(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
励磁コイルが巻かれたハウジング内に、振動磁性板と固定磁性板とを対向して配置してなる振動機構が内蔵され、前記励磁コイルに電源周波数に応じた励磁電流が流れることで、前記振動機構による振動を起こさせるマッサージ用振動発生装置であって、
前記振動磁性板は、並列に配置され先端が自由端である複数の振動板部と、前記複数の振動板部の基端部が連設され前記ハウジングに固定支持される取付固定部とを有し、
前記複数の振動板部は、前記振動板部の固定支持位置から重心位置までの距離が異なり、異なる電源周波数によっていずれかの振動板部が振動する構成とされ、
さらに、前記振動磁性板は、矩形状で、先端部から基端部側に向かって傾斜して延びる第1のスリットが形成されることで、複数の振動板部が形成されたものであることを特徴とするマッサージ用振動発生装置。
前記固定磁性板は、先端部から基端部に向かって延びる第2のスリットが形成されることで、前記振動磁性板の振動板部と同数の固定板部が形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ用振動発生装置。
前記ハウジングは、中空部を有する、1対の中空部材を接合して形成されるシェル構造で、前記両中空部材にて前記振動磁性板及び固定磁性板が挟み込まれることで前記両磁性板が前記ハウジング内に固定支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載のマッサージ用振動発生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したマッサージ用振動発生装置は電源周波数に共振して振動するようになっているので、前述したような振動発生装置を用いた加振式マッサージ器を、例えば、西日本及び東日本に供給する場合には、それぞれの地域の電源周波数に合った固有振動数を持つ2種類の製品としての加振式マッサージ器を製作しなければならない。このことは加振式マッサージ器を製造する製造者側には、2種類の製品を製作し、2種類の製品を管理するわずらわしさが発生する。また、この場合には、2種類の構造体を製作する必要があり、また一定容量(単一共振)のケース内に収納させることは不可能に近く、コストも2倍になるおそれもある。一方、使用者側は50Hz地域,60Hz地域への相互使用に支障をきたす。
【0005】
そこで、発明者は、前述したような不都合を解決すべく、複数種類の共振周波数を持つマッサージ用振動発生装置を得る場合には、駆動周波数で共振する質量、板の長さ、バネ定数で決定する一組の振動構造を複数種類組み合わすことにより目的は達成されることに着目し、1枚の振動磁性板に斜めの溝を入れ、複数の振動板部が形成されるように分割すれば、この溝の角度と長さによって共振周波数が決定されることを見出し、この構造によって振動磁性板の板厚、長さ、質量、材質は1種類のみで実現できる、マッサージ用振動発生装置を開発した。
【0006】
つまり、2種類の共振周波数を得る場合は振動磁性板に対して1個の溝を、3種類の共振周波数を得る場合は振動磁性板に2本の溝を形成すれば、実現できる。
【0007】
この構造の実現によって、例えば50Hzの電源周波数地域,60Hzの電源周波数地域のどちらで使用しても一定の振動を発生させることができ、このことによって生産者側も使用者側にも、前述したような不都合がなくなる。
【0008】
本発明は、複数種類の共振周波数を持つマッサージ用振動発生装置及びそれを用いた加振式マッサージ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、励磁コイルが巻かれたハウジング内に、振動磁性板と固定磁性板とを対向して配置してなる振動機構が内蔵され、前記励磁コイルに電源周波数に応じた励磁電流が流れることで、前記振動機構による振動を起こさせるマッサージ用振動発生装置であって、前記振動磁性板は、並列に配置され先端が自由端である複数の振動板部と、前記複数の振動板部の基端部が連設され前記ハウジングに固定支持される取付固定部とを有し、前記複数の振動板部は、前記振動板部の固定支持位置から重心位置までの距離が異なり、異なる電源周波数によっていずれかの振動板部が振動する構成とされ、さらに、前記
振動磁性板は、矩形状で、先端部から基端部側に向かって傾斜して延びる第1のスリットが形成されることで、複数の振動板部が形成されたものであることを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、固定支持位置からの重心位置までの距離が異なる複数の振動板部を有する振動磁性板を用いることで、それぞれの振動板部を異なる電源周波数に同期させ、異なる電源周波数によっていずれかの振動板部が振動するようにできる。つまり、単一の装置でもって、複数種類の共振周波数を持たせることが可能となる。
【0012】
前記
振動磁性板は、矩形状で、先端部から基端部側に向かって傾斜して延びる第1のスリットが形成されることで、複数の振動板部が形成されたものであるので、固定支持位置(基端部)からの重心位置までの距離が異なる複数の振動板部を簡単に形成することができ、スペース的にも有利である。
【0013】
請求項
2に記載のように、前記固定磁性板は、先端部から基端部に向かって延びる第2のスリットが形成されることで、前記振動磁性板の振動板部と同数の固定板部が形成されたものとすることが望ましい。
【0014】
このようにすれば、振動磁性板の各振動板部と固定磁性板の各固定板部とが対をなすことになり、励磁力が高められる。
【0015】
請求項
3に記載のように、前記ハウジングは、中空部を有する、1対の中空部材を接合して形成されるシェル構造で、前記両中空部材にて前記振動磁性板及び固定磁性板が挟み込まれることで前記両磁性板が前記ハウジング内に固定支持されていることができる。
【0016】
このようにすれば、取付固定部をハウジングに固定支持することで、振動磁性板及び固定磁性板の取り付けが同時にでき、取付けが容易となる。ハウジングによって、振動磁性板(複数の振動板部)と固定磁性板(複数の固定板部)とで構成される振動機構を保護することができ、マッサージ用振動発生装置を簡単に構成することができる。
【0017】
請求項
4の発明は、加振式マッサージ器であって、請求項1〜
3のいずれか1つに記載のマッサージ用振動発生装置が複数個接続されると共に並べて配置され、可撓性材料からなるカバー部材にて覆われていることを特徴とする。
【0018】
このようにすれば、請求項1〜
3のいずれか1つに記載のマッサージ用振動発生装置を利用して、加振式マッサージ器を簡単に構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記のように構成したから、固定支持位置からの重心位置までの距離が異なる複数の振動板部を有する振動磁性板を用いることで、それぞれの振動板部を異なる周波数に同期させ、複数種類の振動を簡単に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0022】
本発明に係るマッサージ用振動発生装置を示す
図1(a)〜(c)において、1は後述する加振式マッサージ器12に用いられるマッサージ用振動発生装置で、ハウジング2の外周囲が電磁コイル3で多重に巻かれてなり、電磁コイル3による変動電磁界により、異なる電源周波数(例えば、電源周波数50Hz、60Hz)に同期した複数種類の振動モードを得るものである。
【0023】
ハウジング2は、中空部を有する、2つの中空部材2A,2Bを備え、その外周面が外方に突出する湾曲面となっている。両中空部材2A,2Bは、4本のねじ4A及びナット4Bにて結合されることでハウジング2とされる。2つの中空部材2A,2Bは、電気的絶縁性を有する繊維強化樹脂(例えば繊維強化ナイロン)でもって形成され、電磁コイル3への通電により発熱することから、耐熱性を有する。中空部材2A,2Bとしては、例えばグラスファイバー入りのポリイミドを用いることができ、特に補強繊維としてのグラスファイバーを混合しているから、強度的にもきわめて有利であるが、補強繊維は必ずしも混合する必要はない。
【0024】
そして、2つの中空部材2A,2Bの間には、磁性材料からなる矩形状の振動磁性板7(例えば珪素鋼板、厚さ0.5mm)及び固定磁性板8(例えばSPCC、厚さ1.2mm)が、一定の位置関係となるように挟持固定されている。つまり、ハウジング2は、1対の中空部材2A,2Bを接合して形成されるシェル構造で、両部材2A,2Bにて振動磁性板7及び固定磁性板8が挟み込まれることで両磁性板7,8が固定支持され、ハウジング2内に両磁性板7,8全体が内蔵される。前記シェル構造であるハウジング2は、コイルのボビンとして利用され、内部の振動磁性板7に励磁力を与える構造となっている。
【0025】
振動磁性板7は、ねじ4A及びナット4Bにて取付固定するための対応する開孔7Aaを有する基端部である取付固定部7Aと、この取付固定部7Aから延びる台形板状の、2つの振動板部7B,7Cとを有する。
【0026】
つまり、隣り合う振動板部7B,7Cの間には、振動磁性板7の先端部から基端部に向かって傾斜して延びている第1のスリット7Dが形成され、この第1のスリット7Dが傾斜していることで、並列に設けられている振動板部7B,7Cは、先端部側の幅が広いか狭いかによって形状が互いに異なり、取付固定部7Aの固定支持位置から重心位置P11,P12までの距離L11,L12が異なっている。
【0027】
このように、振動板部7B,7Cの固定支持位置から重心位置P11,P12までの距離L11,L12が異なっていることから、電磁コイル3に流れる励磁電流の電源周波数A(例えば50Hz)である場合には振動板部7Bが振動する一方、コイル3に流れる励磁電流の電源周波数A(例えば60Hz)である場合には振動板部7Cが振動する。振動板部7B,7Cは、励磁電流の電源周波数が異なっても、いずれかの振動板部7B,7Cを振動させることができる。
【0028】
各振動板部7B,7Cの基端部(取付固定部7Aと連接される部分)付近には、両中空部材2A,2Bと振動磁性板7との間隔が先端に向かって徐々に大きくなるように広がっていることから、自由端である各先端部は、厚さ方向において、振動可能となっている。すなわち、各振動板部7B,7C、いわゆる片持ち支持状態に取り付けられていることになる。なお、第1のスリット7Dの途中には、両中空部材2A,2Bの間隔を保持する柱部2Cとの干渉を避けるために、平面視凹状の逃げ部7Ba,7Caが設けているが、柱部2Cや逃げ部7Ba,7Caを省略することも可能である。
【0029】
一方、固定磁性板8は、ねじ4A及びナット4Bにて取付固定するための対応する開孔8Aaを有する基端部である取付固定部8Aと、この取付基部8Aから平行に延び同一幅・同一長さである矩形板状の、2つの固定板部8B,8Cとを有する。
【0030】
隣り合う固定板部8B,8Cの間には、固定板部8B,8Cの先端部から基端部に向かって延びている第2のスリット8Dが形成され、左右の固定板部8B,8Cは、断面の幅及び高さ、長さが同一となっている。
【0031】
ねじ4A及びナット4Bにて両中空部材2A,2Bが結合された状態で位置決めがなされ、固定板部8B,8Cの先端部(自由端部)付近で、各固定板部8B,8Cは、各中空部材2A,2Bより内方に突設されたリブ2Aa,2Baによって厚さ方向において固定されている。よって、固定磁性板7の固定板部7B,7Bは、振動しない。固定磁性板7の固定板部7B.7Cと、振動磁性板8の振動板部8B,8Cとは、いずれも2つで、同数が設けられている。
【0032】
そして、ねじ4A及びナット4Bにて両中空部材2A,2Bが結合された状態で位置決めがなされ、各振動板部7B,7Cの先端部(自由端部)が、静止状態で、各固定板部8B,8Bの先端部と、隙間Sを残して対向する位置関係となっている。
【0033】
なお、ハウジング2の、固定磁性板8が位置する側の端部外周面には、電磁コイル3の端部を、直流パルス電流を供給する電源(図示せず)に接続するためのターミナル部11が形成され、そのターミナル部11において、ねじ4A及びナット4Bにて各端部が取付固定されている。なお、ターミナル部11を除く部分に、電磁コイル3が捲回されている。
【0034】
また、複数個のマッサージ用振動発生装置1,・・が、
図2に示すように、ターミナル部11において、接続線15を介して直列に接続されて、加振式マッサージ器12が形成されている。この加振式マッサージ器12は、給電コード13A及び接続プラグ13Bを介して、直流パルス電流又は交流電流を供給する電源に接続されるようになっている。
【0035】
また、直列に接続されたマッサージ用振動発生装置1,・・は、可撓性の材料よりなる外カバー14(内側のレバーカバ−14A、外側の布カバー14B)内に連続的に並べて固定され、一体化されている。振動発生装置1の間には、隔壁16が配置されている。
【0036】
なお、具体的に図示していないが、一定温度以上になったときに、電流を遮断するサーモスタット、例えば表面温度が35℃〜60℃程度を維持する温度コントロールのためのサーミスタを備える。
【0037】
上記のように構成すれば、加振式マッサージ器12を接続具13を介して電源に接続すると、励磁電流の通過によって電磁コイル3が発熱し、各振動発生装置1,・・の温度を上昇せしめるとともに、ハウジング2の外周に捲回された電磁コイル3が励磁コイルとして作用して、ハウジング2の長手方向の軸線を軸心とする磁束を生成し、加振式マッサージ器12の周囲に磁気を発生する。よって、温熱、磁気作用によって血行を促進させる。
【0038】
それとともに、励磁電流の電源周波数に応じて振動磁性板部7Aあるいは7Bの端部(自由端)のいずれかに、固定磁性板8Aあるいは8Bの端部に対する反発力が一定の周期で発生するので、振動磁性板7Aあるいは7Bの端部のいずれかが、振動磁性板7Aあるいは7B自体の弾性によって、厚さ方向への移動を繰り返し、厚さ方向において振動することになる。この振動作用により、マッサージ効果が生じ、さらに血行を促進させ、新陳代謝を促進させ、肩こり、ひじ痛、ひざ関節痛、腰痛、冷え性等の疾患の治療効果を著しく向上させる。
【0039】
また、特に、電気的絶縁性及び耐熱性を有する繊維強化樹脂材料からなるハウジング(中空部材2A,2B)に対し、電磁コイル3が多数回捲回されてなるので、製造が容易で、強度的にも優れる。
【0040】
よって、通常は、腰等の患部に押し当てて使用されるが、例えば尻の下に引いたような場合であっても、変形して圧壊するおそれがない。それと共に、このような樹脂材料は、温熱伝導性が低いため、外側への熱伝導(熱放射)がよくなり、内側への蓄熱が軽減される。
【0041】
電源としては、直流パルス電流又は交流電流を供給するものを採用することができるが、特に直流パルス電流を供給するものを採用すれば、振動感が高められ、使用者に快感を誘発する適度の振動となって伝えられる。
【0042】
ところで、本装置1は、1枚の振動磁性板7を1本の斜めに切ったスリット7Dによって分離することにより、異なる共振周波数をもつ振動板部7B,7Cが形成される原理について説明する。
【0043】
例えば
図1(a)に示すように、1枚の矩形状の振動磁性板7に長手方向に斜めに延びる第1のスリット7Dを入れることにより、一方の振動板部7Bは先端になるほど幅が狭くなる一方、他方の振動板部7Cは先端になるほど幅が広くなる。このことによって、先端の幅が狭い振動板部7Bは、重心位置P11が基端部側に位置し、他方の振動板部7Cは先端の幅が広いために重心位置P12が先端部側に位置することになる(
図4(b)参照)。両振動板部7B,7Cは、基端部である固定支持位置からの重心位置P11,P12までの距離が異なることになり、その距離が異なることで、各振動板部7B,7Cの共振周波数が異なることになる。つまり、重心位置P11までの距離が短い方の振動板部7Bの共振周波数は高くなり、重心位置P12までの距離が長い方の振動板部7Cは共振周波数が低くなる。つまり、固定支持位置からの重心位置までの距離によって固有振動数が決定され、重心位置までの距離によって50Hzと60Hzの2つの共振点をもつ振動磁性板を実現することができる。
【0045】
図3に示すように、振動板部に相当する梁21の先端に重り22(質量m)が設けられ、前記先端に重り22による質量mが負荷された場合には、次の関係式が成り立つ。
【0047】
ここで、質量mは各振動板部7B,7C自体の質量に、Lは固定支持位置から重心位置までの距離と等価である。
【0048】
これらの関係式において、質量mは振動板部7B,7C自体の重量、距離Lを振動板部7Bあるいは7Cの固定支持位置から重心位置までの距離であるとすると、距離Lや質量mを変量すれば、固有振動数(共振周波数)が変化することが分かる。つまり、距離Lや質量mを変えることで,固有振動数(共振周波数)を変化させることができることがわかる。
【0049】
ところで、
図4(a)に示すように、スリット7D’を磁性板長手方向に設け、幅W1,W2を変えただけでは、1個の励磁コイル3で駆動する電磁力で振動磁性板7’の振動板部7B’,7C’の両方が両者の中間の周波数で振動する現象が生じる。このときの振動エネルギーは小さくなる。この現象は電子回路の発振器で起きる「引き込み現象」と推測される。なお、P21,P22は重心位置である。
【0050】
そこで、発明者は、引き込み現象を相殺する効果を果たすのが、2枚の矩形板状の振動板部7B,7Cを平行に並べるのではなく、振動板部7B,7C間に第1のスリット7Dを長手方向に対し斜め方向に延びる構造にすることにより、2枚の振動板7B,7Cの、固定支持位置(斜線部分で示す取付固定部7A)から重心位置P11,P12までの距離Lの差が大きくなり(
図4(b)参照)、引き込み現象が起こりにくくなることを確認した。
【0051】
例えば、振動磁性板7が幅45m、長さ80mm程度の矩形状で、幅3mm程度のスリット7Dを設けて2つの振動板部7B,7Cを設けた場合において、各振動板部7B,7Cの固定支持位置から重心位置までの距離差と、スリット7Dの傾斜角度との関係は,
図5に示すようになる。そして、スリット7Dの傾斜角度を6.5度にすることにより、2枚の振動板7B,7Cの、固定支持位置から重心位置までの距離差が4mmとなり、電源周波数の励磁電流を与えると、電源周波数が50Hzの場合と60Hzの場合とで振動が明確に分離し、それぞれの振動板部7B,7Cの質量に共振することにより振動エネルギーは最大になる。なお、振動磁性板7の形状・寸法が異なれば、その形状・寸法に応じて、最適となるスリット7Dの幅や傾斜角度が選択される。
【0052】
ところで、固定磁性板8にも第2のスリット8Dを設けているのは、次の理由からである。振動機構を励磁すると、
図6に示すように、振動板部7B,7CがN極のときは、固定板部8B,8CはS極に励磁される。そして、振動板部7B,7Cを励磁すると、磁力線は振動磁性板7(鉄板)の振動板部7B,7Cの先端部に集中する性質があるため、固定磁性板が1枚の鉄板の場合はその先端部両側に磁力線が集まり、中心部分は磁力線が弱くなる傾向になる。このようになると、振動板部7B,7Cに与える反発力は、共振周波数が50Hzである場合と60Hzである場合とで大きさに差が出る。
【0053】
この不都合を解決するために、振動磁性板7の振動板部7B,7Cに相対する中間部分にスリット8Dを設けた。これにより、それぞれの振動板部7B,7Cおよび固定板部8B,8Cの先端に磁力線が集中し、50Hzであっても60Hzであってもほぼ均等な振動エネルギーが得られた。
【0054】
このようにして、単一のハウジング2内で、複数の共振周波数を持つ共振構造が得られる。つまり、励磁コイル3に、電源周波数に応じた励磁電流が流れることで、前記電源周波数に対応する、いずれかの振動板部7B,7Cが振動することになる。
【0055】
振動磁性板7に切り込む第1のスリット7Dの傾斜角度を変更するだけで、共振周波数を自由に選択できる。よって、振動応用製品では、電源周波数50Hzの地域と電源周波数60Hz地域の2種類の製品を製作する必要がなくなる。
【0056】
本発明は、前述した磁気を応用した振動・温熱パックなどの加振式マッサージ器、異なる電源周波数によっていずれかの振動板部が振動する振動式選別機や振動式ポンプなどにも利用することができる。