【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1は、下記一般式(1)
【化2】
(式中、R
1〜R
7は水素および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。またQは下記式
【化3】
で示され
たターフェニレ
ン基であり
、R20〜R
31は水素および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を含有するアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である)
で示されることを特徴とするビスフェナントロリン誘導体に関する。
本発明の第2は、請求項1のビスフェナントロリン誘導体よりなる電子輸送材料に関する。
本発明の第3は、請求項1のビスフェナントロリン誘導体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第4は、請求項1のビスフェナントロリン誘導体を電子輸送層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0010】
本発明におけ
るR20〜R
31で示す炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチルなどが挙げられる。
また
R20〜R
31で示す置換アルコキシ基のアルキル基についても、上記の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基が例示される。更に、これらの基が置換されたアリール基も含まれる。
【0011】
本発明の化合物は、下記の反応により製造することができる。
【化4】
なお前記式中、Qは、下記式
【化5】
で示され
たターフェニレ
ン基であり
、R20〜R
31は水素および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基および炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を含有するアリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。Xは、ハロゲン原子を表す。
【0012】
第1反応は、ハロゲン化物をピナコラートジボランを用いホウ酸化合物に変換する反応である。ここで用いる溶媒は、ピナコラートジボランを溶かすことのできる溶媒を選択することで、例示としてはテトラヒドロフランや1,4−ジオキサンのような環状エーテル、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドのような高極性溶媒が挙げられる。好ましくは環状エーテルであり、より好ましくは1,4−ジオキサンである。
反応で使用する塩基については、アルカリあるいはアルカリ土類金属を含有するものであれば、特に限定されるものではない。例示すれば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのような水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムのような炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素ベリリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウムのような重炭酸塩、あるいはこれらの金属を含むアルコラートや酢酸塩等の有機塩基である。ここで好ましいものとしては、酢酸塩でありより好ましくは反応時間の関係より酢酸カリウムである。
この反応で使用するパラジウム触媒としては、Pd(0)をしめすものが使用できる。具体的には、有機配位子とパラジウムとの錯体が例示できる。好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム〔Pd(PPh
3)
4〕やトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム〔Pd
2(dba)
3〕であり、より好ましくはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムである。
またパラジウムを活性化するために添加するリン触媒としては、第3アルキルホスフィンを使用することができる。例示できるものとして、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ〔n−(iso−)プロピル〕ホスフィン、トリ〔n−(iso−,tert−)ブチル〕ホスフィンのような脂肪族のものやトリシクロヘキシルホスフィン(PCy
3)のような脂環式のものである。用いるパラジウム化合物との相性から、ここでは脂環式のトリシクロヘキシルホスフィン(PCy
3)が好ましい。
【0013】
第1反応で使用するハロゲン化物については、クロロ体、ブロモ体、ヨード体のいずれのものでも使用することができる。
ハロゲン化物と反応するホウ酸化合物については、2,2′−ビス〔4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン〕、ピナコラートジボランを使用するのが好ましい。
【0014】
第二反応は、通常鈴木カップリング反応と称される反応を利用したものであり詳細は、Miyaura,N.;Suzuki,A.Chem.Rev.1995,95,2457などに記述されている。
用いる有機溶媒としては、反応基質のハロゲン化物とホウ酸化合物を溶かす溶媒なら特に問題ないが、例示すれば芳香族炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒もしくはエーテル系溶媒が使用できる。混合溶媒は任意の混合比で使用することができるが、一般には芳香族炭化水素系溶媒3部に対してアルコール系溶媒1部を混ぜたものを使用する。芳香族炭化水素系溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンなどが例示できる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどを例示することができる。エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどの脂肪族エーテルなどが例示できる。本反応では、エーテル系溶媒が好ましく、特に好ましい溶媒は1,4−ジオキサンである。
2Mの塩基性溶液で使用できる塩基としては第一反応で使用するアルカリあるいはアルカリ土類金属を含有するものであれば、特に限定されるものではない。ここで好ましいものとしては酢酸塩であり、より好ましくは反応時間の関係より酢酸カリウムである。パラジウム触媒は、ハロゲン化合物とホウ酸化合物とのカップリング反応であるためPd(0)のものが使用できる。例示化合物としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムやトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムやパラジウムジベンジリデンアセトンなどが挙げられる。好ましくは、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムである。
またパラジウムを活性化するために添加するリン触媒も第一反応と同様、脂環式のトリシクロヘキシルホスフィンが好ましい。
【0015】
本発明の化合物の具体例を例示する。なお、例示化合物においてメチル基は他のアルキル基例えばエチル基やプロピル基などと置き換えることができる。また、炭素数3以上のアルキル基には直鎖および分岐のものも含まれる。
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
【化9】
【0020】
【化10】
【0021】
【化11】
【0022】
【化12】
【0023】
【化13】
【0024】
【化14】
【0025】
【化15】
【0026】
【化16】
【0027】
【化17】
【0028】
本発明の新規なビスフェナントロリン誘導体は高い電子輸送能を有する。従って電子輸送材料として使用することができる。
【0029】
本発明の新規なビスフェナントロリン誘導体を電子輸送層に用いる場合、本発明の化合物は電子輸送材料として使用できる。また他の電子輸送材料と組み合わせて使用することもできる。
【0030】
次に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)について説明する。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極間に複数層の有機化合物を積層した素子であり、電子輸送材料として本発明の新規なビスフェナントロリン誘導体を含有する。発光層は、発光材料とホスト材料から構成される。多層型の有機EL素子の構成例としては、例えば陽極(例えばITO:インジウム−スズオキサイド)/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール注入層(正孔注入層)/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層したものが挙げられる。また、必要に応じて陰極上に封止層を有していても良い。
【0031】
ホール輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は、各機能を分離した多層構造であることが望ましい。またホール輸送層、電子輸送層はそれぞれの層で注入機能を受け持つ層(ホール注入層および電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(ホール輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。
【0032】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記構成に限らず、種々の構成とすることができる。必要に応じて、正孔輸送層成分と発光層成分、あるいは電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。
【0033】
以下本発明の有機EL素子の構成要素に関して、陽極/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて説明する。本発明の有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。
【0034】
基板の素材については特に制限はなく、例えば、従来の有機EL素子に慣用されているものが使用でき、例えば、ガラス、石英ガラス、透明プラスチックなどからなるものを用いることができる。
【0035】
本発明の有機EL素子の陽極としては、仕事関数の大きな金属単体(4eV以上)、仕事関数の大きな金属同士の合金(4eV以上)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。なお、仕事関数は、物質表面において表面から1個の電子を無限遠まで取り出すのに必要な最小エネルギーのことを言う。このような電極材料の具体例としては、金、銀、銅等の金属、ITO(インジウム−スズオキサイド)、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm
2以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
【0036】
陰極としては、仕事関数の小さな金属単体(4eV以下)、仕事関数の小さい金属同士の合金(4eV以下)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作成することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm
2以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。本発明の有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は透明もしくは半透明であることが好ましい。
【0037】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層は、ホール伝達化合物からなるもので、陽極より注入されたホールを発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極の間に正孔伝達化合物が配置されて陽極からホールが注入された場合、少なくとも10
−6cm
2/V・秒以上のホール移動度を有するホール伝達物質が好ましい。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層に使用するホール伝達物質は、前記の好ましい性能を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料においてホールの電荷注入材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0038】
前記のホール伝達物質としては、たとえば銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4−ジアミノフェニル(TPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4−ジアミノフェニル(α−NPD)等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンジアミン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性のPEDOT−PSS(ポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸)などが挙げられる。ホール輸送層は、これらの他のホール伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されたものでよく、前記のホール伝達物質とは別の化合物からなるホール輸送層を積層したものでも良い。
ホール注入材料としては、下記化学式に示されるPEDOT−PSS(ポリマー混合物)やDNTPDを挙げることができる。
【化18】
ホール輸送材料としては、下記化学式に示すTPD、DTASi、α−NPDなどを挙げることができる。
【化19】
【0039】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層に用いられる発光材料については、特に制限はなく、任意のものを選択して用いることができる。
【0040】
発光材料としては、ペリレン誘導体、ナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えばクマリン1、クマリン540、クマリン545など)、ピラン誘導体(例えばDCM−1、DCM−2、DCJTBなど)、有機金属錯体、例えばトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Alq
3)、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Almq
3)等の蛍光材料や〔2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジル−N,C2′〕イリジウム(III)ピコリレート(FIrpic)、トリス{1−〔4−(トリフルオロメチル)フェニル〕−1H−ピラゾラート−N,C2′}イリジウム(III)(Irtfmppz
3)、ビス〔2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2′〕イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(FIr6)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)〔Ir(ppy)
3〕などのリン光材料などを挙げることができる。
【0041】
発光層は、ホスト材料と発光材料(ドーパント)から形成される〔Appl.Phys.Lett.,65 3610(1989)〕。特にリン光材料を発光層に使用する場合、ホスト材料の使用が必要であり、この時使用されるホスト材料としては、4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)、1,4−ジ(N−カルバゾリル)ベンゼン−2,2′−ジ〔4″−(N−カルバゾリル)フェニル〕−1,1′−ビフェニル(4CzPBP)、2−メチル−9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(MADN)等が挙げられる。
【化20】
【0042】
発光材料は、ホスト材料に対して好ましくは0.01〜40重量%であり、より好ましくは0.1〜20重量%である。発光材料としては、下記に示す従来公知のFIrpic、Ir(ppy)
3、Fir6等を挙げることができる。
【化21】
【0043】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送層の材料としては、本発明の新規なビスフェナントロリン誘導体が好ましい。このものは単独で使用できるが、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Alq
3)、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)(4−フェニルフェノキシ)アルミニウム錯体(BAlq)等の他の電子輸送材料と併用しても構わない。
【0044】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電子注入性をさらに向上させる目的で陰極と有機層(電子輸送層)の間に導電体から構成される電子注入層を設けても良い。ここで使用される導電体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属有機錯体から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウムなどが挙げられる。アルカリ金属有機錯体としては、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム、8−ヒドロキシキノリノラトセシウムなどが挙げられる。また本出願人の特開2008−106015号公報にかかげるフェナントロリン誘導体のリチウム錯体(LiPB)や特開2008−195623号公報に掲げるフェノキシピリジンのリチウム錯体(LiPP)を用いることもできる。
【化22】
【0045】
本発明の新規なビスフェナントロリン誘導体を含む素子のホール注入層、ホール輸送層および発光層の形成方法については特に限定されるものではない。例えば乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)、湿式製膜法〔溶媒塗布法(例えばスピンコート法、キャスト法、インクジェット法など)〕を使用することができる。電子輸送層の製膜については、湿式製膜法で行うと下層が溶出する恐れがあるため乾式製膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)に限定される。素子の作成については上記の製膜法を併用しても構わない。
【0046】
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層などの各層を形成する場合、真空蒸着条件は特に限定されるものではない。通常10
−5Torr程度以下の真空下で50〜500℃程度のボート温度(蒸着原温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/sec.程度蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れたボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
【0047】
ホール注入層、ホール輸送層および発光層を溶媒塗布法で形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えばヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(例えばN,N′−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用しても良く、複数の溶媒を併用しても良い。
【0048】
ホール輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常5〜5,000nmになるようにする。
【0049】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、酸素や水分等の接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けること、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等がある。
【0050】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常直流駆動の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として通常1.5〜20V程度印加すると発光が観察される。また本発明の有機EL素子は交流駆動の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極がプラス、陰極がマイナスの状態になった時に発光する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば電子写真感光体、フラットパネルディスプレイなどの平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器等の光源、各種発光素子、各種表示装置、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。
【0051】
図38〜47に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい例を示す。
【0052】
図38は、本発明の有機EL素子における一例を示す断面図である。
図38は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は電子輸送性の機能を有している場合に有用である。
【0053】
図39は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。
図39は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。これはキャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。
【0054】
図40は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。
図40は、基板1上に陽極2、ホール注入層7、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、ホール注入層7を設けることにより、陽極2とホール輸送層5の密着性を高め、陽極からのホールの注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
【0055】
図41は本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。
図41は基板1上に陽極2、ホール輸送層5、発光層3、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、電子注入層8を設けたことにより陰極4からの電子の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
【0056】
図42は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。
図42は、基板1上に陽極2、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合も、陰極4から電子の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
【0057】
図43は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。
図43は、基板1上に陽極2、ホール注入層7、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陽極2からホールの注入を良くし、陰極4から電子注入を良くし、最も低電圧駆動に効果がある構成である。
【0058】
図44〜47は素子の中にホールブロック層を挿入したものの断面図である。ホールブロック層は、陽極から注入されたホール、あるいは発光層3で再結合により生成した励起子が、陰極4に抜けることを防止する効果があり、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に効果がある。ホールブロック層9については、発光層3と陰極4の間もしくは発光層3と電子輸送層6の間あるいは発光層3と電子注入層8の間に挿入することができる。より好ましいものは発光層3と電子輸送層6の間である。
【0059】
図38〜47で、ホール輸送層5、ホール注入層7、電子輸送層6、電子注入層8、発光層3、ホールブロック層9のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であっても良い。
【0060】
図38〜47は、あくまでも基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の構成はこれに限定されるものではない。