特許第5787265号(P5787265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5787265塗料残渣の捕集システムおよび塗料残渣の捕集方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5787265
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】塗料残渣の捕集システムおよび塗料残渣の捕集方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/04 20060101AFI20150910BHJP
   B01D 47/00 20060101ALI20150910BHJP
   C09D 7/00 20060101ALN20150910BHJP
   C02F 1/34 20060101ALN20150910BHJP
   C02F 1/68 20060101ALN20150910BHJP
【FI】
   B05B15/04 104
   B01D47/00 D
   !C09D7/00 A
   !C02F1/34
   !C02F1/68 510A
   !C02F1/68 510G
   !C02F1/68 520B
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-245748(P2014-245748)
(22)【出願日】2014年12月4日
【審査請求日】2014年12月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514309538
【氏名又は名称】TSK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】徳島 忠夫
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−212451(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3158159(JP,U)
【文献】 特許第5286580(JP,B2)
【文献】 特開平06−190317(JP,A)
【文献】 特開平08−182948(JP,A)
【文献】 特開平06−114210(JP,A)
【文献】 特開平08−071488(JP,A)
【文献】 特開平08−323255(JP,A)
【文献】 特開2006−102619(JP,A)
【文献】 特開2006−231238(JP,A)
【文献】 特開2005−125273(JP,A)
【文献】 米国特許第4484513(US,A)
【文献】 米国特許第5256308(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 15/00−15/12
B01D 47/00−47/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡入りのアルカリ水又は酸性水である機能水を生成するように構成された気泡入り機能水生成部と、
前記機能水により塗料残渣を捕集する、塗料捕集部と、
前記塗料捕集部から前記機能水を回収し、貯留する、貯留部と、
を備え
前記塗料捕集部は、ウォーターカーテン形成部材の壁面を前記機能水が水膜を形成するように流れ落ちるように構成されており、
前記塗料残渣は、前記水膜に衝突することにより捕集される
塗料残渣の捕集システム。
【請求項2】
前記機能水生成部は、前記気泡としてマイクロバブルを発生させるように構成されている、請求項1に記載された塗料残渣の捕集システム。
【請求項3】
前記気泡は、酸素、水素又は空気により形成される、請求項1または2に記載された塗料残渣の捕集システム。
【請求項4】
前記アルカリ水又は酸性水は、電気分解により得られるアルカリ電解水又は酸性電解水である、請求項1から3のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
【請求項5】
前記アルカリ水又は酸性水は、酸素オゾン又は活性水素、水素ガスを水に溶解させることにより得られるガス溶解水である、請求項1から4のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
【請求項6】
前記塗料残渣がカチオン性塗料に由来するものであり、
前記機能水のpHが、8〜14である、
請求項1から5のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
【請求項7】
前記塗料残渣がアニオン性塗料に由来するものであり、
前記機能水のpHが、1〜6である、
請求項1から5のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
【請求項8】
更に、前記貯留部における機能水のpHを測定するように構成された測定装置を備え、
前記機能水生成部は、前記測定装置の測定結果に基づいて、前記貯留部における機能水のpHがあらかじめ設定された値になるように、前記貯留部に前記アルカリ水又は酸性水を補充するように構成されている、
請求項1から7のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
【請求項9】
前記気泡入り機能水生成部は、
前記アルカリ水又は酸性水を生成する、機能水生成機と、
前記アルカリ水又は酸性水に気泡を発生させる泡発生器とを備え、
前記泡発生器は、前記貯留部を介することなく機能水生成機から前記アルカリ水又は酸性水を取得するように構成されている、
請求項1から8のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
【請求項10】
前記気泡入り機能水生成部は、
前記アルカリ水又は酸性水を生成する、機能水生成機と、
前記アルカリ水又は酸性水に気泡を発生させる泡発生器とを備え、
前記機能水生成機は、前記貯留部に前記機能水を供給するように構成されており、
前記泡発生器は、前記貯留部から前記機能水を取得するように構成されている、
請求項1から8のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
【請求項11】
気泡入りのアルカリ水又は酸性水である機能水を生成するステップと、
前記機能水により塗料残渣を捕集するステップと
前記捕集するステップの後に前記機能水を回収し、貯留するステップと、
を備え
前記捕集するステップは、
ウォーターカーテン形成部材の壁面を前記機能水が水膜を形成するように流れ落ちるように、前記機能水を供給するステップと、
前記塗料残渣を、前記水膜に衝突させることにより捕集するステップとを備える塗料残渣の捕集方法。
【請求項12】
前記塗料残渣がカチオン性塗料に由来するものであり、
前記機能水のpHが、8〜14である、
請求項11に記載された塗料残渣の捕集方法。
【請求項13】
前記塗料残渣がアニオン性塗料に由来するものであり、
前記機能水のpHが、1〜6である、
請求項11に記載された塗料残渣の捕集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車塗装ライン等で使用されるスプレイ塗装分野で未利用塗料残渣を効率よく捕集する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプレイ塗装ラインにおいては、通常、塗装対象物に付着しない未利用塗料残渣が80%程度存在し、この処理が問題になっている。塗料が油性塗料である場合、その処理にアルカリ水が使用されてきている。この場合、油性塗料は、アルカリ水中で鹸化され、析出する。その後、酸性水による中和処理が行われ、産業廃棄物として処理される。
【0003】
塗料の処理に関連して、特開平8-718号公報には、ウォーターカーテンにより飛散噴霧塗料を回収する噴霧塗料処理方法において、消臭等を目的とし、電圧を印加して酸化還元電位を200mV以下に下げた水(還元水)によってウォーターカーテンを形成する点が開示されている。
【0004】
また、特許第5286580号には、有機溶剤系スプレーミストの捕集を行う方法において、スプレーミストを強アルカリ電解水を含みpHが9以上でORPは+200mV以下に保たれた水に直接高速で接触させ衝突させてスプレーミストを捕集する工程と、スプレーミストが捕集された強アルカリ電解水を含む水から生成した固形分を分離する工程を含むことを特徴とする有機溶剤系スプレーミストの処理方法が開示されている。この公報の明細書の記載によれば、強アルカリ電解水生成機から貯留槽に強アルカリ電解水が供給され、貯留槽に蓄えられた強アルカリ電解水により、スプレーミストが捕集され、分離槽に送られる。
【0005】
また、近年、油性塗料溶媒の人体への障害および環境対策として、水性塗料が広く用いられてきている。これに関連して、特開2006−181503号公報には、水系塗料を使用する塗装ブースであっても塗料捕集用循環水から塗料成分を簡便に分離抽出することができる塗装ブース循環水の処理方法を提供することを課題とした発明が開示されている。この塗装ブース循環水の処理方法は、塗装ブースの塗料捕集用循環水にアルカリ性溶液を添加するステップと、前記アルカリ性溶液が添加された循環水を濾過して濾液と残渣に分離するステップと、前記濾液を中和するステップと、前記中和された濾液を塗料捕集用循環水として再利用するステップとを有している。また、アルカリ性水溶液として、アルカリ性電解水を用いることも開示されている。この公報の明細書の記載によれば、捕集されたオーバースプレー塗料を含んだ循環水が第1のタンクに導かれ、第1のタンクにアルカリ性溶液添加装置からアルカリ性溶液が添加され、それによって分散していた塗料樹脂成分がゲル化する。
【0006】
更に、特開2008-119612号公報には、凝集剤を用いて凝集させた塗料スラッジを、マイクロバブルによって浮上分離させる点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8-718号公報
【特許文献2】特許第5286580号
【特許文献3】特開2006−181503号公報
【特許文献4】特開2008−119612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特開平8-718号公報に記載された発明によれば、電気的処理により酸化還元電位を引き下げた水によって飛散噴霧塗料を回収することにより、消臭作用が得られる。しかしながら、特開平8-718号公報には、塗料を捕集した後、捕集した塗料を水中で析出させて回収することに関する記載はない。すなわり、塗料残渣を析出させて回収する点は考慮されていない。
【0009】
一方、特許第5286580号及び特開2006−181503号公報に記載された発明によれば、アルカリ電解水等のアルカリ性溶液が塗料を捕集する水として用いられる。捕集された塗料残渣は、水中で析出させられ、回収される。しかしながら、塗料残渣を析出させるためには、塗料を捕集する水の特性(pH及びORP等)を、塗料残渣が析出するような範囲に維持しなければならない。塗料捕集水のpH及びORP等は、生成後の時間経過に伴い、変動する場合がある。例えば、マイナスのORP値を有するアルカリ電解水の場合、密閉空間でない限り、そのORPの値は、超純水中でも1時間程度で200mV程度にまで劣化し通常の水では含有不純物及びガスで極短時間で劣化が進む。これは空気中の炭酸ガス等とアルカリ電解水とが反応するためである。塩類を含む硬水を利用して電解水を生成した場合、ORPの劣化速度は更に早くなる。そのため、塗料を捕集する水のpH及びORP等を所望する値に維持するため、貯留槽又はタンクに新鮮なアルカリ性溶液を常時供給し続ける必要があり、大量のアルカリ性溶液が必要になる。その結果、塗料残渣の処理に要する費用が増加する。また、アルカリ性溶液としてアルカリ電解水を用いる場合、電解水が高コストであることから、更に処理費用が増加する。
【0010】
加えて、塗料が水性塗料である場合、塗料残渣の析出はさらに難しくなる。また、水性塗料には、カチオン性やアニオン性のものがあり、水性塗料の種類に応じて析出に必要なpH及びORP等が異なりそのため、塗料捕集用水のpH及びORP値を更に厳しく管理しなければならず、更に大量の薬液を特性維持のために投入する必要がある。更には、水性塗料の種類(アニオン性、カチオン性)によっては、単アルカリ性溶液を用いただけでは塗料残渣が析出しない場合もある。
従って、pH及びORP値が多少変動した場合であっても十分に塗料残渣を析出できるようにするため、塗料残渣の析出を促進させる化学反応を強化することができる技術が求められている。
【0011】
尚、特開2008-119612号公報に記載された発明によれば、マイクロバブル又はナノバブルを用いることにより、油脂又は塗料スラッジ等の分離対象物が槽内処理液中において浮上分離させられる。しかしながら、この発明は、マイクロバブルは撹拌作用が大きくないので静止貯留槽中での反応促進には課題が残った。また、塗料が水性塗料である場合水性塗料は極性があり処理水との化学反応時間も異なるので、単なる処理水とマイクロバブルを貯留槽中で用いただけでは塗料残渣が析出しないこともある。
【0012】
すなわち、本発明の課題は、塗料残渣を効率的に析出させることができる、塗料残渣の捕集システムおよび塗料残渣の捕集方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、塗料捕集水として、気泡が混入したアルカリ水又は酸性水を塗料捕集部及び必要に応じて貯留槽にも併用することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の事項を含んでいる。
〔1〕気泡入りのアルカリ水又は酸性水である機能水を生成するように構成された気泡入り機能水生成部と、
前記機能水により塗料残渣を捕集する、塗料捕集部と、
前記塗料捕集部から前記機能水を回収し、貯留する、貯留部と、
を備える
塗料残渣の捕集システム。
〔2〕前記機能水生成部は、前記気泡としてマイクロバブルを発生させるように構成されている、前記〔1〕に記載された塗料残渣の捕集システム。
〔3〕前記気泡は、酸素、水素又は空気により形成される、前記〔1〕または〔2〕に記載された、塗料残渣の捕集システム。
〔4〕前記アルカリ水又は酸性水は、電気分解により得られるアルカリ電解水又は酸性電解水である、前記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の塗料残渣の捕集システム。
〔5〕前記アルカリ水又は酸性水は、オゾン又は水素ガスを水に溶解させることにより得られるガス溶解水である、前記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の塗料残渣の捕集システム。
〔6〕前記塗料残渣がカチオン性塗料に由来するものであり、
前記機能水のpHが、8〜14である、
前記〔1〕から〔5〕のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
〔7〕前記塗料残渣がアニオン性塗料に由来するものであり、
前記機能水のpHが、1〜6である、
前記〔1〕から〔5〕のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
〔8〕更に、前記貯留部における機能水のpHを測定するように構成された測定装置を備え、
前記機能水生成部は、前記測定装置の測定結果に基づいて、前記貯留部における機能水のpHがあらかじめ設定された値になるように、前記貯留部に前記アルカリ水又は酸性水を補充するように構成されている、
前記〔1〕から〔7〕のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
〔9〕前記気泡入り機能水生成部は、
前記アルカリ水又は酸性水を生成する、機能水生成機と、
前記アルカリ水又は酸性水に気泡を発生させる泡発生器とを備え、
前記泡発生器は、前記貯留部を介することなく機能水生成機から前記アルカリ水又は酸性水を取得するように構成されている、
前記〔1〕から〔8〕のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
〔10〕前記気泡入り機能水生成部は、
前記アルカリ水又は酸性水を生成する、機能水生成機と、
前記アルカリ水又は酸性水に気泡を発生させる泡発生器とを備え、
前記機能水生成機は、前記貯留部に前記機能水を供給するように構成されており、
前記泡発生器は、前記貯留部から前記機能水を取得するように構成されている、
前記〔1〕から〔8〕のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
〔11〕前記塗料捕集部は、前記機能水によるウォーターカーテンを形成するように構成されている
前記〔1〕から〔10〕のいずれかに記載された塗料残渣の捕集システム。
〔12〕気泡入りのアルカリ水又は酸性水である機能水を生成するステップと、
前記機能水により塗料残渣を捕集するステップと
前記捕集するステップの後に前記機能水を回収し、貯留するステップと、
を備える
塗料残渣の捕集方法。
〔13〕前記塗料残渣がカチオン性塗料に由来するものであり、
前記機能水のpHが、8〜14である、
前記〔12〕に記載された塗料残渣の捕集方法。
〔14〕前記塗料残渣がアニオン性塗料に由来するものであり、
前記機能水のpHが、1〜6である、
前記〔12〕に記載された塗料残渣の捕集方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、塗料残渣を効率的に析出させることができる、塗料残渣の捕集システムおよび塗料残渣の捕集方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の捕集システムの概要を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る捕集システムを示す図である。
図3図3は、第2の実施形態に係る捕集システムを示す図である。
図4図4は、第3の実施形態に係る捕集システムを示す図である。
図5図5は、実施例で用いた捕集システムを示す概略図である。
図6図6は、貯留槽に貯留された機能水の効果を示す実施例の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る塗料残渣の捕集システム10の概要を示すブロック図である。図1に示されるように、この捕集システム10は、気泡入り機能水生成部6、塗装ブース1(塗料捕集部)、及び貯留槽2(貯留部)を備えている。
【0017】
この捕集システム10では、気泡入り機能水生成部6が、気泡入りのアルカリ水又は酸性水である機能水を生成する。生成された機能水は、塗装ブース1に供給される。塗装ブース1では、塗装ノズル9から被塗装物8に塗料が吹き付けられ、スプレイ塗装が行われる。ここで、被塗装物8に付着しなかった塗料残渣は、機能水により捕集される。塗料残渣を捕集した機能水は、塗装ブース1から貯留槽2に送られ、貯留槽2に貯留される。貯留槽2では、機能水中で塗料残渣が析出し、沈殿または浮遊する。沈殿または浮遊した塗料残渣は、適当な手段によって回収される。
【0018】
ここで、本発明によれば、気泡を有する機能水によって塗料残渣が捕集される。その結果、機能水中で気泡が消滅するときに発生する衝撃波が、塗料残渣粒子と機能水との反応を促進し、塗料残渣の析出反応を促進する。また、液中の気泡により、塗料残渣と機能水とが攪拌され、塗料残渣粒子表面の官能基と新鮮な機能水との接触確率が増大し、析出反応を促進する。これらの結果、析出処理が難しい水性塗料を用いた場合であっても、速やかに塗料残渣を析出させることができる。
また、本発明によれば、塗装ブース1に気泡を有する機能水が供給される。すなわち、貯留槽内の液にのみ気泡を発生させる場合とは異なり、スプレイ塗装時に生じた塗料残渣は、気泡を有する機能水に接触することになる。その結果、接触時の衝撃によって、塗料残渣と機能水との反応がさらに促進され、より速やかに塗料残渣を析出させることができる。
また、析出反応が促進されるため、貯留槽2中の機能水の特性(pHなど)が多少変動した場合であっても、塗料残渣を析出させることができる。従って、貯留槽2における機能水の特性を維持する為、貯留槽2にアルカリ水又は酸性水を補充する必要が無い。その結果、機能水生成に要するコストを抑えることができる。
【0019】
以下に、捕集システム10の構成について詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態に係る捕集システム10を示すブロック図である。本実施形態では、気泡入り機能水生成部6が、機能水生成機3及び泡発生器4を備えている。機能水生成機3は、アルカリ水又は酸性水を機能水として生成する機能を有している。泡発生器4は、機能水生成機3から機能水を取得し、機能水に気泡を発生させ、塗装ブース1に供給する。
【0021】
[機能水生成機3]
処理対象となる塗料残渣がアンモニウム基等を有するカチオン性の水性塗料に由来するものである場合、機能水生成機3は、機能水としてアルカリ水を生成することが好ましい。アルカリ水を用いることにより、貯留槽2において、塗料残渣の表面電荷が失われ、塗料成分が析出する。具体的には、樹脂成分が浮遊スラッジとして浮遊し、顔料成分(多くの場合金属成分)が沈殿物として沈殿する。その結果、樹脂成分と顔料成分とを分離回収することができる。
また、この場合、機能水生成機3により生成される機能水のpHは8〜14であることがより好ましい。pHが8未満である場合、カチオン性の塗料残渣の析出反応が十分に進行せず、析出が不十分になる傾向にある。一方、pHが14を超える場合、機能水の生成が難しくなり、機能水生成に要するコストが増加してしまう。
更に、この場合、生成される機能水の酸化還元電位ORP(Ag/AgCl電極)は、−1000mV〜−200mVであることがより好ましい。ORPが−200mVを超える場合、カチオン性の塗料残渣の析出反応が十分に進行せず、析出が不十分になる傾向にある。ORPが−1000mV未満である場合、機能水生成に要するコストが増加してしまう。
【0022】
一方、処理対象となる塗料残渣が、カルボキシル基等を有するアニオン性の水性塗料に由来するものである場合、機能水生成機3は、機能水として酸性水を生成することが好ましい。酸性水を用いることにより、アニオン性である塗料残渣の表面電荷が失われ、塗料が析出する。この場合も、貯留槽2において、樹脂成分は浮遊スラッジとして浮遊し、顔料成分(多くの場合金属成分)は沈殿物として沈殿し、樹脂成分と顔料成分とを分離回収することができる。
この場合、生成される機能水のpHは1〜6であることが好ましい。pHが6を超える場合、塗料残渣の析出が不十分となる傾向にある。一方、機能水のpHが1未満である場合、機能水生成に要するコストが増加する傾向にある。また、生成される機能水のORPは200mV〜1200mVであることが好ましい。ORPが200mV未満である場合、塗料残渣の析出が不十分となる傾向にある。一方、ORPが1200mVを超える場合、機能水の生成が難しくなり、機能水生成に要するコストが増加する傾向にある。
【0023】
本実施形態に係る捕集システム10は、捕集対象となる塗料残渣が油性塗料に由来する場合にも適用することができる。この場合、機能水生成機3は、機能水としてアルカリ水を用いることが好ましい。アルカリ水を用いることにより、貯留槽2において塗料残渣中の樹脂成分が鹸化され、析出する。また、顔料成分(例えば金属成分)も析出し、沈殿する。樹脂成分は貯留槽2において浮遊スラッジとして浮遊し、顔料成分は沈殿物として析出するので、樹脂成分と顔料成分とを分離回収することができる。
【0024】
機能水としては、例えば、下記のいずれか、またはこれらの組み合わせを用いることができる。
(1)水溶液中でアルカリ性を示す薬剤(例えば、NaOH、Na2CO3)または酸性を示す薬剤(例えば塩酸)の水溶液
(2)水の電気分解により得られる電解水
(3)活性酸素又は活性水素を酸アルカリ添加水に溶解させて得られるガス溶解水
【0025】
このうち、水の電気分解によってアルカリ水又は酸性水を得る場合、機能水生成機3は、陽極、陰極及び隔膜によって構成することができる。隔膜は陽極と陰極との間に配置される。このような構成を有する機能水生成機3において、必要に応じて電解質(NaCl等)を含む水を電気分解することにより、陽極から酸性電解水を得ることができ、陰極からアルカリ電解水を得ることができる。なお、隔膜としては、例えば、水素イオンしか通さないナフイオン等のプロトン伝導膜、及び金属イオンも通過させる素焼のセラミック膜等を使用することができる。また電極材料としては、例えば、白金、チタン及び黒鉛電極等を使用することができる。電解水のpH及びORPは、電気伝導度を維持するために使用される電解質の材質、添加量及び通電電気量によって制御することができ、例えば、アルカリ電解水として、pHが8から13であり、ORPが−200mvから−1000mVである機能水を得ることができる。電解水は、水クラスター分子半径が小さく、表面張力も減少するので、塗料分子と反応しやすく、塗料残渣を析出させやすい。
【0026】
また、電解水を得る場合、機能水生成機3の水源は、貯留槽2であってもよいし、貯留槽2とは別の水源であってもよい。但し、機能水生成機3の水源は、貯留槽2とは別であることが好ましい。貯留槽2の機能水を再電解する場合には、貯留槽2と機能水生成機3とを配管により接続し、配管の途中に塗料残渣粒子を除去するためのフィルタ等を設けなければならない。貯留槽2とは別の水源を用いれば、フィルタなどに要するコストを低減することができる。
【0027】
機能水がガス溶解水である場合、機能水生成機3は、酸素、オゾン又は活性水素、水素ガスを水に溶解させるように構成される。
ガス溶解水を用いた場合、単に薬剤を用いて調製したアルカリ水又は酸性水を用いる場合よりも、塗料残渣と機能水との反応を早めることができる。
また、機能水としてガス溶解水を用いれば、電解水を用いて機能水を生成する場合と異なり、電極材料や隔膜の清掃及び交換が必要なくなり、費用を抑えることができる。また、単にアルカリ性薬剤や酸性薬剤を添加して得られたアルカリ水又は酸性水とは異なり、広範な範囲で所望するOPRを有する機能水を得ることができる。
【0028】
[泡発生器4]
泡発生器4は、機能水に気泡を発生させる機能を有している。
気泡としては、マイクロバブルが好ましく用いられる。ここで、マイクロバブルとは、直径が10〜1000μmである気泡のことを言う。マイクロバブルの直径は、好ましくは、50〜500μmである。直径が10μm未満である場合、マイクロバブルの製造コストが高くなる傾向にある。また、十分な撹拌効果が得られない場合がある。直径が1000μmを超える場合、バブル破裂時の衝撃波圧力が減少し、塗料捕集水と塗料残渣の化学反応の促進効果が十分に得られない場合がある。必要に応じて撹拌効果を増す場合はマイクロバブルに大きな気泡を混合して用いても良い
また、気泡は、酸素、水素又は空気により形成されることが好ましい。
【0029】
泡発生器4は、例えば、以下の(1)〜(3)の構成により、マイクロバブルを発生させることができる。
(1)泡発生器4は、機能水と気体(酸素、水素又は空気)との混合物を、高速で回転する攪拌部材(高速ギア)中を通通させることにより、マイクロバブルを生成するように構成される。
(2)泡発生器4は、高圧下で気体(酸素、水素又は空気)を強制的に機能水に溶解させるように構成される。高圧下で気体を溶解させた機能水を放出することにより、減圧によって溶解度が減少し、結果として放出されるガスからマイクロバブルが生成される。
(3)泡発生器4は、特殊高分子膜に、気体(酸素、水素又は空気)と機能水との混合物を通過させるように構成される。特殊高分子膜としては、例えば、フッ素含有多孔質高分子膜が挙げられる。特殊高分子膜を通過させることにより、マイクロバブルを生成することができる。
なお、本発明には、上記(1)〜(3)の手法のうち、(2)及び(3)の手法が適している。
【0030】
泡発生器4で生成された気泡入り機能水は、塗装ブース1に加え、直接貯留槽2にも供給されることが好ましい。この場合、貯留槽2の側面または底面から、気泡を発生させた機能水が貯留槽2に供給されることが好ましい。
【0031】
[塗装ブース1]
塗装ブース1は、被塗装物8にスプレイ塗装が行われる空間である。塗装ブース1では、例えば、気泡入り機能水によってウォーターカーテン(水膜)が形成される。すなわち、塗装ブース1に設けられたウォーターカーテン形成部材の壁面を、気泡入り機能水が水膜を形成するように流れ落ちる。そして、スプレイ塗装時に生じた塗料残渣が、ウォーターカーテンに衝突し、気泡入り機能水により捕集される。気泡入り機能水によって形成されたウォーターカーテンに塗料残渣が衝突するため、衝突時の衝撃と気泡の効果により、塗料残渣と機能水分子とがより激しく触れ合い、析出反応をより促進させることができる。但し、塗装ブース1において、必ずしも気泡入り機能水がウォーターカーテンを形成する必要は無い。例えば、塗装ブース1は、気泡入り機能水が水平方向に沿って流れるように構成されていてもよい。この場合、塗装残渣は、気泡入り機能水により形成される水面において、気泡入り機能水により捕集される。
【0032】
[貯留槽2]
貯留槽2は、塗料残渣を捕集した機能水を貯留できるように構成されていればよく、特に限定されるものではない。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、気泡入りのアルカリ水又は酸性水を用いて塗料残渣が捕集されるため、気泡の作用によって塗料残渣と機能水との反応を促進することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。図3は、本実施形態に係る捕集システム10を示す概略図である。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、機能水の流れが変更されている。その他の点については、第1の実施形態と同様の構成を採用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0035】
図3に示されるように、本実施形態では、機能水生成機3が、貯留槽2に機能水を供給する。一方、泡発生器4は、貯留槽2から機能水を取得し、気泡を発生させる。尚、貯留槽2に貯留された機能水には、析出した塗装残渣が含まれている。従って、貯留槽12と泡発生器4とを接続する配管には、塗装残渣などの不純物を除去するためのろ過装置(フィルタ)などが設けられる(図示せず)。
【0036】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。加えて、フィルタ等を設ける必要があるものの、機能水を循環させることができ、塗装残渣の析出処理に必要な機能水の使用量をより低減することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。図4は、本実施形態に係る捕集システム10を示す概略図である。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、測定装置7が追加されている。また、機能水生成機3は、泡発生器4に加えて、貯留槽2にも機能水を供給するように構成されている。その他の点については、既述の実施形態と同様の構成を採用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0038】
測定装置7は、貯留槽2中の機能水のpH及び/又はORPを測定するように構成されている。測定装置7による測定結果は、機能水生成機3に通知される。機能水生成機3は、pH及び/又はORPの測定結果に基づいて、貯留槽2の塗料捕集水のpH及び/又はORPがあらかじめ設定された値になるように、機能水を貯留槽2に補充する。
【0039】
本実施形態によれば、貯留槽2において、所望するpH及び/又はORPになるように機能水が補充されるので、塗料残渣を析出させるのに必要なpH及び/又はORPを維持することができる。また、必要な時にだけ機能水を補充すればよいので、機能水の使用量を節約することもできる。更に、既述の実施形態で述べたように、気泡入りの機能水を用いているため、多少pH及びOPPが変動した場合であっても塗料残渣を析出させることができるため、pH及びORPを維持する為に補充される機能水は少量でよく、機能水生成に要するコストを低減できる。
【0040】
以上、本発明について第1〜第3の実施形態を用いて説明したが、これらの実施形態は独立するものではなく、矛盾のない範囲内で組み合わせて用いることも可能である。
(実験例)
【0041】
以下、本発明について実験例を挙げて詳細に説明する。但し、本発明は以下に示す実験例に何ら限定されるものではない。
【0042】
[油性塗料使用時、中性水又はアルカリ電解水使用時におけるマイクロバブルの効果の検討]
例1
図5に示されるように、実験用の捕集システムを用意した。この捕集システム10を用いて、機能水生成機3から機能水を貯留槽2に供給した。泡発生器4により、貯留槽2から機能水をくみ上げ、高速ギアを用いた攪拌部材によってマイクロバブルを発生させた。マイクロバブルを含む機能水を、泡発生器4から塗装ブース1の側面上部に、ウォーターカーテン5が形成されるように供給した。塗装ブース1において、ウォーターカーテン5に油性塗料を吹き付けた。塗装ブース1の側面を流れ落ちた機能水を、貯留槽2に貯留した。また、泡発生器4からマイクロバブルを含む機能水を貯留槽2にも直接供給した。
ここで、機能水としては、NaCl水溶液を電気分解して得られたアルカリ電解水(pH=9.2)を使用した。
貯留槽2に貯留された機能水から塗料残渣をすくい上げ、その分散状態を評価した。評価は、4段階で行い、塗料が手に付かずに塗料の塊として採取できた場合を「◎」、手に塗料が付着して取れない場合を「×」とし、それらの中間を「◎」から順に「〇」、「△」とした。
例2
機能水として、アルカリ電解水に代えて中性の水を用いた。また、泡発生器4によるマイクロバブルの生成を行わず、マイクロバブルを有さない中性の水を塗装ブース1及び貯留槽2に供給した。その他の点は例1と同様の条件を用い、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
例3
機能水に代えて、中性の水を用いた。その他の点については、例1と同様の条件を用い、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
例4
マイクロバブルを発生させること無く、アルカリ電解水を塗装ブース1に供給した。その他は例1と同様の条件を用いて、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
【0043】
例1〜4の結果を下記表に示す。
【表1】
表1に示されるように、例1では、例2〜4と比較して、塗装残渣を塊として採取しやすく、貯留槽2から塗装残渣を除去しやすいことが確認された。すなわち、機能水としてアルカリ電解水にマイクロバブルを発生させた液を用いて塗料残渣を捕集することにより、塗装残渣が析出しやすくなることが確認された。
また、例2と例3とを比較すると、例3の方が塗装残渣を塊として採取しやすい傾向にあった。すなわち、塗料が油性塗料である場合、マイクロバブルを用いることにより、塗装残渣が析出しやすくなる傾向にあることが確認された。
例3と例4とでは、差はあまり観察されなかったが、例4の方がやや塗装残渣を塊として採取しやすい傾向にあった。これは、電解水の方が分子サイズが小さく、塗装残渣が析出しやすいためであると思われる。
【0044】
[薬剤を使用してアルカリ水を調製した場合におけるマイクロバブルの効果の検討]
例5
機能水として、Na2CO3を添加することによりpHを9.2に調整したアルカリ水を使用した。その他の条件は例1と同じとし、貯留槽2中の液における塗装残渣の分散状態を評価した。
例6
例5と同様の条件で、マイクロバブルを発生させずに、機能水を塗装ブース1に供給し、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
【0045】
例5及び例6の結果を下記表に示す。
【表2】
表2に示されるように、例5の方が例6よりも良好な結果が得られた。すなわち、アルカリ電解水ではなく、Na2CO3等の薬剤を用いてアルカリ性になるように水のpHを調整した液を用いた場合であっても、マイクロバブルを発生させることにより、塗装残渣の析出を促進できることが確認された。
【0046】
[カチオン性水性塗料使用時における、マイクロバブルの効果の検討]
例7
塗料として、アンモニウム基が付与された水性塗料を用いた。また、機能水として、HClによりpHを3.2に調整した酸性水を用いた。また、マイクロバブルを発生させること無く、機能水を塗装ブース1に供給した。その他の条件は例1と同じとし、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
例8
機能水として、Na2CO3によりpHを9.2に調整したアルカリ水を用いた。その他の条件は例7と同じとし、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
例9
機能水にマイクロバブルを発生させ、塗装ブース1に供給した。その他の条件は例7と同じとし、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
例10
機能水にマイクロバブルを発生させ、塗装ブース1に供給した。その他の条件は例8と同じとし、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
【0047】
例7〜10の結果を下記表に示す。
【表3】
表3に示されるように、例10は、例7〜9と比較して、塗料残渣を塊として採取しやすい傾向にあった。すなわち、アンモニウム基が付与された水性塗料、すなわちカチオン性の水性塗料を用いた場合には、機能水としてアルカリ水を用い、マイクロバブルを発生させることで、塗装残渣の析出が促進することが確認された。
一方、例7と例9とを比較すると、塗装残渣の分散状態に差は無かった。すなわち、塗料が水性塗料である場合、マイクロバブルを用いているのにもかかわらず、塗料残渣の析出に差は生じない場合があることが確認された。
【0048】
[アニオン性水性塗料使用時における、マイクロバブルの効果の検討]
例11
塗料として、カルボキシル基が付与された水性塗料を用いた。また、機能水として、HClによりpHを3.2に調整した酸性水を用いた。また、マイクロバブルを発生させること無く、機能水を塗装ブース1に供給した。その他の条件は例1と同じとし、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
例12
機能水として、Na2CO3によりpHを9.2に調整したアルカリ水を用いた。その他の点については例11と同じ条件を採用し、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
例13
機能水にマイクロバブルを発生させ、塗装ブース1に供給した。その他の条件は例12と同じとし、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
例14
機能水にマイクロバブルを発生させ、塗装ブース1に供給した。その他の条件は例11と同じとし、貯留槽2における塗装残渣の分散状態を評価した。
【0049】
例11〜14の結果を下記表に示す。
【表4】
表4に示されるように、例14は、例11〜13と比較して、塗料残渣を塊として採取しやすい傾向にあった。すなわち、カルボキシル基が付与された水性塗料(アニオン性の水性塗料)を用いた場合には、機能水として酸性水を用い、マイクロバブルを発生させることで、塗装残渣の析出が促進することが確認された。
一方、例12と例13とを比較すると、塗装残渣の分散状態に差は無かった。すなわち、塗料が水性塗料である場合、マイクロバブルを用いているのにもかかわらず、塗料残渣の析出に差は生じない場合があることが確認された。
【0050】
また、図6は、例1における貯留槽2中の機能水を採取して得た写真である。図5に示されるように、塗料残渣のうち、樹脂成分は浮遊スラッジとして浮遊し、顔料成分(金属成分)は体積スラッジとして沈殿している。
【0051】
上記の実験例に示されるように、塗料残渣処理において所定の機能水にマイクロバブルを発生させ塗装ブース又は塗装ブースと貯留槽に供給することにより、気泡消滅時の圧力及びバブルによる攪拌効果により、塗料と機能水の化学反応が促進され、処理が難しい水性塗料にも大きな効果があることが判明した。
また、塗料が水性塗料である場合、単にマイクロバブルを用いるだけでは塗料残渣の析出状態は変化しない場合があることが確認された。すなわち、水性塗料の種類に応じて、アルカリ性又は酸性の機能水とマイクロバブルとを組み合わせることにより初めて塗料残渣の析出反応が促進することが確認された。
【符号の説明】
【0052】
1:塗装ブース(捕集部)
2:貯留槽
3:機能水生成機
4:泡発生器
5:ウォーターカーテン
6:気泡入り機能水生成部
7:測定装置
8:被塗装体
9:塗装ノズル
10:塗料残渣の捕集システム
【要約】
【課題】塗料残渣を速やかに析出させることができる、塗料残渣の捕集システムおよび塗料残渣の捕集方法を提供すること。
【解決手段】塗料残渣の捕集システムは、気泡入りのアルカリ水又は酸性水である機能水を生成するように構成された気泡入り機能水生成部と、前記機能水により塗料残渣を捕集する、塗料捕集部と、前記塗料捕集部から前記機能水を回収し、貯留する、貯留部とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6