(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配線基板と、該配線基板の先端部に形成された検出部と、導体パターン及びグランドパターンを有し、前記検出部と前記配線基板の基端部とを接続する伝送線路と、を備える磁界プローブにおいて、
前記検出部は、
前記配線基板の第1の面に形成され、前記磁界プローブの軸線方向に対して所定の傾きを持った線状の第1配線パターンと、
前記配線基板の第1の面と対向する第2の面に形成され、前記磁界プローブの軸線方向に対して前記所定の傾きを持った線状の第2配線パターンと、
前記配線基板を厚み方向に貫通し、前記第1配線パターンの先端部と前記第2配線パターンの先端部とを接続する第1ビアと、を備え、
前記第1配線パターンの後端部は、前記伝送線路を構成する前記導体パターンに接続され、
前記第2配線パターンの後端部は、前記伝送線路を構成する前記グランドパターンに接続されている
ことを特徴とする磁界プローブ。
配線基板と、該配線基板の先端部に形成された検出部と、導体パターン及びグランドパターンを有し、前記検出部と前記配線基板の基端部とを接続する伝送線路と、を備える磁界プローブにおいて、
前記検出部は、
前記配線基板の第1の面に形成され、前記磁界プローブの軸線方向に対して所定の傾きを持った線状の第1配線パターン及び第3配線パターンと、
前記配線基板の第1の面と対向する第2の面に形成され、前記磁界プローブの軸線方向に対して前記所定の傾きを持った線状の第2配線パターン及び第4配線パターンと、
前記配線基板を厚み方向に貫通し、前記第1配線パターンの先端部と前記第2配線パターンの先端部とを接続する第1ビアと、
前記配線基板を厚み方向に貫通し、前記第2配線パターンの後端部と前記第3配線パターンの後端部とを接続する第2ビアと、
前記配線基板を厚み方向に貫通し、前記第3配線パターンの先端部と前記第4配線パターンの先端部とを接続する第3ビアと、を備え、
前記第1配線パターンの後端部は、前記伝送線路を構成する前記導体パターンに接続され、
前記第4配線パターンの後端部は、前記伝送線路を構成する前記グランドパターンに接続されている
ことを特徴とする磁界プローブ。
配線基板と、該配線基板の先端部に形成された検出部と、導体パターン及びグランドパターンを有し、前記検出部と前記配線基板の基端部とを接続する伝送線路と、を備える磁界プローブにおいて、
前記検出部は、
前記配線基板の第1の面に形成され、前記磁界プローブの軸線方向に対して所定の傾きを持った複数の線状の配線パターンと、
前記配線基板の第1の面と対向する第2の面に形成され、前記磁界プローブの軸線方向に対して前記所定の傾きを持った複数の線状の配線パターンと、
前記配線基板を厚み方向に貫通し、前記第1の面に形成された前記複数の配線パターンと前記第2の面に形成された前記複数の配線パターンとがらせん状につながるように接続する複数のビアと、を備え、
らせん状に接続された前記複数の配線パターンの始端部は、前記伝送線路を構成する前記導体パターンに接続され、
らせん状に接続された前記複数の配線パターンの終端部は、前記伝送線路を構成する前記グランドパターンに接続されている
ことを特徴とする磁界プローブ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1記載のEMI測定装置では、磁界プローブとして、54.78°の傾き持った傾斜型ループアンテナを使用することにより、3次元の磁界強度を測定することができる。
【0006】
ところで、先端部がリング状に形成された傾斜型ループアンテナは、通常、セミリジッドケーブル等を用いて製作される。しかしながら、例えばセミリジッドケーブルで所定の傾きを有するリング状のループ部を製作する場合には、まず、製作時にループ部の角度を精度よく出すことが困難である。また、セミリジッドケーブル等を用いた場合には、所定の傾きを維持しながらループの巻き数を増やすことが難しい。すなわち、ループの巻き数を増やすことにより磁界プローブの感度を上げることが難しい。さらに、セミリジッドケーブル等で作られた傾斜型ループアンテナは、外力(例えば被測定物等に対する接触)などの要因により、変形しやすいため、ループ部の傾きの精度を長期間にわたって維持することが困難である。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、製造時にループ部の傾きを精度良く出すことができるとともに、ループ部の傾きの精度を維持しながら巻き数を増やすことができ、かつ、ループ部の傾きの精度を長期間にわたって維持することが可能な磁界プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る磁界プローブは、配線基板と、該配線基板の先端部に形成された検出部と、導体パターン及びグランドパターンを有し、検出部と配線基板の基端部とを接続する伝送線路とを備える磁界プローブにおいて、検出部が、配線基板の第1の面に形成され、磁界プローブの軸線方向に対して所定の傾きを持った線状の第1配線パターンと、配線基板の第1の面と対向する第2の面に形成され、磁界プローブの軸線方向に対して上記所定の傾きを持った線状の第2配線パターンと、配線基板を厚み方向に貫通し、第1配線パターンの先端部と第2配線パターンの先端部とを接続する第1ビアとを備え、第1配線パターンの後端部が、伝送線路を構成する前記導体パターンに接続され、第2配線パターンの後端部が、伝送線路を構成する前記グランドパターンに接続されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る磁界プローブによれば、配線基板に形成された第1配線パターン、第2配線パターン、及び、該第1配線パターンの先端と第2配線パターンの先端とを接続する第1ビアによりループが形成されるため、製造時にループ部の傾きを精度良く出すことができる。また、該ループ部が配線基板に形成されているため、変形しにくく、ループ部の傾きの精度を長期間にわたって維持することができる。さらに、形成する配線パターンとビア等の数を増やすことにより、ループ部の傾きの精度を維持しながらループの巻き数を増やすことも可能である。
【0010】
本発明に係る磁界プローブでは、配線基板が複数の絶縁体層を有する多層基板であり、グランドパターンが第1の面及び第2の面に対を成して形成されており、導体パターンが、第1の面と第2の面との間に、複数の絶縁体層によって画成された第3の面に形成されており、第1配線パターンの後端部と導体パターンとが、多層基板の厚み方向に延びるビアにより接続されていることが好ましい。
【0011】
この場合、磁界プローブのループ部の開口部が絞られるとともに、例えば特性インピーダンスが調整された伝送線路によって検出部(ループ部)と多層基板の基端部とが接続される。よって、検出部、伝送線路、及び基端部のインピーダンスを整合させることができ、検出部や基端部で反射波が生じることを抑制することができる。
【0012】
本発明に係る磁界プローブは、配線基板と、該配線基板の先端部に形成された検出部と、導体パターン及びグランドパターンを有し、検出部と配線基板の基端部とを接続する伝送線路とを備える磁界プローブにおいて、検出部が、配線基板の第1の面に形成され、磁界プローブの軸線方向に対して所定の傾きを持った線状の第1配線パターン及び第3配線パターンと、配線基板の第1の面と対向する第2の面に形成され、磁界プローブの軸線方向に対して上記所定の傾きを持った線状の第2配線パターン及び第4配線パターンと、配線基板を厚み方向に貫通し、第1配線パターンの先端部と第2配線パターンの先端部とを接続する第1ビアと、配線基板を厚み方向に貫通し、第2配線パターンの後端部と第3配線パターンの後端部とを接続する第2ビアと、配線基板を厚み方向に貫通し、第3配線パターンの先端部と第4配線パターンの先端部とを接続する第3ビアとを備え、第1配線パターンの後端部が、伝送線路を構成する導体パターンに接続され、第4配線パターンの後端部が、伝送線路を構成するグランドパターンに接続されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る磁界プローブによれば、第1配線パターン、第1ビア、第2配線パターン、第2ビア、及び、第3配線パターン、第3ビア、第4配線パターンによりループが2重にされた検出部(ループ部)が形成されるため、上述した効果に加えて、磁界プローブの測定感度をより高めることが可能となる。
【0014】
本発明に係る磁界プローブでは、配線基板が複数の絶縁体層を有する多層基板であり、グランドパターンが第1の面及び第2の面に対を成して形成されており、導体パターンが、第1の面と第2の面との間に、複数の絶縁体層によって画成された第3の面に形成されており、第1配線パターンの後端部と前記導体パターンとが、多層基板の厚み方向に延びるビアにより接続されていることが好ましい。
【0015】
この場合、例えば特性インピーダンスが調整された伝送線路によって検出部(ループ部)と多層基板の基端部とが接続される。よって、検出部、伝送線路、及び基端部のインピーダンスを整合させることができ、検出部や基端部で反射波が生じることを抑制することができる。
【0016】
本発明に係る磁界プローブは、配線基板と、該配線基板の先端部に形成された検出部と、導体パターン及びグランドパターンを有し、検出部と配線基板の基端部とを接続する伝送線路とを備える磁界プローブにおいて、検出部が、配線基板の第1の面に形成され、磁界プローブの軸線方向に対して所定の傾きを持った複数の線状の配線パターンと、配線基板の第1の面と対向する第2の面に形成され、磁界プローブの軸線方向に対して上記所定の傾きを持った複数の線状の配線パターンと、配線基板を厚み方向に貫通し、第1の面に形成された複数の配線パターンと第2の面に形成された複数の配線パターンとがらせん状につながるように接続する複数のビアとを備え、らせん状に接続された複数の配線パターンの始端部が、伝送線路を構成する前記導体パターンに接続され、らせん状に接続された複数の配線パターンの終端部が、伝送線路を構成する前記グランドパターンに接続されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る磁界プローブによれば、検出部(ループ部)のループの巻き数を多重(例えば3重以上)にできるため、上述した効果に加えて、磁界プローブの測定感度をさらに向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、製造時にループ部の傾きを精度良く出すことができるとともに、ループ部の傾きの精度を維持しながら巻き数を増やすことができ、かつ、ループ部の傾きの精度を長期間にわたって維持することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0021】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図6を併せて用いて、第1実施形態に係る磁界プローブ1の構成について説明する。
図1は、磁界プローブ1の全体構成を示す斜視図である。
図2は、磁界プローブ1の検出部20の構成を示す斜視図である。また、
図3〜5は、磁界プローブ1の検出部20を構成する第1電極層13〜第3電極層15それぞれの配線パターンを示す図である。さらに、
図6は、
図2のVI−VI線に沿った断面図である。
【0022】
磁界プローブ1は、多層基板10と、該多層基板10の先端部10aに形成された検出部20と、導体パターン84及び一対のグランドパターン82,83を有し、検出部20と多層基板10の基端部10bとを接続するストリップ線路(伝送線路)80とを備えている。
【0023】
多層基板10は、正面視した場合(
図1に示されるX軸方向から見た場合)に略T字状に形成され、かつ、側面視した場合(
図1のY軸方向から見た場合)に平板状に形成されている。多層基板10には、例えば、ガラス繊維製のクロスを重ねたものにエポキシ樹脂を含浸したガラスエポキシ基板等が好適に用いられる。
【0024】
多層基板10は、2層の絶縁体層(誘電体層)、すなわち第1絶縁体層11及び第2絶縁体層12を厚さ方向(
図1のX軸方向)に積層することによって構成されている。多層基板10の先端部10aには、検出部20(詳細は後述する)が形成されている。一方、多層基板10の基端部10bは、先端部10aに比べて幅寸法が大きく形成され、該基端部10bには、例えばSMAコネクタ19が取り付けられている。なお、磁界プローブ1は、SMAコネクタ19に接続される同軸ケーブルを介してスペクトルアナライザ等の計測器に接続される。そして、磁界プローブ1の検出部20に発生する検出信号(起電力)に基づいて、検出部20近傍の磁界強度が測定される。
【0025】
多層基板10は、幅方向(
図1のY軸方向)に対して、先端部10aでは、例えば数mm程度の寸法を有し、基端部10bでは、例えば十数mm程度の寸法を有する。また、多層基板10は、長さ方向(
図1のZ軸方向)に沿って延び、その長さが例えば数十mm程度となるように形成されている。この長さ方向の中心線を軸線3と定義する。軸線3は、磁界プローブ1の走査方向(X,Y平面)に対し、垂直に接する。
【0026】
多層基板10の第1の面(以下「表面」ともいう)16には、第1電極層13が形成されている。第1電極層13は、多層基板10(第1の面16)の先端部10aに形成された第1配線パターン31(詳細は後述する)、及び、多層基板10(第1の面16)の先端部10a以外の領域を覆うように形成されたグランドパターン82を有している。一方、多層基板10の第2の面(以下「裏面」ともいう)17には、第2電極層14が形成されている。第2電極層14は、多層基板10(第2の面17)の先端部10aに形成された第2配線パターン32(詳細は後述する)、及び、多層基板10(第2の面17)の先端部10a以外の領域を覆うように形成されたグランドパターン84を有している。
【0027】
また、多層基板10を構成する第1絶縁体層11と第2絶縁体層12との間に画成された第3の面18には、第3電極層15が形成されている。この第3電極層15は、第3の面18の略中央を、磁界プローブ1の軸線3の方向に沿って細長く延びる導体パターン84を有している。なお、グランドパターン82,83、導体パターン84、第1配線パターン31、及び第2配線パターン32それぞれは、例えば導電性の金属皮膜により形成されている。
【0028】
上述した、多層基板10の両面に形成された一対のグランドパターン82,83と、導体パターン(ストリップ導体)84とはストリップ線路(伝送線路)80を構成している。ストリップ線路80は、検出部20と、SMAコネクタ19とを接続している。なお、ストリップ線路80は、特性インピーダンスが、例えば50Ωに調節されている。
【0029】
検出部20は、多層基板10の先端部10aに配置され、第0ビア40、第1配線パターン31、第1貫通ビア41、第2配線パターン32、及び、第5貫通ビア45を有している。
【0030】
第1配線パターン31は、線状の配線パターンであり、上述したように、多層基板10の第1の面16に形成されている。また、第1配線パターン31は、磁界プローブ1の軸線3方向に対して所定の傾きを持つように形成されている。ここで、磁界プローブ1の軸線3方向に対する第1配線パターン31の傾斜角をφとすると、傾斜角φは次式(1)から求められる。
φ=tan
−1(1/√2)=35.3° ・・・(1)
よって、磁界プローブ1の走査方向(X,Y平面)に対する角度をθとすると、角度θは次式(2)から求められる。
θ=90−35.3=54.7° ・・・(2)
【0031】
第2配線パターン32も、線状の配線パターンであり、上述したように、多層基板10の第1の面16と平行な第2の面17に形成されている。また、第2配線パターン32は、第1配線パターン31と同様に、磁界プローブ1の軸線3方向に対して所定の傾きφを持つように形成されている。また、第2配線パターン32は、多層基板10の第2の面17に垂直な方向(
図1のX軸方向)から見て第1配線パターン16と略重なる位置に配設されている。なお、第2配線パターン32は、後述する第5貫通ビア45が導体パターン84と干渉することを避けるために、後端部分が略直角に屈曲した形状に形成されている。
【0032】
第1配線パターン31の後端部31aは、ストリップ線路80を構成する導体パターン84の先端部84aと、多層基板10の厚み方向に延びる第0ビア40によって接続されている。また、第1配線パターン31の先端部31bは、多層基板10を厚み方向に貫通する第1貫通ビア41によって、第2配線パターン32の先端部32bと接続されている。なお、第0ビア40や第1貫通ビア41等のビアは、例えばメッキ処理等によってその内壁面に導電性の金属膜が形成されている。
【0033】
第2配線パターン32の後端部32aは、ストリップ線路80を構成するグランドパターン83に接続されている。また、第2配線パターン32の後端部32a(すなわちグランドパターン83)は、多層基板10を厚み方向に貫通する第5貫通ビア45によって、対向するグランドパターン82と接続されている。
【0034】
以上のように、多層基板10に形成された、第0ビア40、第1配線パターン31、第1貫通ビア41、及び第2配線パターン32により、磁界プローブ1の軸線3方向に対して所定の傾きφ(本実施形態では傾きφ=35.3°)を持つループ部21が形成される。
【0035】
次に、上述したような構成を有する磁界プローブ1の動作について説明する。例えば回路基板等の磁界強度を測定する際には、まず、磁界プローブ1の先端部10a(検出部20)を、回路基板等の測定対象の表面に近接させた状態で配置する。すなわち、所定の傾きφ(本実施形態ではφ=35.3°)を有するループ部21を測定対象の表面に近接させて配置する。そうすると、検出部20では、ループ部21の内側を通過する磁界(磁束変化)に応じて、該ループ部21に起電力が発生する。そのため、この起電力をSMAコネクタ19に接続されたスペクトルアナライザ等の計測器で計測することによって、測定対象の表面に生じる磁界を測定することができる。
【0036】
続いて、磁界プローブ1の軸線3(垂直方向)を回転軸として、120°及び240°回転させて同様に磁界を測定する。そして、軸線3方向(垂直方向)から見て、0°、120°、240°の磁界強度の二乗和の平方根を計算することにより、互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の合成した磁界強度の絶対値を得ることができる。ここで、磁界プローブ1を用いて、120°毎に測定した磁界を合成して得た測定結果の一例を
図7に示す。なお、
図7の右上に示した数値は中心部の磁界強度(この場合には47.5dB)である。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、多層基板10に形成された第0ビア40、第1配線パターン31、第2配線パターン32、及び、該第1配線パターン31の先端31bと第2配線パターン32の先端32bとを接続する第1貫通ビア41によりループ部21が形成される。そのため、製造時においてはループ部21の傾きを精度良く出すことができる。また、変形しにくく、ループ部21の傾きの精度を長期間にわたって維持することができる。なお、形成する配線パターンとビア等の数をさらに増やすことにより、ループ部21の傾きの精度を維持しながらループの巻き数を増やすことも可能である。
【0038】
また、本実施形態によれば、特性インピーダンスが例えば50Ωに調整されたストリップ線路80によってループ部21(検出部20)と多層基板10の基端部10aに取り付けられたSMAコネクタ19とが接続される。よって、検出部20、ストリップ線路80及びSMAコネクタ19のインピーダンスを整合させることができ、SMAコネクタ19や検出部20で反射した反射波が生じることを抑制することができる。
【0039】
(第2実施形態)
ところで、磁界プローブの感度を上げるためには、ループの巻き数を増やすことが効果的である。そこで、次に、
図8〜12を併せて用いて、ループが2重に巻かれた第2実施形態に係る電界プローブ2の構成について説明する。
図8は、磁界プローブ2の検出部50の構成を示す斜視図である。また、
図9〜11は、磁界プローブ2の検出部50を構成する第1電極層53〜第3電極層55それぞれの配線パターンを示す図である。さらに、
図12は、
図8のXII−XII線に沿った断面図である。なお、
図8〜12において、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0040】
磁界プローブ2は、一重のループを有する検出部20に代えて、二重のループを有する検出部50を備えている点で、上述した磁界プローブ1と異なっている。その他の構成は上述した磁界プローブ1と同一又は同様であるので、ここでは図示及び詳細な説明を省略する。
【0041】
検出部50は、多層基板10の先端部10aに配置され、第0ビア40、第1配線パターン31、第1貫通ビア41、第2配線パターン62、第2貫通ビア72、第3配線パターン63、第3貫通ビア73、第4配線パターン64、第4ビア74、第5配線パターン65、及び、第6貫通ビア76を有している。
【0042】
第1配線パターン31及び第3配線パターン63は、互いに平行な線状の配線パターンであり、多層基板10の第1の面16に形成されている。また、第1配線パターン31及び第3配線パターン63は、磁界プローブ2の軸線3方向に対して所定の傾きφ(本実施形態では35.3°)を持つように形成されている。
【0043】
一方、第2配線パターン62及び第4配線パターン64も、互いに平行な線状の配線パターンであり、多層基板10の第2の面17に形成されている。また、第2配線パターン62及び第4配線パターン64は、第1配線パターン31及び第3配線パターン63と同様に、磁界プローブ2の軸線3方向に対して所定の傾きφを持つように形成されている。また、第2配線パターン62及び第4配線パターン64は、多層基板10の第2の面17に垂直な方向(
図8のX軸方向)から見て第1配線パターン31及び第3配線パターン63と略重なる位置に配設されている。
【0044】
なお、第2配線パターン62及び第4配線パターン64は、干渉を避けつつ複数の配線パターンをらせん状に接続するために、後端部分が屈曲した形状に形成されている。
【0045】
第1配線パターン31の後端部31aは、ストリップ線路81を構成する導体パターン85の先端部85aと、多層基板10(第1絶縁体層11)の厚み方向に延びる第0ビア40によって接続されている。また、第1配線パターン31の先端部31bは、多層基板10を厚み方向に貫通する第1貫通ビア41によって、第2配線パターン62の先端部62bと接続されている。
【0046】
一方、第2配線パターン62の後端部62aと第3配線パターン63の後端部63aとは、多層基板10を厚み方向に貫通する第2貫通ビア72により接続されている。また、第3配線パターン63の先端部63bと第4配線パターン64の先端部64bとは、多層基板10を厚み方向に貫通する第3貫通ビア73により接続されている。
【0047】
さらに、第4配線パターン64の後端部64aは、多層基板10(第2絶縁体層12)の厚み方向に延びる第4ビア74、第3の面18(第3電極層55)に形成された第5配線パターン65、及び、多層基板10を厚み方向に貫通する第6貫通ビア76を介して、ストリップ線路81を構成するグランドパターン83及びグランドパターン82に接続されている。
【0048】
以上のように、多層基板10に形成された、第0ビア40、第1配線パターン31、第1貫通ビア41、第2配線パターン62、第2貫通ビア72、第3配線パターン63、第3貫通ビア73、第4配線パターン64、第4ビア74、及び第5配線パターン65により、磁界プローブ2の軸線3方向に対して所定の傾きφ(本実施形態では傾きφ=35.3°)を持つループが二重に巻かれたループ部51が形成される。
【0049】
次に、上述したような構成を有する磁界プローブ2の動作について説明する。本実施形態に係る磁界プローブ2においても、上述した磁界プローブ1の場合と同様にして、磁界プローブ2の軸線3(垂直方向)を回転軸として120°ずつ回転させて磁界を測定し、軸線3方向(垂直方向)から見て0°、120°、240°の磁界強度の二乗和の平方根を演算することで、互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の合成した磁界強度の絶対値を得ることができる。
【0050】
上述した第1実施形態の場合と同じ測定対象を用いて、120°ずつ回転させて互いに直交する3軸方向の磁界を測定し、それらを合成して得た測定結果の一例を
図13に示す。ここで、
図13の右上に示してある数値は中心部の磁界強度(この場合には54.7dB)である。第1実施形態の場合と比較して、中心部の磁界強度が高くなっていることから、本実施形態によれば、ループの巻き数を増やすことにより測定感度を向上できることが確認された。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、検出部50のループが2重に巻かれているため、上述した第1実施形態の効果に加えて、磁界プローブ2の測定感度をより高めることが可能となる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、検出部20(50)のループの巻き数が一重の場合(第1実施形態)と二重の場合(第2実施形態)について説明したが、ループの巻き数は、三重以上であってもよい。
【0053】
すなわち、上述した第2実施形態に係る磁界プローブ2の第4配線パターン64の後端部64aに対してグランドパターン82,83を接続する代わりに、貫通ビア及び複数の配線パターンをさらにらせん状に接続するとともに、そのらせん状に接続された複数の配線パターンの終端部を、ストリップ線路81を構成するグランドパターン82,83に接続するように構成してもよい。このようにすれば、ループの巻き数を三重以上にできるため、磁界プローブの測定感度をさらに高めることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、絶縁体層が2層の多層基板を用いたが、絶縁体層の層数は、2層に限られることなく、3層以上であってもよい。
【0055】
上記実施形態では、伝送線路として、ストリップ線路を用いたが、マイクロストリップ線路を用いてもよい。この場合には、多層基板に代えて、単層の両面基板(配線基板)を用いることもできる。