特許第5787209号(P5787209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787209
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】紙切カッター
(51)【国際特許分類】
   B26B 1/04 20060101AFI20150910BHJP
   B26B 1/08 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   B26B1/04
   B26B1/08 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-87906(P2011-87906)
(22)【出願日】2011年4月12日
(65)【公開番号】特開2012-217704(P2012-217704A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】710007423
【氏名又は名称】川崎 和博
(72)【発明者】
【氏名】川崎 和博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紀雄
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−084070(JP,U)
【文献】 実開昭50−005991(JP,U)
【文献】 特開平10−156061(JP,A)
【文献】 特開昭58−054983(JP,A)
【文献】 特開2002−239266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 1/00−1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース握持部(1)内に内装する刃体(7)の刃先(7a)を、ケース握持部(1)から外方に突出し、さらに、刃先(7a)外方を加重の作用でケース握持部(1)の本体下縁(13)側に接近移動する保護アーム(8)や、それに開口したスリット(14)部で覆うものに於いて、ケース握持部(1)内に支点軸(2)を設け、該支点軸(2)に揺動アーム(3)のボス(4)部を取付け、揺動アーム(3)一部と、刃体(7)を収納する刃体収納箱(5)一端との間を連結具(11)を介して一体的に連結し、該、刃体収納箱(5)他端側に刃先(7a)突出状に刃体(7)を収納し、一方、ケース握持部(1)の支点軸(2)近傍から、軸芯に対し内外方向に案内レール(6)を配し、この案内レール(6)部に、前記刃体収納箱(5)を、内装する刃体(7)の突出先端部(7b)が保護アーム(8)の非操作時には保護アーム(8)で隠された範囲でのみ複数段摺動自在に取付けたことを特徴とする紙切カッター。
【請求項2】
揺動アーム(3)は、長手方向支点部のボス(4)近傍部に刃体収納箱(5)に連結する連結具(11)を取付け、長手方向遠方部に操作部(9)を設け、該操作部(9)をケース握持部(1)外方に突出すると共に、操作部(9)を複数段階に位置調節する揺動規制部(10)を長手方向遠方側に設けたことを特徴とする請求項1記載の紙切カッター。
【請求項3】
ケース握持部(1)は、正面視で略矩形状とし、ケース一方側に支点軸(2)や揺動アーム(3)、及び、案内レール(6)や刃体収納箱(5)等の主要部を偏在配置し、ケース他方側を平坦部または空間部としたことを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の紙切カッター。















【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば包装覆いの紙やビニールシートの取り去り、及び、雑誌、新聞等の切り抜きや切断等を行う際に、カッター刃先の微細突出量変更を容易で安全に行なう紙切カッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の刃先突出量を変更するカッターでは、ケース体から外方に直接刃先を伸縮調節する形態が多く、変更調節量が大雑把であり、また、非使用時にはカッター刃先が外方に突出したままで、安全上に問題が残っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−179280号公報
【特許文献2】特開平10−94683号公報
【特許文献3】特開平10−156061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す技術は、刃先突出量を変更するのに、止めネジ(10)を緩めて長孔(3)に沿って動かしネジ固定すると、刃先の突出量が変わるものであるが、刃先が常時外方に突出したままとなり、安全上問題を生じている。
特許文献2に示す技術においては、本発明との具体的構成内容差については後に詳述するが、刃体を収納する取付体(3)を、操作体(6)の楔片(36)で直接的に強制押圧して取付体(3)を変形させ、刃先(31)部を本体(2)から外方に飛び出させる事で、被切断物を切断するものである。
【0005】
この特許文献2でも、操作体(6)の楔片(36)位置をそのままにしておくと、刃先(31)は常時外方に突出したままであり、やはり安全上の問題を生じている。
特許文献3に示す技術は、特許文献1や特許文献2に示した、非使用時の刃先安全上の欠点を改良するものであった。
それは、切断刃の外周囲に本体押圧で弾性移動する押圧弾片なる保護具を設け、非使用時には刃物の突出を防止して安全性を向上し、使用時には刃先部を相手に押し付けることで、押圧弾片が凹んで逃げ、それに伴なって刃物が押し出され相手を切断すると言うものである。
【0006】
しかし、この技術においては刃物先端の突出量長さを、製作時点で固定取付けしているので切断深さが一定であり、対象物の厚薄および、加工公差内での寸法変動により、一枚切となったり、二枚切りとなったり、切断深さが安定し難かった。
それは、浅く切るには押圧弾片を固くして刃先を出難くしたり、軽い荷重を与えて刃先位置を浅くして薄切を行い、刃先の全量を出すには押圧荷重を大きくするか、押圧弾片を柔らかくして押し出し易くする等の操作が必要であるが、公差分の寸法バラ付きにより、更に面倒であった。
【0007】
そして、押圧弾片が柔らか過ぎると、ポケット内などで擦れにより刃先が出るので、柔らかさの程度にも制限を要した。
そこで、本発明は、切断深さを、容易且つ精密に、有段階で正確に変更でき、しかもカッター非操作時には、刃先を保護具で覆うことで安全性も更に向上させようとする紙切カッターを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、前記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じている。
まず、請求項1に記載の発明は、ケース握持部(1)内に内装する刃体(7)の刃先(7a)を、ケース握持部(1)から外方に突出し、さらに、刃先(7a)外方を加重の作用でケース握持部(1)の本体下縁(13)側に接近移動する保護アーム(8)や、それに開口したスリット(14)部で覆うものに於いて、ケース握持部(1)内に支点軸(2)を設け、該支点軸(2)に揺動アーム(3)のボス(4)部を取付け、揺動アーム(3)一部と、刃体(7)を収納する刃体収納箱(5)一端との間を連結具(11)を介して一体的に連結し、該、刃体収納箱(5)他端側に刃先(7a)突出状に刃体(7)を収納し、一方、ケース握持部(1)の支点軸(2)近傍から、軸芯に対し内外方向に案内レール(6)を配し、この案内レール(6)部に、前記刃体収納箱(5)を、内装する刃体(7)の突出先端部(7b)が保護アーム(8)の非操作時には保護アーム(8)で隠された範囲でのみ複数段摺動自在に取付けたことを特徴とする紙切カッターであり、この構成としたので、可動部分をコンパクト化でき、さらに、保護アーム(8)の非操作時には、刃体(7)の突出先端部(7b)が保護アーム(8)外部に露出せず、スリット(14)の刃出口部外面に手や指先が触れても安全である。また、事前に揺動アーム(3)を揺動操作することで同じく比例揺動する連結具(11)を介し、該連結具(11)部で案内レール(6)部に沿った直線方向に刃体収納箱(5)を動かし、刃体(7)の突出先端部(7b)を段階状の何れかに配し、紙切り作業時に保護アーム(8)に加重をかけて、ケース握持部(1)の本体下縁(13)側に接近させると、スリット(14)の刃出口部から刃先(7a)が突出して、紙の切断深さ調節をすることで複数段階の突出先端部(7b)の刃先深さを同時に選べ、洋紙や新聞紙や雑誌等厚みの違う紙を、正確に一枚または必要枚数毎に切り分けることが簡単に可能となる。
【0009】
つぎに、請求項2に記載の発明は、揺動アーム(3)は、長手方向支点部のボス(4)近傍部に刃体収納箱(5)に連結する連結部(11)を取付け、長手方向遠方部に操作部(9)を設け、該操作部(9)をケース握持部(1)外方に突出すると共に、操作部(9)を複数段階に位置調節する揺動規制部(10)を長手方向遠方側に設けたことを特徴とする請求項1記載の紙切カッターであって、この構成としたことによって、揺動アーム(3)操作部(9)の長孔(3a)内での大きな揺動動きを、揺動アーム(3)のボス(4)近傍に設けた連結具(11)の小さな揺動動きに変換し、該、連結具(11)を介して、操作部(9)の大きな動きを連結具(11)の小さな動きとして、内外の案内レール(6)(6)に沿って直線方向に動く刃体収納箱(5)に正確に伝達できるから、突出先端部(7b)である刃先(7a)の小さな動きを複数段の基準位置に変更でき、保護アーム(8)に切断作業時の加重を与えてケース握持部(1)の本体下縁(13)側に接近移動させると、基準位置に応じた突出先端部(7b)の刃先(7a)と成り切断開始基準位置変更と、精密な刃先突出量変更を同時に行なうことができる。
【0010】
そして、請求項3に記載の発明は、ケース握持部(1)は、正面視で略矩形状とし、ケース一方側に支点軸(2)や揺動アーム(3)、及び、案内レール(6)や刃体収納箱(5)等の主要部を偏在配置し、ケース他方側を平坦部またはケース空間部(H)としたことを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の紙切カッターであって、この構成としたことによって、ケース他方側の平坦部に広告宣伝文や社名を記載したシール紙を貼り付けたり、ケース空間部(H)を透明または半透明の材料とすることで、空間部に広告宣伝文や社名を記載したシール紙を挿入または貼り付けて、物品や会社名等の使用法や宣伝を容易に行なえる。
【発明の効果】
【0011】
まず、請求項1の発明は、揺動アーム(3)を揺動操作することで同時に、刃体収納箱(5)が案内レール(6)に沿って連結具(11)で動かされ、このことは、刃体収納箱(5)に内装の刃体(7)の刃先(7a)が動き、揺動アーム(3)の揺動を複数段操作とすることで複数段階の突出先端部(7b)の刃先深さを選べ、その外方に非作業時の保護アーム(8)下縁が位置しているので、保護アーム(8)に設けたスリット(14)の刃出口部外面に手や指先が触れても、手指がケガせず安全である。
また、紙切り作業を行なう時には、保護アーム(8)に加重をかけて、ケース握持部(1)の本体下縁(13)側に接近させることで、スリット(14)の刃出口部から刃先(7a)が複数段のうちの基準位置として突出するから、洋紙や新聞紙や雑誌等厚みの違う紙を、正確に一枚または必要枚数毎に切り分けることが可能となる。
【0012】
つぎに、請求項2の発明は、揺動アーム(3)の長手方向遠方側にある操作部(9)の大きな揺動動きを、揺動アーム(3)の長手方向基部側に連結した連結具(11)の小さな揺動移動量に変換できるから、連結具(11)を介して刃体収納箱(5)と刃先(7a)も案内レール(6)に沿った小さな直線方向の動きに変更でき、可動部分をコンパクト化しながら小さな直線方向に容易に変換でき、選ばれる一つの切断開始基準位置変更と、精密な刃先突出量変更を同時に行なうことができる。
【0013】
そして、請求項3の発明は、ケース他方側の平坦部に広告宣伝文や社名を記載したシール紙を貼り付けたり、ケース空間部(H)を透明または半透明の材料とすることで、空間部に広告宣伝文や社名を記載したシール紙を挿入または貼り付けて、物品や会社名等の使用法や宣伝を容易に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一実施例の、一部断面した全体拡大正面図。
図2図1の、揺動アーム移動後の、全体正面図。
図3】揺動アーム廻りの、説明用拡大正面図。
図4図1の、A−A矢視、断側面図。
図5図1の、B−B矢視、断平面展開図。
図6】第二実施例の、拡大した全体正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を、図面に基づいて具体的に説明するが、本願発明の範囲は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。特段の説明が無い限り、同様の作用、効果が有るものは全て含むものである。
【実施例1】
【0016】
この発明において、カッター全体は、図1に示すように縦長の略矩形状とし、本体下縁(13)近傍の一側方で、上下方向に向かって配設する刃体(7)の刃先(7a)を、本体下縁(13)から下方に突出し、該刃先(7a)の最下端である突出先端部(7b)を非操作時に隠すように、本体下縁(13)の他側方から保護アーム(8)を略水平方向に突設している。
鋼材等から成る刃体(7)は、合成樹脂材から成る刃体収納箱(5)に、全周囲ガタ付きの無い固定状に取付けられている。
また、操作時には当然保護アーム(8)は逃げて、刃体(7)の刃先(7a)の切断作業は行なえる。
【0017】
合成樹脂材で、蓋状の表ケース(1a)と箱状の裏ケース(1b)から成るケース握持部(1)には、その本体下縁(13)近傍の一側方内部に、略上下方向に向かう案内レール(6)を図例では前後に設け、この前後の案内レール(6)(6)間に刃体収納箱(5)を配置している。
そして、刃体収納箱(5)や案内レール(6)(6)間上方のケース握持部(1)
内には支点軸(2)と蓋内軸(2a)が設けられ、図1図5で示すように、該、支点軸(2)と蓋内軸(2a)廻りに揺動アーム(3)一端側のボス(4)が取付けられており、これ等の各部材取付け後に表ケース(1a)と裏ケース(1b)は接着や溶着並びにカシメやネジ止め等で一体化している。
【0018】
ボス(4)近傍の揺動アーム(3)下方部に、連結具(11)を介して、刃体収納箱(5)が一体的に取付けられる。
刃体収納箱(5)は、外周囲手前側の一側壁を取り去った平面視コ字状としており、壁の無い開放側に複数個の係止爪(12)(12)を突設し、該、開放側から刃体(7)を平面状に押し込んで、係止爪(12)により刃体(7)の浮き上がりを防止している。
【0019】
また、図3で示すように、刃体収納箱(5)の下端部には下係止面(5a)、上辺面には下方加圧辺(5b)が設けられ、内装する刃体(7)を下方押圧状に弾撥取付けしている。
この状態で、揺動アーム(3)他端側の操作部(9)を動かすと、連結具(11)を介して、刃体(7)の突出先端部(7b)も同時に動く。
【0020】
操作部(9)は、本体下縁(13)近傍他端部表カバー(1a)に開口する長孔(3a)から、表側に突出しており長孔(3a)の範囲内で揺動操作される。
また、揺動アーム(3)の該長孔(3a)近傍部には、山形に突起する係合凸部(3b)が設けられ、表ケース(1a)内面の係合凸部(3b)対応部には複数段の位置を有する波状凹部(1c)が配設されており、両者で、揺動規制部(10)を構成している。
長孔(3a)の範囲内で揺動アーム(3)が動くのを、図3で説明する。
【0021】
実線で示すものが、揺動アーム(3)を最下動した状態(図1状態。)で、ケース握持部(1)の本体下縁(13)より下部突出する刃体収納箱(5)に内装する刃体(7)の突出先端部(7b)も、最下動している。
実線状態の揺動アーム(3)の操作部(9)を、矢印イ方向に動かす。
この時例えば、波状凹部(1c)が5〜10段階の凹部を有していれば、仮想線で示すように、操作部(9)は5〜10段の調節段で長孔(3a)の最右側まで(図2状態。)動くようにしている。
【0022】
この揺動アーム(3)長手方向他端の、斜め上方への大きな揺動作動量を、揺動アーム(3)一端の小さな上下揺動作動量へと、連結具(11)の倒れ引き上げ動で、案内レール間の刃体収納箱(5)を上げ作動し、仮想線で示す位置まで上げる。
連結具(11)は、矢印イ方向への実線から仮想線の間の動きは上動し、反矢印イ方向へ仮想線から実線の間の動きは下動を行なう。
細首部(11a)を設けているので、連結具(11)の前後方向倒れは容易となり、刃体収納箱(5)を正確に上下できる。
この揺動しつつ刃体収納箱(5)を動かすことで、刃体収納箱(5)は、案内レール(6)(6)に沿って直線方向平行に上動または下動する。
【0023】
前述したが、刃先(7a)の突出先端部(7b)はカッター非操作時に、刃を隠すように本体下縁(13)の他側方から、保護アーム(8)を略水平方向(図例では円弧状)に突設している。
保護アーム(8)は、無負荷時には樹脂ケースの本体下縁(13)と略平行状に間隙空間(K)だけ開いた状態で下方に配設され、他側側を弾撥支点として上下方向揺動自在で裏ケース(1b)側に一体取付けしている。
間隙空間(K)は手指の入らない隙間として、安全性向上を図っている。
【0024】
そして、刃先(7a)対応の保護アーム(8)部に刃が通過するためのスリット(14)を開口しており、保護アーム(8)の一側部側に上動の荷重が作用すると、保護アーム(8)は、刃体(7)に非接触状態で本体下縁(13)に接当するまで上動し、保護アーム(8)が上動した分、刃先(7a)の突出先端部(7b)が外方に突出する。
(15)は逃げ溝であって、スリット(14)の上側に設けた、刃体収納箱(5)下端間との干渉防止溝である。
操作部(9)が、矢印イ方向へと実線から仮想線の間の動きで、連結具(11)が上動し、スリット(14)から下方突出する刃体(7)の突出先端部(7b)が小さくなることに伴ない、カッター刃としての切断深さが浅くなる。
【0025】
図例では、揺動規制部(10)に5〜10段の位置調節を設けており、紙切カッターの紙切断深さを、言い換えると、保護アーム(8)下縁からの突出量を、最小0mm(ミリメートル、以下同じ。)から最大0.5mm程度の突出深さ変更位置段階としているから、保護アーム(8)押圧時に対する刃体(7)の突出先端部(7b)寸法も、非突出とした安全係止位置から0.05mm乃至0.1mmの10〜5段の位置調節としている。
【0026】
このように図例の紙切カッターによれば、刃先(7a)の突出先端部(7b)が,保護アーム(8)のスリット(14)から外部に突出する量を0.05mm乃至0.1mm刻みに調節可能としている。
そこで切断する相手の紙厚一枚に応じて、事前に刃体収納箱(5)の摺動高さ位置を、操作部(9)の移動角度位置や、刃体収納箱(5)下係止面(5)の間隙空間(K)への出入量等を目視して、予測判断しておくことができる。
【0027】
身の回りの紙類を手近な物から挙げると、薄いと感じるテイッシュペーパーで0.04mm、財布に入れて邪魔になるレシートで0.05mm、週刊誌では、カラー刷りのアート紙部分が0.04〜0.05mm、紙用紙部が0.07mm、表紙部が0.14mmであり、厚目に感じる名刺で0.2mm程度である。
また、新聞紙は0.06mm、コピー用紙0.08mm、封筒0.1mm程度と、夫々、微妙に異なっている。(全て、実測定値。)
【0028】
これ等の、微差のある紙厚に対し、刃体(7)製作時の機械公差が0.05mm乃至0.1mm程度あるので、保護アーム(8)下縁から突出量「0mm」で製作したとしても、公差範囲内での突出や凹みを防止できないが、1段当たり0.05mm乃至0.1mmの刃体(7)突出先端部(7b)の寸法調節を、10段乃至5段の位置調節として、寸法公差精度を2倍程度向上可能な合成樹脂材の揺動規制部(10)で調節可能としているので、充分な刃先突出入調節を行なえる。
【0029】
即ち、新聞紙を一枚切り抜きたい場合厚み0.06mm程度なので、刃先(7a)の突出先端部(7b)を0.05mm突出可能(公差により開始基準端は、ズレている。)に調節している時は、ケース握持部(1)を強く新聞紙に押し付けて切断し、刃先(7a)の突出先端部(7b)を0.1mm突出可能に調節している時は、ケース握持部(1)を軽く弱く新聞紙に押し付けて切断すれば良い。
【0030】
そして、揺動アーム(3)の長手方向遠方側にある操作部(9)の大きな斜方向の揺動動きを、揺動アーム(3)の長手方向基部側に連結した連結具(11)の小さな上下方向揺動移動量に変換できるから、刃体収納箱(5)と刃先(7a)も連結具(11)を介して小さな直線方向動きとなり、精密な刃先突出先端部(7b)の突出量変更ができる。
また、保護アーム(8)の突出内端には荷重逃げ凹部(16)が設けられ、該荷重逃げ凹部(16)を設けることで、常に保護アーム(8)は肉厚の薄い凹部(16)で容易に撓みながら、他の、保護アーム(8)全体形状の変化を小さくしているから、切断操作調節が楽に行なえる。
【0031】
さらに、ケース握持部(1)は、正面視で縦長の略矩形状とし、ケース一方側に支点軸(2)や揺動アーム(3)、及び、案内レール(6)や刃体収納箱(5)等の主要部を偏在配置し、ケース他方側を外面の平坦部または内面空間部(H)としているので、ケース他方側の平坦部に広告宣伝文や社名を記載したシール紙を貼り付けたり、ケース空間部(H)を透明または半透明の材料とすることで、空間部に広告宣伝文や社名を記載したシール紙を挿入または貼り付けて、物品や会社名等の使用法や宣伝を容易に行なえる。
【実施例2】
【0032】
図6で、別実施例について説明する。
ケース握持部(1)を、正面視で横長の略矩形状とし、ケース一方側である左側に支点軸(2)や揺動アーム(3)、及び、案内レール(6)や刃体収納箱(5)等の主要部を偏在配置し、ケース右方側を外面の平坦部または内面空間部(H)として、ケース右方側の平坦部に広告宣伝文や社名を記載したシール紙を貼り付けたり、ケース空間部(H)を透明または半透明の材料とすることで、空間部に広告宣伝文や社名を記載したシール紙を挿入または貼り付けて、物品や会社名等の使用法や宣伝を容易に行なえる。
【符号の説明】
【0033】
1 ケース握持部 1a 表ケース
1b 裏ケース 1c 波状凹部
2 支点軸 2a 蓋内軸
3 揺動アーム 3a 長孔
3b 係合凸部 4 ボス
5 刃体収納箱 5a 下係止面
5b 下方加圧辺 6 案内レール
7 刃体 7a 刃先
7b 突出先端部 8 保護アーム
9 操作部 10 揺動規制部
11 連結具 11a 細首部
12 係止爪 13 本体下縁
14 スリット 15 逃げ溝
16 荷重逃げ凹部 H 内面空間部
K 間隙空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6