(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
上記生産設備では、台車列を形成する状態で移動ラインに沿って並ぶ複数の移動台車が移動装置により組立箇所を通る移動ラインに沿って移動され、装置の組立作業を行う作業者が、組立箇所に順次移動してくる移動台車に対して、その移動台車上に組立対象の装置を組み立てるようにして装置が生産される。
このような生産設備では、台車列を移動させる移動装置としてチェーンコンベヤやローラコンベヤを移動ラインに沿って配設し、これらのコンベヤにて複数の移動台車を台車列を形成した状態で移動させるコンベヤ搬送方式が採用されることがある。
しかしながらこのようなコンベヤ搬送方式であると、移動台車を所望の移動状態で例えば、一定の移動速度で安定して移動させることができるものの、移動ラインの全体に亘ってコンベヤを配設することになるため設備構成が複雑になる。
このような問題に対して従来から、設備の簡素化を図るべく、移動装置が、台車移動方向で台車列の下流端部に位置する台車を被牽引台車として移動させるように構成されたものがある(特許文献1の
図2等参照。)。
特許文献1の生産設備では、台車列の下流側端部に設けられた移動装置(搬送手段20)が備える係合部(牽引部材24)が、台車が備える被係合部(フック1d)に係合した状態で台車移動方向に移動することで、台車列の下流端部に位置する台車が移動される。これにより、当該下流端部の台車に連結されている上流側の複数の台車が台車移動方向に移動される。そして、移動装置の係合部は台車列の下流端部で巡回移動するように構成されており、係合部が循環移動するに伴って係合部が係合する被牽引台車が上流側の台車に順次切り換わることで、台車列を連続して移動させることができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の生産設備では、係合部が循環移動するに伴って係合部が係合する被牽引台車が上流側の移動台車に順次切り換わるため、係合部が移動台車に対して係合して牽引力が作用する状態が断続的に発生することになる。特許文献1のものでは、移動装置の係合部が巡回移動する範囲は、台車列の下流端部の移動台車の1台が存在する範囲となっているため、係合部が移動台車に係合した状態で牽引する距離もその範囲に制限されることになり、移動装置により移動台車を長く継続して牽引することができない。
このように、特許文献1のものでは、被牽引台車が牽引される範囲が下流側端部に制限されており、被牽引台車が上流側から移動してくる次の移動台車に頻繁に切り換わる度に台車列は加速と減速とを繰り返すことになり、係合対象の移動台車が頻繁に切り換わることで加減速や衝撃が頻繁に発生し、組立箇所における作業に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
本発明は上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、簡素な構成により台車列を極力円滑に移動させることができる生産設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る生産設備の第1特徴構成は、装置の組立作業を行う組立箇所を通る移動ラインに沿って複数台の移動台車を設定間隔で並べた台車列を形成する状態で移動させる移動装置が設けられ、前記移動台車が、組立対象の装置を支持した状態で前記移動ラインに沿って移動するように構成されている生産設備において、
前記移動装置が、台車移動方向に沿って移動自在に設けられた係合部と、前記係合部を移動させる移動駆動部と、を備え、前記複数の移動台車の夫々が、前記係合部と係合する被係合部を備え、且つ、台車移動方向で一方側に隣接する移動台車が備える被連結部に連結自在な連結部を、連結状態において隣接する移動台車を押し引き操作可能な状態で備え、前記移動ライン上に、前記係合部を前記移動台車における前記被係合部に係合させる牽引開始位置と、前記台車列を形成する状態の複数の移動台車のうち前記牽引開始位置で前記係合部が係合した前記移動台車を被牽引台車としてこの被牽引台車の下流側に隣接する移動台車よりさらに下流側の位置であって前記係合部を前記被牽引台車における前記被係合部から離脱させる位置としての牽引終了位置とが設定され、前記移動装置は、前記被牽引台車における前記被係合部に前記係合部を係合させた状態で、前記牽引開始位置から前記牽引終了位置まで前記被牽引台車を移動させるように構成され
、前記移動装置が、前記移動駆動部として、前記係合部を先端に備えた索状体と、この索状体を巻き取る巻取部とを備え、前記組立箇所において行われる複数の工程に対応する作業箇所が、移動ラインに沿って並ぶ状態で設定され、前記複数の作業箇所として、前記移動ラインに沿って移動する前記移動台車が通過させるための進入用開口及び退出用開口が形成された区画壁にて外部から仕切られた閉鎖作業箇所が設定され、前記牽引開始位置が、前記移動ラインにおける前記移動台車の移動方向で前記閉鎖作業箇所の下流側に設定されている点にある。
【0007】
本特徴構成によれば、複数の移動台車は、夫々が備える連結部により互いに連結された状態で台車列を形成する。この連結部により連結された複数の移動台車は、互いに押し引き操作可能な状態となっている。そのため、台車列を形成する状態の複数の移動台車のうち一台を被牽引台車として、この被牽引台車における被係合部に移動装置の係合部を係合させた状態で移動装置が当該被牽引台車を移動させることで、台車移動方向で被牽引台車の上流側に位置する移動台車を引き操作することができ、同時に、台車移動方向で被牽引台車の下流側に位置する移動台車を押し操作することができる。
したがって、被牽引台車を牽引開始位置から牽引開始位置より台車移動方向で下流側の牽引終了位置まで移動させる間、係合部を当該被牽引台車の被係合部に係合させた状態を維持したまま台車列を移動させることができる。そのため、一台の移動台車に係合部を形動させた後は、その移動台車を被牽引台車として、牽引開始位置で当該被牽引台車に係合部を係合させたときに台車移動方向で下流側に連結されている移動台車の数に相当する距離だけ移動装置により継続して牽引することができる。なお、被牽引台車が牽引終了位置まで移動が完了した場合は、そのときに牽引開始位置に位置している移動台車を次の被牽引台車として、新たな被牽引台車における被係合部に係合させるべく、移動装置の係合部を台車移動方向で上流側に復帰移動させればよい。係合部を復帰移動させて新たな被牽引台車における被係合部に係合させる処理は、作業者が行うことが好ましいが、自動で行うことも考えられる。
このように、本特徴構成によれば、被牽引台車が牽引される範囲が下流側端部のみならず、台車列の下流側端部よりも上流側に位置する移動台車を被牽引台車として牽引することが可能であるため、被牽引台車が上流側から移動してくる次の移動台車に頻繁に切り換わることが抑制され、被牽引台車の切り換わりに伴う衝撃を極力発生させずに台車列を円滑に移動させることができる。
【0009】
また、本特徴構成によれば、移動装置は、フック等の係合部を先端部に備えたワイヤ等の索状体と、この索状体を巻き取るウィンチ等の巻取部により構成された簡素なものとなる。組立箇所には、複数の作業箇所が移動ラインに沿って並ぶ状態で設定され、そのうちの一つ又は複数の作業箇所が閉鎖作業箇所として構成される。閉鎖作業箇所は、進入用開口及び退出用開口が形成された区画壁にて外部から仕切られており、台車列を形成する移動台車は、上流側から進入用開口を通過して閉鎖作業箇所に進入し、下流側から退出用開口を通過して閉鎖作業箇所から退出する形態で、閉鎖作業箇所を通過できる。つまり、台車列は、閉鎖作業箇所を貫通する形態で移動することになる。
このような閉鎖作業箇所を設定することで、閉鎖作業箇所では、例えば、機械加工等で加工された金属部品に残留する加工切粉屑の付着異物や、生産設備が設置される工場内の雰囲気中に存在する塵埃等の異物の影響を受け難い状態で、作業を行うことができる。また、生産設備が設置される工場等の空間に飛散させたくない材料(例えば、オイル等)を扱う作業工程を、移動台車を移動ラインから離脱させることなく、複数の工程の途中の工程で行うことができる。
移動ラインに沿う作業箇所として区画壁にて外部から仕切られた閉鎖作業箇所が設定されると、被牽引台車を切り換えるべく移動装置の係合部を復帰移動させて閉鎖作業箇所より台車移動方向で上流側の移動台車に索状体の先端部の係合部を係合させようとすると、閉鎖作業箇所における区画壁における進入用開口及び退出用開口に、索状体の先端側を通過させる煩わしい作業が必要となる。
この点、本特徴構成によると、牽引開始位置が、移動ラインにおける台車列の移動方向で閉鎖作業箇所の下流側に設定されているため、移動装置の係合部を復帰移動させる場合に閉鎖作業箇所を索状体の先端側を通過させる煩わしさがなく、被係合台車の切り換えが行い易い。
【0010】
本発明に係る生産設備の第
2特徴構成は、前記移動台車が備える案内ローラと係合して前記移動台車の移動を案内する案内レールが前記移動ラインに沿って設けられ、前記案内レールは、前記案内ローラが離脱自在な不連続箇所を備えている点にある。
【0011】
本特徴構成によれば、案内レールが備える不連続箇所から、移動台車が備える案内ローラを離脱させることができる。そのため、台車列を形成する複数の移動台車のうち何れかの移動台車上で組み立てられている装置に何らかの組立不良が発生した場合、当該移動台車における連結部及び被連結部に連結している上流側及び下流側の移動台車との連結を解除すれば、当該移動台車を移動ラインから離脱させることができ、使い勝手がよい。
【0012】
本発明に係る生産設備の第
3特徴構成は、前記移動台車に、組立対象の前記装置を固定状態で支持自在な装置支持板が設けられ、前記装置支持板が、台車移動方向に隣接する2台の前記移動台車が接触している状態で、一方の前記移動台車に載置支持された前記装置支持板と他方の前記移動台車に載置支持された前記装置支持板との間に前記移動台車の移動方向に隙間が形成される大きさである点にある。
【0013】
本特徴構成によれば、台車移動方向に隣接する2台の移動台車が、連結部及び被連結部にて連結されずに接触している状態でも、一方の移動台車に載置支持されている装置支持板と他方の移動台車に載置支持されている装置支持板との間に台車移動方向に隙間が形成されている。そのため、2台の移動台車が接触する程度に近づいた場合でも、その2台の移動台車の装置支持板の間に隙間が形成されることで装置支持板の間に作業者の指が挟まれる事故の発生を未然に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、車両用昇降装置Lの生産設備において生産される車両用昇降装置Lは、後部の開口部Oを開閉する開閉扉Dを備えたワゴン車のような車両Vにおいて、その後部に搭載して用いられるものである。
そして、車両用昇降装置Lは、ボルトナット等の締結部材を用いて車両用昇降装置Lを車両Vの床面上に固定するための基枠1と、車椅子Cを載置する平板状の載置体2と、載置体2を車両内外方向にスライド移動自在に支持する昇降枠3と、昇降枠3を平行又は略平行姿勢で昇降案内して載置体2を地面近くの下降位置と床面近くの上昇位置とに平行姿勢で昇降自在に支持する昇降案内装置4と、昇降案内装置4を操作する油圧シリンダ(図示せず)と、その油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプ(図示せず)とを備えて構成されている。
【0016】
詳細な説明は省略するが、昇降案内装置4は、カバー体5内に収納された平行四連リンク機構(図示せず)や昇降アーム6等で構成されており、カバー体5内には油圧シリンダも備えられている。
尚、車両用昇降装置Lとしては、
図1に示すような載置体2の横幅が車椅子Cの横幅に合わせた幅狭タイプの車両用昇降装置Lや、車椅子Cの横に介護者が乗れるように横幅が幅狭タイプの車両用昇降装置Lより広い幅広タイプの車両用昇降装置L(図示せず)がある。
【0017】
次に、車両用昇降装置Lの生産設備について説明する。
生産設備には、車両用昇降装置Lを流れ作業で組み立てる組立箇所E1の他、組立箇所E1にて組み立てられた車両用昇降装置Lの検査を行う検査箇所、検査後の車両用昇降装置Lに対して出荷用の梱包を施す梱包箇所、が設定されている。
そして、組立箇所E1では、組立ラインL1に沿って移動する移動台車8上に基枠1を支持させた状態で基枠1に部品を取り付けて車両用昇降装置Lを組み立て、検査箇所では、移動台車8を検査台に隣接するように移動させ、組立箇所E1で組み立てられた車両用昇降装置Lを移動台車8から検査台に乗り移らせて、検査台上で車両用昇降装置Lの検査を行うようになっている。ちなみに、検査箇所では、載置体2のスライド移動の検査をするスライド検査や昇降枠3の昇降移動の検査をする昇降検査が行われる。
尚、組立ラインL1に沿う移動台車8の移動方向を台車移動方向と称し、その台車移動方向と直交する方向を台車横幅方向と称して説明する。また、組立ラインL1に沿って移動する移動台車8の台車移動方向視で左側を台車横幅方向の一方側、右側を台車横幅方向の他方側と称して説明する。
【0018】
図2に示すように、組立箇所E1において行われる第1工程〜第4工程の複数の工程に対応する作業箇所E1a〜E1dが、組立ラインL1に沿って並ぶ状態で設定されている。第1作業箇所E1aでは、移動台車8上に基枠1を取り付ける作業が行われる。第2作業箇所E1bでは、油圧シリンダの取付と作動油の注入が行われる。第3作業箇所E1cでは、昇降枠3と昇降案内装置4とを取り付ける作業が行われる。第4作業箇所E1dでは、載置体2を取り付ける作業が行われる。
【0019】
第2作業箇所E1bは、組立ラインL1に沿って移動する移動台車8を通過させるための進入用開口7in及び退出用開口7exが形成された区画壁Wにて外部から仕切られた閉鎖作業箇所となっている。移動台車8の移動を案内する案内レール20のうち、第2作業箇所における移動を案内する部分は、区画壁よりも内部側に位置している。区画壁Wには、作業者が出入りするための作業者用出入り口を開閉するドア34が設けられている。また、進入用開口7in及び退出用開口7exには、開口の上端から下端までを覆うビニールカーテン33(
図7参照)が開口の上部に支持される状態で吊り下げられている。このように、第2作業箇所を閉鎖作業箇所とすることで、粉塵などの異物が少ない、いわゆるコンタミ対策が施された環境で油圧シリンダの組み付け作業や作動油の注入作業が行われる。
【0020】
図4〜
図7に示すように、移動台車8には、基枠1を固定状態で支持自在な装置支持板10が設けられている。この装置支持板10は、移動台車8に載置自在に構成されており、組立箇所E1では、装置支持板10を移動台車8に載置させた状態で、その装置支持板10上に車両用昇降装置Lを組み立てるようになっている。なお、検査箇所では、装置支持板10を検査台に載置させた状態でその装置支持板10上で車両用昇降装置Lの検査を行う。このように、移動台車8は、載置した装置支持板10上に車両用昇降装置Lを組み立てることで、装置支持板10を介する状態で間接的に車両用昇降装置Lを支持するように構成されている。
【0021】
図7に示すように、装置支持板10には、位置決めピン32を挿通させる挿通孔12が備えられている。装置支持板10を移動台車8に載置させた状態で位置決めピン32を挿通孔12に挿通し、位置決めピン32の先端部を移動台車8に差し込むことで、装置支持板10が移動台車8で載置位置から水平方向への移動を規制できるように構成されている。また、装置支持板10には、車両用昇降装置Lを固定するための被締結部11が形成されている。被締結部11にボルトナット等の締結部材にて基枠1を固定し、その基枠1に昇降枠3、昇降案内装置4、油圧シリンダ、昇降アーム6、載置体2といった各種パーツが組み付けることで車両用昇降装置Lが移動台車8上に組み立てられる。
【0022】
次に、移動台車8について説明する。
図4〜
図7に示すように、移動台車8には、装置支持板10を水平方向に移動自在に載置支持する組立用支持部13と、組立用支持部13に支持された装置支持板10の水平方向への移動を規制した規制状態及び当該規制を解除した規制解除状態に切換自在な移動規制機構14と、が備えられている。
【0023】
組立用支持部13は、台車移動方向に沿う軸心周りに回転自在な組立用支持ローラ13aを台車移動方向及び台車横幅方向に複数並べて備え、この複数の組立用支持ローラ13aにて装置支持板10を載置支持自在に構成されている。そして、組立用支持部13は、台車横幅方向については組立用支持ローラ13aの回転により移動自在な状態で、台車移動方向については組立用支持ローラ13aとの摩擦により移動を規制した状態で載置支持している。
【0024】
移動規制機構14は、組立用支持部13にて組立用載置位置に載置された装置支持板10の台車横幅方向の一方側に固定状態で設けられた固定規制部材15と、組立用支持部13にて組立用載置位置に載置された装置支持板10の台車横幅方向の他方側に台車横幅方向に沿う軸心周りに揺動自在な状態で設けられた揺動規制部材16と、を備えて構成されている。
そして、移動規制機構14は、組立用載置位置に位置する装置支持板10の台車横幅方向の一方側への移動を装置支持板10が固定規制部材15に接触することで規制し、組立用載置位置に位置する装置支持板10の台車横幅方向の他方側への移動を装置支持板10が揺動規制部材16に接触することで規制するように構成されている。
【0025】
揺動規制部材16は、
図7に実線で示すように、自然状態では規制用規律姿勢となっており、規制用上部16aが装置用載置位置に位置する装置支持板10と同じ高さに位置する規制位置に位置するように構成されている。また、
図7に仮想線で示すように、揺動規制部材16は、規制用起立姿勢から揺動させて規制解除用転倒姿勢に姿勢変更させることで、規制用上部16aが装置用載置位置に位置する装置支持板10より下方に引退するように構成されている。
【0026】
移動台車8が検査箇所の検査台に隣接する箇所に移動するに伴って、揺動規制部材16の接触用下部16bが検査箇所に固定状態で設けられた接触体に接触することで、揺動規制部材16が規制用起立姿勢から規制解除用転倒姿勢に姿勢変更し、規制用上部16aが規制位置から規制解除位置に移動するようになっている。これにより検査箇所では、移動台車8から検査台に装置支持板ごと車両用昇降装置Lを移動させることができるようになっている。
【0027】
図4及び
図5に示すように、移動台車8には、床面上に設けられた案内レール20に案内される案内ローラ21が前後一対設けられている。この案内ローラ21は、移動車輪22を備えた台車本体19の台車横幅方向の一方側端部に連結支持されている。
案内レール20は、
図2に示すように、組立箇所E1の組立ラインL1に沿って設けられている。そのため、案内ローラ21が案内レール20にて案内される状態で、牽引装置24(
図2及び
図3参照)により移動台車8を牽引して移動させることで、移動台車8を組立ラインL1に沿って移動させることや、作業者が手押し移動させることで、移動台車8を組立箇所E1から下流側の検査箇所に移動させることができるようになっている。このように、移動台車8は、組立対象の車両用昇降装置Lを支持した状態で組立ラインL1に沿って移動するように構成されている。
【0028】
案内レール20は、案内ローラ21が離脱自在な不連続箇所9を備えている。
図4〜
図6に示すように、案内レール20は縦断面形状がコの字状のレール部材30を、長手方向が組立ラインL1に沿う姿勢でかつコの字の開口が上向きとなる姿勢で、先端部30aが互いに間隔を空けた状態で床面に敷設されている。したがって、案内レール20は、移動台車8の案内ローラ21の車体横幅方向の移動を規制する状態で、移動台車8を組立ラインL1に沿って案内する。レール部材30の先端部30aは、先端側ほど幅広に形成されており、案内ローラ21をレール部材30の先端部30aに係合させ易くなっている。
【0029】
第1作業箇所E1a〜第4作業箇所E1dは、平面視で案内レール20の一方の横側に位置しており、平面視で案内レール20の他方の横側の床面には、返却用レール31が案内レール20に沿って敷設されている。つまり、案内レール20を挟んで第1作業箇所E1a〜第4作業箇所E1dとは反対側に、組立ラインL1に沿って返却用レール31が配設されている。返却用レール31は、組立箇所E1での作業及び検査箇所での作業が完了して、出荷箇所で車両用昇降装置Lが取り外されて空荷状態となった移動台車8を、組立ラインL1の台車移動方向で最上流に返却する際に移動台車8の移動を案内するために設けられている。
【0030】
返却用レール31と案内レール20とは、組立ラインL1の台車列の移動方向で上流側の端部にて接続されており、返却用レール31に沿って当該端部まで移動させた移動台車8を、その案内ローラ21がレール部材30に係合した状態のまま旋回させて姿勢を変更できるようになっており、案内ローラ21を案内レール20に容易に係合させることができるようになっている。
【0031】
案内レール20における不連続箇所9では、牽引装置24にて移動される移動台車の案内ローラ21と案内レール20との係合が一時的に外れるが、不連続箇所9における台車移動方向での長さは、十分に短い長さとしているために、移動台車8が牽引装置24にて組立ラインL1に沿って移動されていれば、上流側のレール部材30から係合離脱した案内ローラ21は、このレール部材30から不連続箇所9に形成された間隔を隔てて下流側に隣接するレール部材30の先端部30aに再び係入させることができる。このように、不連続箇所9を設けても、移動台車8を台車移動方向に沿って移動させることができる。
【0032】
そして、案内レール20に不連続箇所9を備えさせてあるので、
図6に示すように、不連続箇所9で係合解除された移動台車8を組立ラインL1から離脱させることが可能である。そのため、台車列を形成するある移動台車8上の組立途中の車両用昇降装置Lに何らかの不具合が発生した場合に、当該移動台車8を組立ラインL1から離脱させて、適切な処理をすることができる。
本実施形態では、第1作業箇所E1a、第2作業箇所E1b、第3作業箇所E1c、第4作業箇所E1dの夫々に対応して、不連続箇所9が案内レール20に備えられているので、第1工程〜第4工程のいずれの工程で組立不良が発生しても、当該組立不良が発生した移動台車8を組立ラインL1から迅速に離脱させることができる。
なお、移動台車8を台車列から離脱させる場合は、離脱対象の移動台車8の前後の移動台車8との連結を解除することになる。また、離脱対象の移動台車8が後述する被牽引台車8Mである場合は、台車移動方向で上流側の移動台車8を新たな被牽引台車8Mとして、作業者がその新たな被牽引台車8Mに牽引装置24のフック18を係合させることになる。
【0033】
図4〜
図7に示すように、移動台車8には、台車本体19に揺動自在に支持されて先端に連結用係合部26が備えられた連結部としての連結棒27と、この連結棒27における連結用係合部26及び牽引装置24におけるワイヤ23の先端に備えられたフック18を引っ掛ける被連結部及び被係合部としての引っ掛け用部材25と、台車移動方向に隣接する移動台車8の台車本体19同士が接触することを防止する緩衝部材29と、が備えられている。尚、引っ掛け用部材25及び連結棒27の夫々は、台車本体19の台車横幅方向で一方側の端部に備えられている。
【0034】
そして、
図3及び
図4に示すように、連結棒27を転倒させて台車移動方向の後方側(上流側)に隣接する別の移動台車8の引っ掛け用部材25に連結用係合部26を係合させることで、自車と台車移動方向の後方側(上流側)に隣接する移動台車8とを連結できるようになっており、このようにして複数台の移動台車8を台車移動方向に連結自在に構成されている。つまり、複数の移動台車8の夫々は、牽引装置24におけるフック18と係合する引っ掛け用部材25を備え、台車移動方向で上流側に隣接する移動台車8が備える引っ掛け用部材25に連結自在な連結棒27を、連結状態において隣接する移動台車8を押し引き操作可能な状態で備えている。本実施形態では、引っ掛け用部材25が被連結部と被係合部とを兼用している。
【0035】
また、連結棒27の長さは、連結用係合部26を引っ掛け用部材25に係合させて2台の移動台車8を接続した状態で、これら2台の移動台車8における一対の台車本体19の間に組立用間隔が形成される長さに設定されている。連結棒27は硬質であるため、この硬質な連結棒27にて2台の移動台車8を連結していることで、一対の台車本体19の間に形成される隙間は組立用隙間に維持され、2台の移動台車8を台車移動方向に連結した状態でも一対の台車本体19の間に作業者が入って車両用昇降装置Lの組立作業が行えるようになっている。
【0036】
そして、
図3及び
図4に示すように、組立ラインL1に沿って移動台車8を移動させるときは、連結棒27を用いて複数台の移動台車8を連結し、そのうちの一台の移動台車8(
図2では連結された9台の移動台車8のうちの台車移動方向で前から5台目の移動台車8)を被牽引台車8Mとして、この被牽引台車8Mの引っ掛け用部材25に牽引装置24のフック18を引っ掛け、牽引装置24の巻取装置17にてワイヤ23を巻き取って牽引することで、複数台の移動台車8を組立ラインL1に沿って移動させるように構成されている。つまり、牽引装置24が、係合部としてのフック18を先端に備えた索状体としてのワイヤ23と、このワイヤ23を巻き取る巻取部としての巻取装置17とを備えている。
【0037】
本実施形態では、組立ラインL1におけるオイル作業ブース28よりも台車列の移動方向で下流側に位置している移動台車8を被牽引台車8Mとして、作業者がその被牽引台車8Mにフック18を係合させて、
図3(a)の状態とする。つまり、被牽引台車8Mの牽引装置24による牽引が開始される位置である牽引開始位置Psがオイル作業ブース28よりも台車列の移動方向で下流側に設定されている。そして、フック18が牽引開始位置Psにおいて被牽引台車8Mに係合されると、被牽引台車8Mは、牽引装置24の牽引によりこの牽引開始位置Psから、組立ラインL1の端部に設定された牽引終了位置Peまでの牽引区間Pを、組立ラインL1に沿って移動し、
図3(b)の状態となる。
【0038】
牽引終了位置Peまで移動した被牽引台車8Mに係合されているフック18を牽引開始位置Psまで戻すべく、台車列の移動方向と反対方向にフック18を移動させて次の被牽引台車8Mにフック18を係合させる際は、作業者は巻取装置17の作動を停止させてワイヤ23を繰り出し自在な状態に切り換えてから、フック18を牽引開始位置Psまで復帰移動させる。
【0039】
このように、移動装置としての牽引装置24が、台車移動方向に沿って移動自在に設けられた係合部としてのフック18と、このフック18を移動させる移動駆動部としてのワイヤ23及び巻取装置17と、を備えている。そして、ワイヤ23を連結した牽引対象の被牽引台車8Mを牽引開始位置Psから牽引終了位置Peまで牽引装置24にて牽引することで、牽引対象の移動台車8より台車移動方向で前方側(下流側)に位置する移動台車8は押し操作され、牽引対象の被牽引台車8Mより台車移動方向で後方側(上流側)に位置する移動台車8は引き操作されて、台車列を形成する複数台の移動台車8の全てを移動させるようになっている。
【0040】
また、組立ラインL1上に、フック18を移動台車8における引っ掛け用部材25に係合させる牽引開始位置Psと、台車列を形成する状態の複数の移動台車8のうち牽引開始位置Psでフック18が係合した移動台車8を被牽引台車8Mとしてこの被牽引台車8Mの下流側に隣接する移動台車8よりさらに下流側の位置であってフック18を被牽引台車8Mにおける引っ掛け用部材25から離脱させる位置としての牽引終了位置Peとが設定されている。
【0041】
尚、連結棒27を転倒させて連結用係合部26を引っ掛け用部材25に係合させたときの連結棒27の姿勢を水平姿勢としたが、上述のように牽引装置24にて牽引したときに連結用係合部26が引っ掛け用部材25から外れないのであれば、連結用係合部26を引っ掛け用部材25に係合させたときの連結棒27の姿勢を後方側ほど上方又は下方に位置する傾斜姿勢としてもよい。
【0042】
図2に示すように、組立箇所E1では、移動台車8に載置支持された装置支持板10に基枠1を固定し、その基枠1に、油圧モータ等の油圧機器、平行四連リンク機構、昇降アーム6、昇降枠3、載置体2等を順次取り付けて車両用昇降装置Lを組み立てており、移動台車8が組立ラインL1に沿って移動する間に移動台車8上に車両用昇降装置Lが組み立てられる。
そして、移動台車8上に車両用昇降装置Lが組み立てられて、牽引終了位置Peとしての組立ラインL1の下流端まで移動した移動台車8は、連結棒27を起立させて上流側に隣接する移動台車8との連結を解除して、作業者の押引操作により一台ずつ案内レール20に案内されて検査箇所まで移動させられる。つまり、牽引装置24は、台車列を形成する状態の複数の移動台車8のうち一台の被牽引台車8Mにおける引っ掛け用部材25にフック18を係合させた状態で、かつ、当該被牽引台車8Mより台車移動方向で下流側に移動台車8が連結された状態で、組立ラインL1における牽引開始位置Psからこの牽引開始位置Psより台車移動方向で下流側の牽引終了位置Peまで被牽引台車8Mを移動させるように構成されている。
【0043】
図7に示すように、移動台車8は、上流側に隣接する移動台車8との連結が解除されると、相互に連結されていた連結状態の設定間隔よりも互いに接近できることになる。そのため、作業者が移動台車8を押し引き操作する場面では、台車移動方向に隣接する移動台車8は連結棒27にて連結されておらず、このように連結棒27にて連結されていない台車移動方向に隣接する移動台車8の台車本体19同士が接触することを防止するために、移動台車8の前端及び後端に緩衝部材29が設けられている。
【0044】
そして、装置支持板10は、緩衝部材29を含む移動台車8の台車移動方向での長さより短い長さに形成されている。そのため、
図7に示すような緩衝部材29同士が接触するように台車移動方向に隣接する2台の移動台車8が接触している状態でも、一方の移動台車8の組立用支持部13に載置支持された装置支持板10と他方の移動台車8の組立用支持部13に載置支持された装置支持板10との間に台車移動方向に作業者の手の厚みより広い隙間が形成されている。
【0045】
〔別の実施形態〕
以上、発明者によってなされた発明を発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下、本発明の別実施形態を例示する。
【0046】
(1)上記実施形態では、移動ラインが組立箇所だけでなく検査箇所を通るものを例示したが、移動ラインとしては検査箇所を通らないものであってもよい。また、検査箇所に加えて又は代えて、例えば、梱包箇所等を通るものでもよい。
【0047】
(2)上記実施形態では、牽引区間が組立箇所に設定されたものを例示したが、牽引区間が、組立箇所及び検査箇所に亘って設定されたものや、検査箇所に、組立箇所の牽引区間とは別の牽引区間が設定されたものでもよい。
【0048】
(3)上記実施形態では、移動台車が、台車移動方向で上流側に隣接する移動台車が備える被連結部に連結自在な連結部を備えたものを例示したが、移動台車が、台車移動方向で下流側に隣接する移動台車が備える被連結部に連結自在な連結部を備えたものでもよい。
【0049】
(4)上記実施形態では、隣接する移動台車が備える連結部が連結される被連結部と、移動装置が備える係合部が係合する被係合部と、を兼用したものを例示したが、移動台車に被連結部と被係合部とを各別に備えさせてもよい。
【0050】
(5)上記実施形態では、案内ローラが案内レールに係合することで移動台車の移動が生産ラインに沿って案内されるものを例示したが、移動台車の走行車輪が案内レールに係合することで移動台車の移動が案内されるものでもよい。
【0051】
(6)上記実施形態では、牽引装置が台車列を牽引する速度についての詳細な説明は省略しているが、例えば、被牽引台車を牽引開始位置から牽引終了位置までの牽引区間を一定速度で連続して牽引することや、周期的に設定速度での牽引を断続的に行うことが考えられる。
【0052】
(7)上記実施形態では、閉鎖作業箇所に下流側で近接する位置を牽引開始位置に設定したものを例示したが、牽引開始位置を例えば上記実施形態で第3作業箇所E1cの下流側端部に相当する位置等、作業状況により一時的に変更してもよい。牽引終了位置についても、被牽引台車が移動ラインの下流側端部に移動するまでに当該被牽引台車と係合部の係合を解除し、その係合部を上流側の移動台車に係合させてもよい。
【0053】
(8)上記実施形態では、案内レールが、移動台車の案内ローラが離脱自在な不連続箇所を備えているものを例示したが、案内レールが移動ラインの組立箇所相当部分に亘って連続するものであってもよい。この場合、案内ローラを案内レールの上端よりも上方の離脱位置に退避移動自在に構成して、案内ローラを離脱位置に位置させて移動台車を移動ラインから離脱させるように構成すればよい。
【0054】
(9)上記実施形態では、装置が車両用昇降装置であるものを例示したが、装置としてはこれに限定されるものではなく、例えば、エンジンや電気製品などであってもよい。