(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787401
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】アスファルト舗装廃材再生用ドライヤ
(51)【国際特許分類】
E01C 19/10 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
E01C19/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-179495(P2011-179495)
(22)【出願日】2011年8月19日
(65)【公開番号】特開2013-40529(P2013-40529A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2014年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】御代 哲也
(72)【発明者】
【氏名】平海 敬士
【審査官】
越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−053608(JP,A)
【文献】
特開2005−016139(JP,A)
【文献】
実開平06−024007(JP,U)
【文献】
実開平04−001206(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00−19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に傾斜支持したドラムの内周壁に多数の掻き上げ羽根を周設したアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記掻き上げ羽根を表面が滑りやすくて廃材の付着が発生しにくい円筒体にて構成し、該円筒体の長手方向をドラム長手方向とほぼ平行に、かつドラム内周壁との間に所定の隙間をもたせて、ドラム内周壁に立設した支持片に円筒体を人手でも回動自在となるように支持し、前記円筒体を少しずつ回転させながら円筒体の全周面に亘って付着した廃材を剥離除去できる構成としたことを特徴とするアスファルト舗装廃材再生用ドライヤ。
【請求項2】
請求項1記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記支持片に円筒体の内径よりも小径の短管をドラム長手方向とほぼ平行に固着し、該短管に対して円筒体の端部開口部を遊嵌させて円筒体を回動自在に支持するようにしたことを特徴とするアスファルト舗装廃材再生用ドライヤ。
【請求項3】
請求項1記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記支持片に円筒体の外径よりも大径の透孔を穿設し、該透孔に対して円筒体の端部を挿通させて円筒体を回動自在に支持するようにしたことを特徴とするアスファルト舗装廃材再生用ドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事等により発生するアスファルト舗装廃材を加熱再生するアスファルト舗装廃材再生用ドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)を加熱再生するドライヤは、回転自在に傾斜支持したドラムを有し、ドラム内周面に周設した多数の掻き上げ羽根によって廃材の掻き上げ・落下を繰り返しながらドラム内を転動流下させる間に、バーナより送り込む熱風と接触させて廃材を所定温度にまで加熱している。ドラム内にて廃材を加熱すると、廃材に付着するアスファルトの粘着性が増していくために、廃材がドラム内の掻き上げ羽根等に徐々に付着成長していき、ついには掻き上げ羽根の機能を損なうほどになることがある。このため、掻き上げ羽根の機能を回復させるために、作業員がドラム内に入って掻き上げ羽根に付着した廃材を剥離除去する作業を定期的に行う必要があるなど、維持管理面において厄介な問題を有していた。
【0003】
上記問題に対して、例えば、特許文献1(特開2005−16139号)には、掻き上げ羽根を円筒体によって構成したものが開示されている。前記特許文献1によれば、円筒体より成る掻き上げ羽根は、羽根表面が曲面形状であるために、廃材との付着面積が小さくて廃材の付着力も弱く、従来の板状の掻き上げ羽根と比較すると付着しにくく、また、廃材が付着しても剥がれやすいものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−16139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、上記のような円筒体で構成した掻き上げ羽根では、廃材の付着を極力抑えられるものの、掻き上げ羽根への付着を完全に無くせるものではない。したがって、掻き上げ羽根への廃材の付着防止効果に優れ、付着物の除去作業も簡単に行えるように改良することが常に望まれている。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、廃材が掻き上げ羽根に付着しにくく、例え付着しても除去作業を効率よく行え、維持管理性の優れたアスファルト舗装廃材再生用ドライヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤでは、回転自在に傾斜支持したドラムの内周壁に多数の掻き上げ羽根を周設したアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記掻き上げ羽根を表面が滑りやすくて廃材の付着が発生しにくい円筒体にて構成し、該円筒体の長手方向をドラム長手方向とほぼ平行に、かつドラム内周壁との間に所定の隙間をもたせて、ドラム内周壁に立設した支持片に円筒体を
人手でも回動自在
となるように支持
し、前記円筒体を少しずつ回転させながら円筒体の全周面に亘って付着した廃材を剥離除去できる構成としたことを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤでは、前記支持片に円筒体の内径よりも小径の短管をドラム長手方向とほぼ平行に固着し、該短管に対して円筒体の端部開口部を遊嵌させて円筒体を回動自在に支持するようにしたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤでは、前記支持片に円筒体の外径よりも大径の透孔を穿設し、該透孔に対して円筒体の端部を挿通させて円筒体を回動自在に支持するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る請求項1記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤによれば、回転自在に傾斜支持したドラムの内周壁に多数の掻き上げ羽根を周設したアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記掻き上げ羽根を表面が滑りやすくて廃材の付着が発生しにくい円筒体にて構成し、該円筒体の長手方向をドラム長手方向とほぼ平行に、かつドラム内周壁との間に所定の隙間をもたせて、ドラム内周壁に立設した支持片に円筒体を
人手でも回動自在
となるように支持
し、前記円筒体を少しずつ回転させながら円筒体の全周面に亘って付着した廃材を剥離除去できる構成としたので、作業員がドラム内に入って掻き上げ羽根である円筒体に付着した廃材の除去作業を行うときには、円筒体を手で少しずつ回動させながら、円筒体の全周面に付着する廃材をハンマー等で打撃して剥離除去でき、狭いドラム内においても作業姿勢を変えずに無理なく、かつ効率よく除去作業を行うことができる。また、掻き上げ羽根である円筒体を回動自在に支持することで、ドラム底部に滞留する廃材を円筒体によって掻き上げる際、更には円筒体によって上方に持ち上げられた廃材がこぼれ落ちる際に、廃材が円筒体の表面を擦ることで付着している廃材の一部を擦り取りながら、円筒体を少しずつ回動させるので、円筒体の全周面に亘って付着物の擦り取りが行われる。これによって、掻き上げ羽根に付着する廃材の成長を少しでも阻止できることが期待され、除去作業の頻度を減らせるなど維持管理性に優れたものとなる。
【0011】
また、請求項2記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤによれば、前記支持片に円筒体の内径よりも小径の短管をドラム長手方向とほぼ平行に固着し、該短管に対して円筒体の端部開口部を遊嵌させて円筒体を回動自在に支持するようにしたので、簡単な構成にて円筒体を回動自在に支持でき、かつ製作コストも低廉である。
【0012】
また、請求項3記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤによれば、前記支持片に円筒体の外径よりも大径の透孔を穿設し、該透孔に対して円筒体の端部を挿通させて円筒体を回動自在に支持するようにしたので、円筒体と支持片との接触面積が小さくて円筒体がより円滑に回動するために、円筒体の全周面に亘って付着する廃材がより効果的に擦り取られることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るアスファルト舗装廃材再生用ドライヤの一実施例を示す一部切り欠き説明図である。
【
図3】掻き上げ羽根の説明図であって、(a)一部切り欠き正面図、(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにあっては、ドラム内周壁に周設する掻き上げ羽根として、表面が滑りやすくて廃材の付着が発生しにくい円筒体にて構成する。そして、前記円筒体は、円筒体の長手方向をドラム長手方向とほぼ平行に、かつドラム内周壁との間に廃材を付着保持させにくい程度の所定の隙間をもたせて、ドラム内周壁に立設した支持片に
人手でも回動自在
となるように支持
し、前記円筒体を少しずつ回転させながら円筒体の全周面に亘って付着した廃材を剥離除去できる構成とする。
【0015】
なお、支持片による円筒体の支持構造としては、例えば、前記支持片に円筒体の内径よりも若干小径の短管を固着し、該短管に対して円筒体の端部開口部を遊嵌させて円筒体を回動自在に支持する。或いは、前記支持片に円筒体の外径よりも若干大径の透孔を穿設し、該透孔に対して円筒体の端部を挿通させて回動自在に支持する、など適宜の支持構造によって円筒体を回動自在としておく。
【0016】
そして、前記構成のドラム内に廃材を供給して加熱すると、廃材に含まれるアスファルトが軟化して次第に付着性を有するものとなり、掻き上げ羽根である円筒体に付着しやすくなる。一方、ドラム底部に滞留する廃材を円筒体によって掻き上げる際、更には円筒体によって上方に持ち上げられた廃材がこぼれ落ちる際に、廃材が円筒体の表面を擦ることとなり、円筒体に付着している廃材の一部を擦り取る。このとき、円筒体は、廃材の動きによって少しずつ回動させられることとなり、廃材による円筒体表面の擦り位置が徐々に変わっていき、この繰り返しによって円筒体の全周面に亘って付着する廃材を擦り落とせる。
【0017】
また、ドライヤを長期間運転していると、どうしても掻き上げ羽根には廃材が付着成長してしまうので、作業員がドラム内に入って掻き上げ羽根に付着した廃材の除去作業を行う必要が出てくる。このときには、作業員は、掻き上げ羽根の円筒体を手で少しずつ回動させながら、廃材が付着している箇所を作業のしやすい手前側に向けて、ハンマー等で打撃して円筒体に付着している廃材を剥離除去していく。このように、掻き上げ羽根の円筒体を手で回動させることができることによって、狭いドラム内においても作業姿勢を変えずに無理なく、かつ効率よく除去作業を行うことができる
【0018】
このように、本発明に係るアスファルト舗装廃材再生用ドライヤによれば、掻き上げ羽根を回転自在に支持した円筒体にて構成することによって、掻き上げ羽根に付着成長した廃材の除去作業を行うときには、円筒体を手で少しずつ回転させることで、狭いドラム内で作業姿勢を変えずに円筒体の全周面に付着する廃材を無理なくハンマー等で打撃して剥離除去できる。また、ドラム内で廃材を円筒体によって掻き上げまたは落下させる際に、円筒体が少しずつ回動させられることで、円筒体の全周面に亘って付着する廃材を擦り落とすことが期待できる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0020】
図中の1はアスファルト舗装廃材再生用のドライヤであって、内部に多数の掻き上げ羽根2を周設した円筒状のドラム3を機台4上に回転自在に傾斜支持し、駆動用モータ(図示せず)にて所定速度にて回転駆動させている。
【0021】
前記ドラム3にはバーナ5を備え、該バーナ5を燃焼させてドラム3内に火炎を形成しながら熱風を供給する一方、ベルトコンベヤ6からドラム3内に廃材を供給し、掻き上げ羽根2によって廃材を掻き上げながらドラム3内を転動流下させる間に廃材を所定温度まで加熱するようにしている。
【0022】
バーナ5側のドラム3の前半部には、掻き上げ羽根2を設けずに耐熱性の鋼材7を内張しており、ドラム3内に安定したバーナ火炎を形成する一方、バーナ火炎の高熱からドラム3の内壁面を保護するようにしている。
【0023】
また、
図2は
図1のA−A断面図であって、図面に示すように、ドラム3の後半部には、多数の掻き上げ羽根2を周設している。掻き上げ羽根2は、表面が滑りやすくて廃材が付着しにくいように、例えば、外径が約90mm程度で、長さが約1700〜1800mm程度の鋼製の円筒体8より構成している。該円筒体8は、ドラム3長手方向とほぼ平行に配置し、その両端部をドラム3内周壁に所定間隔にて立設した支持片9に対して回動自在に支持している。また、前記円筒体8とドラム3内周壁との間には、廃材を付着保持させにくく、かつ円筒体8によって所定の掻き上げ機能を有するように、廃材の大きさや性状等を考慮して適宜幅、例えば約60mm程度の隙間をもたせている。
【0024】
前記円筒体8と支持片9との支持構造としては、例えば、
図3の(a)、(b)に示すように、ドラム3内周壁に立設した一対の支持片9に円筒体8の内径よりも若干小径の、例えば外径が約80mm程度の短管10をドラム3長手方向とほぼ平行に固着する一方、これら一対の短管10に対して円筒体8の両端開口部を遊嵌させることで、円筒体8を回動自在に支持している。このとき、
図3に示すように、前記短管10の外周面のほぼ全面を円筒体8によって被覆することで、廃材が短管10の外周面に付着しないようにしている。また、短管10外周面と円筒体8内周面との間にはあまり大きな隙間間隔をもたせないようにすることで、細かな廃材が前記隙間に噛み込んで円筒体8の回動性が損なわれないようにすることが好ましい。
【0025】
また、前記掻き上げ羽根2は、好ましくは、円筒体8を適宜幅、例えば約60mm程度の隙間を設けて二本平行に配置することで、より多くの廃材をドラム3上位まで持ち上げて熱風との接触機会を高めてドライヤ1の加熱効率の向上を図っている。
【0026】
そして、ドライヤ1のドラム3内に廃材を供給すると、掻き上げ羽根2によって廃材の掻き上げ、落下を繰り返しながらドラム3内を転動流下する間に、バーナ5からの熱風と接触して所定温度に加熱されていく。廃材は加熱されると、廃材に含まれるアスファルトが軟化して次第に粘着性を有するものとなり、掻き上げ羽根2の円筒体8等に徐々に付着していく。
【0027】
このとき、ドラム3底部に滞留する廃材を円筒体8によって掻き上げる際、更には円筒体8によって上方に持ち上げられた廃材がこぼれ落ちる際に、廃材が円筒体8の表面を擦ることで付着している廃材の一部を擦り取ることとなる。なお、円筒体8は回動自在としているために、廃材の動きによって少しずつ回動させられることとなる。円筒体8が回動すると、廃材によって円筒体8の表面を擦る位置が徐々に変わっていくこととなり、この繰り返しによって円筒体8の全周面に亘って付着する廃材を擦り落とすこととなる。
【0028】
また、廃材が円筒体8に付着成長して除去せざるを得ない状況となると、作業員はドラム3内に入って円筒体8に付着した廃材をハンマー等で打撃して除去作業を行う。このとき、作業員は円筒体8を手で少しずつ回転させながら、円筒体8の全周面に亘って打撃を行うことによって付着物を剥離除去する。このように、円筒体8を手で少しずつ回転させて除去作業を行うことで、狭いドラム3内で作業姿勢を変えずに円筒体8の全周面に付着する廃材を無理なくハンマー等で打撃することができ、効率よく除去作業が行える。
【0029】
また、
図4の(a)、(b)は、円筒体8の支持構造の別の実施例を示すものであって、円筒体8を支持する支持片9には円筒体8の外径よりも若干大径の、例えば約100mm径程度の円形の透孔11を穿設し、この透孔11に約90mm径程度の円筒体8を挿通し、円筒体8端部の板体12にて円筒体8の抜け止めを行う。このとき、
図4に示すように、前記円筒体8を板状の支持片9にて支持すれば円筒体8との接触面積を少なくして円筒体8を回動しやすくでき、円筒体8の全周面に付着する廃材をより効率的に擦り落とせることが期待できる。
【0030】
なお、前記実施例においては、掻き上げ羽根2の円筒体8を二本ずつ平行に配置するようにしたが、掻き上げ能力は低下するものの円筒体8を一本としたり、或いは掻き上げ能力をより向上させるために円筒体8を三本以上平行に配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…アスファルト舗装廃材再生用加熱ドライヤ
2…掻き上げ羽根 3…ドラム
5…バーナ 8…円筒体
9…支持片 10…短管