(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無線基地局装置は、上位ノードであるコアネットワークまたは当該無線基地局装置と接続された保守監視装置のいずれか一方からの指示に基づき前記間引き処理を行う、
請求項15に記載の無線通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態にかかる無線通信システムを説明するための図である。本実施の形態にかかる無線通信システムは、ユーザ装置2と、当該ユーザ装置2と無線通信を行う無線基地局装置1とを有する。
【0014】
無線基地局装置1は、当該無線基地局装置1のサービスエリア内に在圏するユーザ装置2の通信状態を監視する。また、無線基地局装置1は、通信中のユーザ装置2がない場合は、無線基地局装置1からユーザ装置2に送信する信号を間欠送信する。この場合、ユーザ装置に送信する信号は例えばW−CDMA方式の場合は、パイロットチャネル、シンクチャネルなどの下りの共通チャネルである。ここで、通信中とは無線基地局装置1とユーザ装置2が通話やデータ通信を行っている状態をいう。また、間欠送信とは、通常の送信と比べて出力電力が減少するように信号を間引いて送信する方法である。例えば、無線基地局装置の信号送信間隔を空ける(広げる)、無線基地局装置が使用する周波数帯域を制限する(絞り込む)等の方法により行うことができる。なお、無線基地局装置の送信信号間隔を空け、かつ、無線基地局装置が使用する周波数帯域を制限することもできる。
ユーザ装置2は、無線基地局装置1と無線通信をすることができる端末であり、一つの無線基地局装置のサービスエリア内に複数存在してもよい。
【0015】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムを構成する無線基地局装置1の動作について
図2を用いて説明する。
まず、無線基地局装置1を起動する(S1)。無線基地局装置1が起動すると、無線基地局装置1は下り無線送信を開始する(S2)。そして、無線基地局装置1は無線基地局装置1の配下(サービスエリア内)に通信中のユーザ装置2があるか否かを判断する(S3)。無線基地局装置1の配下に通信中のユーザ装置2がある場合は、下り連続送信を行う(S4)。一方、無線基地局装置1の配下に通信中のユーザ装置2がない場合は、下り間欠送信を行う(S5)。
【0016】
無線基地局装置1は通信中のユーザ装置2が存在するか否かを一定の間隔で監視し、通信中のユーザ装置2が存在する場合は下り連続送信を行い、通信中のユーザ装置が存在しない場合は下り間欠送信を行うという動作を繰り返す。
下り間欠送信をする場合は、
図5Aに示すように、信号を一定間隔で送信してもよいし、
図5Bに示すように信号をランダム間隔で送信してもよい。
【0017】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、無線基地局装置の配下に通信中のユーザ装置が無い場合、無線基地局装置が下り間欠送信をしているので、無線基地局装置の送信電力を抑えることができる。なお、在圏中のユーザ装置は、無線基地局装置の間欠送信により多少の無線障害の影響を受ける可能性はあるが、在圏状態は継続することができる。
【0018】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。
図3は本実施の形態にかかる無線通信システムを説明するための図である。本実施の形態にかかる無線通信システムも実施の形態1と同様に、ユーザ装置2と、当該ユーザ装置2と無線通信を行う無線基地局装置1とを有する。無線基地局装置1は、当該無線基地局装置のサービスエリア内に在圏するユーザ装置2の通信状態を監視する。また、無線基地局装置1は、通信中のユーザ装置2がない場合は、無線基地局装置1からユーザ装置2に送信する信号を間欠送信する。
【0019】
本実施の形態では、無線基地局装置1は制御部4と通信部5を有する。制御部4は、通信中のユーザ装置2がない場合は、無線基地局装置1からユーザ装置2に送信する信号を間欠送信するように通信部5を制御する。また、通信部5は、制御部4からの制御に基づき、信号を間欠送信する。
【0020】
尚、本実施の形態にかかる無線通信システムを構成する無線基地局装置1の動作については、
図2で示した動作と同様であるので説明を省略する。また、本実施の形態においても、下り間欠送信をする場合は、
図5Aに示すように、信号を一定間隔で送信してもよいし、
図5Bに示すように信号をランダム間隔で送信してもよい。
【0021】
本実施の形態にかかる無線通信システムにおいても、無線基地局装置1の配下に通信中のユーザ装置が無い場合、無線基地局装置1が下り間欠送信をしているので、無線基地局装置1の送信電力を抑えることができる。
【0022】
実施の形態3.
次に、実施の形態3として、本発明にかかる無線通信システムをW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)のネットワーク、またはLTE(Long Term Evolution)のネットワークに適用した場合について説明する。
【0023】
本実施の形態にかかる無線通信システムを
図4に示す。本実施の形態にかかる無線通信システムは、実施の形態1と同様に無線基地局装置1とユーザ装置2を有する。無線基地局装置1は、監視部3、制御部4、通信部5を有する。無線基地局装置の監視部3は、在圏するユーザ装置の状態を監視し、監視結果を制御部4に出力する。具体的には、監視部3は個別チャネル(DCH(Dedicated Channel)、トランスポートチャネル)を監視する。ここで、監視部3が監視するチャネルは個別チャネルだけではなく、ランダムアクセスチャネル(RACH)であってもよい。ランダムアクセスチャネルとは、ユーザ装置2から無線基地局装置1に対する通信の要求を送るチャネルである。
【0024】
制御部4は、監視部3からの監視結果が通信中の在圏ユーザ装置2がないことを示す場合に、通信部5が送信する信号を間欠送信するように通信部5を制御する。
通信部5は、制御部4からの制御信号に基づきユーザ装置2に対して間欠送信を行う。間欠送信の対象は、パイロットチャネル、シンクチャネル(同期チャネル)を含む下り共通チャネルである。具体的には、CPICH(Common Pilot Channel)やSCH(Synchronization Channel)である。
【0025】
尚、本実施の形態にかかる無線通信システムを構成する無線基地局装置1の動作については、
図2で示した動作と同様であるので説明を省略する。また、本実施の形態においても、下り間欠送信をする場合は、
図5Aに示すように、信号を一定間隔で送信してもよいし、
図5Bに示すように信号をランダム間隔で送信してもよい。
【0026】
本実施の形態にかかる無線通信システムにおいても、無線基地局装置1の配下に通信中のユーザ装置が無い場合、無線基地局装置1が下り間欠送信をしているので、無線基地局装置1の送信電力を抑えることができる。
【0027】
実施の形態4.
次に、実施の形態4にかかる無線通信システムについて説明する。本実施の形態にかかる無線通信システムの構成は実施の形態3にかかる無線通信システムと基本的には同様である。実施の形態3にかかる無線通信システムと異なる点は、無線基地局装置1が報知部6を有し、ユーザ装置2が復号部9を有する点である。
【0028】
本実施の形態にかかる無線通信システムを
図6に示す。
図6において、無線基地局装置の監視部3は、在圏ユーザ装置2の状況を監視する。また、制御部4は通信中の在圏ユーザ装置がない場合に間欠送信をするように通信部5に命令する。
【0029】
報知部6は、報知情報を生成する。報知情報には、ユーザ装置に送信する信号の間引き周期やタイミングに関する情報が含まれる。報知情報の一例として、MIBやSIBがある。MIB(Master Information Block)はスケジュール情報であり、下りの送信帯域や送信周期をユーザ装置に知らせるものである。SIB(System Information Block)は端末への接続に必要な情報を含む。無線基地局装置1の通信部5は、制御部4の命令により間欠送信を行うと共に、報知部6で生成された報知情報をユーザ装置へ送信する。
【0030】
ユーザ装置2の通信部7は、無線基地局装置1からの間欠送信および報知情報を受信する。ユーザ装置2の復号部9は、受信した報知情報を復号化する。そして、ユーザ装置2の制御部8は、復号化した報知情報に基づくタイミングで無線基地局装置1からの間欠信号を受信するように通信部7に命令する。
【0031】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムを構成する無線基地局装置の動作について
図7を用いて説明する。
まず、無線基地局装置1を起動する(S11)。無線基地局装置1が起動すると、無線基地局装置1は下り無線送信を開始する(S12)。そして、無線基地局装置1の監視部3は無線基地局装置1の配下に通信中のユーザ装置2があるか否かを判断する(S13)。無線基地局装置1の配下に通信中のユーザ装置2があると監視部3が判断した場合、制御部4は連続送信をするように通信部5に命令する。通信部5は制御部4の命令に基づき下り連続送信を行う(S14)。
【0032】
一方、無線基地局装置1の配下に通信中のユーザ装置2がないと監視部3が判断した場合、制御部4は間欠送信をするように通信部5に命令する。通信部5は制御部4の命令に基づき下り間欠送信を行う(S15)。また、報知部6は、報知情報を生成し、当該報知情報をユーザ装置2に送信し、下り間欠送信のタイミングをユーザ装置2に報知する(S16)。
【0033】
無線基地局装置1は通信中のユーザ装置2が存在するか否かを一定の間隔で監視し、通信中のユーザ装置2が存在する場合は下り連続送信を行い、通信中のユーザ装置が存在しない場合は下り間欠送信と下り間欠送信タイミングの報知を行うという動作を繰り返す。
【0034】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、無線基地局装置の配下に通信中のユーザ装置が無い場合、無線基地局装置とユーザ装置とが同期して下り間欠送受信しているので、無線基地局装置及びユーザ装置の送受信電力を抑えることができる。
尚、本実施の形態においても、下り間欠送信をする場合は、
図5Aに示すように、信号を一定間隔で送信してもよいし、
図5Bに示すように信号をランダム間隔で送信してもよい。
【0035】
実施の形態5.
次に、実施の形態5にかかる無線通信システムについて説明する。本実施の形態にかかる無線通信システムの構成は実施の形態3にかかる無線通信システムと基本的に同様である。実施の形態3と異なる点は、無線基地局装置1が設定部10を有し、ユーザ装置2が検出部11を有する点である。
【0036】
本実施の形態にかかる無線通信システムを
図8に示す。
図8において、無線基地局装置1の監視部3は、在圏ユーザ装置2の状況を監視する。また、制御部4は通信中の在圏ユーザ装置がない場合に間欠送信を通信部5に命令する。無線基地局装置1の設定部10は、所定の拡散符号を通信部5に指示する。無線基地局装置1の通信部5は、拡散符号を用いて事前に決定された周期でユーザ装置2と同期して、下り間欠信号の送信タイミング情報である報知情報をユーザ装置2に送信する。
【0037】
ここで、所定の拡散符号としては、例えば一つ又は複数の特定のSSC(Secondary Synchronization Code)、または、一つ又は複数の特定のScrambling Code Groupとしてもよい。所定の拡散符号(フェムト用拡散符号(例えばScrambling Code))は、「3GPP仕様書、TS25.213 v3.9.0(2003-12) Technical Specification 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Spreading and modulation(FDD)(Release 1999) 、5.2.3.2 Code allocation of SSC(Secondary Synchronization Code)」に記載されている。
【0038】
ユーザ装置2の通信部7は、無線基地局装置1からの信号を受信する。ユーザ装置2の検出部11は所定の拡散符号を検出し、当該拡散符号を検出したことをユーザ装置2の制御部8に通知する。ユーザ装置2の制御部8は、所定の拡散符号を検出した場合、システムとして事前に決定された周期で無線基地局装置1と同期して、報知情報を間欠受信するように通信部7に命令する。ユーザ装置2の通信部7は制御部8の命令に従い無線基地局装置1からの信号を間欠受信する。
【0039】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムの動作について
図9を用いて説明する。まず、無線基地局装置1はユーザ装置2のサーチを開始する(S21)。ユーザ装置2は、無線基地局装置1からの信号を受信し、ユーザ装置2の検出部11は当該信号が所定の拡散符号であるかを判断する(S22)。ユーザ装置2の検出部11が所定の拡散符号ではないと判断した場合は、下り連続受信をする(S23)。ユーザ装置2の検出部11が所定の拡散符号であると判断した場合は、事前に決定された周期で無線基地局装置1と同期して、下り間欠受信する(S24)。
【0040】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、無線基地局装置が所定の拡散符号を送信し、ユーザ装置が当該拡散符号を検出しているので、より早くに所定の無線基地局装置(例えばフェムト無線基地局装置)であることを、ユーザ装置が認識できる。また、本実施の形態にかかる無線通信システムにより、無線基地局装置とユーザ装置間の情報伝達の欠損を防止することができる。
【0041】
実施の形態6.
次に、実施の形態6にかかる無線通信システムについて説明する。本実施の形態にかかる無線通信システムの構成は他の実施の形態と基本的に同様である。本実施の形態では、
図10に示すように、無線基地局装置が報知情報/ページング情報を送信する前に、同期情報/共通パイロット情報を一定期間プリアンブル送信している。
【0042】
図10(a)は、同期情報(SCH)/共通パイロット情報(CPICH)を送信するタイミングを示す図である。また、
図10(b)は、報知情報(P−CCPCH、S−CCPCH)/ページング情報(PICH)を送信するタイミングを示す図である。
図10(a)、(b)に示すように、本実施の形態にかかる無線通信システムの無線基地局装置は、同期情報(SCH)/共通パイロット情報(CPICH)を送信するタイミングを、報知情報(P−CCPCH、S−CCPCH)/ページング情報(PICH)を送信するタイミングよりも早くしている(プリアンブル送信)。
【0043】
ユーザ装置は同期情報(SCH)/共通パイロット情報(CPICH)のプリアンブル送信を受信すると、データ送信開始を検知する。すなわち、ユーザ装置は所定の無線基地局装置に在圏する装置であることをより早くに検知することができる。例えば、ユーザ装置が共通パイロット情報は受信できたが、受信前後の所定の時間帯において報知信号を受信できない場合に、共通パイロット情報の送信元の無線基地局装置が省電力モードであることを認識することができる。
【0044】
本実施の形態にかかる無線通信システムにより、ユーザ装置における下り方向の同期補正の精度を向上することができ、同期外れを防止することができる。
【0045】
実施の形態7.
次に、実施の形態7にかかる無線通信システムについて説明する。本実施の形態にかかる無線通信システムの構成も他の実施の形態と基本的に同様である。本実施の形態では、無線基地局装置が、(1)報知情報として無線基地局装置の種別等を含めて送信している点、(2)共通パイロット情報(CPICH)に間欠送信の開始を示すフラグを追加している点が、他の実施の形態と異なる。
【0046】
(1)報知情報として無線基地局装置の種別等を含めて送信する場合
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、無線基地局装置が、報知情報に無線基地局装置の種別または無線基地局装置のセルを識別する識別情報を含めて送信することもできる。ここで、報知情報とは、例えば、MIB(Management Information Block)である。また識別情報とは、例えば、所定のCSGID(Closed subscriber group Cell ID)である。CSGIDとは、マクロセル、マイクロセル、フェムトセルといった無線基地局装置のセル種別や、無線基地局装置の種類を識別する識別情報である。
【0047】
そして、ユーザ装置は報知情報を受信し、受信した報知情報に上記識別情報が含まれているかどうかを判断する。上記識別情報が含まれている場合、ユーザ装置は間欠受信を開始する。
【0048】
(2)共通パイロット情報に間欠送信の開始を示すフラグを追加する場合
また、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、共通パイロット情報に無線基地局装置が間欠送信を開始することを示すフラグを追加して送信することもできる。ユーザ装置は共通パイロット情報を受信し、受信した共通パイロット情報に無線基地局装置が間欠送信を開始することを示すフラグが含まれているかどうかを判断する。間欠送信を開始することを示すフラグが含まれている場合、ユーザ装置は間欠受信を開始する。
【0049】
実施の形態8.
次に、実施の形態8にかかる無線通信システムについて説明する。本実施の形態にかかる無線通信システムでは、本実施の形態にかかる無線通信システムをEvolved HSPA(High Speed Packet Access)のネットワークまたはLTE(Long Term Evolution)のネットワークに適用している。これらのネットワークでは、RNC(Radio Network Controller)がノードBに縮退されたFlat Architectureの形態をとることが可能である。なお、本実施の形態にかかる無線通信システムの構成も基本的には
図4と同様である。
【0050】
本実施の形態にかかる無線通信システムを構成する無線基地局装置の監視部は、個別チャネルまたはランダムアクセスチャネルに基づいて、ユーザ装置との通信の有無を判断する。
【0051】
個別チャネルで判断する場合は、例えばDCCH/DTCHで判断する。つまり、一定期間DCCH(Dedicated Control Channel)、もしくは、DTCH(Dedicated Traffic Channel)を使用したデータの送受信を行っていない場合、無線基地局装置の監視部はユーザ装置との通信が無いと判断することができる。なお、LTEシステムでは、
図11A及びBに示すように、論理チャネルであるDCCH/DTCHは、トランスポートチャネルであるUL−SCH(UpLink-Shared Channel)またはDL−SCH(DownLink-Shared Channel)を介して転送される。
【0052】
また、個別チャネル以外で判断する場合は、次のようにして判断する。ユーザ装置から物理チャネルであるPRACH(Physical Random Access Channel)を使用したRandom Access Preamble(初期接続、ハンドオーバー時の接続に使用)を一定期間受信していない場合、もしくは、Random Access Preambleの受信に伴う接続処理を行っていない場合、無線基地局装置の監視部はユーザ装置との通信が無いと判断する。
【0053】
本実施の形態にかかる無線通信システムを構成する無線基地局装置1の監視部3は、上記手法によりユーザ装置との通信の有無を判断する。そして、制御部4は、監視部3からの監視結果が通信中の在圏ユーザ装置がないことを示す場合に、通信部5が送信する信号を間引くように通信部5に対して命令をする。通信部5は、制御部4からの制御信号に基づき信号の間引きを実施する。
【0054】
下り信号を間引く場合は、例えば、一定期間、全ての信号を停止する。これにより、時間軸上で下り信号を間引くことができる。この時、同期用信号であるSS(Synchronization Signal)やユーザ装置(UEともいう)がセルを識別するために必要となるDL RS(DownLink Reference Signal)も停止する。ここで、一定期間とは、特定の周期であり、例えば1秒周期で送信/停止を繰り返してもよい。また、ランダムのタイミングで複数のサブフレームを間引いてもよい。
図12は、一定期間、下り信号を間引いた場合の例を示す図である。
図12において横軸は時間であり、縦軸は周波数である。
図12では、下り信号のサブフレームを一定期間、全て停止している。このように、一定期間下り信号を間引くことで、無線基地局装置の省電力化を図ることができる。
【0055】
実施の形態9.
次に、実施の形態9にかかる無線通信システムについて説明する。本実施の形態にかかる無線通信システムの構成は実施の形態8にかかる無線通信システムと基本的に同様であるが、下り送信信号の間引き方が実施の形態8と異なる。
【0056】
本実施の形態では、送信信号のうち特定の信号を間引いている。これにより、周波数軸上で間引くことができる。具体的には、同期用信号であるSSやユーザ装置識別用のDL RS、また、BCH(Broadcast Channel)、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を用いてUEに通知する報知情報(System Information)のような必要な信号は送信を維持し、それ以外のユーザデータを停止する。
【0057】
この際、SS、BCHは全システム帯域の中央6RB(Resource Block)を使用して送信することが標準化で定義されている。このため、その他の信号である、DL RS、PDSCH(報知情報用)も出来る限り中央のRBを使用して送信することで、無線部で送信する信号の帯域幅を小さくすることができ、省電力化を図ることができる。
図13は、サブフレーム間において送信帯域を抑制している状態を示す図である。
図13に示すように、サブフレームに存在するDL RS、PDSCH(報知情報用)は、中央のRBを使用して送信されている。
【0058】
尚、RBおよびPDSCHで使用する周波数帯域幅を狭めることで省電力化を図る手法は、UEが1台も存在しない場合だけではなく、UE数が少ないときにも用いることができる。また、実施の形態8および実施の形態9において、時間軸上での間引き方と周波数軸上での間引き方を別々に説明したが、両者を組み合わせて周波数軸上及び時間軸上の両方で間引いてもよい。
【0059】
実施の形態10.
次に実施の形態10について説明する。実施の形態10では、ユーザ装置(UE)に対して無線基地局装置(eNB)が省電力モードであることを通知する場合について説明する。実施の形態9では、PDSCHで送信する報知情報を出来る限り中央のRBへ寄せることで、通信部で送信する電波の周波数帯域幅を狭くし、省電力化を図った。このような場合、UEでPDSCHをデコードするために必要な情報が通知されるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)も同じ帯域幅に狭める必要がある。
【0060】
しかし、例えば20MHzの帯域幅で送信中の無線基地局装置(eNB)が、任意のタイミングで省電力化のために5MHzの帯域幅で送信するように変更したとしても、UEにその変化を認識させることはできず、UEにおいてPDCCHを正常に受信することができない可能性がある。そこで、PDCCH無しで受信可能な以下の2つの信号のいずれかを用いることで、UEに対して無線基地局装置(eNB)が省電力モードであること、つまり、帯域幅を制限して送信中であることを通知することができる。
【0061】
まず、省電力モードを示す信号シーケンス(Downlink Reference Signal)を新たに定義し、この信号を用いることで、UEに対して無線基地局装置(eNB)が省電力モードであることを通知することができる。現在定義されている、セル全体用、MBSFNセル用、個別ユーザ用の3種類の信号に加えて、省電力モードを示す信号シーケンスを追加する。この信号シーケンスでは、省電力モードであることに加えて、現在の抑制帯域幅(例えば、1.4MHzや3MHzなどを示す情報)をUEへ通知することができる。この際、抑制後の帯域における中央の周波数と、抑制前の帯域における中央の周波数を同一にすると取り決めをすることで、UEはどこの周波数に集約されたかを判断することができる。
【0062】
また、BCHで通知されるMIB(Master Information Block)に情報要素を追加することで、UEに対して無線基地局装置(eNB)が省電力モードであることを通知することができる。すなわち、MIBに、省電力モードを示すフラグ(Flag)を追加する。MIBは、もともと無線基地局装置(eNB)が提供する全システム帯域を示す情報要素(dl-Bandwidth)を有するため、これと省電力モードを示すフラグを組み合わせることで、UEに対して無線基地局装置(eNB)が省電力モードであるか否かを通知することができる。例えば、「省電力モードFlag=False、dl-Bandwidth=n100、20MHzを使用して通常のサービスを提供」、「省電力モードFlag=True、dl-Bandwidth=n6、省電力モード、システム帯域を1.4MHzに抑制中」という情報をUEに通知することで、無線基地局装置(eNB)が省電力モードであるか否かを通知することができる。
【0063】
実施の形態11.
次に、実施の形態11について説明する。上記実施の形態では、無線基地局装置の下り送信信号を間引く際に、無線基地局装置が判断していた。本実施の形態では、上位ノードからの命令に基づき間引き処理をするか否かを判断している。
【0064】
図14A及びBは本実施の形態にかかる無線通信システムのシステム構成を説明するための図である。
図14AはW−CDMAの場合のシステム構成であり、
図14BはLTEの場合のシステム構成である。
【0065】
図14Aに示すW−CDMAのシステム構成は、コアネットワークとIMS(IP Multimedia Subsystem)はそれぞれ基地局制御装置とインターネット網に接続している。また、無線基地局装置は基地局制御装置とインターネット網と接続している。また、保守監視装置は無線基地局装置と接続している。ここで、保守監視装置はあるエリアの複数の無線基地局装置の監視を行う機能を有する。無線基地局装置はユーザ装置と無線通信を行う。
【0066】
図14Bに示すLTEのシステム構成は、
図14AのW−CDMAのシステム構成から基地局制御装置を除いたシステム構成となっている。すなわち、コアネットワークとIMSはそれぞれ無線基地局装置とインターネット網に接続している。無線基地局装置はインターネット網と接続している。また、保守監視装置は無線基地局装置と接続している。無線基地局装置はユーザ装置と無線通信を行う。
【0067】
次に、
図14A、Bに示すシステム構成において、上位ノードからの命令に基づき間引き処理をするか否かを判断する場合について説明する。
【0068】
まず、コアネットワークで間引き処理の要否を判断する場合について説明する。この場合は、上位ノードであるコアネットワーク(S-GW: Serving GateWayもしくはMME: Mobility Management Entity)にて、ロケーションエリア内のユーザ在圏状況を定期的に確認する。そして、ロケーションエリア内にユーザがいない場合、又はユーザが少ない状況が確認できた場合には、間欠送信モードへ移行する。無線基地局装置は所定の指示情報を受信することで、間欠送信を実施することができる。
【0069】
次に、保守監視装置で間引き処理の要否を判断する場合について説明する。保守監視装置で判断する場合は、保守監視装置を用いてあるエリア内のUEの在圏状況を判断し、所定の指示情報(例えば、間引き処理を実施するという指示情報)を無線基地局装置へ送信する。無線基地局装置は所定の指示情報を受信することで間欠送信を実施することができる。
【0070】
なお、間欠送信を停止する際は、コアネットワークから明示的に間欠送信停止を指示することも可能である。例えば、緊急災害が発生した場合にはコアネットワークから緊急災害情報(例えば地震速報など)が通知され、無線基地局装置は電源を停止することなく、下りで災害情報を送り続ける。また、無線基地局装置が電源を停止している場合、上記緊急災害情報通知を受けると、無線基地局装置が起動し、下りで災害情報を送信する。
【0071】
その他の実施の形態.
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムの制御方法について説明する。本実施の形態にかかる、ユーザ装置と、当該ユーザ装置と無線通信を行う無線基地局装置とを有する無線通信システムの制御方法は、次のステップを有する。
(1)無線基地局装置のサービスエリア内に在圏するユーザ装置の通信状態を監視するステップ
(2)通信中のユーザ装置がない場合は、無線基地局装置からユーザ装置に送信する信号を間欠送信するステップ
(3)間欠送信された信号を受信するステップ
本実施の形態にかかる無線通信システムの制御方法を実施する際は、例えば上記で説明した無線通信システムを用いることができる。
【0072】
また、本実施の形態にかかる無線通信システムの制御方法は次のステップを有してもよい。
(4)無線基地局装置からユーザ装置に送信する信号を間欠送信する際に、当該間欠送信される信号のタイミング情報である報知情報をユーザ装置に送信するステップ
(5)ユーザ装置が受信した報知情報を復号化するステップ
(6)復号化された報知情報に基づき、間欠送信された信号を受信するステップ
【0073】
また、本実施の形態にかかる無線通信システムの制御方法は次のステップを有してもよい。
(7)無線基地局装置からユーザ装置に送信する信号を間欠送信する際に、所定の拡散符号をユーザ装置に送信するステップ
(8)ユーザ装置が受信した拡散符号に基づき、間欠送信された信号を受信するステップ
【0074】
本実施の形態にかかる無線通信システムの制御方法では、無線基地局装置の配下に通信中のユーザ装置が無い場合、下り間欠送信をするように無線基地局装置を制御しているので、無線基地局装置の送信電力を抑えることができる。
【0075】
次に、本実施の形態にかかる無線基地局装置の制御方法について説明する。本実施の形態にかかる無線基地局装置の制御方法は、無線基地局装置のサービスエリア内に在圏するユーザ装置の通信状態を監視し、通信中のユーザ装置がない場合は、無線基地局装置からユーザ装置に送信する信号を間欠送信する。本実施の形態にかかる無線基地局装置の制御方法を実施する際は、例えば上記で説明した無線基地局装置を用いることができる。
【0076】
本実施の形態にかかる無線基地局装置の制御方法では、無線基地局装置の配下に通信中のユーザ装置が無い場合、下り間欠送信をするように無線基地局装置を制御しているので、無線基地局装置の送信電力を抑えることができる。
【0077】
また、本実施の形態にかかる無線基地局装置の制御方法では、間欠送信される信号は、下り方向の共通チャネル信号であってもよい。また、本実施の形態にかかる無線基地局装置の制御方法では、間欠送信は、一定の間隔、またはランダム間隔で行ってもよい。
【0078】
なお、上記の実施の形態によって本発明は限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づき、当業者によって種々の変更が可能なことは明らかである。
例えば、上記の実施の形態で示した無線基地局の各処理を、コンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することもできる。この場合、プログラムは、記録媒体に記録して提供することも可能であり、また、インターネットその他の通信媒体を介して伝送することにより提供することも可能である。また、記憶媒体には、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きRAMメモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等が含まれる。また、通信媒体には、電話回線等の有線通信媒体、マイクロ波回線等の無線通信媒体等が含まれる。
【0079】
なお、近年、屋内へ設置可能な無線基地局装置の開発が進められている。この無線基地局装置により形成されるセルは、そのカバーエリアが屋外に設置される無線基地局装置と比較して極めて小さいことから、一般にフェムトセルと呼ばれる。フェムトセルを形成する無線基地局装置はフェムト無線基地局装置と呼ばれる。これに対して、フェムトセルより大規模なセル(一般にマクロセルと呼ばれる)を形成する無線基地局装置はマクロ無線基地局装置と呼ばれる。本発明はこれらフェムト無線基地局装置およびマクロ無線基地局装置のみならず、あらゆる形態の無線基地局装置に適用できる。
【0080】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0081】
この出願は、2009年3月3日に出願された日本出願特願2009−048908を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。