特許第5787120号(P5787120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5787120
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F03G 7/06 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   F03G7/06 E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-118542(P2014-118542)
(22)【出願日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年4月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】藤井 勝人
(72)【発明者】
【氏名】松田 健
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 芳則
(72)【発明者】
【氏名】秋田 祐樹
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−037806(JP,A)
【文献】 特開2014−055527(JP,A)
【文献】 特開2014−088811(JP,A)
【文献】 特開2005−226456(JP,A)
【文献】 特開2007−073904(JP,A)
【文献】 特開2014−088818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 7/06
G02B 7/04
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電した際の発熱により収縮する線状又は帯状の形状記憶合金部材と、該形状記憶合金部材がその両端を固定された状態で保持されるベース部材と、該ベース部材と互いに移動可能に対向した可動部材とを備え、
前記ベース部材には、対向面側に一又は複数の動作凹部を有する動作基部を備え、前記可動部材には、対向面側に前記動作凹部内に挿入される動作凸部を備え、
前記形状記憶合金部材を前記ベース部材と可動部材との間に前記動作基部上を横切るように配置し、前記動作凹部内で撓んだ状態にある前記形状記憶合金部材が通電時の発熱により収縮することにより、該形状記憶合金部材と接触した前記動作凸部が押圧されて前記可動部材が前記ベース部材より離反する方向に移動するようにした駆動装置において、
前記ベース部材は、セラミック粉粒体を含有する絶縁性樹脂により一体成型され、前記各動作凹部の側面開口を閉鎖する壁状のリブ部を前記動作基部の側面と一体に備え、ベース部材の断面二次モーメントを増加させるとともに、前記リブ部に前記動作凸部がガイドされるようにしたことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記可動部材は、セラミック粉粒体を含有する絶縁性樹脂により成型され、その断面二次モーメントを増加させるための補強部が一体に成形された請求項1に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に振動発生用アクチュエータ等に使用される形状記憶合金を利用した駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、形状記憶合金の特性、即ち、力を加えて変形しても通電により一定の温度(動作温度)以上に加熱すると収縮する特性を利用して駆動する駆動装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
駆動装置は、上面部に凹部を有する絶縁性のベース部材と、そのベース部材と互いに対向する可動部材とを備えるとともに、その対向面部間に通電した際の発熱により収縮する複数の線状の形状記憶合金材がベース部材の凹部に合わせて湾曲した状態で平行に配置されている。
【0004】
この駆動装置は、非通電時に、形状記憶合金材が凹部に合わせて湾曲した状態にあり、その状態から形状記憶合金線に通電して一定の温度以上まで加熱すると超弾性によって形状記憶合金線が収縮し、それに押されて可動子がベース部材に対し離反する方向に相対移動するようになっている。
【0005】
一方、形状記憶合金線の通電状態を解除し、形状記憶合金線の温度が一定の温度以下に低下すると、可動部材が自重等により原位置に復帰し、それに伴い各形状記憶合金線が湾曲した形状(非通電時形状)に復帰するようになっている。
【0006】
このような形状記憶合金を使用した駆動装置は、その動作特性が形状記憶合金材の温度変化に依存するため、形状記憶合金材と接触するベース部材及び可動子は、熱伝導率が高く発熱した形状記憶合金材からの放熱性に優れた材質であることが好ましく、その最適素材としてアルミニウムが挙げられている。
【0007】
一方、ベース部材や可動子は、形状記憶合金材と接触した状態にあるため、形状記憶合金材に対し絶縁されている必要があり、従来では、ベース部材や可動子をアルミニウムによりダイカスト(鋳造)し、その表面にアルマイト処理等の表面絶縁処理を施していた(例えば、特許文献20036、0037段落を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−226456号公報
【特許文献2】特開2014−088811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、ベース部材や可動子を構成するアルミニウム材自体が高価な上、アルマイト処理等の表面絶縁処理に多大な費用を要するため生産コストが嵩むという問題があった。
【0010】
また、アルミダイカスト製のベース部材又は可動子では、樹脂成型品に比べて寸法精度が低く、複雑な形状に成形し難いことから設計の自由度が低いという問題があった。
【0011】
更に、アルマイト処理等の表面絶縁処理には、その処理工程上一定の時間を要するので大量生産に対応できないという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、高い放熱性を確保しつつ、安価且つ大量生産可能な形状記憶合金部材を使用した駆動装置の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、通電した際の発熱により収縮する線状又は帯状の形状記憶合金部材と、該形状記憶合金部材がその両端を固定された状態で保持されるベース部材と、該ベース部材と互いに移動可能に対向した可動部材とを備え、前記ベース部材には、対向面側に一又は複数の動作凹部を有する動作基部を備え、前記可動部材には、対向面側に前記動作凹部内に挿入される動作凸部を備え、前記形状記憶合金部材を前記ベース部材と可動部材との間に前記動作基部上を横切るように配置し、前記動作凹部内で撓んだ状態にある前記形状記憶合金部材が通電時の発熱により収縮することにより、該形状記憶合金部材と接触した前記動作凸部が押圧されて前記可動部材が前記ベース部材より離反する方向に移動するようにした駆動装置において、前記ベース部材は、セラミック粉粒体を含有する絶縁性樹脂により成型され、前記各動作凹部の側面開口を閉鎖する壁状のリブ部を前記動作基部の側面と一体に備え、ベース部材の断面二次モーメントを増加させるとともに、前記リブ部に前記動作凸部がガイドされるようにした駆動装置にある。
【0014】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記可動部材は、セラミック粉粒体を含有する絶縁性樹脂により成型され、その断面二次モーメントを増加させるための補強部が一体に成形されたことにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る駆動装置は、上述したように、通電した際の発熱により収縮する線状又は帯状の形状記憶合金部材と、該形状記憶合金部材がその両端を固定された状態で保持されるベース部材と、該ベース部材と互いに移動可能に対向した可動部材とを備え、前記ベース部材には、対向面側に一又は複数の動作凹部を有する動作基部を備え、前記可動部材には、対向面側に前記動作凹部内に挿入される動作凸部を備え、前記形状記憶合金部材を前記ベース部材と可動部材との間に前記動作基部上を横切るように配置し、前記動作凹部内で撓んだ状態にある前記形状記憶合金部材が通電時の発熱により収縮することにより、該形状記憶合金部材と接触した前記動作凸部が押圧されて前記可動部材が前記ベース部材より離反する方向に移動するようにした駆動装置において、前記ベース部材は、セラミック粉粒体を含有する絶縁性樹脂により成型され、前記各動作凹部の側面開口を閉鎖する壁状のリブ部を前記動作基部の側面と一体に備え、ベース部材の断面二次モーメントを増加させるとともに、前記リブ部に前記動作凸部がガイドされるようにしたことにより、形状記憶合金部材の発熱時の収縮による緊張力を可動部材に好適に伝えることができるとともに、高い放熱性を備えつつ、表面絶縁処理が不要で大量生産に適応することができる。また、セラミック樹脂が高い成形性を有するので、リブ部を容易に形成することができ、ベース部材の強度補強を図ることができるとともに、リブ部により可動部材の動作凸部をガイドし、上下方向で安定して動作させ、加速度のバラつきが抑制することができる。
【0016】
また、本発明において、前記可動部材は、セラミック粉粒体を含有する絶縁性樹脂により成型され、その断面二次モーメントを増加させるための補強部が一体に成形されたことにより、可動部材とベース部材との間に形状記憶合金部材が介在されるので、可動部材とベース部材とを通して形状記憶合金部材から放熱することができる。更に、セラミック樹脂が高い成形性を有するので、補強部を容易に形成することができ、強度補強を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)(b)は本発明に係る駆動装置の一例を示す斜視図である。
図2】同上の分解斜視図である。
図3】(a)は図2中のベース部材を示す平面図、(b)は縦断面図、(c)は同a−a線断面図、(d)は同b−b線断面図である。
図4】(a)は図2中の可動部材を示す側面図、(b)は同c−c線断面図、(c)は同d−d線断面図である。
図5】同上の縦断面図であって、(a)は非通電時、(b)は同通電時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る駆動装置の実施の態様を図1図5に示した実施例に基づいて説明する。尚、本実施例においては、振動発生用アクチュエータに使用される駆動装置を例に説明し、図中符号1は駆動装置、符号Aは実装基板、符号Bは電子機器の筐体である。
【0019】
この駆動装置1は、通電した際の発熱により収縮する形状記憶合金部材2と、形状記憶合金部材2がその両端を固定された状態で保持されるベース部材3と、ベース部材3に対し移動可能に配置された可動部材4とを備え、可動部材4を形状記憶合金部材2と接触した状態で配置させ、形状記憶合金部材2の通電による収縮に連動して可動部材4をベース部材3に対し上下方向に移動させるようになっている。
【0020】
また、この駆動装置1は、ベース部材3の端部と互いに嵌合し、形状記憶合金部材2の端部をベース部材3に固定する端子金具5,5を備え、この端子金具5,5を介して形状記憶合金部材2に通電されるようになっている。尚、図中符号6は、可動部材4をベース部材3に保持させるためのブラケットである。
【0021】
形状記憶合金部材2は、ニッケル−チタン合金等の形状記憶効果を示す合金、即ち形状記憶合金からなる形状記憶合金線21と、形状記憶合金線21の外側を覆う帯状の被覆部材22とを備え、所定温度下で変形させても形状記憶合金線21に通電させた際の発熱により当該形状記憶合金線21が収縮するようになっている。
【0022】
ベース部材3は、図3に示すように、セラミック粉粒体を含有する絶縁性樹脂(以下、セラミック樹脂という)をもって射出成型することにより一体に形成され、表面部に複数の動作凹部31,31...を有する動作基部32と、動作基部32の両端に配置された端子固定部33,33と、動作基部32の両側部に立ち上げた形状のリブ部34,34とを備えている。
【0023】
セラミック樹脂は、PPS(ポリフェニレンスルファイド)等の熱可塑性樹脂と、窒化アルミニウム等のセラミック粉粒体とを所定の比率で混合したものであって、熱可塑性樹脂の射出成型における十分な成形性を確保しつつ、その成型品が絶縁性及び高い熱伝導性を有するように組成されている。
【0024】
また、セラミック樹脂の組成物は、熱可塑性樹脂とセラミック粉粒体とに限定されず、必要に応じてガラス繊維等の繊維やその他の添加物が加えられている。
【0025】
尚、セラミック樹脂の組成については、一般に、熱可塑性樹脂の割合を増して絶縁性(体積固有抵抗)を向上させると熱伝導率が低下し、セラミック粉体の割合を増して熱伝導率を向上させると絶縁性(体積固有抵抗)が低下するという性質があり、この相反する絶縁性と熱伝導性とを両立させるためには、両特性のバランスとそれに適応した各組成物の配合が重要となる。そこで、本発明を実施する上では、体積固有抵抗が10Ω・cm以上であって、熱伝導率が1.5W/mk以上となるように組成したセラミック樹脂が好適である。
【0026】
動作基部32は、断面山型状の複数の支持用凸部35,35...が長手方向に連続して短手方向で断面波型状に形成され、当該波型状の谷間部が各動作凹部31,31...を構成し、形状記憶合金部材2が動作基部32を長手方向で横切るように両端子固定部33,33間に配置され、その両端がそれぞれ端子金具5,5により端子固定部33,33に固定されている。
【0027】
リブ部34,34は、動作基部32の側面と一体になった壁状に形成され、動作凹部31,31...の側面開口側が閉鎖されている。
【0028】
そして、リブ部34,34を備えたことにより、ベース部材の動作凹部部分(図中a−a断面)では断面U字状を成し、支持用凸部35頂部部分(図中b−b線断面)では断面矩形状を成し、それぞれリブ34,34を有しない場合に比べ断面2次モーメントが増加し、当該一体に成形されたリブ部34,34を補強部として強度補強されている。
【0029】
端子固定部33,33は、平板状に形成され、形状記憶合金線21の端部21aが端子固定部33の表面側から端面を経て裏面側に折り返され、その外側に端子金具5,5を嵌め込むことにより形状記憶合金線21の端部21aが固定されるようになっている。
【0030】
端子金具5,5は、導電性金属材を絞り加工することにより一端が閉鎖された角筒キャップ状に形成され、この端子金具5,5を端子固定部33,33に嵌合させることにより、形状記憶合金部材2の端部が端子固定部33,33に固定されるとともに端子金具5,5に接続されるようになっている。
【0031】
また、端子固定部33,33の裏面には、ベース部材3の長手方向と交差する方向に向けた加締め用溝36が形成されており、この加締め用溝36の位置に合わせて端子金具5,5の裏面側を加締めることにより形状記憶合金部材2の端部を確実に端子固定部33,33に固定するとともに、端子金具5,5と形状記憶合金部材2との安定した接続状態が確保されている。
【0032】
一方、可動部材4は、図4に示すように、ベース部材3と同様に、セラミック粉粒体を含有する絶縁性樹脂(セラミック樹脂)をもって射出成型することにより一体に形成されている。
【0033】
この可動部材4は、対向面側にベース部材3の各動作凹部31,31...内に挿入される複数の山形状の動作凸部41,41...を備え、ベース部材3に重ね合わされることにより、各動作凸部41,41...が動作凹部31,31...内に嵌め込まれ、可動部材4とベース部材3との対向面部間に配置された形状記憶合金部材2を動作凸部41,41...の嵌合面形状に合わせて波型に変形させるようになっている。
【0034】
また、可動部材4は、動作凸部41,41の側面がリブ34の内側面にガイドされ、上下方向で安定して動作し、加速度のバラつきが抑制されるようになっている。
【0035】
可動部材4は、上端に平坦な接触面を有する伝達部42を備え、この伝達部42がブラケット6上面に開口した挿通窓61を通して上下に出入りするようになっている。
【0036】
また、可動部材4の外周には、フランジ部43が一体に備えられ、このフランジ部43がブラケット6の挿通窓61外縁によって当て止めされるようにし、且つ、フランジ部43の下面がバネ材7、7により上方に付勢されている。
【0037】
尚、そして、可動部材4は、フランジ部43を備えたことにより、フランジ部43を有しない場合に比べ断面2次モーメントが増加し、当該一体に成形されたフランジ部を補強部として強度補強されている。
【0038】
このように構成された駆動装置1は、図5(a)に示すように、実装基板Aと電子機器筐体Bとの間に接触面を筐体Bに押し当てた状態、即ち、バネ材7,7の付勢力に抗して可動部材4をベース部材3に押し下げた状態に設置する。
【0039】
そして、非通電時においては、可動部材4がベース部材3に重ね合わされ、それに伴い各動作凸部41,41...が動作凹部31,31...内に挿入され、動作凸部41,41...の頂部が各形状記憶合金部材2と当接し、各形状記憶合金部材2が波型状(非通電時形状)に変形した状態にある。
【0040】
この駆動装置1に通電、即ち、端子金具5,5間に電圧を生じさせ、形状記憶合金部材2に電流を流すと、形状記憶合金部材2が形状記憶効果、即ち通電発熱によって収縮し、図5(b)に示すように、形状記憶合金部材2の動作凸部41,41...頂部に接触した部分の対向面間方向位置が可動部材4側に変位し、それに連動して動作凸部41,41...を介して形状記憶合金部材2に押し上げられて可動部材4がベース部材3より離反する方向に相対移動し、電子機器筐体Bを持ち上げる。
【0041】
そして、端子金具5,5間に負荷した電圧が除去されると、電子機器筐体Bより加わる負荷等によって、可動部材4が図5(a)に示す原位置、即ち、ベース部材3に可動部材4が重ね合わされる位置に復帰し、それに伴い各動作凸部41,41...が動作凹部31,31...内に挿入され、動作凸部41,41...に押圧されて形状記憶合金部材2が波型状(非通電時形状)に復帰する。
【0042】
その際、駆動装置1の動作特性が形状記憶合金部材2の温度に依存するめ、形状記憶合金部材2が非通電時形状に復帰するためには、形状記憶合金部材2の温度を所定の温度以下に下げる必要がある。
【0043】
本発明に係る駆動装置1では、形状記憶合金部材2と接触した状態にあるベース部材3及び可動部材4を熱伝導性の高いセラミック樹脂によって構成したことにより、形状記憶合金部材2の熱をベース部材3及び可動部材4を通して効率よく放散させることができるので、安定した動作特性を得ることができる。
【0044】
また、本発明に係る駆動装置1では、ベース部材3及び可動部材4がセラミック樹脂をもって射出成型で成形されるので、高い熱伝導性を得つつ、煩雑な表面絶縁処理が不要であり、大量生産にも適している。
【0045】
また、従来のアルミニウム等の金属材により鋳造する場合に比べ、高精度で成形できるため、複雑な形状にも対応でき設計の自由度が向上する。
【0046】
更に、ベース部材3及び可動部材4にその断面二次モーメントを増加させるための補強部が一体に成形されたことにより、従来の金属材に劣らぬ強度を確保することもでき、その補強部は、射出成型による一体成形により形成するので複雑な形状とすることもできる。
【0047】
尚、上述の実施例では、ベース部材3及び可動部材4をセラミック樹脂で成形する例について説明したが何れか一方のみをセラミック樹脂で成形し、他方はその他の素材、例えば、アルミダイカストやセラミック粉粒体を含まない通常の熱可塑性絶縁樹脂で成形するようにしてもよい。
【0048】
また、本発明に係る駆動装置1は、振動発生用アクチュエータに限定されず、他の用途に使用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
A 実装基板
B 筐体
1 駆動装置
2 形状記憶合金部材
21 形状記憶合金線
22 被覆部材
3 ベース部材
31 動作凹部
32 動作基部
33 端子固定部
34 リブ部
35 支持用凸部
36 加締め用溝
4 可動部材
41 動作凸部
42 伝達部
43 フランジ部
5 端子金具
6 ブラケット
61 挿通窓
【要約】
【課題】高い放熱性を確保しつつ、安価且つ大量生産可能な形状記憶合金部材を使用した駆動装置の提供。
【解決手段】通電した際の発熱により収縮する線状又は帯状の形状記憶合金部材2と、該形状記憶合金部材2がその両端を固定された状態で保持されるベース部材3と、該ベース部材3に対し移動可能な可動部材4とを備え、前記可動部材4を前記形状記憶合金部材2と接触した状態で配置させ、前記形状記憶合金部材2の通電による収縮に連動して可動部材4を前記ベース部材3に対し移動させるようにした駆動装置1において、ベース部材3及び/又は可動部材4は、セラミック粉粒体を含有する絶縁性樹脂により成型されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5