【実施例1】
【0016】
この発明において、カッター全体は、
図1に示すように縦長の略矩形状とし、本体下縁(13)近傍の一側方で、上下方向に向かって配設する刃体(7)の刃先(7a)を、本体下縁(13)から下方に突出し、該刃先(7a)の最下端である突出先端部(7b)を非操作時に隠すように、本体下縁(13)の他側方から保護アーム(8)を略水平方向に突設している。
鋼材等から成る刃体(7)は、合成樹脂材から成る刃体収納箱(5)に、全周囲ガタ付きの無い固定状に取付けられている。
また、操作時には当然保護アーム(8)は逃げて、刃体(7)の刃先(7a)の切断作業は行なえる。
【0017】
合成樹脂材で、蓋状の表ケース(1a)と箱状の裏ケース(1b)から成るケース握持部(1)には、その本体下縁(13)近傍の一側方内部に、略上下方向に向かう案内レール(6)を図例では前後に設け、この前後の案内レール(6)(6)間に刃体収納箱(5)を配置している。
そして、刃体収納箱(5)や案内レール(6)(6)間上方のケース握持部(1)
内には支点軸(2)と蓋内軸(2a)が設けられ、
図1や
図5で示すように、該、支点軸(2)と蓋内軸(2a)廻りに揺動アーム(3)一端側のボス(4)が取付けられており、これ等の各部材取付け後に表ケース(1a)と裏ケース(1b)は接着や溶着並びにカシメやネジ止め等で一体化している。
【0018】
ボス(4)近傍の揺動アーム(3)下方部に、連結具(11)を介して、刃体収納箱(5)が一体的に取付けられる。
刃体収納箱(5)は、外周囲手前側の一側壁を取り去った平面視コ字状としており、壁の無い開放側に複数個の係止爪(12)(12)を突設し、該、開放側から刃体(7)を平面状に押し込んで、係止爪(12)により刃体(7)の浮き上がりを防止している。
【0019】
また、
図3で示すように、刃体収納箱(5)の下端部には下係止面(5a)、上辺面には下方加圧辺(5b)が設けられ、内装する刃体(7)を下方押圧状に弾撥取付けしている。
この状態で、揺動アーム(3)他端側の操作部(9)を動かすと、連結具(11)を介して、刃体(7)の突出先端部(7b)も同時に動く。
【0020】
操作部(9)は、本体下縁(13)近傍他端部表カバー(1a)に開口する長孔(3a)から、表側に突出しており長孔(3a)の範囲内で揺動操作される。
また、揺動アーム(3)の該長孔(3a)近傍部には、山形に突起する係合凸部(3b)が設けられ、表ケース(1a)内面の係合凸部(3b)対応部には複数段の位置を有する波状凹部(1c)が配設されており、両者で、揺動規制部(10)を構成している。
長孔(3a)の範囲内で揺動アーム(3)が動くのを、
図3で説明する。
【0021】
実線で示すものが、揺動アーム(3)を最下動した状態(
図1状態。)で、ケース握持部(1)の本体下縁(13)より下部突出する刃体収納箱(5)に内装する刃体(7)の突出先端部(7b)も、最下動している。
実線状態の揺動アーム(3)の操作部(9)を、矢印イ方向に動かす。
この時例えば、波状凹部(1c)が5〜10段階の凹部を有していれば、仮想線で示すように、操作部(9)は5〜10段の調節段で長孔(3a)の最右側まで(
図2状態。)動くようにしている。
【0022】
この揺動アーム(3)長手方向他端の、斜め上方への大きな
揺動作動量を、揺動アーム(3)一端の小さな上下
揺動作動量へと、連結具(11)の倒れ引き上げ動で、案内レール間の刃体収納箱(5)を上げ作動し、仮想線で示す位置まで上げる。
連結具(11)は、矢印イ方向への実線から仮想線の間の動きは上動し、反矢印イ方向へ仮想線から実線の間の動きは下動を行なう。
細首部(11a)を設けているので、連結具(11)の前後方向倒れは容易となり、刃体収納箱(5)を正確に上下できる。
この揺動しつつ刃体収納箱(5)を動かすことで、刃体収納箱(5)は、案内レール(6)(6)に沿って
直線方向平行に上動または下動する。
【0023】
前述したが、刃先(7a)の突出先端部(7b)はカッター非操作時に、刃を隠すように本体下縁(13)の他側方から、保護アーム(8)を略水平方向(図例では円弧状)に突設している。
保護アーム(8)は、無負荷時には樹脂ケースの本体下縁(13)と略平行状に間隙空間(K)だけ開いた状態で下方に配設され、他側側を弾撥支点として上下方向揺動自在で裏ケース(1b)側に一体取付けしている。
間隙空間(K)は手指の入らない隙間として、安全性向上を図っている。
【0024】
そして、刃先(7a)対応の保護アーム(8)部に刃が通過するためのスリット(14)を開口しており、保護アーム(8)の一側部側に上動の荷重が作用すると、保護アーム(8)は、刃体(7)に非接触状態で本体下縁(13)に接当するまで上動
し、保護アーム(8)が上動した分、刃先(7a)の突出先端部(7b)が外方に突出する。
(15)は逃げ溝であって、スリット(14)の上側に設けた、刃体収納箱(5)下端間との干渉防止溝である。
操作部(9)が、矢印イ方向へと実線から仮想線の間の動きで、連結具(11)が上動し、スリット(14)から下方突出する刃体(7)の突出先端部(7b)が小さくなることに伴ない、カッター刃としての切断深さが浅くなる。
【0025】
図例では、揺動規制部(10)に5〜10段の位置調節を設けており、紙切カッターの紙切断深さを、言い換えると、保護アーム(8)下縁からの突出量を、最小0mm(ミリメートル、以下同じ。)から最大0.5mm程度の突出深さ変更位置段階としているから、保護アーム(8)押圧時に対する刃体(7)の突出先端部(7b)寸法も、非突出とした安全係止位置から0.05mm乃至0.1mmの10〜5段の位置調節としている。
【0026】
このように図例の紙切カッターによれば、刃先(7a)の突出先端部(7b)が,保護アーム(8)のスリット(14)から外部に突出する量を0.05mm乃至0.1mm刻みに調節可能としている。
そこで切断する相手の紙厚一枚に応じて、事前に刃体収納箱(5)の摺動高さ位置を、操作部(9)の移動角度位置や、刃体収納箱(5)下係止面(5)の間隙空間(K)への出入量等を目視して、予測判断しておくことができる。
【0027】
身の回りの紙類を手近な物から挙げると、薄いと感じるテイッシュペーパーで0.04mm、財布に入れて邪魔になるレシートで0.05mm、週刊誌では、カラー刷りのアート紙部分が0.04〜0.05mm、紙用紙部が0.07mm、表紙部が0.14mmであり、厚目に感じる名刺で0.2mm程度である。
また、新聞紙は0.06mm、コピー用紙0.08mm、封筒0.1mm程度と、夫々、微妙に異なっている。(全て、実測定値。)
【0028】
これ等の、微差のある紙厚に対し、刃体(7)製作時の機械公差が0.05mm乃至0.1mm程度あるので、保護アーム(8)下縁から突出量「0mm」で製作したとしても、公差範囲内での突出や凹みを防止できないが、1段当たり0.05mm乃至0.1mmの刃体(7)突出先端部(7b)の寸法調節を、10段乃至5段の位置調節として、寸法公差精度を2倍程度向上可能な合成樹脂材の揺動規制部(10)で調節可能としているので、充分な刃先突出入調節を行なえる。
【0029】
即ち、新聞紙を一枚切り抜きたい場合厚み0.06mm程度なので、刃先(7a)の突出先端部(7b)を0.05mm突出可能(公差により開始基準端は、ズレている。)に調節している時は、ケース握持部(1)を強く新聞紙に押し付けて切断し、刃先(7a)の突出先端部(7b)を0.1mm突出可能に調節している時は、ケース握持部(1)を軽く弱く新聞紙に押し付けて切断すれば良い。
【0030】
そして、揺動アーム(3)の長手方向遠方側にある操作部(9)の大きな斜方向の
揺動動きを、揺動アーム(3)の長手方向基部側に連結した連結具(11)の小さな上下方向
揺動移動量に変換できるから、刃体収納箱(5)と刃先(7a)も
連結具(11)を介して小さな
直線方向動きとなり、精密な刃先突出先端部(7b)の突出量変更ができる。
また、保護アーム(8)の突出内端には荷重逃げ凹部(16)が設けられ、該荷重逃げ凹部(16)を設けることで、常に保護アーム(8)は肉厚の薄い凹部(16)で容易に撓みながら、他の、保護アーム(8)全体形状の変化を小さくしているから、切断操作調節が楽に行なえる。
【0031】
さらに、ケース握持部(1)は、正面視で縦長の略矩形状とし、ケース一方側に支点軸(2)や揺動アーム(3)、及び、案内レール(6)や刃体収納箱(5)等の主要部を偏在配置し、ケース他方側を外面の平坦部または内面空間部(H)としているので、ケース他方側の平坦部に広告宣伝文や社名を記載したシール紙を貼り付けたり、ケース空間部(H)を透明または半透明の材料とすることで、空間部に広告宣伝文や社名を記載したシール紙を挿入または貼り付けて、物品や会社名等の使用法や宣伝を容易に行なえる。