【実施例】
【0012】
図1〜
図4は、この発明の実施例を示すものである。
図1において、1は電気自動車(EV)やハイブリッド車両(PHEV)等の車両である。車両1は、バッテリ2を搭載している。バッテリ2は、インバータ3を介してモータ4に接続している。車両1は、バッテリ2の直流電源をインバータ3により交流に変換してモータ4に供給し、駆動輪5を駆動して走行する。
前記車両1は、バッテリ2を充電する車載充電システム6を搭載している。車載充電システム6は、バッテリ2に充電器7を接続している。充電器7は、車両1の充電口8に充電ケーブル9が接続され、外部電源10からの電力入力がある場合に、リレーを切り換え、バッテリ2ヘの充電を開始する。
車載充電システム6は、車両1に搭載されるバッテリ2及び充電器7に接続したEVコントローラ11と、彩色点灯機能を有するメータ装置12と、EVコントローラ11及びメータ装置12を含む車体制御装置13、キーレスエントリコントローラ14等のコントローラどうしを接続するCAN通信などのエリア通信手段15とを備えている。
前記EVコントローラ11は、バッテリ2の制御部16及び充電器7の制御部17にそれぞれ接続している。前記メータ装置12は、
図3に示すように、メータクラスタ18に複数の計器19を備えている。各計器19の盤面20には、数値を指し示す回動指針21や文字・数値等を現出させる表示部22が配置されている。前記車体制御装置13とキーレスエントリコントローラ14には、車両1のユーザが所持するスイッチ群23を備えた携帯端末(キースイッチ)24と送受信を行う通信手段25、通信手段26をそれぞれ備えている。
EVコントローラ11とメータ装置12と車体制御装置13とキーレスエントリコントローラ14とは、エリア通信手段15の通信ライン27を介して相互に接続され、バッテリ2の充電時には自動的に起動状態となる。
【0013】
前記EVコントローラ11は、充電を行う際の充電量を算出するとともに、この算出した充電量と、バッテリ2の残量(SOC)と、機種情報(満充電のバッテリ容量にも対応するパラメータ)に基づいて、満充電(充電完了時間)までの所要時間を定期的に算出する。EVコントローラ11は、算出した所要時間をエリア通信手段15の通信ライン27に出力する。また、EVコントローラ11は、バッテリ2の種類に応じて異なる複数の充電特性マップを予めマップ格納部28に格納して備えている。EVコントローラ11は、バッテリ2の機種情報に応じてマップ格納部28の充電特性マップの中から一つを選択決定し、この充電特性マップに基づいて所要時間を算出する。
EVコントローラ11は、充電器7の制御部17と接続している。充電器7は、前記のように、車両1の充電口8に充電ケーブル9が接続され、外部電源10からの電力入力がある場合に、バッテリ2ヘの充電を開始する。そこで、EVコントローラ11は、充電ケーブル9が接続され充電が行われているとみなせる間、バッテリ2の充電量や所要時間を定期的に算出し、エリア通信手段15によりメータ装置12に向けて出力する。
【0014】
前記メータ装置12は、彩色点灯機能としての加飾用有彩色照明29を備えている。加飾用有彩色照明29としては、複数の有彩色の点灯ないし無彩色(白色)の点灯が可能であり、高輝度で出力できるLED等が好ましい。この加飾用有彩色照明29は、
図3に示すように、計器19の回動指針21の軌跡に沿うように、盤面20の外縁周囲、あるいは、盤面20の外部上方周囲を照明するように、円弧形状に配置している。また、加飾用有彩色照明29は、充電時以外の時となる通常使用時には、車両1の燃費に合わせて照明をON/OFFや照明色を変化させている。
メータ装置12は、前記計器19の回動指針21や表示部22の制御を行うとともに、前記加飾用有彩色照明29の彩色点灯制御を行う制御部30を備えている。メータ装置12の制御部30は、バッテリ2の充電中に、EVコントローラ11から通信ライン27より充電完了までの所要時間(充電時間)を受信し、この受信した所要時間を予め設定した設定時間に基づいて、加飾用有彩色照明29の彩色点灯制御を行う。
メータ装置12は、設定時間によって切り替わる彩色を、充電中は、暖色系(赤色、アンバー、黄色等)として加飾用有彩色照明29を点灯、点滅させ、一方、充電完了時は、彩色を非暖色系(あお色、グリーン、ブルー等)として加飾用有彩色照明29を点灯、点滅させる。また、メータ装置12は、充電中における加飾用有彩色照明29の輝度設定値を、車両走行中における輝度設定値よりも高輝度に設定する。
なお、加飾用有彩色照明29は、バッテリ2の充電中は、表示部22に表示された終了時間をバックアップ照明しても良く、その場合、充電完了後は、時間表示を終了する。充電完了後の加飾用有彩色照明29による照明色は、非暖色系に変えて、無彩色の白色としても良い。
【0015】
また、前記メータ装置12は、
図3に示すように、人為操作するノブ31を備えている。ノブ30は、車両1の各操作部に所定の順序で所定の操作を行うことにより、メータ装置12の設定モードとなる。メータ装置12は、設定モードとなった場合、ノブ31を回動操作および押し込み操作することによって、設定値の切り換えと選択決定が可能となる。車両1のユーザは、処理ステップに従って入力操作を行うことにより、加飾用有彩色照明29による照明についての設定時間を任意に設定が可能となっている。
メータ装置12には、充電中の照明について、ノブ31によりユーザが任意に設定した複数の設定時間、この実施例では、
図4に示すように、第1設定時間T1、第2設定時間T2を記憶する設定時間記憶部32を備えている。T1、T2は、T1(例えば、2時間)>T2(例えば、1時間)とする。
メータ装置12は、充電中の現在時刻Tpから終了時刻Teまでの残りの所要時間Tsを定期的にT1、T2、Teと比較し、EVコントローラ11から今回受信した所要時間Tsが、T1以上で変化していない場合、T1未満かつT2以上で変化していない場合、T2未満かつTe超えで変化していない場合は、前回の点灯および表示の状態を保つようにしている。
つまり、今回受信した所要時間Tsが、T1(例えば、2時間)以上で変化していない場合はオレンジ色を点灯(低速点滅)し、T1(例えば、2時間)未満かつT2(例えば、1時間)以上で変化していない場合はオレンジ色を点灯(通常点滅)し、T2(例えば、1時間)未満かつTe超えで変化していない場合はオレンジ色を点灯(高速点滅)し、前回の点灯および表示の状態を保つようにしている。
一方、今回受信した所要時間Tsが、T1(例えば、2時間)以上からT1(例えば、2時間)未満かつT2(例えば、1時間)以上に変化していた場合はオレンジ色を点灯(低速点滅)からオレンジ色を点灯(通常点滅)に変更し、T1(例えば、2時間)未満かつT2(例えば、1時間)以上からT2(例えば、1時間)未満かつTe超えに変化していた場合はオレンジ色を点灯(通常点滅)からオレンジ色を点灯(高速点滅)に変更し、前回の点灯および表示の状態から異なる点灯および表示の状態に変更するようにしている。
また、所要時間Tsが0(終了時刻Te)となって充電が完了した場合は青色を点灯し、バッテリ2の充電量が変化せず充電が失敗した場合は赤色を点灯するようにしている。
【0016】
次に作用を説明する。
車載充電システム6は、
図2に示すように、充電器7による充電が開始されて加飾用有彩色照明29による充電状態の表示制御がスタートすると(A01)、EVコントローラ11が算出したバッテリ2の充電量や所要時間Tsをエリア通信手段15によりメータ装置12に送信する(A02)。
メータ装置12は、EVコントローラ11から入力する所要時間Tsに応じて、第1設定時間T1、第2設定時間T2により加飾用有彩色照明29の彩色の選択決定と点灯または点滅を行う(A03)。
加飾用有彩色照明29の点灯または点滅(A03)においては、
図4に示すように、所要時間Tsを第1設定時間T1、第2設定時間T2、終了時刻Teと比較し、加飾用有彩色照明29による表示を制御する。
所要時間TsがT1、T2、Teに対して変化していない場合は、加飾用有彩色照明28による前回の点灯および表示の状態{オレンジ色を点灯(低速点滅)、オレンジ色を点灯(通常点滅)、オレンジ色を点灯(高速点滅)}を保つようにする。
一方、所要時間TsがT1、T2、Teに対して変化している場合は、加飾用有彩色照明28による前回の点灯および表示の状態から異なる点灯および表示の状態に変更{オレンジ色を点灯(低速点滅)→オレンジ色を点灯(通常点滅)、オレンジ色を点灯(通常点滅)→オレンジ色を点灯(高速点滅)}させるようにする。
このとき、メータ装置12は、充電中における加飾用有彩色照明29の輝度設定値を、車両走行中における輝度設定値よりも高輝度に設定する。
前記加飾用有彩色照明29の点灯または点滅(A03)に続いて、所要時間Tsにより充電が完了していないかを判断する(A04)。
この判断(A04)がYESの場合には、所要時間Tsの送信(A02)に戻る。この判断(A04)がNOの場合は、加飾用有彩色照明29による充電状態の表示制御をエンドにする(A05)。
メータ装置12は、所要時間Tsが0(終了時刻Te)となって充電が完了した場合は青色を点灯し、バッテリ2の充電量が変化せず充電が失敗した場合は赤色を点灯するようにしている。
【0017】
このように、車載充電システム6は、EVコントローラ11が算出した充電完了までの所要時間をエリア通信手段15を介してメータ装置12に入力し、メータ装置12は受信した所要時間に応じて加飾用有彩色照明29の彩色の選択決定と加飾用有彩色照明29の点灯または点滅とにより充電状態を表示する。
これにより、車載充電システム6は、車外から確認し易い充電状態表示を、加飾用有彩色照明29を使って提供することができる。その結果、単なる加飾用有彩色照明29ではなくなり、表示装置としてこの照明の使用頻度を高めることができる。
このため、この車載充電システム6は、システム内の表示機能の共用性を確保しつつ車外からの視認性を向上して状態確認をし易くすることができ、充電状態を含む表示内容を充実させてユーザの利便性を高めることができ、充電表示機能の美観を向上させて車両1の商品性を高めることができる。また、この車載充電システム6は、高価なマルチディスプレイ等の表示部を備えていないメータ装置に利用できる。
さらに、メータ装置12は、充電中における加飾用有彩色照明29の輝度設定値を、車両走行中における輝度設定値よりも高輝度に設定することでき、日中の晴天下のように車内のメータ装置12の表示が車外から確認し辛い状況であっても、
覗き込んで注視する必要がなくなり、車外から確認し易くできる。
なお、この車載充電システム6は、加飾用有彩色照明29の彩色の選択決定と加飾用有彩色照明29の点灯または点滅とにより充電状態を表示したが、この彩色点灯と並行して、マルチディスプレイなどの表示部に受信した所要時間を任意に表示しても良い。
また、加飾用有彩色照明29は、車両1の走行モード(例えば、エコノミー/パワー/スポーツなど)をユーザが任意に選択できるように設定し、選択された走行モードに応じて照明色(有彩色)を異ならせるよう設定し、実際に選択された走行モードに応じて点灯、点滅を変化させて点灯することもできる。
【0018】
上述実施例の車載充電システム6は、充電器7による充電が開始されると、加飾用有彩色照明29の彩色の選択決定と加飾用有彩色照明29の点灯または点滅とにより充電状態を表示したが、
図5に示すように、車両1に搭載したキーレスエントリシステムのユーザが所持するスイッチ群23を備えた携帯端末(キースイッチ)24の操作に応答して、加飾用有彩色照明29を照明させるようシステムとすることも可能である。
携帯端末24の操作に応答して加飾用有彩色照明29により照明させる車載充電システム6は、メータ装置12とエリア通信手段15を介して通信するコントローラの少なくとも一つとして、キーレスエントリコントローラ14を備えている。キーレスエントリコントローラ14は、車両1のユーザが所持する携帯端末24との通信を行う通信手段26を備えている。
キーレスエントリコントローラ14は、携帯端末24から表示要求となるスイッチ群23の所定の操作に基づく表示要求無線信号を受信した場合に、メータ装置12に対してエリア通信手段15を介して表示要求信号を出力する。メータ装置12は、この表示要求信号を受信した場合、加飾用有彩色照明29を点灯または点滅により一時的に表示する。
この車載縦断システム6は、
図5に示すように、加飾用有彩色照明29による充電状態の表示制御がスタートすると(B01)、携帯端末24からの表示要求があるかを判断する(B02)。
この判断(B02)がNOの場合は、表示制御を終了する(B06)。この判断(B02)がYESの場合は、加飾用有彩色照明29の点灯制御を行い(B03)、点灯制御の開始から所定時間が経過したかを判断する(B04)。
この判断(B04)がNOの場合は、点灯制御(B03)に戻る。この判断(B04)がYESの場合は、加飾用有彩色照明28を消灯し(B05)、加飾用有彩色照明28の表示制御をエンドにする(A05)。
【0019】
このように、
図5に示す車載充電システム6は、携帯端末24が人為操作できるスイッチ群23を備え、携帯端末24のスイッチ群23の規定スイッチ操作、例えば、長押し、連続クリックなどの操作有無に応じて表示要求無線信号を出力する。キーレスエントリコントローラ14は、携帯端末24からスイッチ群23の操作に基づく表示要求無線信号を受信すると、CAN通信等のエリア通信手段15を介してメータ装置12に表示要求信号を送信する。メータ装置12は、一時点灯、消灯を切換えて充電状態の表示を行う。
この車載充電システム6は、バッテリ2の充電が完了して消灯している場合に、車両1に乗り込まなくても、携帯端末24の操作だけで充電状態を確認でき、車両1のユーザの利便性を向上できる。これにより、車載充電システム6は、常に、携帯端末24の操作によるオンデマンドで表示するように設定できる。また、夜間に高輝度で表示し続けることを止めることができ、暗い中で車内が照らされて浮き上がることをなくすことができ、また、僅かながら表示の為の消費電力を低減できる。さらに、正常に充電を完了して消灯しているメータ装置12に表示動作させることができるだけでなく、通常の充電中にはメータ装置12の照明を消灯しておいて、携帯端末24のスイッチ操作時のみ点灯させることも可能となる。
【0020】
なお、上述実施例の車載充電システム6は、加飾用有彩色照明29により充電状態を表示したが、
図6・
図7に示すように、メータ装置12を利用して充電状態を表示することもできる。
メータ装置12は、
図6に示すように、計器19の盤面20や回動指針21を照射する照明33を備えている。メータ装置12は、
図7に示すように、所要時間Tsを、ノブ31により設定した第1設定時間T1(例えば、2時間)、第2設定時間T2(例えば、1時間)、終了時刻Teと比較し、照明33による表示を制御する。
メータ装置12は、所要時間Tsを定期的にT1、T2、Teと比較し、今回の所要時間Tsが、T1以上で変化していない場合、T1未満かつT2以上で変化していない場合、T2未満かつTe超えで変化していない場合は、照明33による前回の点灯および表示の状態を保つようにしている。
つまり、今回の所要時間Tsが、T1(例えば、2時間)以上で変化していない場合は照明33を点灯し、T1(例えば、2時間)未満かつT2(例えば、1時間)以上で変化していない場合は照明33を点滅(低速点滅)し、T2(例えば、1時間)未満かつTe超えで変化していない場合は照明33を点滅(通常点滅)し、前回の点灯および表示の状態を保つようにする。
一方、今回の所要時間Tsが、T1(例えば、2時間)以上からT1(例えば、2時間)未満かつT2(例えば、1時間)以上に変化した場合は照明33を点灯から点滅(低速点滅)に変更し、T1(例えば、2時間)未満かつT2(例えば、1時間)以上からT2(例えば、1時間)未満かつTe超えに変化していた場合は照明33を点滅(低速点滅)から点滅(通常点滅)に変更し、前回の点灯および表示の状態から異なる点灯および表示の状態に変更するようにする。
また、所要時間Tsが0(終了時刻Te)となって充電が完了した場合は照明33を消灯し、バッテリ2の充電量が変化せず充電が失敗した場合は照明33を点滅(高速点滅)するようにする。
【0021】
これにより、この車載充電システム6は、車両1に搭載したメータ装置12に既設の照明33を用いて充電時間を表示することができるので、EVコントローラ11やメータ装置12の制御部30のプログラムの変更のみで実施することができるメリットがある。