(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、水酸基含有化合物、イソシアネート基含有化合物および無機充填材(D)を含有する。
【0013】
本発明に用いる水酸基含有化合物は、ポリブタジエンポリオール(A)を含有する。
【0014】
本発明に用いるポリブタジエンポリオール(A)としてはポリウレタン樹脂に使用される従来公知のものを使用することができ、平均水酸基価が20〜120mgKOH/gであることが好ましい。
【0015】
ポリブタジエンポリオール(A)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物に対して1〜40質量%であることが好ましく、1〜35質量%であることがより好ましく、2〜30質量%であることがさらに好ましい。
【0016】
本発明に用いる水酸基含有化合物には、ひまし油系ポリオール(E)を含有させることも好ましい態様である。前記ポリブタジエンポリオール(A)と前記ひまし油系ポリオール(E)の2種類のポリオール化合物を含有していることから、ポリウレタン樹脂組成物の混合時の相溶性が優れるとともに、ポリウレタン樹脂の冷熱サイクル下における熱的耐久性がより優れたものとなる。ひまし油系ポリオールとしては、ひまし油、ひまし油脂肪酸、及びこれらに水素付加した水添ひまし油や水添ひまし油脂肪酸を用いて製造されたポリオールを使用することができる。このようなポリオールとしては、ひまし油、ひまし油とその他の天然油脂とのエステル交換物、ひまし油と多価アルコールとの反応物、ひまし油脂肪酸と多価アルコールとのエステル化反応物及びこれらにアルキレンオキサイドを付加重合したポリオールなどが挙げられる。
【0017】
ひまし油系ポリオール(E)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物に対して0〜40質量%であることが好ましく、2〜35質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることがさらに好ましい。
【0018】
ポリブタジエンポリオール(A)とひまし油系ポリオール(E)は、水酸基過剰条件下でポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)およびポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(C)と反応させて得られる水酸基末端ウレタンプレポリマーであってもよい。
【0019】
前記ポリブタジエンポリオール(A)と前記ひまし油系ポリオール(E)の混合割合は、100/0〜40/60(質量比)であることが好ましい。上記範囲内とすることにより、ポリウレタン樹脂組成物の混合時の相溶性およびポリウレタン樹脂の冷熱サイクル下における熱的耐久性がより良好となる。
【0020】
本発明に用いるイソシアネート基含有化合物は、ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)およびポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体(C)を含有する。イソシアネート基含有化合物がポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)を含有することにより、ポリウレタン樹脂の冷熱サイクル下における熱的耐久性が優れたものとなる。その理由は明らかではないが、ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体の加水分解抑制効果、ポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体(C)の柔軟構造によるものと推察できる。
【0021】
このようなポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)およびアロファネート変性体(C)としては、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物および芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物をイソシアヌレート変性およびアロファネート変性したものが挙げられる。
【0022】
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0023】
脂環族ポリイソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0024】
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0025】
芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0026】
また、上記ポリイソシアネート化合物のポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)およびポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体(C)のいずれか一方または両方には、ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)およびポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体(C)と、ポリブタジエンポリオール(A)及び/又はひまし油系ポリオール(E)とを反応させてなるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーも使用することができる。
【0027】
これらのうち、反応性、粘度および作業性の観点から、脂肪族ポリイソシアネート化合物または脂環族ポリイソシアネート化合物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体が特に好ましい。
【0028】
ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)およびポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体(C)は、質量混合比が(B):(C)=25:75〜75:25であることが好ましく、(B):(C)=30:70〜60:40であることが、より好ましい。これらの範囲であるとポリウレタン樹脂の高温下および冷熱サイクル下における熱的耐久性、反応性、粘度および作業性の点で好ましい。
【0029】
なお、これらのポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)およびポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体(C)は、それぞれ単独であっても2種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明のポリウレタン樹脂は、イソシアネート基と水酸基とのモル比(NCO/OH)
が、0.5〜1.5であることが好ましい。イソシアネート基と水酸基のモル比がこの範囲より小さいと硬化不良が生じる場合や得られる樹脂の耐熱性が低くなる場合があり、この範囲より大きいと硬化不良が起こる場合があるからである。
【0031】
本発明に用いる無機充填材(D)としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、
窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらのうち、放熱性に優れることから、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素が好ましい。
【0032】
無機充填材(D)の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物に対して、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、60〜85質量%がさらに好ましい。無機充填材(E)の配合量が上記範囲より少ないと、放熱効果が小さくなる傾向があり、上記範囲より多いとポリウレタン樹脂組成物の製造時の混合粘度が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
【0033】
本発明のポリウレタン樹脂組成物には、必要により可塑剤(F)を配合することができる。
【0034】
このような可塑剤(F)としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジウンデシルフタレートなどのフタル酸エステル、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸エステル、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、アセチル化リシノール酸トリグリセリド、アセチル化ポリリシノール酸トリグリセリドなどのひまし油系エステル、トリオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル、テトラオクチルピロメリテート、テトライソノニルピロメリテートなどのピロメリット酸エステル、トリクレジルフォスフェート、トリスキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルホスフェート、トリフェニルフォスフェートなどリン酸エステルなどが挙げられる。
【0035】
上記可塑剤(F)を配合する場合の配合量は、ポリウレタン樹脂組成物に対して0.01〜50質量%であることが好ましく、0.1〜40質量%であることがより好ましい。配合量を上記範囲内とすることにより、ポリウレタン樹脂組成物の耐熱性を大きく低下させることなく、ポリウレタン樹脂組成物の製造時の混合粘度をより低くできる。
【0036】
なお、本発明に用いるポリオール成分には、本発明の効果を損なわない程度に、ポリブタジエンポリオール(A)およびひまし油系ポリオール(E)以外のポリオールを配合することができる。このようなポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオールの水素化物およびポリイソプレンポリオールの水素化物などが挙げられる。
【0037】
また、本発明のポリウレタン樹脂組成物には、触媒、酸化防止剤、吸湿剤、防黴剤、シランカップリング剤など、必要に応じて各種の添加剤を添加することができる。シランカップリング剤としては、例えばアルコキシシラン類、ビニル基含有シランカップリンク剤、エポキシ基含有シランカップリンク剤、メタクリル基含有シランカップリンク剤、アクリル基含有シランカップリンク剤などが挙げられる。
【0038】
本発明のポリウレタン樹脂は、熱伝導率が0.5〜3W/m・Kの範囲であることが好ましい。
【0039】
本発明のポリウレタン樹脂組成物を硬化して得られるポリウレタン樹脂は、冷熱サイクル下における熱的耐久性を有していることから、発熱を伴う電気電子部品に好適に使用することができる。このような電気電子部品としては、トランスコイル、チョークコイルおよびリアクトルコイルなどの変圧器や機器制御基盤が挙げられる。本発明のポリウレタン樹脂を使用した電気電子部品は、電気洗濯機、便座、湯沸し器、浄水器、風呂、食器洗浄機、電動工具、自動車、バイクなどにできる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明のポリウレタン樹脂について詳細に説明する。なお、本明細書中に於ける「部」、「%」は、特に明示した場合を除き、「質量部」、「質量%」をそれぞれ表している。
【0041】
実施例及び比較例において使用する原料を以下に示す。
(ポリブタジエンポリオール(A))
A1:平均水酸基価103mgKOH/gのポリブタジエンポリオール
(商品名:Poly bd R−15HT、出光興産社製)
A2:平均水酸基価47mgKOH/gのポリブタジエンポリオール
(商品名:Poly bd R−45HT、出光興産社製)
(ひまし油系ポリオール(E))
E1: ひまし油
(商品名:ひまし油、伊藤製油社製)
E2: ひまし油脂肪酸−多価アルコールエステル
(商品名:URIC Y−403、伊藤製油社製)
E3:ひまし油脂肪酸−多価アルコールエステル
(商品名:HS 2G 160R、豊国製油社製)
(ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B))
B1:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体
(商品名:デュラネートTPA−100、旭化成ケミカルズ社製)
B2:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体
(商品名:デュラネートTLA−100、旭化成ケミカルズ社製)
(ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(C))
C:ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体
(商品名:デュラネートA201H、旭化成ケミカルズ社製)
(無機充填材(D))
D1:水酸化アルミニウム
(商品名:ハイジライトH−32、昭和電工社製)
D2:水酸化アルミニウム
(商品名:水酸化アルミC−305、住友化学社製)
(可塑剤(F))
F1:トリキシレニルホスフェート
(商品名:TXP、大八化学工業社製)
F2:トリクレジルホスフェート
(商品名:TCP、大八化学工業社製)
F3:ジウンデシルフタレート
(商品名:サンソサイザー DUP、新日本理化社製)
(シランカップリング剤(G))
G1:デシルトリメトキシシラン
(商品名:KBM−3103、信越化学工業社製)
G2:ビニルトリメトキシシラン
(商品名:KBM−1003、信越化学工業社製)
G3:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(商品名:KBM−403、信越化学工業社製)
G4:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(商品名:KBM−503、信越化学工業社製)
(触媒(H))
H:ジオクチル錫 ジラウレート
(商品名:ネオスタンU−810、日東化成社製)
(酸化防止剤(I))
I:ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(商品名:イルガノックス1010、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
【0042】
<実施例1〜22及び比較例1〜3>
表1に示す配合により、各実施例及び各比較例のポリウレタン樹脂に用いる、ポリウレタン樹脂組成物を調製した。調製に際しては、表1に示す成分のうち、ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)、ポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体(C) および触媒(H)を除く成分を混合機(商品名:あわとり練太郎、シンキー社製)を用いて2000rpmで1分間混合した後、25℃に調整した。続いて、この混合物に25℃に調整したポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)、ポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体(C)を加え、同上の混合機を用いて2000rpmで30秒間混合することにより、各実施例のポリウレタン樹脂に用いる、ポリウレタン樹脂組成物を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
<評価方法>
(相溶性)
別途、無機充填材(D)、可塑剤(F)および触媒(H)を除く成分を前記混合機を用いて混合し、25℃で5分間静置した後、混合液の濁り有無を目視にて確認した。
○:濁りなし
×:濁りあり
【0045】
(熱伝導率)
上記ポリウレタン樹脂組成物を6cm×12cm×1cmの金型に流し込み、80℃で16時間養生した後、これを脱型し、さらに25℃で24時間静置することにより熱伝導率測定用の試験片を作成した。熱伝導率は、熱伝導率計(京都電子工業(株)製、QTM−D3)を用いてプローブ法にて測定した。
【0046】
(耐熱性(高温下における熱的耐久性評価))
1.試験片の作成
上記ポリウレタン樹脂組成物を直径5cm、高さ3cmの金型に流し込み、80℃で16時間養生した後、これを脱型することにより、耐熱性評価用の試験片を作成した。
2.内部メルトの評価
125℃、4日間の耐熱性試験前後のポリウレタン樹脂を2等分し、切断面の中央の硬度(タイプA)をJIS K6253に従って測定し、耐熱性試験前の硬度に対する耐熱性試験後の硬度の割合を硬度保持率(%)とし、下記の通り評価した。
○:硬度保持率が60%以上
×:硬度保持率が60%未満
【0047】
(耐熱性(冷熱サイクル下における熱的耐久性評価))
1.試験片の作成
前記高温下における熱的耐久性評価に用いた試験片と同様の方法で、耐熱性評価用の試験片を作成した。
2.応力の測定
インストロン万能試験機を用い、下部を固定した上で23℃から125℃に昇温させ、
昇温前後の上部に掛かる応力の差を読み取った。なお昇温後の応力は、応力が平衡に達した後の値を読み取った。
3.冷熱サイクル下における耐久性の評価
−10℃で30分、昇温時間1時間、125℃で30分、降温時間1時間を1サイクルとしたものを30サイクル繰り返す条件における冷熱サイクル前後において、前記応力の評価を行った。冷熱サイクル前の応力に対する冷熱サイクル後の応力の割合を応力保持率(%)とし、下記の通り評価した。
○:応力保持率が75%以上125%以下
×:応力保持率が75%未満および125%より大きい
【0048】
<評価結果>
実施例1〜22から分かるように、本発明のポリウレタン樹脂組成物は、混合粘度が使用可能な範囲であり、また、相溶性に優れている。さらに、得られるポリウレタン樹脂は良好な熱伝導率と冷熱サイクル下における熱的耐久性とを有していることが分かる。
【0049】
一方、比較例1、2のように、イソシアネート基含有化合物としてポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B)のみ用いた場合には、硬化して得られるポリウレタン樹脂の冷熱サイクル下における熱的耐久性が劣ることがわかる。
【0050】
また、比較例3のように、イソシアネート基含有化合物としてポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体(C)のみ用いた場合には、イソシアヌレート変性体ではないポリイソシアネート化合物を用いた場合には、硬化して得られるポリウレタン樹脂の高温下における熱的耐久性および冷熱サイクル下における熱的耐久性が劣ることがわかる。