【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5459745号公報(公開日平成26年(2014 年)4月2日)
【0004】
上記特許文献1は
図30〜
図37に示すような構成となっている。
図30は室外機1の吸い込み空気の上流側に補助冷却装置10を設置した場合の凝縮器の空気冷却装置の概略構成を示しており、また、
図31は
図30のA方向から見た概略正面図を示している。
室外機1は、周知の構成であるため、詳細な説明は省略するが、室外機1のケース2の一方には凝縮器3が配置され、ケース2の上部には冷却ファン4が設けられている。なお、図示例では冷却ファン4をケース2の上部に設けているが、凝縮器3に対向した位置に冷却ファン4が設けられている場合もある。
【0005】
補助冷却装置10は、気化式空気冷却装置11と、この気化式空気冷却装置11から排水管12を介して排水される水を回収する水回収装置13と、この水回収装置13に貯溜している水をポンプ14を介して前記気化式空気冷却装置11側に送る給水管15と、この給水管15からの水を気化式空気冷却装置11の上面に給水する給水装置16等で構成されている。
【0006】
なお、
図30では給水管15を室外機1より右方に描いているが、実際の施工は室外機1の左方で、気化式空気冷却装置11の側面に配管されるようになっている。しかし、補助冷却装置10の気化式空気冷却装置11は、凝縮器3の吸い込み空気の上流側に該室外機1に近接して配置されるが、他の水回収装置13や給水管15は任意の箇所に配置、施工される。
【0007】
気化式空気冷却装置11は、
図31に示すように、凝縮器3の大きさとほぼ同じか、若干大きめの大きさとしており、気化式空気冷却装置11にて凝縮器3の空気の吸い込み面を覆う大きさである。
【0008】
図32は、周知な冷凍サイクルを示し、冷凍サイクルは、凝縮器3、圧縮器5、室内に設置される室内機内の蒸発器6、膨張弁7等で構成されており、それぞれ冷媒管8にて接続されている。
冷房運転時では、圧縮器5で冷媒管8内の冷媒が圧縮されて、冷媒は高温ガスになり、凝縮器3内を冷却ファン4にて気化する際の水の潜熱にて一定の温度に下げられ冷媒ガスは液化する。膨張弁7にて冷媒の圧力は急激に下げられ、冷媒ガスの潜熱で冷たくなり、蒸発器6で部屋の温度を熱交換を行ない、室内機から冷風が部屋内に送られて冷房が行なわれる。
【0009】
ここでは、水回収装置13内の水をポンプ14、給水管15を介して気化式空気冷却装置11へ循環させ、気化式空気冷却装置11内では水が気化する際の潜熱を利用して気化式空気冷却装置11内で吸気された空気の温度を低下させ、この低下させた空気にて凝縮器3を冷却させるものである。
気化式空気冷却装置11内を流下した水は排水管12を介して水回収装置13に回収される。
【0010】
図30に示すように、水回収装置13へは、水道水等の補給水が補給水管20から供給されるようになっており、補給水管20にはフロート弁21が介装されている。このフロート弁21は、液面に浮かぶフロート22が液面の高さに応じて上下方向に移動することにより開閉する弁である。
水回収装置13の液面が所定の高さ以下になると、フロート22が下降してフロート弁21が開いて補給水管20から水が供給される。また、補給水が供給されていって液面が所定の高さ以上になると、フロート22が上昇してフロート弁21が閉じられ、補給水管20からの水の供給が停止される。
【0011】
気化式空気冷却装置11へ水回収装置13からの水を循環させて給水する給水装置16は、気化式空気冷却装置11の幅方向と略同じ長さとし、例えばパイプに複数の穴を穿孔しておき、これらの穴から水を気化式空気冷却装置11の上面に滴下ないし散水するものである。
【0012】
なお、
図31に示すように気化式空気冷却装置11の下部には排水樋25が設けられており、この排水樋25の端部に排水管12が接続されて、気化式空気冷却装置11から流下した水は水回収装置13へ回収されるようになっている。
【0013】
次に、気化式空気冷却装置11の構成について説明する。気化式空気冷却装置11は、
図30に示すように、外気が矢印に示すように吸い込まれて吐出される保水材30にて構成されている。なお、この保水材30は、一般に通称クーリングパッド( Cooling Pad )と呼ばれ、木材のチップを加工した紙質と、ポリエチレンと、ガラス繊維で構成され従来より市販されている。
また、このクーリングパッドは、主に畜舎並びに園芸用施設の温度を下げるために用いられるものであり、日本では、無窓畜舎、施設園芸用温室で広く使用されているものである。
【0014】
図33〜
図36は保水材30の作り方を示しており、保水材30の構造を理解し易いように、この保水材30の構造について説明する。
図33において、波形形状をした波板材51を多層に積層して形成するものであり、それぞれの波板材51は、強固に加工された紙で出来ている。なお、波板材51の波形形状で形成されて連続して形成される溝52が、空気の流通路となる。
上下の波板材51を吸気方向に対して互い違いに任意の角度、例えば、30°前後に組み合わせ、上の波板材51の波の下側の頂点と、下の波板材51の波の上側の頂点と
が交差する点、つまり、
図34に示す黒丸(●)の部分を接着剤にて接着し、上下の波板材51を接着固定する。
【0015】
このようにして波板材51を多数積層したのが
図35に示す保水材本体55であり、この保水材本体55を図中矢印のイ方向にカッター等にて切断することで、任意の厚みの保水材片56を得る。そして、
図36に示すように、縦方向、横方向の矢印ロ、ハに示すようにカッター等にて切断することで、任意の大きさの保水材30を形成することができる。
【0016】
なお、保水材30は、任意の厚みや大きさを容易に製作することができ、また、波板材51を上下に積層する際に、波板材51を任意の角度で傾斜して積層することで、外気の吸気方向に対する波板材51の各溝52の傾斜角度も任意に形成することができる。また、
図33に示すように、溝52の幅寸法Lや高さ寸法Hを任意に製作することができる。
【0017】
図37は上記のようにして製作された保水材30の要部拡大断面図を示し、保水材30の右方に凝縮器3が位置し、左方から矢印に示すように空気が保水材30の溝52(以後、この溝を「空気流通路」と称する。)を通過する。
この実線で示している空気流通路52は例えば、30°の傾きで上昇し、この実線で示されている空気流通路52と幅方向で隣接し、破線で示している空気流通路52は、例えば、30°の傾きで下降している構成となっている。これらの空気流通路52が保水材30の上下方向及び左右方向に連続して形成されている。
【0018】
この保水材30に給水装置16からの水が滴下され、保水材30自体に水が吸水されて湿潤状態となり、同時に保水材30の表面、つまり各空気流通路52の表裏の面を水が流下していき、保水材30に吸収されなかった水は保水材30の表面を伝って水回収装置13へと流れて回収される。
【0019】
特に、保水材30の材料として上述したように、木材のチップを加工した紙質と、ポリエチレンと、ガラス繊維で構成しているので、保水材30自体に水が吸収されて湿潤状態となり、保水材30から気化する際の潜熱にて保水材30側に吸気された空気の温度を低下させることができる。これにより、凝縮器3を効率良く冷却することができる。
つまり、気化式空気冷却装置11に水を循環させることにより、気化式空気冷却装置11を通過する室外機1の吸い込み温度が気化潜熱で外気温度よりも下がり、且つ加湿効果により冷房能力の向上を図ることができる。
【0020】
このように従来では、室外機1の凝縮器3の空気の吸い込み側に配設した気化式空気冷却装置11に水を循環させることにより、補給水は蒸発した水の分だけとなり、水道代の上昇を抑えるようにしている。
また、凝縮器3を冷却させることで、空気調和機全体の消費電力を抑えることができるので、水を循環させるためのポンプ14の電気代は、微々たるものであり、全体としての消費電力を抑えている。
【0021】
このように、1台の室外機1に対しては、室外機1の吸い込み空気の上流側に1組の補助冷却装置10を設置することで、上述の効果を得ていた。ここで、複数台、例えば4台の室外機1を横方向に配設している場合には、
図38に示すようにしていた。
【0022】
図38(a)は4台を横方向に列設した室外機1の平面図を示し、
図38(b)は吸い込み空気の上流側から見た図であり、開口部分を介して凝縮器3が見えている。室外機1の横方向や縦方向の寸法は、該室外機1の能力に応じて決まっており、また、
図39に示すように、上記保水材30の大きさも、室外機1の大きさに合わせて2つを組み合わせて用いている。
【0023】
ここで、
図39に示すように、2枚の保水材30a、30bにて室外機1の大きさに合わせた保水材30とし、この保水材30やこの保水材30を支持する四角状の枠43とで冷却パネル40が構成される。この冷却パネル40の大きさは、1台の室外機1の大きさにほぼ対応しており、各室外機1に対向して冷却パネル40がそれぞれ配設されている。
【0024】
このように、室外機1の大きさに対応させた冷却パネル40を、各室外機1に配設した状態を
図39に示す。
図39(a)は平面図を、(b)は正面図をそれぞれ示している。各冷却パネル40へは給水管15から各分岐部35を経て、各支管33を介して給水され、また、冷却パネル40から排水される水は各支管34を介し、さらに排水管12を経て水回収装置13へと水が循環されるようになっている。
なお、
図39に示しているのは、上記特許文献1の従来例での冷却パネル40を4台配設した場合の各冷却パネル40の保水材30への給水の配管を示しているものである。
【0025】
また、
図40は、上記特許文献1の実施形態を示しているものである。すなわち、1台の室外機1に対して1つの冷却パネル40を配設するのではなく、保水材30自体を並設して配設するようにしている。
【0026】
排水路を兼ねた長尺物の支持台60に複数の保水材30を隣接して配置しているものであり、この支持台60は、室外機1の下端より若干下方に位置させて、床面より支柱等により設けている。また、支持台60の長さは、複数台の室外機1の横方向の長さを足した長さより少し長く形成している。
保水材30の上部に配置する給水装置16は、下側の支持台60とは異なり、各室外機1にそれぞれ対応させている。よって、図示例では、室外機1を4台並設しているので、給水装置16は4台用いている。
【0027】
給水装置16は、
図41に示すような構成としており、
図41(a)は給水装置16の断面図を示し、
図41(b)は給水装置16内に設けている給水板62の平面図を示している。給水板62には、多数の穴63が長手方向に沿って穿孔されており、給水装置16の上部より挿入されている支管33より流入した水が給水板62上に落ち、さらに各穴63より水が保水材30の上面に滴下する。そして、保水材30内に水が上述したように浸透していき、保水材30が湿潤状態となり、吸い込んだ空気を冷却させるようになっている。
【0028】
図40に示す例では、定格寸法の保水材30を使用しており、1台の室外機1に対して2枚の保水材30を用いている。したがって、4台の室外機1に対して8枚の保水材30を隣接して並設した場合には、両側の保水材30の端部は室外機1よりはみ出してしまうことになる。しかし、保水材30の端部が室外機1よりはみ出すことは、室外機1の凝縮器3を全面的にカバーすることになり、冷却した空気を凝縮器3へ送り、効率良く凝縮器3を冷却することができるようにしている。
【0029】
図42に示すように、支持台60は断面を略コ字型として、上面を開口し、底面は排水路となるために閉塞されている。支持台60の両側には長尺物、あるいは短尺物の台座64を該支持台60の長手方向に沿って配置しており、この台座64の上に保水材30を配設するようにしている。
そして、両側の台座64の中央部分を保水材30から滴下した水を排水(循環)させるための排水路65としている。
【0030】
また、
図42に示すように、支持台60に配置した保水材30の上部に給水装置16を配置し、上下の給水装置16と支持台60とで保水材30を保持している。なお、
図40(b)に示すように、1つの給水装置16にて2枚の保水材30を保持している。なお、
図40(a)では、給水装置16を外した状態を示している。