(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の工程は、前記Cl含有金属化合物と前記反応性ガスが前記基板上に同時に存在するタイミングを有するように前記Cl含有金属化合物と前記反応性ガスを順に供給する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施例について説明する。
本実施例に係る基板処理装置は、半導体装置(IC(Integrated Circuits))の製造に使用される半導体製造装置の一例として構成されているものである。下記の説明では、基板処理装置の一例として、基板に対し成膜処理等をおこなう縦型の装置を使用した場合について述べる。しかし、本発明は、縦型装置の使用を前提としたものでなく、例えば、枚葉装置を使用しても良い。
【0011】
<装置全体構成>
図1に示す通り、基板処理装置101では、基板の一例となるウエハ200を収納したカセット110が使用されており、ウエハ200はシリコン等の材料から構成されている。基板処理装置101は筐体111を備えており、筐体111の内部にはカセットステージ114が設置されている。カセット110はカセットステージ114上に工程内搬送装置(図示略)によって搬入されたり、カセットステージ114上から搬出されたりされる。
【0012】
カセットステージ114は、工程内搬送装置によって、カセット110内のウエハ200が垂直姿勢を保持しかつカセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。カセットステージ114は、カセット110を筐体111の後方に右回り縦方向90°回転し、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように動作可能となるよう構成されている。
【0013】
筐体111内の前後方向の略中央部にはカセット棚105が設置されており、カセット棚105は複数段複数列にて複数個のカセット110を保管するように構成されている。カセット棚105にはウエハ移載機構125の搬送対象となるカセット110が収納される移載棚123が設けられている。
【0014】
カセットステージ114の上方には予備カセット棚107が設けられ、予備的にカセット110を保管するように構成されている。
【0015】
カセットステージ114とカセット棚105との間には、カセット搬送装置118が設置されている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ118aと、搬送機構としてのカセット搬送機構118bとで構成されている。カセット搬送装置118はカセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bとの連続動作により、カセットステージ114とカセット棚105と予備カセット棚107との間で、カセット110を搬送するように構成されている。
【0016】
カセット棚105の後方には、ウエハ移載機構125が設置されている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ125bとで構成されている。ウエハ移載装置125aにはウエハ200をピックアップするためのツイーザ125cが設けられている。ウエハ移載装置125はウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連続動作により、ツイーザ125cをウエハ200の載置部として、ウエハ200をボート217に対して装填(チャージング)したり、ボート217から脱装(ディスチャージング)したりするように構成されている。
【0017】
筐体111の後部上方には、ウエハ200を熱処理する処理炉202が設けられており、処理炉202の下端部が炉口シャッタ147により開閉されるように構成されている。
【0018】
処理炉202の下方には処理炉202に対しボート217を昇降させるボートエレベータ115が設けられている。ボートエレベータ115の昇降台にはアーム128が連結されており、アーム128にはシールキャップ219が水平に据え付けられている。シールキャップ219はボート217を垂直に支持するとともに、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0019】
ボート217は複数の保持部材を備えており、複数枚(例えば50〜150枚程度)のウエハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0020】
カセット棚105の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給するクリーンユニット134aが設置されている。クリーンユニット134aは供給ファン及び防塵フィルタで構成されており、クリーンエアを筐体111の内部に流通させるように構成されている。
【0021】
筐体111の左側端部には、クリーンエアを供給するクリーンユニット134bが設置されている。クリーンユニット134bも供給ファン及び防塵フィルタで構成されており、クリーンエアをウエハ移載装置125aやボート217等の近傍を流通させるように構成されている。当該クリーンエアは、ウエハ移載装置125aやボート217等の近傍を流通した後に、筐体111の外部に排気されるようになっている。
【0022】
<処理装置の動作>
続いて、基板処理装置101の主な動作について説明する。
【0023】
工程内搬送装置(図示略)によってカセット110がカセットステージ114上に搬入されると、カセット110は、ウエハ200がカセットステージ114の上で垂直姿勢を保持し、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。その後、カセット110は、カセットステージ114によって、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように、筐体111の後方に右周り縦方向90°回転させられる。
【0024】
その後、カセット110は、カセット棚105ないし予備カセット棚107の指定された棚位置へカセット搬送装置118によって自動的に搬送され受け渡され、一時的に保管された後、カセット棚105ないし予備カセット棚107からカセット搬送装置118によって移載棚123に移載されるか、もしくは直接移載棚123に搬送される。
【0025】
カセット110が移載棚123に移載されると、ウエハ200はカセット110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはカセット110に戻り、後続のウエハ
200をボート217に装填する。
【0026】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、処理炉202の下端部を閉じていた炉口シャッタ147が開き、処理炉202の下端部が開放される。その後、ウエハ200群を保持したボート217がボートエレベータ115の上昇動作により処理炉202内に搬入(ローディング)され、処理炉202の下部がシールキャップ219により閉塞される。
【0027】
ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に対し任意の処理が実施される。その処理後は、上述の逆の手順で、ウエハ200およびカセット110が筐体111の外部に搬出される。
【0028】
<処理炉の構成>
次に
図2及び
図3を用いて前述した基板処理装置に適用される処理炉202について説明する。
【0029】
図2及び
図3に示す通り、処理炉202にはウエハ200を加熱するための加熱装置(加熱系、加熱手段)であるヒータ207が設けられている。ヒータ207は上方が閉塞された円筒形状の断熱部材と複数本のヒータ素線とを備えており、断熱部材に対しヒータ素線が設けられたユニット構成を有している。ヒータ207の内側には、ウエハ200を処理するための石英製の反応管203が設けられている。
【0030】
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は反応管203の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側にはボートを回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267の回転軸255はシールキャップを貫通して、後述するボート217に接続されており、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は反応管203の外部に設けられた昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201内に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0031】
シールキャップ219にはボート217を支持するボート支持台218が設けられている。
図1に示す通り、ボート217はボート支持台218に固定された底板210とその上方に配置された天板211とを有しており、底板210と天板211との間に複数本の支柱212が架設された構成を有している。ボート217には複数枚のウエハ200が保持されている。複数枚のウエハ200は、互いに一定の間隔をあけながら水平姿勢を保持した状態でボート217の支柱212に支持されている。
【0032】
以上の処理炉202では、バッチ処理される複数枚のウエハ200がボート217に対し多段に積層された状態において、ボート217がボート支持体218で支持されながら処理室201に挿入され、ヒータ207が処理室201に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱するようになっている。
【0033】
図2及び
図3に示す通り、処理室201には、原料ガスを供給するための2本のガス供給管310、320(第1のガス供給管310、第2のガス供給管320)が接続されている。
【0034】
ガス供給管310には上流側から順に流量制御装置(流量制御手段)であるマスフローコントローラ312、気化ユニット(気化手段)である気化器700及び開閉弁であるバルブ314が設けられている。ガス供給管310の先端部にはノズル410(第1のノズル410)が連結されている。ノズル410は、処理室201を構成している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間で、反応管203の内壁に沿った上下方向(ウエハ200の積載方向)に延在している。ノズル410の側面には原料ガスを供給する多数のガス供給孔410aが設けられている。ガス供給孔410aは、下部から上部にわたってそれぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0035】
さらに、ガス供給管310には気化器700とバルブ314との間に、後述の排気管231に接続されたベントライン610及びバルブ614が設けられており、原料ガスを処理室201に供給しない場合は、バルブ614を介して原料ガスをベントライン610へ供給する。主に、ガス供給管310、マスフローコントローラ312、気化器700、バルブ314、ノズル410、ベントライン610、バルブ614により第1のガス供給系(第1のガス供給手段)が構成される。
【0036】
また、ガス供給管310にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管510が接続されている。キャリアガス供給管510にはマスフローコントローラ512及びバルブ514が設けられている。主に、キャリアガス供給管510、マスフローコントローラ512、バルブ514により第1のキャリアガス供給系(不活性ガス供給系、不活性ガス供給手段)が構成される。
【0037】
ガス供給管320には上流側から順に流量制御装置(流量制御手段)であるマスフローコントローラ322及びバルブ324が設けられている。ガス供給管320の先端部にはノズル420(第2のノズル420)が連結されている。ノズル420も、ノズル410と同様に、処理室201を構成している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間で、反応管203の内壁に沿って上下方向(ウエハ200の積載方向)に延在している。ノズル420の側面には、原料ガスを供給する多数のガス供給孔420aが設けられている。ガス供給孔420aも、ガス供給孔410aと同様に、下部から上部にわたってそれぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。主に、ガス供給管320、マスフローコントローラ322、バルブ324、ノズル420により第2のガス供給系(第2のガス供給手段)が構成される。
【0038】
また、ガス供給管320にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管520が連結されている。キャリアガス供給管520にはマスフローコントローラ522及びバルブ524が設けられている。主に、キャリアガス供給管520、マスフローコントローラ522、バルブ524により第2のキャリアガス供給系(不活性ガス供給系、不活性ガス供給手段)が構成される。
【0039】
さらに、ガス供給管320には、ガス供給管330が連結されている。ガス供給管330にはマスフローコントローラ332及びバルブ334が設けられている。主に、ガス供給管330、マスフローコントローラ332、バルブ334、ノズル420により第3のガス供給系(第3のガス供給手段)が構成される。
【0040】
例えばガス供給管310から供給される原料が液体の場合、ガス供給管310からは、マスフローコントローラ312、気化器700,及びバルブ314を介し、キャリアガス供給管510と合流し、更にノズル410を介して処理室201内に反応ガスが供給される。例えばガス供給管310から供給される原料が気体の場合には、マスフローコントローラ312を気体用のマスフローコントローラに交換し、気化器700は不要となる。また、ガス供給管320からはマスフローコントローラ322、バルブ324を介し、キャリアガス供給管520と合流し、更にノズル420を介して処理室201に反応ガスが供給される。
【0041】
上記構成に係る一例として、ガス供給管310には原料ガスの一例として塩素系のTi含有原料(Cl含有金属化合物)である四塩化チタン(TiCl
4)等が導入される。ガス供給管320には、改質原料の一例として窒化原料であるアンモニア(NH
3)、窒素(N
2)、亜酸化窒素(N
2O)、モノメチルヒドラジン(CH
6N
2)等が導入される。ガス供給管330には、水素含有ガスの一例として水素(H
2)ガスが導入される。また、キャリアガス供給管510及び520からは、例えば窒素(N
2)ガスが、それぞれマスフローコントローラ512および522、バルブ514および524、ガス供給管510および520、ノズル410、420を介して処理室201内に供給される。
【0042】
なお、例えば各ガス供給管から上述のようなガスをそれぞれ流す場合、第1のガス供給系により原料ガス供給系、すなわちCl含有金属化合物供給系が構成される。また、第2のガス供給系により改質ガス(反応性ガス、N含有ガス)供給系が構成される。さらに、第3のガス供給系によりH含有ガス(水素ガス)供給系が構成される。
【0043】
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243を介して真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。なお、APCバルブ243は弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能となっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ243、真空ポンプ246、圧力センサ245により排気系が構成される。
【0044】
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410および420と同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0045】
反応管203内の中央部にはボート217が設けられている。ボート217は、ボートエレベータ115により反応管203に対し昇降(出入り)することができるようになっている。ボート217を支持するボート支持台218の下端部には、処理の均一性を向上するためにボート217を回転させるボート回転機構267が設けられている。ボート回転機構267を駆動させることにより、ボート支持台218に支持されたボート217を回転させることができるようになっている。
【0046】
以上のマスフローコントローラ312、322、332、512、522、332、バルブ314、324、514、524、334、614、ヒータ207、温度センサ263、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、ボート回転機構267、ボートエレベータ115等の各部材はコントローラ280に接続されている。コントローラ280は、基板処理装置101の全体の動作を制御する制御部(制御手段)の一例であって、マスフローコントローラ312、322、512、522、332の流量調整、バルブ314、324、514、524、334、614の開閉動作、APCバルブ243の開閉及び圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節、ボートエレベータ115の昇降動作等をそれぞれ制御するようになっている。
【0047】
<半導体装置の製造方法>
次に、上述の基板処理装置の処理炉202を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、大規模集積回路(Large Scale Integration;LSI)を製造する際などに、基板上に絶縁膜を成膜する方法の例について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0048】
[第1の実施形態]
本実施形態では、ALD法を用いて、金属化合物膜としてTiN膜を形成する方法について説明する。Cl含有金属化合物としてTi含有原料であるTiCl
4を用い、TiCl
4を置換する窒化ガス(TiCl
4と反応する反応性ガス)としてNH
3を用いて一部に置換反応を起こさせないままの結合枝を残したままTiN中間膜を基板上に形成した後、水素をこの結合枝に反応させることにより、TiN膜(Ti−N−H基を有するTiNH膜を含む場合もある)を基板上に形成する例について説明する。なお、この例では、第1のガス供給系によりCl含有金属化合物供給系(第1の元素含有ガス供給系)が構成され、第2のガス供給系により窒素含有ガス供給系(第2の元素含有ガス供給系)が構成される。
【0049】
ALD法とは、CVD法の一つであり、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる少なくとも2種類のガスを1種類ずつ交互に基板上に供給し、1原子単位で基板上に吸着させ、表面反応を利用して成膜を行う手法である。このとき、膜厚の制御は、原料ガスを供給するサイクル数で行う(例えば、成膜速度が1Å/サイクルとすると、20Åの膜を形成する場合、20サイクル行う)。
【0050】
図4に、本実施形態に係るTiN膜の成膜シーケンスを示す。成膜プロセスでは、コントローラ280が、基板処理装置101を下記の通りに制御する。すなわち、ヒータ207を制御して処理室201内を300℃〜550℃の範囲の温度であって、例えば450℃に保持する。
処理室201内の温度が550℃よりも高い場合、この処理室201内に供給される原料が熱分解し、面内均一性の確保が困難となる。処理室201内の温度が300℃よりも低い場合、成形される膜中に残留する不純物が増加する。
【0051】
その後、複数枚のウエハ200をボート217に装填し、ボートエレベータ115によってボート217を処理室201に搬入する。その後、ボート217をボート駆動機構267により回転させ、ウエハ200を回転させる。その後、真空ポンプ246を作動させるとともにAPCバルブ243を開いて処理室201内を真空引きし、ウエハ200の温度が450℃に達して温度等が安定したら、処理室201内の温度を450℃に保持した状態で5つのステップを後述の通り実行する。
【0052】
(ステップ11)
ステップ11では、TiCl
4を流す。TiCl
4は常温で液体であり、処理室201に供給するには、加熱して気化させてから供給する方法、気化器700を使用してキャリアガスと呼ばれるHe(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、N
2(窒素)などの不活性ガスをTiCl
4容器の中に通し、気化している分をそのキャリアガスと共に処理室201へと供給する方法などがあるが、例として後者のケースで説明する。
【0053】
ガス供給管310にTiCl
4を、キャリアガス供給管510にキャリアガス(N
2)を流す。ガス供給管310のバルブ314、キャリアガス供給管510のバルブ512、および排気管231のAPCバルブ243を共に開ける。キャリアガスは、キャリアガス供給管510から流れ、マスフローコントローラ512により流量調整される。TiCl
4は、ガス供給管310から流れ、マスフローコントローラ312により流量調整され、気化器700により気化され、流量調整されたキャリアガスを混合し、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給されつつ排気管231から排気される。この時、APCバルブ243を適正に調整して処理室201内の圧力を20〜50Paの範囲であって、例えば30Paに維持する。
【0054】
マスフローコントローラ312で制御するTiCl
4の供給量は1.0〜2.0g/minである。TiCl
4の供給量が2.0g/minよりも多い場合、成膜に消費される供給量以上の過剰な供給となる。TiCl
4の供給量が1.0g/minよりも少ない場合、この供給量が上記範囲にあるときと比較して、面内均一性が悪化する。
TiCl
4にウエハ200を晒す時間は3〜10秒間である。ウエハ200をTiCl
4に晒す時間が10秒よりも長い場合、生産性が低下し、量産が困難となる。ウエハ200をTiCl
4に晒す時間が3秒よりも短い場合、この晒す時間が上記範囲にあるときと比較して、面内均一性が悪化する。
このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が300℃〜550℃の範囲であって、例えば450℃になるよう設定してある。
【0055】
このとき、処理室201内に流しているガスは、TiCl
4とN
2、Ar等の不活性ガスのみであり、NH
3は存在しない。したがって、TiCl
4は気相反応を起こすことはなく、ウエハ200の表面や下地膜と表面反応(化学吸着)して、原料(TiCl
4)の吸着層またはTi層(以下、Ti含有層)を形成する。TiCl
4の吸着層とは、原料分子の連続的な吸着層の他、不連続な吸着層をも含む。Ti層とは、Tiにより構成される連続的な層の他、これらが重なってできるTi薄膜をも含む。尚、Tiにより構成される連続的な層をTi薄膜という場合もある。
【0056】
同時に、ガス供給管320の途中につながっているキャリアガス供給管520から、バルブ524を開けて不活性ガスを流すと、NH
3側にTiCl
4が回り込むことを防ぐことができる。
【0057】
(ステップ12)
ガス供給管310のバルブ314を閉めて処理室へのTiCl
4の供給を停止し、バルブ614を開けてベントライン610へTiCl
4を流す。これによりTiCl
4を常に安定して処理室へ供給することができる。このときガス排気管231のAPCバルブ243は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、残留TiCl
4を処理室201内から排除する。このときN
2等の不活性ガスを処理室201内へ供給すると、更に残留TiCl
4を排除する効果が高まる。
【0058】
(ステップ13)
ステップ13では、NH
3を流す。ガス供給管320にNH
3を、キャリアガス供給管520にキャリアガス(N
2)を流す。ガス供給管320のバルブ324、キャリアガス供給管520のバルブ522、および排気管231のAPCバルブ243を共に開ける。キャリアガスは、キャリアガス供給管520から流れ、マスフローコントローラ522により流量調整される。NH
3は、ガス供給管320から流れ、マスフローコントローラ322により流量調整され、流量調整されたキャリアガスを混合し、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給されつつ排気管231から排気される。NH
3を流すときは、APCバルブ243を適正に調節して処理室201内圧力を50〜1000Paの範囲であって、例えば60Paに維持する。
【0059】
マスフローコントローラ324で制御するNH
3の供給流量は1〜10slmである。NH
3の供給量が10slmよりも多い場合、成膜に消費される供給量以上の過剰な供給となる。NH
3の供給量が1slmよりも少ない場合、この供給量が上記範囲にあるときと比較して、面内均一性が悪化する。
NH
3にウエハ200を晒す時間は10〜30秒間である。ウエハ200をNH
3に晒す時間が30秒よりも長い場合、生産性が低下し、量産が困難となる。ウエハ200をNH
3に晒す時間が10秒よりも短い場合、この晒す時間が上記範囲にあるときと比較して、面内均一性が悪化する。
このときのヒータ207の温度は、300℃〜550℃の範囲の所定の温度であって、例えばステップ11と同じ450℃になるよう設定してある。
【0060】
同時に、ガス供給管310の途中につながっているキャリアガス供給管510から、開閉バルブ514を開けて不活性ガスを流すと、TiCl
4側にNH
3が回り込むことを防ぐことができる。
【0061】
NH
3の供給により、ウエハ200上に化学吸着したTi含有層とNH
3が表面反応(化学吸着)して、ウエハ200上にTiN中間膜が成膜される。このとき、成膜されたTiN膜には置換反応を起こさないままのTiとClの残留枝が残っている。
【0062】
(ステップ14)
ステップ14では、ガス供給管320のバルブ324を閉めて、NH
3の供給を止める。また、ガス排気管231のAPCバルブ243は開いたままにし、真空ポンプ246により、処理室201を20Pa以下に排気し、残留NH
3を処理室201から排除する。また、この時には、N
2等の不活性ガスを、NH
3供給ラインであるガス供給管320およびTiCl
4供給ラインであるガス供給管310からそれぞれ処理室201に供給してパージすると、残留NH
3を排除する効果が更に高まる。
【0063】
上記ステップ11〜14を1サイクルとし、少なくとも1回以上行なうことによりウエハ200上にALD法を用いて所定膜厚のTiN中間膜を成膜する。この場合、各サイクル中で、上記の通りに、ステップ11におけるTi含有原料ガスにより構成される雰囲気と、ステップ13における窒化ガスにより構成される雰囲気の夫々の雰囲気が処理室201内で混合しないように成膜することに留意する。また、ALD法によるTiN中間膜の膜厚は、サイクル数を制御して、0.02〜5nm程度に調整すると良い。このようなALD法により形成されるTiN膜は表面がスムーズで且つ緻密な連続膜となる。
【0064】
ALD法によるTiN中間膜を形成した後、好ましくはヒータ207を制御して処理室201内を600℃〜700℃の範囲の温度の所定の温度に保持する。温度は高温ほど反応しやすいので好適であり、例えば700℃に保持する。ウエハ200の温度が700℃に達して温度等が安定したら、処理室201内の温度を700℃に保持した状態で次のステップを後述の通り実行する。
【0065】
(ステップ21)
ステップ21では、H
2を流す。ガス供給管330のバルブ334および排気管231のAPCバルブ243を共に開ける。H
2は、ガス供給管330から流れ、マスフローコントローラ332により流量調整される。H
2は、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給されつつ排気管231から排気される。H
2を流すときは、APCバルブ243を適正に調節して処理室201内圧力を50〜1000Paの範囲であって、例えば60Paに維持する。マスフローコントローラ324で制御するH
2の供給流量は1〜20slmである。H
2にウエハ200を晒す時間10〜1800秒間である。このときのヒータ207の温度は、600℃〜700℃の範囲の所定の温度であって、例えば700℃になるよう設定してある。
【0066】
このように、H
2で熱処理(H
2アニール)することにより、TiN中間膜に含まれる未反応のClがHClとなり、膜中から離脱して、TiN膜が形成される。
【0067】
Clが、TiN中間膜から離脱する機構(予測されるメカニズム)について説明する。
図5は、H
2アニールによりClがTiN中間膜から離脱する機構を模式的に示す図である。
ステップ11〜14の処理後、ウエハ200上に形成されたTiN中間膜は、原料のTiCl
4に起因するClを含んだ状態にある(
図5(a))。このTiN中間膜をH
2アニール(ステップ21)すると、このTiN中間膜に含まれるClとH
2とが反応し、HClとなって、TiN中間膜から離脱する(
図5(b))。このようにして、TiN中間膜からClが除去され、TiN膜が形成される。
【0068】
なお、ステップ21の処理後に形成されたTiN膜には、Ti−N―Ti結合のみを有するTiN膜成分だけではなく、Hが含まれTi−N−H基を有するTiNH膜成分も含まれる場合がある。
TiNH膜成分が含まれる理由は、以下の通りである。Ti−N−H基のHにTiCl
4が衝突して反応すればHClとなってHが抜けるためTi−N−Ti結合となってTiN膜が形成される。しかし、この反応が起きなければTi−N−H基が残り、TiNH膜となる。尚、温度が高いほどより反応が促進されるためTiN膜となる確率が増えると考えられる。上記のステップ21を行なうことにより、TiN膜からClを除去することが可能となる。
また、H
2アニールを行うことにより、H
2アニールを行わない場合と比較して、形成される膜の抵抗(コンタクト抵抗)を低くすることができ、また、拡散防止(バリア)性を向上することができる。
【0069】
尚、ステップ11〜14を行なって所定膜厚に達した後にステップ21を行なっても良いし、ステップ11〜14を1サイクル行う毎にステップ21を行なって所定膜厚まで金属膜を形成しても良い。また、ステップ11〜14を1サイクル行う毎にステップ21を行なって所定膜厚まで金属膜を形成する場合(つまり金属中間膜の膜厚が薄い場合)は、縦型装置においてはステップ21の温度を変更せずステップ11〜14と同じ温度で処理することが好ましい。
【0070】
また、上記ではステップ11〜14のヒータ207の温度としてウエハ200の温度が450℃になるよう設定する例について述べたが、ウエハ200の温度は300〜550℃の間の所定の温度であればよく、ウエハ200の温度を変えることによって、残留するClの濃度を変えることが出来る。残留するClの濃度を低くする場合は、ウエハ200の温度をより高温にし、残留するClの濃度を高くする場合は、ウエハ200の温度をより低温にする。
【0071】
図6は、ウエハ200の温度(処理温度)と、残留Cl濃度(%)及び抵抗率(μΩcm)それぞれの関係を示す測定結果である。なお、
図6の説明において「ウエハ200の温度」とは、ステップ11〜14の処理時におけるウエハ200の温度を示す。また、残留Cl濃度は、H
2アニール(ステップ21)後、ウエハ200上に形成されたTiN膜中に残留するClの濃度を示す。抵抗率は、ウエハ200/TiN膜の界面の抵抗(コンタクト抵抗)に対するものである。
【0072】
残留Cl濃度は、ウエハ200の温度を350℃に設定すると1%、ウエハ200の温度を380℃に設定すると0.5%、ウエハ200の温度を450℃に設定すると0.2%となった。
【0073】
抵抗率は、ウエハ200の温度が300〜550℃の範囲において、温度を高温とするほど、低くなる。
図6に示すように、抵抗率は、ウエハ200の温度を350℃に設定すると460μΩcm、ウエハ200の温度を380℃に設定すると240μΩcm、ウエハ200の温度を450℃に設定すると150μΩcmとなった。
【0074】
また、NH
3の供給量を変えることによっても残留するClの濃度を変えることは可能である。例えば、残留するClの濃度を高くする場合はNH
3のガス供給量をより減少させる。
【0075】
また、NH
3の供給時間を変えることによっても残留するClの濃度を変えることは可能である。例えば、残留するClの濃度を高くする場合はNH
3の供給時間をより短くする。
【0076】
[第2の実施形態]
本実施形態では、CVD法を用いて、金属化合物膜としてTiN膜を形成する方法について説明する。Cl含有金属化合物としてチタン(Ti)含有原料であるTiCl
4を用い、TiCl
4を置換する窒化ガス(TiCl
4と反応する反応性ガス)としてNH
3を用いて一部に置換反応を起こさせないままの結合枝を残したままTiN中間膜を基板上に形成した後、水素をこの結合枝に反応させることにより、TiN膜(Ti−N−H基を有するTiNH膜を含む場合もある)を基板上に形成する例について説明する。尚、第1の実施形態と異なる点は第1の実施形態はALD法にてTiN中間膜を形成するのに対し、本実施形態はCVD法にてTiN中間膜を形成する点である。異なる箇所のみ説明する。本実施形態で好適に用いる基板処理装置等は、第1の実施形態におけるものと同じである。
【0077】
CVD法によるTiN膜の堆積は、コントローラ280が、バルブ、マスフローコントローラ、真空ポンプ等を制御して、気相反応(CVD反応)が起こるように、同時に存在するタイミングが出来るようにTiCl
4とNH
3を処理室201内に供給する。以下に、具体的な成膜シーケンスを説明する。
【0078】
本工程では、TiCl
4とNH
3を同時に流す。ガス供給管310にTiCl
4を、キャリアガス供給管510にキャリアガス(N
2)を流す。ガス供給管310のバルブ314、キャリアガス供給管510のバルブ512、および排気管231のAPCバルブ243を共に開ける。キャリアガスは、キャリアガス供給管510から流れ、マスフローコントローラ512により流量調整される。TiCl
4は、ガス供給管310から流れ、マスフローコントローラ312により流量調整され、気化器700により気化され、流量調整されたキャリアガスを混合し、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給される。
【0079】
また、ガス供給管320にNH
3を、キャリアガス供給管520にキャリアガス(N
2)を流す。ガス供給管320のバルブ324、キャリアガス供給管520のバルブ522、および排気管231のAPCバルブ243を共に開ける。キャリアガスは、キャリアガス供給管520から流れ、マスフローコントローラ522により流量調整される。NH
3は、ガス供給管320から流れ、マスフローコントローラ322により流量調整され、流量調整されたキャリアガスを混合し、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給される。
【0080】
そして、処理室201内に供給されたTiCl
4とNH
3は、排気管231から排気される。この時、APCバルブ243を適正に調整して処理室201内の圧力を10〜30Paの範囲であって、例えば20Paに維持する。
【0081】
マスフローコントローラ312で制御するTiCl
4の供給量は0.1〜1.0g/minである。TiCl
4の供給量が1.0g/minよりも多い場合、過剰な気相反応が生じ、この供給量が上記範囲にあるときと比較して、面内均一性が悪化したり、パーティクルの発生量が増加したりする。TiCl
4の供給量が0.1g/minよりも少ない場合、この供給量が上記範囲にあるときと比較して、面内均一性が悪化する。
マスフローコントローラ322で制御するNH
3の供給量は0.1〜0.5slmである。NH
3の供給量が0.5slmよりも多い場合、過剰な気相反応が生じ、この供給量が上記範囲にあるときと比較して、面内均一性が悪化したり、パーティクルの発生量が増加したりする。NH
3の供給量が0.1slmよりも少ない場合、この供給量が上記範囲にあるときと比較して、面内均一性が悪化する。
TiCl
4及びNH
3にウエハ200を晒す時間は所望の膜厚に達するまでである。
【0082】
このときヒータ207温度は、ウエハ200の温度が300℃〜550℃の範囲であって、例えば450℃になるよう設定してある。ウエハ200の温度が550℃よりも高い場合、ウエハ200に供給される原料が熱分解し、面内均一性の確保が困難となる。一方、ウエハ200(処理室201内)の温度が300℃よりも低い場合、このウエハ200に成形される膜中に残留する不純物が増加する。
【0083】
このとき、処理室201内に流しているガスは、TiCl
4とNH
3及びN
2、Ar等の不活性ガスであり、TiCl
4とNH
3が気相反応(熱CVD反応)を起こして、ウエハ200の表面や下地膜上に所定膜厚のTiN中間膜が堆積(デポジション)される。このとき、成膜されたTiN膜には置換反応を起こさないままのTiとClの残留枝が残っている。
【0084】
予め設定された処理時間が経過すると、ガス供給管310のバルブ314及びガス供給管320のバルブ324を閉め、TiCl
4及びNH
3の供給を停止する。このときガス排気管231のAPCバルブ243は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、残留TiCl
4及びNH
3を処理室201内から排除する。またこのとき、ガス供給管510のバルブ514及びガス供給管520のバルブ524は開けておき、不活性ガスを処理室201内へ供給すると、更に残留TiCl
4及びNH
3を排除する効果が高まる。
【0085】
CVD法によるTiN膜の膜厚は、供給時間によって調整する。供給時間が長ければ長いほど膜厚をより厚くすることができ、供給時間が短ければ短いほど膜厚をより薄くすることが出来る。
【0086】
CVD法によるTiN中間膜を形成した後、処理室201内を昇温し、H
2を処理室201内へ供給する。処理条件等は、第1の実施形態と同じである。
【0087】
これにより、TiN中間膜に含まれる未反応のClがHClとなり、膜中から離脱して、TiN膜が形成される。このとき、形成されたTiN膜にはTi−N―Ti結合のみを有するTiN膜成分だけではなく、Hが含まれTi−N−H基を有するTiNH膜成分も含まれる場合がある。
【0088】
また、ウエハ200の温度を変えることによって、残留するClの濃度を変えることが出来る。残留するClの濃度を減少させたい場合は、残留するClの濃度を減少させたい場合は、ウエハ200の温度をより高温にし、残留するClの濃度を増加させたい場合は、ウエハ200の温度をより低温にすると良い。
【0089】
また、NH
3の供給量を変えることによっても残留するClの濃度を変えることは可能である。例えば、残留するClの濃度を低くする場合はNH
3のガス供給量をより増加させ、残留するClの濃度を高くする場合はNH
3のガス供給量を減少させると良い。
【0090】
また、NH
3の供給時間を変えることによっても残留するClの濃度を変えることは可能である。例えば、残留するClの濃度を低くする場合はNH
3の供給時間をより長くし、残留するClの濃度を高くする場合はNH
3の供給時間をより短くする。
【0091】
尚、CVD法により形成したTiN膜等は、ALD法で形成されるTiN膜と比較して高速で成長するため、所望の膜厚を得るために必要な時間を短縮することが出来る。
【0092】
尚、第2の実施形態では、CVD法を用いてTiCl
4及びNH
3を同時に連続的に処理室201へ供給することによりTiN中間膜を形成する方法について説明したが、第2の実施形態に係るTiN中間膜の形成とNH
3による高温処理を断続的(パルス)に行なっても良い。これにより、CVD法により形成された膜層の膜質が改善され、例えば抵抗率を低減することが可能となる。
【0093】
また、下地基板との界面(接合部)では、一部に置換反応を起こさせないままの結合枝を残したまま成膜を行なった後、前記結合枝に対してH
2を反応させると、同時に下地膜の構成元素との結合枝を形成する。下地の構成元素において水素と反応する対象物は、Si、SiGe、Al合金、Cu、Cu合金等が挙げられる。例えば、下地の構成元素にSiが含まれる場合、界面でClが介在するTi−Cl−Si結合では、抵抗率が高いと考えられる。そのClを、H
2を用いて除去すると、処理後の金属化合物膜は、TixSiyNz膜となる。
【0094】
また、上記の実施形態では、H
2はNH
3の供給管に合流し、NH
3のノズルから供給すると記載しているが、これに限らず、独立して処理室内にH
2のノズルを立設しても良い。H
2は既存のノズルから供給するようにしてもよいし、H
2専用のノズルから供給するようにしてもよい。
【0095】
また、上記の実施形態では、一部に置換反応を起こさせないままの結合枝を残したまま成膜を行なう工程と、H
2で残留するClを除去する工程を同一の処理室または基板処理装置で行なっているが、異なる処理室または基板処理装置で行なっても良い。
【0096】
また、本発明においてH
2を供給する際は、H
2を、プラズマ、電子ビーム、フィラメント電極等を用いて活性化させ、処理室201に供給しても良い。これにより、H
2を供給する際のウエハ200の温度を低温化することが可能となる。また、下地との接触抵抗の低減が要求されるSiとのコンタクトなどの用途への適用も可能となる。
【0097】
上記実施形態では、TiN膜を形成する例について説明したが、これに限らず、塩化ハフニウム(HfCl
4)や塩化アルミニウム(AlCl
3)等のCl含有原料を用いるHf含有膜やAl含有膜の成膜についても適用することができる。
【0098】
尚、本発明は縦型装置の使用を前提としたものでなく、例えば、横型装置であっても良い。また、複数の被処理基板を同時に処理するバッチ式装置の使用を前提としたものではなく、枚葉装置であっても適用可能である。また、縦型装置の場合には、その反応管内部に被処理基板とほぼ同じ直径を有する内部管が存在しており、その内部管の内側に位置する被処理基板の間に側方からガスを導入及び排気する構成としても良い。
【0099】
[本発明の好ましい態様]
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0100】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
Cl含有金属化合物と、Cl含有金属化合物を反応する反応性ガスを基板に供給し、Cl含有金属化合物の一部に置換反応を起こさせないままの結合枝を所定の濃度で残すよう処理条件を制御して基板に金属中間膜を形成する第1の工程と、
H
2を基板に供給し、金属中間膜に含まれる結合枝を置換する第2の工程を有し、第1の工程と第2の工程を順に行なうことにより、金属膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
(付記2)
好ましくは、処理条件は、基板の加熱温度、反応性ガスの供給量、反応性ガスの供給時間のいずれかである。
(付記3)
好ましくは、Cl含有金属化合物はTiCl
4であり、反応性ガスはNH
3であり、金属膜はTiN膜である。
(付記4)
好ましくは、TiN膜は、Ti−N−H基を含む。
(付記5)
好ましくは、金属中間膜は、Cl含有金属化合物と反応性ガスを交互に基板に供給して形成する。
(付記6)
好ましくは、金属中間膜は、Cl含有金属化合物と反応性ガスを同時に基板に供給して形成する。
(付記7)
好ましくは、基板の下地膜がSi、SiGe、Al合金、Cu、Cu合金のいずれかである。
(付記8)
好ましくは、基板の下地膜がSiであり、基板と金属膜との界面にTixSiyNz膜が形成される。
(付記9)
好ましくは、第1の工程と第2の工程は、基板の温度を変えて行なう。
(付記10)
好ましくは、第1の工程と第2の工程は、同じ処理室内で行なう。
(付記11)
好ましくは、第1の工程と第2の工程は、異なる処理室内で行なう。
(付記12)
好ましくは、H
2は、プラズマ、電子ビーム及びフィラメント電極のいずれかを用いて活性化させて用いる。
(付記13)
本発明の他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
基板を加熱する加熱手段と、
基板にCl含有金属化合物を供給する第1のガス供給手段と、
基板にCl含有金属化合物と反応する反応性ガスを供給する第2のガス供給手段と、
基板にH
2を供給する第3のガス供給手段と、
処理室内の雰囲気を排気する排気手段と、
加熱手段、第1のガス供給手段、第2のガス供給手段、第3のガス供給手段及び排気手段を制御する制御部と、を有し、
制御部は、加熱手段、第1のガス供給手段、第2のガス供給手段、第3のガス供給手段及び排気手段を制御して、
基板を加熱しつつ、Cl含有金属化合物及び反応性ガスを基板に供給し、Cl含有金属化合物の一部に置換反応を起こさせないままの結合枝を所定の濃度で残すよう処理条件を制御して基板に金属中間膜を形成した後、
H
2を基板に供給し、金属中間膜に含まれる結合枝を置換することにより、金属膜を形成することを特徴とする基板処理装置が提供される。
(付記14)
好ましくは、処理条件とは、基板の加熱温度、反応性ガスの供給量、反応性ガスの供給時間のいずれかである。
(付記15)
本発明の一態様によれば、上記の半導体装置の製造方法で形成された半導体装置が提供される。
(付記16)
本発明の一態様によれば、上記の基板処理装置で形成された半導体装置が提供される。
(付記17)
本発明の他の態様によれば、
無機金属化合物または有機金属化合物のいずれかと、金属化合物に対して反応性を有する第1のガスを反応させることにより、被処理基板上に純金属もしくは金属化合物膜を形成する成膜方法であって、一部に置換反応を起こさないままの結合枝を残したまま成膜を行った後、結合枝に対して第2のガスを反応させることにより、金属膜化合物の組成を制御することを特徴とする成膜方法、及び成膜装置が提供される。
(付記18)
好ましくは、上記の成膜はALD法またはCVD法にて行なう。
(付記19)
好ましくは、金属化合物がTiCl
4、第1のガスがNH
3、第2のガスがH
2である。
(付記20)
好ましくは、処理後の金属化合物膜がTi
xN
y、Ti
xN
yH
zである。
(付記21)
本発明の他の態様によれば、
無機金属化合物または有機金属化合物のいずれかと、金属化合物に対して反応性を有する第1のガスを反応させることにより、被処理基板上に純金属もしくは金属化合物膜を形成する成膜方法であって、一部に置換反応を起こさないままの結合枝を残したまま成膜を行った後、結合枝に対して第2のガスを反応させると同時に下地膜の構成元素との結合枝を形成することを特徴とする成膜方法、及び成膜装置が提供される。
(付記22)
好ましくは、上記の成膜はALD法またはCVD法にて行なう。
(付記23)
好ましくは、金属化合物がTiCl
4、第1のガスがNH
3、第2のガスがH
2、下地のうち反応させる対象物がSi、SiGe、Al合金、Cu、Cu合金のいずれかである。
(付記24)
好ましくは、処理後の金属化合物膜がTi
xN
ySi
zである。
(付記25)
好ましくは、第1の反応と第2の反応を異なる温度領域で実施する。
(付記26)
好ましくは、第1の反応と第2の反応を異なる処理室または処理装置で実施する
(付記27)
本発明の他の態様によれば、少なくとも2種類の還元性材料を独自に制御し、同時あるいは別々のタイミングと流量で任意に反応室内に導入することができることを特徴とするCVD成膜装置およびALD成膜装置が提供される。
(付記28)
好ましくは、同時に複数枚の基板を処理できる。
(付記29)
好ましくは、第2の反応において、プラズマ、電子ビーム、フィラメント電極のいずれかを用いてガスを活性化する。