特許第5787453号(P5787453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社アクアテックの特許一覧

特許5787453凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5787453
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 19/00 20060101AFI20150910BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20150910BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
   F25B19/00 Z
   F25B1/00 381Z
   F24F1/00 361C
【請求項の数】5
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-249516(P2014-249516)
(22)【出願日】2014年12月10日
【審査請求日】2014年12月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500255753
【氏名又は名称】有限会社アクアテック
(74)【代理人】
【識別番号】100100088
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 和雄
(72)【発明者】
【氏名】浜野 良平
(72)【発明者】
【氏名】浜野 充子
(72)【発明者】
【氏名】浜野 晃輔
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−003806(JP,A)
【文献】 特開2003−185189(JP,A)
【文献】 特開2013−000709(JP,A)
【文献】 特開2006−125775(JP,A)
【文献】 特開2001−153587(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3136955(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第01243865(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 19/00
F24F 13/22
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置される室外機(1)の凝縮器(3)の風上側に近接して保水材(30)を配設し、
前記保水材(30)は、上方の給水装置(70)より滴下される水により湿潤されて、気化する際の潜熱にて吸気された空気の温度を低下させるものであり、
この温度が低下した空気により前記凝縮器(3)を冷却させ、
前記保水材(30)から流下した水を水回収装置(13)にて回収し、
前記水回収装置(13)の水をポンプ(14)を駆動して給水管(15)を介して前記保水材(30)へ循環させるようにした凝縮器の補助冷却システムであって、
前記給水装置(70)は、
前記給水管(15)からの水(67)が供給される給水パイプ(71)と、前記給水パイプ(71)から落下した水(67)を受け、該水(67)を点状から線状、さらには線状から面的に分水させて前記保水材(30)の上面に落下させる分水部(73)とで構成されており、
前記分水部(73)は、
上面を平面とし断面が四角形状の第1のガイド片(81a)を所定の間隔毎に多数列設した第1の分水体(81)と、
上面を平面とし断面が四角形状の第2のガイド片(82a)を所定の間隔毎に多数列設した第2の分水体(82)とで少なくとも構成されており、
前記第1の分水体(81)の下層に前記第2の分水体(82)が配設され、
前記第1の分水体(81)の第1のガイド片(81a)と、前記第2の分水体(82)の第2のガイド片(82a)とは交差させており、
前記第1の分水体(81)の第1のガイド片(81a)の上面には、該第1のガイド片(81a)の上面を伝って一方側に水(67)が流出するのを防止する第1の止水部(87)を設けていることを特徴とする凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置。
【請求項2】
前記給水パイプ(71)の上面に水(67)を流出させる穴(78)を所定の間隔毎に直線状に複数穿孔していることを特徴とする請求項1に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置。
【請求項3】
前記給水パイプ(71)の上方には、前記穴(78)から勢いよく噴出した水(67)を下方へ反射させる反射板72を配設していることを特徴とする請求項2に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置。
【請求項4】
前記第1の分水体(81)の第1のガイド片(81a)と、前記第2の分水体(82)の第2のガイド片(82a)とは直交あるいは斜めに交差させていることを特徴とする請求項1に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置。
【請求項5】
前記分水部(73)の最下層のガイド片の下面には、該ガイド片の下面を伝って一方側に水(67)が流出するのを防止する第2の止水部(88)を設けていることを特徴とする請求項1または請求項4のいずれかに記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調、冷凍、冷蔵装置等に用いられて、夏場等の外気温が高い時に空気調和機の凝縮器の吸い込み空気の温度を冷却するための凝縮器の空気冷却システムに関するものであり、より詳しくは凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
夏場等の外気温が高い時に空気調和機の凝縮器の吸い込み空気の温度を冷却するためのこの種の凝縮器の空気冷却システムとして、例えば、本出願人が既に出願した下記に示す特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5459745号公報(公開日平成26年(2014 年)4月2日)
【0004】
上記特許文献1は図30図37に示すような構成となっている。図30は室外機1の吸い込み空気の上流側に補助冷却装置10を設置した場合の凝縮器の空気冷却装置の概略構成を示しており、また、図31図30のA方向から見た概略正面図を示している。
室外機1は、周知の構成であるため、詳細な説明は省略するが、室外機1のケース2の一方には凝縮器3が配置され、ケース2の上部には冷却ファン4が設けられている。なお、図示例では冷却ファン4をケース2の上部に設けているが、凝縮器3に対向した位置に冷却ファン4が設けられている場合もある。
【0005】
補助冷却装置10は、気化式空気冷却装置11と、この気化式空気冷却装置11から排水管12を介して排水される水を回収する水回収装置13と、この水回収装置13に貯溜している水をポンプ14を介して前記気化式空気冷却装置11側に送る給水管15と、この給水管15からの水を気化式空気冷却装置11の上面に給水する給水装置16等で構成されている。
【0006】
なお、図30では給水管15を室外機1より右方に描いているが、実際の施工は室外機1の左方で、気化式空気冷却装置11の側面に配管されるようになっている。しかし、補助冷却装置10の気化式空気冷却装置11は、凝縮器3の吸い込み空気の上流側に該室外機1に近接して配置されるが、他の水回収装置13や給水管15は任意の箇所に配置、施工される。
【0007】
気化式空気冷却装置11は、図31に示すように、凝縮器3の大きさとほぼ同じか、若干大きめの大きさとしており、気化式空気冷却装置11にて凝縮器3の空気の吸い込み面を覆う大きさである。
【0008】
図32は、周知な冷凍サイクルを示し、冷凍サイクルは、凝縮器3、圧縮器5、室内に設置される室内機内の蒸発器6、膨張弁7等で構成されており、それぞれ冷媒管8にて接続されている。
冷房運転時では、圧縮器5で冷媒管8内の冷媒が圧縮されて、冷媒は高温ガスになり、凝縮器3内を冷却ファン4にて気化する際の水の潜熱にて一定の温度に下げられ冷媒ガスは液化する。膨張弁7にて冷媒の圧力は急激に下げられ、冷媒ガスの潜熱で冷たくなり、蒸発器6で部屋の温度を熱交換を行ない、室内機から冷風が部屋内に送られて冷房が行なわれる。
【0009】
ここでは、水回収装置13内の水をポンプ14、給水管15を介して気化式空気冷却装置11へ循環させ、気化式空気冷却装置11内では水が気化する際の潜熱を利用して気化式空気冷却装置11内で吸気された空気の温度を低下させ、この低下させた空気にて凝縮器3を冷却させるものである。
気化式空気冷却装置11内を流下した水は排水管12を介して水回収装置13に回収される。
【0010】
図30に示すように、水回収装置13へは、水道水等の補給水が補給水管20から供給されるようになっており、補給水管20にはフロート弁21が介装されている。このフロート弁21は、液面に浮かぶフロート22が液面の高さに応じて上下方向に移動することにより開閉する弁である。
水回収装置13の液面が所定の高さ以下になると、フロート22が下降してフロート弁21が開いて補給水管20から水が供給される。また、補給水が供給されていって液面が所定の高さ以上になると、フロート22が上昇してフロート弁21が閉じられ、補給水管20からの水の供給が停止される。
【0011】
気化式空気冷却装置11へ水回収装置13からの水を循環させて給水する給水装置16は、気化式空気冷却装置11の幅方向と略同じ長さとし、例えばパイプに複数の穴を穿孔しておき、これらの穴から水を気化式空気冷却装置11の上面に滴下ないし散水するものである。
【0012】
なお、図31に示すように気化式空気冷却装置11の下部には排水樋25が設けられており、この排水樋25の端部に排水管12が接続されて、気化式空気冷却装置11から流下した水は水回収装置13へ回収されるようになっている。
【0013】
次に、気化式空気冷却装置11の構成について説明する。気化式空気冷却装置11は、図30に示すように、外気が矢印に示すように吸い込まれて吐出される保水材30にて構成されている。なお、この保水材30は、一般に通称クーリングパッド( Cooling Pad )と呼ばれ、木材のチップを加工した紙質と、ポリエチレンと、ガラス繊維で構成され従来より市販されている。
また、このクーリングパッドは、主に畜舎並びに園芸用施設の温度を下げるために用いられるものであり、日本では、無窓畜舎、施設園芸用温室で広く使用されているものである。
【0014】
図33図36は保水材30の作り方を示しており、保水材30の構造を理解し易いように、この保水材30の構造について説明する。図33において、波形形状をした波板材51を多層に積層して形成するものであり、それぞれの波板材51は、強固に加工された紙で出来ている。なお、波板材51の波形形状で形成されて連続して形成される溝52が、空気の流通路となる。
上下の波板材51を吸気方向に対して互い違いに任意の角度、例えば、30°前後に組み合わせ、上の波板材51の波の下側の頂点と、下の波板材51の波の上側の頂点と交差する点、つまり、図34に示す黒丸(●)の部分を接着剤にて接着し、上下の波板材51を接着固定する。
【0015】
このようにして波板材51を多数積層したのが図35に示す保水材本体55であり、この保水材本体55を図中矢印のイ方向にカッター等にて切断することで、任意の厚みの保水材片56を得る。そして、図36に示すように、縦方向、横方向の矢印ロ、ハに示すようにカッター等にて切断することで、任意の大きさの保水材30を形成することができる。
【0016】
なお、保水材30は、任意の厚みや大きさを容易に製作することができ、また、波板材51を上下に積層する際に、波板材51を任意の角度で傾斜して積層することで、外気の吸気方向に対する波板材51の各溝52の傾斜角度も任意に形成することができる。また、図33に示すように、溝52の幅寸法Lや高さ寸法Hを任意に製作することができる。
【0017】
図37は上記のようにして製作された保水材30の要部拡大断面図を示し、保水材30の右方に凝縮器3が位置し、左方から矢印に示すように空気が保水材30の溝52(以後、この溝を「空気流通路」と称する。)を通過する。
この実線で示している空気流通路52は例えば、30°の傾きで上昇し、この実線で示されている空気流通路52と幅方向で隣接し、破線で示している空気流通路52は、例えば、30°の傾きで下降している構成となっている。これらの空気流通路52が保水材30の上下方向及び左右方向に連続して形成されている。
【0018】
この保水材30に給水装置16からの水が滴下され、保水材30自体に水が吸水されて湿潤状態となり、同時に保水材30の表面、つまり各空気流通路52の表裏の面を水が流下していき、保水材30に吸収されなかった水は保水材30の表面を伝って水回収装置13へと流れて回収される。
【0019】
特に、保水材30の材料として上述したように、木材のチップを加工した紙質と、ポリエチレンと、ガラス繊維で構成しているので、保水材30自体に水が吸収されて湿潤状態となり、保水材30から気化する際の潜熱にて保水材30側に吸気された空気の温度を低下させることができる。これにより、凝縮器3を効率良く冷却することができる。
つまり、気化式空気冷却装置11に水を循環させることにより、気化式空気冷却装置11を通過する室外機1の吸い込み温度が気化潜熱で外気温度よりも下がり、且つ加湿効果により冷房能力の向上を図ることができる。
【0020】
このように従来では、室外機1の凝縮器3の空気の吸い込み側に配設した気化式空気冷却装置11に水を循環させることにより、補給水は蒸発した水の分だけとなり、水道代の上昇を抑えるようにしている。
また、凝縮器3を冷却させることで、空気調和機全体の消費電力を抑えることができるので、水を循環させるためのポンプ14の電気代は、微々たるものであり、全体としての消費電力を抑えている。
【0021】
このように、1台の室外機1に対しては、室外機1の吸い込み空気の上流側に1組の補助冷却装置10を設置することで、上述の効果を得ていた。ここで、複数台、例えば4台の室外機1を横方向に配設している場合には、図38に示すようにしていた。
【0022】
図38(a)は4台を横方向に列設した室外機1の平面図を示し、図38(b)は吸い込み空気の上流側から見た図であり、開口部分を介して凝縮器3が見えている。室外機1の横方向や縦方向の寸法は、該室外機1の能力に応じて決まっており、また、図39に示すように、上記保水材30の大きさも、室外機1の大きさに合わせて2つを組み合わせて用いている。
【0023】
ここで、図39に示すように、2枚の保水材30a、30bにて室外機1の大きさに合わせた保水材30とし、この保水材30やこの保水材30を支持する四角状の枠43とで冷却パネル40が構成される。この冷却パネル40の大きさは、1台の室外機1の大きさにほぼ対応しており、各室外機1に対向して冷却パネル40がそれぞれ配設されている。
【0024】
このように、室外機1の大きさに対応させた冷却パネル40を、各室外機1に配設した状態を図39に示す。図39(a)は平面図を、(b)は正面図をそれぞれ示している。各冷却パネル40へは給水管15から各分岐部35を経て、各支管33を介して給水され、また、冷却パネル40から排水される水は各支管34を介し、さらに排水管12を経て水回収装置13へと水が循環されるようになっている。
なお、図39に示しているのは、上記特許文献1の従来例での冷却パネル40を4台配設した場合の各冷却パネル40の保水材30への給水の配管を示しているものである。
【0025】
また、図40は、上記特許文献1の実施形態を示しているものである。すなわち、1台の室外機1に対して1つの冷却パネル40を配設するのではなく、保水材30自体を並設して配設するようにしている。
【0026】
排水路を兼ねた長尺物の支持台60に複数の保水材30を隣接して配置しているものであり、この支持台60は、室外機1の下端より若干下方に位置させて、床面より支柱等により設けている。また、支持台60の長さは、複数台の室外機1の横方向の長さを足した長さより少し長く形成している。
保水材30の上部に配置する給水装置16は、下側の支持台60とは異なり、各室外機1にそれぞれ対応させている。よって、図示例では、室外機1を4台並設しているので、給水装置16は4台用いている。
【0027】
給水装置16は、図41に示すような構成としており、図41(a)は給水装置16の断面図を示し、図41(b)は給水装置16内に設けている給水板62の平面図を示している。給水板62には、多数の穴63が長手方向に沿って穿孔されており、給水装置16の上部より挿入されている支管33より流入した水が給水板62上に落ち、さらに各穴63より水が保水材30の上面に滴下する。そして、保水材30内に水が上述したように浸透していき、保水材30が湿潤状態となり、吸い込んだ空気を冷却させるようになっている。
【0028】
図40に示す例では、定格寸法の保水材30を使用しており、1台の室外機1に対して2枚の保水材30を用いている。したがって、4台の室外機1に対して8枚の保水材30を隣接して並設した場合には、両側の保水材30の端部は室外機1よりはみ出してしまうことになる。しかし、保水材30の端部が室外機1よりはみ出すことは、室外機1の凝縮器3を全面的にカバーすることになり、冷却した空気を凝縮器3へ送り、効率良く凝縮器3を冷却することができるようにしている。
【0029】
図42に示すように、支持台60は断面を略コ字型として、上面を開口し、底面は排水路となるために閉塞されている。支持台60の両側には長尺物、あるいは短尺物の台座64を該支持台60の長手方向に沿って配置しており、この台座64の上に保水材30を配設するようにしている。
そして、両側の台座64の中央部分を保水材30から滴下した水を排水(循環)させるための排水路65としている。
【0030】
また、図42に示すように、支持台60に配置した保水材30の上部に給水装置16を配置し、上下の給水装置16と支持台60とで保水材30を保持している。なお、図40(b)に示すように、1つの給水装置16にて2枚の保水材30を保持している。なお、図40(a)では、給水装置16を外した状態を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
図43及び図44は、給水装置16から保水材30へ給水している状態を示しており、図43は正面から見た断面図を、図44は側面から見た断面図をそれぞれ示している。支管33を介して給水装置16内に給水された水は、給水板62の各穴63から保水材30の上面に落下する。
給水板62は図41(b)に示すように、給水板62の略中央の長手方向に沿って一直線状に穿孔されているために、給水板62の穴63の下方の保水材30の上面に一直線状に落下する。
【0032】
図45は、保水材30の上面を示し、理解し易いように、落下した水67を黒色で描いている。図45に示すように、保水材30の上面へは、水67が点状に落下し、それが所定の間隔毎に水67が点状に落下した状態となり、その後、点状の水67は保水材30に浸透していく。
ポンプ14の能力を上げると給水装置16からの水67を勢い良くすることができて、点状の部分の水67の面積をある程度大きくできるものの、給水装置16から落下した水67は保水材30の上面で跳ねてしまい、ほとんどの水67は保水材30の外側に落下してしまう。
【0033】
かかる場合、大量の水を無駄にしてしまうことになり、水道代が高額になってしまうという問題が生じる。また、ポンプ14も能力が大きいものが必要となり、電気代も高価になり、ランニングコストがアップすることになる。
無駄に水を使わずに、ポンプ14の能力も必要最小限のものを使用することで、ランニングコストを下げることができる。そのためには、保水材30が湿潤状態へとすべく、給水装置16からの水67は勢い良くする必要はなく、チョロチョロと落下させれば良い。
すなわち、給水装置70から保水材30への給水は少しの量にしないと、ポンプ14の能力が大きくなり、消費電力が多くなって、ランニングコストがアップすることになる。
【0034】
しかしながら、勢いを持たせずに水を落下させると、保水材30の上面には図45に示すように水67は点状となり、なかなか保水材30の上面で周囲に広がっていかない。室外機1の凝縮器3を効率良く冷却するためには、保水材30の内部の全体に水を湿潤させる必要がある。
実際の実験結果では、所々で水が湿潤しない箇所が縦方向に幾つか見られた。かかる場合には、保水材30にて効率良く空気を冷却することができなくなる。
【0035】
そこで、本発明者は、図46に示すように、給水装置16の下方に厚みのある不織布68を配設した。給水装置16から点状に落下した水は、不織布68に直ぐに全体的に浸透していき、不織布68の下面から広い面積で水が保水材30の上面に落下させることができた。そのため、室外機1の凝縮器3を効率良く冷却することができた。
【0036】
しかしながら、保水材30の表面は露出しているために、保水材30の表面に付着しているホコリやゴミが補助冷却装置10を循環することになる。そのため、不織布68がフィルタ機能を発揮し、この不織布68にてホコリやゴミを捕集してしまい、水の流れが悪くなり、不織布68を早く交換しなければならないという問題が発生した。不織布68を早く交換することはランニングコストがアップすることになり、不織布68を用いることはできないということになった。また、水の流れが悪くなり、保水材30への給水も悪くなった。
【0037】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、保水材の上面に水を落下させる面積を広くして、保水材の全体にわたって水を湿潤させることで、凝縮器を効率良く冷却することを目的とした凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0038】
そこで、本発明の請求項1に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置では、屋外に設置される室外機1の凝縮器3の風上側に近接して保水材30を配設し、
前記保水材30は、上方の給水装置70より滴下される水により湿潤されて、気化する際の潜熱にて吸気された空気の温度を低下させるものであり、
この温度が低下した空気により前記凝縮器3を冷却させ、
前記保水材30から流下した水を水回収装置13にて回収し、
前記水回収装置13の水をポンプ14を駆動して給水管15を介して前記保水材30へ循環させるようにした凝縮器の補助冷却システムであって、
前記給水装置70は、
前記給水管15からの水67が供給される給水パイプ71と、前記給水パイプ71から落下した水67を受け、該水67を点状から線状、さらには線状から面的に分水させて前記保水材30の上面に落下させる分水部73とで構成されおり、
前記分水部73は、
上面を平面とし断面が四角形状の第1のガイド片81aを所定の間隔毎に多数列設した第1の分水体81と、
上面を平面とし断面が四角形状の第2のガイド片82aを所定の間隔毎に多数列設した第2の分水体82とで少なくとも構成されており、
前記第1の分水体81の下層に前記第2の分水体82が配設され、
前記第1の分水体81の第1のガイド片81aと、前記第2の分水体82の第2のガイド片82aとは交差させており、
前記第1の分水体81の第1のガイド片81aの上面には、該第1のガイド片81aの上面を伝って一方側に水67が流出するのを防止する第1の止水部87を設けていることを特徴としている。
【0039】
請求項2に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置では、前記給水パイプ71の上面に水67を流出させる穴78を所定の間隔毎に直線状に複数穿孔していることを特徴としている。
【0040】
請求項3に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置では、前記給水パイプ71の上方には、前記穴78から勢いよく噴出した水67を下方へ反射させる反射板72を配設していることを特徴としている。
【0042】
請求項4に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置では、前記第1の分水体81の第1のガイド片81aと、前記第2の分水体82の第2のガイド片82aとは直交あるいは斜めに交差させていることを特徴としている。
【0044】
請求項5に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置では、前記分水部73の最下層のガイド片の下面には、該ガイド片の下面を伝って一方側に水67が流出するのを防止する第2の止水部88を設けていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0045】
本発明の請求項1に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置によれば、給水装置70は、
前記給水管15からの水67が供給される給水パイプ71と、前記給水パイプ71から落下した水67を受け、該水67を点状から線状、さらには線状から面的に分水させて前記保水材30の上面に落下させる分水部73とで構成されているので、保水材30の上面に落下させる水67は、従来の点状ではなく、比較的大きな面となって水67を落下させることができる。これにより、保水材30全体にわたって早期に湿潤状態とすることができ、従来のように、保水材30の一部の箇所に水が流れずに、空気の冷却がされないということを防ぐことができる。したがって、本分水部73を用いることで、室外機1の凝縮器3を効率良く冷却させることができる。
また、分水部73にて、給水パイプ71から落下した水67は、点状から線状、線状から面的と広がっていくものであり、そのため、給水パイプ71から保水材30への給水を多くして面的に広げる必要がない。これにより、給水パイプ71から保水材30への給水は少しの量でよく、ポンプ14の能力も小さなもので良く、それにより、ポンプ14の消費電力も少なくなり、全体のランニングコストを低下させることができる。
また、分水部73は、上面を平面とし断面が四角形状の第1のガイド片81aを所定の間隔毎に多数列設した第1の分水体81と、上面を平面とし断面が四角形状の第2のガイド片82aを所定の間隔毎に多数列設した第2の分水体82とで少なくとも構成されており、前記第1の分水体81の下層に前記第2の分水体82が配設され、前記第1の分水体81の第1のガイド片81aと、前記第2の分水体82の第2のガイド片82aとは交差させていることで、給水パイプ71から落下した水67を、順次、点から線状、線状から面へと保水材30へ給水する水67を広げることができる。
さらに、第1の分水体81の第1のガイド片81aの上面には、該第1のガイド片81aの上面を伝って一方側に水67が流出するのを防止する第1の止水部87を設けていることで、第1の止水部87により、分水部73が傾斜して配置された場合でも、分水部73の上面に落下した水67を一方側に水67が流れるのを防いで、広範囲にわたって水を落下させることができる。
【0046】
請求項2に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置によれば、給水パイプ71の上面に水67を流出させる穴78を所定の間隔毎に直線状に複数穿孔していることで、穴78から流出した水は給水パイプ71の両側の表面を伝って分水部73へと落下していく。特に穴78から出た水は給水パイプ71の表面を広がるように伝うので、分水部73の上面には大きな面積の点状、あるいは線状に水を落下させることができる。
【0047】
請求項3に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置によれば、給水パイプ71の上方には、前記穴78から勢いよく噴出した水67を下方へ反射させる反射板72を配設しているので、給水パイプ71の直下方以外の第1の分水体81のガイド片81aの部分に落下し、そのため、その落下した箇所から、点から線状、線状から面へと保水材30へ給水する水67を広げることができる。
【0049】
請求項4に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置によれば、第1の分水体81の第1のガイド片81aと、前記第2の分水体82の第2のガイド片82aとは直交あるいは斜めに交差させているので、第1のガイド片81aと、第2のガイド片81aとを直交させている場合は、第1の分水体81、第2の分水体82の製作が容易にでき、また、第1のガイド片81aと、第2のガイド片81aとを斜めに交差させている場合は、第1、第2のガイド片81a、82aを1種類で構成でき、在庫管理を容易にすることができる。
【0051】
請求項5に記載の凝縮器の補助冷却システムにおける給水装置によれば、分水部73の最下層のガイド片の下面には、該ガイド片の下面を伝って一方側に水67が流出するのを防止する第2の止水部88を設けていることで、第2の止水部88により分水部73が傾斜して配置された場合でも、分水部73の内部で下方に伝っていく水67を一方側に水67が流れるのを防いで、広範囲にわたって水を落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の実施の形態における給水装置の分解図である。
図2】本発明の実施の形態における給水装置及び保水材を正面から見た図である。
図3】本発明の実施の形態における給水装置を側面から見た断面図である。
図4】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における給水パイプの正面図、側面図及び平面図である。
図5】本発明の実施の形態における給水パイプの断面図である。
図6】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における反射板の平面図、側面図及び正面図である。
図7】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における分水部の平面図、側面図及び正面図である。
図8】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における止水部を設けた実際の分水部の平面図、側面図及び正面図である。
図9】本発明の実施の形態における分水部の背面図である。
図10】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における各ガイド片の厚みを薄くして構成した分水部の平面図、側面図及び正面図である。
図11】本発明の実施の形態における各ガイド片を斜めに交差させて構成した分水部の平面図である。
図12】本発明の実施の形態における給水パイプの穴から水が流出する場合の動作説明図である。
図13】本発明の実施の形態における給水パイプから分水部へと水が落下する場合の動作説明図である。
図14】本発明の実施の形態における給水パイプから分水部へと水が落下する場合の動作説明図である。
図15】本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図16】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図17】本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図18】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図19】本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図20】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図21】本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図22】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図23】本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図24】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図25】本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図26】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図27】本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図28】(a)〜(c)は本発明の実施の形態における分水部で水がガイド片を伝って落下していく場合の動作説明図である。
図29】本発明の実施の形態における保水材の上面に水が面的に落下している状態を示す動作説明図である。
図30】室外機の凝縮器の補助冷却装置を示す概略構成図である。
図31】補助冷却装置を正面から見た概略図である。
図32】冷凍サイクルを示す図である。
図33】保水材を製作する場合の説明図である。
図34】保水材を製作する場合の説明図である。
図35】保水材を製作する場合の説明図である。
図36】保水材を製作する場合の説明図である。
図37】保水材の要部拡大断面図である。
図38】(a)(b)は複数台の室外機を設置した場合の平面図及び正面図である。
図39】(a)(b)は従来例の冷却パネルを室外機に複数設置した場合の平面図及び正面図である。
図40】(a)(b)は他の従来例の支持台に複数の保水材を隣接して配置した場合の平面図及び正面図である。
図41】(a)は他の従来例の給水装置70の断面図であり、(b)は給水板の平面図である。
図42】従来例の保水材を支持台に配置している状態の断面図である。
図43】従来例の保水材に給水する場合の正面から見た断面図である。
図44】従来例の保水材に給水する場合の側面から見た断面図である。
図45】従来例の保水材の上面に落下した水を示す説明図である。
図46】従来例の給水装置の下方に不織布を配設した場合の正面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。本発明は、保水材30へ水を給水するための装置であり、その給水装置70以外の構成は従来例と同じである。凝縮器の補助冷却システム自体は従来例と同様であり、従来例と同様の機能を発揮する部材には同一の番号を付して説明は省略する。
【0054】
図1は、保水材30の上面側に配設する給水装置70の分解図を示しており、上述したように保水材30、支管33等は従来と同様である。室外機1が1台の場合では、支管33は用いないので、給水管15の先端部分が給水装置70に直接に接続されることになる。
【0055】
上記給水装置70は、略T字状でパイプ状の給水パイプ71と、この給水パイプ71の両側の上方にそれぞれ配置される略円弧状の反射板72と、給水パイプ71の下方に配置されて、給水パイプ71から落下した点状の水を、線状、さらには面的へと分水させる分水部73とで構成されている。
【0056】
図2は、給水装置70を正面から見た図であり、図3は側面から見た断面図である。なお、図2及び図3において、給水パイプ71、分水部73及び保水材30の間隔は理解し易いように少しあけているが、実際は、それぞれは近接している。
【0057】
次に、給水装置70の各構成部材について説明していく。図4は給水パイプ71を、図5は給水パイプ71の断面図をそれぞれ示している。図4(a)は、給水パイプ71の正面図を、図4(b)は給水パイプ71の側面図を、図4(c)は給水パイプ71の平面図をそれぞれ示している。
給水パイプ71は、例えば合成樹脂製の材料からなり、円筒状で両側にはキャップ76が装着されていて、給水パイプ71の両側はキャップ76にて閉塞されている。
【0058】
給水パイプ71の上面の略中央部分には、上面を開口した筒部77が一体的に突設されていて、この筒部77に支管33あるいは給水管15が接続されるようになっている。
また、給水パイプ71の上面には多数の穴78が所定の間隔毎に略直線状に穿孔されている。給水パイプ71内には支管33を介して水が供給され、給水パイプ71内に満杯となった水が上記穴78から流出するようにしている。
【0059】
図6は、給水パイプ71の両側の上方に間隔を少し開けて配置される反射板72を示し、図6(a)は反射板72の平面図を、図6(b)は反射板72の側面図を、図6(c)は反射板72の正面図をそれぞれ示している。
反射板72は、断面を略円弧状に形成されており、例えば、合成樹脂製の材料を用いている。この反射板72は、図3に示すように、給水パイプ71の穴78から水が勢い良く噴出した場合、反射板72の内面にて水を下方へ反射させるためのものである。
【0060】
次に、分水部73について説明する。図7(a)は分水部73の平面図を、図7(b)は分水部73の側面図を、図7(c)は分水部73の正面図をそれぞれ示している。
分水部73は、本実施形態では例えば、4層構造としており、上から順に第1の分水体81、第2の分水体82、第3の分水体83及び第4の分水体84で構成されている。
【0061】
第1の分水体81は、細長状で四角柱状の横方向に長いガイド片81aが前後方向に所定の間隔をあけて構成されている。この多数のガイド片81aにて第1の分水体81を構成している。
また、第2の分水体82は、第1の分水体81のガイド片81aと直交する形で、ガイド片82aが横方向に所定の間隔をあけて構成されており、多数のガイド片82aにて第2の分水体82を構成している。
【0062】
第2の分水体82のガイド片82aの長さは、第1の分水体81のガイド片81aの長さより短くなっている。ガイド片82aの長さは、保水材30の幅方向の寸法と略同じであり、ガイド片81aの長さは、保水材30の横方向の寸法と略同じである。
【0063】
第3の分水体83も第1の分水体81の構成と略同じであるが、第3の分水体83のガイド片83aは、図7(b)に示すように、第1の分水体81のガイド片81aとは前後方向にずらせて配置している。
また、第4の分水体84も第2の分水体82の構成と略同じであるが、第4の分水体84のガイド片84aは、図7(c)に示すように、第2の分水体82のガイド片82aとは横方向にずらせて配置している。
【0064】
なお、第1の分水体81のガイド片81aと、第3の分水体83のガイド片83aとは、同じ形状であり、また、第2の分水体82のガイド片82aと、第4の分水体84のガイド片84aも同じ形状である。
【0065】
ここで、図7(a)においては、第1の分水体81のガイド片81aと第2の分水体82のガイド片82aのみを描いている。これは、第3の分水体83のガイド片83a及び第4の分水体84のガイド片84aも描くと線ばかりが表現されてしまい、理解しにくくなるからである。
また、図7(b)(c)では、ガイド片81a〜84aにハッチングを入れているが、これは断面を表しているのではなく、ハッチングを入れることで、左右の空間やガイド片81a〜84a自体の位置が分かり易いようにしているものである。他の図におけるハッチングも同様である。
【0066】
なお、上下の各ガイド片81a〜84aが交差する箇所は、接着剤にて接着しており、この交差部分で後述するように落下した水が前後方向や横方向に流れていくのを防いでいる。
【0067】
図7に示す分水部73が基本的な構成であるが、実際の分水部73の構成は図8に示すような構成となっている。すなわち、第1の分水体81のガイド片81aの上面であって、第2の分水体82の一つおきのガイド片82aと交差している箇所に、止水部87をガイド片81aと一体的にそれぞれ突設している。
この止水部87は、分水部73が横方向に傾斜して配設された場合に、落下した水が各ガイド片81aの上面を伝って流出するのを防止するためである。また、図8に示す止水部87の例では、略半球状としているが、直方体の形状でもよく、横方向に伝った水を止めるものであれば、どのような形状でも良い。
【0068】
また、分水部73の底面図を示す図9に示すように、分水部73の下面、つまり第4の分水体84のガイド片84aの下面であって、第4の分水体84のガイド片84aと第3の分水体83のガイド片83aとが交差する箇所に、図8に示すのと同様の止水部88をそれぞれ一体的に突設させている。
この第4の分水体84のガイド片84aの下面の止水部88の機能も、上記止水部87の場合と同様で、ガイド片84aの下面に伝う水が、分水部73が傾斜していても、一方向に流れるのを防止するためである。
【0069】
分水部73の上面に形成した止水部87や、下面に形成した止水部88は、上述のように、分水部73が前後方向や横方向に傾斜して配設された場合でも、水の落下が一方側に偏るのを防止するためであり、広い面積にて水を保水材30の上面に落下させるためである。
また、室外機1が設置されている箇所において、分水部73を含む給水装置70を水平に設置することは非常に困難であり、給水装置70が少々傾斜して配設された場合でも、一方向に水が流れるのを防いで広範囲にわたって水を落下させることができる。
【0070】
上記の実施形態では、各ガイド片81a〜84aの上面を平面とし、断面形状を略正四角形状としていたが、図10に示すように、各ガイド片81a〜84aの厚みを薄くして、断面形状を長方形状としても良い。
【0071】
また、上記の実施形態では、各ガイド片81a〜84aを横方向、縦方向に交差させて分水部73を形成していたが、図11に示すように、各ガイド片81a〜84aを斜めに交差させて分水部73を形成するようにしても良い。
かかる場合、各ガイド片81a〜84aは同一形状のものを用いることができ、そのため、分水部73を安価に製作することができる。なお、図11に示す分水部73では、止水部87、88は図示省略している。
【0072】
各分水体81〜84のガイド片81a〜84aを横方向と縦方向に組み合わせている場合では、各分水体81〜84を容易に製作でき、また、各分水体81〜84のガイド片81a〜84aを斜めに交差させている場合では、ガイド片81a〜84aを1種類で構成でき、在庫管理を容易にすることができる。
【0073】
次に、給水装置70の作用について説明する。図30に示すように、ポンプ14を駆動して水回収装置13から給水管15を介して給水装置70へ水を給水させていくと、図12に示すように、給水パイプ71内には水が満杯となり、満杯となった水は給水パイプ71の上面に穿孔した各穴78から流れていく。
穴78を給水パイプ71の下面に穿孔した場合は、水が穴78から直ぐに落下してしまうので、分水部73の上面には点状に落下することになる。
【0074】
しかし、給水パイプ71内の水を流出させる穴78を給水パイプ71の上面に穿孔していることで、図13及び図14に示すように、穴78から流出した水は給水パイプ71の両側の表面を伝って分水部73へと落下していく。特に穴78から出た水は給水パイプ71の表面を広がるように伝うので、分水部73の上面には大きな面積の点状、あるいは線状に水を落下させることができる。
【0075】
なお、穴78から勢い良く噴出するように出た水が給水パイプ71の上方に配置されている反射板72の内面にて反射されて、給水パイプ71の側面に落下する。
【0076】
次に、図15以降により給水パイプ71から分水部73に落下した水の流れについて説明する。図15以降は分水部73の一部を取り出した図であり、図以外の箇所でも同様に水が広がって保水材30の上面に落下するものである。
【0077】
先ず、図15及び図16に示すように、給水パイプ71から落下した水67は、分水部73の第1の分水体81のガイド片81aの上面に落下する。なお、分かり易いように、水67は黒色で着色している。なお、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図を示し、また、図1(c)は、図1(a)のB−B断面図を示している。以降の図も同様である。
【0078】
次に、図17及び図18に示すように、ガイド片81aの上面に落下した水67は該ガイド片81aの長手方向に沿って伝っていく。また、一部の水67はガイド片81aの側面から落下する。
次に、図19及び図20に示すように、ガイド片81aの上面の水67は該ガイド片81aの両側の側面を伝って落下し、また、矢印に示すように、水67の一部はガイド片81aの上面から側面を介して第3の分水体83のガイド片83aの上面、あるいは直接保水材30の上面に落下する。
【0079】
さらに、図21及び図22に示すように、水67はガイド片81aの側面を伝って第2の分水体82のガイド片82aの上面を長手方向に沿っていく。なお、水67が下層のガイド片の上面に伝って落下する以外の説明は省略する。
ガイド片82aの上面の水67は、図23及び図24に示すように、該ガイド片82aの両側の側面を伝って第3の分水体83のガイド片83aの上面に伝っていく。
【0080】
次に、図25及び図26に示すように、ガイド片83aの上面の水67は、該ガイド片83aの両側の側面を伝って下層の第4の分水体84のガイド片84aの上面に伝っていく。
さらに、図27及び図28に示すように、ガイド片84aの上面の水67は、該ガイド片84aの両側の側面を伝って保水材30の上面に落下する。
【0081】
このように、各分水体81〜84を経ることで、給水パイプ71から落下した水67は、点状、線状となり、さらに水67が下層に経るほど、水67は広い面積でもって、下方へと伝っていって保水材30の上面に落下する。
【0082】
図29は、保水材30の上面を示し、給水パイプ71から分水部73を介して落下した水67は、保水材30の上面全体にわたって落下することはないが、従来例と比べてかなり広い面積でもって水67が給水されるようになった。
このように、分水部73にて、給水パイプ71から落下した水67は、点状から線状、線状から面的と広がっていくものであり、そのため、給水パイプ71から保水材30への給水を多くして面的に広げる必要がない。これにより、給水パイプ71から保水材30への給水は少しの量でよく、ポンプ14の能力も小さなもので良く、それにより、ポンプ14の消費電力も少なくなり、全体のランニングコストを低下させることができる。
【0083】
ここで、給水パイプ71の上方には、前記穴78から勢いよく噴出した水67を下方へ反射させる反射板72を配設しているので、給水パイプ71の直下方以外の第1の分水体81のガイド片81aの部分に落下し、そのため、その落下した箇所から、点から線状、線状から面へと保水材30へ給水する水67を広げることができる。
【0084】
また、分水体81のガイド片81aの上面には、該ガイド片81aの上面を伝って一方側に水67が流出するのを防止する止水部87を設けていることで、止水部87により、分水部73が傾斜して配置された場合でも、分水部73の上面に落下した水67を一方側に水67が流れるのを防いで、広範囲にわたって水を落下させることができる。
【0085】
さらには、分水部73の最下層のガイド片の下面には、該ガイド片の下面を伝って一方側に水67が流出するのを防止する止水部88を設けていることで、止水部88により分水部73が傾斜して配置された場合でも、分水部73の内部で下方に伝っていく水67を一方側に水67が流れるのを防いで、広範囲にわたって水を落下させることができる。
【0086】
このように、上面を平面とし断面が四角形状の多数のガイド片81a〜84aを交差させて4層構造としていることで、保水材30の上面に落下させる水67は、従来の点状ではなく、比較的大きな面となって水67を落下させることができる。これにより、保水材30全体にわたって早期に湿潤状態とすることができ、従来のように、保水材30の一部の箇所に水が流れずに、空気の冷却がされないということを防ぐことができる。したがって、本分水部73を用いることで、室外機1の凝縮器3を効率良く冷却させることができる。
【0087】
上記実施形態では、分水部73の層を4層としていたが、少なくとも2層としてもよく、また、5層以上としても良いが、保水材30の上面に落下する水67が比較的広い面積が得られれば、必要以上に多層にすることもない。
また、分水部73の各ガイド片81a〜84aの材料としては、木材、合成樹脂が好適例である。なお、上記各分水体81〜84のガイド片81a〜84aは、柱状としていたが、筒状でも良い。かかる場合には、重量を軽量化することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 室外機
3 凝縮器
13 水回収装置
14 ポンプ
15 給水管
30 保水材
67 水
70 給水装置
71 給水パイプ
72 反射板
73 分水部
78 穴
81 第1の分水体
81a 第1のガイド片
82 第2の分水体
82a 第2のガイド片
83 第3の分水体
83a 第3のガイド片
84 第4の分水体
84a 第4のガイド片
87 第1の止水部
88 第2の止水部
【要約】      (修正有)
【課題】保水材の上面に水を落下させる面積を広くして、保水材の全体にわたって水を湿潤させることで、凝縮器を効率良く冷却する給水装置を提供する。
【解決手段】給水パイプからの水は、分水部73の上面の略直線状に点状に所定の間隔毎に横方向に落下する。先ず、分水部73の上面のガイド片81aの上面に落下した水は、ガイド片81aの長手方向に沿って伝い、さらにガイド片81aの側面を下方に伝っていく。次いで、下層のガイド片82aの上面に水が落下し、ガイド片82aの上面の水は側面を伝って、下層のガイド片83aの上面に落下する。ガイド片83aの上面の水は、側面を伝って更に下層のガイド片84aの上面に落下する。ガイド片84aの上面の水は側面を伝って保水材の上面に落下する。各ガイド片81a〜84aにより、水は点状から線状に、線状から面的に広がっていって保水材の上面に面的に落下する。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46