【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は
、筒状の固体電解質層と、この固体電解質層の内周部に積層形成された第1の電極層と、この固体電解質層の外周部に積層形成された第2の電極層とを有する筒状MEA(Membrane Electrode Assembly)を備えて構成されるガス分解素子であって、上記筒状MEAの一端部を封止して形成される封止部と、上記筒状MEAの他端部側から上記筒状MEAの内部空間に挿入されて、上記筒状MEAの内周面との間に筒状流路を形成するガス誘導パイプとを備え、上記ガス誘導パイプ内を上記封止部に向けて流動するガスを、上記封止部近傍において上記ガス誘導パイプ内から流出させることにより反転流動させ、上記筒状流路を上記ガス誘導パイプ内の流れと反対方向に向けて流動させながら第1の電極層に作用させて分解するように構成し
、上記ガス誘導パイプ内に、上記流動ガスとの接触面積を増加させて熱伝導を促進する加熱促進手段を設け
るとともに、上記第1の電極層の内周面に導電性の金属メッシュシートを配置し、この金属メッシュシートの端部を、上記封止部近傍において上記ガス誘導パイプに接続することにより、上記第1の電極層と上記ガス誘導パイプとを導通させて構成されている。
【0011】
本願発明に係るガス分解素子においては、分解されるガスが、上記筒状MEA内で軸方向に往復流動させられる。
【0012】
上記構成を採用することにより、上記ガスは、筒状MEAの筒長さの2倍の距離を流動させられることになる。このため、上記ガス誘導パイプ内でガスの温度を上昇させた後に、上記筒状MEAに作用させることができる。したがって、ガスの分解効率を高めることが可能となり、ガスの流量を増加させてガスの処理量を増加させることが可能となる。
【0013】
さらに、本願発明では、上記ガス誘導パイプ内におけるガスの加熱効率を高めるために、上記ガス誘導パイプ内に、上記流動ガスとの接触面積を増加させて熱伝導を促進する加熱促進手段を設けている。
【0014】
上記加熱促進手段の構成は、上記流動ガスとの接触面積を増加させるものであれば特に限定されることはない。たとえば
、上記加熱促進手段を、上記ガス誘導パイプの内面に凹凸を設けて構成することができる。
【0015】
上記凹凸を形成する手段は特に限定されることはない。上記凹凸は、ガスの流動抵抗を増加させないように構成するのが好ましい。上記凹凸は、ガス誘導パイプ自体を加工して設けることもできるし、別部材を付加して構成することもできる。
【0016】
たとえば、サンドブラストやエッチング等によって上記ガス誘導パイプ内に小さな凹凸を設けて、加熱促進手段とすることができる。また、上記ガス誘導パイプの軸方向に延びるフィンや溝を設けることにより、加熱促進手段を構成することができる。軸方向にフィンや溝を設けることにより、ガスの流動抵抗の増加を防止しつつ、加熱促進手段を設けることができる。
【0017】
また
、上記加熱促進手段を、上記ガス誘導パイプ内に、通気性及び熱伝導性を有する多孔質体を充填して構成することができる。たとえば、上記ガス誘導パイプ内に充填されるとともに通気性を有する多孔質金属体から構成することができる。
【0018】
上記多孔質金属体は、熱伝導性が高く、かつ気孔率の高いものが採用される。たとえば、多孔質金属体として、アンモニアガス等の気体の圧力損失を低減させるために、気孔率を高くできる金属メッキ体、たとえば、セルメット(登録商標:住友電気工業株式会社)を用いるのが好ましい。
【0019】
上記加熱促進手段を設けることにより、上記筒状MEAにガスが作用させられる前に、ガスの温度を充分に高めることが可能となる。このため、上記ガス誘導パイプ内で、ガスの一部を温度によって分解することも可能となる。この結果、ガスの分解効率を大幅に高めることができる。
【0020】
また、本願発明では、上記ガスが筒状MEAに出入りする部分を、筒状MEAの片側端部に集中して設けることができる。このため、上記筒状MEAと接続配管等との間のシール構造の信頼性を高めることができる。
【0021】
上記筒状MEAの一端部を封止する構成は特に限定されることはない。たとえば、上記筒状MEAの一端部を、上記固体電解質層を一体延出させて形成された底部によって封止することができる。上記底部は、成形及び焼結工程において筒状MEAと一体形成されるため、ガスが漏れ出る恐れはなく、筒状MEAの一端部を確実に封止することができる。
【0022】
また、上記筒状MEAの一端部を、封止部材を筒状MEAの端部に嵌合させて封止することもできる。この構成を採用することにより、本願発明を従来の両端が開口された従来の筒状MEAに適用することが可能となる。
【0023】
上記筒状MEAにおけるガスの出入り口は、分解前のガスと分解後のガスが混合しないように、二重構造を備える配管部材を備えて構成できる。たとえば、上記筒状MEAの開口端部に、耐熱性を備えるとともにガスを出入りさせる管継手を設けることができる。上記管継手は、上記ガス誘導パイプに連通するガス導入部を備えるとともに、上記ガス誘導パイプの外周部を囲み、側部にガス排出部を有する環状の排気空間を備えて構成することができる。上記管継手を採用することにより、上記筒状MEAの一方の側から、分解されるガスを含む気体を導入するとともに、分解されたガスを含む気体を排出することができる。
【0024】
また、本願発明では、上記ガス誘導パイプを第1の電極層の集電体として利用することができる。すなわち
、上記ガス誘導パイプを導電性材料から形成するとともに、上記第1の電極層に導通させられて、上記第1の電極層の集電体を構成することができる。
【0025】
上記ガス誘導パイプを第1の電極層の集電体として利用することにより、ガス分解効率を高めることができるばかりでなく、筒状MEA内のスペースを有効活用することができる。
【0026】
上記ガス誘導パイプを構成する材料は特に限定されることはないが、分解するガスによって腐食等が生じない材料で形成する必要がある。たとえば、ステンレス、銅、ニッケル、インコネル(スペシャルメタル社の登録商標)等のニッケル合金等を用いて形成することができる。
【0027】
上記第1の電極層と上記ガス誘導パイプとを導通させる手法は特に限定されることはない。たとえば、導電性を有する多孔質金属体を、上記筒状MEA内周面と上記ガス誘導パイプ外周面の間に形成される筒状流路内に挿入して、上記第1の電極層と上記ガス誘導パイプとを導通させることができる。また、上記多孔質金属体を設けることにより、上記第1の電極層の内周面と上記ガス誘導パイプの外周面との間の筒状流路を確保することができるとともに、上記ガス誘導パイプを筒状MEA内で位置決め保持することができる。
【0028】
さらに、集電効率を高めるには、上記第1の電極層と上記ガス誘導パイプとの間の電気抵抗をできるだけ低く設定するのが望ましい。このため、上記多孔質金属体と、第1の電極層及びガス誘導パイプの間の接触面積や接触圧を大きくすることが望まれる。
【0029】
本願発明では、上記第1の電極層と上記ガス誘導パイプとの間の電気抵抗を低く設定するために
、上記第1の電極層の内周面に、導電性の金属メッシュシートを配置するとともに、この金属メッシュシートを上記ガス誘導パイプに接続することにより、上記第1の電極層と上記ガス誘導パイプとを導通
させる。
【0030】
金属メッシュシートを上記第1の電極層に接触状態で保持することにより、上記電極層と金属メッシュシート間の抵抗を低減させられる。また、この金属メッシュシートを上記ガス誘導パイプに直接接続することにより、集電体間の接触抵抗をさらに低減させることができる。たとえば、上記第1の電極層の内周面の全面に接触するように1枚の金属メッシュシートを配置するとともに、この金属メッシュシートの端部を上記ガス誘導パイプの外周面に巻き付ける等の構成を採用することができる。
【0031】
また、上記構成を採用することにより、上記ガス誘導パイプを利用して、集電体の面積を大きくとることが可能となり、ガス分解効率をより高めることができる。
【0032】
さらに、上記金属多孔質体を、上記金属メッシュシートの内側と上記ガス誘導パイプとの間に挿入して、上記金属メッシュシートを内側からバックアップすることにより、上記第1の電極層と集電体との間の接触抵抗を低減させることができる。また、この構成によって、(1)Niメッシュシート/多孔質金属体/ガス誘導パイプ、という導電路と、(2)Niメッシュシート/ガス誘導パイプ、という2つの導電経路が形成される。この結果、アノード側集電体の接触抵抗をより低減させることができるとともに、圧力損失の増大を防止することが可能となる。
【0033】
上記金属メッシュシートの形態は特に限定されることはない。たとえば、上記金属メッシュシートを筒状に形成して、上記第1の電極層の全面を覆うように配置することができる。
【0034】
上記金属メッシュシートの外観構成も特に限定されることはない。たとえば、織布、不織布、打ち抜きシート等を採用できる。柔軟性、孔径の均一性等を確保するには、織布を採用するのが好ましい。
【0035】
金属メッシュシートを構成する金属材料も特に限定されることはない。たとえば、Ni、Ni−Fe、Ni−Co、Ni−Cr、Ni−W等の材料から形成された金属メッシュシートを採用するのが好ましい。また、表層に銀メッキ層等が形成された金属メッシュシートを採用することもできる。また、触媒反応を期待する場合には、Ni−W等の材料から形成された金属メッシュシートを採用するのが好ましい。
【0036】
さらに
、上記第1の電極層の表面に多孔質導電層を設けるのが好ましい。上記金属メッシュシートを上記第1の電極層の内周面の全面に均一に接触させるのは困難な場合がある。すなわち、第1の電極層の表面と上記金属メッシュシート間の接触圧力が異なったり、一部が第1の電極層の表面から浮き上がることも考えられる。
【0037】
上記導電層を第1の電極層の表面に形成することにより、第1の電極層と上記金属メッシュシート間の導電性を全域において確保することができる。また、上記導電層が多孔質であるため、第1の電極層に対するガスの接触を妨げることもない。
【0038】
上記多孔質導電層として、多孔質の導電性ペースト塗布層を設けることができる。上記第1の電極層の内周面に多孔質の導電性ペースト塗布層を設けることにより、上記第1の電極層と上記金属メッシュシートとが、上記導電性ペースト塗布層を介して確実に導通させられ、上記第1の電極層と上記ガス誘導路との間の電気抵抗も低減される。
【0039】
すなわち、上記導電性ペースト塗布層を設けることにより、金属メッシュシートの表面の一部を上記導電性ペースト塗布層に埋め込むようにして、上記金属メッシュシートと上記第1の電極層との間を確実に導通させることができる。このため、これらの間の接触抵抗を大幅に低減させることができる。また、上記金属メッシュシートの全面を上記第1の電極層に対して均一に接触させることができる。このため、上記第1の電極層と上記金属メッシュシート間の電気抵抗が部分的に増大することはない。また、上記導電性ペースト塗布層を、第1の電極層の全面に塗布することにより、上記金属メッシュシートが上記導電性ペースト塗布層から離間した場合でも、第1の電極層表面における集電を確保することが可能となる。このため、温度等の作用によって上記金属メッシュシートの一部が、上記導電性ペースト塗布層から離間した場合であっても、集電効果が低下することはない。しかも、上記導電性ペースト塗布層は多孔質であるため、上記第1の電極層にガスが接触することを妨げることもない。したがって、上記第1の電極層の全領域において電気化学反応を均一に生じさせてガス分解反応の効率を大幅に向上させることが可能となり、気体分解の処理能力を増大させることができる。
【0040】
上記多孔質の導電性ペースト塗布層は、種々の導電性粒子を含むペーストから形成することができる。たとえば、上記多孔質の導電性ペースト塗布層を、銀粒子を含むペーストから形成することができる。銀粒子は導電性が高く、上記第1の電極層の集電体としての電気抵抗を低下させて、ガス分解の処理能力を向上させることができる。また、安定性が良く、酸化することもほとんどない。
【0041】
上記第1の電極層及び上記第2の電極層を構成する材料も特に限定されることはない。たとえば
、上記第1の電極層及び/又は第2の電極層を、ニッケル(Ni)を主成分とする金属粒連鎖体と、イオン導電性セラミックスとを含む焼成体とすることができる。金属粒連鎖体は、金属粒が連なってできた数珠状の細長い金属体をいう。Ni、Fe含有Ni、もしくはNi,Fe含有Niに微量Tiを含む金属とするのがよい。Niなどは表面酸化された状態では、その金属粒連鎖体の表面が酸化されており、中身(表層の内側の部分)は酸化されずに金属の導電性を保持している。
【0042】
このため、たとえば固体電解質層内を移動するイオンが陰イオンの場合(陽イオンの場合もある)、次のような作用効果が生じる。
(A1)金属粒連鎖体を第1の電極層(アノード)に含有させた場合、第1の電極層(アノード)において、固体電解質層から移動してくる陰イオンと、第1の電極層(アノード)の外部から第1の電極層(アノード)へと導かれる気体中のガス分子との化学反応を、金属粒連鎖体の酸化層によって促進させ(触媒作用)、かつ陰イオンを参加させて第1の電極層(アノード)での化学反応を促進させる(電荷による促進作用)。そして、その化学反応の結果、生じる電子の導電性を、金属粒連鎖体の金属部分で確保することができる。この結果、第1の電極層(アノード)における電荷の授受を伴う電気化学反応を、全体的に促進することができる。金属粒連鎖体を第1の電極層(アノード)に含有させた場合、第1の電極層(アノード)において、陽イオンたとえばプロトンを発生させて固体電解質層中を第2の電極層(カソード)へと陽イオンを移動させ、上記の電荷による促進作用を、同様に得ることができる。
ただし、金属粒連鎖体の酸化層については、使用前は焼成処理によって確実に形成されているが、使用中に還元反応によって酸化層がなくなることが多い。酸化層がなくなっても、上記の触媒作用は減ずることはあってもなくなることはない。とくにFeやTiを含有させたNiは、酸化層がなくても触媒作用は高い。
(A2)金属粒連鎖体を第2の電極層(カソード)に含有させた場合、第2の電極層(カソード)において、第2の電極層(カソード)の外部から第2の電極層(カソード)へと導かれる気体中のガス分子の化学反応を、金属粒連鎖体の酸化層によって促進させ(触媒作用)、かつ外部回路からの電子の導電性を向上させるとともに、当該電子を参加させて第2の電極層(カソード)での化学反応を促進させる(電荷による促進作用)。そして、当該分子から効率よく陰イオンを生じて、固体電解質層へと送り出すことができる。(A1)と同様に、(A2)の場合、固体電解質層中を移動してきた陽イオンと、外部回路を流れてきた電子と、第2の気体との電気化学反応を促進することができる。このため、上記第1の電極層(アノード)に含ませる場合と同様に、第2の電極層(カソード)における電荷の授受を伴う電気化学反応を、全体的に促進することができる。どのような場合に、金属粒連鎖体を第2の電極層(カソード)に含ませるかは、分解対象のガスによって変わる。
(A3)金属粒連鎖体を第1の電極層(アノード)及び第2の電極層(カソード)に含有させた場合は、上記(A1)および(A2)の効果を得ることができる。
【0043】
上記の電気化学反応は、イオンの固体電解質層を移動する速度または移動時間で律速される場合が多い。イオンの移動速度を大きくするために、上記のガス分解素子は、加熱機器たとえばヒータを備え、高温、たとえば600℃〜1000℃にするのが普通である。高温にすることで、イオン移動速度だけでなく、電極層での電荷授受をともなう化学反応も促進される。
【0044】
固体電解質層を移動するイオンが陰イオンの場合は、上述のように、第2の電極層(カソード)での化学反応によって発生し、供給される。第2の電極層(カソード)において導入された流体中の分子と電子とが反応して陰イオンが生成する。生成した陰イオンは、固体電解質層中を第1の電極層(アノード)へと移動する。第2の電極層(カソード)での反応に参加する電子は、第1の電極層(アノード)と第2の電極層(カソード)とを連絡する外部回路(蓄電器、電源、電力消費機器を含む)から入ってくる。固体電解質層を移動するイオンが陽イオンの場合は、第1の電極層(アノード)での電気化学反応によって発生して固体電解質層中を第2の電極層(カソード)へと移動する。電子は第1の電極層(アノード)で発生して外部回路を第2の電極層(カソード)へと流れて第2の電極層(カソード)での電気化学反応に参加する。上記電気化学反応は、燃料電池としての発電反応であってもよいし、または電気分解反応であってもよい。
【0045】
固体電解質層を、酸素イオン導電性またはプロトン導電性を有する構成とすることができる。酸素イオン導電性の固体電解質を用いた場合、たとえば第2の電極層(カソード)で電子と酸素分子とを反応させて酸素イオンを生じさせ、これを固体電解質層内で移動させて第1の電極層(アノード)にて所定の電気化学反応を起こさせることができる。この場合、酸素イオンの固体電解質層中の移動速度はプロトンと比べて大きくないので、実用レベルの分解容量を得るには、温度を十分高める、及び/又は固体電解質層の厚みを十分薄くする、などの対策が必要である。
【0046】
一方、プロトン導電性の固体電解質は、バリウムジルコネート(BaZrO
3)などが知られている。プロトン導電性の固体電解質を用いると、たとえば第1の電極層(アノード)でアンモニアを分解してプロトン、窒素分子および電子を生じさせて、このプロトンを、固体電解質層を経て第2の電極層(カソード)へと移動させ、第2の電極層(カソード)において酸素と反応して水
(H2O)を生じさせる。プロトンは酸素イオンと比べて小さいので固体電解質層中の移動速度は大きく、加熱温度を低くして実用レベルの分解容量を得ることができる。
【0047】
また、たとえば筒状MEAを用いてアンモニア分解を行うとき、酸素イオン導電性の固体電解質層では、水を筒状MEAの第1の電極層(アノード)で生成する反応となる。水は、温度が低い出口付近では水滴を形成して圧力損失の原因となる。これに対して、プロトン導電性の固体電解質層を用いると、プロトンと酸素分子と電子とが、第2の電極層(カソード)(外側)で生成する。外側はほぼ開放されているので、水滴となって付着しても圧力損失を生じにくい。
【0048】
分解対象のガスを燃料とし、ガス分解素子によって燃料電池を構成することもできる。
【0049】
本願発明に係るガス分解方法は、筒状の固体電解質層と、この固体電解質層の内周部に形成された第1の電極層と、この固体電解質層の外周部に形成された第2の電極層とを有するとともに一端部が封止された筒状MEA(Membrane Electrode Assembly)と、上記筒状MEAの他端部側から上記筒状MEAの内部空間に挿入されて、上記封止部近傍までガスを誘導するとともに、上記筒状MEA内周面との間に筒状流路を形成するガス誘導パイプとを備えるガス分解素子によって行われるガス分解方法であって、上記ガス誘導パイプ内に設けた加熱促進手段によって、ガス誘導パイプ内を流動するガスの温度を上昇させる加熱工程と、上記ガスを、上記封止部の近傍において上記ガス誘導パイプから流出させることにより反転流動させ、上記ガスを、上記筒状MEAの内周面と上記ガス誘導パイプとの間に形成された筒状流路内を上記ガス誘導パイプ内の流れと反対方向に流動させながら上記第1の電極層に作用させて分解する分解工程を含み、
上記分解工程は、上記第1の電極層の内周面に金属メッシュシートを配置するとともに、この金属メッシュシートの端部を、上記封止部近傍において上記ガス誘導パイプに接続することにより、上記第1の電極層と上記ガス誘導パイプとを導通させながら行われる。
【0050】
分解の対象となるガスも特に限定されることはない。たとえば、上記のいずれかのガス分解素子を備え、第1の電極層にアンモニアを含む気体を導入し、第2の電極層に酸素分子を含む気体を導入することができる。これによって、第2の電極層(カソード)で発生させた酸素イオンを第1の電極層(アノード)に移動させるとともに、第1の電極層においてアンモニアと酸素イオンとを、金属粒連鎖体による触媒作用、およびイオンによる促進作用のもとで反応させて、さらに反応の結果生じる電子を速やかに移動させることができる。また、本発明に係るガス分解素子は、ガス除害だけでなく、燃料電池や、ガス分解を利用した独自の電気化学反応装置の分野で、装置の基礎として用いられて、電気化学反応の効率向上、装置の小型化、低いランニングコスト等を得ることに貢献できる。