(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
(スロットマシンS)
スロットマシンSは、
図1に示すように、箱形の筐体2の正面側に板状の前扉3を開閉自在に取り付け、筐体2の内部には、
図2に示すように、3個の回転リール70を有するリールユニット6、メダルを貯留するとともに払い出すためのホッパーユニット8、スロットマシンSの作動を制御するための制御装置7を収納固定した構成となっている。
前記前扉3は、特に図示しないヒンジを介して、筐体2の正面開口を開閉自在に取り付けられており、
図1に示すように、高さ方向の中央部は、スロットマシンSの操作に関わる操作スイッチ等が設けられた操作部5となっている。そして、操作部5の上方には、回転リール70を正面側から視認可能な図柄表示窓80を有する正面パネル3Aが設けられている。また、操作部5の下方には、スロットマシンSの機種に応じたキャラクター等を表示した下パネル3Cが設けられている。さらに、下パネル3Cの下方であって前扉3の下部には、ホッパーユニット8から払い出されたメダルを排出するメダル払い出し口3Eと、メダル払い出し口3Eから排出されたメダルを貯留可能な下皿3Dが形成されている。
【0010】
また、前扉3には、遊技に伴う種々の演出を行わせるための演出装置9が設けられている。演出装置9としては、前扉3の周囲に配置されたランプ9A、正面パネル3Aの上方に設けられた液晶表示装置9B、下皿3Dの奥壁に設けられたスピーカ9Cを有している。ここで、ランプ9Aのうち、前扉3の両側に設けられているサイドランプは、前扉3の正面縦枠60にランプユニット1及び1'を着脱自在に取り付けたものである。このランプユニット1は、単一の光源からの光線を複数の照射光に分散させて、発光面が広範囲に均一に発光可能に形成されているものであるが、この詳細については後述する。
前記操作部5としては、メダルを投入するためのメダル投入口5A、クレジットとして貯留されているメダルを投入メダルに代えるためのベットスイッチ5B、回転リール70の回転を開始させるためのレバー状のスタートスイッチ5C、回転リール70の回転を個々に停止させるための3個のボタンスイッチからなるストップスイッチ5Dが設けられている。
【0011】
また、前扉3の裏側には、前記メダル投入口5Aから投入されたメダルを検出するためのメダルセレクター4が内蔵されている。
前記制御装置7は、IC等の各種電子部品を搭載した制御基板と、この制御基板を収納
するための基板ケースとから構成されている。前記制御装置7としては、
図2に示すよう
に、メイン制御装置7Aと、サブ制御装置7Bとが設けられている。
前記メイン制御装置7Aは、
図2に示すように、リールユニット6の上方に収納されており、特に図示しないメイン基板を有している。メイン基板には、CPU、ROM、RAM等、種々の電子部品が備えられており、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、メイン制御装置7Aを各種制御手段として機能させる。具体的には、メイン制御装置7Aは、ベットやクレジットの制御を行うメダル投入制御手段、複数の図柄の組み合わせから成る「役」について当選か否かの抽選を行うための役抽選制御手段、リールユニット6を制御するためのリール制御手段、ボーナスゲームなどの遊技状態の制御を行うための遊技状態制御手段、入賞の有無を判定する入賞判定手段、ホッパーユニット8の作動を制御するためのホッパー制御手段等として機能する。
【0012】
前記サブ制御装置7Bは、
図2に示すように、前扉3の裏面上方に配置されており、特に図示しないサブ基板を有している。サブ基板にも、CPU、ROM、RAM等の電子部品が搭載されており、メイン基板と同様に、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、サブ制御装置7Bを各種制御手段として機能させる。具体的には、サブ基板は、メイン基板から信号を入力し、遊技状態に基づく演出の有無及び内容を決定するための演出決定手段、液晶表示装置9Bの作動を制御するための液晶表示制御手段、ランプ9Aの発光表示を制御するための発光表示制御手段、スピーカ9Cからの音声出力を制御するための音声出力制御手段等として機能する。
【0013】
(スロットマシンSの作動の概略)
上記構成を有するスロットマシンSは、1回の遊技において最大3枚のメダルを掛ける
(ベットする)ことができるとともに、メダル投入口5Aから投入されたメダルを最大50枚までクレジットとして貯留可能に形成されている。メダルがクレジットされている場合には、図示しない所定のクレジット表示部にその数値が表示され、ベットスイッチ5Bを操作する度に1〜3の所定の数がクレジット表示部の表示から減算され、その枚数のメダルがベットされたものとみなされるようになっている。
そして、スタートスイッチ5Cの操作に基づき、役抽選が行われると共に、回転リール70が回転開始する。回転リール70の回転中に、対応するストップスイッチ5Dを操作することにより、回転リール70が回転停止する。そして、3個の回転リール70が全て停止したとき、各回転リール70の当選役を構成する図柄が当選役に応じた配列で表示された場合には、ホッパーユニット8から役に応じた枚数のメダルが払い出されたり、ボーナスゲームなどの有利遊技に移行するように形成されている。
【0014】
(ランプユニット1)
次に、ランプユニット1について詳述する。
ここで、本実施の形態に係るスロットマシンSには、
図1に示すように、前扉3の左右に2個ずつ合計4個のランプ9Aが設けられており、上側に配置されているランプ9Aはランプユニット1'、下側に配置されているランプ9Aはランプユニット1から構成されている。ランプユニット1、1'は、サイズが異なっているが、基本的な構成は同じである。また、左右のランプユニット1,1、1',1'は、それぞれ左右対称に形成されている。以下、正面右下側に配置されているランプユニット1を代表例として、ランプユニット1の構成を説明する。
【0015】
ランプユニット1は、
図3及び
図4に示すように、大きく分けて、光源としてのLED41を備えた基板部12と、基板部12の正面側(ランプユニット1を前扉3に取り付けたときに前方となる側)に配置される拡散レンズ11と、拡散レンズ11を覆うレンズカバー10とから構成されている。
基板部12は、LED41を装着した照明基板40と、照明基板40及び拡散レンズ11を一体的に組み合わせるための非透光性のベース部材50とを備え、ベース部材50に照明基板40を取り付けて成る。ベース部材50は、
図4に示すように、背面板51と、長さ方向にわたって形成された2本の嵌入溝53を有する支持ブロック52を備えている。前記背面板51には、
図6に示すように、嵌入溝53の溝奥壁に相当する部分に、スリット54が形成されている。前記スリット54は、背面板51の背面側(ランプユニット1を前扉3に取り付けたときに後方となる側)に照明基板40を固定したとき、LED41の位置と合致するようになっている。
【0016】
拡散レンズ11は、LED41の照射光を前方に分散反射させるための導光部材であり、本実施の形態においては、LED41の手前側に配置される反射部材30と、反射部材30の正面側に配置される意匠部材20とに分割されている。また、意匠部材20としては、ランプユニット1を前扉3に取り付けたとき扉外側に位置するエッジ側部材20Aと、扉中心側(下パネル3Cの側)に位置するパネル側部材20Bとが設けられている。反射部材30は、エッジ側部材20A、パネル側部材20Bのそれぞれに対応して1つずつ設けられている。
そして、拡散レンズ11は、意匠部材20及び反射部材30を一体化した状態で、ベース部材50の嵌入溝53に嵌入される。なお、嵌入溝53の深さは、反射部材30の前後方向の幅と同等か、やや大きい寸法となっている。
【0017】
レンズカバー10は、透明なプラスチックで形成された背面側が開口する箱形のカバー部材である。レンズカバー10は、拡散レンズ11がベース部材50に固定された状態で、ベース部材50に固定することにより、拡散レンズ11をすっぽりと覆うことができる。
(拡散レンズ11)
ここで、拡散レンズ11について、より詳しく説明する。
上記したように、拡散レンズ11は、意匠部材20、反射部材30を有している。二つの部材の屈折率は、同じであっても異なっていてもよい。
意匠部材20は、
図4及び
図5に示すように、高さ方向の略中央部が幅厚に形成された板部材である。意匠部材20の正面側は、長さ方向にわたって設けられた筋状のカット部23を有する意匠部21となっており、背面側は、劣弧を並べた形状の突部22aと矩形の凹部22bが交互に長さ方向に連続して形成されている背面反射部22となっている。意匠部21は、スロットマシンSの正面デザインの一部を成すものであり、カット部23は後方から受ける光線を周囲に拡散させるためのものである。背面反射部22は、反射部材30を通過した照射光を受け正面側に反射させるためのものである。
【0018】
ここで、意匠部材20を構成するエッジ側部材20Aとパネル側部材20Bは、
図6に示すように、意匠部21の形状がそれぞれ異なるものとなっている。すなわち、パネル側部材20Bの意匠部21は、先端が湾曲した断面略J字状に形成されているのに対して、エッジ側部材20Aの意匠部は、先端が湾曲しているとともに両側面に特殊形状部24が形成されている。特殊形状部24は、照射光の横方向への拡散角度を調整するためのものである。そして、意匠部材20をベース部材50に取り付けた状態では、エッジ側部材20A及びパネル側部材20Bの湾曲部分の先端が合わさって断面略U字型となるものである。
一方、反射部材30は、
図4及び
図5に示すように、意匠部材20よりも幅薄の板部材であり、意匠部材20の背面反射部22とほぼ同様の外形形状を有する正面反射部31を備えている。すなわち、正面反射部31は、優弧を並べた形状の凹部31aと矩形の突部31bが交互に長さ方向に連続して形成されている。そして、背面反射部22の突部22aと凹部22bに凹部31aと突部31bをそれぞれ嵌め合わせて、意匠部材20の背面側に取り付けることができるようになっている。また、反射部材30の側面には、特殊形状の開口部33が複数個、設けられている。そして、背面側の受光端面32から受けた光線を、開口部33及び正面反射部31を介して意匠部材20の背面反射部22に導くようになっている。
【0019】
なお、エッジ側部材20A及びパネル側部材20Bの背面反射部22の外形形状は同じであるため、反射部材30としては、エッジ側部材20A及びパネル側部材20Bに対して同一の形状のものが1個ずつ設けられている。
ここで、意匠部材20に反射部材30を嵌め合わせたとき、背面反射部22の突部22aと正面反射部31の凹部31aとの間には、
図7(A)に示すように、僅かな空間部Pが設けられている。また、突部22aと凹部31aの円弧の曲率は僅かに異ならせてある。この空間部Pは、
図7(B)に示すように、反射部材30から射出される光線がさらに屈折して好適な角度で意匠部材20の背面反射部22に入射可能とするためのものである。換言すれば、反射部材30から射出される光線が背面反射部22に好適な角度で入射する曲率及び距離となるように、突部22a及び凹部31aの曲率及び隙間Pの距離が設計されている。このように形成することにより、光線の屈折角度を意匠部21の形状に適したものにすることができるものである。また、前述のように、意匠部材20の突部22aと反射部材30の凹部31aとが接触していなくても、意匠部材20の凹部22bと反射部材30の突部31bは隙間なく嵌り合うので、意匠部材20と反射部材30の接合強度が保たれる。
【0020】
また、意匠部材20と反射部材30を合体させた拡散レンズ11をベース部材50の嵌入溝53にそれぞれ嵌入させると、反射部材30の全体、及び意匠部材20の背面反射部22は、支持ブロック52に隠れるようになっている(
図3参照)。このため、LED41の照射光が拡散レンズ11の根本の部分で側方に分散してしまうことがなく、照射光を効率よく正面側に誘導することができる。
さらに、照明基板40に設けられているLED41は、照明基板40をベース部材50に固定したとき、意匠部材20の突部22aと反射部材30の凹部31aの高さ方向の中間位置、すなわち、突部22aの尖端部22c及び凹部31aの谷底部31c(
図5参照)の位置と合致するように配置されている。本実施の形態では、背面反射部22及び正面反射部31に突部22a及び凹部31aがそれぞれ5カ所ずつ形成されているので、LED41は、
図4に示すように、2個ずつある意匠部材20及び反射部材30に対応して、合計10個設けられている。
【0021】
ところで、本実施の形態におけるランプユニット1では、意匠部材20とレンズカバー10のみを異なるデザインのものに変更しても、反射部材30、照明基板40、ベース部材50はそのまま再使用することができる。つまり、反射部材30、照明基板40、ベース部材50は、基スロットマシンSのランプ9Aの外形デザインが変更された場合でも、そのまま利用することができる。反射部材30を、意匠部21の形状は異なるが背面反射部22の形状は正面反射部31に対応して形成された意匠部材20に嵌め合わせればよいからである。この場合、背面反射部22の突部22aの曲率及び隙間Pの距離は、意匠部21の形状に合わせて変更する必要があるが、凹部22bは同一形状でよい。
【0022】
(拡散レンズ11による照射光の拡散)
上記構成を有するランプユニット1の、拡散レンズ11による照射光の拡散の様子を
図7(A)に示す。反射部材30の受光端面32から入射されたLED41の照射光は、正面反射部31の凹部31aの円弧面で反射し、さらに、上下対称に形成された二つの開口部33の傾斜面33a,33b,33cで反射して、意匠部材20側(つまり正面側)に射出される。またこのとき、照射光は、凹部31aの谷底部から射出される光線δ、傾斜面33aに反射して射出される光線α,α’、傾斜面33bで反射して射出される光線β,β’、傾斜面33cで反射して射出される光線γ,γ’にほぼ集約される。つまり、単一の光源の照射光が7つに分岐するようになっている。そして、反射部材30から射出された照射光は、
図7(B)に示すように、空間部Pを通過する際に屈折し、さらに意匠部材20に入射される際に屈折して、拡散しながら意匠部材20を通過する。このため、LED41の設置数が少なくても、意匠部材20の正面側が全体的に均一に発光するように見えるものとなる。
【0023】
なお、図示した凹部31aと開口部33、及び突部22aの形状では、LED41の照射光を7つに分岐させることができるが、その形状が異なれば、分岐数も変化する。
(ランプユニット1の発光パターン)
さて、上記したランプユニット1では、拡散レンズ11の意匠部材20がエッジ側とパネル側に分かれているとともに、それぞれに対応したLED41を設けているので、遊技状態に応じて、意匠部材20の片側のみを発光させたり、双方を発光させたりすることにより、様々な演出効果を奏するものである。また、LED41をフルカラーLEDとすれば、発光色の変化によっても、演出態様を変化させることができる。
【0024】
例えば、エッジ側部材20Aに対応して配置されているLED41の列を発光させ、パネル側部材20Bに対応して配置されているLED41の列は発光させないようにすれば、
図8(A)に示すように、エッジ側部材20Aのみが点灯し、照射光をエッジ側(隣接するスロットマシン側)に向かわせることができる。逆に、パネル側部材20Bに対応して配置されているLED41の列を発光させ、エッジ側部材20Aに対応して配置されているLED41の列は発光させないようにすれば、
図8(B)に示すように、パネル側部材20Bのみが点灯し、照射光をパネル側(遊技者側)に向かわせることができる。また、LED41を全て発光させれば、
図8(C)に示すように、エッジ側部材20Aとパネル側部材20Bの双方を点灯させることができる。
【0025】
(総括)
以上のように、本実施の形態によれば、拡散レンズ11を、スロットマシンSの正面デザインによってその形状が変化する部位(意匠部材20)と、正面デザインが変化しても変化させる必要のない部位(反射部材30)とに分割してある。従って、意匠部材20及びその外側をカバーするレンズカバー10のみを交換すれば、ランプユニット1のその他の構成部品はそのまま再使用でき、コスト削減を図ることができる。
また、意匠部材20の背面反射部22と反射部材30の正面反射部31を、特殊形状の嵌め合わせ構造としてある。このように、意匠部材20の一部に反射部材としての機能を持たせることによって、意匠部材20と反射部材30を接合したときの強度を確保することができるとともに、二つの部材を接続することで単一の拡散レンズ11と同等の効果を持たせることができる。さらに、背面反射部22と正面反射部31の間に空間部Pを設け、照射光の屈折角度を調整することにより、意匠部材20の意匠部21の形状に応じた好適な照射光を得ることができる。
【0026】
なお、上記した実施の形態では、拡散レンズ11の意匠部材20をエッジ側とパネル側に分割していたが、意匠部材20は単体であっても構わない。この場合には、反射部材30も意匠部材20に対応して単一のものが設けられる。
本発明は、スロットマシンS以外の遊技機、例えばパチンコ遊技機にも利用できる。この際、ランプユニット1は、サイドランプやトップランプに用いられるものに限られず、センター役物に用いられる発光表示部に使用することもできる。