特許第5787363号(P5787363)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インテュイティブ サージカル インコーポレイテッドの特許一覧

特許5787363内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム
<>
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000002
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000003
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000004
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000005
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000006
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000007
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000008
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000009
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000010
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000011
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000012
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000013
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000014
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000015
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000016
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000017
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000018
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000019
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000020
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000021
  • 特許5787363-内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787363
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】内視鏡カメラのための5棒球面リンク機構を備えるセンターロボットアーム
(51)【国際特許分類】
   A61B 19/00 20060101AFI20150910BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20150910BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   A61B19/00 502
   A61B19/00 501
   A61B1/00 300B
   B25J17/00 K
【請求項の数】44
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2012-142158(P2012-142158)
(22)【出願日】2012年6月25日
(62)【分割の表示】特願2008-552550(P2008-552550)の分割
【原出願日】2007年1月24日
(65)【公開番号】特開2012-210439(P2012-210439A)
(43)【公開日】2012年11月1日
【審査請求日】2012年6月25日
(31)【優先権主張番号】60/762,233
(32)【優先日】2006年1月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/786,491
(32)【優先日】2006年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410453
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ブルース シェナ
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−512983(JP,A)
【文献】 特開平06−261911(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0024387(US,A1)
【文献】 特開昭60−167785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 19/00
B25J 9/00
B25J 17/00 − B25J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球面回転の遠隔中心を有する並列の球面5棒リンク機構であって、
2つの離間した回転軸を有する接地リンクと、
2つの内側リンクであって、該2つの内側リンクの各々は、該2つの回転軸のうちの1つにおいて該接地リンクに旋回可能に連結され、該回転軸から離間した中間軸を有する、2つの内側リンクと、
2つの外側リンクであって、該2つの外側リンクの各々は、該内側リンクの中間軸において該内側リンクのうちの1つに旋回可能に連結され、該中間軸から離間した外側軸において共に旋回可能に連結される、2つの外側リンクと、
該外側リンク間の最小角度が少なくとも15度となるように、該外側軸回りの該外側リンクの回転を制限する制約部と
を含み、
全ての軸は、該球面回転の遠隔中心を通過し、そして該制約部が、該2つの内側リンクの両方が該接地リンクと同一平面にある場合に、該2つの内側リンクの各々が、該2つの内側リンクの各々の中間軸が該2つの内側リンクの他方の回転軸と同じ側の内側リンクの回転軸に配置されるように制約されるようにする、リンク機構。
【請求項2】
前記制約部は、機械的停止装置をさらに含む、請求項1に記載のリンク機構。
【請求項3】
前記機械的停止装置は、前記外側リンクの他方に対する該外側リンクの一方の前記外側軸回りの回転を直接制限する、請求項2に記載のリンク機構。
【請求項4】
前記接地リンクおよび前記2つの内側リンクは、略同一角度長を有する、請求項1に記載のリンク機構。
【請求項5】
前記2つの外側リンクは、略同一角度長を有する、請求項4に記載のリンク機構。
【請求項6】
前記2つの外側リンクは、前記接地リンクと略同一角度長を有する、請求項4に記載のリンク機構。
【請求項7】
前記制約部は、
2つのモータであって、各モータは、前記接地リンクと連結され、かつ前記2つの回転軸のうちの1つにおいて前記2つの内側リンクのうちの1つに連結される、2つのモータと、
前記2つのモータの各々に、該連結された内側リンクを該2つの回転軸のうちの1つの回りに制限された回転範囲で回転させるコントローラと
を含む、請求項1に記載のリンク機構。
【請求項8】
前記接地リンクおよび前記2つの内側リンクは、該2つの内側リンクの各一方およびその連結された外側リンクが、該接地リンクと該2つの内側リンクの他方およびその連結された外側リンクとを自由に通過できるように構成され、連結される、請求項1に記載のリンク機構。
【請求項9】
2つの回転エンコーダであって、該回転エンコーダの各々は、前記内側リンクのうちの1つにその回転軸において連結される、2つの回転エンコーダと、
該内側リンクの各々の軸受を受ける該2つの回転エンコーダに連結され、前記外側軸の位置を計算するコンピュータと
をさらに備える、請求項1に記載のリンク機構。
【請求項10】
前記外側リンクのうちの1つは、前記外側軸および前記中間軸から離間した挿入軸をさらに含み、該挿入軸は、前記球面回転の遠隔中心を通過する、請求項1に記載のリンク機構。
【請求項11】
前記外側リンクのうちの1つは、前記外側軸と一致する挿入軸をさらに含み、該挿入軸は、前記球面回転の遠隔中心を通過する、請求項1に記載のリンク機構。
【請求項12】
第1の回転軸に連結された第1の内側リンクであって、該第1の回転軸から離間した第1の中間軸を有する第1の内側リンクと、
該第1の中間軸において該第1の内側リンクに旋回可能に連結される第1の外側リンクであって、該第1の中間軸から離間した外側軸を有する第1の外側リンクと、
該第1の回転軸から離間した第2の回転軸に連結された第2の内側リンクであって、該第2の回転軸から離間した第2の中間軸を有する第2の内側リンクと
該第2の中間軸において該第2の内側リンクに旋回可能に連結され、かつ該外側軸において該第1の外側リンクに旋回可能に連結される第2の外側リンクと、
該第1の回転軸を該第2の回転軸に連結する接地リンクと、
該第1の回転軸に連結された第1のモータと、
該第2の回転軸に連結された第2のモータと、を備え、
ここで、該第1の回転軸、該第2の回転軸、該第1の中間軸、該第2の中間軸、および該外側軸はすべて、全5つのリンクから離間した球面回転の遠隔中心を通過し、
コントローラであって、
該第1の内側リンクが該接地リンクと同一平面にある場合、該第1の回転軸から該第1の中間軸への第1の方向ベクトルが、該第1の回転軸から該第2の回転軸への第2の方向ベクトルと同一方向を有し、
該第2の内側リンクが該接地リンクと同一平面にある場合、該第2の回転軸から該第2の中間軸への第3の方向ベクトルが、該第2の回転軸から該第1の回転軸への第4の方向ベクトルと同一方向を有するように、
該第1および第2のモータに信号を提供し、該第1の内側リンクおよび該第2の内側リンクをそれぞれ制限された範囲の回転で回転させるコントローラと
を備える、ロボットアーム。
【請求項13】
前記第1の外側リンクは、挿入軸を備えるツールシャフトを有する手術器具の支持部をさらに含み、該挿入軸は、前記外側軸および前記第1の中間軸から離間し、前記球面回転の遠隔中心を通過する、請求項12に記載のロボットアーム。
【請求項14】
前記挿入軸は、前記第1の中間軸から離間した前記外側軸より、該第1の中間軸からさらに離間する、請求項13に記載のロボットアーム。
【請求項15】
前記挿入軸と、前記外側軸と、前記第1の中間軸とは、同一平面上にある、請求項14に記載のロボットアーム。
【請求項16】
前記第1の外側リンクは、挿入軸を備えたツールシャフトを有する手術器具の支持部をさらに含み、該挿入軸は、前記外側軸と一致し、前記球面回転の遠隔中心を含む、請求項12に記載のロボットアーム。
【請求項17】
前記第1の外側リンクと前記第2の外側リンクとの間の最小角度が少なくとも15度となるように、前記外側軸の回りの該第1の外側リンクの回転を制限する制約部をさらに含む、請求項12に記載のロボットアーム。
【請求項18】
前記第1の外側リンクと前記第2の外側リンクとの間の最小角度が少なくとも30度となるように、前記外側軸の回りの該第1の外側リンクの回転を制限する制約部をさらに含む、請求項12に記載のロボットアーム。
【請求項19】
前記第1のモータは、前記第1の回転軸に対し第1の角度で前記第1の内側リンクに連結され、前記第2のモータは、前記第2の回転軸に対し第2の角度で前記第2の内側リンクに連結される、請求項12に記載のロボットアーム。
【請求項20】
前記第1のモータは、前記第1の回転軸に対し直角に前記第1の内側リンクに連結され、前記第2のモータは、前記第2の回転軸に対し直角に前記第2の内側リンクに連結される、請求項12に記載のロボットアーム。
【請求項21】
駆動端において前記第1のモータに連結され、かつ他端において前記第1の内側リンクに連結される第1の駆動シャフトであって、該駆動端から、前記球面回転の遠隔中心に向かって延在する第1の駆動シャフトと、
駆動端において前記第2のモータに連結され、かつ他端において前記第2の内側リンクに連結される第2の駆動シャフトであって、該駆動端から該球面回転の遠隔中心から離れるように延在する第2の駆動シャフトと
をさらに備える、請求項20に記載のロボットアーム。
【請求項22】
第1のロボットアームであって、
接地リンクと、
該接地リンクに連結された2つのモータであって、各モータが回転軸を有し、該2本の回転軸は第1の球面回転の遠隔中心において交差する、2つのモータと、
2つの内側リンクであって、各内側リンクは該モータの回転軸において該モータのうちの1つと連結され、各内側リンクは該モータの回転軸から離間して配置された中間軸を有し、該2本の中間軸は該第1の球面回転の遠隔中心を通過する、2つの内側リンクと、
2つの外側リンクであって、各外側リンクは該内側リンクの中間軸において該内側リンクのうちの1つと旋回可能に連結され、該2つの外側リンクは、該中間軸から離間して配置された外側軸において共に旋回可能に連結され、該第1の球面回転の遠隔中心を通過する、2つの外側リンクと
を有する第1の並列の球面5棒リンク機構を含む、
ロボットアームと、
該第1のロボットアームの該2つのモータのそれぞれに、該2本の中間軸が、該外側軸と該モータのうちのいずれか1つの該回転軸とを含む平面の同じ側にあるように、それぞれに連結された内側リンクを該モータの回転軸回りに制限された範囲の回転で回転させるコントローラと
を備える、システム。
【請求項23】
前記外側リンクのうちの1つは、前記外側軸から離間して配置された挿入軸を有する手術器具をさらに含み、該挿入軸は、前記第1の球面回転の遠隔中心を通過する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記挿入軸は、前記外側軸が前記外側リンクのうちの1つの前記中間軸から離間して配置されているよりもさらに、該中間軸から離間して配置される、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記挿入軸、前記外側軸、および前記外側リンクのうちの1つの中間軸は、同一平面上にある、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記外側リンクのうちの1つは、前記外側軸と一致する挿入軸を有する手術器具をさらに含み、該挿入軸は前記第1の球面回転の遠隔中心を通過する、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1のロボットアームは、前記モータの回転軸と、前記中間軸と、前記外側軸との間の角度が、160度を超えることができないように、該中間軸回りの前記外側リンクのうちの1つの回転を制限するための機械的停止装置をさらに含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1のロボットアームは、前記モータの回転軸と、前記中間軸と、前記外側軸との間の角度が、120度を超えることができないように、該中間軸回りの前記外側リンクのうちの1つの回転を制限するための機械的停止装置をさらに含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項29】
前記2の回転軸は、前記接地リンク上に離間して配置される、請求項22に記載のシステム。
【請求項30】
前記2の回転軸は、前記接地リンク上で一致する、請求項22に記載のシステム。
【請求項31】
第2のロボットアームであって、
2つのモータであって、各モータが回転軸を有し、該2本の回転軸は第2の球面回転の遠隔中心において交差する、2つのモータと、
2つの内側リンクであって、各内側リンクは該モータの回転軸において該モータのうちの1つと連結され、各内側リンクは該モータの回転軸から離間して配置された中間軸を有し、該2本の中間軸は該第2の球面回転の遠隔中心を通過する、2つの内側リンクと、
2つの外側リンクであって、各外側リンクは該内側リンクの中間軸において該内側リンクのうちの1つと旋回可能に連結され、該2つの外側リンクは、該中間軸から離間して配置された外側軸において共に旋回可能に連結され、該第2の球面回転の遠隔中心を通過する、2つの外側リンクと
を有する第2の並列の球面5棒リンク機構を含む、
第2のロボットアームと、
さらに該第2のロボットアームの該2つのモータのそれぞれに、該2本の中間軸が、該外側軸および該回転軸のうちの1つを含む平面の同じ側にあるように、またさらに、該第2のロボットアームの該2本の中間軸が、該平面の、該中間軸が前記第1のロボットアームに対するものであるとした場合の反対側にあるように、該モータの回転軸の回りにおいてそれぞれに連結された内側リンクを回転させるコントローラと
をさらに備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項32】
低侵襲手術システム用のロボットアームであって、
2つの中間軸を含む並列の球面5棒リンク機構であって、該並列の球面5棒リンク機構は、コンパクトな姿勢の範囲を有し、該コンパクトな姿勢の範囲において、該2つの中間軸は最大の可能な距離より短い距離だけ分離され、球面回転の遠隔中心の回りに該並列の球面5棒リンク機構と連結されたロボット型手術ツールを球状に回転移動させる並列の球面5棒リンク機構と、
該ロボットアームと連結された制約部であって、該並列の球面5棒リンク機構を該コンパクトな姿勢の範囲のみに制限するための制約部と
を備える、ロボットアーム。
【請求項33】
前記ロボットアームは、前記並列の球面5棒リンク機構に2つの並列の回転運動入力を提供する第1のモータおよび第2のモータを含み、
前記制約部は、前記コンパクトな姿勢の範囲を維持するよう該並列の球面5棒リンク機構を制御する該第1のモータおよび該第2のモータと連結されたコントローラである、
請求項32に記載のロボットアーム。
【請求項34】
前記並列の球面5棒リンク機構は、外側関節を有し、
前記制約部は、該外側関節に連結され、該並列の球面5棒リンク機構を前記コンパクトな姿勢範囲に制限する機械的停止装置を含む、
請求項32に記載のロボットアーム。
【請求項35】
前記ロボットアームは、接地リンクをさらに含み、
前記並列の球面5棒リンク機構が、第1のリンク対および直列の旋回可能に連結された第2のリンク対を含み、
第1のリンク対は該第1のリンク対の第1の端部において該接地リンクと連結され、
第2のリンク対は該第2のリンク対の第1の端部において該接地リンクと連結され、
該第1のリンク対の第2の端部および該第2のリンク対の第2の端部は、外側関節において共に連結される、
請求項32に記載のロボットアーム。
【請求項36】
前記第1のリンク対および前記第2のリンク対は、複数の異なる半径の球体上に位置する弓形形状を有する、請求項35に記載のロボットアーム。
【請求項37】
前記制約部は、前記ロボットアームの周囲にその他の手術機器用のクリアランスを提供する、請求項32に記載のロボットアーム。
【請求項38】
前記並列の球面5棒リンク機構は、前記ロボットアームを患者の上に支持するために、台と連結するための接地リンクを有する、請求項32に記載のロボットアーム。
【請求項39】
前記ロボットアームを患者の上に支持するために、前記並列の球面5棒リンク機構と前記台との間に連結された設定アームをさらに備える、請求項38に記載のロボットアーム。
【請求項40】
低侵襲手術システムにおけるロボットアームのための方法であって、
並列の球面5棒リンク機構にコンパクトな姿勢をとらせるステップであって、該コンパクトな姿勢において、該並列の球面5棒リンク機構の2つの中間軸は、最大の可能な距離より短い距離だけ分離されているステップと、
球面回転の遠隔中心の回りに球面運動で該並列の球面5棒リンク機構を移動させるステップと、
該並列の球面5棒リンク機構の該球面運動をコンパクトな姿勢の範囲内のみに制約するステップと
を含む、方法。
【請求項41】
前記並列の球面5棒リンク機構の複数の点は、該並列の球面5棒リンク機構を球状に移動させるために異なる球面上を移動する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記方法は、前記ロボットアームを患者の上に支持するために、前記並列の球面5棒リンク機構のリンクを台に連結するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記ロボットアームを患者の上に支持するために、前記並列の球面5棒リンク機構のリンクを、設定アームを有する台に連結するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記ロボットアームは、前記並列の球面5棒リンク機構に連結された第1のモータおよび第2のモータを有し、
該並列の球面5棒リンク機構の球面運動を前記コンパクトな姿勢範囲内に制約するステップにおいて、該第1のモータおよび該第2のモータを制御し、該並列の球面5棒リンク機構の球面運動を該コンパクトな姿勢範囲内に制約する、
請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概してロボット手術システムに関する。より具体的には、本発明の実施形態はロボットアームにおけるリンク機構に関する。
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術(Minimally Invasive Surgery;MIS)は、小さい切開部を通して体内の手術部位に導入されるカメラおよび細長い手術器具を使用して、多くの場合、トロカールスリーブまたはカニューレを通して、患者を手術するための手術技術を提供する。手術部位は多くの場合、患者の腹部等の体腔を含む。体腔は任意で、吹送ガス等の透明流体を使用して拡張され得る。従来の低侵襲手術において、執刀医は、細長い手術器具のエンドエフェクタを使用して、器具のハンドルを作動させることにより、ビデオモニタで手術部位を見ながら組織を操作する。
【0003】
低侵襲手術の一般的な形態は、内視鏡検査である。腹腔鏡検査は、腹腔の内部で低侵襲検査および手術を実行するための、内視鏡検査の一種である。標準的な腹腔鏡手術において、患者の腹部にガスを吹送し、カニューレスリーブを小さい(一般に、1/2インチ以下)切開部に通過させて、腹腔鏡手術器具用の入口ポートを提供する。腹腔鏡手術器具は概して、腹腔鏡(腹腔内の手術野を見るために適用された内視鏡の一種)および作業ツールを含む。作業ツールは、各ツールの作業端またはエンドエフェクタが、ツールシャフトによってそのハンドルから分離されていることを除き、従来の(切開)手術において使用されるものと同様である。本願において使用する場合、「エンドエフェクタ」という用語は、手術器具の実際の作業部分を意味し、例えば、鉗子、把持器、剪刀、吻合器、撮像レンズ、および持針器を含み得る。腹腔鏡用のエンドエフェクタは、ツールシャフトを介してカメラおよびランプに光学的に連結され得るレンズおよび光源を含む場合がある。手術手順を実行するためには、執刀医がカニューレスリーブを介してこれらの作業ツールまたは器具を体内の手術部位に渡し、腹部の外側からそれらを操作する。執刀医は、腹腔鏡から撮影された手術部位の画像を表示するモニタを用いて、手順を監視する。関節鏡検査、後腹膜鏡検査、骨盤鏡検査、腎盂尿管鏡検査、膀胱鏡検査、脳槽鏡検査、洞房鏡検査、子宮鏡検査、尿道鏡検査等、その他の種類の手術においても、同様の内視鏡検査技術が用いられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、以下の特許請求の範囲によって要約される。
例えば、本願発明は以下を提供する。
(項目1)
球面回転の遠隔中心を有する並列の球面5棒リンク機構を含むロボットアームであって、
内視鏡カメラと、
共に旋回可能に連結された2つの外側リンクであって、上記2つの外側リンクのうちの少なくとも1つは、上記内視鏡カメラを支持する、2つの外側リンクと、
2つの内側リンクであって、上記2つの内側リンクが互いにクロスオーバーできるように、上記2つの外側リンクにそれぞれ旋回可能に連結され、上記2つの外側リンクを移動可能に支持する、2つの内側リンクと、
上記2つの内側リンクに旋回可能に連結された接地リンクであって、上記2つの内側リンクを移動可能に支持する接地リンクと
を備える、ロボットアーム。
(項目2)
離間位置において上記接地リンクによって連結された2つのモータをさらに含み、上記2つのモータの各々は、上記2つの内側リンクのうちの1つにそれぞれ連結され、上記連結された内側リンクを回転させ、それによって上記球面回転の遠隔中心の回りで上記内視鏡カメラを移動させる、項目1に記載のロボットアーム。
(項目3)
上記2つのモータの各々は、直角駆動によって上記2つの内側リンクのうちの1つにそれぞれ連結される、項目2に記載のロボットアーム。
(項目4)
上記2つの内側リンクの各々が上記接地リンクをクロスオーバーし得るように、
駆動端において上記2つのモータのうちの1つに連結され、かつ他端において上記2つの内側リンクのうちの1つに連結される第1の駆動シャフトであって、上記駆動端から上記球面回転の遠隔中心に向かって延在する第1の駆動シャフトと、
駆動端において上記2つのモータのうちの1つに連結され、かつ他端において上記2つの内側リンクのうちの1つに連結される第2の駆動シャフトであって、上記駆動端から上記球面回転の遠隔中心から離れるように延在する第2の駆動シャフトと
をさらに含む、項目2に記載のロボットアーム。
(項目5)
上記2つのモータに連結され、上記モータに信号を提供するコントローラをさらに含む、項目2に記載のロボットアーム。
(項目6)
上記ロボットアームがコンパクトな姿勢範囲に制限されるように、上記コントローラは、上記内側リンクの回転を制限する、項目5に記載のロボットアーム。
(項目7)
上記内視鏡カメラは、上記球面回転の遠隔中心を通過する挿入軸に沿って移動可能である、項目1に記載のロボットアーム。
(項目8)
上記2つの外側リンクは、その間の最小角度を有するように制約される、項目1に記載のロボットアーム。
(項目9)
上記2つの外側リンク間の上記最小角度は、15度である、項目4に記載のロボットアーム。
(項目10)
上記ロボットアームは、コンパクトな姿勢範囲に制限される、項目1に記載のロボットアーム。
(項目11)
球面回転の遠隔中心を有する並列の球面5棒リンク機構であって、
2つの離間した回転軸を有する接地リンクと、
2つの内側リンクであって、上記2つの内側リンクの各々は、上記2つの回転軸のうちの1つにおいて上記接地リンクに旋回可能に連結され、上記回転軸から離間した中間軸を有する、2つの内側リンクと、
2つの外側リンクであって、上記2つの外側リンクの各々は、上記内側リンクの中間軸において上記内側リンクのうちの1つに旋回可能に連結され、上記中間軸から離間した外側軸において共に旋回可能に連結される、2つの外側リンクと、
上記外側リンク間の最小角度が少なくとも15度となるように、上記外側軸回りの上記外側リンクの回転を制限する制約部と
を含み、
全ての軸は、上記球面回転の遠隔中心を通過し、上記2つの内側リンクの各々は、上記内側リンクが上記接地リンクと同一平面にある場合に、上記内側リンクの上記中間軸が、上記内側リンクの上記回転軸の他方の回転軸と同じ側に配置されるように制約される、リンク機構。
(項目12)
上記制約部は、機械的停止装置をさらに含む、項目11に記載のリンク機構。
(項目13)
上記機械的停止装置は、上記外側リンクの他方に対する上記外側リンクの一方の上記外側軸回りの回転を直接制限する、項目12に記載のリンク機構。
(項目14)
上記接地リンクおよび上記2つの内側リンクは、略同一角度長を有する、項目11に記載のリンク機構。
(項目15)
上記2つの外側リンクは、略同一角度長を有する、項目14に記載のリンク機構。
(項目16)
上記2つの外側リンクは、上記接地リンクと略同一角度長を有する、項目14に記載のリンク機構。
(項目17)
上記制約部は、
2つのモータであって、各モータは、上記接地リンクと連結され、かつ上記2つの回転軸のうちの1つにおいて上記2つの内側リンクのうちの1つに連結される、2つのモータと、
上記2つのモータの各々に、上記連結された内側リンクを上記2つの回転軸のうちの1つの回りに制限された回転範囲で回転させるコントローラと
を含む、項目11に記載のリンク機構。
(項目18)
上記接地リンクおよび上記2つの内側リンクは、上記2つの内側リンクの各一方およびその連結された外側リンクが、上記接地リンクと上記2つの内側リンクの他方およびその連結された外側リンクとを自由に通過できるように構成され、連結される、項目11に記載のリンク機構。
(項目19)
2つの回転エンコーダであって、上記回転エンコーダの各々は、上記内側リンクのうちの1つにその回転軸において連結される、2つの回転エンコーダと、
上記内側リンクの各々の軸受を受ける上記2つの回転エンコーダに連結され、上記外側軸の位置を計算するコンピュータと
をさらに備える、項目11に記載のリンク機構。
(項目20)
上記外側リンクのうちの1つは、上記外側軸および上記中間軸から離間した挿入軸をさらに含み、上記挿入軸は、上記球面回転の遠隔中心を通過する、項目11に記載のリンク機構。
(項目21)
上記外側リンクのうちの1つは、上記外側軸と一致する挿入軸をさらに含み、上記挿入軸は、上記球面回転の遠隔中心を通過する、項目11に記載のリンク機構。
(項目22)
第1の回転軸に連結された第1のモータであって、上記第1の回転軸は、上記第1のモータから球面回転の遠隔中心に向かって延在する、第1のモータと、
第2の回転軸に連結された第2のモータであって、上記第2の回転軸は、上記第2のモータから上記球面回転の遠隔中心から離れるように延在する、第2のモータと、
上記第1の回転軸と上記第2の回転軸との間に連結された接地リンクと、
上記第1および第2のモータの第1の側を通過することができるように、上記第1の回転軸に連結された第1の端部を有する旋回可能に連結された第1のリンク対と、
上記第1および第2のモータの第2の側を通過することができるように、上記第2の回転軸に連結された第1の端部を有する旋回可能に連結された第2のリンク対であって、上記第1および第2のモータの上記第2の側は、上記第1の側と反対側であり、上記第2のリンク対の第2の端部は、上記第1のリンク対の第2の端部に旋回可能に連結される、第2のリンク対と
を備え、
リンクを互いに旋回可能に連結する全ての関節は、上記球面回転の遠隔中心を通過する軸回りの回転を可能にする、ロボットアーム。
(項目23)
上記第1および第2のリンク対のうちの1つは、挿入軸を備えたツールシャフトを有する手術器具の支持部をさらに含み、上記挿入軸は、上記第1および第2のリンク対を旋回可能に連結する上記関節から離間し、上記球面回転の遠隔中心を通過する、項目22に記載のロボットアーム。
(項目24)
上記第1および第2のリンク対を共に旋回可能に連結する上記関節は、上記挿入軸と上記支持部を含む上記リンク対の上記第1の端部との間にある、項目23に記載のロボットアーム。
(項目25)
上記挿入軸と、上記第1および第2のリンク対を共に旋回可能に連結する上記関節の第1の回転軸と、上記支持部を含む上記リンク対を旋回可能に連結する上記関節の第2の回転軸とは、同一平面上にある、項目23に記載のロボットアーム。
(項目26)
上記第1の外側リンクは、挿入軸を備えるツールシャフトを有する手術器具用の支持部をさらに含み、上記挿入軸は上記外側軸と一致し、上記挿入軸は上記球面回転の遠隔中心を含む、項目22に記載のロボットアーム。
(項目27)
上記第1および第2のリンク対のうちの1つは、挿入軸を備えたツールシャフトを有する手術器具の支持部をさらに含み、上記挿入軸は、上記第1および第2のリンク対を共に旋回可能に連結する上記関節の回転軸と一致し、上記球面回転の遠隔中心を通過する、項目22に記載のロボットアーム。
(項目28)
リンク間の最小角度が少なくとも15度となるように、上記第1および第2のリンク対を旋回可能に連結する上記関節における上記リンクの回転を制限する制約部をさらに備える、項目22に記載のロボットアーム。
(項目29)
リンク間の最小角度が少なくとも30度となるように、上記第1および第2のリンク対を旋回可能に連結する上記関節における上記リンクの回転を制限する制約部をさらに備える、項目22に記載のロボットアーム。
(項目30)
上記第1のモータは、第1の角度で上記第1の回転軸に連結され、上記第2のモータは、第2の角度で上記第2の回転軸に連結される、項目22に記載のロボットアーム。
(項目31)
上記第1のモータは、直角に上記第1の回転軸に連結され、上記第2のモータは、直角に上記第2の回転軸に連結される、項目22に記載のロボットアーム。
(項目32)
第1の回転軸に連結された第1の内側リンクであって、上記第1の回転軸から離間した第1の中間軸を有する第1の内側リンクと、
上記第1の中間軸において上記第1の内側リンクに旋回可能に連結される第1の外側リンクであって、上記第1の中間軸から離間した外側軸を有する第1の外側リンクと、
上記第1の回転軸から離間した第2の回転軸に連結された第2の内側リンクであって、上記第2の回転軸から離間した第2の中間軸を有する第2の内側リンクと
上記第2の中間軸において上記第2の内側リンクに旋回可能に連結され、かつ上記外側軸において上記第1の外側リンクに旋回可能に連結される第2の外側リンクと、
上記第1の回転軸を上記第2の回転軸に連結する接地リンクと、
上記第1の回転軸に連結された第1のモータと、
上記第2の回転軸に連結された第2のモータと、
上記5つの軸はすべて、全5つのリンクから離間した球面回転の遠隔中心を通過し、
コントローラであって、
上記第1の内側リンクが上記接地リンクと同一平面にある場合、上記第1の回転軸から上記第1の中間軸への第1の方向ベクトルが、上記第1の回転軸から上記第2の回転軸への第2の方向ベクトルと同一方向を有し、
上記第2の内側リンクが上記接地リンクと同一平面にある場合、上記第2の回転軸から上記第2の中間軸への第3の方向ベクトルが、上記第2の回転軸から上記第1の回転軸への第4の方向ベクトルと同一方向を有するように、
上記第1および第2のモータに信号を提供し、上記第1の内側リンクおよび上記第2の内側リンクをそれぞれ回転させるコントローラと
を備える、ロボットアーム。
(項目33)
上記第1の外側リンクは、挿入軸を備えるツールシャフトを有する手術器具の支持部をさらに含み、上記挿入軸は、上記外側軸および上記第1の中間軸から離間し、上記球面回転の遠隔中心を通過する、項目32に記載のロボットアーム。
(項目34)
上記挿入軸は、上記第1の中間軸から離間した上記外側軸より、上記第1の中間軸からさらに離間する、項目32に記載のロボットアーム。
(項目35)
上記挿入軸と、上記外側軸と、上記第1の中間軸とは、同一平面上にある、項目34に記載のロボットアーム。
(項目36)
上記第1の外側リンクは、挿入軸を備えたツールシャフトを有する手術器具の支持部をさらに含み、上記挿入軸は、上記外側軸と一致し、上記球面回転の遠隔中心を含む、項目32に記載のロボットアーム。
(項目37)
上記第1の外側リンと上記第2の外側リンクとの間の最小角度が少なくとも15度となるように、上記外側軸の回りの上記第1の外側リンクの回転を制限する制約部をさらに含む、項目32に記載のロボットアーム。
(項目38)
上記第1の外側リンと上記第2の外側リンクとの間の最小角度が少なくとも30度となるように、上記外側軸の回りの上記第1の外側リンクの回転を制限する制約部をさらに含む、項目32に記載のロボットアーム。
(項目39)
上記第1のモータは、上記第1の回転軸に対し第1の角度で上記第1の内側リンクに連結され、上記第2のモータは、上記第2の回転軸に対し第2の角度で上記第2の内側リンクに連結される、項目32に記載のロボットアーム。
(項目40)
上記第1のモータは、上記第1の回転軸に対し直角に上記第1の内側リンクに連結され、上記第2のモータは、上記第2の回転軸に対し直角に上記第2の内側リンクに連結される、項目32に記載のロボットアーム。
(項目41)
駆動端において上記第1のモータに連結され、かつ他端において上記第1の内側リンクに連結される第1の駆動シャフトであって、上記駆動端から上記球面回転の遠隔中心に向かって延在する第1の駆動シャフトと、
駆動端において上記第2のモータに連結され、かつ他端において上記第2の内側リンクに連結される第2の駆動シャフトであって、上記駆動端から上記球面回転の遠隔中心から離れるように延在する第2の駆動シャフトと
をさらに備える、項目40に記載のロボットアーム。
(項目42)
第1のロボットアームであって、
接地リンクと、
上記接地リンクに連結された2つのモータであって、各モータが回転軸を有し、上記2本の回転軸は第1の球面回転の遠隔中心において交差する、2つのモータと、
2つの内側リンクであって、各内側リンクは上記モータの回転軸において上記モータのうちの1つと連結され、各内側リンクは上記モータの回転軸から離間して配置された中間軸を有し、上記2本の中間軸は上記第1の球面回転の遠隔中心を通過する、2つの内側リンクと、
2つの外側リンクであって、各外側リンクは上記内側リンクの中間軸において上記内側リンクのうちの1つと旋回可能に連結され、上記2つの外側リンクは、上記中間軸から離間して配置された外側軸において共に旋回可能に連結され、上記第1の球面回転の遠隔中心を通過する、2つの外側リンクと
を有する第1の並列の球面5棒リンク機構を含む、
ロボットアームと、
上記第1のロボットアームの上記2つのモータのそれぞれに、上記2本の中間軸が、上記外側軸と上記モータのうちのいずれか1つの上記回転軸とを含む平面の同じ側にあるように、それぞれに連結された内側リンクを上記モータの回転軸回りに回転させるコントローラと
を備える、システム。
(項目43)
上記外側リンクのうちの1つは、上記外側軸から離間して配置された挿入軸を有する手術器具をさらに含み、上記挿入軸は、上記第1の球面回転の遠隔中心を通過する、項目42に記載のシステム。
(項目44)
上記挿入軸は、上記外側軸が上記外側リンクのうちの1つの上記中間軸から離間して配置されているよりもさらに、上記中間軸から離間して配置される、項目43に記載のシステム。
(項目45)
上記挿入軸、上記外側軸、および上記外側リンクのうちの1つの中間軸は、同一平面上にある、項目44に記載のシステム。
(項目46)
上記外側リンクのうちの1つは、上記外側軸と一致する挿入軸を有する手術器具をさらに含み、上記挿入軸は上記第1の球面回転の遠隔中心を通過する、項目42に記載のシステム。
(項目47)
上記第1のロボットアームは、上記モータの回転軸と、上記中間軸と、上記外側軸との間の角度が、160度を超えることができないように、上記中間軸回りの上記外側リンクのうちの1つの回転を制限するための機械的停止装置をさらに含む、項目42に記載のシステム。
(項目48)
上記第1のロボットアームは、上記モータの回転軸と、上記中間軸と、上記外側軸との間の角度が、120度を超えることができないように、上記中間軸回りの上記外側リンクのうちの1つの回転を制限するための機械的停止装置をさらに含む、項目42に記載のシステム。
(項目49)
上記2つの回転軸は、上記接地リンク上に離間して配置される、項目42に記載のシステム。
(項目50)
上記2つの回転軸は、上記接地リンク上で一致する、項目42に記載のシステム。
(項目51)
第2のロボットアームであって、
2つのモータであって、各モータが回転軸を有し、上記2本の回転軸は第2の球面回転の遠隔中心において交差する、2つのモータと、
2つの内側リンクであって、各内側リンクは上記モータの回転軸において上記モータのうちの1つと連結され、各内側リンクは上記モータの回転軸から離間して配置された中間軸を有し、上記2本の中間軸は上記第2の球面回転の遠隔中心を通過する、2つの内側リンクと、
2つの外側リンクであって、各外側リンクは上記内側リンクの中間軸において上記内側リンクのうちの1つと旋回可能に連結され、上記2つの外側リンクは、上記中間軸から離間して配置された外側軸において共に旋回可能に連結され、上記第2の球面回転の遠隔中心を通過する、2つの外側リンクと
を有する第2の並列の球面5棒リンク機構を含む、
第2のロボットアームと、
さらに上記第2のロボットアームの上記2つのモータのそれぞれに、上記2本の中間軸が、上記外側軸および上記回転軸のうちの1つを含む平面の同じ側にあるように、またさらに、上記第2のロボットアームの上記2本の中間軸が、上記平面の、上記中間軸が上記第1のロボットアームに対するものであるとした場合の反対側にあるように、上記モータの回転軸の回りにおいてそれぞれに連結された内側リンクを回転させるコントローラと
をさらに備える、項目42に記載のシステム。
(項目52)
低侵襲手術システム用のロボットアームであって、
コンパクトな姿勢の範囲を有する並列の5棒球面リンク機構であって、球面回転の遠隔中心の回りに上記並列の5棒球面リンク機構と連結されたロボット型手術ツールを球状に回転移動させる並列の5棒球面リンク機構と、
上記ロボットアームと連結された制約部であって、上記並列の5棒球面リンク機構を上記コンパクトな姿勢の範囲に制限するための制約部と
を備える、ロボットアーム。
(項目53)
上記ロボットアームは、上記並列の5棒球面リンク機構に2つの並列の回転運動入力を提供する第1のモータおよび第2のモータを含み、
上記制約部は、上記コンパクトな姿勢の範囲を維持するよう上記並列の5棒球面リンク機構を制御する上記第1のモータおよび上記第2のモータと連結されたコントローラである、
項目52に記載のロボットアーム。
(項目54)
上記並列の5棒球面リンク機構は、外側関節を有し、
上記制約部は、上記外側関節に連結され、上記並列の5棒球面リンク機構を上記コンパクトな姿勢範囲に制限する機械的停止装置を含む、
項目52に記載のロボットアーム。
(項目55)
上記ロボットアームは、接地リンクをさらに含み、
上記第1のリンク対は上記第1のリンク対の第1の端部において上記接地リンクと連結され、
直列の旋回可能に連結されたリンクの上記第2のリンク対は上記第2のリンク対の第1の端部において上記接地リンクと連結され、
上記第1のリンク対の第2の端部および上記第2のリンク対の第2の端部は、外側関節において共に連結される、
項目52に記載のロボットアーム。
(項目56)
上記第1のリンク対および上記第2のリンク対は、複数の異なる半径の球体上に位置する弓形形状を有する、項目52に記載のロボットアーム。
(項目57)
上記制約部は、上記ロボットアームの周囲にその他の手術機器用のクリアランスを提供する、項目52に記載のロボットアーム。
(項目58)
上記並列の5棒球面リンク機構は、上記ロボットアームを患者の上に支持するために、台と連結するための接地リンクを有する、項目52に記載のロボットアーム。
(項目59)
上記ロボットアームを患者の上に支持するために、上記並列の5棒球面リンク機構と上記台との間に連結された設定アームをさらに備える、項目58に記載のロボットアーム。
(項目60)
低侵襲手術システムにおけるロボットアームのための方法であって、
並列の5棒球面リンク機構にコンパクトな姿勢をとらせるステップと、
球面回転の遠隔中心の回りに球面運動で上記並列の5棒球面リンク機構を移動させるステップと、
上記並列の5棒球面リンク機構の上記球面運動をコンパクトな姿勢の範囲内に制約するステップと
を含む、方法。
(項目61)
上記並列の5棒球面リンク機構の複数の点は、上記並列の5棒球面リンク機構を球状に移動させるために異なる球面上を移動する、項目60に記載の方法。
(項目62)
上記方法は、上記ロボットアームを患者の上に支持するために、上記並列の5棒球面リンク機構のリンクを台に連結するステップをさらに含む、項目60に記載の方法。
(項目63)
上記ロボットアームを患者の上に支持するために、上記並列の5棒球面リンク機構のリンクを、設定アームを有する台に連結するステップをさらに含む、項目60に記載の方法。
(項目64)
上記ロボットアームは、上記並列の5棒球面リンク機構に連結された第1のモータおよび第2のモータを有し、
上記並列の5棒球面リンク機構の球面運動を上記コンパクトな姿勢範囲内に制約するステップにおいて、上記第1のモータおよび上記第2のモータを制御し、上記並列の5棒球面リンク機構の球面運動を上記コンパクトな姿勢範囲内に制約する、
項目60に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明の実施形態が使用される手術室の平面図である。
図2図2は、図1の手術室の一部の平面図である。
図3図3は、図2の手術室の一部の側面図である。
図4図4は、並列の5棒リンク機構の概略図である。
図5図5は、並列の球面5棒リンク機構の概略図である。
図6図6別の並列の球面5棒リンク機構の概略図である。
図7図7は、本発明の実施形態の透視図である。
図8図8は、本発明の実施形態の第1の側面の図である。
図9図9は、図8に示される本発明の実施形態の底面図である。
図10図10は、図8に示される本発明の実施形態の第2の側面の図である。
図11図11は、図8に示される本発明の実施形態の上面図である。
図12図12は、図8に示される本発明の実施形態の端面図である。
図13図13は、図12に示されるような実施形態の一部の透視図である。
図14図14は、異なる操作位置にある、図9に示されるような本発明の実施形態の底面図である。
図15図15は、本発明の別の実施形態の底面図である。
図16図16は、本発明の別の実施形態の端面図である。
図17図17は、並列の球面5棒リンク機構の概略図である。
図18図18は、別の並列の球面5棒リンク機構の概略図である。
図19図19は、本発明の別の実施形態の透視図である。
図20図20は、図19に示される並列の球面5棒リンク機構の概略図である。
図21図21は、本発明の別の実施形態の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明では、腹腔鏡手術において使用され得る場合の本発明について記載する。これは、本発明が使用され得る手術の種類の単なる一例であることを理解されたい。本発明は、腹腔鏡検査にも図示されている特定の構造配置にも限定されず、それらは本発明の理解を補助するための例に過ぎない。従来の低侵襲手術では、執刀医の手からかなりの距離の所にある手術ツールを執刀医の手の動きによって制御しているため、高度な手術技能が必要であり、多くの場合、不自然且つ非直観的な手の運動を必要とする。ロボット支援手術において、執刀医は、マスタコントローラを動作させて、手術部位における手術器具の運動を制御することができる。サーボ機構は、執刀医による手入力デバイスの操作に基づいて、手術器具を移動させ、関節運動させることができる。ロボットによる支援は、執刀医が手術器具の運動をより容易に且つ極めて正確に制御することを可能にし得る。
【0007】
図1は、本発明が使用され得る手術室の概略平面図を示す。手術台112上には、ロボット支援腹腔鏡手術を受けている患者110が示されている。執刀医120は、マスタコントローラ122を使用して、内視鏡カメラ、腹部手術の場合は腹腔鏡カメラ104によって提供される、体内の手術部位のビデオ画像を見るとともに、ロボットサーボ機構を用いて1つ以上の手術器具および腹腔鏡カメラを制御することができる。マスタコントローラ122は、一般に、サーボ機構によって手術器具に連結された、1つ以上の手入力デバイス(ジョイスティック、外骨格グローブ等)を含むことになる。
【0008】
本発明を具現化するロボットアーム116は、ロボット支援手術中、手術部位に腹腔鏡カメラ104を支持および移動させるために使用され得る。手術器具のツールシャフト118およびツールシャフトが通過するカニューレ106が、ツールシャフトおよびカニューレの長さに沿った空間内に位置づけられた球面回転の中心の回りを旋回するように、腹腔鏡カメラ104を支持することが望ましい。さらなるロボットアーム100、102により、手術器具を支持し、移動させてもよい。手術器具を支持するためのロボットアーム100、102は、腹腔鏡カメラを支持するためのロボットアーム116とは異なる形態であってもよい。
【0009】
各ロボットアーム100、102、116は、関節運動する設定アーム130、132、134によって支持され得る。設定アームは、手術台112に装着されてもよい。各設定アームは、画定された運動範囲内にロボットアームを位置づけることを可能にする1以上の自由度を提供する関節によって連結された多数のセグメントを含み得る。ロボットアームが所望の位置にある場合、設定アームのセグメントおよび関節を固定するために、1つ以上の係止機構を設けてもよい。設定アームは、ロボットアーム100、102、116が、手術台およびその上の患者に対して任意の位置に固定されるのを可能にすることができる。設定アームの姿勢および結果として生じる支持されたロボットアームの位置を決定することを可能にするため、設定アームに関節角度センサを設けてもよい。
【0010】
各ロボットアーム100、102、116は、球面回転の中心が、実質的に体内の手術部位へのアクセスポイントにある位置(例えば、腹腔鏡手術中に腹壁においてトロカールまたはカニューレ106用の入口を提供する切開部を有するもの)に固定され得る。ロボットアーム116によって支持される手術器具104のエンドエフェクタは、ロボットアーム116によってツールシャフト118の近位端を移動させることにより、腹壁に対して危険な力を与えることなく、安全に位置づけられ得る。
【0011】
各ロボットアーム100、102、116は、ロボットアームから取り外し可能であってもよい1つの手術器具を支持することになる。種々の手術器具108が、単一手術の経過中にロボットアーム100、102上にある手術器具に取って代わり得る一方、腹腔鏡カメラ104は、概して、手術の経過中を通して所定位置に残される。各ロボットアーム116は、切開部を通過して患者110の体内に至るカニューレ106を支持することができる。手術器具または腹腔鏡カメラ104のツールシャフト118は、カニューレ106を通過して体内の手術部位に至る。
【0012】
ロボットアーム116は、カニューレ106および器具のツールシャフト118が、カニューレ106の長さに沿った空間内に位置づけられた球面回転の中心の回りを旋回するように、腹腔鏡カメラ104を支持することができる。球面回転の中心は、ロボットアーム用の回転運動の球中心であり、一方でロボットアームの構造体から離間して配置されていることから、球面回転の遠隔中心とも称される場合がある。球面回転の中心の回りにおける運動は、球面回転の中心から半径方向距離にある点が、その半径として半径方向距離を有する球面上を移動することから、球面運動と称される場合がある。カニューレ106は、患者110の腹壁内にある切開部等のアクセスポイントを通過して体内の手術部位に至る、挿入軸を画定する。ツールシャフト118は、挿入軸に沿って伸展する。
【0013】
各ロボットアーム100、102、116は、アームを所望の位置へ移動させるために、1つ以上のサーボモータを含み得る。各ロボットアームは、手術器具または腹腔鏡カメラ104および/または手術器具または腹腔鏡カメラ上のエンドエフェクタを移動させるために、1つ以上のさらなるサーボモータを含んでもよい。1つ以上の制御ケーブル124は、マスタコントローラ122内のコンピュータ123とロボットアーム100、102、116のサーボモータとの間に信号を提供し得る。マスタコントローラ122は、執刀医の入力およびサーボ機構からの受信フィードバックに基づいて、ロボットアームのサーボ機構、手術器具、および腹腔鏡カメラを制御する信号を提供するために、コンピュータ123を含み得る。
【0014】
図2は、患者110およびロボットアーム100、102、116を含む、図1の一部の拡大図を示す。図3は、患者の左手側から見た、腹腔鏡カメラを支持し、移動させるロボットアーム116の側面図を示す。患者110の概略断面を、カニューレ106が腹壁の切開部314を通して挿入されるエリアに示している。腹腔鏡カメラ104のツールシャフト118は、患者110の内部にあるカニューレ106の端部から現れるのが見える。ツールシャフト118の遠位端にあるエンドエフェクタ300は、レンズおよび光源を提供され得る。レンズおよび光源は、ツールシャフトを介してカメラおよびランプに光学的に連結され得る。カメラおよびランプは、ツールシャフトの近位端にあるロボットアーム116によって支持され得る。
【0015】
ロボットアーム116は、以下でさらに詳細に論じるように、腹腔鏡カメラを支持するための球面リンク機構を含む。球面リンク機構は、挿入軸の運動を、カニューレ106の長さに沿って位置し得る、球面回転の遠隔中心306の回りにおける回転に制約する。球面回転の遠隔中心306を、切開部314またはその付近に位置させることにより、挿入軸は、切開部における有意な横方向運動なく移動され得る。
【0016】
エンドエフェクタ300は、カニューレ106を通過し、挿入軸に沿って体内の手術部位へ至る。エンドエフェクタ300は、ツールシャフト118によって支持され、ツールシャフトを介してカメラ、ランプ、およびサーボ機構の1つ以上に連結される。エンドエフェクタ300の平行移動は、ツールシャフト118および装着されたエンドエフェクタとの腹腔鏡カメラ104の平行移動によって達成され得る。
【0017】
エンドエフェクタ300は、その球面回転の遠隔中心306の回りにツールシャフト118を移動させることにより、2つのさらなる次元で移動されることができる。ロボットアーム116は、空間内におけるその角度位置を変化させるようにツールシャフト118を移動させることによって、これら二次元の運動を制御することになる。ツールシャフト118の運動は、球面座標系内における挿入軸の位置の観点から説明され得る。空間内の点は、2つの角度および球面座標系の中心からの距離の観点から特定され得る。球面座標系の中心を通過する挿入軸を特定するためには、その2つの角度があればよいことが十分に理解されるであろう。
【0018】
本発明のロボットアーム116は、器具のツールシャフト118が、挿入軸に沿った空間内に、概してカニューレ106の長さに沿って位置づけられた球面回転の遠隔中心306の回りを旋回するよう、腹腔鏡カメラ104を移動させ支持するための、並列の球面5棒リンク機構を含む。
【0019】
図4Aは、並列の5棒リンク機構400の、単純化した二次元概略図を示す。この例は、本質的に平坦な面において動作するリンク機構を図解するものである。本発明のリンク機構は、三次元空間においても同様に動作し、それについては後に説明する。並列の5棒リンク機構は、互いに対しかつ固定されたベースリンク405に対し旋回する4つの剛な棒またはリンク401、402、403、404のシステムである。固定されたベースリンクは、接地リンクと称される場合がある。接地リンク405は、残り4つのリンクを維持する固定されたフレームを提供するという意味でのみ固定されることを理解されたい。接地リンク405は、5棒リンク機構400全体を移動させるために、空間内に位置づけられ得る。
【0020】
各リンクは2本の旋回軸を含む。本発明では、各リンク上の2つの旋回軸間に相当な距離がある。旋回軸411、412、413、414、415はすべて、共有面に対して垂直である。これらのリンクは、リンクが連結された旋回軸の回りを互いに対して回転できるように、旋回軸において連結される。旋回軸におけるリンクの回転可能な連結は、連結されたリンクの運動を旋回軸の回りの回転に制限する、種々の形態をとることができる。並列の球面5棒リンク機構のための多数の軸が記載されている。「軸」という用語は、挿入軸を除き、「関節」または「ピボット」と称するものと同義で使用され得る。
【0021】
接地リンク405は、2本の内側軸412、413を提供する。内側リンク401、404は、内側軸413、412のそれぞれと旋回可能に連結される。各内側リンク401、404は、内側軸413、412から離間して配置された中間軸414、411を有する。各内側リンク401、404は、中間軸414、411において外側リンク402、403と旋回可能に連結される。各外側リンク402、403は、中間軸414、411から離間して配置された外側軸415を有する。2つの外側リンク402、403は、外側軸415において共に旋回可能に連結される。外側軸415は、その運動範囲内であれば何処にでも、共有面(この二次元の図解例において)と垂直に位置づけられ、したがって、外側軸415における終点運動に2自由度を提供することができる。それらの内側軸413、412の回りにおいて内側リンク401、404のそれぞれを回転させるためにモータが設けられている場合、矢印で示すように、外側軸415は、2つの内側リンクをモータで回転させることによって、その運動範囲内であれば何処にでも位置づけられ得る。逆に、その運動範囲内における外側軸415の動きは、それらの内側軸413、412の回りにおける2つの内側リンク401、404の回転に転換される。
【0022】
接地基準の独立した2つの軸の二次元の動きを有するリンクの回転を連結するリンク機構は、並列リンク機構である。2つのモータによって2つの内側リンクに提供される回転運動は、並列回転運動入力と称される場合がある。「並列」は、本願において使用する場合、互いに独立して提供される2つの入力を示し、幾何学的意味で入力の方向を示すものではないことに留意すべきである。並列リンク機構において、2つの独立した並列入力は、入力と連結されたリンクが結合するいずれかの遠位点において、同じ本体に作用し、該同じオブジェクトまたはリンクを駆動する。
【0023】
外側軸の可能性な位置の大部分に対し、5棒リンク機構内の内側リンク401、404のそれぞれに2つの可能性な位置があることを理解されるであろう。例えば、内側リンク401、404はまた、点線401’、404’によって示されるように、位置づけることが可能である。中間軸414’と411’との間の距離は短縮し、外側リンク402’と403’との間の角度は縮小されるため、内側リンクのこれらの位置は、概して望ましくないとみなされる。通常、中間軸間の距離を最大限にし、外側軸415のための幅広い支持ベースを提供することが望ましい。また、通常、外側軸415を支持するために、可能な限り互いに直角になるよう近接して外側リンク402’、403’を有することが望ましい。5棒リンク機構の従来の構成が、外側軸415のための優れた構造支持を提供するが、結果として生じる構造は、移動のための相当量の空間を必要とする。点線で描かれたリンク401’、402’、403’、404’によって示される代替構成は、小面積を占有し(平面上に投影されるように)、したがって、よりコンパクトな機械構成である。
【0024】
図4Bは、内側リンク401、404が反時計方向に回転した後の並列の5棒リンク機構400を示す。外側軸415は、内側リンク401、404の回転によって、略左方向に移動したことを理解できるであろう。外側軸415の同じ位置はまた、並列の5棒リンク機構400が、点線によって示されるコンパクトな機械構成にある場合の内側リンク401’、404’の同様の回転によっても生成されることができる。
【0025】
球面リンク機構は、この説明を目的として、上述した二次元の機械的リンク機構の三次元版である。三次元リンク機構においては、すべての旋回軸が共通の球面回転の遠隔中心を通過する。「通過する」とは、正確な理論上の球面回転の遠隔中心に軸が実際に含まれるかのように、リンク機構が実質的に同じ運動学(特徴的運動)を有するのに十分なほど変位が小さい場合であって、ロボットアームの構造的制限を収容するために、球面回転の遠隔中心から(例えば、物理リンクの製造におけるわずかな誤差によって)わずかに離れている場合がある軸を含む。球面回転の遠隔中心を通過する軸はまた、球面回転の遠隔中心を中心とする球面に対して垂直であることに留意されたい。
【0026】
図5は、並列の球面5棒リンク機構500の概略図を示す。前述した平面的な5棒リンク機構と同様に、並列の球面5棒リンク機構500は、互いにかつ固定されたベースまたは接地リンク505に対し旋回する4つの剛なリンク501、502、503、504のシステムである。並列の5棒リンク機構が球形に構築されている場合、旋回軸511、512、513、514、515はすべて、共通の球面に対して垂直であり、したがって、球体の球面回転の遠隔中心520を通過する。特に、外側軸515は、その運動範囲内において常に球面回転の遠隔中心520を通過することになる。したがって、並列の球面5棒リンク機構500は、リンク機構500の外側軸515によって支持され動かされる際には、器具のツールシャフトが球面回転の遠隔中心の回りを旋回するよう、所望の制約された運動を手術器具に提供する。手術器具を移動させるためのモータは、接地リンク505の内側軸513、512に設置される。これにより、直列アーム機構を使用した場合に必要とされる場合がある、一方のモータを他方のモータと共に移動させる必要性を回避する。
【0027】
図6Aで図式的に示すように、並列の球面5棒リンク機構600が、中間軸614、611がそれらの可能な最大距離間隔にある場合の従来の構成をとらないように制約され得、驚くべきことに、外側軸615に良好な構造的支持を提供することが分かっている。この結果として、多くの場合、図1および2の例示的なシステムによって示されるような限られた量の空間内において他方のロボットアームを極めて接近して使用することが必要とされる場面で、内視鏡カメラを支持するためのロボットアームとしての使用により適した、よりコンパクトな構成をもたらす。
【0028】
図式的に示されている並列の球面5棒リンク機構600は、接地リンク605と、接地リンクに旋回可能に連結された2つの内側リンク601、604と、一端で互いに、他端でそれぞれ2つの内側リンク601、604に旋回可能に連結された2つの外側リンク602、603とを含む。第1の内側リンク601は、第1の回転軸613において、接地リンク605に旋回可能に連結される。第1の内側リンク601は、第1の回転軸613から第1の距離に、第1の中間軸614をさらに含む。第1の外側リンク602は、第1の中間軸614において第1の内側リンク601と旋回可能に連結される。第1の外側リンク602は、第1の中間軸614から第2の距離に外側軸615を有する。
【0029】
第2の内側リンク604は、第2の回転軸612において、接地リンクに旋回可能に連結される。第2の内側リンク604は、第4の距離分第1の回転軸613から離間する第2の回転軸612を有する。第2の内側リンク604は、第2の回転軸612から第5の距離に、第2の中間軸611をさらに含む。第2の外側リンク603は、第2の中間軸611において第2の内側リンク604に、外側軸615において第1の外側リンク602に旋回可能に連結される。外側軸615は、第2の中間軸611から第6の距離にある。
【0030】
機械的停止装置は、外側リンク間で最小角度が維持されるように、外側軸615回りの外側リンク602、603の回転を制限することができる(おそらく、最小角度は、15乃至30度の範囲)。外側軸615が、第1の回転軸613から第2の回転軸612への線分の垂直な二等分線である平面622上にあるときに、内側リンク601、604のそれぞれが、二等分平面622を交差624するように、リンクは組み立てられ、制約される。(二重点線は、リンク機構600の近傍にある虚の二等分平面622の一部の縁を示唆するように意図されている。点線の円は、内側リンク601、604のそれぞれと二等分平面622との間の交差点を示し、図示される構成および姿勢に対し同一場所にある)。内側リンクが二等分平面を交差する場合、回転軸と中間軸とは、平面の反対側にあることになる。これは、内側リンク601、604が互いに交差可能であることが必要となることを理解されるであろう。
【0031】
ロボットアームによってとられる特定の位置は、姿勢と称される場合がある。ロボットアームを特定の位置に設置することを、ロボットアームに姿勢をとらせると称する場合がある。並列の球面5棒リンク機構は、2つの中間軸614、611が、ロボットアーム600の任意の所与の姿勢に対し可能な最大距離間隔と比較して、比較的近接するように、その運動が制限され得る。特に、回転軸612、613、中間軸611、614、および外側軸615は、同一平面上にあるという特異性を除き、各内側リンク601、604は、外側軸615の所与の位置に対する2つの位置のうちの一方にあってもよい。2つの内側リンク601、604のそれぞれの2つの位置のうちの一方は、中間軸611、614との間の最大距離を提供するであろう。2つの内側リンク601、604のそれぞれが2つの位置のうちの他方にある場合の姿勢は、コンパクトな姿勢として記載されるであろう。これは、最小可能距離とならない場合もあるが、常に、中間軸611、614間の最大距離よりも小さくなることを理解されるであろう。外側リンクが、外側リンク間の少なくとも最小角度を維持するように制約され、並列の5棒球面リンク機構が、コンパクトな姿勢に組み立てられる場合、リンク機構は、コンパクトな姿勢の範囲に制限されるであろう。
【0032】
図6Bは、内側リンクの一方601が反時計方向に回転した後の並列の球面5棒リンク機構600を示す。外側軸615は、内側リンク601の回転によって、略左方向に移動したことを理解できるであろう。また、外側軸615上の点は、球面上を移動するように制約されることも理解されるであろう。図6Bに示される姿勢では、2つの内側リンク601、604のいずれも、二等分平面622を交差しない。外側軸615が、第1の回転軸613から第2の回転軸612への線分の垂直な二等分線である平面622上にある姿勢からずれた場合でも、リンク機構600は、コンパクトな構成を保持することが分かるであろう。
【0033】
次に図7Aを参照すると、内側リンク701、704および外側リンク702、703は、図1〜3に示される実施形態に対し図示される。モータアセンブリによって提供される接地リンクは、4つの移動リンク間の関係をよりよく示すために図7には示されていない。2つの内側リンク701、704はそれぞれ、回転軸713、712のうちの一方の回りを回転可能である。各内側リンク701、704は、中間軸711、714において、外側リンク702、703に旋回可能に連結される。2つの外側リンク702、703は、外側軸715において、共に旋回可能に連結される。また、外側軸715は、カニューレ(図示せず)が中心となる挿入軸であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1の回転軸713および第2の回転軸712は、モータに信号を提供するコントローラに接続されるモータによって駆動される。第1のモータは、第1の内側リンク701を回転させ、第2のモータは、第2の内側リンク704を回転することができる。並列の5棒球面リンク機構が、コンパクトな姿勢の範囲に制限されるように、コントローラは、リンクの運動を制限することができる。外側軸715が二等分平面上にある場合に、内側リンク701、704のそれぞれが、第1の回転軸713から第2の回転軸712への線分の垂直な二等分平面を交差するように、コントローラは、内側リンク701、704の運動を制限することができる。内側リンクが、二等分平面を交差する場合、回転軸と中間軸とは、二等分平面の反対側にあるだろう。また、最小角距離が、中間軸711、714間に維持されるように(おそらく、最小角距離は、15乃至30度の範囲にある)、コントローラは、内側リンク701、704の回転を制限することができる。コントローラは、リンク701−704の動きの範囲に、外側軸715での外側リンク702と703との間の角度を制限する機械的停止装置と同じ制約を提供することが可能である。
【0035】
並列の球面5棒リンク機構は、サーボモータまたはステッピングモータ等を使用して内側リンク701、704を制御可能に回転させることにより、外側軸715を所望の位置まで移動させるために使用され得る。図7Bは、内側リンクの一方701が反時計方向に回転した後の並列の球面5棒リンク機構を示す。図7Aおよび7Bに示される並列の球面5棒リンク機構の姿勢は、図6Aおよび6Bそれぞれに図式的に示される並列の球面5棒リンク機構の姿勢と略同様である。
【0036】
別の実施形態において、並列の球面5棒リンク機構は、外側軸の操作に起因する2つの内側軸の軸受を測定することにより、外側軸の位置を検知するために使用され得る。例えば、回転エンコーダまたはその他のセンサを、図7に示す並列の球面5棒リンク機構の第1回転軸713および第2回転軸712に設置してもよい。コントローラを、内側リンク701、704のぞれぞれの軸受を受ける2つの回転エンコーダと連結されたコンピュータと置き換えてもよい。続いてコンピュータは、外側軸の位置を計算することができ、これをオペレータが操作して位置入力を提供することができる。外側軸は球面リンク機構の球面回転720の遠隔中心の回りを回転するように制約されることが十分に理解されるであろう。したがって、執刀医120から外側軸715の位置入力を受けるために、並列の球面5棒リンク機構を図1の制御コンソール122において使用してもよい。位置入力は、ロボットアーム116の外側軸と同じ制約された運動を有し得る。
【0037】
次に図8、9、10、11、および12を参照すると、図1〜3から示される同一姿勢において、腹腔鏡カメラを支持するために使用されるロボットアーム116の4つの側面および端部の正面図が示される。図8は、第1の側面図である。図9は、底面図である。図10は、第1の側面の反対側の側面の第2の側面図。図11は、上面図である。図12は、図8〜11の右側端部の図である。
【0038】
図8〜12は、本発明を具現化するロボットアーム116を示す。ロボットアームは、接地リンクとして機能するモータアセンブリ800と、並列の球面5棒リンク機構を提供するための4つの移動可能リンク701、702、703、704を含む。4つの可動リンクの関係は、図7に関連して上述されている。モータアセンブリ800は、2つの回転可能シャフト802、804を提供する。回転軸713、712(図7に図示)のうちの一方において、回転可能シャフトのそれぞれは、2つの内側リンク701、704のうちの一方に連結される。カニューレ106は、外側軸715(図7に図示)と同軸にある位置において、2つの外側リンク702、703によって支持される。本実施形態では、外側軸715は、内視鏡カメラのツールシャフトの挿入軸と一致する。
【0039】
図13は、モータアセンブリ800と2つの内側リンク701、704との関係が分かるように、2つの外側リンク702、703を取り外した図12のロボットアーム116を示す。モータアセンブリ800および2つの内側リンク701、704は、2つの内側リンクが互いにおよびモータアセンブリを通過可能なような構成に成形および連結される。2つの回転可能シャフト802、804は、本実施形態において、モータアセンブリ800から略反対方向に出現することを理解できるであろう。2つの回転可能シャフト802、804は、ウォームおよび螺旋駆動等の直角駆動を介して、シャフトに連結されるモータによって駆動され得る。
【0040】
一方の内側リンク701は、モータアセンブリよりも球面運動の中心に近い球状「シェル」内で移動する。他方の内側リンク704は、モータアセンブリよりも球面運動の中心から遠い球状「シェル」内で移動する。モータアセンブリ800は、これらの2つの球状「シェル」間にある。したがって、一方のリンク対は、モータアセンブリの内側を通過し、他方のリンク対は、外側を通過する。
【0041】
図14は、外側軸806がモータアセンブリ800に近接する姿勢にある図9のロボットアーム116’を示す(モータアセンブリ800は、移動可能リンク701’、702’、703’、704’の構成が分かるように、点線で示唆されるように透明に描かれている)。遠隔球面中心へ延在する第1の回転可能シャフト802に連結される一方の内側リンク701’と、連結された外側リンク702’とは、モータアセンブリ800の内側を通過している。これらのリンクは、モータアセンブリ800と遠隔球面中心との間にある。遠隔球面中心から離れて延在する第2の回転可能シャフト804に連結される他方の内側リンク704’と、連結された外側リンク703’とは、モータアセンブリ800の外側を通過する。モータアセンブリ800は、これらのリンクと遠隔球面中心との間にある。
【0042】
図15は、本発明を具現化する別のロボットアーム1500を示す。モータアセンブリは、2つの回転軸1508、1510からかなりの距離離れた位置で、支持部1506によって連結される2つのモータ1502、1504を含む。モータアセンブリは、並列の球面5棒リンク機構に接地リンクを提供する。支持部1506のこの構成は、カニューレ1514の軸でもあり得る外側軸1512が、2つの回転軸1508と1510との間、および2つのモータ1502と1504との間を通過し、より大きい運動範囲を提供することを可能にする。
【0043】
図16は、本発明を具現化するさらに別のロボットアーム1600を示す。モータアセンブリは、並列の球面5棒リンク機構に接地リンクを提供する支持部1606によって連結される2つのモータ1602、1604を含む。2つの回転軸1608、1610は、直角駆動が必要とされないように、2つのモータ1602、1604の軸と一致し得る。内側リンクのうちの少なくとも一方1614は、2つの回転軸1608、1610間の角距離より実質的に短い角度長を有する。これによって、他方の内側リンク1616に連結されるモータ1604に対し内側リンク1614を可能にする。他方の内側リンク1616は、短縮された内側リンク1614に連結されるモータ1602の内側、該モータと遠隔球面中心との間を通過するように構成され得るため、2つの回転軸1608、1610間の角距離より実質的に短い角度長を有しても、有さなくてもよい。
【0044】
図17は、図16に示されるロボットアーム1600と同様のロボットアーム1700の略図を示す。内側および外側リンク1701、1702の第1の対は、第1の中間軸1714において、旋回可能に連結される。内側および外側リンク1704、1703の第2の対は、第2の中間軸1711において、旋回可能に連結される。2つの外側リンク1702、1703は、外側軸1715において、旋回可能に連結される。2つのモータ1733、1734の一方は、内側リンク1701、1704のそれぞれに連結され、回転軸1713、1712の回りで内側リンクを回転させる。2つのモータは、接地リンク1705によって連結され、並列の球面5棒リンク機構を完成する。
【0045】
内側および外側リンク1701、1702の第1の対は、第1の球面シェル1736内を移動するように、構成され得ることが理解されるであろう。内側および外側リンク1704、1703の第2の対は、外側軸1715の近傍を除き、第1の球面シェル1736と共有しない第2の球面シェル1738内を移動する。この配列によって、内側リンク1701、1704は、互いにクロスオーバーすることが可能になる。また、この配列における内側リンク1701、1704も、接地リンクが、第2の球面シェル1738の外側にある場合、2つのモータ1733、1734を連結する接地リンク1705の内側、球面回転1720の遠隔中心のより近くを通過することができる。
【0046】
リンク機構1700の配列は、図示されるように、第1の内側リンク1701が、接地リンク1705と同一平面上にある場合、第1の回転軸1713から第1の中間軸1714への第1の方向ベクトル1721は、第1の回転軸1713から第2の回転軸1712への第2の方向ベクトル1722と同一方向を有するというさらなる特徴がある。同様に、第2の内側リンク1704が、接地リンク1705と同一平面にある場合、第2の回転軸1712から第2の中間軸1711への第3の方向ベクトル1723は、第2の回転軸1712から第1の回転軸1713への第4の方向ベクトル1724と同一方向を有する。
【0047】
図18は、図11に示されるロボットアーム116と同様のロボットアーム1800の略図を示す。内側および外側リンク1801、1802の第1の対は、第1の中間軸1814において、旋回可能に連結される。内側および外側リンク1804、1803の第2の対は、第2の中間軸1811において、旋回可能に連結される。2つの外側リンク1802、1803は、外側軸1815において、旋回可能に連結される。2つのモータ1833、1834のうちの1つは、内側リンク1801、1804のそれぞれに連結され、回転軸1813、1812の回りに内側リンクを回転させる。2つのモータは、接地リンク1805によって連結され、並列の球面5棒リンク機構を完成する。
【0048】
図18に示される配列では、3つすべてのリンクが同一平面にある場合、接地リンク1805は、2つの内側リンク1801、1804の間にある。内側および外側リンク1801、1802の第1の対は、第1の球面シェル1836内を移動し得る。内側および外側リンク1804、1803の第2の対は、外側軸1815の近傍を除き、第1の球面シェル1836と共有しない第2の球面シェル1838内を移動し得る。接地リンクが、第1と第2の球面シェルとの間にある第3の球面シェル1837内にある場合、内側リンク1801、1804は、互いにクロスオーバーし、さらに接地リンクをクロスオーバーし得る。図17に示されるリンク機構1700に対する上述のように、内側リンク1801、1804が、接地リンク1805と同一平面にある場合には、リンク機構1800の配列は、同じ方向性特徴を有する。
【0049】
図18に示される配列では、モータ1833、1834の軸は、回転軸1813、1812に垂直であり得る。これは、モータの全部または一部が、内側リンク1801、1804が通過可能な第3の球面シェル1837内にあるように成され得る。駆動シャフト1840、1842は、直角駆動手段1844、1846によって、モータ1833、1834を内側リンク1801、1804に連結することができる。他の実施形態では、駆動シャフトは、他の配列でモータに連結してもよく、モータシャフトの同軸延長部であってもよい。モータ1833、1834に連結される駆動シャフト1840、1842の端部は、駆動端として説明され得る。図示される配列では、第1の駆動シャフト1840は、駆動端から球面回転の遠隔中心1820へ向かって延在し、第2の駆動シャフト1842は、駆動端から球面回転の遠隔中心1820から離れるように延在するように示され得る。
【0050】
図19は、図7〜12に示されるロボットアーム116と同様の構造を有する、本発明を具現化する並列の球面5棒リンク機構1900を示す。図20は、図19の並列の球面5棒リンク機構1900の概略図を示す。4つの移動可能リンク1901〜1904が回転する5つの旋回軸1911−1915はすべて、球面回転の共通遠隔中心1920を通過する。第1の内側リンク1901および第2の内側リンク1904は、第1の回転軸1913および第2の回転軸1912の回りに内側リンクを回転させることが可能なモータに連結され得る。2つのモータは、共に連結され、接地リンクである第5のリンク(図示せず)を形成することができる。
【0051】
移動可能リンク1901、1902、1903、1904は、略弓状を有するように示される。リンクは、本発明の機能に影響を及ぼすことなく、任意の所望の形態を有することができることを理解されるであろう。回転接続部1921、1922、1923、1924、1925の軸がすべて、球面回転の共通遠隔中心1920を実質的に通過する限り、リンク機構は、球面リンク機構として機能するであろう。リンクおよびピボットが互いに通過可能なように、リンクのいずれかは、弓状セグメントを含み得る不規則な形を有し、回転接続部の配置に適合してもよい。球面回転の遠隔中心1920を実質的に通過するように、旋回軸を支持する限り、リンクの形態は重要ではないことを理解されるであろう。
【0052】
本発明の並列の球面5棒リンク機構のコンパクトな構成において、第1の回転軸1913を外側軸1915に連結する第1のリンク対1901、1902が、第2の回転軸1912を外側軸1915に連結する第2のリンク対1904、1903を自由に通過できるようにリンク機構を構成することが望ましい場合がある。並列の球面5棒リンク機構の唯一の要件は、すべての旋回軸が実質的に共通の球面回転の遠隔中心1920を通過することであるため、第1のリンク対1901、1902および第1の中間ピボット1914は、第1の対によって掃引された第1のボリュームが、第2のリンク対1904、1903および第2の中間ピボット1911によって掃引された第2のボリュームと交差しないように構成されてもよい。第1および第2のボリューム間の唯一の接続部は、外側軸1915および接地リンク1905に近接している。図19および20によって示される実施形態におけるリンクの形態は、第1のリンク対1901、1902が第2のリンク対1904、1903を通過するのを可能にする構成の一例である。
【0053】
図21は、2つの内側リンク2101、2104と、2つの外側リンクと、モータアセンブリ2105によって提供される接地リンクとを含む、ロボットアームのための並列の球面5棒リンク機構2100の別の実施形態を示す。図19のリンク機構1900と比較すると、並列の球面5棒リンク機構2100は、外側軸2115からオフセット距離だけ離間して配置された挿入軸2119を有する外側リンク2103を含む。挿入軸2119が外側軸2115と一致するのが理想的である。しかしながら、挿入軸2119を外側軸2115から分離することにより、機械的なパッケージングの利点を得ることができる。
【0054】
好ましくは、挿入軸2119は、外側軸2115よりも中間軸2111から離れて、外側リンク2103に設置される。挿入軸2119が球面回転の遠隔中心2120を中心とする球体の表面に対して垂直であり、したがって球面回転の遠隔中心2120を通過する限り、挿入軸は並列の球面5棒リンク機構2100の旋回軸2111〜2115と同じ運動学的特徴を有することになる。すなわち、挿入軸2119は、球面回転の遠隔中心2120に対して移動することになる。挿入軸2119は、中間軸2114と外側軸2115とによって画定される平面内にあってもよいし、そうでなくてもよい。
【0055】
並列の球面5棒リンク機構の旋回軸から外側への挿入軸2119の設置は、リンク機構2100の運動を妨害することなく、内視鏡カメラ(図示せず)が支持および操作されることを可能にし得る。カニューレ2106およびその関連する機械的装着手段の構築、据付、除去、および無菌境界構築を単純化することもできる。
【0056】
図21に図示するもの等、離間して配置された挿入軸を有するいくつかの実施形態において、挿入軸2119、外側軸2115、および中間軸2111は、同一平面上にあってもよい。この配列により、2つの内側リンク2101、2104の位置と外側軸2115の位置との間の関係を単純化することができる。挿入軸2119を、2つの外側リンク2102、2103のいずれに設置してもよいことに留意されたい。
【0057】
本発明の並列の球面5棒リンク機構は、球体の表面上における平面幾何学である、球面幾何学を使用して説明され得る。本発明のリンク機構のリンクは、同じ球面上にある必要も、またいかなる球面上にある必要もないが、リンク機構について説明することを目的として、共通の球面に投影され得る。球面幾何学において、球面上の幾何学的関係は球体の半径を変化させることによって影響を受けないことから、距離を角度として計測することができる。角距離は、球体の半径に関係なく同じままである
地球表面における航法は、球面幾何学の一般的な例である。世界的航法において使用される緯度および経度は、球面系におけるロケーションおよび方向を説明するための馴染みのあるシステムである。赤道は、緯度0°の地点を定義する。北極は緯度90°を定義し、南極は緯度−90°を定義する。経度は、経度0°の任意に定義された線から一定緯度の円上における角距離である。経度は、従来、経度0°の線から西に180°、東に180°の範囲にあるとして表現される。軸受は、軸受と北極への方向線との間の角度として表現される地点からの方向線である。西方向軸受は、正の角度として表現され、東方向軸受は、負の角度として表現され得る。以下は、球面幾何学の観点から表される本発明の実施形態の説明である。
【0058】
再び図6を参照すると、第1の内側リンク601の第1の回転軸613は、緯度0°、経度0°にあるものと考えられることになる。第2の内側リンク604の第2の回転軸612は、同一緯度、正の(東方向)経度にあるものとして示されている。第2の回転軸612は、例えば、経度55°および緯度0°の定位置にあり得る。したがって、本例では、接地リンクは、角度長55°を有する。定位置は、リンク機構の球面幾何学の基準系内に固定されていることを意味し、その基準系を有するリンク機構全体は、空間内に自由に位置づけられ得ることを記憶にとどめておかなくてはならない。
【0059】
移動可能リンク601−604はすべて、接地リンクと同一角度長を有してもよい。例えば、第1の中間軸614は、第1の回転軸613から55°離間して配置され得る。第1の外側軸615は、第1の中間軸614から55°離間して配置され得る。挿入軸619は、外側軸615から30°離間して配置され得る。第2の中間軸611は、第2の回転軸612から55°離間して配置され得る。第2の中間軸611は、外側軸615から55°離間して配置され得る。
【0060】
回転軸613、612回りの内側リンク601、604の回転範囲は、例えば、外側リンク602と603との間で最小角度15°が維持されるように制約され得る。内側リンク601、604の回転範囲は、例えば、外側軸615が経度27.5°有する場合、第1の内側リンク601は、負の(東方向)軸受を有し、第2の内側リンク604は、正の(西方向)軸受を有するように、さらに制約され得る。回転軸613、612を共通球面上の中間軸614、611に最も直接接続する線分は、内側リンクの両方に対し外側軸615の経度線を交差するであろう。したがって、外側軸が、その東西運動範囲の中心またはその近傍にある場合、内側リンクは、互いに交差するであろう。外側軸が、その東西運動範囲の中心部分にある場合、内側リンクの回転上の制約は、交差が解けることを防止する。
【0061】
これらの寸法は、単なる例に過ぎない。本発明は、実質的に異なる寸法および実質的に異なる運動範囲を有するリンク機構によって実践され得る。本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。挿入軸の運動範囲について、およびデバイスがその運動範囲によって占める空間について特定の要件を有する、特定種類の手術の必要性に本発明を適合させるために、異なる寸法および異なる運動範囲を使用することが望ましい場合がある。
【0062】
本発明の並列の球面5棒リンク機構は、動力を受ける構成および受けない構成の両方において具現化され得ることを理解されたい。動力供給を受ける実施形態においては、サーボモータ等のデバイスが内側リンクを回転させる。並列の球面5棒リンク機構は、それらの回転を外側軸の二次元の動きに転換する。動力供給を受けない実施形態においては、外側軸の二次元の動きは、並列の球面5棒リンク機構によって内側リンクの回転に転換される。回転エンコーダ等のデバイスは、内側リンクの軸受を検知することができ、該情報を使用して、外側軸の位置を計算することができる。前述したように中間軸の回転を制約することは、該制約により、外側軸の位置を、内側リンクの軸受に対応する2つの考えられる位置の一方に制限することから、動力供給を受けない実施形態において有利である。
【0063】
いくつかの例示的な実施形態を説明し、添付の図面に示したが、そのような実施形態は広範な本発明の単なる例示であって限定的なものではなく、当業者であればその他種々の修正形態に想到し得るため、本発明は図示および説明した特定の構築および配列に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本発明の実施形態は、以下に続く特許請求の範囲によって解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21