(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話のカメラモジュールは、高画素化、高機能化の進展が著しく、デジタルカメラと同様の機能を持つに至っている。そのような中で、携帯電話のカメラに対しズーム機能付加の要求が高まっており、小型、高画素、高倍率ズームのカメラ機能を備えた携帯電話に対する要請は日増しに強くなっている。
【0003】
携帯電話のカメラのズーム化が進展すると、望遠側での撮影が必須となり、どうしても手振れが発生するようになるため、クオリティーの高い画像を得ることが困難となっている。
そのため、携帯電話においても、高倍率ズームで、かつ光学手振れ防止機能のついたカメラモジュールの要求が高まっている。
【0004】
しかしながら、携帯電話のカメラモジュールには、何よりもまず小型化、薄型化が要求されるため、デジタルカメラに比べ、カメラモジュールの高機能化は、難しいものとなっている。
【0005】
現在、薄型化を図るために、携帯電話のカメラモジュールにおいて検討されているのが、屈曲式ズーム方式のカメラモジュールである。屈曲式ズーム方式のカメラモジュールは、プリズム等の反射部材により、光線を90度折り曲げることで薄型化が図られているが、一般に、その反射部材の前には、撮影レンズのワイド端の広角化のために、メニスカス形状の負レンズを配置する必要がある。
そのため、反射部材の前後にレンズが配置される構成になるが、このレンズ構成は、カメラモジュールの製造上や手振れ防止の検討上の大きな障害となっている。
【0006】
一方、手振れ補正については、現在、イメージセンサーを手振れに応じて移動させて補正を行う方法、ズームレンズ群の中間の1つのレンズを光軸に垂直に手振れに応じて移動させて補正を行う方法、の2つの方法が検討されている。
イメージセンサーを手ぶれに応じて移動させて補正を行う方法は、非常に微細なコントロールを必要とする方法であり、ズームレンズ群の中間の1つのレンズを光軸に垂直に手振れに応じて移動させて補正を行う方法は、移動させたレンズの光軸がずれるために収差が大きくなり、その収差を補正する手段が新たに必要になるため、どちらの方法も技術的には非常に難しいものになっている。
【0007】
また、屈曲式のズームの場合には、反射部材を移動させて手振れ補正をする提案がされている。例えば、特許文献1には、被写体側レンズ、反射部材、ズーム及びフォーカスレンズ群の順に配置した折り曲げズームレンズモジュールにおいて、反射部材を反射部材と光軸との交点を中心に回動させて光軸の方向を変更させ、かつ、光軸の偏芯を調整する手段を有する防振手段つき屈曲式カメラモジュールが提案されている。
【0008】
しかし、この方法では、被写体側レンズと反射部材を、反射部材と光軸との交点を中心に回動すると、被写体側レンズの光軸と反射部材後段のレンズ群の光軸との間にずれが生じてしまう。光学レンズ群においてレンズ同士の光軸(レンズ中心)が合わなければ、画像の品質が大きく崩れることになるため、レンズ群の調芯が必要になるが、レンズの調芯は非常に難しく、ズームレンズモジュールの生産性も大きく劣るものとなってしまう。
【0009】
また、特許文献2には、被写体側レンズ、反射部材、ズーム及びフォーカスレンズ群の順に配置した折り曲げズームレンズモジュールにおいて、反射部材とその前後のレンズとを一体として、入射光軸と反射部材により反射した光軸とにより作られる平面に垂直な方向に移動させて、光学画像をシフトさせることにより手ぶれ補正を行うことが提案されている。
しかしながら、この方法では、反射部材とその前後のレンズとを一体として、入射光軸と反射部材により反射した光軸とにより作られる平面に対し垂直な方向に移動させなければならず、反射部材を反射した光軸と後段のズーム系の光軸とがずれることになり、画像のクオリティーが劣化するという問題点があった。
【0010】
さらに、特許文献3には、撮影レンズの被写体側に1つの頂角可変プリズムを配置し、かつ、頂角変更プリズムの後段に収差補正用レンズ群を配置するようにし、頂角を変更することにより、光軸を変更して手ぶれ補正を行う方法が提案されている。
しかしこの方法では、頂角可変プリズムで発生した収差を補正するために、別途のレンズ群を必要とするばかりでなく、その収差補正は、頂角の微小な変更のたびに最適化しなければならないという問題点があった。
【0011】
図1は、従来の反射部材としてプリズムを用いた屈曲式レンズモジュールのレンズ配置と、手ぶれ補正のためにプリズムを動かした時の光軸の状況を示している。
図示した従来の屈曲式レンズモジュールにおいては、プリズムの被写体側にレンズが配置されており、プリズムの動きと連動して被写体側のレンズも動くようになっている。
被写体側のレンズの光軸は、プリズムが動いてもプリズムの反射面に一定角度で入射する。そのため、手ぶれ補正のために反射部材を回動させると、被斜体側のレンズの光軸とプリズム後段のレンズ群の光軸との間にずれを生じてしまう。
【0012】
図1を参照して、従来の屈曲式レンズモジュールにおける反射部材を回動させた場合の光軸のずれについて説明する。なお、本願明細書及び図において表記したX軸及びY軸は、ズームレンズ群の光軸と反射部材が交わる点でズームレンズ群の光軸と反射部材に反射した光軸もしくは被写体側レンズの光軸とにより作られる平面に対して垂直な軸をX軸とし、ズームレンズ群の光軸をY軸としている。
【0013】
図1の(1)は、X軸を回転軸としてプリズムを正方向に+2度回動させた場合の光軸の状態を示しているが、プリズムを正方向に回動させると、プリズムと一体に動く被写体側レンズもX軸を回転軸として回動し、被写体側レンズを通った光軸は、プリズムで反射してプリズム以降において、本来の光軸と+2度の角度のずれを生じる。
同様に、
図1の(3)は、X軸を回転軸としてプリズムを負方向に−2度回動させた場合の光軸の状態を示し、プリズムを負方向に回動させると、被写体側レンズもX軸を回転軸として負方向に回動し、被写体側レンズを通った光軸は、プリズムで反射してプリズム以降において、本来の光軸と−2度の角度のずれを生じる。
【0014】
被写体像は、
図1の(1)もしくは(3)において、手振れ補正をすることにより2度ずれた光軸上に光学画像がシフトしてしまう。このように光軸をずらすことは、収差を発生させ、画像の品質を崩すことになり、収差を補正する手段を別途設けなければ画像品質を保つことができなくなってしまう。
【0015】
しかし、反射部材の後段のレンズ群でその収差を補正する場合においても、光軸のずれは手ぶれの状態により連続的に変化するため、収差補正もその連続的に変化する光軸のずれ角度にしたがって連続的に追従するように収差補正をする必要があり、収差補正機構が複雑となり、レンズモジュールの構造が大きなものとなってしまうことを免れないという問題点があった。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の屈曲式ズームカメラモジュールの防振機構は、反射部材と一体的に動作するレンズを有さず、被写体側より、反射部材、ズームレンズ群、フォーカスレンズ群、撮像装置が順に配置された屈曲式ズームレンズ装置において、ズームレンズと反射部材とが交わる点で、ズームレンズ群の光軸と反射部材に反射した光軸とにより作られる平面に対して垂直な軸と、ズームレンズ群の光軸と一致する軸と、を回転軸として反射部材を回動させることにより手ぶれ補正をするものである。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係る撮影光学系のレンズ配置を示したものである。
図2に示すレンズ配置は、被写体側より反射部材1、ズームレンズ群として1群レンズ2と2群レンズ3、フォーカスレンズ群として3群レンズ4を配置し、その後段に撮像装置(図示しない)を配置した構成になっている。
【0028】
反射部材1は、被斜体側より入射した光束を180°よりも小さい角度で折り曲げて、撮像側のレンズ群へ伝達するもので、反射部材1が折り曲げる角度は、ズームレンズ群の光軸が反射部材で反射し、反射した光軸がズームレンズ群に戻らない角度であれば良く、プリズム、反射板(鏡)等の当業者が周知の反射部材を適宜使用することができ、特には、プリズムであるのが好ましい。
【0029】
1群レンズ2は、全体として負の光学的パワーを有し、負の光学的パワーを有するレンズL1と、正の光学的パワーを有するレンズL2からなることが、ワイド端の歪曲収差の補正の面から好ましく、1群レンズ2を全体として正の光学的パワーとしたり、レンズの正、負の組み合わせを変えると、歪曲収差補正のためにレンズを追加して、歪曲収差を補正しなければならず、全レンズ長が長くなってしまうという問題がある。
また、本ズームレンズ系において、1群レンズ2の先頭の負レンズL1を非球面とすることが、ワイド端の歪曲収差の補正の面から更に好ましい。
【0030】
2群レンズ3は、全体として正の光学的パワーを有し、正の光学的パワーを有するレンズL3と、正の光学的パワーを有するレンズL4と、負の光学的パワーを有するレンズL5からなることが、1群レンズ2と同様、ワイド端の歪曲収差の補正の面から好ましく、2群レンズ3を全体として負の光学的パワーとしたり、レンズの正、負の組み合わせを変えると、歪曲収差補正のためにレンズを追加しなければならず、全レンズ長が長くなってしまうという問題がある。
【0031】
また、2群レンズ3は、2群レンズ全体の焦点距離f2と2群レンズ全体のレンズ全長Dの比〔D/f2〕が、0.75<〔D/f2〕<1.25であり、同時に、2群レンズの最後部面の曲率半径R2Bが、R2B>0の構成となっていることが好ましい。
【0032】
2群レンズ全体のレンズ全長Dの比〔D/f2〕が1.25より大きくなると、第2レンズ群の全長が長くなってコンパクト化の障害となり、0.75よりも小さくなると、非点収差の補正が十分行えなくなる。
また、2群レンズ3の最後部面の曲率半径R2BをR2B>0とすることで、主点位置が被写体側寄りに形成されるので2群レンズ3の焦点距離を小さくでき、システムのコンパクト化に好ましく、R2B<0では2群レンズ3の焦点距離を小さくできないので好ましくない。
本ズームレンズ系において、2群レンズ3を前記構成とすることにより、コンパクト化と非点収差の良好な補正が実現できる。
【0033】
3群レンズ4は、正の光学的パワーを有するレンズL6からなることが、歪曲収差の補正の面から好ましく、3群レンズ4の後段には、イメージセンサーのカバーガラス5とイメージセンサー6が配置される。
【0034】
このズームレンズ系において、ズーム倍率は、ズームレンズ群を構成する1群レンズ2と2群レンズ3の間隔と位置を変化させることにより決定することができる。
ズームレンズ群を構成するL1〜L5のレンズの光軸は、一致している必要があり、そのズームレンズ群の光軸とオートフォーカスレンズ群の光軸も、同様に一致している必要がある。
【0035】
もし、光軸がずれた場合には、偏芯現象がおこり、イメージセンサー上の画像に収差が発生し、イメージセンサーに結像する像の画質が大きく劣化する。そのため、レンズモジュールの設計では、これらのレンズ群による偏芯が1〜3μm以内に収めるように、レンズ製造やレンズを保持する枠とレンズのばらつきを厳しく管理している。
【0036】
また、本発明に係るズームレンズ系は、反射部材1の被写体側にレンズが配置されておらず、かつ、反射部材1より後段にも反射部材1と一体的に動作するレンズを有しない構成をしており、反射部材1は、他のレンズ系とは独立に動作するものである。
本発明に係るズームレンズ系のより詳細なレンズ構成は、特開2007−155948に詳しい。
【0037】
被写体側の光軸は、ズームレンズ群、オートフォーカスレンズ群、イメージセンサーの光軸と一致するように反射部材1により曲げられ、カメラに手振れが発生すると、結像状態は、上下左右方向へと像がダブって結像することになる。
この手振れ状況を修正するためには、当初決めた画角からのずれを検出して、元の画角方向に補正して追従していく必要がある。
【0038】
本発明の防振機構は、手振れによるずれの補正方向を検出して、設定した2つの軸を回転軸として反射部材を回動させることにより、当初の画角に補正する方向に結像状態を持っていくものである。
【0039】
反射部材を回動させる軸の一つは、ズームレンズ群の光軸と反射部材の反射面の交点で、ズームレンズ群の光軸と反射部材に反射した光軸とにより作られる平面に対し垂直な軸(以下、X軸という)であり、もう一つの軸は、ズームレンズ群の光軸(以下、Y軸という)と一致する軸である。
本発明の防振機構は、前記2つの軸を回転軸として反射部材を微少回転させることにより、手振れによる縦方向のブレと横方向のブレの両方向のブレを補正するものである。
【0040】
本発明の防振機構は、手振れの状態を検出するためのブレ検出手段、ブレ検出手段から出力された信号に基づいて反射部材の駆動部を制御するコントローラー、反射部材を回動させるための駆動部、反射部材を保持し、駆動部と連結して駆動部の動きを伝えて反射部材を動かす反射部材保持部材で構成することができる。
【0041】
手振れを検出するためのブレ検出手段としては、例えば、振動型ジャイロスコープなどの角速度センサを用いることができる。
ブレ検出手段によって検出された情報は、反射部材の駆動部を制御するコントローラーに送られ、コントローラーでは、X軸、Y軸それぞれの駆動部の駆動及び駆動スピードを制御する。
【0042】
反射部材を回動させるための駆動部は、X軸及びY軸について、それぞれ独立した駆動部とすることが好ましく、駆動源としては、ステッピングモータ等のモータを用いることができる。
本発明の防振機構を有するカメラモジュールは、携帯電話等に用いるため、できるだけ小型であることが望ましい。そのため、モータを駆動源とした場合、モータの回転運動を直線運動に変換して反射部材に伝達することで、駆動部の省スペース化を行うことができる。
【0043】
モータの回転運動を直線運動に変換するには、例えば、モータに隣接してモータとギヤで連結したネジを切ったシャフトを設け、そのシャフトに回転止めを施したナットを装着し、モータの回転運動をナットの上下運動に変換することで達成できる。
この方法によれば、反射部材の回転軸と同方向にモータを設置する必要がなく、モジュールの空いたスペースにモータを設置することができ、モジュールの小型化が可能になる。
【0044】
反射部材を保持し、駆動部と連結して駆動部の動きを伝えて反射部材を動かす反射部材保持部材は、反射部材を保持しX軸の回転軸を有するX軸保持部材と、Y軸の回転軸を有するY軸保持部材の2つからなり、それぞれ駆動部と連結して駆動部の動きを伝える腕部を有していることが好ましい。
【0045】
反射部材を保持したX軸保持部材は、X軸で回転可能にY軸保持部材に保持され、Y軸保持部材は、Y軸の回転中心を貫くシャフトによって、モジュール外装部に回転可能に保持されていることが好ましい。
【0046】
次に、本発明に係る屈曲式ズームカメラモジュールの防振機構の手振れ補正について
図3を参照して説明する。
【0047】
図3は、本発明に係る屈曲式ズームカメラモジュールにおける光軸の状況を示す図である。
図3に示す本発明の一実施形態に係る方式は、反射部材としてプリズムを用い、反射部材の被写体側にレンズを配置せず、かつ反射部材の後段に反射部材と一体的に動作するレンズを持たない構成となっている。
【0048】
図3の(1)は、X軸を回転軸として反射部材(プリズム)を正方向に2度回転させた場合であり、A1は、それらを具体的な角度を用いて示したものである。
図3の(1)に示すように、反射部材(プリズム)の回動により、反射部材(プリズム)の被写体側の光軸と反射部材(プリズム)の後段のレンズ群の光軸との角度は、4度傾くが、反射部材(プリズム)の後段の光軸はずれることはない。
【0049】
同様に、
図3の(3)は、X軸を回転軸として負の方向に2度プリズムを回転させた場合であり、この場合の具体的な角度はA3に示す。
A3によると、A1と同様、被写体側の光軸と反射部材(プリズム)の後段のレンズ群の光軸との角度は、4度傾くが、反射部材(プリズム)の後段の光軸はずれることはない。
【0050】
本発明の屈曲式ズームカメラモジュールの防振機構においては、反射部材の被写体側にレンズを配置していないため、反射部材は鏡と等価となり、反射部材を回転させても画像品質には一切問題がなく、かつ非常に簡単な構造を持つ手ぶれ防止機構となる。
【0051】
つまり、手振れが発生した場合に、反射部材をX軸、及び/またはY軸を回転軸として回動させることにより手振れ補正が可能となり、反射部材を動かしても反射部材より後段の光軸は変化しないため、画像の品質が当初の品質を維持でき、非常に簡便でかつ手振れの補正をした場合に起こりがちな、収差を補正する手段を持つ必要がない。
そのため、本発明によれば、非常に小型で安価な手ぶれ補正機能を有するカメラモジュールが提供できる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明に係る一実施形態における防振機構について、
図4〜8を参照して説明する。
【0053】
図4は、本発明に係る一実施形態における防振機構を有する屈曲式ズームカメラモジュールの全体構成を示す模式図である。
図4に示すように、撮影光学系は、最も被写体側に反射部材として反射部材(プリズム)1が配置され、その後段にズームレンズ群として1群レンズ2、2群レンズ3、オートフォーカスレンズ群として3群レンズ4、イメージセンサーのカバーガラス(IRカットフィルター兼用)5、イメージセンサー6を配置した構成となっている。
【0054】
撮影光学系の周囲には、レンズ群及び反射部材を動かすための駆動部系が配置され、第1レンズ駆動部10は、ズームレンズ群つまり1群レンズ2と2群レンズ3を動かし、第2レンズ駆動部20は3群レンズ4を動かす。そして、第1レンズ駆動部10と第2レンズ駆動部20は、連動することなく、独立して駆動できるようになっている。
反射部材(プリズム)1の駆動は、第1反射部材駆動部30と第2反射部材駆動部40で行い、第1反射部材駆動部30はX軸を回転軸として反射部材(プリズム)1を回動させるための駆動部であり、第2反射部材駆動部40はY軸を回転軸として反射部材(プリズム)1を回動させるための駆動部である。
【0055】
第1反射部材駆動部30と第2反射部材駆動部40は、これらを同時に動かすことにより、任意の方向に反射部材(プリズム)1を回動させることができる。
つまり、どの方向に手振れが発生しても、第1反射部材駆動部30と第2反射部材駆動部40を駆動して手振れ方向に反射部材(プリズム)1を追従させることにより、任意の方向の手振れを修正することができる。
【0056】
第1反射部材駆動部30及び第2反射部材駆動部40の周囲には、ブレ検出手段70とコントローラー60が配置される。コントローラー60は、ブレ検出手段70から出力された信号に基づいて、第1反射部材駆動部30と第2反射部材駆動部40の駆動及び駆動スピードを制御する。
【0057】
次に、本発明の一実施形態に係る防振機構の反射部材保持部材及び反射部材駆動部について、
図5〜8を参照して詳述する。
図5は、本発明の一実施形態に係る屈曲式ズームカメラモジュールの防振機構の駆動部及び反射部材保持部材の分解斜視図であり、
図6は、X軸部材とY軸部材からなる反射部材保持部材の概略図であり、
図7は、反射部材駆動部と反射部材保持部材の連結状態を示す概略図であり、
図8は、反射部材、反射部材保持部材、反射部材駆動部が、モジュールのハウジング内に納められた概略図を示している。
【0058】
反射部材保持部材50は、反射部材(プリズム)1を保持し、第1、第2反射部材駆動部と連結して反射部材を手ぶれ補正方向に回動させる部材であり、X軸部材51とY軸部材52の2つの部材で構成されている。
【0059】
反射部材(プリズム)1は、X軸部材51に接着剤によって接着されて、X軸部材51に保持される。X軸部材51は、X軸回転突起部51aとX軸腕部51bを有している。
X軸回転突起部51aは、X軸部材51の両側面のX軸中心と同一となる位置に備えられ、反射部材(プリズム)1のX軸中心の回動の軸となると共に、Y軸部材52との連結部位となる。
【0060】
X軸腕部51bは、X軸部材51の下部よりY軸方向に突出した形状をしており、先端部にX軸連結切欠き部51cを有している。
X軸連結切欠き部51cは、X軸駆動部のX軸ナット35のX軸ナット突起部35aに連結し、X軸ナット35の動きがX軸部材51に伝達される。また、X軸連結切欠き部51cの形状は、X軸ナット35の上下動による連結部位のずれに対応可能なように、縦よりも横が長い形状で設けられている。
【0061】
X軸用の回転駆動部である第1反射部材駆動部30は、X軸モータ31、X軸第1ギヤ32、X軸第2ギヤ33、X軸第2ギヤ33に取り付けられ、ねじを切ったX軸スクリューねじ34、及びX軸スクリューねじ34に取り付けられたX軸ナット35から構成される。
【0062】
X軸ナット35にはX軸ナット突起部35aが形成され、X軸ナット突起部35aは、X軸腕部51bの端部に設けられたX軸連結切欠き部51cに取り付けられる。
X軸ナット35には、X軸ナット35の回転停止のためのX軸回転止め(図示せず)が設けられ、X軸回転止めは、モジュールハウジングに設けられた回転止めの溝(図示せず)に、上下動可能なように嵌合している。この回転止めにより、X軸モータ31の回転に伴ってX軸ナット35が回転するのではなく、X軸モータ31の正逆回転により、ねじを切ったX軸スクリューねじ34をX軸ナット35が上下に駆動する。
【0063】
X軸ナット35の上下動がX軸腕部51bに伝達され、X軸部材51は、X軸回転突起部51aを回転軸として回動し、反射部材(プリズム)1が、X軸回転突起部51aを回転軸(X軸)として回動することになる。
【0064】
反射部材(プリズム)1を保持しているX軸部材51のX軸回転突起部51aには、Y軸部材52に設けられたY軸切欠き部52aが連結されている。Y軸部材52に設けられたY軸回転孔部52cには、Y軸の回転軸となるシャフト(図示せず)が挿入される。
Y軸部材52には、Y軸回転孔部52cと同一平面にY軸腕部52bが形成され、Y軸腕部52bの先にはY軸連結孔52dが開孔している。
【0065】
Y軸の回転駆動部である第2反射部材駆動部40は、Y軸モータ41と、Y軸第1ギヤ42及びY軸第2ギヤ43と、Y軸第2ギヤ43に取り付けられたねじを切ったY軸スクリューねじ44と、Y軸スクリューねじ44に取り付けられたY軸ナット45から構成される。
【0066】
Y軸ナット45にはY軸ナット突起部45aが形成され、Y軸ナット突起部45aは、Y軸腕部52bの端部に設けられたY軸連結孔52dに取り付けられる。
Y軸ナット45には、X軸ナット35と同様、Y軸ナット回転止めが設けられ、Y軸モータ41の回転に伴って、ねじを切ったY軸スクリューねじ44をY軸ナット45が上下に駆動する。
【0067】
Y軸ナット45が上下にネジを切ったY軸スクリューねじ44を動くと、それにしたがって、反射部材(プリズム)1を保持したX軸部材51はY軸を回転軸として回動することになる。
また、Y軸腕部52bの端部に設けられたY軸連結孔52dの形状は、Y軸ナット45の上下動による連結部位のずれに対応可能なように、縦よりも横が長い形状で設けられている。
【0068】
図8に示すように、本発明の一実施形態に係る屈曲式ズームカメラモジュールは、反射部材を配置した後にできるスペースに、反射部材を駆動するためのモータ等を配置することにより、きわめてコンパクトに配置することができるようになる。