特許第5787491号(P5787491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5787491-ミルクを加熱して泡立てるための装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787491
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】ミルクを加熱して泡立てるための装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   A47J31/44 420
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2010-137190(P2010-137190)
(22)【出願日】2010年6月16日
(65)【公開番号】特開2011-443(P2011-443A)
(43)【公開日】2011年1月6日
【審査請求日】2013年2月18日
【審判番号】不服2014-12944(P2014-12944/J1)
【審判請求日】2014年7月4日
(31)【優先権主張番号】10 2009 025 986.4
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510168346
【氏名又は名称】カフィナ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Cafina AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フリーガウフ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン フリシュクネヒト
【合議体】
【審判長】 紀本 孝
【審判官】 千壽 哲郎
【審判官】 小野 孝朗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−524430(JP,A)
【文献】 米国特許第4800805(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にコーヒーマシンに設けられる、ミルクを加熱して泡立てるための装置であって、
a)スチーム発生装置(2)が設けられており、該スチーム発生装置(2)は、水を加熱してスチームを発生させるように設計されており、スチームは、第1管路(3)を通ってスチーム発生装置(2)から導出されるようになっており、第1管路(3)は、遮断弁(4)によって開閉されるようになっており
b)搬送ポンプ(7)が設けられており、該搬送ポンプ(7)によって、エアーが、第2管路(8)にポンピングされるようになっている、ミルクを加熱して泡立てるための装置において、
c)第1管路(3)の出口は、直に容器(6)に浸漬するように設計されており、該容器(6)には、泡立てようとするミルクが存在し、
d)第2管路(8)の出口は、流路に関して第1管路(3)とは別に間隔を有して直に容器(6)に浸漬するように設計されており、該容器(6)には、泡立てようとするミルクが存在し、スチームとエアーとは、ミルクを加熱して泡立てる際に相互に完全に分離して供給されるようになっており、
e)容器(6)に浸漬することのできる検温部材(9)が設けられており、
f)検温部材(9)と搬送ポンプ(7)とスチーム遮断弁(4)とに接続している制御装置(10)が設けられている、ことを特徴とする、ミルクを加熱して泡立てるための装置。
【請求項2】
請求項記載の、特にコーヒーマシンに設けられる、ミルクを加熱して泡立てるための装置を運転する方法において、
スチームとエアーとを、ミルクを加熱して泡立てる際に、ミルクを含有する容器に完全に個別にガイドすることを特徴とする、ミルクを加熱して泡立てるための装置を運転する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にコーヒーメーカおよびコーヒーマシンに設けられる、ミルクを加熱して泡立てるための装置であって、スチーム発生装置が設けられており、スチーム発生装置は、水を加熱してスチームを発生させるように設計されており、スチームは、第1管路を通ってスチーム発生装置から導出されるようになっており、第1管路は、遮断弁によって開閉されるようになっており、搬送ポンプが設けられており、搬送ポンプによって、エアーが第2管路にポンピングされるようになっているものに関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べたような、ミルクを加熱して泡立てるための装置は、ドイツ連邦共和国特許公開第4445436号明細書において公知である。その開示内容によれば、エアーおよびスチームならびにミルクが、ミルク室内で混合され、次いで泡立てられたミルクが容器にガイドされる。ミルクを加熱して泡立てるための別の装置は、国際公開第2003/092458号パンフレットにおいて公知であり、ここではエアーおよびスチームが搬送手段内でまとめられ、次いで搬送手段を介してミルク容器にガイドされる。
【0003】
しかしながら得られる泡質は、満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第4445436号明細書
【特許文献2】国際公開第2003/092458号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の課題は、冒頭で述べたような、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4445436号明細書による背景技術から出発して、改良された、ミルクを加熱して泡立てるための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するための本発明の装置によれば、特にコーヒーマシンに設けられる、ミルクを加熱して泡立てるための装置であって、スチーム発生装置が設けられており、該スチーム発生装置は、水を加熱してスチームを発生させるように設計されており、スチームは、第1管路を通ってスチーム発生装置から導出されるようになっており、第1管路は、遮断弁によって開閉されるようになっており、第1管路の出口は、直に容器に浸漬するように設計されており、該容器には、泡立てようとするミルクが存在し、搬送ポンプが設けられており、該搬送ポンプによって、エアーが、第2管路にポンピングされるようになっている、ミルクを加熱して泡立てるための装置において、第1管路の出口は、直に容器に浸漬するように設計されており、該容器には、泡立てようとするミルクが存在し、第2管路の出口は、流路に関して第1管路とは別に間隔を有して直に容器に浸漬するように設計されており、該容器には、泡立てようとするミルクが存在し、スチームとエアーとは、ミルクを加熱して泡立てる際に相互に完全に分離して供給されるようになっている。
【0007】
有利には、容器に浸漬することのできる検温部材が設けられている。
【0008】
有利には、検温部材と搬送ポンプとスチーム遮断弁とに接続している制御装置が設けられている。
【0009】
この課題を解決するための本発明の方法によれば、特にコーヒーマシンに設けられる、ミルクを加熱して泡立てるための装置を運転する方法において、スチームとエアーとを、ミルクを加熱して泡立てる際に、ミルクを含有する容器に完全に個別にガイドする。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、先ず構造に関して、ドイツ連邦共和国特許公開第4445436号明細書に対して有利であり、混合チャンバを省略することができる。
【0011】
国際公開第2003/092458号パンフレットに対して構造的観点から得られる利点によれば、第1管路および第2管路から流出するエアーおよびスチームを先ず混合して、次いで混合物をミルクの充填された容器にガイドする搬送手段が不要である。
【0012】
その他に方法技術的観点から多くの利点が得られる。
【0013】
したがってドイツ連邦共和国特許公開第4445436号明細書および国際公開第2003/092458号パンフレットの構成に対して、本発明による構成によって、オリジナルのイタリアン方式の「本当」の手作業によるバリスタ−ミルクフォームに極めて近いミルクフォームが得られる。
【0014】
とりわけ国際公開第2003/092458号パンフレットによる、共通の搬送手段を介してスチームおよびエアーが供給される場合、スチーム−エアー−混合物に調和された単個の流出横断面が存在する。これに対してスチームなしにエアーだけがこの横断面を介して供給される場合、十分な流速が得られず、したがってミルクの中でエアーの乱れが生じる。
【0015】
したがって本発明は、冒頭で述べたような背景技術とは異なるだけでなく、国際公開第2003/092458号パンフレットにおいて行われる、ミルクにガイドされるまえにエアーとスチームとを混合する方式とも明確に異なる。その代わりにエアーとスチームとは、別々の管路で、泡立てようとするミルクの充填された容器に直に供給される。
【0016】
本発明による構成によって、背景技術に対して明確な多くの利点が得られる。スチームとは別個の管路を通るエアーガイドは、特に密度、飽和、量、流速などに影響されるスチームの状態とは無関係である。
【0017】
さらにエアーとスチームとの個別のガイド(管路)によって、適切な体積または適量の両媒体を容易にミルクに導入することができる。なぜならば両媒体の相互作用を考慮する必要がないからである。
【0018】
さらにエアーとスチームとの個別のガイドによって、それぞれ独自の流出開口に基づいて、時間的に分けてエアーとスチームとを供給することができる。
【0019】
さらにエアーとスチームとの個別のガイドによって、極めて簡単な手段で、各媒体の導入域(導入平面もしくは導入高さ)を多様に形成することができるので、たとえばミルクを加熱するためのスチームは、泡立てるためのエアーよりも深くミルクに導入される。このことはエアーおよびスチームを単個の管路を通ってまとめて供給する場合には不可能である。
【0020】
エアーとスチームとの個別のガイドによって、エアーとスチームとをそれぞれ供給する流出横断面および流出横断面の構成は、独自の方式でその都度のミルクに容易に適合させることができる。
【0021】
エアーとスチームとの個別のガイドでは、エアーは、バリスタによる伝統的なミルクの泡立てと同様に、個別にミルクに供給される。したがって伝統を受け継いだバリスタによって作られる所望の泡に極めて近い泡質が得られる。
【0022】
エアーの個別の供給によって、バリスタと同様に、スチームで加熱されない低温のエアーで作業が行われる。バリスタも、常温(低温)の外気を、スチームノズル(スチームランス)を独特の方式で取り扱いミルクに導入する。その効果によれば、泡立ちプロセスが長くなり、良好な泡質、たとえばより細かい泡が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による、コーヒーマシン用の、ミルクを加熱して泡立てるための装置1の配置構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
【0025】
図1には、コーヒーマシン用の、ミルクを加熱して泡立てるための装置1を示した。
【0026】
加熱泡立装置1は、スチーム発生装置2を備えており、スチーム発生装置2は、水を加熱してスチームを発生させるように設計されており、スチームは、第1管路3を通ってスチーム発生装置2から導出され、管路3は、遮断弁4によって開閉可能である。ガイド方向で軸方向にみて単数または複数の構成要素から成る第1管路3は、出口で容器6に直に浸漬するよう設計されており、容器6は、出口の下方で保持されるか、または設置することができ、容器6には、泡立てようとするミルクが存在する。
【0027】
さらに加熱泡立装置1は、搬送ポンプ7を備えており、搬送ポンプ7によって、エアーが、ガイド方向で軸方向にみて単数または複数の構成要素から成る第2管路8にポンピング可能であり、第2管路8の出口も同様に、流路に関して第1管路5とは別に、直に容器6に浸漬するように設計されており、容器6には、泡立てようとするミルク5が存在する。
【0028】
さらに(温度)検温部材9が設けられており、検温部材9も同様に容器6に浸漬可能である。
【0029】
検温部材9は、制御装置10に接続されており、制御装置10は、搬送ポンプ7とスチーム弁4とに接続されている。
【0030】
制御装置10は、有利には(図示していない)マイクロコントローラと、制御命令を入力するための入力手段11と、場合によっては情報を表示するための出力手段とを備えている。
【0031】
エアーとスチームとは、完全に分離してミルクにガイドされ、これによって特に良好な泡質が得られる。
【符号の説明】
【0032】
1 加熱泡立装置、 2 スチーム発生装置、 3 第1管路、 4 スチーム遮断弁、 5 ミルク、 6 容器、 7 搬送ポンプ、 8 第2管路、 9 検温部材、 10 制御装置、 11 入力手段
図1