(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、サーマルヘッドを製造するにあたり、同一基板内の凹部の寸法にばらつきが生じたり、基板ごとの凹部の寸法にばらつきが生じたりしてしまう。そのため、従来の製造方法では、発熱効率のばらつきを抑えることができず、安定した品質のサーマルヘッドを製造することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、発熱効率が高く安定した品質のサーマルヘッドを製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明
の参考例としての発明は、平板状の第1基板および該第1基板に対して積層状態に配される平板状の第2基板の少なくとも一方の一表面に開口する溝部を形成する溝部形成工程と、該溝部形成工程により形成された前記溝部の幅寸法を測定する測定工程と、前記第1基板と前記第2基板とを前記溝部形成工程により形成された前記溝部の開口を閉塞するように積層状態に接合する接合工程と、該接合工程により前記第1基板に接合された前記第2基板を、前記測定工程により測定された前記溝部の幅寸法に基づいて設定される厚さまで薄板化する薄板化工程と、該薄板化工程により薄板化された前記第2基板の表面における前記溝部に対向する領域に発熱抵抗体を形成する抵抗体形成工程とを含むサーマルヘッドの製造方法を提供する。
【0008】
本発明によれば、接合工程により第1基板と第2基板とが積層状態に接合されて溝部形成工程により形成された溝部が閉塞されることにより、第1基板と第2基板との積層部分に空洞部を有する積層基板が形成される。また、抵抗体形成工程により形成する発熱抵抗体を溝部に対向して配置することで、空洞部が発熱抵抗体から第2基板を介して第1基板側に伝達される熱を遮断する中空断熱層として機能し、発熱効率の向上を図ることができる。
【0009】
この場合において、発熱効率は、溝部の寸法や第2基板の厚さ(発熱抵抗体から空洞部までの距離)等により決定される。本発明においては、薄板化工程により薄板化する第2基板の厚さを、測定工程によって測定される溝部の幅寸法に基づいて設定することで、溝部の幅寸法のばらつきを第2基板の厚さにより調節して相殺することができる。これにより、不良発生を低減し、発熱効率が高く安定した品質のサーマルヘッドを製造することができる。
【0010】
本発明
の参考例としての発明は、平板状の第1基板および該第1基板に対して積層状態に配される平板状の第2基板の少なくとも一方の一表面に開口する溝部を形成する溝部形成工程と、該溝部形成工程により形成された前記溝部の深さ寸法を測定する測定工程と、前記第1基板と前記第2基板とを前記溝部形成工程により形成された前記溝部の開口を閉塞するように積層状態に接合する接合工程と、該接合工程により前記第1基板に接合された前記第2基板を、前記測定工程により測定された前記溝部の深さ寸法に基づいて設定される厚さまで薄板化する薄板化工程と、該薄板化工程により薄板化された前記第2基板の表面における前記溝部に対向する領域に発熱抵抗体を形成する抵抗体形成工程とを含むサーマルヘッドの製造方法を提供する。
【0011】
本発明によれば、薄板化工程により薄板化する第2基板の厚さを、溝測定工程によって測定される溝部の深さ寸法により設定することで、溝部の深さ寸法のばらつきを第2基板の厚さにより調節して相殺し、発熱効率が高く安定した品質のサーマルヘッドを製造することができる。
【0012】
本発明は、平板状の第1基板および該第1基板に対して積層状態に配される平板状の第2基板の少なくとも一方の一表面に開口する溝部を形成する溝部形成工程と、該溝部形成工程により形成された前記溝部の幅寸法および深さ寸法を測定する測定工程と、該測定工程により測定された前記溝部の幅寸法および深さ寸法に基づいて前記第2基板の狙いの厚さを設定する条件設定工程と、前記第1基板と前記第2基板とを前記溝部形成工程により形成された前記溝部の開口を閉塞するように積層状態に接合する接合工程と、該接合工程により前記第1基板に接合された前記第2基板を、前記条件設定工程により設定された前記狙いの厚さまで薄板化する薄板化工程と、該薄板化工程により薄板化された前記第2基板の表面における前記溝部に対向する領域に発熱抵抗体を形成する抵抗体形成工程とを含み、前記条件設定工程が、前記溝部の幅寸法および深さ寸法の測定値から、以下の式を用いて前記狙いの厚さを設定するサーマルヘッドの製造方法を提供する。
c=ln(e
−0.0084×C×(1−0.0005×(a−A)+(0.0055×b
−0.69)×(b−B)))/−0.0084
ここで、c:
発熱抵抗体から溝部までの狙いの距離(μm)、A:溝部の幅の基本設計値(μm)、B:溝部の深さの基本設計値(μm)、C:
発熱抵抗体から溝部までの距離の基本設計値(μm)、a:溝部の幅の実際の測定値(μm)、b:溝部の深さの実際の測定値(μm)である。
【0013】
本発明によれば、第2の基板の厚さを溝部の幅寸法および深さ寸法に基づいて設定することで、溝部の寸法のばらつきを第2基板の厚さにより調節して精度よく相殺し、高発熱効率および高品質のサーマルヘッドを製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発熱効率が高く安定した品質のサーマルヘッドを製造することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の
参考例としての発明の一参考実施形態に係るサーマルヘッドの製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るサーマルヘッドの製造方法は、例えば、
図1および
図2に示すように、サーマルプリンタ(図示略)に用いられるサーマルヘッド10を製造するものである。本実施形態においては、
図3(a),(b)に示すような大型の支持基板(第1基板)12および上板基板(第2基板)14から複数のサーマルヘッド10を製造する方法について説明する。
【0017】
本製造方法は、
図4のフローチャートに示すように、平板状の支持基板12の一表面に開口する複数の凹部(溝部)21を形成する凹部形成工程(溝部形成工程)SA1と、凹部21の幅寸法および深さ寸法を測定する測定工程SA2と、上板基板14の加工条件を設定する条件設定工程SA3と、支持基板12と上板基板14とを積層状態に接合する接合工程SA4と、支持基板12に接合された上板基板14を薄板化する薄板化工程SA5と、薄板化された上板基板14の表面に発熱抵抗体15を形成する抵抗体形成工程SA6とを含んでいる。
【0018】
さらに、本製造方法は、上板基板14の表面に発熱抵抗体15に接続する電極部17A,17Bを形成する電極部形成工程SA7と、発熱抵抗体15および電極部17A,17Bを含む上板基板14の表面を部分的に覆う保護膜19を形成する保護膜形成工程SA8と、個々のサーマルヘッド10ごとに切り分ける切断工程SA9とを備えている。
以下、各工程について具体的に説明する。
【0019】
凹部形成工程SA1においては、支持基板12として、例えば、300μm〜1mm程度の厚さを有する絶縁性のガラス基板が用いられる。まず、大型の支持基板12を配分し、個々のサーマルヘッド10ごとに領域を分ける。例えば、
図3(a)においては、一方向に3つ、他方向に8つに分けた矩形状の領域が個々のサーマルヘッド10の領域となる。凹部形成工程SA1は、この支持基板12の一表面において、個々の各サーマルヘッド10の領域ごとに長手方向に延びる矩形状の凹部21を形成するようになっている(ステップSA1)。
【0020】
凹部21の幅と深さは、熱効率に関してはそれぞれ寸法が大きいほど効果的であるが、製品間の品質のばらつきを抑えるために所定の範囲内に抑える必要がある。また、凹部21の幅寸法が大きすぎると上板基板14の強度が弱くなる。また、凹部21の深さ寸法を大きくすることは製造コストの上昇に繋がるので好ましくない。
【0021】
凹部21は、例えば、支持基板12の一表面に、サンドブラスト、ドライエッチング、ウェットエッチング、レーザ加工、または、ドリル加工等を施すことによって形成することができる。サンドブラストによる加工を施す場合には、支持基板12の一表面にフォトレジスト材を被覆する。そして、所定パターンのフォトマスクを用いてフォトレジスト材を露光し、凹部21を形成する領域以外の部分を固化させる。
【0022】
その後、支持基板12の表面を洗浄し、固化していないフォトレジスト材を除去する。そうすると、凹部21を形成する領域にエッチング窓が形成されたエッチングマスク(図示略)が得られる。この状態で、支持基板12の表面にサンドブラストを施し、所定の深さの凹部21を形成する。
【0023】
また、ドライエッチングやウェットエッチング等のエッチングによる加工を施す場合には、上述したサンドブラストによる加工と同様に、支持基板12の一表面における凹部21を形成する領域にエッチング窓が形成されたエッチングマスクを形成する。この状態で支持基板12の表面にエッチングを施し、所定の深さの凹部21を形成する。
【0024】
エッチング処理には、例えば、フッ酸系のエッチング液等を用いたウェットエッチングのほか、リアクティブイオンエッチング(RIE)やプラズマエッチング等のドライエッチングを用いることができる。参考例として、支持基板が単結晶シリコンの場合は、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液、KOH溶液、または、フッ酸と硝酸の混合液等のエッチング液等によるウェットエッチングが行われる。
【0025】
次に、測定工程SA2は、例えば、測定顕微鏡、接触式の表面粗さ計、または、非接触式のレーザ変位計などを用いて、凹部21の幅寸法および深さ寸法を測定するようになっている(ステップSA2)。1枚の大型の支持基板12について複数の凹部21の幅寸法および深さ寸法を測定し、幅寸法および深さ寸法の平均をそれぞれ算出することが望ましい。
【0026】
次に、条件設定工程SA3は、測定工程SA2により測定された複数の凹部21の幅寸法の平均値と深さ寸法の平均値のデータに基づいて、上板基板14の加工条件を設定するようになっている(ステップSA3)。
【0027】
例えば、
図5(a)に示すように、凹部21の幅寸法を所定の寸法間隔で分けて評価点を付したランク表と、
図5(b)に示すように、凹部21の深さ寸法を所定の寸法間隔で分けて評価点を付したランク表を作成する。また、これらのランク表における凹部21の幅の評価点と深さの評価点の合計点から、
図6に示すような上板基板14の加工条件、すなわち、薄板化工程SA5における上板基板14の薄板化の狙い値(μm)を設定する。
【0028】
図7(a),(b)に示されるように、凹部21の幅寸法(μm)が大きいほど、サーマルヘッドの発熱効率が向上する傾向がある。
図7(a),(b)は、従来の一般的なサーマルヘッドと比較した発熱効率を示している。以下、
図8(a),(b)、
図9(a),(b)において同様である。
【0029】
また、
図8(a),(b)に示されるように、凹部21の深さ寸法(μm)が大きいほど、サーマルヘッドの発熱効率が向上する傾向がある。一方、
図9(a),(b)に示されるように、上板基板14の厚さが厚くなるほどサーマルヘッドの発熱効率が低減する傾向がある。
【0030】
そこで、例えば、
図5(a)に示す凹部21の幅のランク表では、凹部21の幅寸法の平均値(μm)が大きいほど評価点を高く設定し、平均値(μm)が小さいほど評価点を低く設定する。また、例えば、
図5(b)に示す凹部21の深さのランク表では、凹部21の深さ寸法の平均値(μm)が大きいほど評価点を高く設定し、平均値(μm)が小さいほど評価点を低く設定する。
【0031】
また、例えば、
図6に示す上板基板14の厚さの加工条件では、凹部21の幅寸法の評価点と深さ寸法の評価点の合計点が高いほど上板基板14の厚さの狙い値(μm)を大きく(厚く)するように設定し、合計点が低いほど上板基板14の厚さの狙い値(μm)を小さく(薄く)するように設定する。
【0032】
次に、接合工程SA4においては、支持基板12と同じ材料からなるガラス基板が上板基板14として用いられる。厚さが100μm以下のガラス基板は、製造やハンドリングが困難であり、また、高価である。そこで、当初から薄い上板基板14を支持基板12に接合するのではなく、製造やハンドリングが容易な厚さの上板基板14を支持基板12に接合し、その後、薄板化工程SA5により上板基板14を所望の厚さに加工するようになっている(ステップSA4)。
【0033】
接合工程SA4では、まず、支持基板12の表面からエッチングマスクを全て除去して洗浄する。そして、支持基板12の表面に全ての凹部21を閉塞するように上板基板14を貼り合わせる。例えば、室温にて接着層を用いずに上板基板14を支持基板12に直接貼り合わせる。
【0034】
支持基板12の一表面が上板基板14により覆われ、各凹部21の開口が閉塞されることで、支持基板12と上板基板14との間に複数の空洞部23が形成される。この状態で、張り合わせた支持基板12と上板基板14とを加熱処理し、これらを熱融着により接合する(ステップSA4)。以下、支持基板12と上板基板14とを接合したものを積層基板13という。
【0035】
次に、薄板化工程SA5は、条件設定工程SA3により設定された加工条件(
図6参照)に基づいて、積層基板13の上板基板14を薄板化するようになっている(ステップSA5)。上板基板14の薄板化はエッチングや研磨等により行う。例えば、上板基板14を10〜50μm程度の厚さに加工する。
【0036】
上板基板14のエッチングには、凹部形成工程SA1と同様に、各種エッチングを用いることができる。また、上板基板14の研磨には、例えば、半導体ウェーハ等の高精度研磨に用いられるCMP(ケミカルメカニカルポリッシング)等を用いることができる。
【0037】
次に、抵抗体形成工程SA6は、上板基板14の表面における各凹部21に対向する領域に、それぞれ複数の発熱抵抗体15を形成するようになっている(ステップSA6)。発熱抵抗体15は、各空洞部23の長手方向に所定の間隔をあけて配列され、それぞれ空洞部23を幅方向に跨ぐように形成される。
【0038】
発熱抵抗体15の形成には、スパッタリングやCVD(化学気相成長法)、または、蒸着等の薄膜形成法を用いることができる。上板基板14上にTa系やシリサイド系等の発熱抵抗体材料の薄膜を成膜し、この薄膜をリフトオフ法やエッチング法等を用いて成形することにより、所望の形状の発熱抵抗体15を形成することができる。
【0039】
次に、電極部形成工程SA7は、抵抗体形成工程SA6と同様に、スパッタリングや蒸着法等により、上板基板14上に電極材料を成膜するようになっている。そして、この膜をリフトオフ法やエッチング法を用いて成形したり、電極材料をスクリーン印刷した後に焼成したりして、電極部17A,17Bを形成するようになっている(ステップSA7)。電極材料としては、例えば、Al、Al−Si、Au、Ag、Cu、Pt等を用いることができる。
【0040】
電極部17A,17Bは、各発熱抵抗体15の配列方向に直交する方向の一端に接続される個別電極17Aと、全ての発熱抵抗体15の他端に一体的に接続される共通電極17Bとにより構成される。発熱抵抗体15や電極部17A,17Bを形成する順序は任意である。発熱抵抗体15および電極部17A,17Bにおけるリフトオフもしくはエッチングのためのレジスト材のパターニングでは、フォトマスクを用いてフォトレジスト材をパターンニングする。
【0041】
次に、保護膜形成工程SA8は、発熱抵抗体15および電極部17A,17Bが形成された上板基板14上に保護膜材料を成膜して保護膜19を形成するようになっている(ステップSA8)。保護膜材料としては、例えば、SiO
2、Ta
2O
5、SiAlON、Si
3N
4、ダイヤモンドライクカーボン等が用いられる。また、成膜方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD法等が用いられる。保護膜19を形成することにより、発熱抵抗体15および電極部17A,17Bを磨耗や腐食から保護することができる。
【0042】
次に、切断工程SA9は、大型の積層基板13を個々のサーマルヘッド10の領域ごとに切断するようになっている(ステップSA9)。本実施形態においては、1枚の大型の積層基板13から24個のサーマルヘッド10が形成される。
【0043】
このようにして製造されるサーマルヘッド10の作用について説明する。
個別電極17Aに選択的に電圧を印加すると、選択された個別電極17Aとこれに対向する共通電極17Aとが接続されている発熱抵抗体15に電流が流れて発熱する。発熱抵抗体15において発生した熱は、保護膜19側へ伝達されることにより印字等に利用される一方、一部が上板基板14を介して支持基板12側へも伝達される。
【0044】
表面に発熱抵抗体15が形成された上板基板14は、発熱抵抗体15において発生した熱を蓄える蓄熱層として機能する。一方、上板基板14と支持基板12との間に発熱抵抗体15に対向して配置される空洞部23は、発熱抵抗体15から支持基板12側へ熱が伝達されるのを抑制する中空断熱層として機能する。
【0045】
したがって、空洞部23により、発熱抵抗体15において発生した熱の一部が上板基板14を介して支持基板12側へ逃げるのを抑制することができる。これにより、発熱抵抗体15から保護膜19側へ伝達されて印字等に利用される熱量を増大し、利用効率の向上を図ることができる。
【0046】
この場合において、発熱効率は、凹部21の幅や深さ、上板基板14の厚さ(発熱抵抗体15から空洞部23までの距離)等により決定される。本実施形態に係るサーマルヘッドの製造方法では、薄板化工程SA5において、上板基板14を凹部21の幅寸法および深さ寸法に基づいて設定される厚さに加工することで、凹部21ごとの幅寸法や深さ寸法のばらつきを上板基板14の厚さにより調節して相殺することができる。これにより、不良発生を低減し、発熱効率が高く安定した品質のサーマルヘッド10を複数製造することができる。
【0047】
本発明の一実施形態は以下の通りである。
上記一参考実施形態においては、条件設定工程SA3において、凹部21の幅と深さの評価点を用いて上板基板14の加工条件を設定することとしたが、これに代えて、
本発明の一実施形態に係るサーマルヘッドの製造方法は、凹部21の幅寸法および深さ寸法の測定値から、以下の式を用いて加工条件(上板基板14の適正な厚さc(μm))を設定する
。
c=ln(e
−0.0084×C×(1−0.0005×(a−A)+(0.0055×b
−0.69)×(b−B)))/−0.0084
ここで、A:凹部21の幅の基本設計値(μm)、B:凹部21の深さの基本設計値(μm)a:凹部21の幅の実際の測定値(μm)、b:凹部21の深さの実際の測定値(μm)
【0048】
例えば、
図10(a)に示されるように、凹部21の幅の基本設計値Aを200(μm)、凹部21の深さの基本設計値Bを50(μm)、上板基板14の厚さの基本設計値Cを50(μm)、狙いの発熱効率Eを1.35(倍)とする。
図10(b)に示されるように、ある箇所において(測定値1)、凹部21の幅の実際の測定値aが218(μm)、深さの実際の測定値bが58(μm)の場合、上記式により、上板基板14の適正な厚さcは51.4(μm)となる。
【0049】
同様にして、別の箇所において(測定値2)、上凹部21の幅の実際の測定値aが183(μm)、凹部21の深さの実際の測定値bが43(μm)の場合、板基板14の適正な厚さcは48.7(μm)となる。さらに、別の箇所において(測定値3)、上凹部21の幅の実際の測定値aが204(μm)、凹部21の深さの実際の測定値bが52(μm)の場合、上板基板14の適正な厚さcは50.3(μm)となる。
このようにして、上記式を用いて、上板基板14の適正な厚さ、すなわち、薄板化工程SA5における上板基板14の狙い値(μm)を設定することとしてもよい。
【0050】
また、他の例として、
図11(a)に示されるように、凹部21の幅の基本設計値Aを280(μm)、凹部21の深さの基本設計値Bを180(μm)、狙いの発熱効率Eを1.24(倍)とする。とする。この場合、
図11(b)に示されるように、上記式により、ある箇所では(測定値1)、上板基板14の適正な厚さcは81.3(μm)となる。また、別の箇所では(測定値2)、上板基板14の適正な厚さcは78.8(μm)となる。さらに、別の箇所では(測定値3)、上板基板14の適正な厚さcは80.3(μm)となる。
【0051】
また、例えば、
図12(a)に示されるように、凹部21の幅の基本設計値Aを150(μm)、凹部21の深さの基本設計値Bを100(μm)、狙いの発熱効率Eを1.69(倍)とする。とする。この場合、
図12(b)に示されるように、上記式により、ある箇所では(測定値1)、上板基板14の適正な厚さcは26.1(μm)となる。また、別の箇所では(測定値2)、上板基板14の適正な厚さcは23.9(μm)となる。さらに、別の箇所では(測定値3)、上板基板14の適正な厚さcは25.2(μm)となる。
【0052】
このように、上記式を用いて上板基板14の加工条件を設定することで、上板基板14の厚さをより正確に調節し、凹部21ごとの幅寸法のばらつきを精度よく相殺することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上記実施形態においては、大型の積層基板13単位で上板基板14を加工することとしたが、個々のサーマルヘッド10ごとに凹部21の寸法を求め、サーマルヘッド10ごとに設定された厚さに上板基板14を加工することとしてもよい。このようにすることで、品質がより均一性に優れたサーマルヘッド10を製造することができる。また、個々のサーマルヘッド10ごとに予め切り分けられた支持基板12および上板基板14を用いて、サーマルヘッド10を個別に製造することとしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態においては、条件設定工程SA3において、凹部21の幅と深さの両方に基づいて上板基板14の厚さを設定することとしたが、これに代えて、凹部21の幅または深さのいずれか一方に基づいて上板基板14の厚さを設定することとしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、凹部形成工程SA1において、支持基板12に凹部21を形成することとしたが、支持基板12および上板基板14の少なくともいずれか一方に凹部21を形成することとすればよい。例えば、上板基板14の一表面に凹部を形成することとしてもよいし、支持基板12および上板基板14の両方に凹部を形成することとしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、接合工程SA4において、支持基板12と上板基板14とを熱融着により接合することとしたが、これに代えて、例えば、支持基板12と上板基板14とを極薄い接着層により接合することとしてもよいし、陽極接合することとしてもよい。厚い接着層により接合するのは熱効率上望ましくない。
【0057】
また、上記実施形態では、測定工程SA2後に接合工程SA4を行うこととしたが、非接触式のレーザ変位計を用いる場合は、接合工程後に凹部21の幅と深さを測定することも可能である。したがって、その場合は、接合工程後であって薄板化工程の直前に測定工程と条件設定工程を行うこととしてもよい。このようにした場合、製造管理上有利になる。