特許第5787012号(P5787012)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787012
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】データ読取装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   G06K7/10 144
   G06K7/10 180
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-147273(P2014-147273)
(22)【出願日】2014年7月18日
(62)【分割の表示】特願2010-42475(P2010-42475)の分割
【原出願日】2010年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-197428(P2014-197428A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村上 文吾
(72)【発明者】
【氏名】藤本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 恵一
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−215278(JP,A)
【文献】 特開2001−307052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00− 7/14
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグアンテナを含む小型機器がかざされた際に、表示画面に配されたアンテナを介して前記小型機器のタグアンテナと無線通信でデータ読取を行うデータ読取装置であって、
前記小型機器がかざされるに先立って、当該小型機器のタグアンテナが、当該データ読取装置の前記表示画面の外周辺に近接するように指示する先行ガイダンスを出力させる先行ガイダンス手段と、
前記小型機器のタグアンテナが、当該データ読取装置の前記表示画面の外周の複数辺に近接するように指示するガイダンスを出力させるガイダンス手段と、
を具備したことを特徴とするデータ読取装置。
【請求項2】
前記ガイダンス手段は、前記先行ガイダンスに従って前記小型機器がかざされた際に、当該小型機器からデータ読取ができない場合に、前記ガイダンスを出力させる、
ことを特徴とした請求項1に記載のデータ読取装置。
【請求項3】
タグアンテナを含む小型機器がかざされた際に、表示画面に配されたアンテナを介して前記小型機器のタグアンテナと無線通信でデータ読取を行うデータ読取装置であって、
前記小型機器がかざされた際、当該小型機器からデータ読取ができない場合、あるいは当該データ読取装置の電池残量が少ない場合は、前記小型機器を当該データ読取装置の前記表示画面により近接するように指示するガイダンスを出力させるガイダンス手段と、
を具備したことを特徴とするデータ読取装置。
【請求項4】
前記ガイダンス手段は、当該小型機器のタグアンテナが、当該データ読取装置の前記表示画面の外周の複数辺に近接するように指示するガイダンスを出力させる、
ことを特徴とした請求項3に記載のデータ読取装置。
【請求項5】
前記小型機器がかざされるに先立って、当該小型機器を当該データ読取装置の前記表示画面に近接するように指示する先行ガイダンスを出力させる先行ガイダンス手段と、
を更に具備し、
前記ガイダンス手段は、前記先行ガイダンスの出力の後にあって、前記データ読取ができない場合に、前記ガイダンスを出力させる、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のデータ読取装置。
【請求項6】
前記ガイダンス手段のガイダンスは、前記表示画面の内側であって当該表示画面の外周に沿って配された前記アンテナに前記小型機器を近接するように指示するガイダンスである、
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のデータ読取装置。
【請求項7】
前記先行ガイダンス手段の先行ガイダンスは、前記表示画面の外側であって前記アンテナに近接する位置に前記小型機器をかざすように指示するガイダンスであり、
前記ガイダンス手段のガイダンスは、前記表示画面の内側であって当該表示画面の外周に沿って配された前記アンテナに移動させて近接するように指示するガイダンスである、
ことを特徴とする請求項1、2、5の何れかに記載のデータ読取装置。
【請求項8】
前記小型機器からデータ読取ができない場合は、当該データ読取装置の前記アンテナの出力を上げるか否かを判別する判別手段と、
を更に具備し、
前記ガイダンス手段は、前記判別手段で出力を上げないことが判別された際に、前記ガイダンスを出力させる、
ことを特徴とする請求項1〜7に記載のデータ読取装置。
【請求項9】
タグアンテナを含む小型機器がかざされた際に、アンテナを介して前記小型機器のタグアンテナと無線通信でデータ読取を行うデータ読取装置であって、
前記小型機器がかざされた際、当該小型機器からデータ読取ができない場合は、当該データ読取装置の前記アンテナの出力を上げるか否かの通知を出力させる通知手段と、
前記通知手段による通知に対して、前記アンテナ出力を上げることが指示された際は、前記アンテナの出力を上げて前記小型機器からのデータ読取を行う制御手段と、
を具備したことを特徴とするデータ読取装置。
【請求項10】
前記通知手段による通知に対して、前記アンテナ出力を上げないことが指示された際は、前記小型機器を当該データ読取装置の前記アンテナにより近接するように指示するガイダンスを出力させるガイダンス手段と、
を更に具備したことを特徴とする請求項に記載のデータ読取装置。
【請求項11】
タグアンテナを含む小型機器がかざされた際に、表示画面に配されたアンテナを介して前記小型機器のタグアンテナと無線通信でデータ読取を行うデータ読取装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記小型機器がかざされるに先立って、当該小型機器のタグアンテナが、当該データ読取装置の前記表示画面の外周辺に近接するように指示する先行ガイダンスを出力させる先行ガイダンス手段、
前記小型機器のタグアンテナが、当該データ読取装置の前記表示画面の外周の複数辺に近接するように指示するガイダンスを出力させるガイダンス手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項12】
タグアンテナを含む小型機器がかざされた際に、表示画面に配されたアンテナを介して前記小型機器のタグアンテナと無線通信でデータ読取を行うデータ読取装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記小型機器がかざされた際、当該小型機器からデータ読取ができない場合、あるいは当該データ読取装置の電池残量が少ない場合は、前記小型機器を当該データ読取装置の前記表示画面により近接するように指示するガイダンスを出力させるガイダンス手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項13】
タグアンテナを含む小型機器がかざされた際に、表示画面に配されたアンテナを介して前記小型機器のタグアンテナと無線通信でデータ読取を行うデータ読取装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記小型機器がかざされた際、当該小型機器からデータ読取ができない場合は、当該データ読取装置の前記アンテナの出力を上げるか否かの通知を出力させる通知手段、
前記通知手段による通知に対して、前記アンテナ出力を上げることが指示された際は、前記アンテナの出力を上げて前記小型機器からのデータ読取を行う制御手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ読取装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)により、RFタグと近距離無線通信を行い情報のやり取りを行い得る携帯端末が注目されている。「RFID」とは、電波を利用した認証技術をいう。
「RFタグ」とは、RFID技術により近距離無線通信を行い情報のやり取りを行い得るものとして、ICチップをはじめとする電子素子とアンテナの構成が埋め込まれたカード形状などの非接触ICカードやRFIDタグなどのことをいう。
【0003】
RFIDを利用した携帯端末によれば、例えばRFタグが付与された商品の在庫管理が容易になる。また、RFタグに記憶された様々なキー情報により電子マネーの取引が可能となり、自身の識別コード情報などの記憶により入退室の管理が容易になる等のメリットがある。
以下、特に13.56MHz帯の周波数を利用したRFIDについて述べる。13.56MHz帯の周波数を利用したRFIDでは、携帯端末にループアンテナが使用され、電磁誘導方式が採用される。
【0004】
電磁誘導方式では、以下の特徴がある。
(1)通信距離は0mm〜20mm程度と短い。
(2)携帯端末のアンテナ付近又はRFタグとの間に金属が介在すると携帯端末から出力された電波が阻害されて通信できない。
【0005】
ここで、上記(1)〜(2)の特徴を考慮した技術であって、表示部とアンテナを装備した携帯端末について、下記の従来技術が存在する。なお、現在普及している携帯端末には例えばPDA(Personal Digital Assistant)やハンディターミナルがある。
【0006】
特許文献1には、電子装置内での通信装置場所を示す位置指標を表示部に表示する携帯電子装置が開示されている。すなわち、特許文献1によれば、携帯端末のどの位置にアンテナが配置されているのかを表示部に表示することができる。
【0007】
特許文献2には、表示部の外周にアンテナを配置した情報表示システムが開示されている。特許文献2によれば、表示部とアンテナとを一体化することで携帯端末を小型化することができる。
【0008】
特許文献3には、液晶パネルの背面にアンテナを配置し、アンテナの背面に液晶パネルを制御する液晶制御回路を配置した液晶表示機能付リーダライタ装置が開示されている。特許文献3によれば、液晶制御回路が液晶パネルとアンテナとの間に位置しないため良好な送受信を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2007−536665号公報
【特許文献2】特開2009−064307号公報
【特許文献3】特開2007−257483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1〜3の技術では、携帯端末の表示部にRFタグをかざして利用する際、RFタグにより表示部の表示領域が覆われて表示内容が観察できなくなる課題が解決されない。表示内容には、例えば「この画面にカードをかざして下さい」との読み取り指示、「読み取りOK!」との読み取り結果、又は「読み取り位置を移動して下さい」との読み取り指示等がある。なお、一般的にRFタグとしてのICカードのサイズは、85.6×54(mm)であり、画面寸法で換算すると4インチ程度であるため、携帯端末の様に表示部サイズが限られるものの場合、観察できなくなる部分の比率が大きくなってしまう傾向にある。
【0011】
図13に、携帯端末にRFタグをかざす前の状況を示す。
また、図14に、携帯端末にRFタグをかざした後の状況を示す。
図13及び図14に示すように、RFタグをかざすと、表示内容はRFタグに覆われて観察することができなくなる。
表示部の表示内容が観察できなくなることで、ユーザの利便性が損なわれる。
【0012】
また、上記の例において、RFタグをかざした後、「読み取り位置を移動して下さい」との指示が表示部に表示されている場合に表示内容が観察できないと、携帯端末は不要な電波を出力する等して電源を消費する。よって、すぐに電池切れとなる問題が生じる。
また、表示内容が観察できる/できないに拘らず、従来の携帯端末は、ループアンテナ周辺の何処であっても読み取り可能とするため、ループアンテナの中心磁界が一定値以上となるように電波を出力する必要がある。すなわち、不必要に電波の出力を上げる必要がある。よって、すぐに電池切れとなる問題が生じる。
【0013】
本発明の課題は、タグアンテナを含む小型機器と無線通信でデータ読取を行う際に、確実にデータ読取を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1は、タグアンテナを含む小型機器がかざされた際に、表示画面に配されたアンテナを介して前記小型機器のタグアンテナと無線通信でデータ読取行うデータ読取装置であって、前記小型機器がかざされるに先立って、当該小型機器のタグアンテナが、当該データ読取装置前記表示画面の外周辺に近接するように指示する先行ガイダンスを出力させる先行ガイダンス手段と、前記小型機器のタグアンテナが、当該データ読取装置前記表示画面の外周の複数辺に近接するように指示するイダンスを出力させるガイダンス手段と、を具備したことを特徴とする。
【0015】
請求項3は、タグアンテナを含む小型機器がかざされた際に、表示画面に配されたアンテナを介して前記小型機器のタグアンテナと無線通信でデータ読取を行うデータ読取装置であって、前記小型機器がかざされた際、当該小型機器からデータ読取ができない場合、あるいは当該データ読取装置の電池残量が少ない場合は、前記小型機器を当該データ読取装置の前記表示画面により近接するように指示するガイダンスを出力させるガイダンス手段と、を具備したことを特徴とする
請求項は、タグアンテナを含む小型機器がかざされた際に、アンテナを介して前記小型機器のタグアンテナと無線通信でデータ読取を行うデータ読取装置であって、前記小型機器がかざされた際、当該小型機器からデータ読取ができない場合は、当該データ読取装置の前記アンテナの出力を上げるか否かの通知を出力させる通知手段と、前記通知手段による通知に対して、前記アンテナ出力を上げることが指示された際は、前記アンテナの出力を上げて前記小型機器からのデータ読取を行う制御手段と、を具備したことを特徴とする。

【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、タグアンテナを含む小型機器と無線通信でデータ読取を行う際に、確実にデータ読取を行うことができる。

【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】携帯端末の外観図である。
図2】携帯端末の機能ブロック図である。
図3】近距離無線通信時における表示処理のフロー図である。
図4】第1のガイダンスを示す図である。
図5】第1のガイダンスに従ってRFタグが置かれた状態を示す図である。
図6】第2のガイダンスを示す図である。
図7】第2のガイダンスに従ってRFタグが置かれた状態を示す図である。
図8】画面観察が容易で省電力化に適したRFタグの配置例を示す図である。
図9】画面観察が容易で省電力化に適したRFタグの配置例を示す図である。
図10】画面観察又は省電力化に不向きなRFタグの配置例を示す図である。
図11】画面観察又は省電力化に不向きなRFタグの配置例を示す図である。
図12】画面観察又は省電力化に不向きなRFタグの配置例を示す図である。
図13】RFタグをかざす前の状態を示す図である。
図14】RFタグをかざした後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態における携帯端末の構成及び動作について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1に、携帯端末1の外観図を示す。
携帯端末1は、表示部2、操作部3及びアンテナ4等を備えて構成される。
【0020】
表示部2は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display)等を備えて構成される。表示部2は、各種情報の静止画又は動画の画面を表示する。
【0021】
操作部3は、タッチセンサーを備えて構成され、表示部2の背面に設けられるいわゆるタッチパネルである。操作部3は、抵抗膜方式、表面弾性方式、静電容量方式等の方式により、表示部2の画面上がタッチ(押下)された場合に押下信号を生成し、生成された押下信号を制御部5(図2参照)に出力する。なお、操作部3は、必ずしもタッチパネルである必要はなく、数字キー、文字キー、機能キー等を表示部2とは別領域に備えて構成されるとしてもよい。
【0022】
アンテナ4は、銅線等のループアンテナであり、表示部2の外周に沿って巻回されている。アンテナ4は、RFタグに電波を送信し、送信された電波がRFタグから反射された場合にこの反射波を受信する。アンテナ4を表示部2の外周に巻回した構成とすることで、表示部2の表示領域を広く確保しつつ携帯端末1の小型化を図ることができる。また、表示部2の外周に巻線することで金属部を回避でき、通信障害の発生を防止することができる。なお、アンテナ4は透明色の導電性素材のループアンテナであってもよく、この場合、表示部2の表面又は背面に設置されるとしてもよい。
【0023】
「RFタグ」は、本発明の説明においては、RFID技術により近距離無線通信を行い情報のやり取りを行い得るものとして、ICチップをはじめとする電子素子とアンテナの構成が埋め込まれたカード形状などの非接触ICカードやRFIDタグなどの総称として記載する。なお、各説明において、RFタグの形状をカード型を例として説明しているが、これに限定されず、例えばコイン型、スティック型、ラベル型、及び腕時計や携帯電話等に埋め込むなど様々な形状のものとしてもよい。
【0024】
図2に、携帯端末1の機能ブロック図を示す。
携帯端末1は、表示部2、操作部3、アンテナ4、制御部5、記憶部6、電源部7等を備えて構成される。
上記構成のうち、図1で既述した構成については同一の符号を付して簡潔に説明する。
【0025】
表示部2は、制御部5からの制御信号に基づいて、各種情報の静止画又は動画を表示する。
操作部3は、表示部2の画面上が押下された場合、押下信号を生成してこれを制御部5に出力する。
アンテナ4は、RFタグに電波を送信し、送信された電波がRFタグから反射された場合、この反射波を受信する。なお、アンテナ4は、ここではRFID用のアンテナとして用いるがこれに限らず、例えばLAN(Local Area Network)用やWAN(Wide Area Network)用のアンテナとして用いてもよい。
【0026】
制御部5は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、CPUはROMや記憶部6に記憶される各種プログラムをRAMに展開し、展開された各種プログラムとの協働により携帯端末1の動作を統括的に制御する。
例えば制御部5は、記憶部6に記憶されているアプリケーションを実行してRFタグと近距離無線通信を行い、その際に後述する表示処理(図3参照)を行う。
【0027】
記憶部6は、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリ等の揮発メモリ又は不揮発メモリである。記憶部6は、制御部5により実行される各種プログラムや各種プログラムが実行されたことで得られる各種情報を記憶する。
例えば記憶部6は、RFIDによる近距離無線通信を行うためのアプリケーションソフト、RFタグ認証テーブル、識別コード又は管理ツール等を記憶しており、近距離無線通信により取得された各種情報を記憶する。
【0028】
電源部7は、いわゆるバッテリーとよばれる二次電池であり、携帯端末1の各部(2〜6)に電源を供給する。なお、図2において、電源供給ラインの図示は省略している。
電源部7は、制御部5の制御に基づき省電力化を図るように各部に電源を供給する。本実施形態における省電力化を図る処理については、後述する表示処理(図3参照)で説明する。
【0029】
図3を参照して、近距離無線通信時における表示処理について説明する。
前提として、携帯端末1においてRFタグと近距離無線通信を行うためのアプリケーションが起動された時点から本処理が開始されるものとする。
なお、以下の説明では、RFタグに書き込まれている情報を読み取る際に本処理が行われるものとしているが、書き込む際の場合も同様に本処理が行われる。
【0030】
制御部5は、第1のガイダンスを表示部2に表示する(ステップS1)。
【0031】
図4に、第1のガイダンスを示す。
第1のガイダンスは、表示部2の表示領域を最大限広くとり、かつ、RFタグ内部に設けられたアンテナと携帯端末1のアンテナ4とが効果的に接近するようにRFタグの位置及び向き(姿勢)を誘導する案内表示である。具体的には、RFタグ内部のアンテナの1辺が携帯端末1のアンテナ4の一辺に沿って接近するようにRFタグを誘導する案内表示である。
なお、アンテナ4のアンテナ線付近は磁界が強く、アンテナ4の線上に沿ってRFタグのアンテナが接近することで低出力の電波でも読み取りが可能である。
【0032】
また、第1のガイダンスは、表示部2の表示領域を上下に2分割したうちの下画面に表示される。例えば表示部2の下画面には、「この位置及び向きに、カードを置いて下さい」とのガイダンスが表示される。第1のガイダンス中「この位置及び向きに」とは、「下画面内の下端に表示された線にRFタグの端部を合わせて」を意味する。
【0033】
図5に、第1のガイダンスに従ってRFタグが置かれた状態を示す。
第1のガイダンスに従ってRFタグが置かれると、アンテナ41の一辺がアンテナ4の一辺に沿って接近する。すなわち、アンテナ41をアンテナ4の磁界の強い部分に配置することができる。このとき、携帯端末1は、アンテナ4からの出力電波が小さくとも通信環境が良好であればRFタグに書き込まれている各種情報を読み取ることができる。
第1のガイダンスに従ってRFタグが置かれる(かざされる)ことにより、表示部2の表示領域を最大限確保してユーザの利便性向上を図ることができる。更に、アンテナ41及びアンテナ4同士を効果的に接近させて出力電波を上げずに読み取り可能な状態にして省電力化を図ることができる。
【0034】
図3に戻り、制御部5は、第1のガイダンスに従ってRFタグが置かれた後(図5参照)、RFIDにより読み取り可能か否か判断する(ステップS2)。
読み取り可能の場合(ステップS2;Y)、制御部5は、RFIDにより読み取りを開始して、RFタグに書き込まれている各種情報を取得し(ステップS3)、近距離無線通信を終了する。
【0035】
読み取り可能でない場合(ステップS2;N)、制御部5は、電源部7の電池残量は少ないか否か判断する(ステップS4)。
電池残量が少ないか否かの判断に際して、例えば制御部5は、電池残量が予め定められた値よりも小さい場合は電池残量が少ないと判断し、大きい場合は電池残量が多いと判断する。
【0036】
電池残量が少ない場合(ステップS4;Y)、制御部5は、第1のガイダンスに換えて、第2のガイダンスを表示部2に表示する(ステップS5)。
なお、制御部5は、第1のガイダンスを表示する前の通信処理の最初の段階で電池残量を判断し、電池残量が少ない場合は第1のガイダンスを表示することなく第2のガイダンスを表示するとしてもよい。
【0037】
図6に、第2のガイダンスを示す。
第2のガイダンスは、RFタグに覆われない表示領域を一定範囲確保しつつ、かつ、RFタグ内部に設けられたアンテナ41と携帯端末1のアンテナ4とが第1のガイダンスの場合よりもより効果的に接近するようにRFタグの姿勢を誘導する案内表示である。具体的には、RFタグ内部のアンテナ41の3辺が携帯端末1のアンテナ4の3辺に沿って接近するようにRFタグを誘導する案内表示である。
【0038】
第2のガイダンスは、第1のガイダンスと同様、表示部2の表示領域を上下に2分割したうちの下画面に表示される。例えば表示部2の下画面には、「カードをこの位置及び向きに移動して下さい」とのガイダンスが表示される。第2のガイダンス中「この位置及び向きに」とは、「下画面内に表示された破線にRFタグの端部を合わせて」を意味する。
【0039】
図7に、第2のガイダンスに従ってRFタグが置かれた状態を示す。
第2のガイダンスに従ってRFタグが置かれると、アンテナ41の3辺がアンテナ4の3辺に沿って接近する。第2のガイダンスによれば、第1のガイダンスの場合よりも、アンテナ41をアンテナ4の磁界の強い部分により多く接近するよう誘導することができる。このとき、携帯端末1は、アンテナ4からの出力電波が小さくとも通信環境が良好であればRFタグに書き込まれている各種情報を読み取ることができる。
【0040】
表示部2の表示領域のうち、RFタグに覆われない表示領域には、RFタグの読み取り指示、読み取り状況、又は読み取り結果等が表示される。例えばRFタグに書き込まれた各種情報の読み取りが完了した場合、図7に示すように、「読み取りOK!」との読み取り結果の通知が表示部2に表示されるとしてもよい。
第2のガイダンスに従ってRFタグが置かれることにより、RFタグに覆われない表示領域を一定範囲確保してユーザの利便性向上を図ることができる。更に、アンテナ41及びアンテナ4同士を第1のガイダンスの場合よりもより効果的に接近させて出力電波を上げずに読み取り可能な状態にして省電力化を図ることができる。
【0041】
図8及び図9に、画面観察が容易で省電力化に適したRFタグの他の配置例を示す。
図8及び図9に示す配置は何れも、RFタグに覆われない表示領域が一定範囲確保されている。よって、読み取り状況等を容易に観察することができユーザの利便性向上を図ることができる。
【0042】
また、図8及び図9に示す配置は何れも、アンテナ41の3辺がアンテナ4の3辺に沿って接近しており、必要最小限の出力電波で読み取りが可能である。よって、省電力化を図ることができる。
なお、第2のガイダンスの文言について、図6図9に示す位置にRFタグを誘導するものであれば特に限定されない。
【0043】
図10図12に、画面観察又は省電力化に不向きなRFタグの配置例を示す。
図10図12に示す配置は何れも、表示部2の表示領域のほとんどがRFタグに覆われているため読み取り状況等が観察し難く、利便性が図れない。また、アンテナ41の何れの辺もアンテナ4の線上に沿って接近しておらず、出力電波を上げないとRFタグに書き込まれた各種情報を読み取ることができないため、省電力化を図れない。
第1及び第2のガイダンスが表示部2に表示されることにより、図10図12に示す位置にRFタグが置かれることを防止することができる。
【0044】
図3に戻り、制御部5は、第2のガイダンスを表示した後、再びステップS2に移行する。
第2のガイダンスに従ってRFタグが置かれたことで、RFIDにより読み取りが可能になった場合(ステップS2;Y)、制御部5は、RFIDにより読み取りを行いRFタグに書き込まれている各種情報を取得して(ステップS3)、近距離無線通信を終了する。
【0045】
第2のガイダンスに従ってRFタグが置かれたが、RFIDにより読み取りが可能にならない場合(ステップS2;N)、かつ、電池残量が少ない場合(ステップS4;Y)、制御部5は、再びステップS5に移行する(ステップS5)。
【0046】
第2のガイダンスに従って既にRFタグが置かれている場合にステップS5に移行した場合、このままでは、いつまでもRFIDによりRFタグの情報を読み取ることができない。この場合、例えば制御部5は、予め定められた回数だけループした場合(ステップS2→S4→S5→S2…)、「電池残量が少ないためRFIDによる読み取りができません」との通知を表示部2に表示するとしてもよい。或いは、制御部5は、電池残量は少ないがステップS6に移行する旨の通知を表示部2に表示するとしてもよい。
【0047】
電源部7の電池残量が少なくない場合(ステップS4;N)、すなわち電池残量が多い場合、制御部5は、アンテナ4から出力される出力電波を上げるか否か判断する(ステップS6)。
出力電波を上げるか否かの判断に際して、例えば制御部5は、「読み取ることができないため出力電波を上げますか?」との通知を表示部2に表示し、これに対して操作部3から出力電波を上げることを指示する押下信号を入力した場合は出力電波を上げる。また、出力電波を上げないことを指示する押下信号を入力した場合は出力電波を上げない。
【0048】
なお、例えば制御部5は、「出力電波を上げながらリトライ中」等のガイダンスを表示部2に表示しながら出力電波を少しずつ上げるとしてもよい。
また、何ら表示部2に表示せず、操作部3からの指示入力も待たずに、読み取りが成功するまで出力電波を少しずつ上げるとしてもよい。
また、少しずつ上げるのではなく、一気に上げて読み取りを実行し、その値を記憶部6に記憶し、次回のRFタグで同様の状況で出力電波を一気に上げる場合に、前回の値よりも少し下の値に設定して読み取りを実行し、成功したらその値を上書きして記憶し、徐々に設定値を下げることにより読み取り成功率を確保しつつ省電力化を図るとしてもよい。
【0049】
出力電波を上げない場合(ステップS6;N)、制御部5は、ステップS5に移行する。
制御部5は、第2のガイダンスを表示部2に表示していない場合は第2のガイダンスを表示する(ステップS5)。第2のガイダンスを既に表示部2に表示している場合は予め定められた回数だけループした後に(ステップS2→S4→S6→S5→S2…)、例えば「出力電波を上げないと読み取れません。出力電波を上げてよろしいですか?」との通知を表示部2に表示するとしてもよい。また、ループする回数ごとに出力電波を少しずつ上げて読み取りを実行するとしてもよい。
【0050】
出力電波を上げる場合(ステップS6;Y)、制御部5は、アンテナ4から出力される出力電波を上げる(ステップS7)。
制御部5は、出力電波を上げた後は再びRFIDにより読み取り可能か否か判断する(ステップS2)。読み取り可能でない場合は上記説明してきたステップS4〜S7に移行する。また、読み取り可能な場合はRFタグに書き込まれている各種情報を取得して(ステップS3)近距離無線通信を終了する。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、RFタグのアンテナ41の少なくとも一辺がアンテナ4の線材に沿うように、RFタグの姿勢を誘導するガイダンスを表示部2に表示することができる。ガイダンスに従ってRFタグが置かれることで、表示部2の表示領域を確保することができ、ユーザの利便性向上を図ることができる。更に、RFタグのアンテナ41を携帯端末1のアンテナ4に沿って接近させることができ、省電力化を図ることができる。
なお、本実施形態では、四角形の表示部2の外周に沿って矩形のアンテナ4が設けられた携帯端末1に、矩形のアンテナ41をかざす場合について説明してきたがこれに限らず、円形の表示部の外周に沿って矩形のアンテナ4が設けられた携帯端末に、矩形のアンテナ41をかざす場合であっても、また、円形の表示部の外周に沿って円形のアンテナが設けられた携帯端末に、矩形のアンテナ41をかざす場合であっても、表示部の表示領域を確保してユーザの利便性向上を図り、省電力化を図ることができる。すなわち、表示部の表示領域を確保しつつ、RFタグのアンテナを携帯端末のアンテナに沿って接近させるようなガイダンスを表示部に表示することで、表示部の形状、携帯端末のアンテナの形状又はRFタグのアンテナの形状にかかわらず上記効果を有する。
【0052】
また、第1のガイダンス又は第2のガイダンスを表示部2に表示し、これに従ってRFタグが置かれることで、表示部2の表示領域を確保することができ、ユーザの利便性向上を図ることができる。更に、RFタグのアンテナ41を携帯端末1のアンテナ4に沿って接近させることができ、省電力化を図ることができる。
【0053】
また、まず第1のガイダンスを表示してRFタグに覆われない表示領域を最大限確保しつつアンテナ41及びアンテナ4同士を効果的に接近させることで利便性向上及び省電力化を図り、第1のガイダンスに従ってRFタグが置かれた場合でもRFタグに書き込まれた情報を読み取ることができない場合、次に第2のガイダンスを表示してRFタグに覆われない表示領域を一定範囲確保しつつアンテナ41及びアンテナ4同士をより効果的に接近させることで利便性向上及び省電力化を図ることができる。
【0054】
また、第1のガイダンスに従ってRFタグが置かれた場合でもRFタグに書き込まれた情報を読み取ることができない場合、かつ、電池残量が少ない場合、第2のガイダンスを表示してRFタグに覆われない表示領域を一定範囲確保しつつアンテナ41及びアンテナ4同士をより効果的に接近させることで利便性向上及び省電力化を図ることができる。
【0055】
また、第1のガイダンスに従ってRFタグが置かれた場合でもRFタグに書き込まれた情報を読み取ることができない場合、かつ、出力電波を上げずに低出力の出力電波を維持する設定がされている場合、第2のガイダンスを表示してRFタグに覆われない表示領域を一定範囲確保しつつアンテナ41及びアンテナ4同士をより効果的に接近させることで利便性の向上及び省電力化を図ることができる。
【0056】
また、RFタグの読み取り指示、読み取り状況、又は読み取り結果をRFタグに覆われない表示領域に表示して観察可能とすることができるため利便性向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 携帯端末
2 表示部
3 操作部
4 アンテナ
5 制御部
6 記憶部
7 電源部
41 アンテナ
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