(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下では、電力変換装置をインバータ装置に適用した場合について説明する。また、図面中に「前」「後」「左」「右」「上」「下」の注記がある場合は、明細書中の説明における「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、その注記された方向を指す。但し、インバータ装置の位置関係は、「前」「後」「左」「右」「上」「下」の概念に限定されるものではない。また、明細書中の説明における「冷却風の流れ方向」とは、冷却風の実際の流れの向き(吸気口から排気口への向き)を指す。一方、明細書中の説明における「冷却風の通風方向」とは、冷却風の実際の流れの向きを指すのではなく、冷却風が流れうる方向(吸気口から排気口への向き及び排気口から吸気口への向きの両方を含む)を指す。
【0011】
<インバータ装置の構成>
図1〜
図5に示すように、本実施形態のインバータ装置1(電力変換装置)は、直流電力を交流電力に変換する装置である。このインバータ装置1は、設置状態において後述の本体部30が前側、後述の風洞11が後側、冷却風の通風方向が上下方向となるように、配電盤や制御盤等の盤(図示せず)内で他の機器(図示せず)と並列に配置され、使用される。このようなインバータ装置1は、略板形状に形成され開口120を備えた本体ベース12(
図5中では図示省略)と、本体ベース12に設けられたヒートシンク20(
図5中では図示省略)と、本体ベース12の前側に配置された本体部30(後述の
図6も参照)と、本体部30を収納する本体ケース(図示せず)と、本体ベース12の後側に配置され、冷却風の通風空間となる風洞11を内部に形成する風洞ケース10(ケース)とを有する。
【0012】
風洞ケース10は、略直方体形状を備え、長手方向が鉛直方向と略平行になるように、上記盤に配置される。この風洞ケース10は、本体ベース12の後面12aの左右両端にそれぞれ立設され上記通風口130,130をそれぞれ備えた外壁13,13と、外壁13,13の後側に取り付けられ上記風洞11を覆うカバー14(
図5中では図示省略)とを備える。本体ベース12及び外壁13,13は、アルミニウム合金等の材質により別体として構成されているが、一体として構成されてもよい。
【0013】
図6に示すように、本体部30は、端子台31と、ダイオードモジュール32(電気部品、第2の電気部品)と、直流リアクトル33と、接点が開閉制御されるリレー34と、平滑コンデンサ35と、3つのパワーモジュール36a,36b,36c(電気部品、第1の電気部品)と、端子台37とを備える。なお、
図1〜
図5中では、ダイオードモジュール32及び3つのパワーモジュール36a,36b,36c以外の本体部30の構成要素の図示を適宜省略している。
【0014】
端子台31は、例えば上記本体ケース内の下部に収納され、交流電源4の電源ケーブルを接続・中継する。
【0015】
ダイオードモジュール32は、端子台31の端子と電気的に接続され、交流電源4から端子台31を介して供給される3相(R,S,T相)交流電力を整流し、2本の直流バスP,Nへ直流電力を出力する。
【0016】
直流リアクトル33は、直流バスP(又は直流バスNでもよい)に接続され、直流電力の力率を改善する。
【0017】
平滑コンデンサ35は、直流バスP,Nに接続され、ダイオードモジュール32が整流した直流電圧の脈動成分を平滑化する。
【0018】
パワーモジュール36a,36b,36cは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジタ)等の半導体素子からなり、それぞれが電力変換回路を構成するスイッチング素子(図示せず)をそれぞれ備え、3相(U,V,W相)交流の各相に対応して設けられている。これらパワーモジュール36a,36b,36cは、直流バスP,Nにそれぞれ接続されると共に、端子台37の端子と3相(U,V,W相)交流の各相ごとに電気的に接続され、当該各相の交流電力を端子台37を介してモータ5へ出力する。
【0019】
端子台37は、例えば上記本体ケース内の下部に収納され、モータ5のモータケーブルを接続・中継する。
【0020】
図1〜
図5に示すように、ヒートシンク20は、略板形状のヒートシンクベース21(ベース)と、上部フィン群22(第1のフィン群)と、下部フィン群23(第2のフィン群)とを備え、フィン群22,23が上記開口120に嵌め込まれることで上記風洞11に収納されるように、上記本体ベース12の前側に取り付けられ、ボルト等により固定されている。上部フィン群22は、ヒートシンクベース21の後面21a(一方側の面)の上部に立設された複数のフィン220からなり、下部フィン群23は、ヒートシンクベース21の後面21aの下部に立設された複数のフィン230からなる。ヒートシンクベース21、上部フィン群22、及び下部フィン群23は、アルミニウムや銅等の熱が伝導しやすい材質により一体あるいは別体として構成されている。上部フィン群22及び下部フィン群23は、ヒートシンクベース21の後面21aにおいて上下に分離して配置されており、ヒートシンクベース21の後面21aにおける上部フィン群22と下部フィン群23と間には、隙間S(
図3及び
図4参照)が形成されている。
【0021】
このとき、上記風洞ケース10の外壁13,13それぞれにおける上部フィン群22と下部フィン群23との間の隙間Sに対応する位置(例えば上部フィン群22と下部フィン群23との中央位置等)には、上記通風口130,130がそれぞれ設けられている。また、風洞ケース10の上端部(通風方向一方側)には、上部フィン群22に冷却風を通風させるように構成された上部ファン2(第1のファン)が設置されている。一方、風洞ケース10の下端部(通風方向他方側)には、下部フィン群23に冷却風を通風させるように構成された下部ファン3(第2のファン)が設置されている。また、風洞ケース10内における上部フィン群22と下部フィン群23との間には、それぞれと接触しないように間隔を空けて、仕切り板6(板部材)が設置されている。なお、仕切り板6は、ヒートシンク20のヒートシンクベース21又は本体ベース12、あるいは風洞ケース10のカバー14等と一体として構成されてもよい。仕切り板6は、上記風洞11を、上部ファン2による冷却風の通風空間と下部ファン3による冷却風の通風空間とに区画すると共に、上記通風口130,130を、上部通風口130a,130aと下部通風口130b,130bとにそれぞれ区画する。
【0022】
本実施形態では、上部ファン2及び下部ファン3は、冷却風の流れ方向が互いに反対向きとなるように構成されている。具体的には、
図5に示すように、上部ファン2は、上部通風口130a,130aから吸気して風洞ケース10の上端部で排気するように、つまり冷却風の流れ方向が上向きとなる(下側が上流側、上側が下流側となる)ように構成され、上部フィン群22に冷却風を通風させる。一方、下部ファン3は、下部通風口130b,130bから吸気して風洞ケース10の下端部で排気するように、つまり冷却風の流れ方向が下向きとなる(上側が上流側、下側が下流側となる)ように構成され、下部フィン群23に冷却風を通風させる。すなわち、上部通風口130a,130aは、上部ファン2による吸気口となり、下部通風口130b,130bは、下部ファン3による吸気口となる。
【0023】
また、ヒートシンクベース21の前面21b(他方側の面)には、複数の電気部品が密着するように取り付けられている。この例では、ヒートシンクベース21の前面21bには、上記本体部30のパワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32が取り付けられている。パワーモジュール36a,36b,36cは、通電時に発熱する発熱量が比較的大きく、ダイオードモジュール32は、パワーモジュール36a,36b,36cよりも通電時に発熱する発熱量が小さい。
図5に示すように、これらパワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32は、ヒートシンクベース21の前面21bにおける、上記上部フィン群22に対応する(下側が上流側、上側が下流側となる)上部領域T1(第1の領域)と、上記下部フィン群23に対応する(上側が上流側、下側が下流側となる)下部領域T2(第2の領域)とに分けて配置されている。具体的には、パワーモジュール36a,36b,36cのうちの2つ(この例ではパワーモジュール36a,36b)が、上部領域T1に配置されると共に、パワーモジュール36a,36b,36cのうちの残りの1つ(この例ではパワーモジュール36c)及びダイオードモジュール32が、下部領域T2に配置されている。このとき、上部領域T1に配置されたパワーモジュール36a,36bの発熱量の合計は、下部領域T2に配置されたパワーモジュール36c及びダイオードモジュール32の発熱量の合計よりも大きくなる。また、上部領域T1に配置されたパワーモジュール36a,36bは、当該上部領域T1の下側(上流側)において、上下方向(通風方向)に略垂直な方向、つまり左右方向に並列に配置されている。一方、下部領域T2に配置されたパワーモジュール36c及びダイオードモジュール32は、パワーモジュール36cが当該下部領域T2の上側(上流側)に配置されると共に、ダイオードモジュール32がパワーモジュール36cよりも当該下部領域T2の下側(下流側)に配置されている。
【0024】
上記のようなヒートシンク10は、ヒートシンクベース21の前面21bに密着されたパワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32で発生され伝導された熱を拡散し、フィン群22,23で放熱することで、パワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32を冷却する。このとき、
図4に示すように、上記上部領域T1(発熱量の合計が大きい方の領域)に対応する上部フィン群22の上下方向長さL1は、上記下部領域T2(発熱量の合計が小さい方の領域)に対応する下部フィン群23の上下方向長さL2よりも長く形成されることで、上部フィン群22は下部フィン群23よりも放熱量が大きくなるように構成されている。
【0025】
以上説明したように、本実施形態のインバータ装置1では、ヒートシンク20のヒートシンクベース21の後面21aに上部フィン群22及び下部フィン群23が配置され、ヒートシンクベース21の前面21bにパワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32が設けられる。また、風洞11を形成する風洞ケース10の中間位置には通風口130,130が設けられ、風洞ケース10の上下両端部には上部ファン2及び下部ファン3が設けられる。そして、上部ファン2及び下部ファン3が駆動すると、上部ファン2により上部フィン群22に冷却風が通風されると共に、下部ファン3により下部フィン群23に冷却風が通風され、パワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32が冷却される。
【0026】
<シミュレーション結果>
ここで、
図7を参照しつつ、本願発明者等による、本実施形態に対する比較例のインバータ装置と本実施形態のインバータ装置1との冷却能力に関するシミュレーション結果について説明する。なお、ここでは、ダイオードモジュール32については考慮しないものとする。
図7(a)に示す比較例のインバータ装置1′において、本実施形態のインバータ装置1と大きく異なる点は、風洞ケース10の上端部のみにファン2が設置され風洞ケース10の下端部には吸気口140が備えられている点、風洞ケース10の外壁13,13に通風口が備えられていない点、ヒートシンク20に1つのフィン群(図示せず)のみが備えられている点である。また、比較例では、パワーモジュール36a,36b,36cが、ヒートシンクのヒートシンクベース21の前面21bにおける上記1つのフィン群に対応する領域Tに配置されている。このとき、パワーモジュール36cは、領域Tの下側(上流側)に配置されており、パワーモジュール36a,36bは、パワーモジュール36cよりも領域Tの上側(下流側)において、上下方向(通風方向)に略垂直な方向、つまり左右方向に並列に配置されている。このような比較例では、風洞11における冷却風の風量は1.012[m
3/min]となると共に、パワーモジュール36aの温度は142.0℃、パワーモジュール36bの温度は143.6℃、パワーモジュール36cの温度は123.8℃となっている。上記のような比較例の構成では、例えば左右方向に2台のファンを並列配置する場合に比べて、インバータ装置1′の幅方向寸法を(ファン1台分まで)小さくできるが、1台のファン2のみを用いて冷却風を通風させるので風量が少なくなり、冷却能力が低下する。また、パワーモジュール36a,36b,36cが通風方向に直列に配置されることになるので、上流側のパワーモジュール36cによる熱干渉により下流側のパワーモジュール36a,36bの温度が比較的高温になる。
【0027】
これに対し、
図7(b)に示す本実施形態のインバータ装置1では、風洞11における冷却風の風量(ファン2,3による合計の風量)は1.888[m
3/min]となると共に、パワーモジュール36aの温度は127.6℃、パワーモジュール36bの温度は128.6℃、パワーモジュール36cの温度は119.5℃となっている。すなわち、風洞11における冷却風の風量は上記比較例よりも約87%増加しており、パワーモジュール36a,36b,36cの温度についてはいずれも上記比較例よりも低くなっている。
【0028】
<実施形態の効果>
上記シミュレーション結果からも分かるように、本実施形態のような構成とすることにより、例えば左右方向に2台のファンを並列配置する場合に比べて、インバータ装置1の幅方向寸法を(ファン1台分まで)大幅に小さくできると共に、2台のファン2,3の両方を用いて冷却風を通風させるのでファン2台分の風量を確保できる。したがって、冷却能力を低下させることなく、インバータ装置1の幅方向寸法を小型化できる。
【0029】
また、本実施形態では、ヒートシンク20が一体に形成されたヒートシンクベース21に2つのフィン群22,23を備えた構成とする。このように一体に形成されたベース構造とすることにより、パワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32の配置がフィン群22,23の配置により制限されることを回避でき、部品配置や配線の引き回しを含めた装置設計の自由度を向上できる。また、一体に形成されたベース構造とすることでインバータ装置1全体の強度を高めることができると共に、組立ても容易となる。
【0030】
また、本実施形態では特に、上部フィン群22と下部フィン群23とが分離して配置される。これにより、上部フィン群22と下部フィン群23との中間位置に比較的大きな隙間Sを設けることができるので、通風口130,130より吸気する際の通風抵抗を低減し、吸気効率を向上することができる。
【0031】
また、本実施形態では特に、パワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32は、上部フィン群22に対応する上部領域T1と、下部フィン群23に対応する下部領域T2とに分けて配置される。これにより、パワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32を2つの領域T1,T2に分けて、異なる2系統の冷却風によって別々に冷却することができる。この結果、上記比較例のような冷却風に対し直列配置された場合の上流側の電気部品による下流側の電気部品への熱干渉を回避でき、パワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32を効率的に冷却することができる。
【0032】
また、本実施形態では特に、パワーモジュール36a,36bが上部領域T1の下側に配置されると共に、パワーモジュール36cが下部領域T2の上側に配置される。このように、発熱量が比較的大きなパワーモジュール36a,36b,36cを上流側に配置することで、下流側に配置された場合の上流側の他の電気部品による熱干渉を回避でき、パワーモジュール36a,36b,36cを効率的に冷却することができる。
【0033】
また、本実施形態では特に、パワーモジュール36a,36bが、同じ領域T1に配置されると共に、左右方向に並列に配置される。これにより、直列配置された場合の上流側と下流側での熱干渉を回避でき、パワーモジュール36a,36bを均一且つ効率的に冷却することができる。
【0034】
また、本実施形態では特に、パワーモジュール36cとダイオードモジュール32とが同じ領域T2に配置されると共に、ダイオードモジュール32がパワーモジュール36cよりも下側に配置される。このように、発熱量が比較的小さなダイオードモジュール32をパワーモジュール36cの下流側に配置することで、熱干渉の影響を低減でき、パワーモジュール36c及びダイオードモジュール32を効率的に冷却することができる。
【0035】
また、本実施形態では特に、発熱量の合計が大きい方の上部フィン群22が、発熱量の合計が小さい方の下部フィン群23よりも放熱量が大きくなるように構成される。具体的には、上部フィン群22の上下方向の長さL1を下部フィン群23の上下方向の長さL2よりも長くなるように形成する。つまり、パワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32を上部領域T1と下部領域T2とに分けて配置する場合、上部領域T1に配置されたパワーモジュール36a,36bの発熱量の合計と、下部領域T2に配置されたパワーモジュール36c及びダイオードモジュール32の発熱量の合計とが異なる。そこで本実施形態のように部品の発熱量に応じてフィン群の長さを設定することにより、パワーモジュール36a,36b,36c及びダイオードモジュール32を効率的に冷却することができる。
【0036】
また、本実施形態では特に、風洞ケース10内における上部フィン群22と下部フィン群23との間に仕切り板6を設ける。これにより、上部ファン2及び下部ファン3それぞれによる冷却風の干渉(引っ張り)を防止できるので、風量の減少を抑制し、冷却効率を向上することができる。
【0037】
また、本実施形態では特に、上部ファン2及び下部ファン3により、通風口130,130より吸気して風洞ケース10の上下両端で排気することで、上部フィン群22及び下部フィン群23に冷却風を通風させる。これにより、幅方向に並列して配置された他の機器に対する排気の影響を無くすことができるので、本実施形態のように盤内で他の機器と並列に配置されて使用される場合に特に好適である。
【0038】
<変形例>
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順次説明する。
【0039】
(1)冷却風の流れ方向を反対にする場合
上記実施形態では、上部ファン2は冷却風の流れ方向が上向きとなるように構成され、下部ファン3は冷却風の流れ方向が下向きとなるように構成されていたが、これに限定されるものではない。
【0040】
すなわち、本変形例では、
図8に示すように、上部ファン2は、風洞ケース10の上端部から吸気して上部通風口130a,130aで排気するように、つまり冷却風の流れ方向が下向きとなる(上側が上流側、下側が下流側となる)ように構成され、前述のヒートシンク20の上部フィン群22に冷却風を通風させる。一方、下部ファン3は、風洞ケース10の下端部から吸気して下部通風口130b,130bで排気するように、つまり冷却風の流れ方向が上向きとなる(下側が上流側、上側が下流側となる)ように構成され、前述のヒートシンク20の下部フィン群23に冷却風を通風させる。すなわち、上部通風口130a,130aは、上部ファン2による排気口となり、下部通風口130b,130bは、下部ファン3による排気口となる。
【0041】
また、上記上部フィン群22に対応する(上側が上流側、下側が下流側となる)上部領域T1に配置されたパワーモジュール36a,36bは、当該上部領域T1の上側(上流側)において、左右方向に並列に配置されている。一方、上記下部フィン群23に対応する(下側が上流側、上側が下流側となる)下部領域T2に配置されたパワーモジュール36c及びダイオードモジュール32は、パワーモジュール36cが当該下部領域T2の下側(上流側)に配置されると共に、ダイオードモジュール32がパワーモジュール36cよりも当該下部領域T2の上側(下流側)に配置されている。
【0042】
本変形例のインバータ装置1における上記以外の構成は、上記実施形態のインバータ装置1と同様である。
【0043】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。本変形例は、インバータ装置1の上下方向には排気できないといった設置環境のニーズがある場合等に有効である。
【0044】
(2)冷却風の流れ方向が互いに同じ向きとなるように構成する場合
上記実施形態及び(1)の変形例では、上部ファン2及び下部ファン3は、冷却風の流れ方向が互いに反対向きとなるように構成されていたが、これに限定されるものではない。
図9及び
図10に示すように、上部ファン2及び下部ファン3は、冷却風の流れ方向が互いに同じ向きとなるように構成されてもよい。
【0045】
図9に示す例では、上部ファン2は、上部通風口130a,130aから吸気して風洞ケース10の上端部で排気するように、つまり冷却風の流れ方向が上向きとなる(下側が上流側、上側が下流側となる)ように構成され、前述のヒートシンク20の上部フィン群22に冷却風を通風させる。一方、下部ファン3は、風洞ケース10の下端部から吸気して下部通風口130b,130bで排気するように、つまり冷却風の流れ方向が上向きとなる(下側が上流側、上側が下流側となる)ように構成され、前述のヒートシンク20の下部フィン群23に冷却風を通風させる。すなわち、上部通風口130a,130aは、上部ファン2による吸気口となり、下部通風口130b,130bは、下部ファン3による排気口となる。
【0046】
また、上記上部フィン群22に対応する(下側が上流側、上側が下流側となる)上部領域T1に配置されたパワーモジュール36a,36bは、当該上部領域T1の下側(上流側)において、左右方向に並列に配置されている。一方、上記下部フィン群23に対応する(下側が上流側、上側が下流側となる)下部領域T2に配置されたパワーモジュール36c及びダイオードモジュール32は、パワーモジュール36cが当該下部領域T2の下側(上流側)に配置されると共に、ダイオードモジュール32がパワーモジュール36cよりも当該下部領域T2の上側(下流側)に配置されている。
【0047】
一方、
図10に示す例では、上部ファン2は、風洞ケース10の上端部から吸気して上部通風口130a,130aで排気するように、つまり冷却風の流れ方向が下向きとなる(上側が上流側、下側が下流側となる)ように構成され、前述のヒートシンク20の上部フィン群22に冷却風を通風させる。一方、下部ファン3は、下部通風口130b,130bから吸気して風洞ケース10の下端部で排気するように、つまり冷却風の流れ方向が下向きとなる(上側が上流側、下側が下流側となる)ように構成され、前述のヒートシンク20の下部フィン群23に冷却風を通風させる。すなわち、上部通風口130a,130aは、上部ファン2による排気口となり、下部通風口130b,130bは、下部ファン3による吸気口となる。
【0048】
また、上記上部フィン群22に対応する(上側が上流側、下側が下流側となる)上部領域T1に配置されたパワーモジュール36a,36bは、当該上部領域T1の上側(上流側)において、左右方向に並列に配置されている。一方、上記下部フィン群23に対応する(上側が上流側、下側が下流側となる)下部領域T2に配置されたパワーモジュール36c及びダイオードモジュール32は、パワーモジュール36cが当該下部領域T2の上側(上流側)に配置されると共に、ダイオードモジュール32がパワーモジュール36cよりも当該下部領域T2の下側(下流側)に配置されている。
【0049】
本変形例のインバータ装置1における上記以外の構成は、上記実施形態又は上記(1)の変形例のインバータ装置1と同様である。
【0050】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本変形例では、インバータ装置1の上方には排気できるが下方には排気できない(
図9)、あるいは、下方には排気できるが上方には排気できない(
図10)といった設置環境のニーズに柔軟に対応することができる。
【0051】
(3)上部フィン群と下部フィン群との間にフィン群がある場合
上記実施形態では、上部フィン群22と下部フィン群23とは分離して配置されていたが、これに限定されるものではない。
【0052】
すなわち、本変形例では、
図11に示すように、ヒートシンク20は、前述のヒートシンクベース21と、前述の上部フィン群22と、前述の下部フィン群23と、中間フィン群24とを備え、フィン群22,23,24が前述の開口120に嵌め込まれることで前述の風洞11に収納されるように、前述の風洞ケース10の本体ベース12の前側に取り付けられ、ボルト等により固定されている。中間フィン群24は、ヒートシンクベース21の後面21aにおける上部フィン群22と下部フィン群23との間に、前述のフィン220と前述のフィン230とを連結するように立設された、これらフィン220及びフィン230よりも前後方向寸法が短い複数のフィン240からなる。中間フィン群24は、上部フィン群22及び下部フィン群23と別体として構成してもよいし、一体として構成してもよい。一体として構成する場合、各フィンの中間部を凹部とする加工を施すことにより、各フィン群22,23,24を形成することが可能である。本変形例のインバータ装置1における上記以外の構成は、上記実施形態のインバータ装置1と同様である。
【0053】
本変形例においては、中間フィン群24を設けることによりヒートシンク20の放熱面積を増大して冷却能力を高めつつ、中間フィン群24の前後方向寸法を短くすることにより通風口130より吸気又は排気する際の通風抵抗を低く抑えることが可能である。
【0054】
(4)パワーモジュールを1つのみ配置する場合
上記実施形態では、パワーモジュールが3相(U,V,W相)交流の各相に対応して設けられた3つのパワーモジュール36a,36b,36cからなる場合を一例として説明したが、これに限定されるものではない。
【0055】
すなわち、本変形例では、前述の3つのパワーモジュール36a,36b,36cに代えて、3相(U,V,W相)交流の各相に対応したパワーモジュールが1つのモジュールとしてパッケージ化された1つのパワーモジュール36が備えられている。そして、
図12に示すように、パワーモジュール36及びダイオードモジュール32は、ヒートシンクベース21の前面21bにおける前述の上部領域T1と前述の下部領域T2とに分けて配置されている。このとき、上部領域T1に配置されたパワーモジュール36の発熱量は、下部領域T2に配置されたダイオードモジュール32の発熱量よりも大きくなる。また、上部領域T1に配置されたパワーモジュール36は、当該上部領域T1の下側(上流側)に配置されており、下部領域T2に配置されたダイオードモジュール32は、当該下部領域T2の上側(上流側)に配置されている。本変形例のインバータ装置1における上記以外の構成は、上記実施形態のインバータ装置1と同様である。
【0056】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(5)その他
以上では、ヒートシンク20のヒートシンクベース21の前面21bに3つのパワーモジュール36a、36b,36c又は1つのパワーモジュール36が配置される場合を一例として説明したが、パワーモジュールの個数は特に限定されるものではなく、6つや9つあるいは他の個数等でもよい。さらには、ヒートシンク20のヒートシンクベース21の前面21bにパワーモジュールが配置されない場合にも適用可能である。
【0058】
また、以上では、ヒートシンク20のヒートシンクベース21の前面21bに1つのダイオードモジュール32が配置される場合を一例として説明したが、ダイオードモジュールの個数は特に限定されるものではなく、3つあるいは他の個数等でもよい。さらには、ヒートシンク20のヒートシンクベース21の前面21bにダイオードモジュールが配置されない場合にも適用可能である。
【0059】
また、以上では、ヒートシンク20のヒートシンクベース21の前面21bにパワーモジュール及びダイオードモジュールが配置される場合を一例として説明したが、これらに代えて又は加えて他の電気部品(例えばリアクトルや平滑コンデンサ等)が配置されてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、パワーモジュール36a、36b,36c及びダイオードモジュール32は、ヒートシンク20のヒートシンクベース21の前面21bにおける上部領域T1及び下部領域T2に、当該領域T1,T2内からはみ出さないで配置される場合を一例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、パワーモジュール36a、36b,36c及びダイオードモジュール32は、領域T1,T2内から一部がはみ出した状態で配置されてもよい。
【0061】
また、以上では、発熱量の合計が大きい方の上部領域T1に対応する上部フィン群22は、発熱量の合計が小さい方の下部領域T2に対応する下部フィン群23よりも上下方向の長さが長く形成されることで、当該下部フィン群23よりも放熱量が大きくなるように構成される場合を一例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、各フィン220の長さや間隔、厚み、個数、材質等の1つ以上が調整されることで、上部フィン群22が下部フィン群23よりも放熱量が大きくなるように構成されてもよい。
【0062】
また、以上では、風洞ケース10の上端部には上部ファン2が1つ設置され、風洞ケース10の下端部には下部ファン3が1つ設置されていたが、これに限定されるものではない。例えば、風洞ケース10の大きさや上部ファン・下部ファンの大きさに応じて、風洞ケース10の上端部に上部ファンが複数設置され、風洞ケース10の下端部に下部ファンが複数設置されてもよい。
【0063】
また、以上では、風洞ケース10の左右両側に通風口130,130が設けられていたが、これに限定されるものではなく、風洞ケース10の左側又は右側のみに通風口130が設けられてもよい。
【0064】
また、以上では、電力変換装置を、直流電力を交流電力に変換するインバータ装置1に適用した場合について説明したが、電力変換装置は、これに限定されるものではない。例えば、電力変換装置は、交流電力から直流電力に変換するコンバータ装置や、交流電力から交流電力に変換するコンバータ装置(いわゆるマトリックスコンバータ装置)、あるいは、パワーコンディショナ等にも適用可能である。
【0065】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
【0066】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。