特許第5787277号(P5787277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5787277-開封機能付包装用袋 図000002
  • 特許5787277-開封機能付包装用袋 図000003
  • 特許5787277-開封機能付包装用袋 図000004
  • 特許5787277-開封機能付包装用袋 図000005
  • 特許5787277-開封機能付包装用袋 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787277
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】開封機能付包装用袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20150910BHJP
   B65D 33/24 20060101ALI20150910BHJP
   B65D 30/20 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   B65D33/00 C
   B65D33/24
   B65D30/20 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-132568(P2012-132568)
(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公開番号】特開2013-256310(P2013-256310A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2014年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏治
(72)【発明者】
【氏名】菅原 雅芳
【審査官】 村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3081489(JP,U)
【文献】 特開2006−044779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 30/20
B65D 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体開口部(2)の正面壁(4)に、対向する裏正面壁(3)の開口部端縁(10)より突出させて封緘用フラップ(6)が形成され、該封緘用フラップ(6)の内側面には粘着剤領域(7)が設けられて、開口部端縁(10)に沿って該封緘用フラップ(6)を折り返して開口部(2)を封緘することが出来る袋体であって、
前記封緘用フラップ(6)の折り返し部と粘着剤領域(7)の間に、袋体幅方向の中央部を頂点とする山型に配置されたミシン目加工線(8)を有し、該ミシン目加工線に沿って袋体を開封する事が出来る開封部分が設けられており、前記開封部分の幅が、袋体の幅よりも狭く、また、前記開封部分の両脇に、封緘用フラップの折り返し箇所に沿って取り出し用ミシン目(8b)が設けられていることを特徴とする開封機能付包装用袋。
【請求項2】
前記ミシン目加工線(8)が、切れ目とつなぎ目が階段状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の開封機能付包装用袋。
【請求項3】
前記開封部分の幅方向の中央部に、開封用つまみ(9)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至に記載の開封機能付包装用袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に開封可能な包装用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、宅配便は盛んに利用され、書類その他の物品を安全に輸送するため各種の封筒や袋、また、立体状の物品を入れ易いような角底袋等、種々の包装用袋類が採用されている。
【0003】
物品を入れた袋類は、開口部分で封緘フラップと袋本体とを接着して封緘される。 配送中の機密保持のためには、接着部分で剥離することが出来ない様に、封緘フラップと袋本体との封緘材として、強粘着の接着剤やホットメルト接着剤が好ましく使用される。
【0004】
強粘着の接着剤やホットメルト接着剤を用いて封緘された袋類は、封緘フラップと袋本体との接着力が強く、接着部分を剥離することが出来ないために、受取人が開封する際には封緘フラップを手で引裂かねばならず、開封部分が見苦しくなったり、中に入れた物品を毀損したりする虞があり、見苦しくない様に開封するためには、鋏みやカッターナイフなどの開封補助具を使用する必要があるなどの問題があった。
【0005】
上記問題を解決するためには、特許文献1(特開2007−15703号公報)に例示されたように、予め袋本体上部の封緘片に、該封緘片を分断するためのカットテープを具備させ、その開封用カットテープを持上げて引き裂くことにより開封するものが知られている。
【0006】
また、特許文献2(特開2011−84321号公報)には、裏面に帯状部と接着層を有し、接着層を介して封筒表面部に貼着される封緘ラベルに、帯状部の両端に切り込みを設けてつまみを形成し、該つまみを持ち上げて封緘ラベルを引き裂いて開封することが出来る封緘ラベルや、封緘フラップに開封開始用に設けた2箇所のつまみとそれらを繋げる切り込みミシン目加工を施し、ジッパーと呼ばれる該ミシン目加工線に沿って帯状に引き裂いて開封を行うことにより、道具等を使用しなくても手できれいに開封することができる封緘ラベルも提案されているが、カットテープもしくは帯部の切り込み部を引き裂いて開封する方式では、切り込み線に沿って引き裂かれなかったり、開封する際にカットテープや帯部が紙切れして開封に失敗したりする虞があり、ジッパーを引き裂いて開封する方法も、カットテープ、帯部の切り込み部を引き裂いて開封する方法と同様、引き裂いたカットテープや帯状部の紙片がゴミになるという問題があり、必ずしも満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−015703号公報
【特許文献2】特開2011−084321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような実情に鑑み、本発明者等は、構造が単純でコストがかからずに、鋏みやカッターナイフなどの開封補助具を使用しなくとも開封箇所が見苦しくならないように手で確実に開封することが可能で、なおかつ引き裂かれた紙片などのゴミも発生することの無い開封機能付包装用袋について鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するための本発明は、以下のような態様である。即ち、
(1)袋体開口部(2)の正面壁(4)に、対向する裏正面壁(3)の開口部端縁(10)より突出させて封緘用フラップ(6)が形成され、該封緘用フラップ(6)の内側面には粘着剤領域(7)が設けられて、開口部端縁(10)に沿って該封緘用フラップ(6)を折り返して開口部(2)を封緘することが出来る袋体であって、
前記封緘用フラップ(6)の折り返し部と粘着剤領域(7)の間に、袋体幅方向の中央部を頂点とする山型に配置されたミシン目加工線(8)を有し、該ミシン目加工線に沿って袋体を開封する事が出来る開封部分が設けられていることを特徴とする開封機能付包装用袋である。
【0010】
(2)前記ミシン目加工線が、歯(切れ目)と止め(つなぎ目)が階段状に配置されていることを特徴とする(1)記載の開封機能付包装用袋である。
【0011】
(3)前記開封部分の幅が、袋体の幅よりも狭いことを特徴とする(1)または(2)に記載の開封機能付包装用袋である。
【0012】
(4)前記開封部分の両脇に、封緘用フラップの折り返し箇所に沿ってミシン目加工が設けられていることを特徴とする(3)に記載の開封機能付包装用袋である。
【0013】
(5)前記開封部分の幅方向の中央部に、開封用つまみが設けられていることを特徴とする(1)乃至(4)に記載の開封機能付包装用袋である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の袋体に使用できる材料としては、袋体に加工でき、ミシン目加工線を設けることが出来るシートであれば特に限定されるものではなく、各種プラスチックフイルム及び積層フイルム、合成紙、不織布、並びに普通紙、塗工紙、ラミネート紙などの紙類より適宜選択して使用することが出来、必要に応じてこれらを積層或いは貼り合わせて組み合わせることも出来る。 本発明の袋体には、加工性、適度の強靭さ、廃棄のし易さなどの利便性の点から、クラフト紙などの紙類を使用することが好ましく、包装用袋としての耐水性の点から、クラフト紙に樹脂をラミネートしたラミネート紙が特に好ましく用いられる。
また、特に限定するものではないが、包装用袋として紙類を使用する場合、中に入れる物品を保護するためには、坪量50g/m2以上の紙を用いることが好ましく、また、袋への加工性、袋としての利便性の点から、好ましい坪量は200g/m2以下である。
また、特に限定するものではないが、本発明は、一般の、開口部の幅80〜600mm程度の袋体であれば問題なく適用することが出来る。 宅配便の包装用袋体の用途としては、開孔部の幅200〜400mm程度が好適である。 また、本発明の袋体は、前側壁と後側壁の間にひだ部を有する角底袋であっても良いし、ひだ部のない封筒形態の袋体であっても良い。
【0015】
本発明は、上記のような袋体開口部の一方の壁に、対向する壁の開口部端縁より突出させて封緘用フラップが形成され、該封緘用フラップの内側面には粘着剤領域が設けられて、開口部端縁に沿って該封緘用フラップを折り返して開口部を封緘することが出来る袋体であり、さらに、開口部端縁に沿った封緘用フラップの折り返し部分と粘着剤領域の間の領域に、袋体幅方向の中央部を頂点とする山型に配置されたミシン目加工線を有している。
【0016】
本発明の封緘用フラップの高さは、特に限定するものではないが、折り返しや封緘のし易さの点から、袋体の幅の20〜50%の範囲で調節することが好ましく、フラップとしての取り扱いの点から50〜150mmの範囲が好ましい。本発明の包装用袋は、該封緘用フラップの内側面の先端部に強粘着性粘着剤やヒートシールの封緘材領域を設けて、開口部端縁に沿って該封緘用フラップを折り返して開口部を封緘することが出来る。利便性の点から、封緘材としては強粘着性粘着剤を用い、封緘前はその表面に剥離性シートで覆っておく態様が好ましく用いられる。 また、本発明の封緘用フラップは山型ミシン目による開封部分を有する。
【0017】
封緘用フラップに開封機能を付与するため、ミシン目加工線を袋体の開口部端縁に平行な直線状に設けても、一箇所に力を加えただけで容易に開封することは出来ない。また、ミシン目加工線に挟まれた帯状部分が引き裂かれるように、平行した二本のミシン目加工線を設ける方法では、引き裂かれた帯状の紙片がゴミとして発生する。
【0018】
本発明者らは、山型の頂点部分の一箇所を引っ張るだけで、鋏みやカッターナイフなどの開封補助具を使用しなくとも、手で確実に開封することが可能で、開封箇所が見苦しくなることもなく、ゴミも発生しない再開封可能な包装用袋体について鋭意検討し、封緘用フラップに開封機能を付与するためのミシン目加工線を袋体幅方向の中央部を頂点とする山型になるようにミシン目加工線を配置することによって、手で確実に開封することが可能で、開封箇所が見苦しくなることもなく、ゴミも発生しない本発明の再開封可能な包装用袋体を発明するに至った。
【0019】
上記のような構成により、本発明の包装用袋内に包装される物品を収納し、封緘材領域で封緘用フラップを対向する袋体の壁面に接着して袋体を封緘することが出来るものであり、袋体を開けて物品を取り出す際には、該封緘用フラップに設けられたミシン目加工線に沿って袋体を開封する事が出来る開封部分が設けられた開封機能付包装用袋である。
また、開封部分の山型ミシン目の頂点部分を挟み込んで再封緘するための切込みを封緘用フラップに対向する壁の開口部端縁付近に設けておくことにより、開封後、袋体をそのまま内容物の保護用袋として再封緘して使用することも出来るため、更に好ましい態様である。
【0020】
一般に、袋体の開口端縁に平行な開封部分の幅に対するミシン目加工線の山型の高さの割合は、開封する際に必要な力の大きさに関係し、山型の高さの割合を大きくするほど小さい力で容易に開封する事が出来る傾向にある。
ミシン目加工線の山型の高さは、開口部端縁に沿った封緘用フラップの折り返し部分と粘着剤領域の間の領域に設けることの出来る高さであり、包装用袋としての内容物品の保護と開封の利便性などを考慮して適宜調節する事が出来る。
該山型ミシン目の開封部分の高さは、特に限定するものではないが、開封のし易さや、開封後の山形部分を再封緘に使用する場合の利便性の点から、通常、開封部分の幅の10〜100%の範囲で調節され、取り扱いのし易さの点から開封部分の幅の10乃至30%の範囲に調節されることが好ましい。
【0021】
本発明の山型ミシン目は、「歯」と呼ばれるミシン目加工線の切れ目と、「止め」と呼ばれるつなぎ目部分が交互に配置されて、全体として上記の山型になるように設けられたミシン目加工線である。 封緘用フラップに設けられたミシン目加工線の山型の頂点を引っ張ることによりミシン目に沿って引き裂かれ、山型の再開封部となる。 「歯」と「止め」を山型に沿った階段状に設けたもの、即ち、開封部分の幅方向に略平行に「歯」を設け、これに対して「止め」部分を段差とする階段状になるよう、「歯」と「止め」を交互に配置し、袋体の幅方向の中央部が山型の頂点になるように「歯」と「止め」を配置したものは、封緘時は充分な強度を保ちながら、山型の頂点を引っ張ることによってミシン目加工線の「止め」の部分を引き裂く際に、次の「歯」の端までの引き裂きが安定するのでより好ましい態様である。 また、さらに、開封部分に設ける「歯」を開封部分の幅方向に平行な角度と、山型の傾斜に平行な角度の中間の角度で設けた、傾斜した階段状に配置すると、山型の頂点を引っ張ることによってミシン目加工線の「止め」の部分を引き裂く際に、次の「歯」の端まで、より安定して引き裂かれるので一層好ましい態様である。 この「歯」に対する「止め」の比率としては10乃至30%の範囲とする事が好ましい。
【0022】
また、山型の開封部分の幅を、封緘用フラップ全体の前幅よりも小さくすることにより、開封した際に内容物品が飛び出すのを防止することが出来る。 封緘用フラップ全体の幅に対する開封部分の幅の割合としては、50%以上であることが好ましく、内容物品の取り出しやすさと飛び出し防止の効果の点では55乃至70%がより好ましい。
【0023】
さらに、封緘用フラップを折り返す線に沿って、開封部分の両端から封緘用フラップの両端に向かってミシン目加工を設けると、開封した際には内容物品の飛び出しを防止出来、袋体から物品を取り出す際にはそのミシン目加工線に沿った両端部分を引き破ることによって、物品が取り出しやすくなるため、更に好ましい。
【0024】
本発明の包装用袋には、山型に設けられたミシン目加工線の頂点部分に、開封を開始するためのつまみを設けることも出来る。該つまみとしては、山型の開封部分の頂点近傍につまんで引っ張れるように切り出した突出した小部分を適宜設けることが出来る。封緘中に意図に反して開封されてしまう様なことがなく、且つ開封する際につまみ易い大きさであることが好ましく、好ましいつまみ部分の幅としては20乃至40mmの範囲である。
また、該開封用つまみの先端を差し込んで再封緘するための再封緘用差込口を設けると、開封された袋体を容易に再封緘する事が出来るためより好ましい態様である
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、図面は一例であって、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0026】
図1は、本発明の封緘機能付き包装体の斜視図、図2は、本発明の封緘機能付き包装体の裏正面図、図3は、本発明の封緘機能付き包装体の側面図、図4は、本発明の封緘機能付き包装体の封緘後の裏正面図である。
図中において同一の符号は同一の意味を有し、1は角底袋、2は開口部、3は裏壁、4は後壁、5は袋体のひだ部、6は閉鎖用フラップ、 7は剥離紙、7bは粘着層、8はミシン目、8bは取出し用ミシン目、9は開封用つまみ、10は袋体開口部の端縁、11は再封緘用差込口である。
【0027】
図に示す本発明の閉鎖用フラップ付袋体は、両端部にひだ部5を有する角底袋1の開口端部2において、後壁4が前壁3より突出してフラップ6が形成され、フラップ6の内面に剥離紙7で覆われた粘着層7aが設けられている。フラップ6に山形のミシン目8を入れ、フラップ両端部に取出し用の8bのミシン目を形成している。角底袋1を封緘する際には、剥離紙7を粘着層7aから速やかに引き剥がし、フラップ6を前壁3上に折り曲げて貼着し、封緘する。
【0028】
図4は、本発明の開封機能付き包装用袋が、封緘されている状態を示している。フラップ6に形成されている取出し用のミシン目8bから、ミシン目に沿って開封し、該開口端部をより内容物を取り出せるようになっている。
【0029】
図5は、本発明請求項2に記載の開封機能付き包装体の、ミシン目加工線が、歯(切れ目)と止め(つなぎ目)が階段状に配置された封緘用フラップ部分を示す。
【産業上の利用可能性】
【0030】
宅配用や機密保管用の包装用袋についている封緘フラップを鋏みやカッターを使用せず、また袋の形状を破壊せずに開封できる開封加工技術である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の封緘機能付き包装体の斜視図である。
図2】本発明の封緘機能付き包装体の裏正面図である。
図3】本発明の封緘機能付き包装体の側面図である。
図4】本発明の封緘機能付き包装体の封緘後の裏正面図である。
図5】本発明請求項2の封緘機能付き包装体の封緘用フラップ部分である。
【符号の説明】
【0032】
1.角底袋、2.開封口、3.袋体の裏正面壁、4.袋体の正面壁、5.袋体のひだ、6.閉鎖用フラップ 、7.剥離紙、7b.粘着層、8.ミシン目、8b.取出し用ミシン目 9.開封用つまみ 10.袋体開口部の端縁 11.再封緘用差込口
図1
図2
図3
図4
図5