(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787476
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】磁気誘導性の流量測定器
(51)【国際特許分類】
G01F 1/58 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
G01F1/58 A
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-261491(P2009-261491)
(22)【出願日】2009年11月17日
(65)【公開番号】特開2010-122216(P2010-122216A)
(43)【公開日】2010年6月3日
【審査請求日】2012年1月18日
(31)【優先権主張番号】10 2008 057 756.1
(32)【優先日】2008年11月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591168600
【氏名又は名称】クローネ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Krohne AG
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ファン カルロス ゴンザレス ペライオ
【審査官】
山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−522457(JP,A)
【文献】
特開昭62−043521(JP,A)
【文献】
米国特許第04459857(US,A)
【文献】
実開昭60−015629(JP,U)
【文献】
特開2010−261490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定管(1)と、該測定管(1)を少なくとも部分的に貫通する磁界を形成する磁界形成装置と、流体内に誘導される測定電圧を取り出すための2つの電極と、前記測定管(1)、前記磁界形成装置および前記電極を収容するケーシング(2)とを備えた、流体の流量を測定する磁気誘導性の流量測定器であって、
前記測定管(1)は該測定管(1)の長さにわたり可変の断面を有し、該断面は前記測定管(1)の中央領域においては、該測定管(1)の入口および出口における断面よりも小さく、前記ケーシング(2)は円形の断面を有する、磁気誘導性の流量測定器において、
前記測定管(1)の前記中央領域において、該測定管(1)を前記ケーシング(2)と結合させる少なくとも1つの補強部が設けられており、
補強部として、前記測定管(1)を前記ケーシング(2)と結合させる少なくとも1つの支持体(5,6)が設けられていることを特徴とする、磁気誘導性の流量測定器。
【請求項2】
測定管(1)と、該測定管(1)を少なくとも部分的に貫通する磁界を形成する磁界形成装置と、流体内に誘導される測定電圧を取り出すための2つの電極と、前記測定管(1)、前記磁界形成装置および前記電極を収容するケーシング(2)とを備えた、流体の流量を測定する磁気誘導性の流量測定器であって、
前記測定管(1)は該測定管(1)の長さにわたり可変の断面を有し、該断面は前記測定管(1)の中央領域においては、該測定管(1)の入口および出口における断面よりも小さく、前記ケーシング(2)は円形の断面を有する、磁気誘導性の流量測定器において、
前記測定管(1)の前記中央領域において、該測定管(1)を前記ケーシング(2)と結合させる少なくとも1つの補強部が設けられており、
補強部として、前記測定管(1)の前記中央領域において、前記測定管(1)を包囲する補強部リングが設けられていることを特徴とする、磁気誘導性の流量測定器。
【請求項3】
測定管(1)と、該測定管(1)を少なくとも部分的に貫通する磁界を形成する磁界形成装置と、流体内に誘導される測定電圧を取り出すための2つの電極と、前記測定管(1)、前記磁界形成装置および前記電極を収容するケーシング(2)とを備えた、流体の流量を測定する磁気誘導性の流量測定器であって、
前記測定管(1)は該測定管(1)の長さにわたり可変の断面を有し、該断面は前記測定管(1)の中央領域においては、該測定管(1)の入口および出口における断面よりも小さく、前記ケーシング(2)は円形の断面を有する、磁気誘導性の流量測定器において、
前記測定管(1)の前記中央領域において、該測定管(1)を前記ケーシング(2)と結合させる少なくとも1つの補強部が設けられており、
補強部として、前記ケーシング(2)の中央領域において、前記ケーシング(2)の内側または外側に配置されている補強部リングが設けられていることを特徴とする、磁気誘導性の流量測定器。
【請求項4】
少なくとも1つの支持体(5,6)が中空シリンダとして実施されている、請求項1記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項5】
前記測定管(1)を前記ケーシング(2)と結合させる前記支持体(5,6)上、または前記支持体(5,6)内部に、前記磁界形成装置に属する磁気コイルが設けられている、請求項1または4記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項6】
前記測定管(1)を前記ケーシング(2)と結合させる前記支持体(5,6)内部に電極が設けられている、請求項4または5項記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項7】
前記ケーシング(2)内に少なくとも1つの測定管形成エレメント(7,8)が設けられており、該少なくとも1つの測定管形成エレメント(7,8)は前記ケーシング(2)の内側の表面(9)の一部と共に前記測定管(1)を形成し、前記測定管(1)は前記中央領域において平坦に実施されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項8】
前記測定管(1)または前記少なくとも1つの測定管形成エレメント(7,8)は、前記ケーシング(2)の曲率半径よりも大きい曲率半径を有するように構成されている、請求項7記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項9】
前記測定管(1)は機能的に、異なる曲率半径を有する、複数の区間から構成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項10】
前記測定管(1)は機能的に3つの区間、すなわち中央区間(10)と該中央区間(10)にそれぞれ続いている端部区間(11,12)とから構成されている、請求項9記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項11】
前記測定管(1)は機能的に5つの区間、すなわち中央区間(10)と、該中央区間(10)にそれぞれ続いている移行区間(13,14)と、該移行区間(13,14)にそれぞれ続いている端部区間(11,12)とから構成されている、請求項9記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項12】
前記中央区間(10)の曲率半径は、前記端部区間(11,12)の曲率半径よりも大きく、前記中央区間(10)の曲率半径は前記移行区間(13,14)の曲率半径よりも大きい、請求項11記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項13】
前記端部区間(11,12)は無限大に向かう曲率半径を有し、前記測定管(1)の長手方向軸に対して約40°〜50°の角度で前記移行領域(13,14)に続く、請求項12記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項14】
前記測定管(1)の中央領域における壁の厚みは前記測定管(1)の入口および出口における壁の厚みよりも薄い、請求項1から13までのいずれか1項記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項15】
前記測定管(1)は、前記支持体(5,6)又は前記補強部リングをサポートするために使用されるサポートエレメントを有する、請求項1から14までのいずれか1項記載の磁気誘導性の流量測定器。
【請求項16】
磁界形成装置には2つの磁気コイルが配属されている、請求項15記載の磁気誘導性の流量測定器において、
サポートエレメントが前記磁界形成装置の前記磁気コイルのためのポールシューとして実施されていることを特徴とする、磁気誘導性の流量測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定管と、この測定管を少なくとも部分的に貫通する磁界を形成する磁界形成装置と、流体内に誘導される測定電圧を取り出すための2つの電極と、測定管、有利には磁界形成装置および電極も収容するケーシングとを備えた、流体の流量を測定する磁気誘導性の流量測定器に関し、前述の測定管はその長さにわたり可変の断面を有し、断面は測定管の中央領域においては、測定管の入口および出口における断面よりも小さく、またケーシングは有利には円形の断面を有する。
【背景技術】
【0002】
磁気誘導性の流量測定器は従来技術において数十年来非常に広く知られている。これに関しては、例えば非特許文献1を参照されたい。
【0003】
流体の流量を測定する磁気誘導性の流量測定器の基本原理はファラデーにまで遡る。ファラデーは既に1832年に、流体の流速を測定するために電磁誘導の原理を適用することを提案していた。ファラデーの電磁誘導の法則によれば、電荷を伴って磁界を通過する流体内には、流れ方向に対して垂直に、且つ磁界に対して垂直に電界が発生する。ファラデーの電磁誘導の法則は磁気誘導性の流量測定器において、通常の場合、電流が流される2つの磁気コイルを有する磁界形成装置を用いて磁界を形成し、この磁界を少なくとも部分的に測定管を通って案内させることによって利用される。この場合、形成された磁界は流れ方向に対して垂直に延在する少なくとも1つの成分を有する。磁界内では、この磁界を通過して移動し、またある程度の数の電荷を有している流体の各体積要素が、この体積要素内に生じている電界強度によって、電極を介して取り出される測定電圧に寄与している。
【0004】
上述のように、磁気誘導性の流量測定器は数十年来広く知られたものであり、また数え切れないほどの実施形態が既知であるが、十分に発展した技術分野であるような磁気誘導性の流量測定器に関しても依然として発達が望まれており、また可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「Technische Durchflussmessung」、Prof. Dr.-Ing. K. W, Bonfig等著、第3版、Vulkan出版社Essen、2002年、第123〜167頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明が基礎とする課題は、冒頭で述べたような基本的な構造の磁気誘導性の流量測定器を発展させ、しかも、単独でも全体としても有意義である、全く異なる複数の観点から発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、測定管の中央領域において、測定管をケーシングと結合させる少なくとも1つの補強部が設けられていることによって解決される。また測定管が機能的に、有利には異なる曲率半径を有する、複数の区間から構成されていることによって解決される。
【0008】
殊に本発明による磁気誘導性の流量測定器は、測定管の中央領域においてこの測定管をケーシングと結合させる少なくとも1つの補強部が設けられていることを特徴とする。これにより、本発明による磁気誘導性の流量測定器においては、測定管とケーシングを構造的に全く異なるように設計および構成することができる。つまり、測定管を設計および構成する際には流体技術的な考察および誘導技術的な考察を優先させることができ、他方ではケーシングを設計および構成する際には通常の場合、機械的な考察を優先させることができる。本発明によれば、測定管の中央領域にはこの測定管をケーシングと結合させる補強部が設けられていることによって、測定管は必要とされる圧力耐性も有することができ、このような圧力耐性は本発明による補強部が設けられなければ得ることはできない。
【0009】
測定管の中央領域に設けられており、且つ測定管をケーシングと結合させる本発明による補強部を種々に実施することができ、殊に、補強部として測定管の中央領域には(測定管とケーシングとの間に)少なくとも1つの支持体を設けることができる。
【0010】
殊に、本発明による磁気誘導性の流量測定器において、補強部として、測定管とケーシングとの間に支持体が1つだけ設けられている場合、しかしながらそのような場合に限らずに、測定管の中央領域に、この測定管を包囲する補強部リングを設け、この補強部リングおよび補強部を介して、すなわち必要に応じて補強部として設けられている支持体を介して測定管をケーシングと結合させることが提案される。
【0011】
本発明による磁気誘導性の流量測定器において、補強部として測定管とケーシングとの間にただ1つの支持体のみを設けることができるが、そのような非対称的な構造は推奨されない。むしろ有利には、測定管をケーシングと結合させる少なくとも2つの支持体が設けられる。
【0012】
本発明による磁気誘導性の流量測定器において、測定管の中央領域に測定管を包囲する補強部リングを設けることができることは上記において既に示唆した。付加的(または択一的)に、ケーシングの中央領域にも、内側または外側に配置されている、補強部リングを設けることができる。
【0013】
本発明による磁気誘導性の流量測定器においては、測定管の中央領域内に、測定管をケーシングと結合させる補強部として少なくとも1つの支持体が設けられている場合には、この1つの支持体または(複数設けられている場合には)複数の支持体を構造的および/または機能的に構成できる種々の可能性が存在する。殊に有利には、1つの支持体、複数の支持体が設けられている場合には少なくとも幾つかの支持体または全ての支持体を中空シリンダとして、有利には円形の中空シリンダとして実施することができる。その種の実施形態では、測定管をケーシングと結合する支持体上または支持体内に磁界形成装置に属する磁気コイルを設けることができる、および/または、測定管をケーシングと結合させる支持体内に、誘導された電圧を取り出す電極を配置することができる。
【0014】
磁気誘導性の流量測定器においては、測定管が、通常のように、流量が測定されるべき流体用の流路を表す。しかしながら、本発明による磁気誘導性の流量測定器の殊に有利な実施形態は、前述の通常の実施形態とは異なる構成で実現されている。すなわちこの実施形態は、ケーシング内に少なくとも1つの測定管形成エレメント、有利には2つの測定管形成エレメントが設けられており、1つまたは複数の測定管形成エレメントがケーシングの内側表面の一部と共に測定管を形成することを特徴とする。本発明による磁気誘導性の流量測定器のこの殊に有利な実施形態においては、1つの測定管形成エレメントないし複数の測定管形成エレメント自体が、流量が測定されるべき流体用の流路を形成しない。むしろ、この実施形態においては、1つの測定管形成エレメントまたは複数の測定管形成エレメントとケーシングの内側表面の一部とから構成されている流路が測定管、すなわち流体用の流路を形成する。この実施形態は、1つの測定管形成エレメントないし複数の測定管形成エレメントを非常に簡単に、殊に流体技術的および/または誘導技術的(またしたがって測定技術的)な要求を考慮して非常に簡単に成形することができるという利点を有する。殊に、この実施形態においては、非常に簡単に測定管、具体的には測定管形成エレメントを中央領域において、すなわち通常は電極が設けられている領域において平坦に実施することができる。しかしながらまた、測定管、具体的には測定管形成エレメントが中央領域において、すなわち通常は電極が設けられている領域においてケーシングの曲率半径よりも大きい曲率半径を有するように実施することも可能である。
【0015】
前述したように、独立してそれ自体が有意義である本発明の別の教示によれば、測定管は機能的に、有利には異なる曲率半径を有する複数の区間から構成されている。ここで「機能的」とは、測定管をマルチピースでもワンピースでも実施できることを意味しているが、有利には測定管はワンピースで実施されている。
【0016】
有利には、本発明による磁気誘導性の流量測定器の前述の実施形態において、測定管が機能的に3つの区間、すなわち中央区間とこの中央区間にそれぞれ続いている端部区間とから構成されている。端部区間は流体入口と流体出口を表す。
【0017】
さらに有利な実施形態においては、測定管を機能的に5つの区間、すなわち中央区間と、この中央区間にそれぞれ続いている移行区間と、この移行区間にそれぞれ続いている端部区間とから構成することができる。
【0018】
本発明による磁気誘導性の流量測定器の前述の実施形態においては、上記の通り、個々の区間が異なる曲率半径を有することができる。測定管が機能的に3つの区間から構成されている場合には、中央区間の曲率半径が端部区間の曲率半径よりも大きい実施形態が推奨される。測定管が機能的に5つの区間から構成されている場合には、さらに中央区間の曲率半径が移行区間の曲率半径よりも大きい実施形態が推奨される。この場合には、端部区間が無限大に向かう曲率半径を有し、有利には測定管の長手方向軸に対して約40°〜50°、殊に約45°の角度で移行領域に続く実施形態が推奨される。
【0019】
磁気誘導性の流量測定器においては、可能な限り短い構造長、可能な限り僅かな圧力低下、また流体内に生じている圧力に起因した可能な限り僅かな変形が達成されようとされる。この三重の目標設定は妥協を必要とする。上記の目標設定を考慮すると、前述の実施形態、すなわち測定管が機能的に、有利には異なる曲率半径を有する複数の区間から構成されている実施形態が最適である。
【0020】
別の視点のもとで、本発明による磁気誘導性の流量測定器の有利な実施形態は、測定管の中央の領域における壁の厚みが測定管の入口および出口における壁の厚みよりも薄いことを特徴とする。この場合には、トレードオフに「対峙」しなければならない。一方では、測定管ないし1つまたは複数の測定管形成エレメントの壁の厚みは測定管の中央領域において非常に薄くあるべきである。何故ならば、そのように壁の厚みが非常に薄い場合には、測定管ないし測定管の中央領域における1つまたは複数の測定管形成エレメントを非常に簡単に形成することができ、これは流体技術的な観点また誘導技術的な観点、したがってそれらと共に測定技術的な観点から達成されるべきことである。しかしながら他方では、測定管内に生じている圧力を考慮して、測定管の所定の圧力耐性が中央領域においても必要とされる。このトレードオフは、本発明による磁気誘導性の流量測定器において、上述のように、測定管の中央領域にこの測定管をケーシングと結合させる少なくとも1つの補強部が設けられていることによって解決されている。
【0021】
上記において何度も述べたように、本発明による磁気誘導性の流量測定器においては、測定管の中央領域に、この測定管をケーシングと結合させる少なくとも1つの補強部が設けられており、この補強部が少なくとも1つの支持体として実施されている。中央領域における測定管ないし1つまたは複数の測定管の壁の厚みが測定管の入口および出口における壁の厚みよりも薄い場合、殊に壁の厚みが絶対的な基準のもとで比較的薄い場合には、しかしながらそのような場合のみではないが、測定管ないし1つまたは複数の測定管形成エレメントが支持体リングをサポートするために使用される締結エレメントないし測定管サポートエレメント、または支持体をサポートするために使用される締結エレメントを有することを特徴とする特別な実施形態が推奨される。
【0022】
冒頭で述べたように、磁気誘導性の流量測定器に属する磁界形成装置は通常の場合、電流が流される2つの磁気コイルを有する。本発明による磁気誘導性の流量測定器の前述の実施形態においては、サポートエレメントを磁界形成装置の磁気コイルに属する通路として実施することができる。例えば、サポートエレメントを磁界形成装置の磁気コイルのためのポールシューとして実施することができる。
【0023】
磁気誘導性の流量測定器に関しては通常の場合、測定管に非磁性の材料が使用される。この非磁性の材料は基本的にプラスチックでよいが、ステンレス鋼、すなわち特殊鋼もしばしば使用される。本発明による磁気誘導性の流量測定器においても、測定管ないし1つまたは複数の測定管形成エレメントはステンレス鋼から構成されているが、軟磁性鋼も使用することができる。
【0024】
通常の磁気誘導性の流量測定器と同様に、本発明による磁気誘導性の流量測定器においても、絶縁性の被覆層が内部に少なくとも部分的に設けられていることが推奨され、しかもこれは絶縁性の被覆層が電極の領域に部分的にしか設けられていない場合に推奨される。しかしながら、本発明による磁気誘導性の流量測定器の内側全体に絶縁性の被覆層を設けることにも多くの理由が存在する。
【0025】
最後に、構造的な構成および製造技術的な実現に関連して、本発明による磁気誘導性の流量測定器では、測定管ないし1つまたは複数の測定管形成エレメントをケーシングよりも短くする、および/または、測定管ないし1つまたは複数の測定管形成エレメントとケーシングを溶接によって相互に結合させることが提案されている。
【0026】
詳細には、本発明による磁気誘導性の流量測定器を個別に実現ないし構成および/または発展させる種々の可能性が存在する。それに関しては、請求項1を引用する請求項、また添付の図面を参照する実施例についての下記の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による磁気誘導性の流量測定器の有利な実施例の長手方向の非常に概略的な斜視断面図を示す。
【
図2】本発明による磁気誘導性の流量測定器に属する測定管の有利な実施例を示す。
【
図3】本発明による磁気誘導性の流量測定器に属する測定管の別の有利な実施例を示す。
【0028】
図面において(実質的には単に概略的に)示されている磁気誘導性の流量測定器は流体の流量の測定に適したものであり、機能上不可欠な測定管1と、この測定管1を少なくとも部分的に貫通する磁界を形成し、また図示されていない2つの磁気コイル2が配属されている、図示されていない磁界形成装置と、流体に誘導される測定電圧を取り出すための同様に図示されていない2つの電極とを有する。図示されていない磁気誘導性の流量測定器にはさらに、測定管1と磁界形成装置と電極とを収容するケーシング2が属しており、このケーシング2は円形の断面を有し、また図示されている実施例においては両側にフランジ3,4が設けられている。
【0029】
殊に本発明による磁気誘導性の流量測定器は、測定管1の中央領域においてこの測定管1をケーシング2と結合させる少なくとも1つの補強部が設けられている。有利には、補強部として少なくとも1つの支持体が設けられている。殊に、補強部としてただ1つの支持体が設けられている場合、しかしながらそのような場合のみではないが、測定管の中央領域に、この測定管を包囲する補強部リングを設け、この補強部リングおよび補強部を介して、すなわち必要に応じて補強部として設けられている支持体を介して測定管をケーシングと結合させることが提案されるが、これは図示されていない。
【0030】
確かに、本発明による磁気誘導性の流量測定器においては、補強部として測定管とケーシングとの間にただ1つの支持体のみを設けることができるが、そのような非対称的な構造は推奨されない。むしろ、図面にも示されているように、測定管1をケーシング2と結合させる2つの支持体5,6が設けられている。
【0031】
本発明による磁気誘導性の流量測定器において、測定管の中央領域に測定管を包囲する補強部リングを設けることができることは上記において既に示唆した。ケーシングも補強することができ、しかも、ケーシングの中央領域に(内側または外側に配置されている)補強部リングを設けることによって補強することができるが、これは図示していない。
【0032】
図1にも
図2にも示されているように、本発明による磁気誘導性の流量測定器の図示されている実施例に関しては、支持体5,6が円環状の中空シリンダとして実施されている。図示されてはいないが、支持体上に、または相応の実施形態においては、支持体の内部に、磁界形成装置に属する磁気コイルを設けることができる、および/または、支持体の内部に電極を設けることができる。
【0033】
本発明による磁気誘導性の流量測定器においては、測定管は通常のように、流量が測定されるべき流体用の流路を表す。しかしながら図面、殊に
図1においては、上記の慣例の実施形態とは異なるように実現されている、すなわち、ケーシング2内に2つの測定管形成エレメント7,8が設けられており、且つこれらの測定管形成エレメント7,8がケーシング2の内側表面9の一部と共に測定管1を形成することを特徴としている、本発明による磁気誘導性の流量測定器の有利な実施形態が示されている。すなわち、この殊に有利な本発明による磁気誘導性の流量測定器の実施形態において、測定管形成エレメント7,8はそれのみで、流量が測定されるべき流体用の流路を形成しない。すなわち、測定管形成エレメント7,8は単独で測定管1を形成しない。むしろこの実施形態においては、測定管1が測定管形成エレメント7,8およびケーシング2の内側表面9の一部から構成されている。このことは殊に、測定管形成エレメント7,8を非常に簡単に、とりわけ流体技術的および/または誘導技術的、またしたがって測定技術的な要求を考慮して形成することができるという利点を有する。殊にこの実施形態においては、非常に簡単に測定管1、具体的には測定管形成エレメント7,8を中央領域において、すなわち通常は電極が設けられている領域において、図示されているように平坦に実施することができる。図示されてはいないが、測定管、具体的には測定管形成エレメントを中央領域において、ケーシングの曲率半径よりも大きい曲率半径を有するように実施することも可能である。
【0034】
上述のように、殊に重要な本発明の別の教示は、測定管1は機能的に、有利には異なる曲率半径を有する複数の区間から構成されていることを特徴とする。詳細には、測定管を機能的に3つの区間、すなわち中央区間10と、この中央区間10にそれぞれ続いている端部区間11,12とから構成することができる。しかしながら
図3に示されている実施例はそれ以上の区間が設けられている。この実施例においては、測定管1を機能的に5つの区間、すなわち中央区間10と、この中央区間10にそれぞれ続いている移行区間13,14と、この移行区間13,14にそれぞれ続いている端部区間11,12とから構成することができる。詳細には、中央区間10の曲率半径は、移行区間13,14の曲率半径よりも大きく、端部区間11,12は無限大に向かう曲率半径を有し、また端部区間11,12は測定管1の長手方向軸に対して約40°〜50°、有利には約45°の角度で移行区間13,14に続いている。
【0035】
図示していないが、それにもかかわらず、測定管1の中央領域における壁の厚みが測定管1の入口および出口における厚みよりも薄い、本発明による磁気誘導性の流量測定器は非常に有意義である。その種の実施形態によれば、トレードオフに「対峙」しなければならない。一方では、測定管1ないし測定管形成エレメント7,8の壁の厚みは測定管1の中央領域においても非常に薄くあるべきである。何故ならば、壁の厚みが非常に薄い場合には、測定管1ないし測定管形成エレメント7,8を非常に簡単に形成することができ、これは流体技術的な観点また誘導技術的な観点、したがってそれらと共に測定技術的な観点から達成されるべきことである。測定管内には特定の圧力が生じているので、他方では測定管の所定の圧力耐性が中央領域においても必要とされる。本発明によればこのトレードオフは解決されている。すなわち、本発明による磁気誘導性の流量測定器では測定管1の中央領域に、この測定管1をケーシングと結合させる少なくとも1つの補強部が設けられており、実施例においては補強部として2つの支持体5,6が測定管1とケーシング2との間に設けられていることによって解決されている。
【0036】
最後に、図面に詳細には図示していないが、測定管1には絶縁性の被覆層を少なくとも部分的に設けることができ、測定管1ないし測定管形成エレメント7,8をケーシング2よりも短くすることができる、および/または、測定管1ないし測定管形成エレメント7,8およびケーシング2を溶接によって相互に結合できることを言及しておく。