特許第5787392号(P5787392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5787392易開封手段を施したピロー包装袋における開口手段
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787392
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】易開封手段を施したピロー包装袋における開口手段
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/44 20060101AFI20150910BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   B65D75/44
   B65D75/62 A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2010-290243(P2010-290243)
(22)【出願日】2010年12月27日
(65)【公開番号】特開2012-136259(P2012-136259A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237787
【氏名又は名称】富士特殊紙業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067091
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 弘
(72)【発明者】
【氏名】杉山 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】日比野 恵里
(72)【発明者】
【氏名】川合 信行
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−069663(JP,A)
【文献】 特開2006−036286(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0190800(US,A1)
【文献】 特開平05−147660(JP,A)
【文献】 特開2004−256158(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/114535(WO,A1)
【文献】 米国特許第06352364(US,B1)
【文献】 米国特許第07111986(US,B2)
【文献】 特開2000−142724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/44−75/48
B65D 75/62
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合掌張りシール部分を袋の裏面においてその中央に位置させると共に前記合掌貼りシールの先端縁に沿って易開封手段を設け、かつ前記合掌貼りシールを一方に倒して袋の外面フィルムにヒートシールを行い、更に前記合掌貼りシールが倒された方向の袋の側端にヒートシール部を形成し、このヒートシール部に前記合掌貼りシール方向に向けてV又はIノッチを形成したピロー包装体において、前記易開封手段は、前記合掌りシールの端縁から昇り勾配に形成された傾斜スリット部と、この傾斜スリット部の上端から水平方向に続いて形成されていると共に合掌貼りシールの範囲内において終る水平スリット部とから成ること、を特徴とするピロー包装袋における開口手段。
【請求項2】
前記傾斜スリットと水平スリットは、複数本形成されていることを特徴とする請求項1に記載の易開封手段を施したピロー包装袋における開口手段。
【請求項3】
前記傾斜スリットの勾配の角度は、12°〜45°の範囲で任意に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の易開封手段を施したピロー包装袋における開口手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封手段を施したピロー包装袋における開口手段に関する。
【背景技術】
【0002】
ピロー包装袋は、一枚のフィルムの両サイドを中央に引き寄せて合掌形状に背貼りを行うことにより円筒状に形成し、その上でこのヒートシール部分を横断するように底及び口シールを行った形態である。
【0003】
このような形態のピロー包装袋の場合、袋を開封する場合には袋のサイドから引き裂くと、前記背張りシール部分において引き裂きが止り、これ以上は引き裂くことができないことから、ハサミを用いて開封する必要がある。
【0004】
このことから、ハサミを用いずに開封することが可能なように、本件出願人は、特許第4199024号公報に掲載の易開封手段を施したピロー包装袋を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4199024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公知例の袋は、現在広く利用されて好評を得ているが、ひとつ問題点がある。
【0007】
これは、袋の開封は手軽に出来るようになったが、開封したあとで引き裂かれた口を開口する際に、図7に示すように袋1の引き裂けた表と裏のフィルム5、6の端縁5a、6aが揃ってしまうことから、開放のために指先をもって端縁5a、6aを摘み、開こうとしても、この端縁5a、6aに指先が掛からないということである。
【0008】
特に、フィルムの剛性が高かったり、開封口内にジッパー11が挿入されている場合には、どうしても端縁5a、6aが密着してしまう。
【0009】
このため、指先が不自由な人、あるいは老人や子供の場合に開口に苦労する例が多く、その解決策の提案が望まれている。図7において符号の3は背貼りシールである。
【0010】
本発明は斯る点に鑑みて提供されるものであって、その目的は、前記した特許文献1に紹介されているピロー包装袋において、開封口を引き裂いた後で指先が不自由な人、あるいは老人や子供でも簡単に開口できる開口手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、袋を引き裂いて開封したときに、この引き裂き端縁であって、背貼りシール部分に自動的に摘み用のタブが形成されるもので、このタブを摘んで簡単に開口することができる。
【0012】
この特徴を奏するために提供する請求項1に記載の発明は、合掌張りシール部分を袋の裏面においてその中央に位置させると共に前記合掌貼りシールの先端縁に沿って易開封手段を設け、かつ前記合掌貼りシールを一方に倒して袋の外面フィルムにヒートシールを行い、更に前記合掌貼りシールが倒された方向の袋の側端にヒートシール部を形成し、このヒートシール部に前記合掌貼りシール方向に向けてV又はIノッチを形成したピロー包装体において、前記易開封手段は、前記合掌りシールの端縁から昇り勾配に形成された傾斜スリット部と、この傾斜スリット部の上端から水平方向に続いて形成されていると共に合掌貼りシールの範囲内において終る水平スリット部とから成ることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開口手段において、前記傾斜スリットと水平スリットは複数本形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の開口手段において、前記傾斜スリットの勾配の角度は12°〜45°の範囲で任意に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のように、開封した口の切り裂き部であって、合掌貼り部分に三角形状のタブが形成されているため、このタブを摘むことにより、簡単に開口を行うことができる。
【0016】
よって、特に指先が不自由な人や老人あるいは子供にとっては有効である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を実施したピロー包装袋の説明図
図2傾斜スリットと水平スリットを合掌貼り部分に形成したピロー包装袋の説明図
図3】開封している状態の説明図
図4】タブを摘んで開口している状態の説明図
図5傾斜スリットの上端に水平スリットを形成した実施例の説明図
図6】スリットの入口に導入口を形成した実施例の説明図
図7】従来の易開封手段を設けたピロー包装袋の説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、開封口内にジッパーが挿入されている場合に特に有効であるが、このジッパーが挿入されていない袋にも適用することができる。
【0019】
また、袋はガゼットタイプとノンガゼットタイプの双方が対象となる。
【0020】
袋の材質はプラスチックフィルムの複合体あるいはアルミ箔フィルムを複合したプラスチックフィルムが対象となる。
【実施例】
【0021】
以下、図1図6を用いて請求項1〜に記載した発明の実施例を詳細に説明する。
【0022】
各図において、符号の1はピロー包装袋を示し、2はこのピロー包装袋1の口シール、3は背面6の中央に位置する合掌貼りシールであって、この合掌貼りシール3は、袋1の背面6において倒されていて、背面6の表面にヒートシールされている。
【0023】
4は、前記合掌貼りシール3において、その先端3aから昇り勾配をつけて切り込みを入れることにより形成された傾斜スリットであって、この傾斜スリット4の先端4bからは水平方向に向けて水平スリット4cが形成されていると共にこの水平スリット4cの先端は合掌貼りシール3の基部3bより手前で止っている図5参照)
【0024】
8は袋1において、前記合掌貼りシール3が倒された方向の側端部1aにおいて、前記傾斜スリット4と対向する位置に形成された表と裏フィルム5、6を部分的にヒートシールして形成したシール部であって、このシール部8には傾斜スリット4の入口方向に向けてV又はIノッチ9が形成されている。
【0025】
なお、合掌貼りシール3は、傾斜スリット4を含む領域又は傾斜スリット4を間にした上下の領域が袋1の背面フィルム6にヒートシールされていれば開封(引き裂き)に問題はないが、全体がヒートシールされていても構わない。
【0026】
11は、開封口7内に挿入されたジッパーである。
【0027】
以上の構成から成る袋1を開封する場合には、図3に示すようにV又はIノッチ9部分から引き裂きを行うと、横方向に袋1の表と裏フィルム5、6が点線で示すa方向に引き裂けてやがて合掌貼りシール3の先端3aに到達し、この先端3aから傾斜スリット4の一つに入口4a入り、傾斜スリット4の傾斜に沿って引き裂け、傾斜スリット4の上端4bから水平スリット4c方向に切り裂けが進行し、そのまま合掌貼りシール3の基部3bから袋1の表5と裏6のフィルムに入り、水平方向に切り裂けて袋1の側端1bに至り、全開となる。
【0028】
図4は、このようにして全開となったときの切り裂き口7の拡大を示し、傾斜スリット4の傾斜とこの傾斜スリット4の上端4bから水平方向に切り裂けたところに三角形状のタブ10が形成される。
【0029】
したがって、このタブ10のところでの切り口の端縁5a、6aは摘み易くなるため、図4のようにタブ10を指先で摘んで容易に開口できる。
【0030】
なお、傾斜スリット4の角度は小さいとタブ10が小さくなるため、少くとも12°以上となし、45°を超えると引き裂き強度が大きくなるので、実用的には35°程度が好ましい。
【0031】
上記構成と作用において、傾斜スリット4の数は限定されないが、3〜4本あれば十分である。
【0032】
また、この傾斜スリット4の入口4aにおいて、図6に示すような逆ハ字状の導入口4dを形成すると、引き裂きはスリット内に入り易くなり、また上記した傾斜スリット4の本数も少なくても良くなる。
なお、上記したタブ10の部分には、ここを摘んで開けて下さい、といった趣旨の文字あるいは着色を施しておくと、間違いなく便利である。
【符号の説明】
【0033】
1 ピロー包装袋
2 口シール
3 合掌貼りシール
傾斜スリット
4c 水平スリット
5 表フィルム
6 裏フィルム
7 開封口
8 シール領域
9 V、Iカット
10 タブ
11 ジッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7