【実施例1】
【0009】
本実施例でスリット形成装置1は、玉葱の自動皮剥装置50において玉葱Aの外皮にエアー吹き付けて外皮を剥離するために、外皮にスリットを形成する装置として用いられる。
図1に一例を示す玉葱の自動皮剥装置50は、芽芯側を下にし根芯側を上にした倒立姿勢の玉葱A1を無端のコンベアからなる搬送路に形成された支持穴C1にセットして排出側(
図1中左側)に搬送する搬送装置Cと、前記搬送路の下方にあって芽芯を除去する芽芯除去カッター60と、搬送路の上方にあって、搬送路の往路上に設けられて昇降装置によって昇降し玉葱の根芯を除去する根芯除去装置70と、該根芯除去装置70の前方(往路前方)にあって昇降装置によって昇降し前記玉葱の表皮に対して縦方向に複数個のスリットを入れるスリット形成装置1と、前記搬送路の排出側で、表皮に形成されたスリットに圧搾空気を送って表皮を吹き剥がす表皮剥離装置20とを備えている。
【0010】
即ち、搬送路の上方には、図示省略の制御装置によって、搬送路の往路の進行速度と同期して皮剥作業が完了する距離だけ進動し、前記作業終了後に元の待機位置に戻るように横方向に移動可能に制御されたスライド基台51が設けられているが、この発明では基台51は固定されており、往路の進行が一定間隔で停止するように設定し、停止時に前記各装置70および1を作動させるようにしてもよい。
上記基台51には、根芯除去装置70の昇降装置71と、スリット形成装置1の昇降装置2とが固定されている。
【0011】
本実施例では、根芯除去装置70とスリット形成装置1とが別体の装置からなって、それぞれが昇降装置71、2により昇降して、根芯除去とスリット付与とを個別に行う構成としたが、この発明では、根芯除去とスリット付与とを1台の装置で行うようにしてもよい。
この場合、後述の伸縮ロッドの下端に根芯カッターを取り付けてもよい。
また、本実施例では、根芯除去装置70の往路前方にスリット形成装置1が配置された構成からなっているが、前後を逆に配置してもよい。
【0012】
[根芯除去装置]
根芯除去装置70は、公知構成を用いることができる。
本実施例で一例を示すと、根芯除去装置70は、
図1に示すように、前記昇降装置71から垂下する伸縮ロッドの先端に固定されて水平に伸びる昇降プレート72と、該昇降プレート72の下方で支柱73を介して固定された水平に伸びる中間プレート74と、該中間プレート74の下方で伸縮可能な杆材75を介して略等間隔に複数設けられて搬送路上の1つの玉葱に対応する基板76とを有し、該基板76毎にその中央に設けられて、基板76の貫通孔を挿通して玉葱の上部中央に当接可能に配置される根芯カッター77とからなっている。
該根芯カッター77は、制御装置によって、玉葱上部の根芯部分を所定の深さまで切除することができる(
図1中、芽芯と根芯をカットした玉葱をA2とする)。
【0013】
[スリット形成装置]
スリット形成装置1は、
図3及び
図4に明瞭なように、前記昇降装置2から垂下するロッド2aの先端に固定されて水平に伸びる昇降プレート3と、該昇降プレート3の下方で支柱3aを介して固定された水平に伸びる中間プレート4と、該中間プレート4の下方でスペーサー用の杆材4aを介して略等間隔に複数設けられて搬送路上の1つの玉葱A2に対応する基板5と、該基板5毎に設けられて玉葱A2の中央に当接可能に配置されて上下に伸縮するセンターロッド6と、該センターロッド6を中心にした前記基板5の周方向に沿って等間隔に多数(本実施例では6つ)設けられたスリット形成部材8とからなっている。
【0014】
[昇降装置]
昇降装置2は、シリンダーが基台51に固定されており、伸縮ロッドが基台51を貫通して下方に伸びている。
該伸縮ロッド2aの先端(下端)には昇降プレート3が固定されている。
また、スライドブッシュ2cが基台51を貫通して固定されており、該スライドブッシュ2cには、下端が前記昇降プレート3に固定されたガイドロッド2dが昇降自在に取り付けられており、前記伸縮ロッド2aの昇降動に追従して昇降するので、前記昇降プレート3を水平姿勢を維持した状態で平行に昇降させることができる。
【0015】
[昇降プレート]
昇降プレート3は、その裏面で昇降プレート3の中央を中心にして周方向に配置された複数の支柱3aの上端を固定し、下端が下方に離間して水平に配置された中間プレート4の上部に固定されている。
【0016】
[中間プレート]
中間プレート4には、前記搬送路上で横幅方向に同列に並んでセットされた複数(
図3では並列に4個)の玉葱A1のそれぞれの個別の玉葱に対応して、芽芯と根芯を切除後の玉葱A2の表皮にスリットを形成するスリット形成装置1が1つづつ取り付けられている。
【0017】
[スリット付与部材]
スリット付与部材8は、前記搬送路上にセットされた1つの玉葱A2に対応して1つ設けられる基板5と、該基板5を前記中間プレート4の下方に離間して中間プレート4に固定するための複数のスペーサー用の杆材4aを有している。
【0018】
前記基板5は円形のプレートからなっており、基板5の中央を貫通して、前記玉葱の中央上部(除去された根芯に対応する位置)に当接可能に配置されて伸縮するセンターロッド6が設けられている。
【0019】
[センターロッド]
該センターロッド6は、その上端が、前記中間プレート4の上部に突設したスライドブッシュ7の中空内に嵌合し、中間プレート4および基板5を貫通して下方に延びていると共に、上下に昇降可能となっている。
【0020】
そして、上記センターロッド6の中間部分に、センターロッド6に外嵌した上下一対のスプリング6Sの位置決めをするスプリングガイド6aを有しており、前記スプリング6Sによりセンターロッド6は、押し上げられると下向きに付勢されるようになっている。
【0021】
このセンターロッド6の下端には、弾性を有する押えヘッド6bが形成されており、前記昇降装置2のロッド2aの下降により、搬送路にセットされた玉葱の中央上部に当接して玉葱が任意の方向に動かないように拘束するようになっている。
【0022】
[スリット形成部材]
スリット形成部材8は、基板5に枢支されて下方へ延びる複数のアーム8Aと、各アーム8Aの下部に軸支されたガイドローラ9と、該ガイドローラ9の外周よりも先端の刃先10aが内向き(センターロッド6に接近する方向)に突出するカッター10とからなっている。
【0023】
前記基板5には、センターロッド6を中心にして、中途位置から外周に伸びる放射状のスリット溝5Gが形成されており、該スリット溝5Gにアーム部8Aの上部8aが挿入されている。
また、基板5上には、前記スリット溝5Gに隣接して、アーム部8Aを枢支する支持プレート5aが固定されている。
【0024】
[アーム部]
アーム部8Aは、基板5の上方に突出する上部8aが基板5の径方向に延びており、該上部8aが、基板5の中央寄りで前記支持プレート5aに枢軸Pで枢着されている。
また、アーム部8Aの上部8aには、上方に突出するスプリング掛止部11が1または複数突設されている。
【0025】
そして、上記スプリング掛止部11に対応する中間プレート4の底面には、スプリング掛止部11と対になってコイルスプリングSの端部を掛止めるためのスプリング掛止部12が設けられており、該スプリング掛止部12は、本実施例では中間プレート4の底面に螺着したネジの頭部を下向きに突設して形成されている。
【0026】
これにより、アーム部8Aが、
図3及び
図4の待機位置から、前記枢軸Pを支点にして、前記スリット溝5Gに沿って基板5の径方向外側へ枢動変位すると、コイルスプリングSの付勢力が高まりアーム部8Aの下端側を基板5の中央側の待機位置へ復帰させるように付勢する。
【0027】
なお、基板5には、上方に突出して、前記アーム部8Aの上部8aが待機位置まで復帰すると衝合するストッパ5bを設けている。
ストッパ5bはネジを用いているので、ネジの螺進退によりアーム部8Aの上部5aとの衝合位置を微調整することができる。
アーム部8Aは、前記上部8aの中央で、前記スリットを通り下方に延びるアーム本体8bを有している。
このアーム本体8bは、中途位置を外向きに湾曲した略C状に形成されている。
【0028】
[ガイドローラ]
上記アーム本体8bの下部でセンターロッド6寄りの箇所に、ピンP2で軸支されたガイドローラ9が取り付けられており、該ガイドローラ9のセンターロッド6寄りのトレッド面は、アーム本体8bの下部の外端より外側に突出し、アーム本体8bよりもセンターロッド6に接近した位置となるように配置されている。
【0029】
[カッター]
そして、アーム本体8bの下部には、前記ガイドローラ9の枢着位置と重なるように、カッター10が取り付けられている。
カッター10は、
図5で明瞭なように、アーム本体8bの下部に着脱可能なカッター取付片13によって固定されている(
図5参照)。
【0030】
カッター取付片13は、本実施例では、一対のプレート片からなって、中間に刃部10を差し込んで、該刃部10の基部に設けた穴10cに固定ボルト10bを貫通させて固定し、刃部10を固定したカッター取付片13を、カッター取付片13と前記アーム本体8bの下部とを表から裏に、裏から表に貫通する一対の固定ボルト14の交互取付によって固定している。
【0031】
刃部10の刃先10aの突出位置は固定でもよいが、長さ調整は行えるようにしてもよい。
例えば、刃部10にカッター取付片13との固定用の穴を長さ方向に所定のピッチで複数穿設しておき、その固定時に使用する穴の位置を変更することで長さ調節しているが、刃部10をカッター取付片90の一対のプレートで挟圧する際に、その固定位置を変更するようにしてもよい。
【0032】
この際に、前記刃部10の先端の刃先10aは、前記ガイドローラ9のトレッド面よりセンターロッド6寄りに突出している。
本実施例では、前述のように刃部10はカッター取付片13によってアーム本体8bに取り付けられているので、該カッター取付片13とアーム本体8bとの固着を緩めることで、刃部10を交換することが可能となる。
【0033】
[スリットの形成]
上記構成からなっているので、昇降装置2の伸縮ロッド2aによって、中間プレート4と共に基板5が下降し、センターロッド6の押えヘッド6bがセットされた玉葱の上部に衝合する。
更に、伸縮ロッド2aが下降すると、センターロッド6は玉葱の上部中央で衝合し、該衝合姿勢を維持し、更なる基板5の下降により、付勢力を高めながら相対的に短縮され、一方、スリット形成部材8は下降する。
【0034】
即ち、スリット形成部材8は、
図6に示すように、まず、最下端となるガイドローラ9のトレッド面が玉葱の上部に接し、該ガイドローラ8Bが玉葱の略球状の外周面に倣って転動し、アーム部8Aを枢着点Pを基準として拡大方向および復帰方向に枢動させる。
【0035】
そして、ガイドローラ8Bの略中央位置でセンターロッド6の軸線方向に表皮の厚みに対応する所定長さだけ突出する刃部10の刃先10aが玉葱の表皮に差し込まれ、アーム部8Aの下降により、玉葱の外周面が球面状であっても、付勢力を利用して、常に表皮に所定の厚みで切り裂きスリットを形成して行く。
このように、本発明では、玉葱A3の外周面に倣って外周面から一定の厚みでスリットを確実に形成することができる。
そして、既に根芯と芽芯がカットされ、次いで表皮にスリットが形成された玉葱A3は、搬送路の往路先端から落下し、スロープ15を通って表皮剥離装置20まで移動する(
図2参照)。
【0036】
[表皮剥離装置]
表皮剥離装置20は、前記スロープ15を通って降下してきた玉葱A3の進入を制御する開閉ゲート21と、前記玉葱を回転させるローラ装置30と、該ローラ装置30上で回転する玉葱A3にエアーを吹き付け、玉葱の表皮のスリットを広げて表皮を玉葱A4から剥ぎ取るエアー吹付け部材25とからなっている。
【0037】
前記スロープ15は、搬送路に並列に並んだ複数(例えば4つ)の玉葱を、それぞれ個別にローラ装置30の手前まで誘導する通路からなっており、本実施例では、スロープ15の途中に開閉可能なストッパ21が設けられており、搬送路から排出されたスリット入りの玉葱の表皮剥離装置20への進入を制御している。
即ち、表皮剥離装置20で表皮が剥離された処理済み玉葱A4が排出されると、前記ストッパが開いて、スリット入り玉葱A3を表皮剥離装置20へ進入させる。
【0038】
[ローラ装置]
前記スロープ15の下方に、スロープ15から落下するスリット入り玉葱A3を受け止めるローラ装置30が配置されている。
該ローラ装置30は、
図2及び
図8に示すように、前後一対のローラ31、32とからなり、各ローラ31、32は、左右の外側が大径となり、中央が低くなるテーパ面に形成されている。
ここで、排出口へ向かう方向を前方とし、前方のローラ32が配置され、スロープ15側には後方のローラ31が配置されている。
図示例の場合、ローラ31、32は、一方に向かって漸次小径となる横倒した截頭円錐状のローラ構成部31A、32Aを、中間に隙間を隔てて外側が大径となるように左右対称に一対に配置し、前後の回転軸31a、32aに固定している。
【0039】
この一対のローラ構成部からなるローラ31、32は、前後に僅かな隙間を隔てて直列に配置されており、本実施例では前後のローラ31,32が排出方向(前方)へ向かって回転することで前記玉葱A3を前後の回転するローラ31、32の間で回転させる。
また、ローラ31、32から表皮の剥離した玉葱を押出しアーム36により排出方向に押し出す際には、前記ローラ31、32の回転方向を逆転させている。
【0040】
各ローラ31、32の回転面は中央に向かって窪むテーパ状となっており、前後のローラ31、32で囲まれた回転面は前記スロープ15から落下したスリット入り玉葱A3が落下しないように前後のローラの回転軸の距離と回転面の形状が設定されている。
この発明で、ローラの回転方向は上記実施例に限定されず、正逆を反対に変更してもよいし、一方に合わせてもよい。
また、正転と逆転を交互に切り替えて回転させてもよい。
【0041】
この発明では、上記一対のローラ構成部31A、32Aには、前記回転面となる傾斜面に沿って径方向に伸びる隆起部33が1または略等間隔に複数形成されている。
隆起部33は、他の回転面より高くほぼ均一な高さに隆起して直線状に延びており、ローラ31、32の回転によって、回転する前記玉葱に上向きの衝撃を与えて、玉葱が回転しながら跳ね上がるようにしている。
【0042】
ここで隆起部33の高さが高いと、跳ね上がった玉葱がローラから落ちるおそれがあるので、隆起部の高さは、玉葱がローラを超えて落ちない程度の高さに設定される。
図示例で、隆起部は内側から外側まで一連に延びる直線状としたが、部分的な突部や、曲線状の突部など、玉葱と衝合した際に玉葱を痛めることがないなだらかな隆起形状を用いることが好ましく、また、隆起部33の頂部の高さは均一でなくてもよく、またある程度の幅を有するものでもよく、要するに玉葱を跳ね上がらせる形状であればよい。
【0043】
この表皮剥離装置20は、前後一対のローラ31、32からなるローラ装置30の略中央の窪み部分で玉葱が載置される個所の上方に圧搾空気を吐出して玉葱に吹付ける公知のエアー吹付け部材25を設けている。
該エアー吹付け部材25は回転中の玉葱に圧搾空気を吹付けて、スリットを介して玉葱の表皮を吹飛ばす。
【0044】
次に、前方ローラー32の上方には、ローラ32の回転で回転する玉葱が前方へ飛び出さないように規制する開閉可能な柵状のストッパ35が設けられている。
該ストッパ35は、前記スロープ15のストッパ21の開閉と連動しており、ローラ装置30上の玉葱A4を排出する際に枢動して開いて玉葱A4を排出し、排出後に元の位置に戻って閉じる(
図2参照)。
【0045】
このストッパ35が閉じると、前記スロープ15のストッパ21が開いてスロープ15上で拘束されていた玉葱A3を落下させてローラ装置30上に移動させることができる。
上記ストッパ21は玉葱A2移動後に閉じる。
上記ストッパの開閉制御は、所定時間経過後に作動するようにしたり、センサを用いて玉葱の有無を検出して作動するようにしてもよい。
そして、玉葱が一対のローラ31、32上にセットされると、該一対のローラ31、32の回転により不規則に回転し、前記エアー吹付け部材25が作動してローラ31、32上の玉葱に圧搾空気を吹付ける。
エアー吹付け部材25は、一対のローラ31、32の回転停止と連動して作動を停止する。
【0046】
前後のローラ31、32の間で後方のローラ31の中央の窪み部分(図示例でローラ構成部31Aと31Aの間の回転軸31aの部分)には、前後一対のローラ31、32間にセットされた玉葱を排出側へ移動させる押出しアーム36の先端が配置されている。
該押出しアーム36は、前記ローラ用のストッパ35が開くと、前記後方のローラ31の中央から前方のローラ32の中央までの間を移動して、ローラ装置30上に載置されている玉葱A4を前方の排出口へ押し出すようになっている。
なお、図中38は、前後一対のローラの左右側面を塞ぐ仕切り壁であって、ローラ上を転動する玉葱の左右方向への脱落を防止している。
【0047】
上記実施例では、スリットを形成する対象物として玉葱を用いた場合を例示したが、その他の凹凸を有する対象物の外表面に均等な深さでスリットを正確に形成する場合に応用することができる。
この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、要するに、この発明の要旨に反しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。