(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1あるいは2に開示されたスプレーガンの塗料ノズルのガン本体への取付けは、外周面に螺子が形成された該塗料ノズルをガン本体に形成された孔に挿入し中心軸回りに回転させることで、該螺子が前記孔の内周面に形成された内周螺子溝に螺合させることによって行うようにしたものである。
【0007】
この場合、塗料ノズルのガン本体への取付けを行った際に、加工のバラツキによって溝部の位置ずれが発生する。そのため、該塗料ノズルの先端部の溝部の位置(塗料ノズルの回転方向における位置)が所望通りに設定できない構造であった。
【0008】
そして、空気キャップの側面空気孔からの圧縮空気によって形成される塗料の楕円形のスプレーパターンに対して、塗料ノズルの前記溝部が所望の位置(塗料ノズルの回転方向における位置)に設定されない場合に、該スプレーパターンも所望のパターンに形成できないという不都合が生じていた。
【0009】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、塗料ノズルのガン本体への取り付け後においても、該塗料ノズルの先端部の溝部の位置(塗料ノズルの回転方向における位置)を所望通りに調整でき、所望のスプレーパターンを得ることのできるスプレーガンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明は、塗料ノズルを、同軸に配置された第1ノズルと第2ノズルとで構成し、第2ノズルを螺合によってガン本体に取り付けられる部分とし、第1ノズルを外周に溝部が形成された塗料噴出口を有する部分とするとともに、第1ノズルは、その中心軸回りの前記溝部の位置を調整できるように第2ノズルに結合されるように構成したものである。
【0011】
このように構成されたスプレーガンは、塗料ノズルをその第2ノズルをガン本体に取り付けた後においても、第1ノズルを第2ノズルに対して中心軸回りの前記溝部の位置を調整できるようになる。
【0012】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明のスプレーガンは、ガン本体と、前記ガン本体の銃身部に取り付けられ、塗料噴出口を有する先端部に溝部が形成されている塗料ノズルと、前記塗料ノズルの前記塗料噴出口を囲んで配置され、前記塗料ノズルの前記溝部に空気を導出させるとともに、前記塗料ノズルの前記塗料噴出口から噴出された塗料に交差するように空気を噴射させる側面空気孔を備える空気キャップと、を有し、前記塗料ノズルは、少なくともその先端部が、その中心軸周りの前記溝部の位置を調整できるように構成されていることを特徴とする。
(2)本発明のスプレーガンは、(1)の構成において、前記溝部は、先端部の周方向に沿って複数個、前記塗料噴出口に向かって形成されていることを特徴とする。
【0013】
(3)本発明のスプレーガンは、(1)の構成において、前記塗料ノズルは、先端部において第1ノズルが、後端部において第2ノズルが同軸上に配置されて構成され、前記第2ノズルは螺合によって前記ガン本体に取り付けられ、前記第1ノズルは、その中心軸周りの前記溝部の位置を調整できるように前記第2ノズルに結合されていることを特徴とする。
(4)本発明のスプレーガンは、(3)の構成において、前記第1ノズルは後端部に外径が大なる大径部を有し、前記第2ノズルは先端部の開口端に孔を有する端壁部を有し、前記第1ノズルは、前記第2ノズルの前記孔を通して突出された先端部から前記第1ノズルに螺合される締結手段と前記大径部とが前記第2ノズルの前記端壁部を挟持することによって、前記第2ノズルに結合されていることを特徴とする。
(5)本発明のスプレーガンは、(3)の構成において、前記第1ノズルは後端部に外径が大なる大径部を備え、前記第2ノズルは、その後端部から前記第1ノズルを挿入させた場合に前記大径部を係止させる係止部と前記係止部に隣接した内周面に形成された内周螺子溝とを有し、前記第2ノズルは、外周に螺子溝が形成されたリング状部材を前記内周螺子溝に螺合させ前記第1ノズルの大径部を前記係止部に押圧させることによって、前記第1ノズルに結合されていることを特徴とする。
【0014】
(6)本発明のスプレーガンは、(5)の構成において、前記第1ノズルの前記大径部と前記リング状部材との間には滑りリングが配置されていることを特徴とする。
(7)本発明のスプレーガンは、(3)の構成において、前記第1ノズルは、その後端部から前記第2ノズルの内周面に沿って長手方向に延出する延出部の後端部に形成される外径が大なる大径部を有し、前記第1ノズルは、その前記大径部が前記第2ノズルの後端部と前記ガン本体との間に挟持されて前記第2ノズルに結合されていることを特徴とする。
(8)本発明のスプレーガンは、(7)の構成において、前記第2ノズルの後端部と前記第1ノズルの前記大径部の間であって前記延出部の周りに滑りリングが配置されていることを特徴とする。
(9)本発明のスプレーガンは、(3)の構成において、前記第1ノズルは後端部に外径が大なる大径部を備え、前記第2ノズルは、その後端部から前記第1ノズルを挿入させた場合に前記大径部を係止させる係止部を備え、前記第1ノズルは、その後端部から挿入されるプッシュ座金が前記大径部を前記第2ノズルの係止部に押圧させることによって、前記第2ノズルに結合されていることを特徴とする。
(10)本発明のスプレーガンは、(9)の構成において、前記第1ノズルの前記大径部と前記プッシュ座金との間に滑りリングが配置されていることを特徴とする。
(11)本発明のスプレーガンは、(9)の構成において、前記第1ノズルの前記大径部と前記プッシュ座金との間にスプリングが介在されていることを特徴とする。
(12)本発明のスプレーガンは、(11)の構成において、前記スプリングと前記プッシュ座金との間に滑りリングが配置されていることを特徴とする。
【0015】
(13)本発明のスプレーガンは、(3)の構成において、前記第2ノズルは段差部を介して先端部に内径が大なる大径部を有し、前記第1ノズルは前記大径部との間に隙間を有し後端部が前記第2ノズルの前記段差部に当接されて第2ノズルと同軸上に配置され、前記第1ノズルは、その先端部から挿入され前記第2ノズルの前記大径部との間の前記隙間に前記大径部の内周面に形成された内周螺子溝に螺合する延出部を有する締結部材によって、前記第2ノズルに結合され、前記第1ノズルの後端部と前記第2ノズルの前記段差部との当接面はテーパ面となっているとともに、前記第1ノズルの先端部の外周には前記第1ノズルをその軸方向周りに回転させる工具によって挟持される一対の挟持面が形成されていることを特徴とする。
(14)本発明のスプレーガンは、(1)の構成において、前記塗料ノズルは、その先端部から挿入され前記ガン本体に螺合されるノズル押さえ部材と、前記塗料ノズルの後端部が当接される前記ガン本体と、の間に挟持されて前記ガン本体に取り付けられていることを特徴とする。
(15)本発明のスプレーガンは、(1)の構成において、前記塗料ノズルは、前記ガン本体に形成された孔に間隙部を有して挿入され、前記間隙部に、前記塗料ノズルの外周に形成された外周螺子溝に螺合される第1係止部と、前記ガン本体の前記孔の内周に形成された内周螺子溝に螺合される第2係止部と、前記第1係止部と前記第2係止部の間に配置される圧縮バネと、を備えることによって、前記ガン本体に取り付けられていることを特徴とする。
(16)本発明のスプレーガンは、ガン本体と、前記ガン本体の銃身部に取り付けられ、塗料噴出口を有する先端部に溝部が形成されている塗料ノズルと、前記塗料ノズルの前記塗料噴出口を囲んで配置され、前記塗料ノズルの前記塗料噴出口から噴出された塗料に交差するように空気を噴射させる側面空気孔を備える空気キャップと、を有し、前記溝部は、前記塗料ノズルの先端面に前記塗料噴出口を通過するように一文字状に形成され、前記塗料ノズルは、少なくともその先端部が、その中心軸周りの前記溝部の位置を調整できるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このように構成したスプレーガンによれば、塗料ノズルのガン本体への取り付け後においても、該塗料ノズルの先端部の溝部の位置(塗料ノズルの回転方向における位置)を所望通りに調整でき、所望のスプレーパターンを得ることができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施形態1)
図1は、本発明のスプレーガンの実施形態1を示す全体構成図である。
【0019】
図1において、スプレーガン(ガン本体)1は銃身部2、引金3、および握り部4を備えて構成されている。なお、
図1に示す各部材の構成の説明において、その便宜上、銃身部2側の端部を先端部と、銃身部2と反対側の端部を後端部と称する場合がある。
【0020】
握り部4から圧縮空気が空気ニップル5、空気通路6を介して空気弁部7に送り込まれ、該圧縮空気は銃身部2の先端部に送られるようになっている。
【0021】
引金3は支点3Aを中心にして握り部4側へ引くことができ、該引金3により弁棒8を介して空気弁部7の空気弁9を開くことによって圧縮空気を銃身部2の先端部に送るようになっている。
【0022】
また、引金3には、該引金3を引くことによってガイド室10内で後退するニードル弁ガイド11が取り付けられ、このニードル弁ガイド11には銃身部2の中心軸上に配置されるニードル弁12が取り付けられている。
【0023】
ニードル弁12は、引金3が引かれていない場合には、ガイド室10内に配置されるコイルばね13によって銃身部2に取り付けられた塗料ノズル30の塗料噴出口30Aのシート内面に押圧されてシールされるようになっている。
【0024】
なお、引金3を引いた場合、ニードル弁12が塗料ノズル30の塗料噴出口30Aから引かれるより僅かに早く前記空気弁9が開かれるように構成されている。
【0025】
塗料ノズル30には、その塗料供給側に設けられた塗料ジョイント14に付設されるたとえば図示しない塗料容器から塗料が供給されるようになっている。
【0026】
ここで、該塗料ノズル30は、銃身部2の拡大図である
図2(a)に示すように、先端部において第1ノズル310が、後端部において第2ノズル320が同軸上に配置された構成となっている。すなわち、塗料ノズル30は別物体である第1ノズル310と第2ノズル320が互いに結合されることによって構成されている。この塗料ノズル30の詳細な構成については後述する。
【0027】
また、塗料ノズル30の先端部(第1ノズル310の先端部)は、
図3に示すように、塗料噴出口30Aの周辺において周方向に等間隔にたとえば4個の溝部15が形成されている。すなわち、これら溝部15は、塗料噴出口30Aを正面から観た場合に、十字状に配置されて構成されている。これら溝部15は、たとえば断面がV字状をなし、塗料ノズル30の先端に向かうにつれ溝部15の深さが大きくなるように形成されている。
【0028】
また、塗料ノズル30の先端部(第1ノズル310の先端部)を囲むように空気キャップ16が配置され、該塗料ノズル30の先端部(第1ノズル310の先端部)と空気キャップ16との間にリング状スリット17(
図2参照)が形成されている。このリング状スリット17にはガン本体1側から圧縮空気が噴出され、その際に、該圧縮空気は、第1ノズル310の先端部の各溝部15内に導かれ、塗料ノズル30の塗料噴出口30Aからの噴出塗料に気液接触面積を増大させながら衝突混合できるようになっている。これにより、圧縮空気がたとえ低圧の空気流であっても効率よく噴出塗料の中心部にまで微粒化させる働きをもたせるようになっている。
【0029】
空気キャップ16は空気キャップカバー18を介して銃身部2に取り付けられ、該空気キャップ16には、その先端側の面において、塗料噴出口30Aを間にして互いに対向する一対の角部16Aが形成されている。
図4は、銃身部2に取り付けられる塗料ノズル30、空気キャップ16、および塗料ジョイント14を示した斜視図である。
図4から、空気キャップ16には、その先端側の面に前方に突出する一対の角部16Aが形成されていることが判る。
【0030】
空気キャップ16の角部16Aには、
図2に示すように、空気通路6に連結される側面空気孔19が形成され、これら側面空気孔19からの圧縮空気は、塗料ノズル30の塗料噴出口30Aから噴出された塗料に交叉するように噴射できるようになっている。これにより、塗料ノズル30から噴出される塗料は空気キャップ16の側面空気孔19から噴出される圧縮空気によって楕円形のスプレーパターンとして形成できるようになっている。なお、空気キャップ16の側面空気孔19へ送られる圧縮空気は、パターン開き調節装置20(
図1参照)によって流量調整され、該側面空気孔19から噴出されるようになっている。パターン開き調節装置20はパターン調整つまみ21を回転することによって流量調整がなされるようになっている。これにより、塗料ノズル30から噴出される塗料スプレーパターンの扇状の広がりが調節できるようになる。
【0031】
図5(a)は前記塗料ノズル30の斜視図を、
図5(b)は
図5(a)のb−b線における断面図を示している。
図5(c)は、塗料ノズル30を第1ノズル310と第2ノズル320に分解した斜視図を示している。
【0032】
図5(a)、(b)、(c)に示す塗料ノズル30は、上述したように同軸上に配置される第1ノズル310と第2ノズル320とで構成されている。第1ノズル310は塗料ノズル30の先端部として構成され、第2ノズル320は塗料ノズル30の後端部として構成されるようになっている。
【0033】
第2ノズル320は、比較的大きな内径を有する円筒状をなし、後端部の外周には螺子321が形成されている。第2ノズル320は、それを銃身部2の孔に挿入し中心軸周りに回転することにより、該第2ノズル320の螺子321が前記孔の内周面に形成された内周螺子溝(図示せず)に螺合され、銃身部2に固定されるようになっている。
【0034】
第2ノズル320は、その先端部の開口端に開口322を有する端壁部323(
図5(c)参照)が形成されている。第2ノズル320の前記開口322には、第2ノズル320の後端部の開口端から挿入される第1ノズル310の先端部が突出されるようになっている。
【0035】
第1ノズル310は、第2ノズル320の前記開口322の径とほぼ同じ外径を有する円筒状をなし、その後端部に外径が大なる大径部311を有するようになっている。これにより、該第1ノズル310を第2ノズル320の後端部の開口端から挿入した場合に、前記大径部311は第2ノズル320の前記端壁部323に係止された状態で第1ノズル310の先端部が前記開口322から突出されるようになっている。
【0036】
また、第1ノズル310の大径部311の周側面に周方向に沿った溝312(
図5(c)参照)が形成され、この溝312にはO−リング313が嵌合されている。このO−リング313によって第2ノズル320と第1ノズル310との間の隙間をシールさせるようになっている。
【0037】
そして、このように第2ノズル320の前記開口322から突出した第1ノズル310は、第2ノズル320の端壁部323に隣接した周側面に螺子314(
図5(c)参照)が形成され、この螺子314には第1ノズル310の先端部からたとえばジャミナットからなる締結部材315が螺合されるようになっている。
【0038】
これにより、第1ノズル310は、該締結部材315と大径部311とで第2ノズル320の端壁部323を挟持することによって、第2ノズル320に結合されるようになっている。
【0039】
ここで、第1ノズル310の先端部は、
図3に示したように、塗料噴出口30Aの周辺において周方向に等間隔にたとえば4個の溝部15が形成されている。また、第1ノズル310の先端部の前記溝部15の後方の周側面に、互いに平行に形成された一対の被挟持面316が形成され、たとえばスパナ等で該被挟持面316の箇所を挟持し、該第1ノズル310を中心軸回りに回転できるようになっている。
【0040】
このように構成される塗料ノズル30はたとえば以下に示すようにして銃身部2に取り付けられるようになっている。まず、第1ノズル310を、第2ノズル320にその後端部から挿入させ、第1ノズル310の先端部を第2ノズル320の開口322から突出させる。そして、締結部材315を第1ノズル310の先端部から螺子314に螺合させることにより、第1ノズル310の大径部311と前記締結部材315とで第2ノズル320の端壁部323を挟持する。これにより、第1ノズル310と第2ノズル320との結合が図れるようになっている。その後、第2ノズル320を銃身部2の孔に挿入し中心軸周りに回転する。これにより、該第2ノズル320は、その螺子321が前記孔の内周面に形成された内周螺子溝(図示せず)に螺合され、銃身部2に固定される。そして、第1ノズル310の先端部に形成された一対の前記被挟持面316をたとえばスパナ等で挟み、該第1ノズル310を中心軸回りに回転させ、これにより、第1ノズル310の先端部の溝部15が、たとえば
図2(b)、(c)に示すように、空気キャップ16の側面空気孔19に対して正規な位置にくるように調整する。
図2(b)、(c)は、第1ノズル310の先端部の溝部15が空気キャップ16の側面空気孔19に対して正規な位置に調整された場合の例を示している。
図2(b)は、たとえば、第1ノズル310を間にして配置される空気キャップ16の側面空気孔19を結ぶ線上に、第1ノズル310の先端部のうち溝部15が形成されていない側が位置づけられるように調整された場合を示している。また、
図2(c)は、第1ノズル310を間にして配置される空気キャップ16の側面空気孔19を結ぶ線(図中符号αで示す線)上に、第1ノズル310の先端部のうち溝部15が形成されている側が位置づけられるように調整された場合を示している。
この場合、第1ノズル310の先端部の溝部15の該第1ノズル310の回転方向における位置の調整は、必ずしも、
図2(a)、(b)に示したものに限定されることがないことはいうまでもない。所望のスプレーパターンを得ようとする場合に、
図2(a)、(b)に示した調整以外の調整があり得るからである。すなわち、第1ノズル310の先端部の溝部15の該第1ノズル310の回転方向における位置の調整は、スプレーパターンをフラットからいわゆる中高、または中高からフラットへと膜厚分布を任意に変化させることができるので、適当な分布を選択することにより、被塗物により適したスプレーパターンを得ることができる。
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2を示す説明図で、スプレーガン1に取り付けられる塗料ノズル40の構成図である。
【0041】
図6(a)は塗料ノズル40の斜視図を、
図6(b)は
図6(a)のb−b線における断面図を示している。
図6(c)は、塗料ノズル40を第1ノズル410と第2ノズル420に分解した斜視図を示している。
【0042】
図6(a)、(b)、(c)に示す塗料ノズル40は、上述したように同軸上に配置される第1ノズル410と第2ノズル420とで構成されている。第1ノズル410は塗料ノズル40の先端部として構成され、第2ノズル420は塗料ノズル40の後端部として構成されるようになっている。
【0043】
第2ノズル420は、比較的大きな内径を有する円筒状をなし、後端部の外周には螺子421が形成されている。第2ノズル420は、それを銃身部2の孔に挿入し中心軸周りに回転することにより、該第2ノズル420の螺子421が前記孔の内周面に形成された内周螺子溝(図示せず)に螺合され、銃身部2に固定されるようになっている。
【0044】
第2ノズル420は、その先端部の開口422の周縁に係止部423(
図6(c)参照)が形成されている。第2ノズル420の前記開口422には、第2ノズル420の後端部の開口端から挿入される第1ノズル410の先端部が突出されるようになっている。
【0045】
第1ノズル410は、第2ノズル420の前記開口422の径とほぼ同じ外径を有する円筒状をなし、その後端部に外径が大なる大径部411を有するようになっている。これにより、該第1ノズル410を第2ノズル420の後端部の開口端から挿入した場合に、前記大径部411は第2ノズル420の前記係止部423に係止された状態で第1ノズル410の先端部が前記開口422から突出されるようになっている。
【0046】
また、第1ノズル410の大径部411の周側面に周方向に沿った溝412(
図6(c)参照)が形成され、この溝412にはO−リング413が嵌合されている。このO−リング413によって第2ノズル420と第1ノズル410との間の隙間をシールさせるようになっている。
【0047】
そして、第2ノズル420の内周面には、第1ノズル410を第2ノズル420の後端部から挿入させ先端部を該第2ノズル420の開口422から突出させて配置させた場合に該第1ノズル410の大径部411に隣接した部分において、内周螺子溝425(
図6(b)参照)が形成され、この内周螺子溝425には、外周に螺子溝が形成されたリング状部材426が螺合され、これにより、第1ノズル410の大径部411を前記係止部423に押圧させるようになっている。このリング状部材426には、第2ノズル420内で前記内周螺子溝425に螺合させるために、第2ノズル420の後端部側の面に直径方向に延在するドライバ溝427が形成されている。
【0048】
なお、第1ノズル410の大径部411とリング状部材426の間にはたとえばフッ素樹脂で形成された滑りリング428が介在され、これにより、第1ノズル410の該リング状部材426に対する中心軸周りの回転を比較的円滑に行い得るようになっている。
【0049】
ここで、第1ノズル410の先端部は、
図3に示したように、塗料噴出口30Aの周辺において周方向に等間隔にたとえば4個の溝部15が形成されている。また、第1ノズル410の先端部の前記溝部15の後方の周側面に、互いに平行に形成された一対の被挟持面416が形成され、たとえばスパナ等で該被挟持面416の箇所を挟持し、該第1ノズル410を中心軸回りに回転できるようになっている。
【0050】
このように構成される塗料ノズル40はたとえば以下に示すようにして銃身部2に取り付けられるようになっている。まず、第2ノズル420の後端部からOリング413を付けた第1ノズル410を挿入させ該第1ノズル410の先端部を第2ノズル420の開口422から突出させ、滑りリング428を挿入し、さらにリング状部材426を内周螺子溝425に螺合する。この際の螺合は、リング状部材426のドライバ溝427にドライバの先端を挿入して行う。これにより、第1ノズル410と第2ノズル420との結合を図る。そして、第2ノズル420を銃身部2の孔に挿入し中心軸周りに回転する。これにより、該第2ノズル420は、その螺子421が前記孔の内周面に形成された螺子(図示せず)に螺合され、銃身部2に固定される。さらに、第1ノズル410の先端部に形成された一対の前記被挟持面416をたとえばスパナ等で挟み、該第1ノズル410を中心軸回りに回転させ、これにより、第1ノズル410の先端部の溝部15が、たとえば
図2(b)、(c)に示すように、空気キャップ16の側面空気孔19に対して正規な位置にくるように調整する。
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3を示す説明図で、スプレーガン1に取り付けられる塗料ノズル50の構成図である。
【0051】
図7(a)は塗料ノズル50の斜視図を、
図7(b)は
図7(a)のb−b線における断面図を示している。
図7(c)は、塗料ノズル50を第1ノズル510と第2ノズル520に分解した斜視図を示している。
【0052】
図7(a)、(b)、(c)に示す塗料ノズル50は、上述したように同軸上に配置される第1ノズル510と第2ノズル520とで構成されている。第1ノズル510は塗料ノズル50の先端部として構成され、第2ノズル520は塗料ノズル50の後端部として構成されるようになっている。
【0053】
第2ノズル520は、比較的大きな内径を有する円筒状をなし、後端部の外周には螺子521が形成されている。第2ノズル520は、それを銃身部2の孔に挿入し中心軸周りに回転することにより、該第2ノズル520の螺子521が前記孔の内周面に形成された内周螺子溝(図示せず)に螺合され、銃身部2に固定されるようになっている。
【0054】
第1ノズル510は、その後端部から第2ノズル520の内周面に沿って長手方向に延出する延出部510Aを備え、この延出部510Aの後端部に外径が大なる大径部511を有している。この場合、第2ノズル520の軸方向に沿った内径は、第1ノズル510の先端部および延出部510Aの軸方向に沿った外径よりも若干大きく構成されている。これにより、第1ノズル510を第2ノズル520の後端部の開口端から挿入した場合、第1ノズル510の大径部511が第2ノズル520の後端部に係止され、第1ノズル510の先端部が第2ノズル520の先端部から突出するようになっている。この場合、第2ノズル520の後端部と第1ノズル510の大径部511の間であって前記延出部510Aの周りに滑りリング528が配置され、該滑りリング528によって、第1ノズル510の第2ノズル520に対する中心軸回りの回転を比較的容易にできるようになっている。
【0055】
また、第2ノズル520に挿入された第1ノズル510の先端部側からは止輪512が該第1ノズル510の溝部513に嵌合されるようになっている。この止輪512によって第1ノズル510の第2ノズル520からの離脱を防止できるようになっている。
【0056】
ここで、第1ノズル510の先端部は、
図3に示したように、塗料噴出口30Aの周辺において周方向に等間隔にたとえば4個の溝部15が形成されている。また、第1ノズル510の先端部の前記溝部15の後方の周側面に、互いに平行に形成された一対の被挟持面516が形成され、たとえばスパナ等で該被挟持面516の箇所を挟持し、該第1ノズル510を中心軸回りに回転できるようになっている。
【0057】
このように構成される塗料ノズル50はたとえば以下に示すようにして銃身部2に取り付けられるようになっている。まず、第2ノズル520の後端部から第1ノズル510の先端部を挿入させ第2ノズル520の先端部の開口から該先端部を突出させる。この際、第2ノズル520と第1ノズル510の大径部511との間に滑りリング528を挟持させる。そして、第1ノズル510の先端部から止輪512を挿入させ第1ノズル510の溝部513に嵌合させる。さらに、第2ノズル520を銃身部2の孔に挿入し中心軸周りに回転する。これにより、該第2ノズル520は、その螺子521が前記孔の内周面に形成された内周螺子溝(図示せず)に螺合され、銃身部2に固定される。さらに、第1ノズル510の先端部に形成された一対の前記被挟持面516をたとえばスパナ等で挟み、該第1ノズル510を中心軸回りに回転させ、これにより、第1ノズル510の先端部の溝部15が、たとえば
図2(b)、(c)に示すように、空気キャップ16の側面空気孔19に対して正規な位置にくるように調整する。
(実施形態4)
図8は、本発明の実施形態4を示す説明図で、スプレーガン1に取り付けられる塗料ノズル60の構成図である。
【0058】
図8(a)は塗料ノズル60の斜視図を、
図8(b)は
図8(a)のb−b線における断面で塗料ノズル60の先端部側から観た図を、
図8(c)は
図8(a)のb−b線における断面で塗料ノズル60の後端部側から観た図を示している。
図8(d)は、塗料ノズル60を第1ノズル610と第2ノズル620に分解した斜視図を示している。
【0059】
図8(a)ないし(d)に示す塗料ノズル60は、上述したように同軸上に配置される第1ノズル610と第2ノズル620とで構成されている。第1ノズル610は塗料ノズル60の先端部として構成され、第2ノズル620は塗料ノズル60の後端部として構成されるようになっている。
【0060】
第2ノズル620は、比較的大きな内径を有する円筒状をなし、後端部の外周には螺子621が形成されている。第2ノズル620は、それを銃身部2の孔に挿入し中心軸周りに回転することにより、該第2ノズル620の螺子621が前記孔の内周面に形成された内周螺子溝(図示せず)に螺合され、銃身部2に固定されるようになっている。
【0061】
第2ノズル620は、その先端部の開口622の周縁に係止部623(
図8(d)参照)が形成されている。第2ノズル620の前記孔622には、第2ノズル620の後端部の開口端から挿入される第1ノズル610の先端部が突出されるようになっている。
【0062】
第1ノズル610は、第2ノズル620の前記開口622の径とほぼ同じ外径を有する円筒状をなし、その後端部に外径が大なる大径部611を有するようになっている。これにより、該第1ノズル610を第2ノズル620の後端部の開口端から挿入した場合に、前記大径部611は第2ノズル620の前記係止部623に係止された状態で第1ノズル610の先端部が前記開口622から突出されるようになっている。
【0063】
また、第1ノズル610の大径部611の周側面に周方向に沿った溝612(
図8(d)参照)が形成され、この溝612にはO−リング613が嵌合されている。このO−リング613によって第2ノズル620と第1ノズル610との間の隙間をシールさせるようになっている。
【0064】
そして、上述のように第1ノズル610を第2ノズル620に挿入した後、第2ノズル620の後端部の開口端からプッシュ座金614を挿入できるようになっている。このプッシュ座金614は、リング材614Aの周方向に等間隔にたとえば6個の突出部614Bが外方に突出した形状の弾性体で構成されている。このようなプッシュ座金614を第2ノズル620に挿入した場合、その突出部614Bの先端が第2ノズル620の内周面に当接しながら、リング材614Aが各突出部614Bよりも先行して挿入されるようになっている。これにより、リング材614Aが挿入方向と逆の方向から力を受けても各突出部614Bの先端が第2ノズル620の内周面に係止され、該プッシュ座金614の前記方向への移動が妨げられるようになっている。このため、第2ノズル620に挿入されたプッシュ座金614は、第1ノズル610の大径部611を第2ノズル620の係止部623に押圧させるようになっている。
【0065】
なお、第1ノズル610の大径部611とプッシュ座金614の間にはたとえばフッ素樹脂で形成された滑りリング628が介在され、これにより、第1ノズル610の該プッシュ座金614に対する中心軸周りの回転を比較的円滑に行い得るようになっている。
【0066】
ここで、第1ノズル610の先端部は、
図3に示したように、塗料噴出口30Aの周辺において周方向に等間隔にたとえば4個の溝部15が形成されている。また、第1ノズル610の先端部の周側面に、互いに平行に形成された一対の被挟持面616が形成され、たとえばスパナ等で該被挟持面616の箇所を挟持し、該第1ノズル610を中心軸回りに回転できるようになっている。
【0067】
このように構成される塗料ノズル60はたとえば以下に示すようにして銃身部2に取り付けられるようになっている。まず、第2ノズル620の後端部から第1ノズル610を挿入させ該第1ノズル610の先端部を第2ノズル620の開口622から突出させ、滑りリング628、プッシュ座金614を挿入する。これにより、第1ノズル610と第2ノズル620との結合を図る。そして、第2ノズル620を銃身部2の孔に挿入し中心軸周りに回転する。これにより、該第2ノズル620は、その螺子621が前記孔の内周面に形成された内周螺子溝(図示せず)に螺合され、銃身部2に固定される。さらに、第1ノズル610の先端部に形成された一対の前記被挟持面616をたとえばスパナ等で挟み、該第1ノズル610を中心軸回りに回転させ、これにより、第1ノズル610の先端部の溝部15が、
図2(b)、(c)に示すように、空気キャップ16の側面空気孔19に対して正規な位置にくるように調整する。
(実施形態5)
図9は、本発明の実施形態5を示す説明図で、スプレーガン1に取り付けられる塗料ノズル60’の構成図である。
【0068】
図9(a)は塗料ノズル60’の斜視図を、
図9(b)は
図9(a)のb−b線における断面で塗料ノズル60’の先端部側から観た図を、
図9(c)は
図9(a)のb−b線における断面で塗料ノズル60’の後端部側から観た図を示している。
図9(d)は、塗料ノズル60’を第1ノズル610と第2ノズル620に分解した斜視図を示している。
【0069】
ここで、
図9に示す塗料ノズル60’は、
図8に示した塗料ノズル60と極めて類似する構成となっており、以下の説明において、その相違点のみを明らかにする。したがって、
図8の塗料ノズル60の構成部材と同一の構成部材については
図8で用いた符号と同じ符号を用いている。
【0070】
図9に示す塗料ノズル60’は、
図8に示した塗料ノズル60と比較して、コイル状のスプリング618と滑りリング619とが新たに付加された構成となっている。すなわち、スプリング618と滑りリング619は、
図8に示した構成において、滑りリング628とプッシュ座金614との間に介在され、これにより、第2ノズル620内における第1ノズル610は、その先端側の押圧が前記スプリング618の付勢力によって生じ、第1ノズル610の第2ノズル620に対する結合を信頼性あるものとすることができるようになる。
(実施形態6)
図10は、本発明の実施形態6を示す説明図で、スプレーガン1に取り付けられる塗料ノズル70の構成図である。
【0071】
図10(a)は塗料ノズル70の斜視図を、
図9(b)は
図9(a)のb−b線における断面図を示している。
図10(c)は、塗料ノズル70を第1ノズル710と第2ノズル720に分解した斜視図を示している。
【0072】
図10(a)、(b)、(c)に示す塗料ノズル70は、上述したように同軸上に配置される第1ノズル710と第2ノズル720とで構成されている。第1ノズル710は塗料ノズル70の先端部として構成され、第2ノズル720は塗料ノズル70の後端部として構成されるようになっている。
【0073】
第2ノズル720は、比較的大きな内径を有する円筒状をなし、後端部の外周には螺子721が形成されている。第2ノズル720は、それを銃身部2の孔に挿入し中心軸周りに回転することにより、該第2ノズル720の螺子721が前記孔の内周面に形成された内周螺子溝(図示せず)に螺合され、銃身部2に固定されるようになっている。
【0074】
また、第2ノズル720は、その先端部において内径が大なる大径部720Aを有して形成されている。この大径部720Aの内周面には、後述するナット715から同軸に延出される延出部715Aが螺合される内周螺子溝712が形成されている。
【0075】
第1ノズル710は、その後端部において第2ノズル720の大径部720A内に配置されるともに、該後端部710Aの開口端710Pが第2ノズル720の該大径部720Aとの段差部720Sと当接するようになっている。ここで、第1ノズル710の後端部710Aと第2ノズル720の段差部720Sとの当接面はテーパ面として構成されている。これにより、第1ノズル710と第2ノズル720とのシール性を向上できるようになっている。そして、第1ノズル710の後端部710Aにおける内径および外径は、それぞれ、第2ノズル720の前記大径部720Aを除く部分における内径および外径とほぼ等しく形成されている。そして、第1ノズル710と第2ノズル720とが同軸上に配置されている場合、第1ノズル710の後端部710Aの外周面と第2ノズル720の大径部720Aの内周面との間には隙間714が形成されるようになっている。
【0076】
第1ノズル710の先端部からはナット715がその延出部715Aを先頭にして挿入され、該ナット715を回転することにより、第1ノズル710に対する該ナット715の軸方向への移動が規制されるとともに、該延出部715Aの外周面に形成された螺子717が第2ノズル720の前記大径部720Aの内周螺子溝712に螺合されるようになっている。これにより、第1ノズル710の第2ノズル720に対する軸方向への押圧がなされ、第1ノズル710と第2ノズル720との結合がなされるようになっている。
【0077】
ここで、第1ノズル710の先端部は、
図3に示したように、塗料噴出口30Aの周辺において周方向に等間隔にたとえば4個の溝部15が形成されている。また、第1ノズル710の先端部の周側面に、互いに平行に形成された一対の被挟持面716が形成され、たとえばスパナ等で該被挟持面716の箇所を挟持し、該第1ノズル710を中心軸回りに回転できるようになっている。
【0078】
このように構成される塗料ノズル70はたとえば以下に示すようにして銃身部2に取り付けられるようになっている。まず、第2ノズル720の大径部720Aに第1ノズル710を挿入させ、さらに、第1ノズル710の先端部からナット715を挿入する。そして、ナット715を回転することにより、該ナット715の第1ノズル710に対する移動が規制されるとともに、延出部715Aの螺子717が第2ノズル720の前記大径部720Aに螺合されるようになる。これにより、第1ノズル710の第2ノズル720に対する軸方向への押圧がなされ、第1ノズル710と第2ノズル720との結合がなされる。そして、第2ノズル720を銃身部2の孔に挿入し中心軸周りに回転する。これにより、該第2ノズル720は、その螺子721が前記孔の内周面に形成された内周螺子溝(図示せず)に螺合され、銃身部2に固定される。さらに、第1ノズル710の先端部に形成された一対の前記被挟持面716をたとえばスパナ等で挟み、該第1ノズル710を中心軸回りに回転させ、これにより、第1ノズル710の先端部の溝部15が、
図2(b)、(c)に示すように、空気キャップ16の側面空気孔19に対して正規な位置にくるように調整する。
【0079】
(実施形態7)
上述した各実施形態は、いずれも、塗料ノズルの先端部の溝部15は、塗料噴出口30Aを正面から観た場合に、十字状に配置されて構成されたものとしたものである。しかし、本発明は、塗料噴出口30Aを正面から観た
図11に示すように、溝部15が該塗料噴出口30Aを通過するように一文字状に形成されたものにも適用されることはもちろんである。なお、
図11に示す塗料ノズルの溝部15は、空気を導出させていない構成となっており、塗料噴出口30AとしてV字形の断面をした前記溝部15を成形することによりほぼ唇状の開口を形成した塗料通路を開通させることにより、塗料流が扇形に形成され塗料が該溝部15の方向に広がり、これによりスプレーパターンを形成できるようになっている。
(実施形態8)
上述した各実施形態は、いずれも、塗料ノズルの先端部の溝部15の断面はV字状としたものであるが、この形状に限定されないことはいうまでもない。
【0080】
(実施形態9)
図12は、本発明の実施形態9を示す説明図で、スプレーガン1に取り付けられる塗料ノズル80の構成図である。
図12(a)は、塗料ノズル80の中心軸を含む面で断面をとった図を、
図12(b)は、該塗料ノズル80の分解斜視図を、
図12(c)は、
図12(b)に示す塗料ノズル80においてその中心軸を含む面で断面をとった図を示している。
図12に示す塗料ノズル80は、実施態様1ないし6に示したように先端部80Aと後端部80Bとが分割されて構成されたものではなく、互いに一体化されたものとして構成されている。
塗料ノズル80の先端部80Aは、実施態様1ないし6に示したように、塗料噴出口30Aが形成され、その外周には、該塗料噴出口30Aに向かうに従い深さが大きくなる溝部15が複数形成されている。
塗料ノズル80は、その後端部80Bがガン本体1に形成された孔1Aに挿入されている。塗料ノズル80は、前記孔1A内において、後端部80Bが前記孔1Aに形成された段差部1Pに当接されることにより、先端部80Aがガン本体1から露出されるように配置されるようになっている。
塗料ノズル80の先端部80Aには円筒状のノズル押さえ部材82が挿入され、該ノズル押さえ部材82の外周に形成された螺子82Aが、ガン本体1の前方における前記孔1Aの内周に形成された内周螺子溝1Qに螺合されるようになっている。
ノズル押さえ部材82は、ガン本体1の内周螺子溝1Qに螺合させるのに便利なように、その前方端において六角ボルト部82Bが形成されている。
また、ノズル押さえ部材82内周には、該ノズル押さえ部材82を塗料ノズル80の先端部80Aに挿入しガン本体1に螺合させ際に、該塗料ノズル80の周辺に形成された被係止部80Sを係止させる係止部82Sが形成されている。
これにより、塗料ノズル80は、ノズル押さえ部材82とガン本体1(段差部1P)との間に挟持されて、該ガン本体1に取り付けられるようになっている。
そして、塗料ノズル80の先端部に形成された一対の前記被挟持面816をたとえばスパナ等で挟み、塗料ノズル80を中心軸回りに回転させ、これにより、塗料ノズル80の先端部80Aの溝部15が、たとえば
図2(b)、(c)に示すように、空気キャップ16の側面空気孔19に対して正規な位置にくるように調整できるようになる。
【0081】
(実施形態10)
図13は、本発明の実施形態10を示す説明図で、スプレーガン1に取り付けられる塗料ノズル90の構成図である。
図13(a)は、塗料ノズル90の中心軸を含む面で断面をとった図を、
図13(b)は、該塗料ノズル90の分解斜視図を、
図13(c)は、
図13(b)に示す塗料ノズル90においてその中心軸を含む面で断面をとった図を示している。
図13に示す塗料ノズル90は、実施態様9に示したように先端部90Aと後端部90Bとが互いに一体化されたものとして構成されている。
塗料ノズル90は、その後端部90Bがガン本体1に形成された孔1Aに挿入されている。この場合、ガン本体1の孔1Aに挿入された塗料ノズル90は、少なくとも後端部90Bにおいて、ガン本体1との孔1Aとの間に間隙部914を有するようになっている。そして、該間隙部914に、塗料ノズル90の後端部90Bの外周に形成された外周螺子溝910に螺合される第1係止部911と、ガン本体1の孔1Aの内周に形成された内周螺子溝912に螺合される第2係止部913と、第1係止部911と第2係止部3の間に配置される圧縮バネ915と、が配置されている。
図13(b)に示すように、第1係止部911は、その内周に螺子911Sが形成されたほぼ円筒形の部材から構成されていて、塗料ノズル90を本体に螺合する際の回り止めとして、その外周には例えば図のように六角形状が形成されている。該第1係止部911はガン本体1の孔1Aに挿入されるとともに、塗料ノズル90の外周に形成された外周螺子溝910が螺合されるようになっている。第2係止部913は、その外周に螺子913Sが形成されたほぼ円筒形の部材から構成されている。該第2係止部913は、ガン本体1の孔1Aに挿入されるとともに、
図13(c)に示すように、該孔1Aの内周面に形成された内周螺子溝912に螺合されるようになっている。また、圧縮バネ915は、塗料ノズル90の周囲に配置されるコイルスプリングから構成され、第1係止部911と第2係止部913を互いに離間する方向へ付勢するようになっている。
これにより、塗料ノズル90は、それに取り付けられる第2係止部913とガン本体1に取り付けられる第1係止部911との間に配置される圧縮バネ915によって、該ガン本体1に取り付けられるようになっている。
そして、塗料ノズル90の先端部90Aに形成された一対の被挟持面916をたとえばスパナ等で挟み、塗料ノズル90を中心軸回りに回転させ、これにより、塗料ノズル90の先端部90Aの溝部15が、たとえば
図2(b)、(c)に示すように、空気キャップ16の側面空気孔19に対して正規な位置にくるように調整できるようになる。
【0082】
なお、実施形態7および実施形態8に示した構成は、実施形態9および実施形態10のそれぞれに適用できることはいうまでもない。
【0083】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。
たとえば、第1ノズルの材質についても限定せず、たとえば樹脂や耐摩耗性材料などで製作してもよい。さらに、第1ノズルの先端部は分離できるのでたとえば空気キャップに対する塗料ノズルの出入り位置の変更やノズル口径を変更したものに交換可能である。
上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。