特許第5787424号(P5787424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5787424
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】スリット形成装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 15/08 20060101AFI20150910BHJP
   B26D 3/08 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   A23N15/08 A
   B26D3/08 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-189482(P2014-189482)
(22)【出願日】2014年9月17日
【審査請求日】2014年9月18日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年6月30日に株式会社玉ジローが株式会社エム・アンド・イーにスリット形成装置を販売。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314013682
【氏名又は名称】株式会社玉ジロー
(74)【代理人】
【識別番号】100083183
【弁理士】
【氏名又は名称】西 良久
(72)【発明者】
【氏名】小林 健一郎
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−135570(JP,A)
【文献】 特開2007−037956(JP,A)
【文献】 実開平07−024267(JP,U)
【文献】 特開2002−191342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 15/08
B26D 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の外表面に、略等間隔に複数の縦方向のスリットを切り込むスリット形成装置において、
昇降装置により昇降動し、搬送路にセットされた対象物に接近乃至離間する基と、
該基に設けられて下方に延び、基の下降により下端が前記対象物の上部に衝合する伸縮可能なセンターロッドと、
センターロッドを中心にした周方向に等間隔に配置されて下方に延びると共に、前記基に上部が枢着された複数のアームと、
該アームが前記センターロッドから離間する方向へ枢動すると接近方向に付勢させる付勢手段と、
前記アームの下方に軸支されて、下端のトレッド面がアーム及び刃部よりも下方に設定されたガイドローラと、
前記アームの下方であってガイドローラの枢着位置と重なる位置で、アームの下方に着脱可能なカッター取付片を介して固定されて、先端の刃先が前記ガイドローラの外周面よりもセンターロッドの軸線方向寄りに突出した刃先を有する刃部とからなっており、
前記昇降装置により下降する基により、センターロッドの下端が前記対象物の中央上部に衝合し、更に基が下降すると、センターロッドが短縮して前記衝合姿勢を保ち、アームは、ガイドローラのトレッド面が対象物の外周面に倣って転動することで、センターロッドから離間又は接近する方向へ枢動し、刃部の刃先が対象物の外表面を切り裂いてスリットを形成することを特徴とするスリット形成装置。
【請求項2】
対象物が玉葱からなっており、玉葱の表皮に玉葱を中心にした周方向に複数の縦に伸びるスリットを形成することを特徴とする請求項1に記載のスリット形成装置。
【請求項3】
1つの玉葱に対して、スリット形成用のアームが、玉葱を中心にした周方向に略等間隔に6つ形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスリット形成装置。
【請求項4】
昇降装置が、玉葱の搬送路の上方に固定されたシリンダと下方に伸びる伸縮ロッドとからなっており、該伸縮ロッドの先端に昇降プレートを有しており、
該昇降プレートに上端が固定されて垂下する支柱と、
該支柱の下端に固定される中間プレートと、
該中間プレートの下方に離間して固定された基板と、
前記中間プレートに固定されると共に、該中間プレートと基板とを上下方向に貫通し、先端に押えヘッドを有したセンターロッドと、
該押えヘッドを中心にした周方向に略等間隔に配置される6つのスリット形成用のアームとからなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の玉葱の表皮切込装置。
【請求項5】
表皮切込装置の対象物の外表面が玉ねぎの表皮からなっており、玉ねぎの表皮にエアーを吹付けて除去するために、玉ねぎの表皮に縦方向に複数のスリットを切り込む玉葱の表皮切込装置であって、
前記昇降装置により下降する基により、センターロッドの下端が前記玉葱の上部に衝合し、更に基が下降すると、センターロッドが短縮して前記衝合姿勢を保ち、アームは、ガイドローラのトレッド面が玉葱の外周面に倣って転動することで、センターロッドから離間又は接近する方向へ枢動し、刃部の刃先が玉葱の表皮を切り裂いてスリットを形成することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のスリット形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉ねぎの表皮などの対象物の外周面に縦方向に複数のスリットを切り込むためのスリット形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、玉葱の表皮を除去する方法としては、玉葱の根芯及び芽芯を切除し、表皮に縦方向にスリットを入れた玉葱に圧搾空気を吹き付けて該圧搾空気の圧力で表皮を除去している。
本出願人は、特開2007−135570号の玉葱の自動皮剥装置で、玉葱の置き台をコンベア式に一定方向に低速移動するようにし、玉葱が根芯除去部材及び芽芯除去カッターの位置に到達したときに根芯及び芽芯を除去し、つぎに、玉葱がスリット付与部材の位置に到達したときに該スリット付与部材が作動して玉葱の表皮にスリットを入れるようになり、流れ作業により玉葱の自動皮剥装置を提案している。
そして、スリット付与部材は、エアーシリンダによって上下する枠体にスプリングの弾圧を受ける玉葱の押棒があり、この押棒を囲む状態で複数個のスリット腕及び下端にスリット刃があり、前記枠体とスリット腕との間にスプリングを介在し、スリット腕を常時下方に附勢する構造からなっている。
従って、根芯部及び芽芯部を除去した玉葱がスリット付与部材の真下に来ると該スリット付与部材が下降して押棒が玉葱を押え込むと同時にスリット腕のスリット刃が玉葱の表皮にたいして縦方向に複数個のスリットを入れるようになっており、その際にスリット付与部材は玉葱の支持盤の移動に同調して移動しているが、スリット付与の終了と同時に該スリット付与部材が上昇しつつ前方に移動復帰するようになっている。
また、特開2002−95456号の玉ねぎ皮剥機における玉ねぎの表皮にスリットを入れる装置では、昇降部材の外側に可動筒が遊嵌されており、この可動筒の外側に該可動筒と一体となって上下動する4本のすじ切りカッター部材が枢軸によって開閉可能に軸装され、該すじ切りカッター部材はスプリングの弾力によって常時内側に付勢されている。このすじ切りカッター部材は下方部に彎曲部があり、下端に交換可能な刃部が装着されている。
また、特開2000−316550号の玉ねぎの自動皮剥機におけるスリットカッター装置では、昇降軸に固定された4個の腕板に夫々カッター腕の上端部を枢着し、該枢軸を支点として開閉可能になっており、下端部をアール状に形成し、この部分にスリットカッターが交換可能に装着されている。上記カッター腕は肩部に設けたピンを前記腕板に穿設した切込溝に係合し、スプリングを巻装してカッター腕を常時玉ねぎ方向に付勢した構成となっている。
しかし、上記構成では、いずれも1つの玉葱に対して4つのスリット形成用のアームが設けられているので、約90度間隔で4筋の縦に伸びるスリットしか形成することができない。
また、従来は、玉葱の表皮に直接、薄刃のスリット刃やカッターの先端が接触するため、刃先に負荷がかかってストレートなスリットを形成しずらいという問題点もあった。
上記問題点は、玉葱に限らず、外表面に複数のスリットを形成する装置においても共通する問題点であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−135570号公報
【特許文献1】特開2002−95456号公報
【特許文献1】特開2000−316550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする問題点は、スリット形成用の部材を従来の4個所以上に設けることができると共に、刃部によって玉葱の表皮などの対象物の外表面にスリットを正確に且つ深さを均一に形成することができるスリット形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、
対象物の外表面に、略等間隔に複数の縦方向のスリットを切り込むスリット形成装置において、
昇降装置により昇降動し、搬送路にセットされた対象物に接近乃至離間する基と、
該基に設けられて下方に延び、基の下降により下端が前記対象物の上部に衝合する伸縮可能なセンターロッドと、
センターロッドを中心にした周方向に等間隔に配置されて下方に延びると共に、前記基に上部が枢着された複数のアームと、
該アームが前記センターロッドから離間する方向へ枢動すると接近方向に付勢させる付勢手段と、
前記アームの下方に軸支されて、下端のトレッド面がアーム及び刃部よりも下方に設定されたガイドローラと、
前記アームの下方であってガイドローラの枢着位置と重なる位置で、アームの下方に着脱可能なカッター取付片を介して固定されて、先端の刃先が前記ガイドローラの外周面よりもセンターロッドの軸線方向寄りに突出した刃先を有する刃部とからなっており、
前記昇降装置により下降する基により、センターロッドの下端が前記対象物の中央上部に衝合し、更に基が下降すると、センターロッドが短縮して前記衝合姿勢を保ち、アームは、ガイドローラのトレッド面が対象物の外周面に倣って転動することで、センターロッドから離間又は接近する方向へ枢動し、刃部の刃先が対象物の外表面を切り裂いてスリットを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のスリット形成装置は、伸縮ロッドの下端で搬送路上にセットされた玉葱などの対象物の上部を押圧し拘束した状態で、スリット形成用の各アームの下部に設けてトレッド面を最下端にしたガイドローラを、前記対象物の外表面が凹凸面であってもその輪郭に沿って下向きに転動させ、前記アームを玉葱などの対象物の外周面に倣って枢動させることができ、該アームから突出する刃部の刃先は常に対象物の外表面に対して一定の厚みで侵入してスリットを形成することができる。
対象物の外周面に形成される複数のスリットは、深さを均等に形成することができるので、従来の4個所に限らず、それ以上、例えば等間隔に6個所のスリットを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】玉葱の自動皮剥装置を示す要部側面図である。
図2】同自動皮剥装置の搬送装置と接続される表皮剥離装置の腰部を示す側面図である。
図3】根芯除去装置とスリット形成装置を示す側面図である。
図4(a)】スリット形成装置を示す側面図である。
図4(b)】図4(a)の部分拡大図である。
図5】アームと刃部との連結構造を示す要部断面図である。
図6】スリット形成時のガイドローラと刃部の刃先の関係を示す説明図である。
図7】ローラ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、この発明を、玉ねぎの表皮に縦向きのスリットを形成するスリット形成装置に適用した好適実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
本実施例でスリット形成装置1は、玉葱の自動皮剥装置50において玉葱Aの外皮にエアー吹き付けて外皮を剥離するために、外皮にスリットを形成する装置として用いられる。
図1に一例を示す玉葱の自動皮剥装置50は、芽芯側を下にし根芯側を上にした倒立姿勢の玉葱A1を無端のコンベアからなる搬送路に形成された支持穴C1にセットして排出側(図1中左側)に搬送する搬送装置Cと、前記搬送路の下方にあって芽芯を除去する芽芯除去カッター60と、搬送路の上方にあって、搬送路の往路上に設けられて昇降装置によって昇降し玉葱の根芯を除去する根芯除去装置70と、該根芯除去装置70の前方(往路前方)にあって昇降装置によって昇降し前記玉葱の表皮に対して縦方向に複数個のスリットを入れるスリット形成装置1と、前記搬送路の排出側で、表皮に形成されたスリットに圧搾空気を送って表皮を吹き剥がす表皮剥離装置20とを備えている。
【0010】
即ち、搬送路の上方には、図示省略の制御装置によって、搬送路の往路の進行速度と同期して皮剥作業が完了する距離だけ進動し、前記作業終了後に元の待機位置に戻るように横方向に移動可能に制御されたスライド基台51が設けられているが、この発明では基台51は固定されており、往路の進行が一定間隔で停止するように設定し、停止時に前記各装置70および1を作動させるようにしてもよい。
上記基台51には、根芯除去装置70の昇降装置71と、スリット形成装置1の昇降装置2とが固定されている。
【0011】
本実施例では、根芯除去装置70とスリット形成装置1とが別体の装置からなって、それぞれが昇降装置71、2により昇降して、根芯除去とスリット付与とを個別に行う構成としたが、この発明では、根芯除去とスリット付与とを1台の装置で行うようにしてもよい。
この場合、後述の伸縮ロッドの下端に根芯カッターを取り付けてもよい。
また、本実施例では、根芯除去装置70の往路前方にスリット形成装置1が配置された構成からなっているが、前後を逆に配置してもよい。
【0012】
[根芯除去装置]
根芯除去装置70は、公知構成を用いることができる。
本実施例で一例を示すと、根芯除去装置70は、図1に示すように、前記昇降装置71から垂下する伸縮ロッドの先端に固定されて水平に伸びる昇降プレート72と、該昇降プレート72の下方で支柱73を介して固定された水平に伸びる中間プレート74と、該中間プレート74の下方で伸縮可能な杆材75を介して略等間隔に複数設けられて搬送路上の1つの玉葱に対応する基板76とを有し、該基板76毎にその中央に設けられて、基板76の貫通孔を挿通して玉葱の上部中央に当接可能に配置される根芯カッター77とからなっている。
該根芯カッター77は、制御装置によって、玉葱上部の根芯部分を所定の深さまで切除することができる(図1中、芽芯と根芯をカットした玉葱をA2とする)。
【0013】
[スリット形成装置]
スリット形成装置1は、図3及び図4に明瞭なように、前記昇降装置2から垂下するロッド2aの先端に固定されて水平に伸びる昇降プレート3と、該昇降プレート3の下方で支柱3aを介して固定された水平に伸びる中間プレート4と、該中間プレート4の下方でスペーサー用の杆材4aを介して略等間隔に複数設けられて搬送路上の1つの玉葱A2に対応する基板5と、該基板5毎に設けられて玉葱A2の中央に当接可能に配置されて上下に伸縮するセンターロッド6と、該センターロッド6を中心にした前記基板5の周方向に沿って等間隔に多数(本実施例では6つ)設けられたスリット形成部材8とからなっている。
【0014】
[昇降装置]
昇降装置2は、シリンダーが基台51に固定されており、伸縮ロッドが基台51を貫通して下方に伸びている。
該伸縮ロッド2aの先端(下端)には昇降プレート3が固定されている。
また、スライドブッシュ2cが基台51を貫通して固定されており、該スライドブッシュ2cには、下端が前記昇降プレート3に固定されたガイドロッド2dが昇降自在に取り付けられており、前記伸縮ロッド2aの昇降動に追従して昇降するので、前記昇降プレート3を水平姿勢を維持した状態で平行に昇降させることができる。
【0015】
[昇降プレート]
昇降プレート3は、その裏面で昇降プレート3の中央を中心にして周方向に配置された複数の支柱3aの上端を固定し、下端が下方に離間して水平に配置された中間プレート4の上部に固定されている。
【0016】
[中間プレート]
中間プレート4には、前記搬送路上で横幅方向に同列に並んでセットされた複数(図3では並列に4個)の玉葱A1のそれぞれの個別の玉葱に対応して、芽芯と根芯を切除後の玉葱A2の表皮にスリットを形成するスリット形成装置1が1つづつ取り付けられている。
【0017】
[スリット付与部材]
スリット付与部材8は、前記搬送路上にセットされた1つの玉葱A2に対応して1つ設けられる基板5と、該基板5を前記中間プレート4の下方に離間して中間プレート4に固定するための複数のスペーサー用の杆材4aを有している。
【0018】
前記基板5は円形のプレートからなっており、基板5の中央を貫通して、前記玉葱の中央上部(除去された根芯に対応する位置)に当接可能に配置されて伸縮するセンターロッド6が設けられている。
【0019】
[センターロッド]
該センターロッド6は、その上端が、前記中間プレート4の上部に突設したスライドブッシュ7の中空内に嵌合し、中間プレート4および基板5を貫通して下方に延びていると共に、上下に昇降可能となっている。
【0020】
そして、上記センターロッド6の中間部分に、センターロッド6に外嵌した上下一対のスプリング6Sの位置決めをするスプリングガイド6aを有しており、前記スプリング6Sによりセンターロッド6は、押し上げられると下向きに付勢されるようになっている。
【0021】
このセンターロッド6の下端には、弾性を有する押えヘッド6bが形成されており、前記昇降装置2のロッド2aの下降により、搬送路にセットされた玉葱の中央上部に当接して玉葱が任意の方向に動かないように拘束するようになっている。
【0022】
[スリット形成部材]
スリット形成部材8は、基板5に枢支されて下方へ延びる複数のアーム8Aと、各アーム8Aの下部に軸支されたガイドローラ9と、該ガイドローラ9の外周よりも先端の刃先10aが内向き(センターロッド6に接近する方向)に突出するカッター10とからなっている。
【0023】
前記基板5には、センターロッド6を中心にして、中途位置から外周に伸びる放射状のスリット溝5Gが形成されており、該スリット溝5Gにアーム部8Aの上部8aが挿入されている。
また、基板5上には、前記スリット溝5Gに隣接して、アーム部8Aを枢支する支持プレート5aが固定されている。
【0024】
[アーム部]
アーム部8Aは、基板5の上方に突出する上部8aが基板5の径方向に延びており、該上部8aが、基板5の中央寄りで前記支持プレート5aに枢軸Pで枢着されている。
また、アーム部8Aの上部8aには、上方に突出するスプリング掛止部11が1または複数突設されている。
【0025】
そして、上記スプリング掛止部11に対応する中間プレート4の底面には、スプリング掛止部11と対になってコイルスプリングSの端部を掛止めるためのスプリング掛止部12が設けられており、該スプリング掛止部12は、本実施例では中間プレート4の底面に螺着したネジの頭部を下向きに突設して形成されている。
【0026】
これにより、アーム部8Aが、図3及び図4の待機位置から、前記枢軸Pを支点にして、前記スリット溝5Gに沿って基板5の径方向外側へ枢動変位すると、コイルスプリングSの付勢力が高まりアーム部8Aの下端側を基板5の中央側の待機位置へ復帰させるように付勢する。
【0027】
なお、基板5には、上方に突出して、前記アーム部8Aの上部8aが待機位置まで復帰すると衝合するストッパ5bを設けている。
ストッパ5bはネジを用いているので、ネジの螺進退によりアーム部8Aの上部5aとの衝合位置を微調整することができる。
アーム部8Aは、前記上部8aの中央で、前記スリットを通り下方に延びるアーム本体8bを有している。
このアーム本体8bは、中途位置を外向きに湾曲した略C状に形成されている。
【0028】
[ガイドローラ]
上記アーム本体8bの下部でセンターロッド6寄りの箇所に、ピンP2で軸支されたガイドローラ9が取り付けられており、該ガイドローラ9のセンターロッド6寄りのトレッド面は、アーム本体8bの下部の外端より外側に突出し、アーム本体8bよりもセンターロッド6に接近した位置となるように配置されている。
【0029】
[カッター]
そして、アーム本体8bの下部には、前記ガイドローラ9の枢着位置と重なるように、カッター10が取り付けられている。
カッター10は、図5で明瞭なように、アーム本体8bの下部に着脱可能なカッター取付片13によって固定されている(図5参照)。
【0030】
カッター取付片13は、本実施例では、一対のプレート片からなって、中間に刃部10を差し込んで、該刃部10の基部に設けた穴10cに固定ボルト10bを貫通させて固定し、刃部10を固定したカッター取付片13を、カッター取付片13と前記アーム本体8bの下部とを表から裏に、裏から表に貫通する一対の固定ボルト14の交互取付によって固定している。
【0031】
刃部10の刃先10aの突出位置は固定でもよいが、長さ調整は行えるようにしてもよい。
例えば、刃部10にカッター取付片13との固定用の穴を長さ方向に所定のピッチで複数穿設しておき、その固定時に使用する穴の位置を変更することで長さ調節しているが、刃部10をカッター取付片90の一対のプレートで挟圧する際に、その固定位置を変更するようにしてもよい。
【0032】
この際に、前記刃部10の先端の刃先10aは、前記ガイドローラ9のトレッド面よりセンターロッド6寄りに突出している。
本実施例では、前述のように刃部10はカッター取付片13によってアーム本体8bに取り付けられているので、該カッター取付片13とアーム本体8bとの固着を緩めることで、刃部10を交換することが可能となる。
【0033】
[スリットの形成]
上記構成からなっているので、昇降装置2の伸縮ロッド2aによって、中間プレート4と共に基板5が下降し、センターロッド6の押えヘッド6bがセットされた玉葱の上部に衝合する。
更に、伸縮ロッド2aが下降すると、センターロッド6は玉葱の上部中央で衝合し、該衝合姿勢を維持し、更なる基板5の下降により、付勢力を高めながら相対的に短縮され、一方、スリット形成部材8は下降する。
【0034】
即ち、スリット形成部材8は、図6に示すように、まず、最下端となるガイドローラ9のトレッド面が玉葱の上部に接し、該ガイドローラ8Bが玉葱の略球状の外周面に倣って転動し、アーム部8Aを枢着点Pを基準として拡大方向および復帰方向に枢動させる。
【0035】
そして、ガイドローラ8Bの略中央位置でセンターロッド6の軸線方向に表皮の厚みに対応する所定長さだけ突出する刃部10の刃先10aが玉葱の表皮に差し込まれ、アーム部8Aの下降により、玉葱の外周面が球面状であっても、付勢力を利用して、常に表皮に所定の厚みで切り裂きスリットを形成して行く。
このように、本発明では、玉葱A3の外周面に倣って外周面から一定の厚みでスリットを確実に形成することができる。
そして、既に根芯と芽芯がカットされ、次いで表皮にスリットが形成された玉葱A3は、搬送路の往路先端から落下し、スロープ15を通って表皮剥離装置20まで移動する(図2参照)。
【0036】
[表皮剥離装置]
表皮剥離装置20は、前記スロープ15を通って降下してきた玉葱A3の進入を制御する開閉ゲート21と、前記玉葱を回転させるローラ装置30と、該ローラ装置30上で回転する玉葱A3にエアーを吹き付け、玉葱の表皮のスリットを広げて表皮を玉葱A4から剥ぎ取るエアー吹付け部材25とからなっている。
【0037】
前記スロープ15は、搬送路に並列に並んだ複数(例えば4つ)の玉葱を、それぞれ個別にローラ装置30の手前まで誘導する通路からなっており、本実施例では、スロープ15の途中に開閉可能なストッパ21が設けられており、搬送路から排出されたスリット入りの玉葱の表皮剥離装置20への進入を制御している。
即ち、表皮剥離装置20で表皮が剥離された処理済み玉葱A4が排出されると、前記ストッパが開いて、スリット入り玉葱A3を表皮剥離装置20へ進入させる。
【0038】
[ローラ装置]
前記スロープ15の下方に、スロープ15から落下するスリット入り玉葱A3を受け止めるローラ装置30が配置されている。
該ローラ装置30は、図2及び図8に示すように、前後一対のローラ31、32とからなり、各ローラ31、32は、左右の外側が大径となり、中央が低くなるテーパ面に形成されている。
ここで、排出口へ向かう方向を前方とし、前方のローラ32が配置され、スロープ15側には後方のローラ31が配置されている。
図示例の場合、ローラ31、32は、一方に向かって漸次小径となる横倒した截頭円錐状のローラ構成部31A、32Aを、中間に隙間を隔てて外側が大径となるように左右対称に一対に配置し、前後の回転軸31a、32aに固定している。
【0039】
この一対のローラ構成部からなるローラ31、32は、前後に僅かな隙間を隔てて直列に配置されており、本実施例では前後のローラ31,32が排出方向(前方)へ向かって回転することで前記玉葱A3を前後の回転するローラ31、32の間で回転させる。
また、ローラ31、32から表皮の剥離した玉葱を押出しアーム36により排出方向に押し出す際には、前記ローラ31、32の回転方向を逆転させている。
【0040】
各ローラ31、32の回転面は中央に向かって窪むテーパ状となっており、前後のローラ31、32で囲まれた回転面は前記スロープ15から落下したスリット入り玉葱A3が落下しないように前後のローラの回転軸の距離と回転面の形状が設定されている。
この発明で、ローラの回転方向は上記実施例に限定されず、正逆を反対に変更してもよいし、一方に合わせてもよい。
また、正転と逆転を交互に切り替えて回転させてもよい。
【0041】
この発明では、上記一対のローラ構成部31A、32Aには、前記回転面となる傾斜面に沿って径方向に伸びる隆起部33が1または略等間隔に複数形成されている。
隆起部33は、他の回転面より高くほぼ均一な高さに隆起して直線状に延びており、ローラ31、32の回転によって、回転する前記玉葱に上向きの衝撃を与えて、玉葱が回転しながら跳ね上がるようにしている。
【0042】
ここで隆起部33の高さが高いと、跳ね上がった玉葱がローラから落ちるおそれがあるので、隆起部の高さは、玉葱がローラを超えて落ちない程度の高さに設定される。
図示例で、隆起部は内側から外側まで一連に延びる直線状としたが、部分的な突部や、曲線状の突部など、玉葱と衝合した際に玉葱を痛めることがないなだらかな隆起形状を用いることが好ましく、また、隆起部33の頂部の高さは均一でなくてもよく、またある程度の幅を有するものでもよく、要するに玉葱を跳ね上がらせる形状であればよい。
【0043】
この表皮剥離装置20は、前後一対のローラ31、32からなるローラ装置30の略中央の窪み部分で玉葱が載置される個所の上方に圧搾空気を吐出して玉葱に吹付ける公知のエアー吹付け部材25を設けている。
該エアー吹付け部材25は回転中の玉葱に圧搾空気を吹付けて、スリットを介して玉葱の表皮を吹飛ばす。
【0044】
次に、前方ローラー32の上方には、ローラ32の回転で回転する玉葱が前方へ飛び出さないように規制する開閉可能な柵状のストッパ35が設けられている。
該ストッパ35は、前記スロープ15のストッパ21の開閉と連動しており、ローラ装置30上の玉葱A4を排出する際に枢動して開いて玉葱A4を排出し、排出後に元の位置に戻って閉じる(図2参照)。
【0045】
このストッパ35が閉じると、前記スロープ15のストッパ21が開いてスロープ15上で拘束されていた玉葱A3を落下させてローラ装置30上に移動させることができる。
上記ストッパ21は玉葱A2移動後に閉じる。
上記ストッパの開閉制御は、所定時間経過後に作動するようにしたり、センサを用いて玉葱の有無を検出して作動するようにしてもよい。
そして、玉葱が一対のローラ31、32上にセットされると、該一対のローラ31、32の回転により不規則に回転し、前記エアー吹付け部材25が作動してローラ31、32上の玉葱に圧搾空気を吹付ける。
エアー吹付け部材25は、一対のローラ31、32の回転停止と連動して作動を停止する。
【0046】
前後のローラ31、32の間で後方のローラ31の中央の窪み部分(図示例でローラ構成部31Aと31Aの間の回転軸31aの部分)には、前後一対のローラ31、32間にセットされた玉葱を排出側へ移動させる押出しアーム36の先端が配置されている。
該押出しアーム36は、前記ローラ用のストッパ35が開くと、前記後方のローラ31の中央から前方のローラ32の中央までの間を移動して、ローラ装置30上に載置されている玉葱A4を前方の排出口へ押し出すようになっている。
なお、図中38は、前後一対のローラの左右側面を塞ぐ仕切り壁であって、ローラ上を転動する玉葱の左右方向への脱落を防止している。
【0047】
上記実施例では、スリットを形成する対象物として玉葱を用いた場合を例示したが、その他の凹凸を有する対象物の外表面に均等な深さでスリットを正確に形成する場合に応用することができる。
この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、要するに、この発明の要旨に反しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1 スリット形成装置
2 昇降装置
3 昇降プレート
4 中間プレート
5 基板
6 センターロッド
8 スリット形成部材
9 ガイドローラ
10 刃部
10a 刃先
11、12 スプリング掛止部
13 カッター取付片
15 スロープ
20 表皮剥離装置
21 開閉ゲート
25 エアー吹付け部材
30 ローラ装置
31 後方(スロープ寄り)のローラ
32 前方(排出側)のローラ
36 押出しアーム
38 仕切り壁
50 自動皮剥装置
60 芽芯除去カッター
70 根芯除去装置
【要約】
【課題】玉ねぎの表皮などの対象物の外周面に縦方向に複数のスリットを切り込むためのスリット形成装置に関する。
【解決手段】対象物の上部中央を拘束する伸縮ロッドと、基板に上部が枢着されて伸縮ロッドを中心に複数設けられた中央側に付勢された複数のアームと、前記アームの下方に軸支されて、下端のトレッド面がアーム及び刃部よりも下方に設定されたガイドローラと、前記アームの下方に固定されて、先端の刃先が前記ガイドローラの外周面よりも伸縮ロッド寄りに突出した刃部とからなっており、前記ガイドローラのトレッド面が対象物の外周面に倣って転動することで、刃部の刃先が対象物の外表面を一定の厚みで切り裂いてスリットを形成することを特徴とする。
【選択図】図4(a)
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
図7