例では、第1特別図柄と第2特別図柄とで共通の大当り判定テーブルが用いられる。
【0046】
S306で大当り判定の結果が大当りと判定されたときには、判定用情報記憶領域(RAM70c)から大当り図柄決定用乱数を読み出し(S308)、読み出した大当り図柄決定用乱数に基づいて停止表示させる大当り図柄を選択して決定する(S310)。ここで、第1特別図柄の大当り図柄の決定には、
図17に例示する第1特別図柄用の大当り図柄決定テーブルが用いられ、第2特別図柄の大当り図柄の決定には、
図18に例示する第2特別図柄用の大当り図柄決定テーブルが用いられる。
【0047】
第1特別図柄用の大当り図柄決定テーブルでは、
図17に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜101のときに
図8の左側1段目の図柄が選択されて「第1の通常大当り」となり(約40%の出現確率)、大当り図柄決定用乱数が値102〜203のときに
図8の左側2段目の図柄が選択されて「第1の確変大当り」となり(約40%の出現確率)、大当り図柄決定用乱数が値204〜255のときに
図8の左側3段目の図柄が選択されて「第2の確変大当り」となる(約20%の出現確率)。また、第2特別図柄用の大当り図柄決定テーブルでは、
図18に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜101のときに
図8の右側1段目の図柄が選択されて「第1の通常大当り」となり(約40%の出現確率)、大当り図柄決定用乱数が値102〜229のときに
図8の右側2段目の図柄が選択されて「第1の確変大当り」となり(約50%の出現確率)、大当り図柄決定用乱数が値230〜255のときに
図8の右側3段目の図柄が選択されて「第2の確変大当り」となる(約10%の出現確率)。
【0048】
S306で大当り判定の結果が大当りでないと判定すると、外れであるから、外れ図柄を決定する(S312)。なお、外れ図柄は、詳細な説明は省略するが、例えば、大当り図柄決定用乱数と図示しない外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することができる。勿論、大当り図柄決定用乱数とは別に外れ図柄決定用乱数を取得するものとすれば、この外れ図柄決定用乱数と外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することもできる。
【0049】
こうして停止図柄を決定すると、変動パターンテーブルを設定する(S314)。ここで、変動パターンテーブルの設定は、S302,S304の大当り判定の結果が大当りである場合には
図19に例示する大当り変動パターンテーブルに基づいて行われ、大当り判定の結果が外れである場合には
図20に例示する外れ変動パターンテーブルに基づいて行われる。
図19,
図20に示すように、各変動パターンテーブルには、変動パターン決定用乱数の値0〜255に対応付けて各種の変動パターンP01〜P05,P11,P12が規定されており、特別図柄を変動表示させる際には、これらの変動パターンテーブルを用いて1の変動パターンが選択される。なお、上述した各変動パターンテーブル(
図19,
図20)は、便宜上、少数のパターンを記憶したテーブルを示しているが、実際には、より多数のパターン(例えば、20種類以上のパターン)を記憶したテーブルが用いられる。
【0050】
図15の変動表示関連処理に戻って、こうして変動パターンテーブルを設定すると、変動パターン決定用乱数を読み出し(S316)、読み出した変動パターン決定用乱数と設定した変動パターンテーブルとを用いて変動パターンを設定する(S318)。そして、特別図柄の変動表示を開始すると共に(S320)、特別図柄の保留数を値1だけデクリメントし(S322)、図柄変動開始時コマンドと保留消化時コマンドとをサブ制御基板90に送信して(S324)、変動表示関連処理を終了する。S320〜S324の処理は、現在の変動表示関連処理の対象が第1特別図柄の場合には、第1特別図柄の変動表示を開始すると共に、第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントし、保留消化時コマンドとして第1特別図柄の保留消化時コマンドを送信する処理となる。一方、現在の変動表示関連処理の対象が第2特別図柄の場合には、第2特別図柄の変動表示を開始すると共に、第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントし、保留消化時コマンドとして第2特別図柄の保留消化時コマンドを送信する処理となる。S324で送信する図柄変動開始時コマンドには、大当り判定の結果が大当りのときには大当り変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と大当り停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれ、大当り判定の結果が外れのときには外れ変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と外れ停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれている。図柄変動開始時コマンドを受信したサブ制御基板90は、コマンドを解析し、その解析結果に基づいて演出表示装置34の画面上で行う演出内容を決定し、その決定に応じた制御信号(演出コマンド)を演出表示制御基板91に出力して演出表示装置34の制御を行う。なお、特別図柄の変動表示が開始されると、その変動表示に係る判定用情報(保留情報)が判定用情報記憶領域からクリアされる。
【0051】
図12〜
図14の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始された後に特別図柄遊技処理が実行されると、S222で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御基板70のCPU70aは、変動時間が経過したか否かを判定する(S238)。変動時間は特別図柄の変動パターンに応じて決定されるから、変動時間が経過したか否かは、特別図柄の変動表示が開始されてからの経過時間と、変動パターンに対応する変動時間とを比較することにより行うことができる。変動時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動時間が経過していると判定すると、変動中の特別図柄の変動表示を停止し(S240)、図柄停止コマンドをサブ制御基板90に送信する(S242)。この図柄停止コマンドを受信したサブ制御基板90(演出表示制御基板91)は、演出表示装置34での図柄変動演出を終了させる。そして、停止表示時間を設定し(S244)、停止表示時間が経過したか否かを判定する(S246)。ここで、停止表示時間は、特別図柄の変動表示を停止してから次に変動表示を開始するまでのインターバルであり、例えば0.6秒に設定される。停止表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされた後に、特別図柄遊技処理が実行されると、S224で停止表示時間中と判定するため、再びS246で停止表示時間が経過したか否かを判定し、停止表示時間が経過していると判定すると、停止表示している特別図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(S248)。
【0052】
S248で大当り図柄と判定すると、大当り遊技フラグをオンとすると共に(S250)、大当り遊技開始指定コマンドをサブ制御基板90に送信する(S252)。これにより、後述する大当り遊技演出処理で大当り遊技開始演出などが実行されることになる。また、大当り遊技中には確変機能や変動時間短縮機能,開放延長機能を停止させるために、確変フラグがオンのときには確変フラグをオフとし(S254,S256)、変動短縮フラグがオンのときには変動短縮フラグをオフとすると共に開放延長フラグをオフとして(S258〜S262)、特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS160の大当り遊技処理に進む。
【0053】
一方、S248で大当り図柄でないと判定すると、確変フラグがオンか否かを判定し(S264)、確変フラグがオンでないと判定すると、次のS274の処理に進む。確変フラグがオンであると判定すると、確変カウンタを値1だけデクリメントして(S266)、確変カウンタが値0であるか否かを判定する(S268)。ここで、確変カウンタは、高確率状態を維持する特別図柄の変動回数の上限値を示すものであり、大当り遊技の終了に際してその値がセットされる。確変カウンタが値0でないと判定すると、高確率状態を維持したまま次のS274の処理に進み、確変カウンタが値0であると判定すると、確変フラグをオフとすると共に(S270)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S272)、次のS274の処理に進む。これにより、パチンコ機10の遊技状態は、高確率状態から低確率状態に変更されることになる。なお、遊技状態指定コマンドには、パチンコ機10の現在の遊技状態を示す確変フラグの設定状況などが含まれる。遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面などの表示を高確率状態用から低確率状態用に変更する等の処理を行う。
【0054】
次に、変動短縮フラグがオンであるか否かを判定し(S274)、変動短縮フラグがオンでないときにはそのまま特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動短縮フラグがオンのときには変動短縮カウンタを値1だけデクリメントし(S276)、変動短縮カウンタが値0であるか否かを判定する(S278)。ここで、変動短縮カウンタは、変動時間短縮機能(特別図柄および普通図柄の変動短縮)の作動状態を維持する特別図柄の変動回数の上限値を示すものであり、大当り遊技の終了に際して大当り態様に応じた値がセットされる。変動短縮カウンタが値0でないときには、電サポあり状態を維持したまま特別図柄遊技処理を一旦終了し、変動短縮カウンタが値0のときには、電サポあり状態を終了させるために、変動短縮フラグをオフとすると共に(S280)、開放延長フラグをオフとし(S282)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S284)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。これにより、パチンコ機10の遊技状態は、電サポあり状態から電サポなし状態に変更されることになる。なお、遊技状態指定コマンドには、パチンコ機10の現在の遊技状態を示す変動短縮フラグや開放延長フラグの設定状況などが含まれる。遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面などの表示を電サポあり状態用から電サポなし状態用に変更する等の処理を行う。なお、S268やS278の判定は遊技状態(低確率状態,高確率状態,電サポなし状態,電サポあり状態)かに拘わらず実行されるが、第1の確変大当りや第2の確変大当りでは、大当り終了後に、確変カウンタや変動短縮カウンタに10,000回が設定されるため、これらの確変大当りの場合に、確変カウンタや変動短縮カウンタが値0となることは通常あり得ず、次回に大当りを引くまで高確率状態や電サポあり状態が終了することはない。
【0055】
[大当り遊技処理]
S160の大当り遊技処理は、
図21に示すフローチャートに従って実行される。
図21の大当り遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグがオンであるか否か、即ち大当り遊技中であるか否かを判定する(S400)。大当り遊技フラグがオフであると判定すると、そのまま大当り遊技処理を終了する。一方、大当り遊技フラグがオンであると判定すると、大入賞口44が開放中であるか否かを判定し(S402)、大入賞口44が閉鎖中である(開放中でない)と判定すると、大入賞口44の開放タイミングであるか否かを判定する(S404)。この判定は、規定の閉鎖時間(本実施例では、2秒)が経過したか否かを判定することにより行われる。大入賞口44の開放タイミングであると判定すると、大入賞口44が開放されるよう大入賞口ソレノイド44bを駆動制御して(S406)、大当り遊技処理を一旦終了する。一方、S404で大入賞口44の開放タイミングでないと判定すると、そのまま大当り遊技処理を一旦終了する。
【0056】
一方、S402で大入賞口44が開放中であると判定すると、大入賞口44の閉鎖タイミングか否かを判定する(S408)。この判定は、規定の開放時間(本実施例では、25秒)が経過したか、大入賞口44に入球した遊技球の数が規定数(本実施例では、10個)に達したかのいずれかの成立を判定することにより行われる。大入賞口44の閉鎖タイミングでないと判定すると、大入賞口44の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口44の閉鎖タイミングであると判定すると、大入賞口44が閉鎖されるよう大入賞口ソレノイド44bを駆動制御し(S410)、大当り遊技の終了条件が成立したか否かを判定する(S412)。この判定は、大入賞口44が規定ラウンド数通りに開放されたか否かを判定することにより行われる。なお、規定ラウンド数は、第1の通常大当りや第1の確変大当りでは16ラウンドとなり、第2の確変大当りでは2ラウンドとなる。S412で大当り遊技の終了条件が成立していないと判定すると、そのまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大当り遊技の終了条件が成立したと判定すると、
図22に例示する大当り遊技終了時処理を実行して(S414)、大当り遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS170の異常判定処理に進む。
【0057】
図22の大当り遊技終了時処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグをオンからオフとし(S450)、大当り図柄が確変大当り図柄、即ち今回の大当りが「第1の確変大当り」および「第2の確変大当り」のいずれかであるかを判定する(S452)。大当り図柄が確変大当り図柄であると判定すると、高確率状態を発生させるために、確変カウンタに10,000回を設定すると共に(S454)、確変フラグをオンとする(S456)。また、電サポあり状態を発生させるために、変動短縮カウンタを10,000回に設定し(S458)、変動短縮フラグをオンとすると共に(S460)、開放延長フラグをオンとする(S462)。なお、確変カウンタを10,000回に設定することは実質的に次回の大当りが発生するまで高確率状態を発生させることとなり、変動短縮カウンタを10,000回に設定することは実質的に次回の大当りが発生するまで電サポあり状態を発生させることになる。S452で大当り図柄が確変大当り図柄でない、即ち今回の大当りが「第1の通常大当り」であると判定すると、確変フラグをオンとすることなく、変動短縮カウンタを100回に設定し(S464)、変動短縮フラグをオンとすると共に開放延長フラグをオンとする(S460,S462)。こうして大当り遊技後の遊技状態を設定すると、大当り遊技終了指定コマンドと遊技状態指定コマンドとをサブ制御基板90に送信して(S466)、大当り遊技終了時処理を終了する。サブ制御基板90は、大当り遊技終了指定コマンドを受信すると、大当り遊技演出処理にて大当り遊技終了演出を行い、遊技状態指定コマンドを受信すると、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面をそのときの遊技状態に応じた背景に設定する処理等を行う。
【0058】
[異常判定処理]
S170の異常判定処理は、
図23および
図24に示すフローチャートに従って実行される。
図23および
図24の異常判定処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、変動短縮フラグがオフであるか否かを判定する(S500)。変動短縮フラグがオフでないと判定、即ち、現在の遊技状態が電サポあり状態であると判定すると、そのまま異常判定処理を終了する。一方、変動短縮フラグがオフであると判定、即ち、現在の遊技状態が電サポなし状態であると判定すると、第1始動口スイッチ36aにより第1始動口36への遊技球の入球が検知されたか否か(S502)、前回に遊技球が入球した始動口(前回入球始動口)が第1始動口36であるか否か(S504)、をそれぞれ判定する。S502,S504の処理は、同一の始動口(第1始動口36)に2個の遊技球が連続して入球したか否かを判定するものである。本実施例では、始動口振分装置60は第1始動口36と第2始動口38とに遊技球を交互に振り分けるよう構成されているから、通常、同一始動口に2個の遊技球が連続して入球することはない。
【0059】
S502で第1始動口36への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS504で前回入球始動口が第1始動口36であると判定すると、電源投入を契機に主制御処理のS110でスタートさせたタイマ70dのカウント値(タイマ値T)を取得し(S506)、取得したタイマ値Tを計時終了時期TAとしてRAM70cに記憶し(S508)、計時終了時期TAと計時開始時期TBとの差分(TA−TB)を演算することにより前回に第1始動口36に遊技球が入球してから次の遊技球が第1始動口36に入球するまでの経過時間ΔT(入球時間間隔)を算出する(S510)。ここで、計時開始時期TBは、電源投入時に図示しない初期化処理により値0が設定され、第1始動口36または第2始動口38に遊技球が入球すると、S508で記憶された計時終了時期TAが後述するS528やS558で計時開始時期TBとして記憶される。即ち、前回第1始動口36または第2始動口38に遊技球が入球した時期が計時開始時期TBとされる。そして、算出した経過時間ΔTが第1所定時間Tref1以上であるか否かを判定する(S512)。経過時間ΔTが第1所定時間Tref1以上であると判定すると、始動口振分装置60の故障や遊技者による不正など、何らかの異常が発生したと判断して、異常情報(第1異常情報)をホールコンピュータ120とサブ制御基板90とに送信して(S514)、S528の処理に進む。なお、第1異常情報を受信したサブ制御基板90は、演出表示装置34の表示画面に「エラー発生」などのメッセージが表示されるよう演出表示制御基板91に制御信号を出力したり、スピーカ28a,28bから警告音が出力されるようアンプ基板92に制御信号を出力したりする。一方、経過時間ΔTが第1所定時間Tref1以上でない(第1所定時間未満である)と判定すると、同一始動口に遊技球が連続入球した場合であっても、異常情報を送信することなく、S528の処理に進む。前述したように、始動口振分装置60は入球口61に入球した遊技球が第1始動口36と第2始動口38とに交互に振り分けられるよう構成されているから、通常、同一の始動口に遊技球が連続して入球することはないはずである。しかしながら、始動口振分装置60が正常に動作し、遊技者による不正もない場合でも、入球口61に複数個(2個)の遊技球が連なった状態で入球して振分部材64の肩部(右肩部64bまたは左肩部64c)に落下すると、振分部材64の回動によりこれらの遊技球が纏めて同一の始動口に振り分けられる場合がある。この場合、同一の始動口に複数個の遊技球が連続して入球する際の入球時間間隔は短時間(例えば1秒未満)である。したがって、同一始動口に複数個の遊技球が連続して入球した場合であってもその入球時間間隔(経過時間ΔT)が第1所定時間Tref1未満の場合には、異常と判定しないことで、始動口振分装置60の入球口61に複数個の遊技球が連なって入球して同一始動口に振り分けられた場合に対して、異常が発生したと誤判定するのを回避しているのである。なお、第1所定時間Tref1は、例えば1秒などに定めることができる。
【0060】
S502で第1始動口36への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS504で前回入球始動口が第1始動口36でないと判定すると、前回入球始動口が第2始動口38であるか否かを判定する(S516)。いま、S502で第1始動口36への遊技球の入球が検知された場合を考えているから、S516の処理は、第1始動口36と第2始動口38とに遊技球が交互に入球したか否かを判定する処理となる。前回入球始動口が第1始動口36でも第2始動口38でもないと判定すると、S502の遊技球検知が、電源投入後、初回の検知であると判断し、異常判定を行うことなくS528の処理に進む。一方、前回入球始動口が第2始動口38であると判定すると、第1始動口36と第2始動口38とに遊技球が交互に入球したと判断し、S506〜S510の処理と同様に、タイマ値Tを取得し(S518)、取得したタイマ値Tを計時終了時期TAに設定し(S520)、計時終了時期TAと計時開始時期TBとの差分により前回に第1始動口36に遊技球が入球してから次の遊技球が第2始動口38に入球するまでの経過時間ΔT(入球時間間隔)を算出する(S522)。そして、算出した経過時間ΔTが第2所定時間Tref2未満であるか否かを判定する(S524)。経過時間ΔTが第2所定時間Tref2未満でない(第2所定時間Tref2以上である)と判定すると、異常情報(第2異常情報)を出力することなく、S528の処理に進む。一方、経過時間ΔTが第2所定時間Tref2未満であると判定すると、第1始動口36と第2始動口38とに遊技球が交互に入球した場合であっても、始動口振分装置60の故障や遊技者による不正など、何らかの異常が発生したと判断して、異常情報(第2異常情報)をホールコンピュータ120とサブ制御基板90とに送信して(S526)、S528の処理に進む。なお、第2異常情報を受信したサブ制御基板90は、第1異常情報を受信した場合と同様に、演出表示装置34に「エラー発生」などのメッセージを表示させたり、スピーカ28a,28bから警告音が出力させたりすることができる。また、本実施例では、第1異常情報と第2異常情報とを区別して送信するものとしたが、これらを区別することなく、共通の異常情報を送信するものとしてもよい。ここで、始動口振分装置60における遊技球の振り分けは振分部材64による機械的な動作を伴って行われるから、第1始動口36に遊技球が入球してから次の遊技球が第2始動口38に入球するまでにある程度の時間(例えば1秒以上)を要する。このため、第1始動口36と第2始動口38とに遊技球が交互に入球した場合であっても、第1始動口36に遊技球が入球してから極短時間(第2所定時間Tref2未満)のうちに次の遊技球が第2始動口38に入球すると、通常ありえない状態であるから、異常が発生したと判断し、異常情報を出力するのである。なお、第2所定時間は、例えば1秒などに定めることができる。
【0061】
こうしてS504〜S526の異常判定を行うと、S508またはS520で記憶した計時終了時期TAを計時開始時期TBに置き換えてRAM70cに記憶すると共に(S528)、前回入球始動口を第1始動口36に設定して(S530)、異常判定処理を終了する。なお、S528の処理は、S504,S516で前回入球始動口が第1始動口36でも第2始動口38でもないと判定された場合には、計時終了時期TAが設定されていないため、現在のタイマ値Tを計時開始時期TBに設定する。
【0062】
S502で第1始動口36への遊技球の入球が検知されていないと判定すると、第2始動口スイッチ38aにより第2始動口38への遊技球の入球が検知されたか否か(S532)、前回入球始動口が第2始動口38であるか否か(S534)、をそれぞれ判定する。S532,S534の処理は、同一の始動口(第2始動口38)に2個の遊技球が連続して入球したか否かを判定するものである。S532で第2始動口38への遊技球の入球が検知されていないと判定すると、そのまま異常判定処理を終了する。
【0063】
S532で第2始動口38への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS534で前回入球始動口が第2始動口38であると判定すると、S506〜S510の処理と同様に、タイマ値Tを取得し(S536)、取得したタイマ値Tを計時終了時期TAとしてRAM70cに記憶し(S538)、計時終了時期TAと計時開始時期TBとの差分により前回に第2始動口38に遊技球が入球してから次の遊技球が第2始動口38に入球するまでの経過時間ΔT(入球時間間隔)を算出する(S540)。そして、算出した経過時間ΔTが第1所定時間Tref1以上であるか否かを判定する(S542)。経過時間ΔTが第1所定時間Tref1以上であると判定すると、異常情報(第1異常情報)をホールコンピュータ120とサブ制御基板90とに送信して(S544)、S558の処理に進む。一方、経過時間ΔTが第1所定時間Tref1以上でない(第1所定時間Tref1未満である)と判定すると、同一始動口(第2始動口38)に遊技球が連続入球した場合であっても、異常情報を送信することなく、S558の処理に進む。
【0064】
S532で第2始動口38への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS534で前回入球始動口が第2始動口38でないと判定すると、前回入球始動口が第1始動口38であるか否かを判定する(S546)。いま、S532で第2始動口38への遊技球の入球が検知された場合を考えているから、S546の処理は、第2始動口38と第1始動口36とに遊技球が交互に入球したか否かを判定する処理となる。前回入球始動口が第2始動口38でも第1始動口36でもないと判定すると、S532の遊技球検知が、電源投入後、初回の検知であると判断し、異常判定を行うことなくS558の処理に進む。一方、前回入球始動口が第1始動口36であると判定すると、第2始動口38と第1始動口36とに遊技球が交互に入球したと判断し、S536〜S540の処理と同様に、タイマ値Tを取得し(S548)、取得したタイマ値Tを計時終了時期TAとしてRAM70cに記憶し(S550)、計時終了時期TAと計時開始時期TBとの差分により前回に第2始動口38に遊技球が入球してから次の遊技球が第1始動口36に入球するまでの経過時間ΔT(入球時間間隔)を算出する(S552)。そして、算出した経過時間ΔTが第2所定時間Tref2未満であるか否かを判定する(S554)。経過時間ΔTが第2所定時間Tref2未満でない(第2所定時間Tref2以上である)と判定すると、異常情報を送信することなく、S558の処理に進む。一方、経過時間ΔTが第2所定時間Tref2未満であると判定すると、第2始動口38と第1始動口36とに遊技球が交互に入球した場合であっても、何らかの異常が発生したと判断して、第2異常情報をホールコンピュータ120とサブ制御基板90とに送信して(S556)、S558の処理に進む。
【0065】
こうしてS534〜S556の異常判定を行うと、S538またはS550で設定した計時終了時期TAを計時開始時期TBに置き換えてRAM70cに記憶すると共に(S558)、前回入球始動口を第2始動口38に設定して(S560)、異常判定処理を終了する。なお、S558の処理は、S534,S546で前回入球始動口が第1始動口36でも第2始動口38でもないと判定された場合には、計時終了時期TAが設定されていないため、現在のタイマ値Tを計時開始時期TBに設定する。
【0066】
以上説明した第1実施例のパチンコ機10によれば、入球口61に入球した遊技球を第1始動口36と第2始動口38とに交互に振り分ける始動口振分装置60を備えるものにおいて、第1始動口36に遊技球が入球した後、次の遊技球が第1始動口36に入球したときに、タイマ70dにより計測された入球時間間隔(経過時間ΔT)が第1所定時間Tref1以上の場合には異常情報(第1異常情報)を出力し、第1所定時間Tref1未満の場合には異常情報(第1異常情報)を出力しない。また、第2始動口38に遊技球が入球した後、次の遊技球が第2始動口38に入球したときに、タイマ70dにより計測された入球時間間隔(経過時間ΔT)が第1所定時間Tref1以上の場合には異常情報(第1異常情報)を出力し、第1所定時間Tref1未満の場合には異常情報(第1異常情報)を出力しない。これらにより、入球口61に複数個(2個)の遊技球が連なった状態で入球して振分部材64によりこれらの遊技球が纏めて同一の始動口に振り分けられる場合に対して、異常と誤判定するのを回避することができる。この結果、異常の発生をより適切に判定することができる。
【0067】
また、第1実施例のパチンコ機10によれば、第1始動口36に遊技球が入球した後、次の遊技球が第2始動口38に入球したときに、タイマ70dにより計測された入球時間間隔(経過時間ΔT)が第2所定時間Tref2以上の場合には異常情報(第2異常情報)を出力せず、第2所定時間Tref2未満の場合には異常情報(第2異常情報)を出力する。また、第2始動口38に遊技球が入球した後、次の遊技球が第1始動口36に入球したときに、タイマ70dにより計測された入球時間間隔(経過時間ΔT)が第2所定時間Tref2以上の場合には異常情報(第2異常情報)を出力せず、第2所定時間Tref2未満の場合には異常情報(第2異常情報)を出力する。これらにより、第1始動口36と第2始動口38とに遊技球が交互に入球した場合であっても、通常あり得ないタイミング(極短時間内)に第1始動口36への遊技球の入球と第2始動口38への遊技球の入球とが検知された場合に対して、始動口振分装置60の故障や遊技者による不正を検知することが可能となる。この結果、異常の判定対象を増やして、異常をより適切に判定することができる。
【0068】
第1実施例のパチンコ機10では、電源投入を契機にタイマ70dをスタートさせ、第1始動口36または第2始動口38に遊技球が入球したときのタイマ70dのカウント値(計時開始時期TB)と、次に遊技球が第1始動口36または第2始動口38に入球したときのタイマ70dのカウント値(計時終了時期TA)との差分により、入球時間間隔(経過時間ΔT)を算出するものとしたが、これに限定されるものではなく、第1始動口36または第2始動口38への遊技球の入球が検知されたことを契機にタイマ70dをスタートさせ、次の遊技球が第1始動口36または第2始動口38に入球したことが検知されたときのタイマ70dのカウント値を取得することにより、取得したカウント値に基づいて入球時間間隔を算出するものとしてもよい。
【0069】
[第2実施例]
次に、第2実施例のパチンコ機10について説明する。第2実施例のパチンコ機10は、タイマ70dとして2つのタイマ(第1タイマ,第2タイマ)を有する点と、
図23および
図24の異常判定処理に代えて
図25および
図26の異常判定処理を実行する点とが第1実施例のパチンコ機10と異なる。以下、第2実施例の異常判定処理の詳細について説明する。
【0070】
[異常判定処理]
図25および
図26の異常判定処理では、主制御基板70のCPU70aは、S600で変動短縮フラグがオフである(電サポなし状態)と判定した場合、第1始動口36への遊技球の入球が検知されたか否か(S602)、前回入球始動口が第1始動口36であるか否か(S604)、をそれぞれ判定する。
【0071】
S602で第1始動口36への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS604で前回入球始動口が第1始動口36であると判定、即ち、第1始動口36に2個の遊技球が連続して入球したと判定すると、第1タイマのカウント値(第1タイマ値T1)を取得し(S606)、第1タイマをリセットする(S608)。ここで、第1タイマは、前回に第1始動口36に遊技球が入球したときに、後述するS624により計時が開始されている。したがって、S606で取得される第1タイマ値T1は、前回に第1始動口36に遊技球が入球してから次の遊技球が第1始動口36に入球した際に、その入球時間間隔(第1実施例のS510で算出される経過時間ΔTと同じ)を示すものとなる。そして、取得した第1タイマ値T1が前述した第1所定時間Tref1以上であるか否かを判定し(S610)、第1タイマ値T1が第1所定時間Tref1以上であると判定すると、異常情報(第1異常情報)をホールコンピュータ120やサブ制御基板90に送信し(S612)、第1タイマ値T1が第1所定時間Tref未満であると判定すると、異常情報を送信することなく、S624の処理に進む。
【0072】
S602で第1始動口36への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS604で前回入球始動口が第1始動口36でないと判定すると、前回入球始動口が第2始動口38であるか否かを判定する(S614)。前回入球始動口が第1始動口36でもなく第2始動口38でもないと判定すると、S602の遊技球検知が、電源投入後、初回の検知であり、第1タイマおよび第2タイマが作動していないから、異常判定を行うことなくS624の処理に進む。一方、S602で第1始動口36への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS604で前回入球始動口が第2始動口38であると判定、即ち、第1始動口36と第2始動口38とに遊技球が交互に入球したと判定すると、第2タイマのカウント値(第2タイマ値T2)を取得し(S616)、第2タイマをリセットする(S618)。ここで、第2タイマは、前回に第2始動口38に遊技球が入球したときに、後述するS650により計時が開始されている。したがって、S616で取得される第2タイマ値T2は、前回に第2始動口38に遊技球が入球してから次の遊技球が第1始動口36に入球した際に、その入球時間間隔(第1実施例のS522で算出される経過時間ΔTと同じ)を示すものとなる。そして、取得した第2タイマ値T2が前述した第2所定時間Tref2未満であるか否かを判定し(S620)、第2タイマ値T2が第2所定時間Tref2未満でない(第2所定時間Tref2以上)と判定すると、異常情報を出力せず、第2タイマ値T2が第2所定時間Tref2未満であると判定すると、異常情報(第2異常情報)をホールコンピュータ120やサブ制御基板90に送信して(S622)、S624の処理に進む。
【0073】
こうしてS604〜S622の異常判定を行うと、第1タイマをスタートさせると共に(S624)、前回入球始動口を第1始動口36に設定して(S626)、異常判定処理を終了する。
【0074】
S602で第1始動口36への遊技球の入球が検知されていないと判定すると、第2始動口スイッチ38aにより第2始動口38への遊技球の入球が検知されたか否か(S628)、前回入球始動口が第2始動口38であるか否か(S630)、をそれぞれ判定する。なお、第2始動口38への遊技球の入球が検知されていないと判定すると、これで異常判定処理を終了する。
【0075】
S628で第2始動口38への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS630で前回入球始動口が第2始動口38であると判定、即ち、第2始動口38に2個の遊技球が連続して入球したと判定すると、第2タイマのカウント値(第2タイマ値T2)を取得し(S632)、第2タイマをリセットする(S634)。ここで、S632で取得される第2タイマ値T2は、前回に第2始動口38に遊技球が入球してから次の遊技球が第2始動口38に入球した際に、その入球時間間隔(第1実施例のS540で算出される経過時間ΔTと同じ)を示すものとなる。そして、取得した第2タイマ値T2が前述した第1所定時間Tref1以上であるか否かを判定し(S636)、第2タイマ値T2が第1所定時間Tref1以上であると判定すると、異常情報(第1異常情報)をホールコンピュータ120やサブ制御基板90に送信し(S638)、第2タイマ値T2が第1所定時間Tref未満であると判定すると、異常情報を送信することなく、S650の処理に進む。
【0076】
S628で第2始動口38への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS630で前回入球始動口が第2始動口38でないと判定すると、前回入球始動口が第1始動口36であるか否かを判定する(S640)。前回入球始動口が第2始動口38でもなく第1始動口36でもないと判定すると、S628の遊技球検知が、電源投入後、初回の検知であり、第1タイマおよび第2タイマが作動していないから、異常判定を行うことなくS650の処理に進む。一方、S628で第2始動口38への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS630で前回入球始動口が第1始動口36であると判定、即ち、第1始動口36と第2始動口38とに遊技球が交互に入球したと判定すると、第1タイマのカウント値(第1タイマ値T1)を取得し(S642)、第1タイマをリセットする(S644)。ここで、S642で取得される第1タイマ値T1は、前回に第1始動口36に遊技球が入球してから次の遊技球が第2始動口38に入球した際に、その入球時間間隔(第1実施例のS552で算出される経過時間ΔTと同じ)を示すものとなる。そして、取得した第1タイマ値T1が前述した第2所定時間Tref2未満であるか否かを判定し(S646)、第1タイマ値T1が第2所定時間Tref2未満でない(第2所定時間Tref2以上)と判定すると、異常情報を出力せず、第1タイマ値T1が第2所定時間Tref2未満であると判定すると、異常情報(第2異常情報)をホールコンピュータ120やサブ制御基板90に送信して(S648)、S650の処理に進む。
【0077】
こうしてS630〜S648の異常判定を行うと、第2タイマをスタートさせると共に(S650)、前回入球始動口を第2始動口38に設定して(S652)、異常判定処理を終了する。
【0078】
以上説明した第2実施例のパチンコ機10によれば、第1始動口36に遊技球が入球してから次の遊技球が第1始動口36または第2始動口38に入球するまでの入球時間間隔(経過時間)を第1タイマで計測し、第2始動口38に遊技球が入球してから次の遊技球が第1始動口36または第2始動口38に入球するまでの入球時間間隔(経過時間)を第2タイマで計測する。そして、第1始動口36に遊技球が入球した後、次の遊技球が第1始動口36に入球したときに、第1タイマで計測された入球時間間隔(第1タイマ値T1)が第1所定時間Tref1以上の場合には異常情報(第1異常情報)を出力し、第1所定時間Tref1未満の場合には異常情報(第1異常情報)を出力しない。また、第2始動口38に遊技球が入球した後、次の遊技球が第2始動口38に入球したときに、第2タイマで計測された入球時間間隔(第2タイマ値T2)が第1所定時間Tref1以上の場合には異常情報(第1異常情報)を出力し、第1所定時間Tref1未満の場合には異常情報(第1異常情報)を出力しない。これらにより、第1実施例と同様に、入球口61に複数個(2個)の遊技球が連なった状態で入球して振分部材64によりこれらの遊技球が纏めて同一の始動口に振り分けられる場合に対して、異常と判定(誤判定)するのを回避することができる。この結果、異常の発生をより適切に判定することができる。
【0079】
また、第2実施例のパチンコ機10によれば、第1始動口36に遊技球が入球した後、次の遊技球が第2始動口38に入球したときに、第1タイマで計測された入球時間間隔が第2所定時間Tref2以上の場合には異常情報(第2異常情報)を出力せず、第2所定時間Tref2未満の場合には異常情報(第2異常情報)を出力する。また、第2始動口38に遊技球が入球した後、次の遊技球が第1始動口36に入球したときに、第2タイマで計測された入球時間間隔が第2所定時間Tref2以上の場合には異常情報(第2異常情報)を出力せず、第2所定時間Tref2未満の場合には異常情報(第2異常情報)を出力する。これにより、第1実施例と同様に、第1始動口36と第2始動口38とに遊技球が交互に入球した場合であっても、通常あり得ないタイミング(極短時間内)に第1始動口36への遊技球の入球と第2始動口38への遊技球の入球とが検知された場合に対して、始動口振分装置60の異常の発生や遊技者による不正を検知することが可能となる。
【0080】
[第3実施例]
次に、第3実施例のパチンコ機10について説明する。第3実施例のパチンコ機10は、タイマ70dとして2つのタイマ(第1タイマ,第2タイマ)を有する点と、
図23および
図24の異常判定処理に代えて
図27の異常判定処理を実行する点と、
図28の第1異常カウンタリセット処理を実行する点と、
図29の第2異常カウンタリセット処理を実行する点とが第1実施例のパチンコ機10と異なる。
【0081】
[異常判定処理]
図27の異常判定処理では、主制御基板70のCPU70aは、S700で変動短縮フラグがオフである(電サポなし状態)と判定した場合、第1始動口36への遊技球の入球が検知されたか否か(S702)、前回入球始動口が第1始動口36であるか否か(S704)、をそれぞれ判定する。
【0082】
S702で第1始動口36への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS704で前回入球始動口が第1始動口36であると判定、即ち、第1始動口36に2個の遊技球が連続して入球したと判定すると、第1異常カウンタC1が値0であるか否かを判定する(S706)。ここで、第1異常カウンタC1は、2個の遊技球が第1始動口36に連続して入球した状況の発生回数を示すものである。第1異常カウンタC1が値0であると判定すると、第1タイマをリセットしてからスタートさせ(S708)、第1異常カウンタC1が値0でないと判定すると、第1タイマはスタート済みであるから、S708の処理をスキップする。そして、第1異常カウンタC1を値1だけインクリメントし(S710)、第1異常カウンタC1が第1所定回数Cref1以上であるか否かを判定する(S712)。ここで、第1所定回数Cref1は、第1始動口36に対して遊技球が連続して入球した状況が発生した場合に、始動口振分装置60の故障や遊技者による不正と判断できる当該状況の発生回数であり、例えば、2回や3回などとすることができる。第1異常カウンタC1が第1所定回数Cref1以上でない、即ち第1所定回数Cref1未満であると判定すると、異常情報を送信することなく、前回入球始動口を第1始動口36に設定して(S716)、異常判定処理を終了し、第1異常カウンタC1が第1所定回数Cref1以上であると判定すると、前述した異常が発生したと判断し、異常情報をホールコンピュータ120やサブ制御基板90に送信し(S714)、前回入球始動口を第1始動口36に設定して(S716)、異常判定処理を終了する。なお、S702で第1始動口36への入球が検知されたと判定してもS704で前回入球始動口が第1始動口36でないと判定すると、S706〜S714の処理をスキップし、前回入球始動口を第1始動口36に設定して(S716)、異常判定処理を終了する。
【0083】
S702で第1始動口36への遊技球の入球が検知されなかったと判定すると、第2始動口38への遊技球の入球が検知されたか否か(S718)、前回入球始動口が第2始動口38であるか否か(S720)、をそれぞれ判定する。S718で第2始動口38への入球が検知されなかったと判定すると、そのまま異常判定処理を終了する。
【0084】
S718で第2始動口38への遊技球の入球が検知されたと判定すると共にS720で前回入球始動口が第2始動口38であると判定、即ち、第2始動口38に2個の遊技球が連続して入球したと判定すると、第2異常カウンタC2が値0であるか否かを判定する(S722)。ここで、第2異常カウンタC2は、2個の遊技球が第2始動口38に連続して入球した状況の発生回数を示すものである。第2異常カウンタC2が値0であると判定すると、第2タイマをリセットしてからスタートさせ(S724)、第2異常カウンタC2が値0でないと判定すると、第2タイマはスタート済みであるから、S724の処理をスキップする。そして、第2異常カウンタC2を値1だけインクリメントし(S726)、第2異常カウンタC2が第2所定回数Cref2以上であるか否かを判定する(S728)。ここで、第2所定回数Cref2は、第2始動口38に対して遊技球が連続して入球した状況が発生した場合に、始動口振分装置60の故障や遊技者による不正と判断できる当該状況の発生回数であり、例えば、2回や3回などとすることができる。第2異常カウンタC2が第2所定回数Cref2以上でない、即ち第2所定回数Cref2未満であると判定すると、異常情報を送信することなく、前回入球始動口を第2始動口38に設定して(S732)、異常判定処理を終了し、第2異常カウンタC2が第2所定回数Cref2以上であると判定すると、前述した異常が発生したと判断し、異常情報をホールコンピュータ120やサブ制御基板90に送信し(S730)、前回入球始動口を第2始動口38に設定して(S732)、異常判定処理を終了する。なお、S720で前回入球始動口が第2始動口38でないと判定すると、S722〜S730の処理をスキップし、前回入球始動口を第2始動口38に設定して(S732)、異常判定処理を終了する。
【0085】
[第1異常カウンタリセット処理]
図28の第1異常カウンタリセット処理では、主制御基板70のCPU70aは、第1異常カウンタC1が値0よりも大きいか否かを判定する(S800)。第1異常カウンタC1が値0よりも大きくない、即ち値0であると判定すると、そのまま第1異常カウンタリセット処理を終了する。一方、第1異常カウンタC1が値0よりも大きいと判定すると、第1タイマのカウント値(第1タイマ値T1)を取得し(S802)、取得した第1タイマ値T1が第1所定時間Tth1(例えば、10分や60分など)以上であるか否かを判定する(S804)。第1タイマ値T1が第1所定時間Tth1以上であると判定すると、第1異常カウンタC1を値0にリセットして(S806)、第1異常カウンタリセット処理を終了し、第1タイマ値T1が第1所定時間Tth1以上でない、即ち第1所定時間Tth1未満であると判定すると、第1異常カウンタC1をリセットすることなく、第1異常カウンタリセット処理を終了する。
【0086】
[第2異常カウンタリセット処理]
図29の第2異常カウンタリセット処理では、主制御基板70のCPU70aは、第2異常カウンタC2が値0よりも大きいか否かを判定する(S810)。第2異常カウンタC2が値0よりも大きくない、即ち値0であると判定すると、そのまま第2異常カウンタリセット処理を終了する。一方、第2異常カウンタC2が値0よりも大きいと判定すると、第2タイマのカウント値(第2タイマ値T2)を取得し(S812)、取得した第2タイマ値T2が第2所定時間Tth2(例えば、10分や60分など)以上であるか否かを判定する(S814)。第2タイマ値T2が第2所定時間Tth2以上であると判定すると、第2異常カウンタC2を値0にリセットして(S816)、第2異常カウンタリセット処理を終了し、第2タイマ値T2が第2所定時間Tth2以上でない、即ち第2所定時間Tth2未満であると判定すると、第2異常カウンタC2をリセットすることなく、第2異常カウンタリセット処理を終了する。
【0087】
このように、第3実施例では、同一の始動口に対して遊技球が連続して入球した状況が発生しても、直ちに、異常と判断するのではなく、その状況が所定時間Tth1,Tth2の間に所定回数Cref1,Cref2以上発生したときに、異常と判断するのである。ここで、始動口振分装置60の構成や遊技球の発射間隔を考えれば、入球口61に複数個(2個)の遊技球が連なった状態で入球して振分部材64によりこれらの遊技球が纏めて同一の始動口に振り分けられる状況の発生頻度は希である。したがって、同一の始動口に対して遊技球が連続して入球した状況が所定時間Tth1,Tth2の間に所定回数Cref1,Cref2発生した場合に限って異常と判断することで、異常の誤判定を回避し、異常の判定を適切に行うことができる。
【0088】
以上説明した第3実施例のパチンコ機10によれば、同一の始動口(第1始動口36,第2始動口38)に遊技球が連続して入球した状況の発生回数(第1異常カウンタC1,第2異常カウンタC2)を計測し、計測した回数が所定回数(第1所定回数Cref1,第2所定回数Cref2)を超えると、異常情報を出力する。これにより、入球口61に複数個(2個)の遊技球が連なった状態で入球して振分部材64によりこれらの遊技球が纏めて同一の始動口に振り分けられる状況が希に生じるものとしても、異常と誤判定するのを回避することができる。この結果、異常の発生をより適切に判定することができる。
【0089】
第3実施例のパチンコ機10では、異常カウンタ(第1異常カウンタC1,第2異常カウンタC2)として、同一の始動口(第1始動口36,第2始動口38)に遊技球が連続して入球した場合に対してその発生回数をそれぞれカウントするものとしたが、これに限定されるものではなく、所定時間(第1所定時間Tref1)以上の入球時間間隔で同一の始動口に遊技球が連続して入球した場合のみ発生回数をカウントするものとしてもよい。この場合、
図27の異常判定処理のS704の処理の後に
図25の異常判定処理のS606〜S610の処理を追加し、S610の処理で第1タイマ値T1が所定時間Tref1以上と判定された場合にのみS706〜S714の処理が実行されるようにし、S716の処理の前に
図25のS624の処理を追加する。また、
図27の異常判定処理のS720の処理の後に
図26の異常判定処理のS632〜S636の処理を追加し、S636の処理で第2タイマ値T2が所定時間Tref1以上と判定された場合にのみS722〜S730の処理が実行されるようにし、S732の処理の前に
図26のS650の処理を追加する。
【0090】
第3実施例のパチンコ機10では、第1異常カウンタC1のカウントが開始されてからの第1タイマの計測値(第1タイマ値T1)が第1所定時間Tth1以上となると、第1異常カウンタC1をリセットし、第2異常カウンタC2のカウントが開始されてからの第2タイマの計測値(第2タイマ値T2)が第2所定時間Tth2以上となると、第2異常カウンタC2をリセットするものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第1異常カウンタC1のカウントが開始されてからの第1特別図柄(第1識別情報)の変動表示が所定回数以上行われると、第1異常カウンタC1をリセットするものとしてもよいし、第2異常カウンタC2のカウントが開始されてからの第2特別図柄(第2識別情報)の変動表示が所定回数以上行われると、第2異常カウンタC2をリセットするものとしてもよい。また、第1異常カウンタC1は第1始動口36に遊技球が連続して入球するとインクリメントされるものであるから、第2始動口38への遊技球の入球が検知されたことを契機に、第1異常カウンタC1をリセットするものとしてもよいし、第2異常カウンタC2は第2始動口38に遊技球が連続して入球するとインクリメントされるものであるから、第1始動口36への遊技球の入球が検知されたことを契機に、第2異常カウンタC2をリセットするものとしてもよい。また、電源投入時に第1異常カウンタC1や第2異常カウンタC2をリセットするものとしてもよい。
【0091】
第3実施例のパチンコ機10では、同一の始動口(第1始動口36,第2始動口38)に遊技球が連続して入球した場合に対してその発生回数(第1異常カウンタC1,第2異常カウンタC2)をカウントし、カウントした発生回数が所定回数(第1所定回数Cref1,第2所定回数Cref2)となると異常情報を出力するものとしたが、加えて、第1始動口36および第2始動口38のうち一方の始動口に遊技球が入球してから次の遊技球が所定時間(第2所定時間Tref2)内に他方の遊技球に入球した場合に対してその発生回数をカウントし、カウントした発生回数が所定回数となると異常情報を出力するものとしてもよい。
【0092】
実施例のパチンコ機10では、遊技球の重みによって振分部材64を動作させることで遊技球を第1始動口36と第2始動口38とに交互に振り分けるよう始動口振分装置60を構成するものとしたが、これに限定されるものではなく、振分部材をモータやソレノイドなどの電動アクチュエータにより作動させることで遊技球を第1始動口36と第2始動口38とに振り分けるものとしてもよい。また、遊技球の振り分けについても、遊技球を第1始動口36と第2始動口38とに1個ずつ交互に振り分けるものに限定されるものではなく、遊技球を第1始動口36と第2始動口38とに複数個ずつ振り分けるものとしてもよい。ここで、遊技球を第1始動口36と第2始動口38とに所定数ずつ振り分ける場合、
図23および
図24の異常判定処理では、S530,S560で所定数分の前回入球始動口を記憶するものとし、S504,S546で所定数分の前回入球始動口の全てが第1始動口36であるか否かを判定し、S516,S534で所定数分の前回入球始動口の全てが第2始動口38であるか否かを判定するものとすればよい。なお、
図25および
図26の異常判定処理や
図27の異常判定処理についても同様に適用することができる。
【0093】
実施例のパチンコ機10では、普通電動役物として設けられる可変式の入球口39を設け、入球口39に入球した遊技球をワープ通路66により始動口振分装置60を介さずに直接第2始動口38に誘導するものとしたが、これに限定されるものではなく、普通電動役物として設けられる可変式の入球口を別途第3始動口として設けるものとし、第3始動口への遊技球の入球に基づいて第2特別図柄(第2識別情報)を変動表示するものとしてもよい。この場合、電サポなし状態だけでなく、電サポあり状態であっても、前述した異常判定を行うものとしてもよい。
【0094】
実施例のパチンコ機10では、主制御基板70のCPU70aが異常判定処理を実行するものとしたが、これに限定されるものではなく、サブ制御基板90のCPU90aが異常判定処理を実行するものとしてもよい。この場合、サブ制御基板90にタイマを設けると共に、変動短縮フラグの設定状況や第1始動口スイッチ36aの検知信号、第2始動口スイッチ38aの検知信号を主制御基板70からサブ制御基板90へ送信するものとすればよい。
【0095】
実施例のパチンコ機10では、第1始動口36を第1特別図柄(第1識別情報)の変動表示の契機となる第1始動領域とすると共に第2始動口38を第2特別図柄(第2識別情報)の変動表示の契機となる第2始動領域とするものとしたが、これに限定されるものではなく、第1始動領域や第2始動領域をゲートにより構成するものとしてもよい。
【0096】
また、本実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口、第2始動口、大入賞口等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。もちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
【0097】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、パチンコ機10が「遊技機」に相当し、始動口振分装置60が「振分手段」に相当し、第1始動口スイッチ36aが「第1検知手段」に相当し、第2始動口スイッチ38aが「第2検知手段」に相当し、タイマ70dが「計時手段」に相当し、
図23および
図24の異常判定処理のS506〜S510,S528,S548〜S552,S558の処理を実行する主制御基板70のCPU70aとRAM70cとが「第1記憶手段」に相当し、異常判定処理のS518〜S522,S528,S536〜S540,S558の処理を実行する主制御基板70のCPU70aとRAM70cとが「第2記憶手段」に相当し、異常判定処理のS502,S504,S512,S514,S532,S534,S542,S544の処理を実行する主制御基板70のCPU70aが「異常情報出力手段」に相当する。また、異常判定処理のS502,S504,S516,S524,S526,S532,S534,S546,S554,S556の処理を実行する主制御基板70のCPU70aも「異常情報出力手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0098】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。