特許第5787195号(P5787195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787195
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】分光装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/02 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   G01J3/02 Z
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-524478(P2013-524478)
(86)(22)【出願日】2011年8月16日
(65)【公表番号】特表2013-534321(P2013-534321A)
(43)【公表日】2013年9月2日
(86)【国際出願番号】GB2011001224
(87)【国際公開番号】WO2012022936
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年6月23日
(31)【優先権主張番号】1013917.8
(32)【優先日】2010年8月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507193249
【氏名又は名称】パーキンエルマー・シンガポール・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】ホウルト, ロバート, アラン
(72)【発明者】
【氏名】カーター, ラルフ, ランス
【審査官】 喜々津 徳胤
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3113903(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3126981(JP,U)
【文献】 特開平10−253454(JP,A)
【文献】 実開平02−101239(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J3/00−3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置構成要素と前記装置構成要素を保護するための乾燥剤とを収容するための区画と変形可能容器とを備えた分光装置であって、前記変形可能容器は、前記変形可能容器の変形に伴い前記変形可能容器が占める前記区画の容積を変化させるように、前記区画内で移動可能な壁部を少なくとも1つ有し、前記区画と前記分光装置の周囲環境との間の圧力差が前記変形可能容器を変形させて前記壁部を移動させるように、前記変形可能容器の内部は前記周囲環境と流体連通していると共に、前記区画と前記周囲環境との間の圧力差が所定の閾値を超えたときに前記区画と前記周囲環境との間を流体連通させるための弁を少なくとも1つ備える、分光装置。
【請求項2】
前記区画内の過大圧力を軽減するための過大圧力弁および前記区画内の過小圧力を軽減するための過小圧力弁の2つの弁が設けられる、請求項1に記載の分光装置。
【請求項3】
前記変形可能容器は積層材料で構成され、前記積層材料は少なくとも1つのプラスチック層と少なくとも1つの金属膜層とを含む、
請求項1に記載の分光装置。
【請求項4】
前記変形可能容器はバッグである、請求項1または3に記載の分光装置。
【請求項5】
前記バッグは互いに熱融着された2つ以上の壁を備える、請求項4に記載の分光装置。
【請求項6】
前記変形可能容器の前記内部と前記周囲環境との間を流体連通させるように構成された管状部を備える、請求項1、3、4に記載の分光装置。
【請求項7】
前記管状部は前記変形可能容器に取り付けられる、請求項6に記載の分光装置。
【請求項8】
前記変形可能容器の壁は前記管状部が貫通延在する開口を備え、前記管状部と前記変形可能容器の前記材料との間には、前記管状部以外の開口からの流体の流入または流出に対して封止するための封止手段が設けられる、請求項6または請求項7に記載の分光装置。
【請求項9】
前記管状部は前記区画に取り付けられる、請求項6乃至8何れか1項に記載の分光装置。
【請求項10】
前記区画の壁は、前記管状部が貫通延在する開口を備え、前記管状部と前記区画の壁との間には、前記管状部以外の前記区画の壁の前記開口からの流体の流入または流出に対して封止するための封止手段が設けられる、請求項6乃至9の何れか1項に記載の分光装置。
【請求項11】
前記変形可能容器はその最大時に前記区画の前記容積の5%と50%の間を占める、
請求項1、3、4、6、7、8に記載の分光装置。
【請求項12】
前記変形可能容器はその最大時に前記区画の前記容積の10%と15%の間を占める、
請求項1、3、4、6、7、8に記載の分光装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の分光装置のための変形可能な容器組立体であって、バッグの形態の変形可能容器と前記バッグによって担持されて前記バッグの内部との流体連通をもたらす管状部とを備えた容器組立体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光装置、例えばフーリエ変換赤外(FTIR:Fourier transform infrared)分光計、に関する。特に、本発明は、湿度レベル、および/または他の存在しうる汚染物質の存在、に対して高感度の性能を有する分光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分光装置は、湿気または他の汚染物質に対して高感度の構成要素を含みうる。これらの構成要素は或る湿度閾値レベル未満の湿度レベルでは有効に動作するものの、それ以上の湿度レベルでは湿気または他の汚染物質によって損傷されがちである。このような装置の場合は、当該構成要素のために高真空筐体、ドライガスパージシステム、および/または密閉筐体を設けることは実用的でない(例えば高価すぎる)ことが多い。したがって、通常は、水分および/または他の汚染物質の流入がある程度許容される。このような装置においては、当該構成要素を保護するために当該構成要素を乾燥剤と共に収容する区画を設けることが一般的である。通常、当該区画の内部と周囲環境との間には、当該区画内に流入する、および当該区画から流出する空気、ひいては水分および他の予想される汚染物質、の流れを阻止はしないが低減する封止部が存在する。
【0003】
この装置と(例えば、機器の使用による)周囲環境との間の温度差および大気条件は、このような区画内と周囲環境との間に圧力差をもたらしがちである。このような圧力差は、圧力差によるポンプ効果による空気交換を当該区画と周囲環境との間に引き起こしがちである。
【0004】
具体的なポンプ効果の1つは、この装置が定期的に、例えば毎日、オンおよびオフに切り替えられるときに発生しうる。この装置の使用中、装置が温まると当該区画から空気が追い出され、装置がオフに切り替えられて冷えると空気が当該区画内に吸い戻される。なお、封止部を改良することによってこのようなポンプ効果に対処しようとすると、装置と周囲環境との間に大きな圧力差が生じうることに注目されたい。このような圧力差に耐えるように装置を設計すると、より大型で高価な装置になるであろう。
【0005】
湿気と他の存在しうる汚染物質とを含む空気が当該区画に入ると、この水分の一部が乾燥剤によって吸収されることになる。乾燥剤は、他の存在しうる汚染物質、例えば二酸化炭素、の一部も吸収しうる。ただし、高湿度大気内の装置、または当該区画への空気の流入が頻繁な装置、の場合は、乾燥剤が素早く消耗しうるので、装置の性能を維持するために乾燥剤の交換が必要である。場合によっては、乾燥剤を3か月ごとに交換する必要がありうる。これは、装置の適正動作の維持に必要な保守作業を増やし、必要とされる乾燥剤の量ひいては費用を増やし、および/または装置がその最大能力まで機能していない状態で使用されるリスクを増やす。
【0006】
これらの不具合のない装置を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、複数の装置構成要素とこれら装置構成要素を保護するための乾燥剤とを収容するための区画と変形可能容器とを備える分光装置であって、変形可能容器は、この変形可能容器の変形に伴い変形可能容器が占める区画の容積を変化させるように、区画内で移動可能な壁部を少なくとも1つ有し、区画内と分光装置の周囲環境との間の圧力差が変形可能容器を変形させて壁部を移動させるように、変形可能容器の内部は周囲環境と流体連通している、分光装置が提供される。
【0008】
この構成により、変形可能容器の変形に伴い変形可能容器が占める当該区画の容積が変化しうるため、当該区画と周囲環境との間の圧力を均等化しやすくなっている。この結果、当該区画と周囲環境との間で空気交換を引き起こしうるポンプ効果が低減されうる。これにより、乾燥剤の寿命を延長できる。
【0009】
変形可能容器がその最大時に占める区画の容積は、5%と50%の間であることが好ましい。変形可能容器がその最大時に占める区画の容積は、10%と15%の間であることが好ましい。
【0010】
変形可能容器の少なくとも一部の材料は可撓性材料であってよい。変形可能容器の可動壁の材料は可撓性材料であってよい。変形可能容器の少なくとも一部の材料は熱融着可能材料であってもよい。
【0011】
変形可能容器の材料は、水分拡散速度が遅い、すなわち1日1平方メートル当たり水30mg未満の、材料でもよい。変形可能容器の材料は、耐湿性材料であることが好ましい。ここで、耐湿性とは、この材料を通る湿気の透過に耐えるという意味で使われている。
【0012】
変形可能容器の材料は、積層材料でもよい。この積層材料は、少なくとも1つのプラスチック層を備えてもよく、さらに少なくとも1つの金属膜層を備えてもよい。この積層材料は、金属膜で被覆されたプラスチック材料であることが好ましい。
【0013】
変形可能容器はバッグでもよい。このバッグは、互いに熱融着された2つ以上の壁を備えうる。
【0014】
本分光装置は、当該区画と周囲環境との間の圧力差が所定の閾値を超えたときに当該区画と周囲環境との間を流体連通させる弁を少なくとも1つ備えうる。この弁は、当該区画内の圧力が周囲環境の圧力より高くなり、その差が閾値量を超えたときに、および/または周囲環境の圧力が当該区画の圧力より高くなり、その差が閾値量を超えたときに、そのような流体連通を可能にしうる。当該区画内の過大圧力を軽減するための過大圧力弁および当該区画内の過小圧力を軽減するための過小圧力弁の2つの弁を設けてもよい。
【0015】
当該区画は、少なくとも2つの筐体部とその間に存在する少なくとも1つの封止部とによって画成されうる。
【0016】
この少なくとも1つの封止部は、水分拡散速度が遅い、すなわち年当たり水約100g以下である、ことが好ましい。この少なくとも1つの封止部は、水分拡散速度が年当たり水約15g未満であることが好ましい。この少なくとも1つの封止部の材料は、エラストマーでもよい。例えば、この少なくとも1つの封止部の材料は、バイトン(Viton)、フルオレル(Fluorel)、またはアフラス(Aflas)(登録商標)などのフルオロエラストマーでもよい。この少なくとも1つの封止部の材料は、パーフルオロエラストマーでもよい。複数の封止部が存在する場合、これらの封止部の材料はそれぞれ異なる材料でもよい。
【0017】
本分光装置は、変形可能容器の内部と周囲環境との間を流体連通させるように構成された管状部を備えうる。管状部は、変形可能容器の内部まで延在する第1の部分と、当該区画の外側に達する、または当該区画の外側まで延在する、第2の部分とを有しうる。
【0018】
変形可能容器の1つの壁は、管状部が貫通延在する開口を備えうる。
【0019】
管状部は、変形可能容器に取り付けられうる。
【0020】
管状部以外の開口からの流体の流入または流出に対して封止するための封止手段を管状部と変形可能容器の材料との間に設けうる。
【0021】
管状部を変形可能容器に取り付けるために、管状部は、変形可能容器の内部に突出して対応するナットを受け止める第1のねじ部を備えうる。Oリングを備えうる第1の封止部を管状部と変形可能容器の材料との間に設けうる。
【0022】
当該区画の1つの壁は、管状部が貫通延在する開口を備えうる。管状部は、当該区画に取り付けられうる。
【0023】
管状部は、当該区画の外側に突出しうる。管状部を当該区画に取り付けるために、管状部は、当該区画の壁の開口から当該区画の外側に突出して対応するナットを受け止める(第2の)ねじ部を備えうる。管状部以外の当該区画の壁の開口からの流体の流入または流出に対して封止するための封止手段を管状部と当該区画の壁との間に設けうる。Oリングを備えうる(第2の)封止部を管状部と当該区画の壁との間に設けうる。
【0024】
上で「第2の」という用語が括弧で囲んで使用されている理由は、それぞれの特徴が、上で定義した対応する「第1の」特徴と一緒に、または個別に、使用されうるからである。
【0025】
第1および第2の封止部の少なくとも一方のOリングの材料はエラストマーでもよい。この、または各、Oリングの材料は、バイトン、フルオレル、またはアフラスなどのフルオロエラストマーおよびパーフルオロエラストマーのうちの1つでもよい。
【0026】
本発明の別の態様によると、バッグの形態の変形可能容器と、このバッグによって担持されてこのバッグの内部との流体連通をもたらす管状部とを備えた、上で定義したような分光装置用の変形可能な容器組立体が提供される。
【0027】
このバッグと管状部とは、上で定義したさらなる特徴のうちの何れか1つ、またはこれらの特徴の何れかの組み合わせ、を有しうる。
【0028】
次に、本発明の複数の実施形態を図面を参照して単なる例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】卓上型フーリエ変換赤外(FTIR)分光計の一部を示す図である。
図2】内側部分を見せるために外側筐体の一部が切り取られた、図1の分光計の一部を示す図である。
図3図1および図2に示されている分光計カバーの下面からの図である。
図4図1乃至図3に示されている分光計の内部エアバッグを示す図である。
図5図1乃至図3の分光計の管状部を示す図である。
図6図3に示されている分光計のカバーとこの分光計の対応する基底部との間の封止部の詳細を示す図である。
図7図1および図2に示されている分光計に設けられた過大圧力弁および過小圧力弁を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1および図2は、基底部11とカバー12とで構成された筐体1を備えた卓上型フーリエ変換赤外(FTIR)分光計の一部を模式的に示している。カバー12のさらなる詳細は、図3に示されている下面からの図から分かる。
【0031】
一般には分光計の外側、すなわち分光計の周囲環境、から密閉される区画2が筐体1内に画成される。
【0032】
区画2を周囲環境に対して密閉するためのOリングシール13(図2および図6を参照)が基底部11とカバー12との間に設けられる。この密閉は完全ではなく、実際には多少の空気がシール13越しに、またはシール13を通って、当該区画に時々漏入しがちである。
【0033】
区画2の内部には、分光計のさまざまな構成要素3が設けられる(これらの構成要素3は、図2にのみ見えており、各図面には極めて模式的な形態でのみ表されている)。
【0034】
背景技術において示唆したように、分光計の構成要素の少なくとも一部は、湿気および/または他の汚染物質に敏感である傾向がある。本分光計も例外ではなく、例えばこの実施形態において、各構成要素3は、湿度が閾値レベル、例えば40%、を超えると損傷されうる臭化カリウム製の窓を複数含む。さらに、汚染物質ガスが区画2内に存在すると、装置の性能に悪影響を及ぼしうることは言うまでもない。
【0035】
区画2は、(この場合も図面中の図2にのみ極めて模式的な形態でのみ示されている)適切な容器に入れられた、構成要素3の保護に役立ちうる乾燥剤4を収容する。
【0036】
区画2は、エアバッグ5も収容する(図2および図3に実際の位置に示されている)。バッグ5は、管状部6を介して筐体1に、より具体的にはカバー12に、取り付けられる。管状部6の一端は、図1の分光計の外側から見ることができ、さらにはカバー12の壁が切り取られた図2でも見ることができる。図4は、管状部6が取り付けられたバッグ5を分光計1の他の部分とは別個に示している。
【0037】
管状部6をより詳細に示している図5に示されているように、孔が管状部6を貫通しており、図1および図2に示されているようにバッグ5が管状部6を介して分光計に取り付けられると、この孔がバッグ5の内部と区画2の外側(ひいては、分光計全体の外側)との間に流体連通路をもたらす。
【0038】
分光計の内部区画2と周囲環境との間に圧力差が存在する場合に発生しうる、上記背景技術で説明したポンプ効果を防止しやすいように、バッグ5は区画2内に設けられる。上記のように、圧力差が存在する状況においては、通常は空気が区画2から追い出されるか、または区画2内に追い込まれ、この空気が湿気および/または他の汚染物質を運びがちである。上記のように、乾燥剤4が区画2内に設けられる。この乾燥剤4は、湿気および/または他の汚染物質を吸収することによって、分光計の適正動作を保証するために役立つと共に、湿気および/または他の汚染物質から構成要素3を保護することができる。ただし、この乾燥剤が湿気および/または他の構成要素を吸収する容量は有限であり、したがって寿命は有限である。
【0039】
一般に、乾燥剤4が消耗すると、乾燥剤4を交換する必要がある。交換しないと、分光計が最適性能未満で動作し始めるので、永久に損傷されることもある。
【0040】
区画2内に設けられたバッグ5は、この区画に流入、またはこの区画から流出しがちな空気の量を減らすことによって乾燥剤4の寿命を延長するのに役立つ。バッグ5の内部は管状部6を介して外部に接続されているので、区画2の内部と周囲環境との間に圧力差が存在すると、空気は優先的にエアバッグ5に吸い込まれるか、またはバッグ5から追い出されるため、(Oリングシール13を介して)区画2の他の部分に吸い込まれたり、区画2の他の部分から追い出されたりすることが少なくなる。この単純な機構は、乾燥剤4の寿命を劇的に改善させうる。
【0041】
バッグ5は、可撓性の積層材料で製造される。本実施形態においては、バッグ5の材料は、バッグ5を膨張、収縮させるために可撓性であることと、バッグ内に追い込まれる、またはバッグから追い出される、湿気がバッグの材料を通って区画2に入り込まないように極めて低い透水性を有することの両方が重要である。バッグに適した材料として、例えば食料品の、保護包装に用いられるシート材料が挙げられる。この材料は熱融着可能であることが好ましい。その理由は、閉じたバッグを形成するために開放端部の周囲が熱融着される1つ以上の材料シートでバッグを形成できるからである。
【0042】
この材料は、材料を介した水分の透過に対して所望の耐性をもたらすために、プラスチックフィルムとアルミニウム箔層とを共に含みうる。適した積層材料の1つは、アルミニウム箔層が接着されたPETフィルム層と、アルミニウム箔層のもう一方の側に接着されたHDPE層とを備える。このような材料層は、約200℃で熱融着可能であり、24時間当たりの水蒸気透過率が0.05gm/m2未満である。
【0043】
図3および図4から分かるように本実施形態においては、バッグ5は、使用時に伸縮可能な2つの主ポケットを有する折り畳まれた構成で設けられる。これは、バッグ5が装置の筐体1内の利用可能空間に収まるようにするためであるに過ぎない。他の複数の実施形態においては、何れか適した形状のバッグ5が使用されうる。
【0044】
上記のように、管状部6は、バッグ5を分光計内に取り付けるために用いられる。図5から最も明確に分かるように、管状部6は、バッグ5の壁5aの材料が管状部6に圧着され、かつ管状部6が筐体1、この場合はカバー12、の壁12aに圧着可能であるように、構成される。
【0045】
管状部の第1のねじ部62を突出させるために適した開口5bがバッグの壁5aに設けられる。同様に、管状部6の第2のねじ部62を突出させるために適切な開口12bがカバー12の壁12aに設けられる。管状部6は、この2つのねじ部61、62の間に、バッグの壁5aに接触して封止する第1のOリング65aとカバー12の壁12aに接触して封止する第2のOリング65bとを担持するフランジ部64を有する。それぞれのねじ部61および62には対応するナット66および67が設けられるので、バッグの壁5aとカバーの壁12aとがOリング65aおよび65bに圧着されて効率的に封止されるため、バッグ5およびカバー12の開口5bおよび12bからの流体の流入および流出が管状部6の孔を通してのみ発生するようになる。
【0046】
したがって、この構成によると、管状部6は、エアバッグ5の内部と区画2の外側(ひいては分光計の外側)との間に流体連通路をもたらすと共に、バッグ5を分光計内に取り付けるための取り付け部を提供するので好都合である。
【0047】
本実施形態においては、バッグ5の製造中、少なくともバッグを閉じるための最後の密閉が行われる前に、管状部6がバッグ5に取り付けられ、その後に分光計に取り付け可能な、図4に示されているようなバッグ5と管状部6とから成る組立体が用意される。
【0048】
上記の構成によると、バッグ5は、通常であれば発生する空気の流入および流出の大半から区画2を保護できる。ただし、実際の状況においては、圧力差に対応するためにバッグによってもたらされうる容積の変化が十分でないために区画2と周囲環境との間の圧力差がなくならないという事態が発生しうる。したがって、バッグ5とシール13、65a、65bとを損傷から保護するために、図7に示すように過大圧力弁7aと過小圧力弁7bとが分光計に設けられる。これらの弁の各々は、一方向の圧力逃し弁であり、カバー12の壁12aの該当する開口に設けられる。言うまでもないが、過大圧力弁7aは、区画2内の圧力が周囲環境の圧力より高まり圧力差が閾値量を超えたときに、過大圧力弁7aが開いて空気を区画2から逃すように設けられる。過小圧力弁7bについてはその逆が当てはまる。
【0049】
本実施形態において、過大圧力弁7aと過小圧力弁7bはどちらもアンブレラ弁の形態である。各弁はスカート71a、71bをそれぞれ有し、これらのスカート71a、71bは、通常の状況においては壁12aに接触して封止しているが、壁部12aの対応する開口から対応する弁棒72a、72bに沿って対応するスカート71a、71bの下の空洞に追い込まれた圧力が閾値圧力より大きくなると、この圧力によってスカート71a、71bが上方に押し上げられうる。この空洞内の圧力が、対応するスカート71a、71bのもう一方の側に比べ、十分に大きくなると、スカート71a、71bが持ち上がって空気を逃し、これにより両側の圧力が均等化される。その後、スカート71a、71bは下がって壁12aに接触して封止する。
【0050】
シール13、65a、65bを介した、場合によってはさらに弁7aおよび7bの材料を介した、水分の拡散を防ぐために、これらの要素の材料を注意深く選択する必要がある。
【0051】
少なくともシール13、65a、65bに関しては、水分拡散速度が年当たり水100グラム未満であるバイトン、フルオレル、またはアフラスなどのフルオロエラストマーの使用が好ましい。水の流入に対する保護がこれより低い程度でよい場合は、ペルフルオロエラストマーなど他のエラストマーが適する場合もある。
【0052】
バッグ5は、その全体が区画2の内部に、特に分光計の筐体1の内部に、配設される。これにより、バッグ5を損傷から保護しやすくなると同時に、バッグが占めていない区画2の残りの部分の容積を変化させることによって圧力を均等化する機能をエアバッグ5に行わせることができる。
【0053】
本実施形態において、バッグは、その内部への空気の流入によってその最大限まで膨張すると、当該区画の内部容積の10%乃至15%台までを占める。勿論、他の複数の実施形態においては、その最大限において占める内部区画の容積がこれより小さい、または大きい、バッグを選択しうる。
【0054】
通常の動作温度および圧力ではバッグがその膨張範囲の中間になるように、分光計が製造されることが好ましい。すなわち、その容積が中間点にあるので、バッグの容積は開始位置からかなりの程度にまで増減しうる。
【0055】
バッグの材料は、実用的に可撓性であると同時に、気体、特に湿気、に対して必要な障壁効果をもたらすように、選択される。
【0056】
なお、容積を変化させるのにバッグ5に必要とされる剛性または抵抗のために、本装置の(本実施形態においてはシール13、65a、65bによってもたらされる)気密性が十分でない場合は、湿った空気が、バッグ5内ではなく、装置の区画2に優先的に流入しやすいことに注目されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7