(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置としての画像印刷装置1の外観斜視図である。
図2は、画像印刷装置1におけるキーボード3を示す説明図である。
図3は、画像印刷装置1の側面断面模式図である。尚、
図3は、見やすくなるようにハッチングを除いて描いている。
【0013】
本発明の実施形態に係る画像処理装置としての画像印刷装置1は、例えば、デジタルスチルカメラ等で撮影した写真画像やスキャン画像などの画像データを、メモリカード等の着脱可能な可搬型記憶媒体から読み出して、絵画調に変換する絵画調変換機能を有する。また、画像印刷装置1は、印刷媒体として、例えば、葉書(100mm×148mm)やL判(89mm×127mm)、2L判(178mm×127mm)等の比較的小さな印刷用紙10に印刷を実行する装置であり、住所録を作成する機能や、住所録から自動で葉書に宛名書きをする機能、写真等の画像データを印刷する機能、文章を編集する機能、取り込んだ画像と文章とを組み合わせて葉書に印刷する機能等、様々な機能を有している。
【0014】
この画像印刷装置1は、
図1に示すように、箱形の筐体2を備え、筐体2の前方には入力手段としてのキーボード3が配置されている。このキーボード3は、筐体2の前方下端近傍に回動可能に装着されており、使用状態では図示したように前方に倒され、使用しない場合には筐体2の前面と対向した状態で収納されている。
【0015】
このキーボード3は、
図2に示すように、電源を入れたり切ったりするための電源スイッチキー30、項目を選択したり、選択した項目の設定内容を変更するためのカーソルキー32、操作を進めるために選択対象や変更内容を確定させる実行キー34、表示部8にトップメニュー画面を表示させるためのトップメニューキー、印刷実行の指示に用いるプリントキー、文字や数字を入れるための文字・数字キー36等が配置されており、夫々のキーが入力手段として機能し、使用者の入力操作に基づいて所定の操作信号を後述の制御部41に送信する。
【0016】
筐体2の前面には、
図1に示したように、印刷が完了した葉書や写真等の印刷用紙10が排出される排紙口5と、メモリカード等の可搬型記憶媒体を挿入可能な記憶媒体挿入口6とが形成されている。この記憶媒体挿入口6は、メモリカード等の着脱可能な可搬型記憶媒体が挿入されることにより、デジタルカメラで撮影された写真の画像データや、パーソナルコンピュータで編集された文章等の編集データ、複数の宛名データからなる住所録の宛名データを画像印刷装置1に取り込み可能とするとともに、画像印刷装置1で編集したデータを可搬型記憶媒体等に保存可能とする。
【0017】
また、筐体2の上面には、表示手段とされる液晶等の表示部8が配置され、この表示部8は筐体2の正面方向に回動可能とされている。この表示部8は、キーボード3からの入力信号に対応して画面上に入力内容が表示される、或いは、各種の設定に必要なメニュー画面が表示される、又は、デジタルカメラから取り込んだ写真画像が表示される等、画像印刷装置1で必要とする各種のデータが表示される。なお、この表示部8は、タッチパネルとして構成されることもある。表示部8をタッチパネルとして構成することによりキーボード3を使用せずとも表示部8上で簡単な入力操作が可能となる。
【0018】
さらに、筐体2の上部には、筐体2の後方側から筐体2の上方までの間を回動可能な取っ手(把持部)15が装着されている。この取っ手15は、略コ字状に形成され、画像印刷装置1の運搬時等に把持されて使用される。
【0019】
そして、画像印刷装置1は、
図3に示すように、筐体2の背面に開口する空腔部16を有し、この空腔部16の開口を塞ぐように給紙トレイ18が配置されている。この給紙トレイ18は、筐体2の後方であって下方近傍位置に軸着されており、上端を前後方向に移動させるように回動可能とされ、印刷用紙10を複数枚重ねて収容することができるようになっている。
【0020】
また、給紙トレイ18の内側であって上方位置には、給紙トレイ18に収容された印刷用紙10を1枚ずつ下方に送り出すピックアップローラ19が配置されている。また、給紙トレイ18の下端近傍には、ピックアップローラ19によって下方に送り出された印刷用紙10を筐体2の排紙口5方向へと搬送する搬送ローラ20a、20bが配置されている。さらに、筐体2の内部であって搬送ローラ20a、20bの前方近傍には、印刷機構とされる印刷ヘッド21が配置されている。また、筐体2の内部であって印刷ヘッド21の前方には、印刷を完了した印刷用紙10を排紙口5から排出する排紙ローラ22a、22bが配置されている。この搬送ローラ20aと排紙ローラ22aは、図示しないステッピングモータによって回転を制御されて、所定速度で印刷用紙10を搬送している。なお、ピックアップローラ19と、搬送ローラ20a、20bと、排紙ローラ22a、22bとは、画像印刷装置1における搬送機構として機能している。
【0021】
印刷機構とされる印刷ヘッド21は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色インクを吐出する夫々のノズルを有するインクジェット方式の印刷ヘッド21とされ、ノズルから各色を印刷用紙10に噴射することにより印刷を実行する。なお、インクジェット方式の印刷ヘッド21について述べたが、本発明がインクジェット方式に限定されるものではない。
【0022】
そして、給紙トレイ18に収容された印刷用紙10は、ピックアップローラ19によって前方に位置する印刷用紙10から順に下方に送り出され、搬送ローラ20a、20bとの間に挟み込まれた状態で印刷ヘッド21の下方に繰り出され、印刷が完了後、排紙ローラ22a、22bの間に挟み込まれて排紙口5から外部へと排出される。
【0023】
次に、本実施形態の画像印刷装置1の制御回路について述べる。
図4は、画像印刷装置1の機能ブロック図である。この画像印刷装置1は、
図4に示すように、システム全体を司る制御手段とされる制御部41と、ROM42、RAM43、メモリカード等の可搬型記憶媒体44を備える記憶装置と、表示手段とされる表示部8と、入力手段とされる入力部45と、絵画調変換処理部46と、印刷部47と、入出力部としてのカードスロット48と、を有する。
【0024】
入力部45は、使用者が入力操作に用いる上述したキーボード3であって、電源スイッチキー30、カーソルキー32、実行キー34、プリントキー等を備えている。表示部8は、各種の操作画面を表示する上述した液晶等であって、所定の操作信号を受信した制御部41により制御されて、複数の操作画面のうち所定の操作画面を表示する。なお、入力部45としては、表示部8の表面にタッチパネルが設けられる場合は、このタッチパネルを含む。
【0025】
制御部41は、CPUであって入力部45からのキー操作信号に応じて、又は、自動で、ROM42に予め記憶されているプログラム(PRG)42a、可搬型記憶媒体44に記憶された制御プログラム等を起動させ、RAM43をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0026】
ROM42には、文章の編集時に使用する文字フォントや印刷の字体、編集する印刷用紙10の規格情報、制御部41が各種手段を制御する場合の制御プログラム、本発明に係る機能を実現するためのプログラム42aなどを有する。プログラム42aは、後述するように、制御部41で実行されることにより、縮小画像生成処理部41aと、画像変換処理部41bと、印刷用画像データ生成処理部41cと、印刷処理部41dと、縮小画像画素数決定部41eと、原画像画素数検出部41fと、圧縮処理決定部41gと、を画像印刷装置1に実現させる。
【0027】
RAM43は、入力部45で入力された文字などの文書の編集情報や表示部8に表示される表示データ、画像処理中の画像情報や演算に用いる変数、レジスタ等を記憶するワークメモリである。また、可搬型記憶媒体44には、デジタルカメラで撮影した写真やスキャン画像などの原画像データ51としての画像データが記憶されている。
【0028】
RAM43には、本実施形態における絵画調変換機能を実現するために、原画像データ記憶部43a、縮小画像データ記憶部43b、絵画調データ記憶部43c、及び印刷用画像データ記憶部43dなどの記憶領域が設けられている。
【0029】
原画像データ記憶部43aは、例えばデジタルスチルカメラ等で撮影した写真画像やスキャン画像などの原画像データ51を可搬型記憶媒体44から、入出力部としてのカードスロット48を介して複製するなどして記憶することができる。
【0030】
縮小画像データ記憶部43bは、原画像データ51を圧縮処理した縮小画像データ52を記憶することができる。絵画調データ記憶部43cは、絵画調の画像データである変換縮小画像データとしての絵画調画像データ53を記憶することができる。印刷用画像データ記憶部43dは、絵画調画像データ53を伸長して得られた所定の画素数である印刷用画像データ54を記憶することができる。
【0031】
印刷部47は、印刷手段である印刷機構47aと搬送機構47bとから構成され、印刷機構47aは、上述した印刷ヘッド21とされるものであって、印刷媒体である印刷用紙10に印刷を実行する処理を行う。また、搬送機構47bは、上述したピックアップローラ19、搬送ローラ20a、20bや排紙ローラ22a、22b、ローラを回転させるステッピングモータによって構成され、印刷用紙10を搬送する処理を行う。また、制御部41には音声案内部(不図示)が電気的に接続されており、エラー音や操作の音声案内など音声メッセージを出力する。
【0032】
上述したROM42に格納されるプログラム42aは、制御部41に、縮小画像生成処理部41aとして、原画像データ51を、印刷用画像データ54よりも画素数の少ない縮小画像データ52に圧縮する処理を実行させる。この際、縮小画像生成処理部41aは、原画像データ51を、縮小画像画素数決定部41eにより決定された画素数の縮小画像データ52に変換する。
【0033】
また、プログラム42aは、制御部41に、画像変換処理部41bとして、縮小画像データ52を、画像変換属性としての絵画変換属性に基づいて、変換縮小画像データとしての絵画調画像データ53に画像変換処理を実行させる。また、本実施形態に係る画像印刷装置1は、絵画調変換を行う専用の回路である絵画調変換処理部46を有している。絵画調変換処理部46は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)であり、上記画像変換処理部41bと協働することにより高速に絵画調変換処理を行うことができる。
【0034】
また、プログラム42aは、制御部41に、印刷用画像データ生成処理部41cとして、絵画調画像データ53を、縮小画像データ52よりも画素数の多い、規定された画素数の印刷用画像データ54に伸長する処理を実行させる。
【0035】
また、プログラム42aは、制御部41に、印刷処理部41dとして、印刷用画像データ54を基に印刷媒体である印刷用紙10に印刷する処理を実行させる。
【0036】
また、プログラム42aは、制御部41に、縮小画像画素数決定部41eとして、印刷用画像データ54の画素数と絵画調変換属性とに基づいて、縮小画像データ52の画素数を決定する処理を実行させる。この縮小画像データ52の画素数は、規定値では印刷用画像データ54の画素数の4分の1に設定され、印刷用画像データ54の画素数や絵画調変換属性に応じて増減するように設定してもよい。
【0037】
また、プログラム42aは、制御部41に、原画像画素数検出部41fとして、原画像データ51の画素数を検出する処理を実行させる。
【0038】
また、プログラム42aは、制御部41に、圧縮処理決定部41gとして、上記原画像画素数検出部41fにより検出された原画像データ51の画素数と、縮小画像データ52の画素数とに基づいて、原画像データ51に対して圧縮処理を実行する、又は実行しないを決定する処理を実行させる。また、圧縮処理決定部41gは、原画像データ51の画素数が、縮小画像データ52よりも少ない場合に、圧縮処理を実行しない決定を行う。この圧縮処理を実行しない場合、画像変換処理部41bは、原画像データ51を画像変換特性としての絵画調変換属性に基づいた絵画調の画像データに変換して、絵画調画像データ53を生成する処理を行う。
【0039】
図5は、本発明の実施形態に係る画像印刷装置1で処理される各画像データの横縦の画素数を説明するための図である。本実施形態に係る原画像データ51は、
図5(a)に示すように、横画素数がAピクセル、縦画素数がBピクセルである。
【0040】
縮小画像データ52は、印刷用画像データ54よりも画素数が少ない。本実施形態に係る縮小画像データ52は、
図5(b)に示すように、横画素数がX/2ピクセル、縦画素数がY/2ピクセルである。つまり、縮小画像データ52の画素数は、印刷用画像データ54の画素数の1/4である。
【0041】
絵画調画像データ53は、縮小画像データ52に絵画調変換処理を施して得られる画像データであり、
図5(c)に示すように、横画素数がX/2ピクセル、縦画素数がY/2ピクセルである。
【0042】
印刷用画像データ54は、絵画調画像データ53を伸長して得られる画像データであり、
図5(d)に示すように、横画素数がXピクセル、縦画素数がYピクセルである。この印刷用画像データ54の横縦の画素数は、絵画調変換処理を実行する前に設定されるものであり、例えば印刷用紙10の大きさや、印刷用紙10内の印刷領域に対応する。
【0043】
上述した絵画調画像データ53は、原画像データ51に所定の画像処理を加えて、筆や色鉛筆等で描かれたような画像とするものである。絵画調変換属性としてのパラメータ条件には、例えば、フィルタ、加工条件、色比率、及び明度条件等がある。これらのパラメータ条件を設定することにより、例えば、画像の濃度値の変化を強調することで鮮明な画像としたり、画像内のランダムなノイズを除去して画素ごとの濃度値の細かい変化を少なくすることにより、見やすい画像とすることができる。なお、フィルタ及び加工条件等の設定値と処理方法の関係についての説明は省略し、絵画調変換の特徴についてのみ説明する。
【0044】
本実施形態では、絵画調変換属性は、水彩画調、油彩画調、色鉛筆画調、パステル画調等、絵の表現調をどのような風合いの絵に変換するかについてのパターン変換情報である。具体的には、
図6(a)に示すような写真の原画像データ51を変換するとき、
図6(b)に示すような水彩画調の画像に変換するパターン、
図6(c)に示すような油彩画調に変換するパターン、
図6(d)に示すような、色鉛筆画調に変換するパターン、
図6(e)に示すようなパステル画調に変換するパターンなどがある。
【0045】
次に、本実施形態に係る画像印刷装置1による、原画像データ51を絵画調に変換して印刷する処理についてフローチャートを用いて説明する。
図7は、画像印刷装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0046】
先ず、ユーザは、キーボード3やタッチパネル等を操作して絵画調変換モードを選択する。メモリカード等の可搬型記憶媒体44が記憶媒体挿入口6に挿入されると、制御部41は、可搬型記憶媒体44内の画像データとしての原画像データ51を入出力部であるカードスロット48を介して読み出し、RAM43の原画像データ記憶部43aに記憶させる処理を行う(ステップS101)。
【0047】
本実施形態に係る原画像データ51は、
図5(a)に示したように、横画素数がAピクセル、縦画素数がBピクセルである。例えば、デジタルスチルカメラで撮影された写真を原画像データ51として採用した場合、原画像データ51は、横4000ピクセル、縦3000ピクセル程度である。
【0048】
次に、制御部41は、表示部8に原画像データ51を表示させる処理を行う(ステップS105)。この際、可搬型記憶媒体44から複数の画像データを読み出した場合には、それら複数の画像データを表示させる処理を行う。
【0049】
次に、ユーザはキーボード3やタッチパネル等を操作して、表示部8に表示された画像データから、絵画調変換処理対象の原画像データ51を選択する(ステップS110)。詳細には、制御部41は、入力部45からの操作信号に応じて、ユーザにより選択された画像データを、絵画調変換処理対象の原画像データ51として設定する。
【0050】
次に、制御部41は、原画像データ51の画素数を検出して、RAM43に記憶する(ステップS113)。
【0051】
次に、ユーザは、キーボード3やタッチパネル等を操作して、印刷用画像データ54の横縦の画素数を設定する(ステップS115)。例えば、印刷用紙サイズとしてL判(89mm×127mm)を設定し、印刷領域として例えば用紙全体への印刷を選択する。このとき、制御部41は、カラー印刷時の解像度が約300dpiに設定されていると、印刷用画像データ54の縦画素数を1087ピクセル、横画素数を1385ピクセルであることを算出し、RAM43に記憶する。
【0052】
次に、制御部41は、絵画調変換対象の原画像データ51の画素数が、印刷用画像データ54より少ない規定の画素数、本実施形態では印刷用画像データ54の1/4画素数以上であるか否かを判別する(ステップS120)。つまり、原画像データ51の横画素数および縦画素数が、印刷用画像データの横画素数の1/2以上および縦画素数の1/2以上であるか否かを判別する。
【0053】
ステップS120において、原画像データ51の画素数が、印刷用画像データ54の1/4画素数以上である場合、制御部41は、縮小画像生成処理部41aを実行することにより、原画像データ51を縮小画像データ52に圧縮処理して(ステップS125)、縮小画像データ52を縮小画像データ記憶部43bに記憶する処理を行い、ステップS130の処理に進む。この縮小画像データ52の横画素数および縦画素数は、それぞれ印刷用画像データ54の横画素数および縦画素数の1/2である。つまり、縦画素数が544ピクセル、横画素数が693ピクセルである。
【0054】
次に、制御部41は、画像変換処理部41bを実行することにより、縮小画像データ52を、画像変換属性として絵画調変換属性に基づいた変換縮小画像データである絵画調画像データ53に画像変換を行う(ステップS130)。
【0055】
次に、制御部41は、印刷用画像データ生成処理部41cを実行することにより、変換縮小画像データとしての絵画調画像データ53を伸長処理して、上述した画素数の印刷用画像データ54を生成する処理を行う(ステップS135)。
【0056】
次に、制御部41は、印刷処理部41dを実行することにより印刷部47を制御して、印刷用画像データ54を印刷媒体である印刷用紙10に印刷する処理を実行する。
【0057】
また、ステップS120において、原画像データ51の画素数が、印刷用画像データ54より少ない規定の画素数、本実施形態では印刷用画像データ54の1/4画素数より少ない場合、制御部41は、縮小画像生成処理部41aによる圧縮処理を行わず、ステップS130の処理に進み、原画像データ51を、画像変換属性として絵画調変換属性に基づいた変換縮小画像データである絵画調画像データ53に画像変換を行い、以下同様にステップS135、S140の処理を行う。つまり、原画像データ51の画素数が比較的少ない場合には、絵画調変換にかかる処理時間が短いので、オリジナルサイズのまま、原画像データ51を絵画調変換することで、画質の劣化を防止する。
【0058】
なお、上述した実施形態では、縮小画像データ52が縦544ピクセル×横693ピクセルであったが、この形態に限られるものではない。例えば、原画像データ51を予め規定した画素数、例えば表示部8の画素数、具体的には横800ピクセル×縦600ピクセルの縮小画像データ52に圧縮処理した後、絵画調変換処理を行い、絵画調画像データ53をL判、葉書サイズ、2L判など所定の画素数の印刷用画像データ54に伸長処理してもよい。こうすることで、表示部8の表示処理に関する処理や画像変換処理などの処理負荷を低減することができる。
【0059】
例えば、比較例に係る装置では、横4000ピクセル×縦3000ピクセルの原画像データ51に絵画調変換処理を施して、印刷用画像データ54を生成した場合、1画像当たりの処理時間が16分から20分程度である。本発明の実施形態に係る画像印刷装置1では、横4000ピクセル×縦3000ピクセルの原画像データ51を、横800ピクセル×縦600の画素サイズの縮小画像データ52にリサイズした後、絵画調変換処理を施し、絵画調画像データ53に伸長処理を行い、印刷用画像データ54を生成した場合、1画像当たりの処理時間が40〜50秒程度であり、処理時間を大幅に短縮することができる。
【0060】
また、原画像データ51の画素数と、印刷用画像データ54の画素数と、絵画調変換処理の種別に対応する処理負荷とに基づいて、縮小画像データ52の縮小率を決定してもよい。詳細には、例えば、デフォルトでは、縮小画像データ52の画素数が印刷用画像データ54に対して1/4の画素数となるように規定しておき、原画像データ51の画素数が印刷に必要な画素数であるかを判断し、原画像データ51の画素数が印刷用画像データ54の画素数に対して十分多い場合に、絵画調変換処理の負荷に応じて、縮小画像データ52の画素数を印刷用画像データ54の画素数に対して1/4よりも増減させるようにしてもよい。
【0061】
具体的には、
図8に示すように、制御部41は、絵画調変換処理の種別を判別し(ステップS201)、例えば、水彩画調、油彩画調、色鉛筆画調などの比較的大きい処理負荷で変換時間が比較的長い絵画調変換の場合には、原画像データ51を縮小画像データ52に大きい縮小率で圧縮処理、例えば縮小画像データ52の画素数を印刷用画像データ54に対してデフォルトの1/4の画素数より小さくする圧縮処理を行い(ステップS205)、その縮小画像データ52を絵画調画像データ53に絵画調変換処理を行い(ステップS215)、その後、
図7に示した伸長処理(ステップS135)、印刷処理(ステップS140)を行う。
【0062】
また、ステップS201において、制御部41は、パステル画調などの比較的小さい処理負荷で変換時間が比較的短い絵画調変換の場合には、原画像データ51を縮小画像データ52に小さい縮小率で圧縮処理、例えば、縮小画像データ52の画素数を印刷用画像データ54に対してデフォルトの1/4の画素数より大きくする圧縮処理を行い(ステップS210)、その縮小画像データ52を絵画調画像データ53に絵画調変換処理を行い(ステップS215)、その後、
図7に示した伸長処理(ステップS135)、印刷処理(ステップS140)を行う。こうすることで、長い処理時間の絵画調変換の種別が選択されている場合に、処理スピードを高速化することができる。尚、圧縮率を小さくする場合、縮小画像データ52の画素数は、印刷用画像データ54の画素数を超えない範囲で圧縮率を定めるものである。
【0063】
上記縮小率は絵画調変換の種別と、原画像データ51の画素数と、印刷用画像データ54の画素数とに応じて最適な値を設定することが好ましい。また、各縮小率近傍の分岐処理については適宜設定してもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、原画像データ51を縮小画像データ52に圧縮処理を行い、次に、縮小画像データ52を絵画調画像データ53に絵画調画像変換を行っていたが、この形態に限られるものではない。例えば、大きな画素数の原画像データ51を絵画調画像データ53の圧縮処理として間引き読み出しを行いつつ、絵画調変換処理を行うようにして原画像データ51の画素数を少なくする処理と画像変換処理とを同時に行ってもよい。こうすることで、処理時間をより短縮することができる。
【0065】
また、上述した実施形態では、原画像データ51を縮小画像データ52に圧縮処理を行い、縮小画像データ52を絵画調画像データ53に絵画調画像変換を行い、絵画調画像データ53を印刷用画像データ54に伸長処理したが、この形態に限られるものではない。例えば、縮小画像データ52を絵画調変換した画像データの画素を繰り返すようにして画素数を増加させることで、絵画調変換処理と伸長処理とを同時に行ってもよい。こうすることで、処理時間をより短縮することができる。
【0066】
以上、説明したように、本発明の実施形態によれば、画像処理装置としての画像印刷装置1は、記憶装置としてのRAM43の原画像データ記憶部43aに原画像データ51を記憶し、原画像データ51を圧縮処理して縮小画像データ52を生成し、縮小画像データ52を指定入力された画像変換属性としての絵画調変換属性に基づいて、変換縮小画像データとしての絵画調画像データ53に画像変換を行い、絵画調画像データ53を伸長処理して、縮小画像データ52より画素数の多い印刷用画像データ54を生成して、印刷用画像データ54を印刷用紙10に印刷する処理を実行することができる。
【0067】
このため、写真等の画素数の多い画像データであっても、小さい画像変換用メモリで、短時間で印刷用画像データ54に変換処理を行うことができる画像印刷装置1である画像処理装置、画像処理装置で実行される画像処理方法、及び画像処理装置の画像処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラム42aを提供することができる。
【0068】
つまり、本発明では、絵画調変換が画像を高分解能で表示するのではなく、輪郭や境界、色調等をぼかして表示する等を行う処理であるので、原画像データ51を印刷用画像データ54よりも小さい画素数にリサイズした後、絵画調変換処理、伸長処理、印刷処理を順に行い、その結果得られる印刷画像は、原画像データ51を直接絵画変換して印刷処理を行った結果得られる印刷画像と略同様の画質である。このため、本発明に係る画像印刷装置1では、絵画調の画質を低下させることなく、処理時間を短縮することができる。
【0069】
また、上述した実施形態では、画像変換処理として絵画調変換処理を行ったが、この形態に限られるものではない。例えば、絵画調変換処理のように、原画像データ51に対して忠実度が低い画像変換処理であればよく、任意の画像処理であってもよい。
【0070】
また、本実施形態によれば、画像印刷装置1は、印刷用画像データ54の画素数と絵画調変換属性とに基づいて、縮小画像データ52の画素数を決定する縮小画像画素数決定部41eを有するので、印刷用画像データ54の画素数と絵画調変換属性に応じて最適な縮小画像データ52の画素数を決定することができ、各画像処理に応じて処理時間の短縮化を図ることができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、縮小画像画素数決定部41eは、縮小画像データ52の画素数を、規定値として、印刷用画像データ54の画素数の4分の1に設定している。こうすることにより、縮小画像データ52の横画素数および縦画素数を単純に2倍とする伸長処理を行うことで、容易に且つ短時間に印刷用画像データ54を生成することができる画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム42aを提供することができる。つまり、縮小画像データ52の画素数は、印刷用画像データ54の画素数の4分の1であるので、画像処理時間、及び画像処理に用いられる作業用メモリのサイズをともに約1/4とすることができる。
【0072】
また、本発明の実施形態によれば、原画像データ51の画素数を検出する原画像画素数検出部41fと、原画像データ51の画素数と縮小画像データ52の画素数とに基づいて、原画像データ51に対して圧縮処理を実行する、又は実行しないを決定する圧縮処理決定部41gとを設けたので、原画像データ51の画素数に応じて最適な処理を行うことで、処理時間の短縮化を行うことができる画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム42aを提供することができる。
【0073】
また、本発明の実施形態によれば、圧縮処理決定部41gにより、原画像データ51の画素数が、縮小画像データ52よりも少ない場合に圧縮処理を実行しない決定を行い、画像変換処理部41bにより、原画像データ51を画像変換特性としての絵画調変換属性に基づいた絵画調の画像データに変換して、変換縮小画像データとしての絵画調画像データ53を生成するので、比較的小さい画素数の原画像データ51の画質劣化を防止可能な画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム42aを提供することができる。
【0074】
また、本発明の実施形態では、絵画調変換属性には、油彩画調、水彩画調、パステル画調、及び色鉛筆画調のいずれか又は2つ以上を有するので、所定の絵画調の画像処理に応じて処理時間を短縮することができる。
【0075】
さらに、本発明の実施形態におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施形態で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等でプログラムを実行させることにより、本実施形態の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施形態で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるものではなく、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取り可能であって、読み取ったプログラムに従って制御動作を行うCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるとする。また、上記実施形態及び変形例を組み合わせてもよい。
【0077】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 原画像データを記憶する記憶装置と、
前記原画像データを圧縮処理して、縮小画像データを生成する縮小画像生成処理部と、
前記縮小画像データを指定入力された画像変換特性に基づいて、変換縮小画像データに画像変換を行う画像変換処理部と、
前記変換縮小画像データを伸長処理して、前記縮小画像データよりも画素数の多い印刷用画像データを生成する印刷用画像データ生成処理部と、
前記印刷用画像データを印刷媒体に印刷する処理を実行する印刷処理部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
[2] 前記画像変換処理部は、前記縮小画像データを、前記画像変換特性である絵画調変換属性に基づいた絵画調の画像データに変換して前記変換縮小画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
[3] 前記印刷用画像データの画素数と前記絵画調変換属性とに基づいて、前記縮小画像データの画素数を決定する縮小画像画素数決定部を有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
[4] 前記縮小画像画素数決定部は、前記縮小画像データの画素数を、前記印刷用画像データの画素数の4分の1に設定することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
[5] 前記原画像データの画素数を検出する原画像画素数検出部と、
前記原画像データの画素数と前記縮小画像データの画素数とに基づいて、前記原画像データに対して圧縮処理を実行する、又は実行しないを決定する圧縮処理決定部と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれに記載の画像処理装置。
[6] 前記圧縮処理決定部は、前記原画像データの画素数が、前記縮小画像データよりも少ない場合に、前記圧縮処理を実行しない決定を行い、
前記画像変換処理部は、前記原画像データを、前記画像変換特性としての絵画調変換属性に基づいた絵画調の画像データに変換して前記変換縮小画像データを生成することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
[7] 前記絵画調変換属性には、油彩画調、水彩画調、パステル画調、及び色鉛筆画調のいずれかがあることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の画像処理装置。
[8] 原画像データを記憶する記憶装置を有する画像処理装置の画像処理方法であって、
前記原画像データを圧縮処理して、縮小画像データを生成する処理と、
前記縮小画像データを指定入力された画像変換特性に基づいて、変換縮小画像データに画像変換を行う処理と、
前記変換縮小画像データを伸長処理して、前記縮小画像データよりも画素数の多い印刷用画像データを生成する処理と、
前記印刷用画像データを印刷媒体に印刷する処理と、
を有することを特徴とする画像処理方法。
[9] 前記画像変換を行う処理では、前記縮小画像データを、前記画像変換特性である絵画調変換属性に基づいた絵画調の画像データに変換して前記変換縮小画像データを生成することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
[10] 前記印刷用画像データの画素数と前記絵画調変換属性とに基づいて、前記縮小画像データの画素数を決定する処理を有することを特徴とする請求項9に記載の画像処理方法。
[11] 前記縮小画像データの画素数を、前記印刷用画像データの画素数の4分の1に設定することを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
[12] 前記原画像データの画素数を検出する処理と、
前記原画像データの画素数と前記縮小画像データの画素数とに基づいて、前記原画像データに対して圧縮処理を実行する、又は実行しないを決定する処理と、
を有することを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の画像処理方法。
[13] 前記原画像データの画素数が、前記縮小画像データよりも少ない場合に、前記圧縮処理を実行しない決定を行い、
前記原画像データを、前記画像変換特性としての絵画調変換属性に基づいた絵画調の画像データに変換して前記変換縮小画像データを生成することを特徴とする請求項12に記載の画像処理方法。
[14] 前記絵画調変換属性には、油彩画調、水彩画調、パステル画調、及び色鉛筆画調のいずれかがあることを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれかに記載の画像処理方法。
[15] 原画像データを記憶する記憶装置を有する画像処理装置の画像処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
前記原画像データを圧縮処理して、縮小画像データを生成する処理と、
前記縮小画像データを指定入力された画像変換特性に基づいて、変換縮小画像データに画像変換を行う処理と、
前記変換縮小画像データを伸長処理して、前記縮小画像データよりも画素数の多い印刷用画像データを生成する処理と、
前記印刷用画像データを印刷媒体に印刷する処理と、
とコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
[16] 前記画像変換を行う処理では、前記縮小画像データを、前記画像変換特性である絵画調変換属性に基づいた絵画調の画像データに変換して前記変換縮小画像データを生成する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項15に記載のプログラム。
[17] 前記印刷用画像データの画素数と前記絵画調変換属性とに基づいて、前記縮小画像データの画素数を決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項16に記載のプログラム。
[18] 前記縮小画像データの画素数を、前記印刷用画像データの画素数の4分の1に設定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項17に記載のプログラム。
[19] 前記原画像データの画素数を検出する処理と、
前記原画像データの画素数と前記縮小画像データの画素数とに基づいて、前記原画像データに対して圧縮処理を実行する、又は実行しないを決定する処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項15乃至請求項18のいずれかに記載のプログラム。
[20] 前記原画像データの画素数が、前記縮小画像データよりも少ない場合に、前記圧縮処理を実行しない決定を行い、
前記原画像データを、前記画像変換特性としての絵画調変換属性に基づいた絵画調の画像データに変換して前記変換縮小画像データを生成する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項19に記載のプログラム。
[21]
前記絵画調変換属性には、油彩画調、水彩画調、パステル画調、及び色鉛筆画調のいずれかがあることを特徴とする請求項16乃至請求項20のいずれかに記載のプログラム。