【実施例】
【0027】
以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、下記の実施例は本発明を限定するものではない。
【0028】
(試料の作製)
アルゴン雰囲気のグローブボックス内で、出発原料のLi
2S、P
2S
5およびP
2O
5を秤量し、メノウ乳鉢を用いて10分間混合して混合試料を作製した。ただし、後述の実施例20および実施例21については、振動ミルを使用して出発原料を混合した。その試料をペレッターに入れ、一軸プレス機を用いてそのペレッターに20MPaの圧力を印加して、φ13mmのペレットを成形した。カーボンコートした石英管にこのペレットを入れ、10Paの内圧にしてその石英管を封止した。そして、ペレットを入れた石英管を5℃/分で615℃、700℃または900℃まで昇温させた後、1時間保持した。そして、上記温度に1時間保持した石英管を水中に投入することによって、焼成したペレットを急冷して試料を作製した。また、一部の試料については、急冷した後、530℃または700℃で1時間のアニール処理を行った。組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zにおけるxおよびzの値を変えた複数の試料を作製した。
【0029】
(粉末X線回折測定)
作製した試料に含まれる結晶を同定するために、粉末X線回折装置Ulima-IV(株式会社リガク製)およびSmart Lab(株式会社リガク製)を使用して、粉末X線回折測定を行った。粉末X線回折測定には、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線を使用した。10〜100°の範囲の回折角(2θ)で粉末X線回折測定を行った。
【0030】
(導電率の測定)
粉砕した試料を常温用セルに入れた後、5MPaの圧力を常温用セルに適用してペレットを作製した。そのペレットの両面に金粉末を分散させた後、15MPaの圧力をペレットに適用してペレットの両面に電極を形成して測定用試料を作製した。測定用試料の導電率の測定には、インピーダンス・ゲインフェーズアナライザーSolatron1260(ソーラトロン社製)を使用した。1Hz〜10MHzの測定範囲、25℃の測定温度、50〜100mVの交流電圧および2秒の積算時間の条件で交流インピーダンス測定を行い、試料の導電率を測定した。
【0031】
(熱安定性の測定)
試料の熱安定性を調べるために、差動型示差熱天秤Thermo Plus EVO II TG8120(株式会社リガク製)を使用して、示差熱測定を行った。測定用の試料調整は、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。10mgの粉砕した試料をSUSパンに詰め、10MPaで密封して測定用試料を作製した。また、Al
2O
3をSUSパンに詰め、10MPaで密封して参照試料を作製した。10℃/分で700℃または900℃まで測定用の試料を昇温した後、10℃/分で室温まで降温させることによって示差熱測定を行った。
【0032】
(サイクリックボルタンメトリー)
試料の電気化学的安定性を調べるために、試料のサイクリックボルタンメトリー(CV)を測定した。CVの測定には、Au電極およびLi電極を使用した。
【0033】
結果
(試料の作製)
図3のLi
2S−P
2S
5−P
2O
5系の三元組成図におけるLine1〜4に沿って実施例および比較例の試料を作製した。Line1は、組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zにおいて、xの値を0.07として、zの値を変えたときの線分である。Line2は、組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zにおいて、zの値を0.40として、xの値を変えたときの線分である。Line3は、組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zにおいて、zの値を0.50として、xの値を変えたときの線分である。Line4は、組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zにおいて、zの値を0.80として、xの値を変えたときの線分である。参考例として、上記の非特許文献3に記載の試料を「▲」の点で示す。上記の非特許文献3に記載の作製した試料の組成は、Line5に沿っている。Line5は、組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zにおいて、xの値を0として、zの値を変えたときの線分である。
図1と同様に、
図3の「●」の点は、実施例の組成を示し、「■」の点は、比較例の組成を示す。また、作製した試料および参考例の所属する三元組成図上のライン、合成温度、組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zにおけるxおよびzの値およびアニール温度を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
(粉末X線回折測定)
Line1に沿った組成の700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を
図4に示す。実施例におけるxの値は0.07であり、zの値は、それぞれ、0.00、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.80および1.00であった。また、
図4には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li
7PS
6の特徴的ピークの回折角を示す棒線、γ−Li
3PS
4のX線回折図形、β−Li
3PS
4のX線回折図形およびβ−Li
3PO
4のX線回折図形を示す。
【0036】
実施例1〜8(z=0.00〜1.00)で、Li
7PS
6が検出された。実施例1(z=0.00)の場合、β−Li
3PS
4およびγ−Li
3PS
4のほかに、12.9°、14.4°、15.2°、18.0°、20.5〜22.0°、24.2°、25.0°、28.0°および30.6°の回折角(2θ)に特徴的ピークを有する新規相が検出された。実施例2(z=0.20)では、β−Li
3PS
4が検出されなくなり、γ−Li
3PS
4が主相になった。実施例3および4(z=0.30および0.40)では、γ−Li
3PS
4はまだ存在していた。実施例5および6(z=0.50および0.60)では、γ−Li
3PS
4は検出されなくなり、検出された結晶は、新規相およびLi
7PS
6だけになった。実施例5(z=0.50)では、新規相を単一層とする化合物に最も近い固体電解質が得られた。新規相の特徴的ピークの回折角(2θ)は、zの値が0.40から増加するにしたがって、低角側または高角側にシフトした。新規相の特徴的ピークの回折角(2θ)がもっとも低角側にシフトしたのは、実施例6(z=0.60)であり、もっとも高角側にシフトしたのは、実施例7(z=0.80)であった。実施例5(z=0.50)で、新規相の割合がもっとも高くなった。実施例7および8(z=0.80および1.00)では、新規相の他に、β−Li
3PO
4が検出された。また、実施例7および8(z=0.80および1.00)では、Li
7PS
6およびβ−Li
3PO
4の割合が高くなった。
【0037】
Line2に沿った組成の700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を
図5に示す。実施例におけるxの値は、それぞれ、0.07および0.105であり、zの値は0.40であった。また、
図5には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマークおよびLi
7PS
6の特徴的ピークの回折角を示す棒線を示す。また、Li
2Sのもっとも強い特徴的ピークの回折角も示した。
【0038】
実施例4および9(x=0.07および0.105)の主相は新規相であった。xの値が増加すると、Li
7PS
6の割合が増加した。また、実施例9(x=0.105)では、出発原料のLi
2Sの特徴的ピークが検出された。これより、酸素量に関わらずxの値がおよそ0.1まで増えると、Li
2Sの固溶限界になる可能性がある。
【0039】
Line3に沿った組成の700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を
図6に示す。実施例におけるxの値は、それぞれ、0.03、0.05、0.07および0.08であり、zの値は0.50であった。また、
図6には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li
7PS
6の特徴的ピークの回折角を示す棒線およびγ−Li
3PS
4のX線回折図形を示す。
【0040】
全ての実施例10、11および5(x=0.03、0.05および0.07)で、主相は新規相であった。また、全ての実施例10、11および5(x=0.03、0.05、および0.07)で、Li
7PS
6は検出された。実施例10(x=0.03)では、γ−Li
3PS
4の割合は高かったが、xの値が0.03から増加するにしたがって、γ−Li
3PS
4の割合は減少した。xの値が0.03から0.05へ増えると、新規相の特徴的ピークの回折角(2θ)は高角側にシフトした。これより、xの値が0.03から0.05へ増えると、新規相の格子は縮小したことがわかる。しかし、xの値が0.05から0.07へ増えても、新規相の特徴的ピークの回折角(2θ)は変わらなかった。また、xの値が0.05から0.07へ増えると、Li
7PS
6およびγ−Li
3PS
4の割合は減少した。
【0041】
Line4に沿った組成の700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を
図7に示す。実施例および比較例のxの値は、それぞれ、0.03、0.05、0.07、0.09および0.333であり、zの値は0.80であった。また、
図7には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li
7PS
6の特徴的ピークの回折角を示す棒線、γ−Li
3PS
4のX線回折図形およびβ−Li
3PO
4のX線回折図形を示す。
【0042】
全ての実施例12、13、7および14(x=0.03、0.05、0.07および0.09)および比較例1(x=0.333)でLi
7PS
6およびβ−Li
3PO
4が検出された。実施例12、13、7および14(x=0.03、0.05、0.07および0.09)で、主相は新規相であった。実施例12、13、14(x=0.03、0.05および0.09)では、γ−Li
3PS
4が検出された。実施例14(x=0.09)および比較例1(x=0.333)では、出発原料であるLi
2Sが検出された。これより、Line4上では、xの値が0.07よりも大きく0.09以下である範囲内にLi
2Sの固溶限界が存在すると推測される。
【0043】
Line1に沿った組成の900℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を
図8に示す。実施例におけるxの値は0.07であり、zの値は、それぞれ、0.20、0.40および0.80であった。また、
図8には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li
7PS
6の特徴的ピークの回折角を示す棒線およびβ−Li
3PS
4のX線回折図形を示す。
【0044】
全ての実施例15〜17(z=0.20、0.40および0.80)の主相は新規相であった。実施例16(z=0.40)では、β−Li
3PS
4の割合が高かった、実施例15および17(z=0.20および0.80)では、β−Li
3PS
4の割合が非常に小さかった。zの値が増加するにしたがって、Li
7PS
6の割合は小さくなり、zの値が0.80になると(実施例17)、Li
7PS
6は検出されなくなった。zの値が0.40から0.80に増えると、新規相の特徴的ピークの回折角(2θ)は高角側にシフトした。
【0045】
xの値は0.07であり、zの値は0.40である場合の組成の900℃で合成し、530℃または700℃でアニールした組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を
図9に示す。また、
図9には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li
7PS
6の特徴的ピークの回折角を示す棒線およびβ−Li
3PS
4のX線回折図形を示す。さらに、アニール処理の前の同じ組成の硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果と比較できるようにするため、同組成の900℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4の硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果も示した。
【0046】
アニール処理を行うことにより、実施例18および19(アニール温度=530℃および700℃)の主相はβ−Li
3PS
4になり、新規相の割合は著しく減少した。
【0047】
xの値は0.07であり、zの値は0.00である場合の組成の615℃または700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
z、すなわち、xの値は0.07である場合の組成の615℃または700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4の硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を
図10に示す。また、
図10には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li
7PS
6の特徴的ピークの回折角を示す棒線およびγ−Li
3PS
4のX線回折図形を示す。
【0048】
実施例20および21(合成温度615℃および700℃)では、Li
7PS
6およびγ−Li
3PS
4のほかに、13.3°、14.75°、15.3°、18.0°、21.0〜21.7°、24.2°、25.4°、28.4°および30.6°の回折角(2θ)に特徴的ピークを有する新規相が検出された。
【0049】
以上の結果をまとめた、作製した試料および参考例の所属する三元組成図上のライン、合成温度、組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zにおけるxおよびzの値および検出された結晶を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
(導電率の測定)
Line1に沿った組成の700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の導電率の測定結果を
図11に示す。導電率は、導電率の低いγ−Li
3PS
4相が存在する、0.00以上、0.30以下のzの値の範囲(実施例1〜3)では、6.0×10
-5S/cm以下と低かった。しかし、zの値が0.40以上になり、主相が新規相に変化すると、導電率は9.1×10
-5S/cm以上になった(実施例4〜8)。Line1に沿った組成の700℃で合成した硫化物系固体電解質の導電率の中でもっとも最も高い導電率は、zの値が0.80である場合の2.1×10
-4S/cmであった(実施例7)。実施例7(z=0.80)は、実施例4および6(z=0.40および0.60)に比べてLi
7PS
6とγ−Li
3PS
4とが多く存在した。それでも実施例7(z=0.80)の導電率が高いのは、実施例7(z=0.80)の新規相の格子サイズが、実施例4および6(z=0.40および0.60)の格子サイズに比べても小さく、実施例7(z=0.80)の新規相の格子サイズがイオン導電に適しているためであると考えられる。
【0052】
Line2に沿った組成の700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の導電率の測定結果を
図12に示す。導電率は、実施例4(x=0.07)では、2.1×10
-4S/cmであり、実施例9(x=0.105)では、4.92×10
-5S/cmであった。実施例9(x=0.105)の導電率が低いのは、Li
7PS
6の割合が増加したためと出発原料のLi
2Sが残っていたためであると推測される。
【0053】
Line3に沿った組成の700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の導電率の測定結果を
図13に示す。導電率は、実施例10(x=0.03)では、1.06×10
-4S/cmであり、実施例11(x=0.05)では、1.35×10
-4S/cmであり、実施例5(x=0.07)では、9.11×10
-5S/cmであった。このように、zの値が0.50である場合に、ほぼ10
-4S/cmオーダーの導電率が得られたのは、主相が新規相であることと関連すると考えられる。
【0054】
Line4に沿った組成の700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の導電率の測定結果を
図14に示す。導電率は、実施例7(x=0.07)の2.1×10
-4S/cmが、もっとも高かった。しかし、導電率は、実施例12〜14(x=0.03、0.05および0.09)および比較例1(x=0.333)では、10
-5S/cmオーダーであり、低かった。これは、実施例7(x=0.07)では、新規相の割合が高く、実施例12〜14(x=0.03、0.05および0.09)および比較例1(x=0.333)では、Li
7PS
6、γ−Li
3PS
4、Li
2Sなどの導電率が低い結晶の割合が高かったためであると考えられる。
【0055】
700℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の導電率と粉末X線回折測定によって同定された結晶との関係をまとめる。Li
7PS
6はほぼ全ての組成で検出された。xの値が0.90以上になると、Li
2Sは固溶限界を超えて、硫化物系固体電解質中にLi
2S検出され、導電率が大きく減少した。zの値が0.80以上になると、β−Li
3PO
4が検出されたが、この結晶は、0.80≦z≦1.00では導電率に影響をあまり与えなかった。また、導電率は、γ−Li
3PS
4の増加にしがたい減少した。
【0056】
Line1に沿った組成の900℃で合成した組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zの硫化物系固体電解質の導電率の測定結果を
図15に示す。導電率は、実施例15(z=0.20)では、1.24×10
-4S/cmであり、実施例16(z=0.40)では、2.64×10
-4S/cmであり、実施例17(z=0.80)では、4.14×10
-5S/cmであった。zの値が0.20から0.40へ増加すると、導電率が増加したのは、Li
7PS
6の割合が低いためと、導電率の高いβ−Li
3PS
4の割合が高いためであると考えられる。実施例17(z=0.80)では、ほぼ新規相の単一相に近い硫化物系固体電解質が得られたにも関わらず導電率が低いのは、新規相の格子が著しく小さいためであると考えられる。
【0057】
xの値は0.07であり、zの値は0.40である場合の900℃で合成し、530℃でアニールした実施例18の導電率は、2.30×10
-4S/cmであり、700℃でアニールした実施例19の導電率は、1.14×10
-4S/cmであった。これらの値は、アニール前の実施例16の導電率である2.64×10
-4S/cmよりも小さかった。したがって、硫化物系固体電解質の導電率は、アニール処理により低下した。この結果から、これより新規相の導電率は、β−Li
3PS
4の導電率よりも高いことがわかった。
【0058】
参考例の導電率の最高値は、参考例4の7.3×10
-5S/cmである。
【0059】
以上の結果をまとめた、作製した試料および参考例の所属する三元組成図上のライン、合成温度、組成式Li
3+5xP
1-xS
4-zO
zにおけるxおよびzの値および導電率を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
また、導電率と検出した結晶とをまとめて表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
(熱安定性の測定)
xの値が0.07であり、zの値が0.40である、900℃で合成した実施例16の示差熱測定の結果(DTA曲線)を
図16に示す。昇温過程で500℃付近および600℃付近に吸熱ピークが、降温過程で560℃付近に発熱ピークが観測された。
【0064】
(サイクリックボルタンメトリー)
xの値が0.07であり、zの値が0.50である、700℃で合成した実施例5のCV測定結果を
図17に示す。測定した電位範囲でリチウムの溶解・析出(Li→Li
++e
-、Li
++e
-→Li)以外の酸化・還元ピークは観測されなかった。このことからこの新規相は、高い電気化学的安定性を有し、電位窓が広い物質であることがわかった。