(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技場に設置された遊技機に夫々対応して設けられ、投入された貨幣もしくは情報記録媒体に記録された価値に基づいて遊技機に供する遊技媒体の貸出を制御する遊技媒体貸出装置において、
対応する遊技機でのテスト用動作時に、遊技に供されて機外へ排出された遊技媒体数を示す遊技媒体回収信号から判断できる補給条件が達成されることに基づいて、遊技媒体の貸出を自動で行うようにし、
前記補給条件は、最後に遊技媒体回収信号を受信してから経過した時間が所定の補給判定時間を過ぎても次の遊技媒体回収信号が入力されない状態としたことを特徴とする遊技媒体貸出装置。
前記補給条件の成立に基づいて貸出制御を行った場合に、貸出遊技媒体を排出するために消費した価値を示す消費信号の外部出力を行うか否かを、予め選択設定できるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の遊技媒体貸出装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、遊技媒体として遊技球を用いるCR遊技機に対応して設けるCRユニットに適用するものとした。
【0018】
図1に示すのは、遊技機100と、これに対応して設けられた遊技媒体貸出装置200と、この遊技媒体貸出装置200が備える遊技媒体計数部へ遊技者の持ち玉(遊技機100の遊技に使える遊技球であり、遊技において獲得した獲得球や遊技媒体貸出装置200から借り受けた貸し球の総称である)を導入する球箱ユニット300の正面図である。
【0019】
遊技機100は、ガラス枠110のガラス越しに遊技者が見える遊技盤(図示省略)へ遊技球を弾発して遊技を行うもので、遊技盤上に設けられた種々の入賞口へ入賞すると所定数の賞球が排出されて上皿120に導入される。上皿120に大量の球が貯まって溢れると、賞球は上皿120の下方部に設けられた下皿130に導かれ、下皿130に貯まって行く。なお、下皿130の底部には球排出口を設けてあり、排出スイッチ131を操作することで球排出口を開成させることができ、下皿130に貯まった球を球箱ユニット300へ移すことができる。上皿120に貯まった遊技球は、所定の発射位置へ誘導されて待機し、操作ハンドル140を遊技者が回動操作することで発射装置(図示省略)が駆動し、操作ハンドル140の回動量に応じた弾発勢で遊技球が1個宛て発射される。操作ハンドル140が初期位置に戻ると、発射装置が止まり、発射停止となる。
【0020】
遊技媒体貸出装置200は、貨幣投入口201や情報記録媒体挿排口202から紙幣や情報記録媒体(通貨と等価な価値情報が予め記録されて発行されるプリペイドカード、価値情報の追加が可能で遊技店の会員が所持する会員カードなど)が投入されると、投入額や消費価値に応じた遊技球を貸し出すものである。遊技媒体貸出装置200の前面には、タッチ液晶表示部203を設け、投入された金額や情報記録媒体の価値情報を表示したり、遊技者のパネル操作によって所望のタイミングで遊技球の貸出を受けることもできる。また、遊技店員等が所持するリモコンからの信号(例えば、赤外光)を受光するリモコン受光部204を設け、遊技店員等がリモコンで遊技媒体貸出装置200に対する動作指令を行うことも可能である。
【0021】
なお、遊技媒体貸出装置200はCRユニットとしての機能を備え、対応する遊技機100のCR遊技機としての機能を備えるものであるから、遊技機100と遊技媒体貸出装置200とで球貸関連の信号をやりとりして遊技機100の賞球排出装置から貸出用の遊技球を排出させることもできるし、遊技媒体貸出装置200が備える遊技媒体払出部を作動させ、上皿120の球貯留部の上方に排出口が位置するように調整した球排出ノズル205から遊技媒体を排出することもできる。
【0022】
また、遊技媒体貸出装置200は、その下方部に遊技媒体計数部を備えるもので、球箱ユニット300の持ち玉貯留部301に貯まった持ち玉が持ち玉誘導部310内の球通路から供給され、遊技者の操作あるいは遊技媒体貸出装置200からの指令信号によって持ち玉のカウントが指示されると、持ち玉カウント用の遊技媒体計数部によって持ち玉を1個宛検出し、遊技媒体貸出装置200内で持ち玉の計数および情報記録媒体への記録が行われる。カウント済みの持ち玉は更に下流へと流下して行き、持ち玉排出路202より排出される。
【0023】
図3は、遊技球を用いた弾球遊技を行うための種々の機能を備える遊技機100と第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置200の概略構成を示すもので、遊技媒体貸出装置200の貸出インターフェース基板206と遊技機100の遊技媒体貸出装置接続端子板101とがPIFケーブル(図示省略)で接続され、遊技機100から遊技媒体貸出装置200へは、遊技機接続確認信号(PSI),遊技機準備状態信号(PRDY),遊技機貸出完了信号(EXS),貸出ボタンスイッチ信号等が送信されると共に、遊技媒体貸出装置200から遊技機100へは、貸出装置準備状態信号(BRDY),貸出装置貸出要求信号(BRQ)が送信され、相互に状態確認しつつ適正な遊技媒体貸出制御が実行される。
【0024】
なお、遊技機100の前面側に、遊技者が遊技球の貸出を要求するために操作する貸出ボタン、この貸出ボタンが操作可能な状態である場合に点灯表示される貸出可能ランプ、遊技媒体貸出装置200へ投入した情報記録媒体(プリペイドカード/コインや会員カード等)を排出させるための返却ボタン等を設け、遊技機100の裏面側には、弾球遊技の主たる制御を行う主制御装置、表示制御や音制御といった演出面の動作制御を行う副制御装置、遊技球の発射動作を制御する発射制御装置、賞としての遊技球や貸出用の遊技球を排出する遊技球排出装置、この遊技球排出装置に対する遊技球の排出制御を行う排出制御装置等を設けてあり、遊技媒体貸出装置200からの貸出要求に応じた数量の遊技球が遊技機100から排出され、遊技者に貸し出される。
【0025】
また、遊技媒体貸出装置200の外部出力端子板207からは、価値の付加および価値の消費に関わる売上情報として、情報記録媒体C(遊技媒体の貸出に利用できる有価価値情報が記録されたプリペイドカード、ICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコインや会員カード等)の新規発行や発行済みの情報記録媒体Cへの価値加算よりなる販売情報を示す販売信号、遊技媒体貸出の実行により有価価値を消費した消費情報(例えば、消費度数や消費金額など)を示す消費信号、遊技店に預け入れておいた貯玉を引き出して使用した再プレイ情報を示す再プレイ信号などを出力し、ホールコン中継基板400を介してホールコンピュータ500へ送信される。このほか、遊技媒体貸出装置200にて生じたエラーを報らせるエラー信号もホールコン中継基板400を介してホールコンピュータ500へ送信される。
【0026】
遊技機100の外部出力端子板102からは、賞球信号、不正検出信号、始動入賞信号、図柄停止信号、大当り信号などが出力され、ホールコン中継基板400を介してホールコンピュータ500へ送信される。なお、遊技機100の外部出力端子板102から出力される賞球信号と大当り信号は、分岐基板600を介して二分岐し、ホールコン中継基板400とは別に、遊技媒体貸出装置200の外部入力端子板208へ入力される。また、遊技機100から島設備の回収樋へ回収された遊技球を検出するアウト玉センサ103から出力されるアウト玉信号も、分岐基板600を経由して、遊技媒体貸出装置200とホールコン中継基板400へ送信される。
【0027】
ホールコン中継基板400は、遊技機100と遊技媒体貸出装置200の組み合わせ毎に1台が割り当てられるもので、ホールコンピュータ500は、ホールコン中継基板400に割り振られたアドレス等の固有情報に基づいて、各ホールコン中継基板400を介して信号送信している遊技機100と遊技媒体貸出装置200を個別に認識できる。例えば、台番号1のホールコン中継基板400から中継された遊技機情報は台番号1の遊技機100からの情報として収集管理でき、同様に、台番号1のホールコン中継基板400から中継された売上情報は台番号1の遊技媒体貸出装置200からの情報として収集管理できる。
【0028】
遊技媒体貸出装置200には、遊技媒体の貸出制御を統括する機能や種々の販売情報を集計して記憶しておく機能を有するほか、
図3に示すように、貨幣投入口201より投入された貨幣Mの額面や真贋を識別する貨幣識別部211、情報記録媒体挿排口202より挿入された情報記録媒体Cから情報を読み出したり書き換えたりする価値媒体R/W手段212、タッチ液晶表示部203やリモコン受光部204からの入力や表示を制御する表示・操作制御部213、貸出インターフェース基板206を介して遊技機100との信号授受を制御する貸出インターフェース信号制御手段214、外部出力端子板207を介して外部へ出力するパルスを発生させる外部パルス発生手段215、通信回線を通じて上位管理コンピュータ(例えば、プリペイドシステム管理コンピュータ700)との通信を行う外部通信手段216、当該遊技媒体貸出装置200の固有情報として設定された台番号を記憶する台番号記憶手段217、遊技機100の下皿130から抜き出されて球箱ユニット300より供給された持ち玉を計数して積算記憶して行く遊技媒体計数部218、遊技媒体計数部218により計数されて情報記録媒体Cに書き込まれた持ち玉情報を使って、球排出ノズル205から上皿120へ遊技球を払い出すための遊技媒体払出部219等を有する。なお、球箱ユニット300により持ち玉を計数しているときに玉詰まりが起こった場合には、計数玉詰まり検知センサ311がこれを検知して遊技媒体計数部218へ出力し、球排出ノズル205により遊技球を上皿120へ払い出すときに玉詰まりが起こった場合には、払出玉詰まり検知センサ205aがこれを検知して遊技媒体払出部219へ出力することにより、遊技媒体貸出装置200において各エラーの発生を知ることができる。
【0029】
さらに、遊技媒体貸出装置200には通常モード・テストモード切替手段220を設けてあり、遊技機100と連携した通常の遊技媒体貸出機能が有効な通常モードと、遊技機100において稼動テストを行うときに、自動で遊技媒体を補給できるテストモードとを切り替えることができる。通常モード・テストモード切替手段220に対するモード切替の指示は、遊技媒体貸出装置200の本体に設けたモード切替スイッチで行ったり、遊技店員等が所持している正規のリモコンから受けたり、プリペイドシステム管理コンピュータ700からの指令信号によって行ったりできる。特に、複数台の遊技機100での稼動テストを行う場合、プリペイドシステム管理コンピュータ700からの切替指示で一斉にテストモードへ移行させれば、遊技店員等がテスト稼動の対象となる遊技機100に赴いて遊技媒体貸出装置200に対して個別にモード切替指示を行う必要が無く、効率的である。
【0030】
また、遊技媒体貸出装置200には、外部入力端子板208を介して入力される信号に基づいて、総アウト数や総賞球数を計数する外部信号入力計数手段221を設け、遊技機100からの賞球信号(例えば、10個で1パルスと分周率が定められた信号)やアウト信号(例えば、10個で1パルスと分周率が定められた信号)を受けると、その分周率に基づいて、総アウト数や総賞球数を演算することができるのである。なお、外部入力端子板208を介して入力される大当り信号は、外部信号入力計数手段221による計数の対象ではないが、遊技機100で発生した特別遊技(大当り遊技)の発生から終了までを示す信号として重要である。
【0031】
次に、プリペイドシステム管理コンピュータ700によるテストモードへの切替指示を行う操作画面を
図4に示す。例えば、外部出力パルス発生手段215よりテストモードの設定として、遊技媒体貸出装置200から出力させる出力パルス(例えば、持ち玉計数信号、持ち玉等払出信号、消費信号)の分周率、遊技媒体貸出装置200へ入力させる入力可能信号(例えば、アウト玉信号、賞球玉信号、大当り信号)の種別とその分周率を設定できる。また、遊技機100の上皿120へ遊技球を自動的に補給するときの判断条件である上皿払出条件として、「定期的時間経過」の経過時間と払出個数、「アウト玉未検知」の時間、「推定上皿残玉数」の個数、「持玉優先払出」の可否、「全数ノズル払出」の可否、「消費払出のみ」による制限の有無を設定できる。また、遊技機100で行う稼動テストを終了させるためのテスト終了条件として、アウト玉の総数である「アウトカウント」の個数、大当りの発生回数である「大当り」の上限回数を設定できる。
【0032】
そして、プリペイドシステム管理コンピュータ700のテストモード操作画面にて全ての設定を行い、開始を選択すると、プリペイドシステム用通信路701を介して遊技媒体貸出装置200へ送信される。そして、台番号1の遊技機100aと共に台番号1のホールコン中継基板400aに接続されている1番台の遊技媒体貸出装置200aに対して、プリペイドシステム管理コンピュータ700よりテストモードのコマンドを送信すると、遊技媒体貸出装置200aはテストモードとなる。また、台番号2の遊技機100bと共に台番号2のホールコン中継基板400bに接続されている2番台の遊技媒体貸出装置200bに対して、プリペイドシステム管理コンピュータ700よりテストモードのコマンドを送信すると、2番台の遊技媒体貸出装置200bはテストモードとなる。
【0033】
なお、テストモードのコマンド送信は、プリペイドシステム管理コンピュータ700より行う場合に限らず、遊技店員が所持している正規のリモコンでモード移行操作を行うことにより、特定の遊技媒体貸出装置200毎にテストモードへの切り替えや条件設定を行えるようにしても良い。また、同一のグループ情報(例えば、遊技島の番号など)が遊技媒体貸出装置200毎に設定してある場合、リモコンによるモード移行対象をグループ情報により特定すると、そのグループに含まれる全ての遊技媒体貸出装置200に対して設定条件を一斉に通知し、同一グループに属する全ての遊技媒体貸出装置200がその設定情報を受けて、自動的にテストモードに切り替わるようにしても良い。斯くすれば、プリペイドシステム管理コンピュータ700を使わなくても、同一グループの遊技媒体貸出装置200に対するテストモード移行を一斉に行うことができ、リモコンによるテストモードの設定操作を効率良く行うことが可能となる。
【0034】
上記のようにして、テストモードとなった遊技媒体貸出装置200は、対応する遊技機100のテスト稼動で得られる諸情報(例えば、賞球信号、大当り信号、アウト信号など)と、遊技媒体貸出装置200が遊技機100のために動作したときの諸情報(例えば、球貸信号、持ち玉カウント、持ち玉払出など)から、遊技球補給条件を判断して遊技機100へ遊技球を自動補給したり、稼動テスト終了条件を判断して遊技機1の動作を終了(発射動作を停止)させることができる。すなわち、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置200を用いれば、遊技機100に格別の機能を設ける必要がないし、稼動テストのための特別な装置を設ける必要もないのである。
【0035】
なお、プリペイドシステム管理コンピュータ700からテストモードのコマンドを受けてテストモードとなった遊技媒体貸出装置200および対応する遊技機100から出力される各種稼動情報は、ホールコン用通信路501からホールコンピュータ500へ入力されるので、遊技機100の稼動特性を確認したり分析したりできる。
【0036】
次に、遊技媒体貸出装置200が起動して、通常モード或いはテストモードとなる一連の処理を、
図5に基づき説明する。
【0037】
先ず、遊技媒体貸出装置200は、電源投入により自己診断を行い(ステップS101)、台番号記憶手段217から台番号を取得し(ステップS102)、プリペイドシステム管理コンピュータ700からのコマンドを待つ(ステップS103)。例えは、一定時間毎にコマンド受信の有無を確認し(ステップS104)、コマンドを受信していた場合には、そのコマンドがテストモード開始のコマンドか否かを判定し(ステップS105)、テストモード開始のコマンドでなければ、開店コマンドか否かを判定し(ステップS106)、受信したコマンドが開店コマンドと判定されれば、接続された遊技機100と相互認証を行って通常モードで起動し(ステップS107)、遊技媒体貸出に関する通常取引処理を行う(ステップS108)。その後は、閉店コマンドを受信したか否かの判定を行い(ステップS109)、閉店コマンドを受信すると(ステップS110)、通常取引を行わず、処理が終了となる。
【0038】
一方、上記ステップS105で、テストモード開始のコマンドを受けていると判定された場合には、テストモードで起動し(ステップS111)、テストモード動作処理を行う(ステップS112)。
【0039】
上記起動処理のステップS112で行うテストモード動作処理の詳細を
図6に示す。
【0040】
テストモード動作処理が開始されると、先ず、島設備に設けられたアウト玉センサ103からのアウト信号(例えば、分周率が10:1のパルス信号)が入力されたか否かを判定し(ステップS201)、アウトパルスが入力されていれば、総アウト数(O)の積算値を求める(ステップS202)。この総アウト数(O)は、遊技機100におけるテスト用動作時にアウトセンサより受けたアウト信号(遊技機100での遊技に供された後、機外へ排出されて島設備内の遊技球循環路に回収された遊技球の数を示す遊技媒体回収信号)から、遊技に供されて機外へ排出された遊技媒体の総数として求める総回収遊技媒体数であり、テストモード中における遊技機100の稼動に伴ってアウトセンサより出力されるアウト信号の数×分周率で計算可能なアウト数(回収球数)の積算値として求めることができる。
【0041】
続いて、遊技機100より賞球信号(例えば、分周率が10:1のパルス信号)が入力されたか否かを判定し(ステップS203)、賞球パルスが入力されていれば、総賞球数(S)の積算値を求める(ステップS204)。この総賞球数(S)は、遊技機100におけるテスト用動作時に遊技機100より受けた賞球信号(遊技機100での遊技において入賞への入賞などにより達成された賞に対し、遊技者に付与された遊技媒体の数を示す賞遊技媒体信号)から、賞として排出された遊技媒体の総数として求める総賞遊技媒体数であり、テストモード中における遊技機100の稼動に伴って外部端子板102より出力される賞球信号の数×分周率で計算可能な賞球数(賞遊技媒体数)の積算値として求めることができる。
【0042】
続いて、遊技機100の下皿130に貯まっていた持ち玉が球箱ユニット300へ移されることで、遊技媒体貸出装置200内の遊技媒体計数部218によって計数されたか否かを判定し(ステップS205)、持ち玉の計数が行われていれば、総持ち玉数(C1)の積算値を求めると共に、その計数値を所定の分周率(例えば、40:1)に基づくパルス信号としてホールコンピュータ500へ出力する(ステップS206)。この総持ち玉数(C1)は、遊技機100において未だ遊技に使用されていない遊技媒体のうち、下皿130に貯まっていた遊技媒体を一旦機外である球箱ユニット300の玉貯留部301へ排出し、これを遊技媒体貸出装置200の持ち玉計数部へ導入することで1個宛計数した手持ち遊技媒体の総数である。
【0043】
上記のようにして、総アウト数、総賞球数、総持ち玉数の演算を行った後には、テスト動作中の遊技機100に対して遊技球を新たに追加する必要があるか否かの払出条件を確認する払出条件確認処理(後に詳述)を行い(ステップS207)、このステップS207で払出条件の成立が確認されているか否かを判定し(ステップS208)、払出条件が成立していた場合には、テスト動作中の遊技機100に対して所定数の遊技球を補給する所定数払出処理(後に詳述)を行う(ステップS209)。
【0044】
続いて、遊技機100の稼動テストを終了するための終了条件が整っているか否かを確認するテスト終了条件確認処理(後に詳述)を行い(ステップS210)、このステップS210でテスト終了条件の成立が確認されているか否かを判定し(ステップS211)、終了条件が成立していれば、そのままテストモードでの動作を終了し、リセット等による再起を待つ。一方、上記ステップS211でテスト終了条件が成立していないと判定された場合には、プリペイドシステム管理コンピュータ700や遊技店員等の所持するリモコンからの指令に基づくテスト終了コマンドを受信したか否かを判定し(ステップS212)、テスト終了コマンドを受信していれば、そのままステップS201からテストモード動作処理を繰り返し、テスト終了コマンドを受信していた場合には、テスト終了条件が成立していた場合と同様に、そのままテストモードでの動作を終了し、リセット等による再起を待つ。
【0045】
上記のようなテストモード動作処理のステップS207にて行う払出条件確認処理1を
図7に、払出条件確認処理2を
図8に示す。先ず、払出条件確認処理1においては、先ず、推定上皿玉数再計算処理を行う(ステップS311)。
【0046】
推定上皿玉数(X)再計算処理は、
図9に示すように、テスト稼働中の遊技機100の上皿120に貯まっている遊技球(すなわち、そのまま発射装置の弾発位置へ誘導されて遊技に供することが可能な遊技媒体)の推定値を、最新の値に基づいて計算により求めるものである。そのために、上記テストモード動作処理のステップS202で算出した総アウト数(O)を取得し(ステップS401)、上記テストモード動作処理のステップS204で算出した総称球数(S)を取得し(ステップS402)、上記テストモード動作処理のステップS209で遊技機100に対して貸玉として払い出した遊技媒体の総数である総貸玉数(U)を取得し(ステップS403)、上記テストモード動作処理のステップS206で算出した総持ち玉数(C1)を取得する(ステップS404)。
【0047】
更に、上記テストモード動作処理のステップS209で遊技機に対して持ち玉を再遊技用に払い出した総持ち玉払出数(C2)を取得する(ステップS405)。この総持ち玉払出数は、遊技媒体計数部218にて計数した手持ち遊技媒体を、改めて遊技機100での遊技に供するために、例えば、遊技媒体払出部219からノズル105を介して遊技機100の上皿120へ払い出した手持ち遊技媒体の払出総数であり、この総手持ち遊技媒体払出数は、遊技媒体貸出装置200に投入されている情報記録媒体Cに書き込んだ情報として、或いは、ホールコンピュータ500の会員情報として管理されているので、必要に応じて取得できる。なお、手持ち遊技媒体の払出は、ノズル105経由で上皿120へ排出する方式に限定されるものではなく、遊技機100の球排出装置から払い出すようにしても構わない。
【0048】
続いて、テスト動作中の遊技機100において貸出を受けて未だ遊技に使われていない遊技球と、賞球として獲得して未だ遊技に使われていない遊技球との総計として、理論上、遊技に使える手持ちの遊技媒体の数である理論持ち玉数(M)を求める(ステップS406)。すなわち、ステップS403で取得した総貸玉数(総貸遊技媒体数)とステップS402で取得した総賞球数(総賞遊技媒体数)との和からステップS401で取得した総アウト数(総回収遊技媒体数)を減ずることで、理論持ち玉数(理論残遊技媒体数)を求めることができる。
【0049】
なお、理論持ち玉数(M)は、あくまでも理論上、遊技に使える遊技球数であり、上皿120が溢れて下皿130へ誘導された遊技球や、これを持ち玉として計数管理されたものは、上皿120から発射位置へ供給されることがないために、そのままではテストモードの継続に使うことはできない。しかしながら、上皿120が溢れる可能性が比較的少ない短時間のテストにおいては、理論持ち玉数を上皿120の残球数として扱うことができるので、理論持ち玉数が所定の下限値に達したことを条件として、遊技球の補給を行うようにしても、稼動テストに支障は無い。
【0050】
上記の理論持ち玉数に対して、ステップS407で算出する推定上皿玉数(X)は、遊技機100の上皿120に実際に残っている遊技球数を推定するものであるから、下皿130および球箱ユニット300経由で持ち玉として情報管理されたり、この持ち玉を再び遊技用に払い戻したりといった複雑な遊技媒体処理が行われても、遊技機100への補給タイミングを判断する上で、重要な情報となる。この推定上皿玉数(推定使用可能遊技媒体数)は、ステップS406で求めた理論持ち玉数(理論残遊技媒体数)から、ステップS404で取得した総持ち玉数(総手持ち遊技媒体数)を減じ、ステップS405で取得した総持ち玉払出数(総手持ち遊技媒体払出数)を加算して求めることができる。
【0051】
ここで、払出条件確認処理1の説明に戻る。ステップS311で行う推定上皿玉数再計算処理により、推定上皿玉数(X)を再計算した後、その推定上皿玉数(X)が予め定めた下限値(補給実行残数と定めた遊技球数)を下回っているか否かを判定し(ステップS312)、上皿玉数を下回っていると判定した場合には、第1補給条件が達成されたものとして払出条件フラグをセットする。これにより、遊技機100への球補給が実行されることとなる。
【0052】
また、上記ステップS312で推定上皿玉数が下限値以上であった場合には、アウト玉未検知時間(最後にアウト玉センサ103からのアウト信号を受信してから経過した時間)が所定の上限秒数(予め定めた補給判定時間)を越えたか否かを判定し(ステップS314)、アウト玉未検知時間が上限秒数を越えていた場合には、既に上皿120が空になっており、発射装置が空打ちしている状態と判断できることから、第2補給条件が達成されたものとして、ステップS313にて払出条件フラグをセットする。
【0053】
一方、ステップS314でアウト玉未検知時間が上限秒数以下であると判定された場合には、第1補給条件および第2補給条件が共に未成立であるから、払出条件フラグをセットしないで(ステップS315)、払出条件確認処理を終了する。
【0054】
なお、払出条件は、上述した2つの条件に限定されるものではなく、その他の払出条件を適宜に設定しても良いし、第1払出条件もしくは第2払出条件の一方のみでテストモードを行うようにしても良い。更に、上述した如く、遊技機100における使用可能な持ち玉を概算して玉切れを事前に予測しつつ補給するのではなく、よりシンプルな補給方法でも、テストモードに適用可能である。以下、
図8に基づき、払出条件確認処理2を説明する。
【0055】
この払出条件確認処理2は、上皿払出条件として「定期的時間経過」が設定されているときに行うもので、設定された経過時間(例えば、20秒)と払出個数(例えば、100個/回)がプリペイドシステム管理コンピュータ700より設定されている。先ず、前回の払出時刻からの経過時間を取得し(ステップS321)、その取得経過時間が設定経過時間を越えているか否かを判定し(ステップS322)、取得経過時間が設定経過時間を越えていた場合には補給条件が達成されたものとして、ステップS323にて払出条件フラグをセットする。一方、ステップS322で取得経過時間が設定経過時間以下であると判定された場合には、補給条件が未成立であるから、払出条件フラグをセットしないで(ステップS324)、払出条件確認処理を終了する。
【0056】
上述した払出条件確認処理1または払出条件確認処理2において払出条件フラグがセットされることにより行われる所定数払出処理を
図10に示す。
【0057】
払出条件が成立することで行われる所定数払出処理においては、先ず、持ち玉数の有無を判定し(ステップS501)、持ち玉がなければ、投入貨幣や情報記録媒体の価値を消費する貸球として遊技機100の球排出装置より所定数の遊技球を排出すると共に、その消費額(或いは消費価値)に応じた消費パルスを所定の分周率(例えば、25:1)でホールコンピュータ500へ出力し(ステップS502)、所定数払出処理を終了する。なお、消費パルスを出力させるか否かは、上述したプリペイドシステム管理コンピュータ700におけるテストモード操作画面にて任意に選択設定可能である。
【0058】
上記ステップS501で持ち玉があると判定された場合には、ノズル205経由で遊技機100の上皿120に払い出す遊技媒体払出部219の払出可能な遊技球のストックがあるか否かを判定し(ステップS503)、払出可能であれば、ノズル205経由で上皿120へ持ち玉を払い出す(ステップS504)。一方、遊技媒体払出部219による払出が不可能であれば、遊技機の球排出装置から所定数の持ち玉分を排出させる(ステップS505)。上記のようにして、持ち玉から払い出した場合には、持ち玉払出パルスを所定の分周率(例えば、25:1)でホールコンピュータ500へ出力し(ステップS506)、所定数払出処理を終了する。
【0059】
なお、上述した払出条件確認処理2を行い、一定の経過時間毎に所定数の遊技球を排出するように払出条件を設定した場合、遊技で消費される遊技球数と遊技の賞として獲得する遊技球数とがバランスしていれば、上皿120の球貯留量が著しく減ったり増えたりすることはないが、大当りの発生などで短時間に多くの賞球を獲得できる遊技状態になっていると、エラーが発生する。すなわち、遊技機100の球排出装置から遊技球を払い出していた場合には、遊技媒体貸出装置200からの貸出装置貸出賞球に対して遊技機100から遊技機貸出完了信号が帰ってこないことで、上皿120および下皿130へ球を排出できなくなった状態を知ることができるし、球排出ノズル205から遊技球を上皿120へ払い出していた場合には、上皿120および下皿130が満杯になって、球排出ノズル205の排出端まで遊技球が溢れると、球排出ノズル205から適正に遊技球が排出されなくなることで、払出玉詰まり検知センサ205aからの検知信号が入力されることで、上皿120および下皿130へ球を排出できなくなった状態を知ることができる。このように、払出処理の途中でエラーを検知した場合には、そのまま払出動作を中断し、且つ、消費信号や持ち玉払い出し信号も出力しないようにしておき、エラー原因が解除されることにより、自動復帰した後に、改めて払出条件確認処理を行って遊技機100への補給を再開すれば、テストモード動作時の自動補給を継続できる。
【0060】
上記のようにして、払出条件が成立する毎に所定数の遊技球を遊技機100へ補給するテストモードの終了条件を確認するテスト終了条件確認処理を
図11に示す。
【0061】
テスト終了条件確認処理においては、上記テストモード動作処理のステップS202で算出した総アウト数(O)を取得し(ステップS601)、稼動テスト中における遊技機100の外部出力端子板102より出力された大当り信号の数を積算した値である総大当り回数(T)を取得し(ステップS602)、補給条件の成立によって遊技球の払出を行うために貸玉のために消費した金額(情報記録媒体Cの有価価値も金額への換算が可能)
の総計である総貸玉消費金額(U)を取得し(ステップS603)、テストモードの開始からの経過時間である遊技時間(P)を取得する(ステップS604)。
【0062】
そして、上記ステップS601〜S604で取得した総アウト数(O)、総大当り回数(T)、総貸玉消費金額(U)、遊技時間(P)を用いて、終了条件の成立可否を判定する(ステップS605)。ここでの判定に用いる終了条件は、プリペイド管理コンピュータ700からの設定情報を受けて設定されるものであり、その時のテストモードの終了条件を任意に設定可能である。例えば、アウト数が6000個に達することがテスト終了条件に設定されている場合には、ステップS601で取得した総アウト数(O)が6000個未満ならテスト終了フラグをセットしないことでテスト終了条件が成立しないが、総アウト数(O)が6000個に達するとテスト終了フラグをセットすることでテスト終了条件が成立し、テストモード動作処理が終了するのである。
【0063】
また、大当り発生回数が3回になることをテスト終了条件とした場合には、ステップS602で取得した総大当り回数(T)が3未満ならテスト終了条件が成立せず、総大当り回数(T)が3になるとテスト終了条件が成立する。同様に、総貸玉消費金額が所定金額(例えば、1万円)に達することをテスト終了条件としたり、遊技時間が所定時間(例えば、6時間)に達することをテスト終了条件としても良い。また、これら複数の終了条件設定要素の中の2つ以上について、各々テスト終了仮判定条件を設定し、最先のテスト終了仮判定条件が成立したときに、真のテスト終了条件が達成されたものとしても良い。或いは、複数の終了条件設定要素の中の2つ以上について、各々テスト終了仮判定条件を設定し、全てのテスト終了仮判定条件が成立したときに、真のテスト終了場家円が達成されたものとしても良い。
【0064】
上述した第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置200を用いれば、遊技機100の稼動テストを行うときに、遊技機100や島設備に対する改変を要することなく、適切な補給条件を判定して、滞りなく遊技球の補給が可能であることから、稼動テストのために遊技店の係員等が拘束されることを無くし、遊技店にとっての利便性を高めることが可能である。
【0065】
しかしながら、遊技機100の稼動テストを行うとき、遊技店員等が実際に遊技機100を操作していれば、標準的な遊技客が行うであろう遊技操作に準じて発射勢を調整したり、一時的に発射を止めたりすることができ、より信頼性の高い稼動テストとなるのに対して、上述した第1実施形態に係る遊技媒体貸出装置200では、そこまで細かな稼動テストには対応できない。
【0066】
そこで、
図12に示す第2実施形態の遊技媒体貸出装置200′によれば、ハンドル調整装置800を用いることで、操作ハンドル140の調整を可能とし、発射勢を調整したり、一時的に発射を止めたりすることができるようにした。なお、
図12に示す遊技媒体貸出装置200′において、前述した第1実施形態の遊技媒体貸出装置200と同一の構成については同一符号を付して説明を省略した。
【0067】
遊技媒体貸出装置200′は、外部出力信号発生手段222を備えるものとし、ホールコンピュータ500へ送信する各種パルス信号に加えて、ハンドル調整装置800への発射停止信号および右打ち指示信号を出力することができるものである。なお、調整ハンドル800とは、遊技機100の操作ハンドル140に装着される装置で、操作ハンドル140の回動量を調整することにより、発射勢を強めたり弱めたり、初期位置へ戻すことで発射を停止したりできるものである。特に、標準的な発射勢よりも若干発射勢を強める操作を行えば、遊技領域の右側(発射球が遊技領域へ飛入する位置とは反対側)へ遊技球を到達させる右打ちを再現することができ、遊技領域の右側に設けられた役物装置などへ多くの遊技球を到達させる場合に有効である。
【0068】
また、本実施形態の遊技媒体貸出装置200′は、分岐基板600より始動入賞信号および図柄停止信号を受けるものとしてあり、始動入賞信号によって、遊技機100で変動表示ゲームを行うための始動条件である始動入賞が発生したことを判定でき、変動表示ゲームの実行中に更に始動入賞が発生した場合には、これが始動記憶として記憶されて行くことも判断できる。そして、本実施形態の遊技媒体貸出装置200′は、図柄停止信号によって変動表示ゲームが終了したことを判断でき、この図柄停止に伴って大当り信号が入力されなければ、変動表示ゲームが外れたものと判断でき、始動記憶が残っていれば(演算している始動記憶が1以上であれば)、これを使って次の変動表示ゲームが行われること、すなわち、始動記憶が減ぜられたことを判断できるのである。
【0069】
標準的な遊技機においては、始動記憶として記憶できる上限値として「4」が設定されており、始動記憶が一杯になると、発射操作を一旦止めて無駄打ちを抑え、変動表示ゲームの消化で始動記憶が所定数(例えば、2個)に減ると発射を再開するような遊技進行を行う場合がある。そこで、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置200′においては、始動記憶数に応じて発射停止信号を出力することにより、ハンドル調整装置800を初期位置へ戻して遊技機100の発射モータを停止させるものとした。例えば、
図13に示す遊技媒体貸出装置200′の制御態様においては、始動入賞信号を演算して求めた推定始動保留数が「4」に達したタイミングで発射停止信号を出力し、発射モータを停止させるのである。また、推定始動保留数が「2」に減ぜられたタイミングで発射停止信号を止め、ハンドル調整装置800を通常発射勢の位置へ復帰させるのである。
【0070】
ただし、遊技機100からの大当り信号によって特別遊技が行われていると判断できるときは、推定始動保留数が最大値になっていても、発射停止信号の出力は行わず、特別遊技での獲得利益を逃すことがないようにする。このように、大当り信号に基づく特別遊技状態と判定できる発射停止抑制条件が満たされているとき、発射停止信号出力を抑制することで、実際の遊技者が遊技機100で遊技を行う場合の行動に準じた稼動テストを実現できるのである。
【0071】
また、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置200′は、遊技機100より入力される大当り信号によって、中央役物が有効な特別遊技か、右側役物が有効な特別遊技かを判断でき、右側役物が有効な大当りの場合には、発射勢を調整して右打ちにすることにより、特別遊技での獲得利益を多くできると判断可能である。例えば、
図13に示す遊技媒体貸出装置200′の制御態様において右側役物が有効となった大当りの発生後には、ハンドル調整装置800へ右打ち指示信号を出力することで、右側役物へ効率良く発射球を到達させることができ、特別遊技手の獲得利益を逃すことがない。
【0072】
なお、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置200′においては、前述した第1実施形態の遊技媒体貸出装置200と同様なテストモード終了条件のほかに、ハンドル調整装置800によるハンドル操作がOFFになることで、テストモードの終了を判定するようにしても良い。
【0073】
以上、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、この実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。