(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空調システム機器は、前記空調熱源機により加熱または冷却された媒体の温度を利用して、前記外調機が取り込んだ外気を設定温度となるように調整する空調機であり、
前記空調システム機器運転計画作成部は、前記準備運転期間において前記空調機が予冷運転または予熱運転するように前記空調システム機器運転計画を作成する
ことを特徴とする請求項2に記載の運転管理装置。
将来の一定期間における一定間隔の時間帯ごとに空調熱源機が必要とする熱量である空調熱負荷予測値を空調熱負荷予測用データに基づいて予測する空調熱負荷予測ステップと、
前記将来の一定期間における一定間隔の時間帯ごとに空調システムを形成する空調システム機器の各々が消費する電力である空調システム機器消費電力予測値を空調システム機器消費電力予測用データに基づいて予測する空調システム機器消費電力予測ステップと、
前記将来の一定期間における一定間隔の時間帯ごとに発電装置が出力する電力である発電電力予測値を発電電力予測用データに基づいて予測する発電電力予測ステップと、
前記空調熱負荷予測値に基づいて前記将来の一定期間における一定間隔の時間帯ごとの前記空調熱源機の運転計画を示す空調熱源機運転計画を作成する空調熱源機運転計画作成ステップと、
前記空調システム機器消費電力予測値に基づいて前記将来の一定期間における一定間隔の時間帯ごとの前記空調システム機器ごとの運転計画を示す空調システム機器運転計画を作成する空調システム機器運転計画作成ステップと、
前記空調熱源機運転計画と、前記空調システム機器運転計画と、前記空調熱源機と前記空調システム機器以外の負荷についての負荷電力パターンデータに基づいて前記将来の一定期間における一定間隔の時間帯ごとの負荷全体の負荷電力である負荷電力予測値を予測する負荷電力予測ステップと、
前記負荷電力予測値と前記発電電力予測値に少なくとも基づいて、前記将来の一定期間における一定間隔の時間帯ごとの電源設備の運転計画を示す電源設備運転計画を作成する電源設備運転計画作成ステップとを備え、
前記空調システム機器運転計画作成ステップは、
買電電力を一定以下に低減させるために所定時間により前記空調システム機器を停止させる停止期間を設定するとともに、当該停止期間の直前において所定時間により前記空調システム機器を所定の出力で運転させる準備運転期間を設定するように前記空調システム機器運転計画を作成する、
ことを特徴とする運転管理方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<スマートグリッドシステムの構成>
図1は、本発明の実施形態に対応するスマートグリッドシステムの構成例を示している。スマートグリッドは、太陽光発電などの分散型電源と電力会社からの集中型電源とを組み合わせ、需要と供給のバランスをリアルタイムに調整することで効率的な電力供給を行うように構築される電力受給システムである。
【0016】
また、
図1に示すスマートグリッドシステムは、電力の需要家が所有する設備である。そのうえで、同図に示すスマートグリッドシステムの需要家は、電力会社から買電するにあたりデマンド契約を結んでいることを前提とする。つまり、定められた単位時間による計測期間(デマンド時限、例えば30分)あたりの設備等において使用される需要電力を計測し、計測した複数の需要電力のうち最も大きい最大需要電力に応じて契約電力(デマンド目標値)とこれに応じた料金が設定される。
【0017】
このため、需要家は、デマンド時限ごとの買電電力がデマンド目標値を越えないようにする必要がある。本実施形態のスマートグリッドシステムは、デマンド時限ごとの買電電力がデマンド目標値を越えないように負荷および電源設備を制御するデマンド制御機能を備える。
【0018】
図1に示すスマートグリッドシステムは、空調熱源設備1、作業設備2、電源設備3、運転管理装置4、負荷出力制御装置5および電源出力制御装置6を備える。これらの部位のうち、空調熱源設備1と作業設備2は、電源設備3により供給される電力の負荷となる。以降において、空調熱源設備1と作業設備2を合わせて負荷設備ともいうことにする。また、運転管理装置4、負荷出力制御装置5および電源出力制御装置6は、デマンド制御に対応する部位となる。
【0019】
空調熱源設備1は空調に関する設備である。この空調熱源設備1は、空調熱源機11、空調システム12、熱循環機構13を備える。
【0020】
空調熱源機11は、例えばヒートポンプやジェネリンクなどを含み、熱循環機構13のパイプ131に充填された媒体の温度を上昇させる加熱と、上記媒体の温度を低下させる冷却の動作を行う。
【0021】
空調システム12は、1以上の空調システム機器から成る。ここでは、空調システム12を成す空調システム機器として、外調機121と空調機122とパッケージ空調機123を備えることとしている。外調機121は、室内のCO2濃度を調整するために外気を取り込み、この取り込んだ外気の温度を設定温度および室内温度に対応させて調整する。空調機122は、空調熱源機11により加熱または冷却された媒体の温度を利用して、外調機121が取り込んだ外気を設定温度となるように調整する。パッケージ空調機123は、空調熱源機11により加熱または冷却された媒体の温度を利用することなく、独立して外調機121が取り込んだ外気が設定温度となるように調整する。
【0022】
熱循環機構13は、当該空調熱源設備1が備えられる施設の各部屋に熱を循環させるための機構であり、パイプ131、ポンプ132および蓄熱槽133を備える。パイプ131は、液体や気体による媒体が充填されたうえで、例えば施設の各部屋に張り巡らされる。ポンプ132は、上記パイプ131に充填された媒体を循環させるための圧力をパイプ131の内部に加えるためのものである。蓄熱槽133は、内部に媒体が充填されており、この媒体により熱量を蓄える機能を有する。
【0023】
例えば空調熱源機11は、パイプ131に充填されている媒体の温度を変化させる際に、この蓄熱槽133において蓄積されている熱量を電力に変換して利用することができる。このように蓄熱槽133の蓄積熱量を利用する場合。空調熱源機11は電源設備3からの電力供給を受けることなく、媒体の加熱または冷却を行うことができる。
【0024】
作業設備2は、施設内に備えられる各種の作業用機器から成る。ここでは、作業設備2における作業用機器の一例として、PC(Personal Computer)21、照明機器22およびOA(Office Automation)機器23が示されている。
【0025】
電源設備3は、発電電力、蓄電電力および買電電力などによる電力を、負荷である空調熱源設備1と作業設備2に電力を供給する。また、電源設備3は、供給電力に余裕がある状態においては、発電電力や買電電力を蓄積する。この図に示す電源設備3は、電源として、第1発電機31、第2発電機32、蓄電池33および買電電源34を備える。
【0026】
第1発電機31は、風力エネルギーや太陽光エネルギーなどの自然エネルギーを利用した発電機を想定している。この第1発電機31の発電により得られる電力は天候によって左右されるために一定ではない。
【0027】
第2発電機32は、例えばガスエンジン発電機やガスタービン発電機等の発電機を想定している。この第2発電機32による発電電力は天候によって左右されるものではなく、したがって調整が可能である。
【0028】
蓄電池33は、第1発電機31および第2発電機32によって発電された発電電力や買電電源34により供給される買電電力を蓄電する。
【0029】
買電電源34は、当該スマートグリッドシステムを使用する需要家が電力会社から購入する買電電力の電源である。なお、当該スマートグリッドシステムを使用する需要家は、この買電電源34を供給する電力会社と前述のデマンド契約を結んでいるものとする。
【0030】
運転管理装置4は、デマンド制御に対応して、買電電力がデマンド目標値を越えないように負荷設備(空調熱源設備1、作業設備2)と電源設備3の運転を管理する。このために、運転管理装置4は、空調熱源機11と、空調システム12と、電源設備3ごとに対応する運転計画を作成する。つまり、空調熱源機運転計画と、空調システム機器運転計画と、電源設備運転計画を作成する。
【0031】
なお、空調システム機器運転計画は、空調システム12全体に対応するのではなく、空調システム12において備えられる空調システム機器ごとに作成される。
図1の例であれば、空調システム機器運転計画は、外調機121と空調機122とパッケージ空調機123とのそれぞれに対応する空調システム機器運転計画が作成される。また、本実施形態において、これらの運転計画は、例えば1日単位という比較的長時間に対応するものとなる。また、運転計画は、それぞれ対象の機器をどのように運転させるのかを一定間隔の時間帯ごとに指定するものとなる。また、上記一定間隔の時間帯としてはデマンド時限を想定する。デマンド時限は、例えば30分程度である。
【0032】
負荷出力制御装置5は、上記運転管理装置4が作成した空調熱源機運転計画に基づいて一定間隔の時間帯ごとに空調熱源機11の出力を制御し、空調システム機器運転計画に基づいて一定間隔の時間帯ごとに空調システム機器(外調機121と空調機122とパッケージ空調機123)の出力を制御する。
【0033】
また、電源出力制御装置6は、上記運転管理装置4が作成した空調熱源機運転計画に基づいて、一定間隔の時間帯ごとに、電力について、負荷設備(空調熱源設備1、作業設備2)に対して第1発電機31、第2発電機32、蓄電池33および買電電源34の各々の出力電力を制御する。
【0034】
本実施形態では、このように、運転計画にしたがって、空調熱源機11と空調システム12(外調機121と空調機122とパッケージ空調機123)の出力を制御するとともに、電源設備3における電源の各々から出力させる電力を制御する。これにより、買電電源34から出力させる電力(買電電力)がデマンド目標値を越えないようにするデマンド制御を実現している。
【0035】
<運転管理装置の構成>
図2は、運転管理装置4の構成例を示している。この図に示す運転管理装置4は、空調熱負荷予測部401、第2記憶部402、空調システム機器消費電力予測部403、第2記憶部404、発電電力予測部405、第3記憶部406、運転計画作成部407、通信部408、リアルタイムDR(デマンドレスポンス)指示部409およびデータ管理部410を備える。
【0036】
空調熱負荷予測部401は、将来の一定期間(例えば1日(24時間))における一定間隔の時間帯(例えばデマンド時限)ごとに空調熱源機が必要とする熱量である空調熱負荷予測値を空調熱負荷予測用データに基づいて予測する。なお、この予測にあたっては、一例として、特開2006−78009号公報に記載されたANN(Artificial Neural Network)による空調負荷予測の手法を適用することができる。
【0037】
第1記憶部402は、上記空調熱負荷予測用データを記憶する。具体的に、第1記憶部402は、空調熱負荷予測用データとして、天気予報データ421、負荷電力パターンデータ422および電力実測データ423を記憶する。
【0038】
天気予報データ421は、一日の所定時刻ごとに更新される天気予報情報を、例えばその更新時刻に対応付けたデータである。この更新時刻ごとの天気予報情報には、その更新時刻において予想された天候、気温、湿度、降水確率、日照時間などが含まれる。
【0039】
負荷電力パターンデータ422は、一日における負荷設備(空調熱源設備1と作業設備2)における機器ごとの消費電力についての時間経過に応じたパターンを示す。
【0040】
例えば、空調熱源設備1における機器に関すれば、同じ大きさの部屋に設置された空調システム12であっても、その部屋に入る人数、空調機の数、日当たり等によって、一日の室内の温度変化が異なる。例えば、一日中会議が行われている場合、人の出入りが多いため、室内の温度が一日中変化し、空調熱源設備の負荷電力は増大する。一方、一日中会議等の予定がない場合、室内の温度を快適な温度に維持する必要性が少なく、夏であれば快適に過せる室内温度(快適温度)よりも高くてもよく、冬であれば快適温度よりも低くてもよく、また停止してもよい。
【0041】
空調熱源設備1における機器ごとの負荷電力パターンデータ422は、上記のような使用状況の変化に応じて、1日ごとの時間経過にしたがった運転設定や設定温度をパターン化したものである。
【0042】
また、作業設備2に関しては、一日のうちで多くの人が活動する時間帯は9時から20時頃であり、この間において作業設備2における機器の多くが稼働される。また、例えば24時から5時頃は多くの人が就寝しているので、作業設備2において稼働している機器は少ない。したがって、9時から20時頃のほうが、24時から5時頃の時間帯に比べて消費電力が多くなる。また、休日と平日を比較すれば、平日のほうが作業設備2における機器が多く駆動されて消費電力は多くなる。このように、作業設備2における機器の消費電力は、人間の行動パターンに依存して、一日ごと、または一日における時間帯ごとに変化しやすい。
【0043】
作業設備2における機器ごとの負荷電力パターンデータ422は、このような1日ごとの時間経過にしたがった作業設備2の消費電力の変動を作業設備機器の数量や使用者の状況に応じてパターン化したデータである。
【0044】
電力実測データ423は、負荷設備(空調熱源設備1と作業設備2)が消費した消費電力の実測結果と、電源設備3が上記負荷設備に供給した供給電力の実測結果を示す。この実測結果は、1日における一定間隔の時間帯ごとの上記消費電力と供給電力の実測値を含む。
【0045】
空調システム機器消費電力予測部403は、将来の一定期間における一定間隔の時間帯ごとに空調システムを形成する空調システム機器の各々が消費する電力である空調システム機器消費電力予測値を空調システム機器消費電力予測用データに基づいて予測する。
図1との対応では、空調システム機器消費電力予測部403は、空調システム機器消費電力予測値として、外調機121の消費電力予測値と、空調機122の消費電力予測値と、パッケージ空調機123の消費電力予測値との3つを予測する。なお、この予測にあたっても、一例として、特開2006−78009号公報に記載されたANN(Artificial Neural Network)による空調負荷予測の手法を適用することができる。
【0046】
第2記憶部404は、上記空調システム機器消費電力予測用データを記憶する。具体的に、第2記憶部404は、空調システム機器消費電力予測用データとして、環境実測データ441、設定条件データ442および天気予報データ443を記憶する。
【0047】
環境実測データ441は、空調システム機器の負荷電力と相関を有するパラメータの実測データを含んで形成される。また、
図1との対応では、環境実測データ441は、空調システム機器として、外調機121の実測データと、空調機122の実測データと、パッケージ空調機123の実測データとを含む。
【0048】
外調機121の実測データに含まれる実測値の具体例として、本実施形態では以下のものを想定する。つまり、予め定めた過去の一定期間における時間帯ごとの内外気の二酸化炭素濃度の実測値、過去の一定期間における時間帯ごとの内外気の温度の実測値、過去の一定期間における時間帯ごとの内外気の湿度の実測値および過去の一定期間における時間帯ごとの在館人数の実測値などを想定する。
【0049】
また、空調機122の実測データに含まれる実測値の具体例として以下のものを想定する。つまり、予め定めた過去の一定期間における時間帯ごとの内外気の二酸化炭素濃度の実測値、過去の一定期間における時間帯ごとの内外気の温度の実測値、過去の一定期間における時間帯ごとの内外気の湿度の実測値、過去の一定期間における時間帯ごとの在館人数の実測値および過去の一定期間における時間帯ごとの空調熱負荷の実測値などを想定する。
【0050】
また、パッケージ空調機123の実測データに含まれる実測値の具体例として以下のものを想定する。つまり、予め定めた過去の一定期間における時間帯ごとの内外気の二酸化炭素濃度の実測値、過去の一定期間における時間帯ごとの内外気の温度の実測値、過去の一定期間における時間帯ごとの内外気の湿度の実測値、過去の一定期間における時間帯ごとの在館人数の実測値および過去の一定期間における時間帯ごとの空調熱負荷の実測値などを想定する。
【0051】
設定条件データ442は、外調機121と空調機122とパッケージ空調機123に設定すべき条件を示す。このような条件としては、具体的に、内気のCO2濃度や設定温度などを挙げることができる。天気予報データ443については、前述の天気予報データ421と同様となる。
【0052】
発電電力予測部405は、将来の一定期間における一定間隔の時間帯ごとに発電装置が出力する電力である発電電力予測値を発電電力予測用データに基づいて予測する。発電電力予測部405は、発電装置ごとの発電電力予測値を予測するものとする。なお、ここでの発電装置は、
図1との対応では電源設備3における第1発電機31、第2発電機32および蓄電池33となる。したがって、発電電力予測部405は、第1発電機31、第2発電機32および蓄電池33ごとの発電電力予測値を予測する。
【0053】
第3記憶部406は、上記発電電力予測用データを記憶する。具体的に、第3記憶部406は、発電電力予測用データとして、電源関連データ461、蓄電池関連データ462および天気予報データ463を記憶する。
【0054】
電源関連データ461は、電源設備3における蓄電池33以外の電源(第1発電機31、第2発電機32および買電電源34)ごとの出力の最大値および最小値などを示す情報である。蓄電池関連データ462は、蓄電池33の充放電電力の最大値と最小値や、蓄電可能容量などの所定の規格を示す情報を記憶する。天気予報データ463については前述の天気予報データ421と同様となる。
【0055】
運転計画作成部407は、空調熱負荷予測部401により予測された空調熱負荷予測値と、空調システム機器消費電力予測部403が予測した空調システム機器消費電力予測値と、発電電力予測部405が予測した発電電力予測値と、第1記憶部402に記憶される負荷電力パターンデータ422とに基づいて運転計画を作成する。
【0056】
運転計画作成部407は、上記運転計画として、前述のように、空調熱源機運転計画と空調システム機器運転計画と電源設備運転計画を作成する。なお、運転計画作成部407の構成については後述する。
【0057】
通信部408は、運転計画作成部407により作成された運転計画を負荷出力制御装置5と電源出力制御装置6に対して出力する。具体的に、通信部408は、空調熱源機運転計画と空調システム機器運転計画を負荷出力制御装置5に対して出力し、電源設備運転計画を電源出力制御装置6に対して出力する。
【0058】
負荷出力制御装置5は、入力した空調熱源機運転計画にしたがって、空調熱源機11の運転を制御する。また、負荷出力制御装置5は、入力した空調システム機器運転計画にしたがって外調機121と空調機122とパッケージ空調機123のそれぞれの運転を制御する。電源出力制御装置6は、入力した電源設備運転計画にしたがって、電源設備3における電源(第1発電機31、第2発電機32、蓄電池33および買電電源34)の各々から負荷設備に供給する電力を制御する。
【0059】
リアルタイムDR指示部409は、空調システム機器運転計画作成部472により作成された運転計画にしたがったデマンド制御に代えてリアルタイムDRによるデマンド制御を実行させる。このために、リアルタイムDR指示部409は、現在の負荷設備(空調熱源設備1と作業設備2)の消費電力を監視している。
【0060】
そして、この消費電力がデマンド目標値を越えると、リアルタイムDR指示部409は、現在のデマンド時限から所定回数(例えば2回程度)だけ先の複数のデマンド時限に対応する平均消費電力を予測する。そして、リアルタイムDR指示部409は、この予測結果にしたがってリアルタイムDR制御の内容を決定する。つまり、リアルタイムDR指示部409は、低減すべき消費電力量と、この消費電力低減のために空調熱源設備1においてどの機器を対象としてどのように運転すべきかを決定する。そして、リアルタイムDR指示部409は、この決定結果に応じた指示を負荷出力制御装置5に対して行う。これにより、負荷出力制御装置5に対してリアルタイムDRによる制御の指示が行われたことになる。負荷出力制御装置5はこの指示に応じて対象の機器の運転状態を制御する。
【0061】
データ管理部410は、第1記憶部402、第2記憶部404および第3記憶部406に記憶されるデータの管理を行う。つまり、第1記憶部402、第2記憶部404および第3記憶部406に記憶すべき各データの収集と更新を実行する。
【0062】
なお、
図2に示す運転管理装置4において、空調熱負荷予測部401、空調システム機器消費電力予測部403、発電電力予測部405、運転計画作成部407、リアルタイムDR指示部409、データ管理部410の各部位は、コンピュータ装置におけるCPUが
プログラムを実行することにより実現できる。また、第1記憶部402、第2記憶部404および第3記憶部406のハードウェアとしては、例えばHDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置を採用することができる。
【0063】
<運転計画作成部の構成>
図3は、運転計画作成部407の構成例を示している。この図に示す運転計画作成部407は、空調熱源機運転計画作成部471、空調システム機器運転計画作成部472、負荷電力予測部473および電源設備運転計画作成部474を備える。
【0064】
空調熱源機運転計画作成部471は、空調熱負荷予測部401により予測された空調熱負荷予測値に基づいて空調熱源機運転計画を作成する。具体的に、空調熱負荷予測値は1日における一定間隔の時間帯(デマンド時限)ごとの空調熱負荷を示す。そこで、空調熱源機運転計画作成部471は、上記一定間隔の時間帯ごとに、空調熱負荷と加算熱量(空調熱源機11が製造する製造熱量と蓄熱槽133が放熱する放熱量の和)が等しくなるように空調熱源機11の運転状態を決定する。空調熱源機運転計画作成部471は、このように決定された一定間隔の時間帯ごとの空調熱源機11の運転状態を空調熱源機運転計画として作成する。
【0065】
空調システム機器運転計画作成部472は、空調システム機器消費電力予測部403により予測された空調システム機器消費電力予測値に基づいて空調システム機器運転計画を作成する。ここで、空調システム機器運転計画を作成するにあたっては、以下のことを条件とする。
【0066】
まず、空調システム機器運転計画を作成するにあたっては、予め定めた所定時間により対応の空調システム機器を停止させる停止期間を設定することができる。この停止状態における空調システム機器の消費電力は「0W」であるものとする。
【0067】
ただし、上記停止期間においても快適性が失われないようにするため、内気温や内湿度などの所定の条件が許容値を満足できるようにする必要がある。そこで、空調システム機器停止期間に直前において、予め定めた所定時間により空調システム機器を所定の出力で運転させる準備運転期間を必ず設定することを条件とする。
【0068】
そして、外調機121については、準備運転期間において全開運転を行わせるものとする。この全開運転の際には定格消費電力であるものとする。また、空調機122については、準備運転期間において予冷運転または予熱運転を行わせるものとする。予冷運転または予熱運転の際の設定温度などは、例えば停止期間における温度が許容範囲内となることを考慮して決定される。また、この予冷運転または予熱運転の際にも定格消費電力であるものとする。
【0069】
空調システム機器消費電力予測値は、対応の空調システム機器についての一日における一定間隔の時間帯ごとの消費電力を示す。そこで、空調システム機器運転計画作成部472は、消費電力がピークであるとして判定した時刻を基準として停止期間とその直前の準備運転期間を設定する。空調システム機器運転計画作成部472は、このように外調機121と空調機122とパッケージ空調機123ごとの空調システム機器運転計画を作成する。
【0070】
なお、外調機121の空調システム機器運転計画と空調機122の空調システム機器運転計画とパッケージ空調機123の空調システム機器運転計画は、それぞれ個別に作成される。したがって、外調機121の停止期間および準備運転期間と、空調機122の停止期間および準備運転期間と、パッケージ空調機123の停止期間および準備運転期間は、特に同期することなく個別のタイミングが設定される。
【0071】
負荷電力予測部473は、空調熱源機運転計画と、空調システム機器運転計画と、第1記憶部402に記憶される負荷電力パターンデータ422に基づいて負荷電力予測値を予測する。負荷電力予測値は、一日における一定間隔の時間帯ごとの負荷設備(空調熱源設備1と作業設備2)の負荷電力(消費電力)の予測値である。
【0072】
このために、負荷電力予測部473は、空調熱源機運転計画に基づいて一日における一定間隔の時間帯ごとの空調熱源機11の負荷電力(消費電力)を求める。また、負荷電力予測部473は、空調システム機器ごとの空調システム機器運転計画に基づいて、上記空調システム機器ごとに、一日における一定間隔の時間帯ごとの負荷電力を求める。つまり、負荷電力予測部473は、外調機121に対応する空調システム機器運転計画に基づいて一日における一定間隔の時間帯ごとの外調機121の負荷電力を求める。また、負荷電力予測部473は、空調機122に対応する空調システム機器運転計画に基づいて、一日における一定間隔の時間帯ごとの空調機122の負荷電力を求める。また、負荷電力予測部473は、パッケージ空調機123に対応する空調システム機器運転計画に基づいて、一日における一定間隔の時間帯ごとのパッケージ空調機123の負荷電力を求める。
【0073】
そして、負荷電力予測部473は、上記のように求めた空調熱源機11の負荷電力と、空調システム機器(外調機121、空調機122、パッケージ空調機123)ごとの負荷電力と、負荷電力パターンデータ422が示す作業設備2の負荷電力を上記一定間隔の時間帯ごとに加算する。このように求められる負荷全体(負荷設備)の負荷電力が負荷電力予測値となる。
【0074】
電源設備運転計画作成部474は、上記負荷電力予測部473が予測した負荷電力予測値と、発電電力予測部405が予測した発電電力予測値に基づいて電源設備運転計画を作成する。つまり、電源設備運転計画作成部474は、一日における一定間隔の時間帯ごとに負荷設備(空調熱源設備1と作業設備2)に電力を供給するにあたり、第1発電機31、第2発電機32、蓄電池33および買電電源34の各々から出力させる電力量の割り振りの内訳を決定する。
【0075】
具体的に、電源設備運転計画作成部474は、まず、買電電源34から出力させる買電電力について、その最大値が各時間帯でデマンド目標値以下となるように負荷電力予測値へ割り振りを行う。次に、時間帯ごとの負荷電力予測値においてデマンド目標値を越える分の電力を、第1発電機31、第2発電機32および蓄電池33の少なくともいずれか1つから出力させる電力により補填するように割り振りを行う。このような電力の割り振り結果に応じて1日における一定間隔の時間帯ごとにおける各電源(第1発電機31、第2発電機32、蓄電池33および買電電源34)の運転を指定した内容が電源設備運転計画となる。
【0076】
なお、空調熱源機運転計画作成部471、空調システム機器運転計画作成部472および電源設備運転計画作成部474が、それぞれ、空調熱源機運転計画、空調システム機器運転計画および電源設備運転計画を作成するためのアルゴリズムとしては、例えば数理計画法を挙げることができる。
【0077】
一例として、電源設備運転計画作成部474が数理計画法により電源設備運転計画を作成する場合には、パラメータ(制約条件)として以下のものを利用する。
【0078】
つまり、1日における一定間隔ごとの時間帯(デマンド時限)の数、第1発電機31の数、第2発電機32の数、蓄電池33の数、空調熱源機11の数、空調システム機器(外調機121、空調機122、パッケージ空調機123)の数および蓄熱槽133の数を利用する。
【0079】
さらに、第1発電機31の出力電力、第2発電機32の出力電力および蓄電池33の出力電力(放電は正の値により示され、蓄電は負の値により示される)を利用する。
【0080】
さらに、空調熱源機11の製造熱量、蓄熱槽133の放電熱量、第1発電機31の状態(例えば運転、停止のいずれかであるかを示す)、空調システム機器(外調機121、空調機122、パッケージ空調機123)の状態、蓄電池33の状態および空調熱源機11の状態を利用する。さらに、買電電源34から出力される買電電力を利用する。さらに、負荷電力予測部473により予測された負荷電力予測値および空調熱負荷予測部401により予測された空調熱負荷予測値を利用する。
【0081】
さらに、第1発電機31の出力電力の最大値と最小値、第2発電機32の出力電圧の最大値と最小値、蓄電池33の充放電電力の最大値と最小値、空調熱源機11の製造熱量の最大値と最小値、蓄電池33の蓄電電力の残量および蓄熱槽133の蓄熱量の残量を利用する。なお、運転計画作成部407は、これらのパラメータのうち、
図2の第1記憶部402、第2記憶部404および第3記憶部406に記憶されているデータを利用可能なものについては、これを適宜読み出して利用すればよい。
【0082】
空調熱源機運転計画作成部471が作成した空調熱源機運転計画は、通信部408により負荷出力制御装置5に対して出力される。また、空調システム機器運転計画作成部472が作成した空調システム機器運転計画も負荷出力制御装置5に対して出力される。また、電源設備運転計画作成部474が作成した電源設備運転計画は、電源出力制御装置6に対して出力される。
【0083】
<本実施形態におけるデマンド制御例>
図4を参照して、本実施形態の運転管理装置4によるデマンド制御の具体例について説明する。
図4(a)は、外調機消費電力P1を示している。外調機消費電力P1は、空調システム機器消費電力予測部403により予測された外調機121の空調システム機器消費電力予測値が示す時間帯ごとの消費電力(負荷電力)である。
【0084】
図4(b)は、空調機消費電力P2を示している。この空調機消費電力P2は、空調システム機器消費電力予測部403により予測された空調機122の空調システム機器消費電力予測値が示す時間帯ごとの消費電力(負荷電力)である。
【0085】
図5は、上記
図4(a)と
図4(b)に示した外調機消費電力P1と空調機消費電力P2が予測された場合において、空調熱源機運転計画と電源設備運転計画のみにしたがってデマンド制御を行ったときの負荷設備(空調熱源設備1および作業設備2)全体の消費電力(負荷設備消費電力P4)を示している。
【0086】
この
図5に示す消費電力は、外調機消費電力P1(
図4(a))と、空調機消費電力P2(
図4(b))と、空調システム除外消費電力P3とを加算したものである。空調システム除外消費電力P3は、負荷設備(空調熱源設備1および作業設備2)における外調機121と空調機122とパッケージ空調機123以外のすべての機器の消費電力である。また、この空調システム除外消費電力P3に含まれる空調熱源機11の消費電力は、空調熱源機運転計画にしたがって運転した場合のものとなる。
【0087】
図5に示される閾値thは、デマンド目標値に対応する。つまり、
図5に示される負荷設備消費電力P4が閾値th以下であるとき、買電電源34の出力電力はデマンド目標値以下である。これに対して、負荷設備消費電力P4が閾値thを越えているとき、買電電源34の出力電力もデマンド目標値を越えることになる。
【0088】
図5では、10時から12時の期間において負荷設備消費電力P4が閾値thを越えている状態が示されている。
図1に示す負荷設備においては、空調熱源機11の消費電力が他の機器と比較して相当に大きい傾向であることを想定している。したがって、空調熱源機運転計画と電源設備運転計画のみにしたがったデマンド制御によっても一定以上の効果を得ることはできる。
【0089】
しかし、例えば外気や室内環境の変化により或る機器の消費電力が一定以上に増加したような場合には、空調熱源機運転計画と電源設備運転計画のみによるデマンド制御では、上記消費電力の増加を吸収できなくなる場合がある。この結果、
図5における10時から12時の期間として示すように、負荷設備消費電力P4が閾値thを越えるという状態が発生する。
【0090】
上記
図5の10時から12時の期間において負荷設備消費電力P4が閾値thを越えている状態は、リアルタイムDR指示部409によるリアルタイムデマンド制御によって抑制することが可能である。しかし、リアルタイムDR指示部409によるリアルタイムデマンド制御は、当初の運転計画とは無関係に買電電源34から負荷設備に供給する電力の上昇をデマンド目標値以下に引き下げるための制御である。この結果、当初の運転計画とは異なるタイミングで、空調熱源機11や空調システム12における空調システム機器などの運転が停止されることになる。このために、室温などを適切な範囲で調整することができなくなり、例えば室内における快適性が損なわれる可能性が高くなる。つまり、デマンド制御においては、予め作成した運転計画のもとでできる限りデマンド目標値が満足されるように運転を行い、リアルタイムDR指示部409を動作させないようにすることが好ましい。
【0091】
なお、空調熱源機運転計画と電源設備運転計画のみによるデマンド制御を行うことを前提として以下のようにデマンド制御を行う構成も考えられる。つまり、空調熱源機運転計画と電源設備運転計画の結果から、一日において買電電源34から負荷設備に供給する買電電力のピークを予測する。次に、この予測された買電電力のピークのうちで、一定時間以上にわたってデマンド目標値を越えるピークが存在するか否かについて判定する。そして、このようなピークが存在することが判定された場合、このピークがデマンド目標値以下となるように空調熱源機運転計画と電源設備運転計画を変更するというものである。しかし、上記の構成では、消費電力がピークとなる時間帯がシフトするという現象が生じる場合のあることが確認されており、確実に消費電力を低下させることが難しい
【0092】
そこで、本実施形態においては、これまでに説明してきたように運転計画に空調システム機器も含めることとしたものである。つまり、空調熱源機運転計画と電源設備運転計画と空調システム機器運転計画によるデマンド制御を実行するものである。
【0093】
図6は、本実施形態のデマンド制御として、空調熱源機運転計画と電源設備運転計画と空調システム機器運転計画にしたがった本実施形態のデマンド制御を行った場合の負荷設備消費電力P14を示している。この図に示す外調機消費電力P11は、外調機121の空調システム機器運転計画にしたがって外調機121を運転させた場合の消費電力であり、空調機消費電力P12は、空調機122の空調システム機器運転計画にしたがって空調機122を運転させた場合の消費電力である。さらに、空調システム除外消費電力P13に含まれる空調熱源機11の消費電力も、空調熱源機運転計画にしたがって空調熱源機11を運転させた場合の消費電力である。
【0094】
この
図6においては、空調システム機器運転計画により以下のように外調機121を運転させた例が示されている。つまり、10時から12時の期間においては外調機121を停止させる停止期間T1が設定されている。このときの外調機121の消費電力は「0W」である。また、この停止期間T1の直前における6時から10時までの期間においては、外調機121を全開運転させる準備運転期間T2が設定されている。このときの外調機121の消費電力は定格電力Prである。
【0095】
そして、上記のように外調機121が空調システム機器運転計画にしたがって運転される結果、同じ
図6に示すように、負荷設備消費電力P14は一日におけるいずれの時間帯においても閾値th以下となるように制御される。つまり、一日における全時間にわたって買電電力がデマンド目標値以下となるように制御される。
【0096】
このように、本実施形態においては、空調熱源機運転計画と電源設備運転計画に加えて、さらに空調システム機器を運転計画に含めることで、例えば一日(24時間)という長時間に対応する運転計画によりながら、買電電力をデマンド目標値以下とするためのデマンド制御をより確実に行うことが可能とされている。
【0097】
<処理手順>
図7のフローチャートは、運転管理装置4が実行する処理手順例を示している。運転管理装置4においてデータ管理部410は、第1記憶部402、第2記憶部404および第3記憶部406に記憶すべき各データを収集する。そして、データ管理部410は、収集したデータを第1記憶部402、第2記憶部404および第3記憶部406を記憶させる(ステップS101)。この際、以前のデータが既に記憶されている場合、データ管理部410は、今回収集したデータにより以前のデータを更新する。
【0098】
次に、空調熱負荷予測部401は、第1記憶部402に記憶される空調熱負荷予測用データ(天気予報データ421、負荷電力パターンデータ422および電力実測データ423)を利用して空調熱負荷予測値を予測する(ステップS102)。
【0099】
また、空調システム機器消費電力予測部403は、第2記憶部404に記憶される空調システム機器消費電力予測用データ(環境実測データ441、設定条件データ442および天気予報データ443)を利用して空調システム機器消費電力予測値を予測する(ステップS103)。
【0100】
また、発電電力予測部405は、第3記憶部406に記憶される発電電力予測用データ(電源関連データ461、蓄電池関連データ462および天気予報データ463)を利用して発電電力予測値を予測する(ステップS104)。
【0101】
なお、上記ステップS102、S103およびS104の処理の順序は変更されてかまわない。また、これらステップS102、S103およびS104の処理は同時並行で実行されてもかまわない。
【0102】
次に、運転計画作成部407における空調熱源機運転計画作成部471は、上記ステップS102により予測された空調熱負荷予測値を利用して空調熱源機運転計画を作成する(ステップS105)。そして、空調熱源機運転計画作成部471は、作成した空調熱源機運転計画を負荷出力制御装置5に対して出力する(ステップS106)。
【0103】
また、空調システム機器運転計画作成部472は、ステップS103により予測された空調システム機器消費電力予測値に基づいて空調システム機器運転計画を作成する(ステップS107)。そして、空調システム機器運転計画作成部472は、作成した空調システム機器運転計画を負荷出力制御装置5に対して出力する(ステップS108)。
【0104】
なお、上記ステップS105およびS106による空調熱源機運転計画作成および出力のための処理と、ステップS107およびS108による空調システム機器運転計画作成および出力のための処理は、互いの順序が逆となってもよいし同時並行で実行されてもよい。
【0105】
次に、負荷電力予測部473は、負荷電力予測値を予測する(ステップS109)。このために、負荷電力予測部473は、上記ステップS105により作成された空調熱源機運転計画と、上記ステップS107により作成された空調システム機器運転計画と、第1記憶部402に記憶される負荷電力パターンデータ422を入力する。そして、負荷電力予測部473は、これらの入力した情報を利用して前述のように負荷電力予測値を求める。
【0106】
次に、電源設備運転計画作成部474は、上記ステップS109により予測された負荷電力予測値と、ステップS104により予測された発電電力予測値に基づいて電源設備運転計画を作成する(ステップS110)。そして、電源設備運転計画作成部474は、上記のように作成した電源設備運転計画を電源出力制御装置6に出力する(ステップS111)。
【0107】
図8のフローチャートは、運転管理装置4におけるリアルタイムDR指示部409が実行する処理手順例を示している。リアルタイムDR指示部409は、現在の買電電力の実測値を監視しており、この買電電力の実測値がデマンド目標値を越えているか否かについて判定する(ステップS201)。
【0108】
買電電力の実測値がデマンド目標値を越えていると判定した場合(ステップS201−YES)、リアルタイムDR指示部409は、前述のようにリアルタイムDR制御の内容を決定する(ステップS202)。つまり、リアルタイムDR指示部409は、消費電力の削減量と、消費電力削減のために負荷設備における機器をどのように運転すべきかを決定する。そして、リアルタイムDR指示部409は、上記ステップS202により決定した内容によるリアルタイムDR制御が実行されるように負荷出力制御装置5に対する指示を行って(ステップS203)、ステップS201に戻る。
【0109】
一方、買電電力の実測値がデマンド目標値を越えていないと判定した場合(ステップS201−NO)、リアルタイムDR指示部409は、これまでにおいてリアルタイムDR制御が実行されていたのであれば、このリアルタイムDR制御の停止を負荷出力制御装置5に対して指示する(ステップS204)。そのうえで、ステップS201に戻る。
【0110】
負荷出力制御装置5は、上記リアルタイムDR制御の停止の指示に応じて、空調熱源機運転計画、空調システム機器運転計画および電源設備運転計画に基づいた負荷設備の運転制御を実行する。
【0111】
なお、これまでの実施形態において、空調システム12に含まれる空調システム機器の種類について、外調機121と空調機122とパッケージ空調機123の3種類としている。そして、これら外調機121と空調機122とパッケージ空調機123の3つを空調システム機器運転計画による運転対象としている。しかし、例えば外調機121と空調機122とパッケージ空調機123のいずれか1つまたは2つを空調システム機器運転計画による運転対象としてもよい。
【0112】
また、
図2における各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより運転管理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0113】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。