(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る角度検出装置について、
図1ないし
図7を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る角度検出装置の全体図、
図2は、本実施形態に係る角度検出装置の各部品を示す図、
図3は、本実施形態に係る角度検出装置の角度検出の原理を示す図、
図4は、本実施形態に係る角度検出装置の一軸磁気異方性を持つ磁性体を磁化する励磁磁界Hの中の磁化に寄与する成分(H‖)の角度依存性と磁化の進行を示す図、
図5は、本実施形態に係る角度検出装置の出力電圧波形を示す図、
図6は、本実施形態に係る角度検出装置の角度検出を示す図、
図7は、本実施形態に係る角度検出装置におけるロータの形成方法の例を示す図である。
【0040】
本実施形態に係る角度検出装置は、一軸磁気異方性を有する円板体で形成され、当該円板体が中心点を中心として円板面内で回動するロータと、複数のコイルを有し、少なくとも一のコイルが磁界を発生させる励磁コイルであり、少なくとも一のコイルが前記励磁コイルで励磁された磁界と鎖交して前記ロータの回転角度に応じた電圧を検出する検出コイルであるステータとを備える。また、ステータがロータの円板体の板面に対向して略同一外形で配設され、ステータを扇状(又は半円状)に2つに分割し、それぞれの分割領域の外周に沿って励磁コイル又は検出コイルを巻回している。さらに、ステータを挟んでロータが配設される面と反対の方向に、ステータの円板体に対向して略同一外形で配設されるバックヨークを備える。
【0041】
本発明において、ステータは、ロータの円板体と略同一外形の固定部材を、中心から放射状に扇状体に分割し、分割された各扇状体の外周に沿って励磁コイル又は検出コイルを巻回したもの、又は、扇状体の固定部材の外周に沿って励磁コイル又は検出コイルを巻回したものを、ロータの円板体と略同一外形の円板体に組み合わせたものとする。また、コイルを巻回する固定部材を、磁性体で形成するようにしてもよいし、固定部材の板面に磁性体を配設して形成するようにしてもよい。
【0042】
図1(A)は、本実施形態に係る角度検出装置1の斜視図、
図1(B)は、
図1(A)の矢印Iから見た角度検出装置1の断面図、
図2は、本実施形態に係る角度検出装置1におけるバックヨーク2、ステータ3、及びロータ5の上面図である。角度検出装置1は、一軸磁気異方性を有する円板体で形成され、枢軸6が接合する中心点5aを中心として円板面内で回動するロータ5と、ロータ5の円板面に対向して非接触状態で略同一外形のステータ3と、方向性を持たない(等方性の)磁性薄板をステータ3と略同一外形で形成し、ステータ3に接触又は非接触状態でロータ5が配設される面と反対方向の面に対向して配設されるバックヨーク2とを有する。なお、
図1(A)において、説明のためバックヨーク2を半円状で描画しているが、実際にはステータ3と略同一外形の円板体である。また、バックヨーク2は必ずしも配設する必要はないが、磁束の結合を強めるために配設されることが望ましい。
【0043】
ステータ3は、半円状に分割(3a,3b)されており、その各領域3a,3bの側面部分には検出用コイル4a(S1とする)と励磁用コイル4b(P1とする)とが巻回されている。この検出コイル4a、及び励磁コイル4bは、例えば0.1mmの銅線100ターンからなる。バックヨーク2は、励磁コイル4bが作る磁束を検出コイル4aと効率よく鎖交させることができ、それにより感度を上げることができる。バックヨーク2は、例えば幅5cm程度の広幅アモルファス磁性薄帯を数枚重ねて接着し、円板状に成形したものを使用することができる。また、例えば0.1mm〜2mm程度の厚さをもつパーマロイの薄板を成形したものを使用してもよい。
【0044】
ロータ5は、円板体で形成され、その面方向に一軸磁気異方性(
図1(A)、
図2(C)の線方向)を有する磁性体板又は磁性コンポジット板が、枢軸6に中心点5aで接合されている。一軸磁気異方性を持つ磁性体では、磁性体が容易に磁化される容易軸方向と、それに直交する方向で磁化するのが困難な困難軸方向が存在する。つまり、枢軸6の回動に合わせてロータ5が回動し、それに伴って磁気異方性の容易軸方向が変化する。この磁気異方性の容易軸方向の変化を利用して回転角度を検出することができる。磁気方向を容易軸方向とし、磁気方向と垂直な方向を困難軸方向とする。容易軸方向の透磁率は大きく、それに垂直な方向にある困難軸方向では真空の透磁率と同程度に小さい。
【0045】
なお、ここでは、ロータ5の中心点5aと枢軸6とを接合し、枢軸6の回動に合わせてロータ5が回動する構成を示しているが、枢軸6を設けることなく、例えばロータ5の側部からの3点以上の支持ローラ(中心点と各支持点との角度が180度未満とする)により、ロータ5を円板面内で回動させるようにしてもよい。
【0046】
励磁コイル4bは、交流電源40に接続しており、交流電流が供給される。励磁コイル4bに交流電流が供給されることで、ステータ3の領域3bには面方向に垂直な方向に磁界が発生する。この磁界はコイルの銅線近傍で最も強く、領域3bの中心方向にいくにしたがって弱くなっている。つまり、検出コイル4aと励磁コイル4bが隣接している領域30においては、強い磁界が発生している。
【0047】
検出コイル4aは、励磁コイル4bにより励磁された磁界により、その磁界に応じた電圧が生じ、その電圧を検出コイル4bに接続された同期検波回路41で検出する。このとき、ロータ5の角度により検出される電圧値が変化する。
【0048】
次に、本実施形態に係る角度検出装置における角度検出の原理について、
図3を用いて説明する。
図3は、ステータ3とロータ5とが積層された状態を示しており、ロータ5にある磁性体は磁気異方性エネルギーKuの一軸磁気異方性を持ち、その容易軸方向が、ステータ3に対して角度θ傾いている状態を示している。
【0049】
励磁コイルP1と検出コイルS1とは、それらの隣接領域30で磁束φによる磁気結合が生じる。角度θが0度の場合、容易軸方向の特性により励磁コイルP1とS1との間の磁気結合が最大となり、S1からの出力電圧は最大になる。θが90度の場合、困難軸方向の特性により磁気結合は最小となりS1からの出力電圧は最小となる。S1からの出力の角度θへの依存性は、(cosθ)
2となる。以下、
図4を用いて説明する。
【0050】
図4(A)に示すように、励磁コイルP1の隣接領域30の直線部分に垂直に生じる励磁磁界Hは、磁化容易軸方向成分H//と、HをはさんでH//に直交した磁化困難軸方向成分H⊥とに分離できる。
図4(B)、(C)は、容易軸方向に平行に短冊状磁区が発生すると理想化したときの磁化分布を示しており、磁壁の方向は一軸磁気異方性と平行で、磁性板の磁束密度は磁壁方向、つまりKu方向のみからなる。
図4(B)は、消磁状態でJsの方向が右上向きと左下向きで同量でありB//=0である。
図4(C)は、右上方向に磁化されている状態B//>0である。
【0051】
図4(C)に示すように、Kuの方向に平行な短冊状磁区の集合からなる磁性板の磁化過程は、H//に平行な方向の磁化を持つ磁区の幅が増加し、反平行方向な磁区の幅が減少する。磁性板の磁束密度はKu方向のみで透磁率をμとすれば、B//=μH//となり、全ての磁気モーメントは容易軸方向に平行か反平行としたモデルの仮定より、B⊥=0としてよい。隣接領域30にある検出コイルS1の直線部分に鎖交する成分は、B//のθ=0方向(直線部分に垂直)成分であるので、B//cosθ=μH//cosθ=μH(cosθ)
2となる。
【0052】
磁界が角周波数ωの交流電流によって励磁されているとすると、振幅をH
0とした場合に、H=H
0sinωtとなるから、検出コイルS1への誘起電圧V
0は、コイルの巻き数や形状に関する比例定数をpとして、V
0=pμH
0(cosθ)
2sinωtで与えられる。同期検波によりsinωtを消去することで、この角度検出装置1の出力は(cosθ)
2に比例した出力電圧を与えることがわかる。実際には、一軸磁気異方性を持つ磁性板だけでなく、空間を通して励磁コイルP1と検出コイルS1が結合しているので、(cosθ)
2によらない一定の出力も現れる。このため、90度、270度でも出力は0にならない(
図5の出力電圧波形を参照)。
【0053】
上述したように、励磁コイルP1と検出コイルS1との磁気結合が角度θに応じて変化し、それに伴って出力電圧が変化する。磁気結合は、コイルの大きさ、コイルとロータ5との距離、バックヨーク2の形状等によって変化するが、原形状が一定(回転は除く)に保たれれば、適当な係数によって表されるため、角度θの関数として磁気結合係数を次のように表すこととする。
【0054】
【数1】
k
0は磁気結合の角度依存成分の係数で、k
1は角度によって変化しない磁気結合の成分を示す。
【0055】
上記原理に基づいて、本実施形態に係る角度検出装置の角度検出について説明する。
図6は、ロータの角度検出を示している。
図6の各図は、角度検出装置1を上部方向から見た場合の図であり、わかりやすくするために、ステータ3の領域3a,3b、及びロータ5の容易軸方向を線で示している。
図6(A)が回転角度0度、
図6(B)が回転角度45度、
図6(C)が回転角度90度の場合である。上述したように、ロータ5は一軸磁気異方性を有しているため、その容易軸方向には磁束が多く通りやすく、困難軸方向には磁束が通りにくい。
【0056】
つまり、
図6(A)に示すように、検出コイルS1と励磁コイルP1との隣接領域である領域30では、励磁された磁束の方向とロータ5の容易軸方向とが平行(角度θが0度)であるため、検出コイルS1と鎖交する磁束が多くなり、出力が大きくなる。ロータ5が45°回転した場合には、
図6(B)に示すように、領域30では励磁された磁束の方向とロータ5の容易軸方向とが45度であるため、0度の場合ほどの磁束が通りにくくなり、その分出力が小さくなる。ロータ5が90度回転した場合には、
図6(C)に示すように、領域30では励磁された磁束の方向とロータ5の容易軸方向とが垂直(角度θが90度)であるため、検出コイルS1と鎖交する磁束が少なくなり、出力が小さくなる。このように、ロータ5の回転角度に応じて検出コイルS1の鎖交磁束、及びその鎖交磁束に対応する電圧値を検出することで、ロータ5の回転角を得ることができる。
【0057】
なお、
図1においては、ロータ5のみが枢軸6により枢支され、ステータ3及びバックヨーク2が、ロータの円板面に対向する構成としたが、ステータ3及びバックヨーク2についても枢軸6に枢支される構成であってもよい。その場合、ステータ3の中央部にもロータ5の中央部にある孔と同形状の孔を有し、その孔を迂回するように扇状体の外周にコイルを配設する。そうすることにより、隣接領域30が2分割され、それぞれの領域において、ロータ5の容易軸方向に応じた磁束の結合が生じる。例えば、
図6の場合、中央部の孔には枢軸6が貫通され、その貫通孔を迂回するように励磁コイルと検出コイルが巻回されている。そして、隣接領域30は左右の2領域に分割されている。ステータ側は枢軸6に直接支持されず、ベアリング等を介して支持され、さらに不動部へ固定される。
【0058】
また、ステータ3の形成においては、円板体を扇状体に分割し、それぞれの扇状体に励磁コイルや検出コイルを巻回して形成するようにしてもよいし、最初に扇状体の外形となるように励磁コイルと検出コイルを作っておき、それを円板体に固定するようにしてもよい。さらに、それらのコイルを印刷やエッチング等で形成するようにしてもよい。さらにまた、分割された一の扇状体の直線部分の一部又は全部に、同時に1方向の電流が流れるように励磁用のコイル又は配線が配設され、同様に他の扇状体に誘起電圧の検出用のコイル又は配線が配設されるようにしてもよい。
【0059】
さらに、ロータ5の一軸磁気異方性の形成方法については、例えば、円板状の非磁性基体に細いリボン状の磁性体や磁性ワイヤ等を一方向に並べて(例えば、幅1mm、厚さ20μm程度のアモルファス磁性薄帯を平行で密に接着して)形成する方法(
図7(A)を参照)、磁性体と非磁性体とを縦横に編み込んで樹脂含浸してして形成する方法(
図7(B)を参照)、磁性体にエッチング機械加工などで溝を彫って形成する方法(
図7(C)参照)、エッチングにより形成された鋳型にめっきする方法(
図7(D)を参照)、例えば、圧延された方向に磁気異方性を持つ方向性珪素鋼板や、磁場中の熱処理によって、一方向の磁気異方性が形成されたパーマロイやアモルファス磁性体等を円板状に切り抜いて形成する方法(
図7(E)を参照)等、様々な方法で形成することができる。
【0060】
このように、本実施形態に係る角度検出装置によれば、ロータ5が一軸磁気異方性を有する円板体で構成された、極めてシンプルな構造であるため、複雑な加工を必要とせず、非常に容易に製造することができる。
【0061】
また、ステータ3がロータ5の円板体の外側面に対向して配設されるのではなく、ロータ5の円板体の板面に対向して配設される面構造になっているため、機能を低下させることなく、簡単な製造工程で薄型化することができる。
【0062】
さらに、ステータ3を挟んでロータ5が配設される面と反対方向の板面に、ステータ3の円板体に対向して略同一外形で配設されるバックヨーク2を備えるため、磁界を強くし検出感度を上げることができる。
【0063】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る角度検出装置について、
図8ないし
図10を用いて説明する。
図8は、本実施形態に係る角度検出装置の各部品を示す図、
図9は、本実施形態に係る角度検出装置の角度検出を示す図、
図10は、本実施形態に係る角度検出装置の出力電圧波形を示す図である。
【0064】
なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明については省略する。
【0065】
本実施形態に係る角度検出装置は、円板体のステータが略同一外形の扇状体に4分割され、ステータの円板体の中心点に関して対向する位置の2つの扇状体の2つの組のうち、一方の組を構成する第1の扇状体と第3の扇状体との外周に沿って巻回されたコイルを検出コイルとし、他方の組を構成する第2の扇状体と第4の扇状体との外周に沿って巻回されたコイルを励磁コイルとし、第2の扇状体に巻回された励磁コイルにより励磁される磁界の方向と、第4の扇状体に巻回された励磁コイルにより励磁される磁界の方向とが相互に逆極性となるように励磁コイルが巻回される。また、第1の扇状体に巻回された検出コイルと第3の扇状体に巻回された検出コイルも互いに逆極性となるように結線される。ここで、第1の扇状体と第3の扇状体が、ステータの円板体の軸に関して対向する1つの組を形成し、第2の扇状体と第4の扇状体が、ステータの円板体の軸に関して対向する他の組を形成している。
【0066】
図8(A)が本実施形態に係る角度検出装置におけるバックヨーク2の上面図、
図8(B)が本実施形態に係る角度検出装置におけるステータ3の上面図、
図8(C)が本実施形態に係る角度検出装置におけるロータ5の上面図である。本実施形態においては、
図8(B)に示すようにステータ3が略同一外形の扇状体に4分割されており、円板体の中心点に関して対向する位置の扇状体の2つの組((3a,3c)と(3b,3d))のうち、第1の扇状体3aと第3の扇状体3cとで構成される組のそれぞれの外周に沿って巻回されたコイルが検出コイル4a,4c(S1,S2とする)であり、第2の扇状体3bと第4の扇状体3dとで構成される組のそれぞれの外周に沿って巻回されたコイルが励磁コイル4b,4d(P1,P2とする)である。各コイルは、それぞれの扇状体の外周に沿って100ターン程度巻回され、コイルの高さは2mm程度となる。
【0067】
励磁コイルP1とP2は、ステータ3の面方向に対して垂直方向の磁束の向きが、相互に逆になる(一方がN極の場合、他方がS極となる)ように巻回されて接続されており、検出コイルS1とS2は、相互に巻き方向が逆となるように結線される。こうすることで、ロータ5の回転角度が0度の場合は、検出コイルS1と励磁コイルP1、及び検出コイルS2と励磁コイルP2が、ロータ5の磁気異方性の容易軸方向に位置するため、強く結合する。逆に、検出コイルS1と励磁コイルP2、及び検出コイルS2と励磁コイルP1は、ロータ5の磁気異方性の困難軸方向に位置するため結合がほぼ0となる。
【0068】
上下に並んだ検出コイルS1と励磁コイルP1、及び検出コイルS2と励磁コイルP2のコイル間の結合係数kの角度依存性は、k(θ)=k
0cos
2θ+k
1(θは垂直方向を0度とする)。励磁コイルが作る磁束をφ(P1)、φ(P2)とする。励磁コイルP
iから検出コイルS
jへの結合をk
ji(θ)で表すと、出力S1−S2は、
【0069】
【数2】
これから、0度のときの出力S1−S2は、
【0070】
【数3】
となって最大となる(
図9(A)に相当)。このとき、k1に起因する出力は差し引かれて、出力にその影響が現れない。45度のときは、k
11=k
22=k
12=k
21で、S1−S2は0となる(
図9(B)に相当)。90度のときは、k
12、k
21による結合のみが生じ、出力S1−S2(
図9(C)に相当)は、
【0071】
【数4】
また、135度の場合は、45度のときと同じく出力は0(
図9(D)に相当)、さらに180度の場合は、0度のときの出力の符号を反転したものとなる(
図9(E)に相当)。つまり、180°を周期とする角度の検出ができる。本実施形態に係る角度検出装置の出力結果を
図10に示す。
【0072】
なお、本実施形態におけるバックヨーク2は、ロータ5の円板と略同一外形の円板体としてもよいし、4つに分割されたステータ3のそれぞれの近接領域を少なくとも覆うように分割されたものでもよい。
【0073】
このように、本実施形態に係る角度検出装置によれば、ステータ3が略同一外形の扇状体に4分割され、ステータ3の円板体の軸に関して一方の対向する第1の扇状体3aと第3の扇状体3cとの外周に沿って巻回されたコイルを検出コイル4a,4cとし、他方の対向する第2の扇状体3bと第4の扇状体3dとの外周に沿って巻回されたコイルを励磁コイル4b,4dとし、第2の扇状体3bの励磁コイル4bにより励磁される磁界の方向と、第4の扇状体3dの励磁コイル4dにより励磁される磁界の方向とが相互に逆極性とすることで、一軸磁気異方性の容易軸方向と困難軸方向との特性による励磁コイル4b,4dと検出コイル4a,4cとの結合を利用して、180度を周期とする角度検出を行うことができる。
【0074】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る角度検出装置について、
図11及び
図12を用いて説明する。
図11は、本実施形態に係る角度検出装置の各部品を示す図、
図12は、本実施形態に係る角度検出装置の出力結果を示す図である。
【0075】
なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明については省略する。
【0076】
本実施形態に係る角度検出装置は、円板体のステータを略同一外形の8つの扇状体に分割した分割扇状体のうち、少なくとも3つの分割扇状体をロータの板面に対向して扇状に近接配設し、3つの分割扇状体の外周に沿って少なくとも2つの検出コイルと1つの励磁コイルとを交互に巻回している。また、ステータを挟んでロータが配設される面と反対の方向に、ステータの板体に対向して配設されるバックヨークを備え、バックヨークが、少なくとも近接配設される分割扇状体間の近接箇所に覆設される。
【0077】
図11(A)が本実施形態に係る角度検出装置におけるバックヨーク2の上面図、
図11(B)が本実施形態に係る角度検出装置におけるステータ3の上面図、
図11(C)が本実施形態に係る角度検出装置におけるロータ5の上面図である。ロータ5の構成は、前記各実施形態と同様に円板体で形成され、その面方向に一軸磁気異方性を有し、中心点5aを中心に円板面内で回動することで、磁気方向を変化させる。ステータ3は、
図10(B)に示すように、ロータ5と略同一外形の円板体を8つの略同一形状の扇状体(中心角が45度の扇状体)に分割した分割扇状体を少なくとも3つ近接配設して形成される(扇状体3a〜3c)。
【0078】
この3つの分割扇状体3a〜3cには、それぞれ交互に検出コイルと励磁コイルとか巻回されており、ここでは、分割扇状体3aに検出コイルS1、分割扇状体3bに励磁コイルP1、分割扇状体3cに検出コイルS2が巻回されている。
【0079】
バックヨーク2は、ロータ5と略同一外形を有する円板体であってもよいが、少なくとも、磁界の結合を強める必要性が高い、検出コイルS1と励磁コイルP1との近接領域、及び励磁コイルP1と検出コイルS2との近接領域を覆うように配設されればよい。
【0080】
図11に示すようにステータ3が形成されることで、検出コイルと励磁コイルとの一方の近接領域でsin成分を検出し、他方の近接領域でcos成分を検出する。例えば、励磁コイルP1から検出コイルS1への誘起電圧が、ロータ5が180度の場合に発生する磁気結合である場合には、励磁コイルP1から検出コイルS2への誘起電圧により、ロータ5が135度の場合に発生する磁気結合により生じる電圧が検出される。
【0081】
つまり、前記第2実施形態の場合に比べコイルの形状の違いによる係数の違いを考慮して、検出コイルS1の出力電圧と検出コイルS2の出力電圧はそれぞれ、
【0082】
【数5】
と表せる。m1、m0は、k1、k0に対応する係数である。
【0083】
検出コイルS1の出力波形と検出コイルS2の出力波形とそれぞれを復調した波形を
図12に示す。
図12(A)が検出コイルS1の出力波形、
図12(B)が検出コイルS2の出力波形、
図12(C)がそれぞれを復調した波形を示す。
図12(C)に示すように、それぞれの波形がsinとcosの関係にあることがわかる。つまり、これらの2相の出力電圧のアークタンジェントを取ることで、専用のIC等を利用して簡単で正確に角度を検出することができる。
【0084】
このように、本実施形態に係る角度検出装置によれば、ステータ3を略同一外形の8つの扇状体に分割した分割扇状体のうち、少なくとも3つの分割扇状体をロータ5の板面に対向して扇状に近接配設し、配設した3つの各分割扇状体の外周に沿って少なくとも2つの検出コイルS1、S2と1つの励磁コイルP1とを交互に巻回しているため、必要最小限のステータ3の部品でsin成分とcos成分とを正確に検出して、精度よくロータ5の角度を検出することができる。特に、専用のIC等を用いて、この2相の出力電圧のアークタンジェントを取るような装置構成とすることで、製造工程を単純化して製造効率を上げることができる。
【0085】
また、ステータ3を挟んでロータ5が配設される面と反対の方向に、ステータ3の円板体に対向して配設されるバックヨーク2を備え、バックヨーク2が、少なくとも分割扇状体間の近接箇所に覆設されるため、コイル間の結合が最も強くなる箇所にのみバックヨーク2が配設されることとなり、必要最小限のバックヨーク2で角度の検出精度を保つことができる。
【0086】
(本発明の第4の実施形態)
本実施形態に係る角度検出装置について、
図13及び
図14を用いて説明する。
図13は、本実施形態に係る角度検出装置の各部品を示す図、
図14は、本実施形態に係る角度検出装置の各部品を組み合わせた場合の上面図である。
【0087】
なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明については省略する。
【0088】
本実施形態に係る角度検出装置は、ステータ3が略同一外形の扇状体に16分割され、隣接する扇状体が交互に励磁コイルと検出コイルとを巻回されており、隣接する扇状体の8つの組のうち、ステータの中心点に関して十の字の位置にある4つの組の一方がsin成分を検出し、他方がcos成分を検出する。また、ステータ3を挟んでロータ5が配設される面と反対の方向に、ステータ3の円板体に対向して略同一外形で配設されるバックヨーク2を備え、このバックヨーク2がステータ3の扇状体の8つの組に対応して、略同一外形の扇状体に8分割され、各扇状体の間に間隙を有するものである。
【0089】
図13(A)は、本実施形態に係る角度検出装置におけるバックヨーク2の上面図、
図13(B)は、本実施形態に係る角度検出装置におけるステータ3の上面図、
図13(C)は、本実施形態に係る角度検出装置におけるロータ5の上面図である。本実施形態においては、
図13に示すようにステータ3が略同一外形の扇状体に16分割されており、隣接する位置の扇状体には、交互に検出コイル(S1〜S8)と励磁コイル(P1〜P8)とが巻回され、それぞれが8つの組((3a,3b)と(3c,3d)と(3e,3f)と(3g,3h)と(3i,3j)と(3k,3l)と(3m,3n)と(3o,3p))を形成している。この8つの組に対応して、バックヨーク2が8つの扇状体(2a〜2h)に分割されており、各扇状体間には間隙が形成されている。
【0090】
なお、ロータ5の構成は、前記各実施形態と同様に円板体で形成され、その面方向に一軸磁気異方性を有し、中心点5aを中心に円板面内で回動することで、磁気方向を変化させる。
【0091】
上記バックヨーク2、ステータ3、及びロータ5を組み合わせて積層した場合の図を
図14に示す。
図14に示すように、バックヨークの1つの扇状体(例えば、2a)にステータ3の1つの組(例えば、(3a,3b))が対応しており、このバックヨーク2(扇状体2a)が、検出コイル(例えば、S1)と励磁コイル(例えば、P1)との組における磁気結合を強くしている。一方、組と組との間(例えば、(3a,3b)の組と(3c,3d)の組との間)は、バックヨークの扇状体に間隙が形成されているため、検出コイル(S2)と励磁コイル(P1)との間では結合が非常に弱くなっている。
【0092】
つまり、
図14の構成から、中心点に関して垂直方向に対向する位置に配設される扇状体の4つの組((3a,3b)、(3e,3f)、(3i,3j)、(3m,3n))でsin成分を検出し、別の垂直方向に対向する位置に配設される扇状体の4つの組((3c,3d)、(3g,3h)、(3k,3l)、(3o,3p))でcos成分を検出することができる。これらの2相の出力電圧のアークタンジェントを取ることで、専用のIC等を利用して正確に角度を検出することができる。
【0093】
このように、本実施形態に係る角度検出装置によれば、ステータ5が略同一外形の扇状体に16分割され、隣接する扇状体が交互に励磁コイルと検出コイルとを巻回されており、隣接する扇状体の8つの組のうち、垂直に対向する4つの組の一方がsin成分を検出し、他方がcos成分を検出するため、この2相の信号に基づいて回転角度を容易に求めることができる。特に専用のIC等を用いて、この2相の出力電圧のアークタンジェントを取るような装置構成とすることで、製造工程を単純化して製造効率を上げることができる。
【0094】
また、バックヨークがステータの扇状体の8つの組に対応して、略同一外形の扇状体に8分割され、各扇状体の間に間隙を有するものであるため、コイル間の結合が最も強くなる箇所にのみバックヨークが配設されることとなり、必要最小限のバックヨークで角度の検出精度を保つことができる。
【0095】
(本発明の第5の実施形態)
本実施形態に係る角度検出装置について、
図15を用いて説明する。
図15は、本実施形態に係る角度検出装置のステータを示す図である。
【0096】
なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明については省略する。
【0097】
図15(A)に示すように、本実施形態に係る角度検出装置は、ステータ3が複数の扇状体(分割扇状体とする)に分割され、分割扇状体のうち中心角を45度とする励磁用分割扇状体3a,3bが円板体の中心に関して対向して(円板体の中心点に関して点対称となるように)配設されている。この励磁用分割扇状体3a,3bには、それぞれの外周に、逆極性の磁界が発生するように励磁コイル+Pと−Pとが配設されている。
【0098】
また、励磁用分割扇状体3a,3bに隣接すると共に、円板体の中心に関して対向する2つの分割扇状体がsin検出用扇状体3c,3dとして配設されている。このsin検出用扇状体3c,3dには、それぞれの外周に、sin成分の信号を検出するための検出コイル+Sと−Sとが相互に逆極性となるように配設されている。
【0099】
さらに、励磁用分割扇状体3a,3bをsin検出用扇状体3c,3dで挟むようにして、励磁用分割扇状体3a,3bに隣接し、円板体の中心に関して対向する2つの分割扇状体がcos検出用扇状体3e,3fとして配設されている。このcos検出用扇状体3e,3fには、それぞれの外周に、cos成分の信号を検出するための検出用コイル+Cと−Cとが相互に逆極性となるように配設されている。
【0100】
sin成分の出力は、
図15における○印の箇所において検出され、cos成分の出力は△印の箇所において検出される。sin成分の出力v(S/P)は、
【0101】
【数6】
となり、cos成分の出力v(C/P)は、
【0102】
【数7】
となる。なお、
図15(A)においては、sin検出用扇状体3c,3d及びcos検出用扇状体3e,3fの中心角をそれぞれ45度とし、扇状体3g,3hを空き領域としているが、
図15(B)に示すようにsin検出用扇状体3c,3d及びcos検出用扇状体3e,3fの中心角をそれぞれ67.5度としてもよい。
【0103】
また、本実施形態におけるロータの構成は、前記各実施形態と同様に円板体で形成され、その面方向に一軸磁気異方性を有し、中心点5aを中心に円板面内で回動することで、磁気方向を変化させる。
【0104】
さらに、ステータ3を挟んでロータ5が配設される面と反対の方向に、ステータ3の円板体に対向して配設されるバックヨーク2を備えており、このバックヨーク2は、ステータ3の円板体と同一外形の円板体とする。
【0105】
(本発明の第6の実施形態)
本実施形態に係る角度検出装置について、
図16ないし
図19を用いて説明する。
図16は、本実施形態に係る角度検出装置のステータを示す第1の図、
図17は、本実施形態に係る角度検出装置のステータを示す第2の図、
図18は、本実施形態に係る角度検出装置のバックヨークを示す図、
図19は、本実施形態に係る角度検出装置の出力結果を示す図である。
【0106】
なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明については省略する。
【0107】
図16(A)に示すように、本実施形態に係る角度検出装置は、ステータ3が複数の扇状体(分割扇状体とする)に分割され、分割扇状体のうち中心角を45度とする4つの励磁用分割扇状体3a,3b,3c,3dが円板体の中心に関して十字状に対向して(円板体の中心点に関して点対称となるように)配設されている。この励磁用分割扇状体3a,3b,3c,3dには、それぞれの外周に、円板体の中心に関して対向する位置にある励磁用分割扇状体同士(励磁用分割扇状体3aと3c又は励磁用分割扇状体3bと3d)が逆極性の磁界を発生するように励磁コイル+P(励磁用分割扇状体3a、3d)と−P(励磁用分割扇状体3b、3c)とが配設されている。
【0108】
また、励磁用分割扇状体3a,3b,3c,3dに隣接すると共に、円板体の中心に関して十字状に対向する4つの分割扇状体がsin検出用扇状体3e,3f,3g,3hとして配設されている。このsin検出用扇状体3e,3f,3g,3hには、それぞれの外周に、sin成分の信号を検出するための検出コイル+S(sin検出用扇状体3e、3f)と−S(sin検出用扇状体3g、3h)とが、円板体の中心に関して対向する位置にあるsin検出用扇状体同士(sin検出用扇状体3eと3g又はsin検出用扇状体3fと3h)で相互に逆極性となるように配設されている。
【0109】
さらに、励磁用分割扇状体3a,3b,3c,3dをsin検出用扇状体3e,3f,3g,3hで挟むようにして、励磁用分割扇状体3a,3b,3c,3dに隣接し、円板体の中心に関して十字状に対向する4つの分割扇状体がcos検出用扇状体3i,3j,3k,3lとして配設されている。このcos検出用扇状体3i,3j,3k,3lには、それぞれの外周に、cos成分の信号を検出するための検出用コイル+C(cos検出用扇状体3k、3l)と−C(cos検出用扇状体3i、3j)とが、円板体の中心に関して対向する位置にあるcos検出用扇状体同士(cos検出用扇状体3iと3k又はcos検出用扇状体3jと3l)で相互に逆極性となるように配設されている。
【0110】
sin成分の出力は、
図16における○印の箇所において検出され、cos成分の出力は△印の箇所において検出される。すなわち、このような構造とすることで、隣接している励磁コイルと検出コイルとの間でのみ結合(±Pと±Sとの間、±Pと±Cとの間)が起こり、検出コイル間での結合(±Sと±Cとの間)は起こらない。
【0111】
各検出コイルからの出力電圧をv(Si/Pj)、v(Ci/Pj)(ただし、iは検出コイルの番号、jは励磁コイルの番号を示す)とすると、sin成分の出力電圧vは、
【0112】
【数8】
となり、これらの総和から下記のようにsin出力を得る。
【0113】
【数9】
同様に、cos成分の出力電圧vは、
【0114】
【数10】
の総和から下記のようにcos出力を得る。
【0115】
【数11】
なお、
図16(A)に示す構造は、励磁用分割扇状体3a,3b,3c,3dの中心角を45度とし、sin検出用扇状体3e,3f,3g,3h及びcos検出用扇状体3i,3j,3k,3lの中心角を22.5度としているが、
図16(B)に示すようにsin検出用扇状体3e,3f,3g,3h及びcos検出用扇状体3i,3j,3k,3lは、励磁用分割扇状体3a,3b,3c,3dに隣接していればよく、中心角が22.5度以下であってもよい。
【0116】
また、符号(+,−)の組み合わせは、
図16のように限定されない。例えば、
図17(A)、(B)に示すような、上記(1)、(2)式において角度に依存しないk
0を打ち消すような構造であればよく、v(Si/Pj)やv(Ci/Pj)の値を加算又は減算することでk
0を打ち消すような配置と極性にすればよい。すなわち、励磁コイルについては2つの正極性と2つの負極性で構成され、sin成分を検出するためのコイルのうち2つが正極性となるように配設され、他の2つが負極性となるように配設され、cos成分を検出するためのコイルのうち2つが正極性となるように配設され、他の2つが負極性となるように配設されれればよい。それらの組合せにより、v(Si/Pj)やv(Ci/Pj)の加算又は減算(結線方法)を調整することで、sin成分とcos成分を同時に検出することができる。このとき、特に
図16、
図17に示すように、ステータの中心点に関して対向する位置(点対称となる位置)にある扇状体の極性を逆極性に配置することで、励磁コイルの磁束を自己で閉じることができるため、遠くまで広がらず他の機器との干渉を起こし難くすることができると共に、検出コイルについては、外部から来る磁気雑音の影響が対向する組みとなる2つの検出コイルで大きさが等しく極性反対の誘起電圧を生じ、直列に結線することで自ら消去することができる。したがって、このように、ステータの中心点に関して対向する位置にある扇状体の極性を逆極性に配置することが望ましい。
【0117】
さらに、本実施形態におけるロータの構成は、前記各実施形態と同様に円板体で形成され、その面方向に一軸磁気異方性を有し、中心点5aを中心に円板面内で回動することで、磁気方向を変化させる。
【0118】
さらにまた、ステータ3を挟んでロータ5が配設される面と反対の方向に、ステータ3の円板体に対向して配設されるバックヨーク2を備えており、このバックヨーク2は、ステータ3の円板体と同一外形の円板体であってもよいし、
図18に示すように励磁用分割扇状体と、sin検出用分割扇状体又はcos検出用分割扇状体との隣接部分にバックヨーク2を備えるようにしてもよい。バックヨーク2の形状は、
図18(A)に示すような平板状のものであってもよいし、
図18(B)に示すような略半円筒状のものであってもよい。
【0119】
本実施形態に係る角度検出装置の出力結果を
図19に示す。ここでは、コイルを20ターンとし、
図19(A)では、縦軸が出力電圧、横軸が機械角180度を100とした角度を示し、
図19(B)では、
図19(A)の出力に基づいてArctan(sin/cos)を計算した角度(縦軸はラジアン)を示している。これらの結果から明らかなように、
図19(A)のそれぞれの波形がsin成分とcos成分の出力を示し、これらの2相の出力電圧のアークタンジェントを取ることで、専用のIC等を利用して簡単で正確に角度を検出することができる。
【0120】
(本発明の第7の実施形態)
本実施形態に係る角度検出装置について、
図20ないし
図22を用いて説明する。
図20は、本実施形態に係る角度検出装置の側断面図、
図21は、本実施形態に係る角度検出装置のステータ及びロータの構造を示す第1の図、
図22は、本実施形態に係る角度検出装置のステータ及びロータの構造を示す第2の図である。
【0121】
なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明については省略する。
【0122】
本実施形態に係る角度検出装置は、
図8(B)に示すステータを2つ用いてsin成分とcos成分とを検出するものである。
図20に角度検出装置の側断面図を示す。
図20において、枢軸6とロータ5とが中心点で接合されて枢軸6と共に円板面内で回動する。ロータ5の円板面に対向し、非接触状態で略同一外形のステータ31,32が固定されている。なお、ステータ3に接触又は非接触状態でロータ5が配設される面と反対方向の面に対向して配設されるバックヨーク2を有するようにしてもよい。
【0123】
図20の構成において、ステータ31,32及びロータ5の配置を
図21に示す。
図21に示すように、
図8(B)のステータ31,32(中心角90度の分割扇状体4つで形成)を、それぞれ面内方向に45度ずらして配置する。ロータ5は、ステータ31,32の間で一軸の磁気異方性を有して回動しているため、一方のステータではsin成分が検出され、他方のステータではcos成分が検出される。
図10にも示した通り、このステータ31,32は変調波抑圧の成分検出が可能であることから、本実施形態に係る角度検出装置は、非常に正確な角度検出を行うことができる。
【0124】
また、本実施形態の角度検出装置は、以下に示す
図22のような構成とすることもできる。
図20の構成において、ステータ31,32を位相を揃えて配置し、それぞれのステータ31,32の間に、異方性を面内方向に45度ずらして貼り合わされたロータ5を配置する。ロータ5の異方性が45度ずれていることから、ロータが回動することで、一方のステータではsin成分が検出され、他方のステータではcos成分が検出される。
【0125】
なお、上記各実施形態において、励磁コイル及び検出コイルは、ステータの扇状体における側面全体に配設してもよいし、少なくとも直線部分にのみ配線されるようにしてもよい。
【0126】
以上の前記各実施形態により本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は実施形態に記載の範囲には限定されず、これら各実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0127】
(本発明の第8の実施形態)
本実施形態に係る角度検出装置について、
図23を用いて説明する。
図23は、本実施形態に係る角度検出装置のステータ及び側断面図を示す図である。
【0128】
なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明については省略する。
【0129】
本実施形態に係る角度検出装置は、第7の実施形態に係る角度検出装置と同様に、2つのステータ3を用いてsin成分とcos成分とを検出するものであるが、
図23(A)に示すように、
図8に示す4分割されたステータ3を45度ずらして張り合わせたもの(ステータ31、32)を用い、それに対向させて
図23(B)に示すようにロータ5及びバックヨーク2が配設される。P1の系統には、例えばsinωtの励磁用の電流が入力され、P2の系統には、例えばsin2ωtの励磁用の電流が入力される。このとき、P1系統のsinωtとP2系統のsin2ωtとが混信しないように同期検波を行う。
【0130】
なお、
図23において、P2系統の周波数f2は、P1系統の周波数f1に対して2倍となっているが、それぞれが異なる周波数(例えば、f1−f2>100Hz程度)であれば十分に分離可能である。また、P1系統にsinωt(又はcosωt)の電流を入力し、P2系統にcosωt(又はsinωt)の電流を入力する構成であってもよい。
【0131】
S1の系統から出力される電圧とS2の系統から出力される電圧とは、90°の位相差が生じ、それぞれsin相、cos相として用いる。このような構成にすることで、
図10に示すように、歪みの少ないsin波形を得ることができ、高精度な角度検出装置を実現することができる。
【0132】
(本発明の第9の実施形態)
本実施形態に係る角度検出装置について、
図24を用いて説明する。
図24は、本実施形態に係る角度検出装置の側断面図である。
【0133】
なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明については省略する。
【0134】
本実施形態に係る角度検出装置は、前記各実施形態の角度検出装置における、少なくとも径方向からの外部磁界を遮蔽するためのシールド7を備える。
図24(A)は、第1ないし第6の実施形態に係る角度検出装置の側断面図を示し、
図24(B)は、第7の実施形態に係る角度検出装置の側断面図を示している。シールド7は、
図24に示すように、少なくとも径方向からの外部磁界を遮蔽すると共に、径方向に垂直な方向(軸方向)からの外部磁界を遮蔽するために、周縁部が曲折されて、ロータ5、ステータ3及びバックヨーク2全体を包含するように配設されることが望ましい。
【0135】
このように、本実施形態に係る角度検出装置によれば、外部磁界を遮蔽して高精度に角度を検出することができる。
【0136】
(本発明の第10の実施形態)
本実施形態に係る角度検出装置について、
図25を用いて説明する。
図25は、本実施形態に係る角度検出装置の側断面図である。
【0137】
なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明については省略する。
【0138】
本実施形態に係る角度検出装置は、前記各実施形態の角度検出装置において、ロータ5の径の大きさがステータ3及びバックヨーク2の径の大きさより小さくなっている。
図25(A)は、第1ないし第6の実施形態に係る角度検出装置の側断面図を示し、
図25(B)は、第7の実施形態に係る角度検出装置の側断面図を示している。このような構成にすることで、ロータ5に対する回転の遠心力を小さくして負荷を軽減することができる。すなわち、ロータ5が高速回転した場合であっても、破損を防止することができる。また、ロータ5の破損を防止することができると共に、径方向からの外部磁場の影響を抑えて、角度をより高精度に検出することができる。
【0139】
なお、
図25において、シールド7を配設しない構成であってもよい。