(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
図中、同一の参照符号は、たとえ関連の説明が繰り返されていなくても、同一又は類似の部分を示すために用いられている。特に、同一又は対応の利点及び機能が達成される。
【0018】
図1は、吸入器1を概略断面図で示している。
【0019】
吸入器1は、バンド状ブリスターストリップ2から粉末状の吸入用調合薬を投与するのに役立つ。ブリスターストリップ2は、個数が有限であり、無端又は閉ループを形成しているわけではない。ブリスターストリップは、一回分のばらばらの吸入用調合薬をそれぞれ直接収容した多数個のブリスターポケット3を有している。このようにして、調合薬は、予備計量される。
【0020】
吸入器1は、好ましくは、ブリスターポケット3が閉じられている(密封されている)依然として未使用のブリスターストリップ2のためのリザーバ4を有している。ブリスターストリップ2は、リザーバ4内にロールアップされ又は巻き取られている。図示の例では、リザーバ4は、ブリスターストリップ2をできるだけ容易に外方に動かし又はリザーバ4から引き出すことができるように形成されている。
【0021】
図示の例では、ブリスターストリップ2は、リザーバ4内に直接受け入れられる。しかしながら、これに代えて、カセット、容器、ドラム又はこれらと同等のものをブリスターストリップ2と共に吸入器1又はリザーバ4内に嵌め込み又は挿入しても良い。
【0022】
吸入器1は、ブリスターストリップ2の段階的前進運動をブリスターポケット3の一つ分だけ矢印5a方向に行わせるコンベヤ5を有している。その目的は、ブリスターポケット3を連続的に、それぞれブリスターポケット3を開封(開放)して空にすることができる開封及び/又は取り出し位置6に供給することにある。
【0023】
ブリスターポケット3をそれぞれ好ましくは、突き通し部材7によって開封又は開放することができ、この突き通し部材は、位置6でそれぞれ整列(又は位置合わせ)状態にあるブリスターポケット3の蓋を穴あけし、又は切断開放する。突き通し部材7は、中空であると共に/或いは吸入器1の隣接のマウスピース8と流体連通状態にある。
【0024】
吸入中又は吸入のために、患者又はユーザ(図示せず)は、マウスピース8を自分の口の中に入れて吸息する。突き通し部材7が貫入したそれぞれ開封状態のブリスターポケット3は、それにより、吸い込みによって空になる。周囲空気の空気流9が吸い込まれて開封状態のブリスターポケット3中に流れ、その結果、バラバラの粉末10(吸入用調合薬を形成しており、マウスピース8の下で実際に開封状態のブリスターポケット3に入れられた状態で
図1にのみ概略的に示されている)が吸い込まれた周囲空気と共にマウスピース8を介してエーロゾル雲11として小出しされるようになっている。この状況は
図1に概略的に示されている。
【0025】
吸入器1は、好ましくは、手動で作動できるレバー状のアクチュエータ12を有し、このアクチュエータは、吸入器1のハウジング12aに回動可能に取り付けられている。突き通し部材7及びマウスピース8は、アクチュエータ12に取り付けられると共にこれによって支持されている。
【0026】
アクチュエータ12は、突き通し部材7がマウスピース8の下で位置6にあるそれぞれ整列関係をなすブリスターポケット3の蓋を穴あけするように作動可能(回動可能)である。
【0027】
アクチュエータ12が
図1に示されている位置から(この場合、反時計回りの方向に)回って
図3に示されている部分開放位置に至ると、突き通し部材7は、最後に穴あけされたブリスターポケット3から引っ込められる。
【0028】
次に、ブリスターストリップ2を、ブリスターポケット3一つ分だけ前方に動かして次のブリスターポケット3が位置6に来るようにする。これについては後で詳細に説明する。
【0029】
アクチュエータ12が
図1に示されている位置に回って戻ると、即ち、アクチュエータ12を手動で戻すと、ブリスターストリップ2の次の整列状態にあるブリスターポケット3が突き通し部材7によって穴あけされ、それにより開封される。次に、新たな次の吸入が可能であり、即ち、吸入器1が作動される。
【0030】
吸入器1は、ブリスターストリップ2の使用済み部分を受け入れ又は収納する受け入れスペース又は装置13を有している。受け入れスペース又は装置13は、使用済み部分を巻き取ることができるよう形成されている。
図1は、リザーバ4がほぼ充填状態にあり、受け入れスペース13が依然としてほぼ空の状態にある状況を示している。
【0031】
コンベヤ5は、運搬ホイール14を有し、この運搬ホイールは、ブリスターポケット3相互間に係合することができ、ブリスターストリップ2を圧力ロック又は圧力嵌め状態で運搬することができる。これにより、ブリスターストリップ2を所望に応じて且つ/或いは必要に応じて非常に確実に又は正確に動かし又は割送りすることができる。
【0032】
コンベヤ5又はその運搬ホイール14は、このように、ブリスターポケット3が空になった後、リザーバ4と受け入れ装置13との間、特に取り出し位置6と受け入れ装置13との間に配置される。
【0033】
アクチュエータ又はレバー12の回動軸線は、運搬ホイール14の回転軸線と同軸である。具体的に説明すると、アクチュエータ又はレバー12は、運搬ホイール14のアクスルによって支持されるのが良い。
【0034】
吸入器1は、マウスピースカバー15を有する。マウスピースカバー15は、吸入器1の基本原理のみを説明する
図1には示されておらず、吸入器1のより現実的であるが依然として概略的な断面図である
図2には示されている。
図2は、マウスピースカバー15が閉鎖された状態で吸入器1を示しており、この場合、ブリスターストリップ2は、説明上の目的で部分的に省かれている。
図3は、マウスピースカバー15が完全に開かれた状態で吸入器1を示している。
【0035】
マウスピースカバー15は、カバー軸線16回りに回動可能であり、このカバー軸線は、
図2及び
図3に示されており、この例では、図面の平面(紙面)に垂直に延びている。
【0036】
アクチュエータ12の回動軸線は、カバー軸線16に同軸に又はこれと一致して延びている。運搬ホイール14の回転軸線は、カバー軸線16及びアクチュエータ12の回動軸線に同軸に延びている。
【0037】
コンベヤ5又はその運搬ホイール14は、マウスピースカバー15により、即ち、マウスピースカバー15の回動運動によって駆動される。具体的に説明すると、マウスピースカバー15を開くと、ブリスターストリップ2が前方に動かされる。好ましくは、マウスピースカバー15の開放運動の一部だけでコンベヤ5又はその運搬ホイール14が作動され又は動かされてブリスターストリップ2が前方に動かされる。
【0038】
図2に示されている完全閉鎖位置から始めて、マウスピースカバー15を開くと、例えば最大約10°、20°又は30°の第1の角度までの開放運動の第1段階において、ブリスターストリップ2は、マウスピースカバー15と運搬ホイール14との間のそれぞれのフリーホイール(図示せず)に起因して動かない。
【0039】
まず最初に、突き通し部材7を先に穴あけされると共に、通常/すでに空になっているブリスターポケット3から引っ込めるためにアクチュエータ12を動かし又は開放しなければならない。アクチュエータのこの開放運動は、手動で実施できる。しかしながら、アクチュエータ12は、好ましくは、マウスピースカバー15を開けると自動的に開く。具体的に説明すると、マウスピースカバー15を最大第1の角度まで開くのが良い。マウスピースカバー15がこの角度、例えば約20°に達すると、アクチュエータ12は、特に付勢手段又はばね手段(図示せず)等に起因して自動的に弾いて開き、
図2に示されているその開放位置に至る。しかしながら、アクチュエータ12が開放運動の第1段階において、マウスピースカバー15と一緒に動いて(例えば、ラチェット機構体、ばね等に起因して)遂にはアクチュエータ12がその開放位置又は第1の角度に達するようにすることも可能である。
【0040】
アクチュエータ12の開放位置は、外部からの何らかの潜在的な影響を回避し又は少なくとも最小限に抑えるために、好ましくは、突き通し部材7が外部まで露出されることがなく且つ/或いは吸入器1が完全には開かれないように設定される。
【0041】
アクチュエータ12の開放位置を制限するため、アクチュエータ12の開放又は回動範囲は、マウスピースカバー15の開放又は回動範囲よりも小さく且つ/或いは好ましくはせいぜい20°、特に約10°以下に制限されている。
【0042】
しかしながら、アクチュエータ12は、その開放位置が限定されず、マウスピースカバー15まで、特にマウスピースカバー15と一緒に開き又は回動できるようにすることも可能である。
【0043】
マウスピースカバー15の次の開放(第2段階)の際、コンベヤ5又はその運搬ホイール14を作動させてブリスターストリップ2をブリスターポケット3一つ分だけ、空にされるべき次のブリスターポケット3まで前方に動かし又は割送りする。このブリスター運動は、好ましくはマウスピースカバー15の完全開放まで起こる。
【0044】
マウスピースカバー15が完全に開放され、即ち、その端位置に達した場合にのみ、次のブリスターポケット3を穴あけのための位置6に保つために、ブリスターストリップ2の運動は、それぞれの機構体(図示せず)により設定され又は固定されると共に/或いはマウスピースカバー運動から切り離される。しかしながら、マウスピースカバー15が完全に開かれないで再び閉じられた場合、ブリスターストリップ2を後方に動かす。これにより、吸入器1の作動が容易になり、特に、マウスピースカバー15の不完全な又は意図しない動作の結果として、ブリスターストリップ2の望ましくない運動が生じ、最終的に次のブリスターポケット3の望ましくない開封が生じることがないようにする。
【0045】
好ましくは、マウスピースカバー15が完全に開かれ又は回動されて第1の角度まで戻され或いは最後に穴あけされたブリスターポケット3が位置6に戻された場合にのみ開放状態のアクチュエータ12を再び閉鎖することができるようにするロック(図示せず)が設けられる。ブリスターポケット3のない又はこれを備えたブリスターストリップ2の一領域に突き通し部材7を押しつけることはできない。
【0046】
マウスピースカバー15を完全に開き、次のブリスターポケット3を位置6に動かすと、すでに整列関係にあり依然として密閉状態にあるブリスターポケット3を穴あけするためにアクチュエータ12を回動して戻すことができ、即ち、閉鎖することができる。すると、吸入器1は、いつでも吸入可能な状態にあり、即ち、上述したように作動される。
【0047】
吸入後、マウスピースカバー15を回動させてその閉鎖位置に戻すことにより吸入器1を閉鎖することができる。
【0048】
上述したようなマウスピースカバー15の運動により又は任意他の適当な仕方でコンベヤ5、又はその運搬ホイール14を作動させるため、上述したフリーホイール及び適当な伝動装置、滑りクラッチ又は任意の他の適当な継手等によりマウスピースカバー15をカバー後、特に運搬ホイール14に結合する。
【0049】
好ましくは、フリーホイール、伝動装置、継手等は、運搬ホイール14又はそれぞれのアクスルに組み込まれ又はこれに隣接して配置される。
【0050】
好ましくは、マウスピースカバー15は、アクチュエータ及び/運搬ホイール14のアクスル又は軸線を軸方向に覆う。
【0051】
図3は、マウスピース及び開封状態のブリスターポケット3が取り出し位置6にある状態で、突き通し部材7を拡大断面図で示している。突き通し部材7又は吸入器1は、好ましくは、インサート17を有し、このインサートはマウスピース8に連結され、特に、マウスピース8の出口スペース又は管18内に延びていることが理解できる。
【0052】
吸入器1又はマウスピース8は、好ましくは、周囲空気の空気流9を流入させることができる少なくとも1つ、この場合多数個の空気開口部19を有している。
【0053】
突き通し部材7及びマウスピース8及び/又はインサート17は、開封状態のブリスターポケットを流通した空気のための供給径路20及びさらに空気がブリスターポケット3をバイパスするためのバイパス径路21を形成している。経路20,21の両方は、好ましくは、マウスピース8内又はその出口管18内且つ/或いは経路20,21を通過したそれぞれの流れが混ざり合う混合ゾーン22のところで終端する。
【0054】
特に、空気開口部19を通って流入した空気流9は、開封状態のブリスターポケット3を通ると共に供給経路20を通って流れる供給空気流23及びバイパス経路21を通って流れるバイパス空気流24に分流される。
【0055】
図3は、空気が流れる際のエーロゾルの発生状況を概略的に示している。開封状態のブリスターポケット3を通って流れる供給空気流23は、吸入用調合薬(粉末10)を同伴してマウスピース8、又はその出口管18内に特に供給空気流がバイパス空気流24と混ざり合う混合ゾーン22まで流れる。このように、
図3に概略的に示されているようにエーロゾル雲11が発生する。
【0056】
この実施形態では、突き通し部材7は、好ましくは、
図3に示されると共に
図4の突き通し部材7の斜視図に示されているように少なくとも1つ、この場合2つの突き通し要素25,26から成る。
【0057】
第1の突き通し要素25は、
図3に示されているようにブリスターポケット3の蓋27に第1のブリスター開口部(入口開口部)を形成するのに役立つ。第2の突き通し要素26は、
図3に概略的に示されているように蓋27に別個の第2のブリスター開口部(出口開口部)を形成する。供給空気流23は、第1の開口部を通って流入し、そして第2の開口部を通って流出することができる。第2の開口部は、供給経路20に流体結合されると共に、この場合、好ましくは、突き通し部材7及び/又はインサート17内に設けられたチャネル28によって形成される。このチャネル28は、この実施形態では、混合ゾーン22に開口している。
【0058】
この実施形態では、バイパス経路21は、好ましくはインサート17によって形成された好ましくはバイパスチャネル29を通って混合ゾーン22に通じ又はこれによって形成される。具体的に説明すると、バイパスチャネル29は、チャネル28を同心状に又は半径方向に包囲する。しかしながら、他の構成上の手段の採用が可能である。
【0059】
インサート17は、突き通し部材7に隣接して配置されている。特に、突き通し部材7は、インサート17を形成し又はこれを保持し、或いはこの逆の関係がなり立つ。
【0060】
好ましくは、インサート17は、マウスピース8又はその出口管18内に圧力嵌め状態で保持される。しかしながら、他の構成上の手段の採用も可能である。
【0061】
突き通し部材7は、
図3に示されているようにアクチュエータ12及び/又はマウスピース8に連結されている。特に、突き通し部材7は、ほぼ板状であり、2つの突き通し要素25,26は、開封されるべきブリスターポケット3に向かって突き出ると共に延びている。
【0062】
好ましくは、突き通し部材7は蓋27を穴あけし又は位置6にあるブリスターポケット3を開封し、特に、蓋に2つの別々の開口部を形成する2つの突き通し要素25,26だけから成る。
【0063】
好ましくは、突き通し要素25,26は、少なくともほぼ平べったい又は板状である。
好ましくは、突き通し要素25,26は、少なくとも略平行に延び、又は形成されている。
【0064】
好ましくは、突き通し要素25,26は、そのそれぞれの自由端部までテーパすると共に/或いはそれぞれ先端部31を有している。
【0065】
好ましくは、突き通し要素25,26は、蓋27又はブリスターストリップ2の表面又は主平面、ブリスターストリップ2の長手方向広がり、ブリスターストリップ2の前進運動5a及び/又は穴あけ中におけるブリスターポケット3に対する突き通し部材7の相対運動方向に対して傾けられている。具体的に言えば、この傾きは30°〜60°、好ましくは約40°〜50°、最も好ましくは約45°である。
【0066】
好ましくは、突き通し部材7及び/又は突き通し要素25,26は、板材、特に板金で作られる。
この実施形態では、突き通し要素25,26は、それぞれの傾斜位置に曲げられている。
【0067】
好ましくは、突き通し要素25,26は、それぞれ、ほぼ直線状の縁部に沿って突き通し部材7の平べったい板状の領域にのみ連結されている。
【0068】
好ましくは、突き通し部材7は、金属及び/又は板材で作られている。突き通し部材7は、好ましくは、インサート17とは別個に形成され又は作られている。
好ましくは、インサート17は、突き通し部材7を保持し又は支持している。
【0069】
好ましくは、突き通し部材7は、インサート17又は吸入器1の任意他の適当なコンポーネントによって圧力嵌め状態に保持されている。好ましくは、圧力嵌めによる連結は、突き通し部材7が、突起33が挿通する少なくとも1つの貫通穴32を有し、突き通し部材7を固定するためにこの突起の自由端部が変形されることによって達成されている。突起33は、インサート17又は吸入器1の任意他の適当なコンポーネントから突き出ている。突起33は、好ましくは、プラスチックで作られ、従って、所望の圧力嵌めによる連結を単純な仕方で、特に変形により、好ましくは圧力及び/又は熱に起因して達成できるようになっている。
【0070】
貫通穴32は、好ましくは、突き通し部材7の平べったい又は板状の領域に設けられる。
【0071】
この実施形態では、突き通し部材7は、好ましくは、少なくとも2つの箇所のところで、好ましくは、2つの突起33が対応の2つの貫通穴32を貫通することにより保持され又は連結されている。
【0072】
好ましくは、吸入器1の流れ抵抗は、少なくとも75000Pa
1/2s/m
3、特に少なくとも90000Pa
1/2s/m
3、より好ましくは96000Pa
1/2s/m
3以上である。流れ抵抗は、好ましくは、突き通し部材7及び/又はインサート17によって定められ又は設定される。
【0073】
流れ抵抗は、この場合、圧力降下の平方根を流量で除算して得た商である。例えば、4000Paの圧力降下の結果として、39l(リットル)/分の流量で、97301Pa
1/2s/m
3の流れ抵抗が生じる。
【0074】
このようにして、比較的ゆっくりとした吸入を達成することができる。特に、患者又はユーザが直感で吸息を行っているに過ぎない場合であっても吸入時間を延長することができると共に/或いはマウスピース8又はその出口管18を通る比較的低い流速又は流量を達成することができる。
【0075】
好ましくは、供給経路20の(この場合、チャネル28の)最も小さな断面積は、供給空気流23を制限すると共に/或いはブリスター開口部の断面積よりも小さい(この場合、第1及び第2のブリスター開口部のうちの小さい方の断面積よりも小さい)。これにより明確に規定された流れ抵抗及び流れ特性の定義又は提供が可能になる。特に、流れ抵抗は、或る1つのブリスターポケット3と次のブリスターポケットでは異なる場合のあるブリスター開口部の実際のサイズには依存しない。
【0076】
好ましくは、バイパス経路21の最も小さな断面積(この場合、溝29の断面積によって形成される)は、供給経路20の最も小さな断面積よりも小さい。この結果、空気流9(かかる空気流全体)の主要な部分は、供給経路20を通って案内される。換言すると、供給空気流23は、好ましくは、流量がバイパス空気流24よりも大きい。
【0077】
具体的に言えば、バイパス経路21の最も小さな断面積は、供給経路20の最も小さな断面積のせいぜい80%、好ましくは約70%以下である。この結果、バイパス空気流24の流量は、供給空気流23の流量よりも著しく低い。これは、全流量が好ましくは高い流れ抵抗、結果としての低い平均流速を考慮すると比較的低い場合に特に重要である。
【0078】
別の態様によれば平均速度は、好ましくは、39l/分以下の比較的低い全流量の場合であっても少なくとも50m/秒である。このことは、流速が具体的には少なくとも55m/分、好ましくは約60m/分以上であることを意味している。この「平均流速」という表現は、混合ゾーン22内又は供給経路21の端部のところ(この場合、チャネル28の出口のところ)での流速を意味している。
【0079】
好ましい高い平均流速の結果として、粉末10(吸入用調合薬)の解凝集度が向上する。特に、平均流速は、先の構成例の場合よりも著しく高い。
【0080】
注目されなければならないこととして、
図3は、潜在的に考えられる構成例を非常に概略的にしか示しておらず、特に、縮尺通りには示していない。壁として他の構成上の手段の採用が可能である。
【0081】
チャネル28は、
図3に示されているようにその出口端部に向かってテーパするのが良い。しかしながら、チャネル28は、ほぼ一定の内径又は断面積を有しても良く、或いは、逆方向にテーパしても良い。
【0082】
チャネル28は、好ましくは、断面が円筒形又は円形である。しかしながら、チャネル28は、楕円であっても良い。同じことは、出口管18及び/又はマウスピース8について当てはまる。
【0083】
好ましくは、供給経路20(チャネル28)及びバイパス経路21(溝29)の出口は、互いにできるだけ近くに配置される。具体的に言えば、中間又は環状壁30が、供給経路20及び/又はバイパス経路21の出口に続いて混合ゾーン22に向かってできるだけ薄く形成される。
【0084】
この実施形態では、バイパス経路21は、その出口が好ましくは中央に配置された供給経路20/チャネル28を半径方向に包囲する。しかしながら、他の構成上の手段の採用が可能である。
【0085】
この実施形態では、多数の、例えば4つ又は6つのチャネル又は溝29がバイパス経路21を形成している。しかしながら、他の構成上の手段の採用が可能である。例えばバイパス経路21を断面が又は出口端部のところがほぼ環状又は楕円形であり、又は、2つの半リング状出口等を形成するチャネルによって形成しても良い。
【0086】
さらに、他の突き通し要素25,26及び/又は突き通し要素25,26の他の構成を使用できることは注目されなければならない。
【0087】
好ましくは、吸入器1は、携帯可能であり、機械的原理のみで動作し且つ(或いは)手持ち型である。
【0088】
好ましくは、「ブリスターストリップ」及び「ブリスターポケット」という用語は、調合薬のための入れ物又はそれどころか大量貯蔵部を備えた他の種類の貯蔵手段も又含むものと非常に広義に理解されなければならない。