(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、遊技機における表示器の画面(表示器画面)の拡大傾向は著しく、このため、2分割されたハート形状の枠状演出体の、表示器画面の前方からの隠蔽時における収納スペースの確保が困難になってきた。特に、表示器画面の大型化のみならず、ハート形状も大型化して演出効果を増し加えたい場合に、ハート形状の枠状演出体の上記隠蔽時における収納スペースの確保が一層困難になった。
【0006】
特許文献1に記載されたシャッタ役物装置では、ハート形状の枠状演出体が、横割により二分して得られた一対の横割ハート部材で形成され、これが表示器画面の側方に配置された駆動機構により一対の横割ハート部材の一端側で上下方向に開閉可能に構成されている。そして、一対の横割ハート部材が開いている待機姿勢においては、一対の横割ハート部材が、表示器画面の側方を主要なスペースとしてその近辺を含むスペースに各々別個に収納され、表示器画面の前方から隠蔽されるというものである
【0007】
しかし、このような従来のシャッタ役物装置では、上側の横割ハート部材についてはその先端部分とハート形状左右方向中央のほぼV字状の窪み部分との2箇所が表示器画面方向に突出する(特許文献1の
図10参照)。このためハート形状の大型化は、一対の横割ハート部材の待機姿勢において、上側の横割ハート部材の上記2箇所につき、表示器画面の前方に露出する(表示器画面に重なる)ことがないようにハート形状を設定する、という制限付きで可能となるに過ぎない。したがって結局は、ハート形状を小さくするか、2分割したハート形状の枠状演出体を表示器画面の周囲に収め得るスペースを確保するために表示器画面を小さく(表示器を小形化)するか、いずれかを選択せざるを得なかった。
【0008】
また、ハート形状の枠状演出体の駆動機構が表示器画面の側方に配置されるので、同表示器画面の側方に上記駆動機構の配置スペースを確保できない場合には、この特許文献1に記載されたシャッタ役物装置を設置できなかった。
【0009】
本発明は、上記のような実情に鑑みなされたもので、ハート形状等の閉じた形状の枠状演出体を大きくしても、一対の部材の待機姿勢時において、その部材の露出(表示器画面への重なり)を生じさせず、枠状演出体形状の大型化と表示器画面の大型化とを両立できて演出効果の増大を図り得、しかも表示器画面の側方に枠状演出体の駆動機構の配置スペースがなくても設置可能なシャッタ役物装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、遊技盤の盤面に配置されて遊技状況に応じた画像を表示する表示器の画面の前方に、閉じた形状の枠状演出体を出没させるシャッタ役物装置であって、前記枠状演出体は、閉じた形状の第1方向あるいは第2方向に二分された一対の可動部材から形成され、この一対の可動部材が、その各下端部分を支点として前記の閉じた形状の第1方向あるいは第2方向に開閉可能に構成され、前記画面の下方側には駆動機構が配置され、
前記駆動機構は、前記一対の可動部材について、開状態で下降位置に位置させている待機姿勢と、閉状態で上昇位置に位置させている完成姿勢との間を、相互に移行駆動可能に構成され
、前記駆動機構は、前記一対の可動部材の開閉を行なわせる開閉用駆動機構部と、この開閉用駆動機構部を昇降させる昇降用駆動機構部とを備えることを特徴とする。
上記の閉じた形状の第1方向あるいは第2方向に二分された一対の可動部材としては、例えば閉じた形状の左右方向に二分された一対の可動部材、好ましくは左右方向のほぼ中央位置で縦割にて二分された一対の縦割部材が挙げられる。この場合は、その一対の縦割部材を、各下端部分を支点として、前記の閉じた形状の左右方向のほぼ中央位置にて開閉可能に構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記開閉用駆動機構部はその構成部品がケースに組み付けられ、このケースは、該ケース近傍の適宜の静止部に設けられたガイド体に案内されて昇降されると共に、少なくともその下降位置にて上方への偏倚力が働く弾性体に吊り下げられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記一対の可動部材には前記の閉じた形状の外周側に延出するガイド片が形成され、かつ、前記画面の周囲の構成部材には前記ガイド片が挿通されるガイド溝が形成され、前記一対の可動部材は、前記ガイド片が前記ガイド溝に案内されつつ開閉されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、遊技盤の盤面に配置されて遊技状況に応じた画像を表示する表示器の画面の前方に、ハート形状の枠状演出体を出没させるシャッタ役物装置であって、前記枠状演出体は、ハート形状の上部の左右方向ほぼ中央位置で縦割にて二分された一対の縦割ハート部材で形成され、この一対の縦割ハート部材が、その各下端部分を支点として前記ハート形状の上部の左右方向ほぼ中央位置にて開閉可能に構成され、前記画面の下方側には駆動機構が配置され、
前記駆動機構は、前記一対の縦割ハート部材について、開状態で下降位置に位置させている待機姿勢と、閉状態で上昇位置に位置させているハート完成姿勢との間を、相互に移行駆動可能に構成され
、前記駆動機構は、前記一対の縦割ハート部材の開閉を行なわせる開閉用駆動機構部と、この開閉用駆動機構部を昇降させる昇降用駆動機構部とを備えることを特徴とするシャッタ役物装置。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明では、枠状演出体を、閉じた形状の第1方向あるいは第2方向に二分された一対の可動部材から形成した。そして、この一対の可動部材を、各下端部分を支点として、閉じた形状の第1方向あるいは第2方向に開閉可能に構成した。また、一対の可動部材につき、開状態で下降位置に位置させている待機姿勢と、閉状態で上昇位置に位置させている完成姿勢との間を、相互に移行駆動する駆動機構を設け、この駆動機構を表示器画面の下方側に配置した。これによれば、枠状演出体を大きくしても、一対の部材の待機姿勢時において部材の露出を生じさせず、枠状演出体形状及び表示器画面の大型化が可能となり、演出効果を増大することができる。しかも、表示器画面の側方に枠状演出体の駆動機構の配置スペースがなくてもシャッタ役物装置の設置が可能である。
請求項2に記載の発明によれば、開閉用駆動機構部の構成部品をケースに組み付けたので、開閉用駆動機構部をコンパクトに構成できる。また、上記ケースを弾性体に吊り下げたので、開閉機構部の上昇駆動、特に上昇開始時の駆動をより円滑になし得る。
請求項3に記載の発明によれば、一対の可動部材を、各可動部材に形成されたガイド片がガイド溝に案内されつつ開閉されるようにしたので、一対の可動部材の開閉をより円滑になし得る。
請求項4に記載の発明では、枠状演出体を、ハート形状の上部の左右方向ほぼ中央位置で縦割にて二分された一対の縦割ハート部材で形成した。そして、この一対の縦割ハート部材を、各下端部分を支点としてハート形状の上部の左右方向ほぼ中央位置にて開閉可能に構成した。また、一対の縦割ハート部材につき、開状態で下降位置に位置させている待機姿勢と、閉状態で上昇位置に位置させているハート完成姿勢との間を、相互に移行駆動する駆動機構を設け、この駆動機構を表示器画面の下方側に配置した。これによれば、ハート形状の枠状演出体を大きくしても、一対のハート部材の待機姿勢時においてハート部材の露出を生じさせず、ハート形状及び表示器画面の大型化が可能となり、演出効果を増大することができる。しかも、表示器画面の側方に枠状演出体の駆動機構の配置スペースがなくてもシャッタ役物装置の設置が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1及び
図2から分かるように、シャッタ役物装置は、パチンコ機の遊技盤1の盤面2のほぼ中央に配置されて遊技状況に応じた画像を表示し、遊技の演出を行なう表示器3の画面4の前方(遊技者側)に、ハート形状の枠状演出体5を出没(出現/隠蔽)させる装置である。
ここで、上記盤面2には、打ち込まれた遊技球が流下する遊技領域6が設定され、同遊技領域6には入賞口6a、アウト口6bや、図示しない風車、遊技釘等が設けられ、またそのほぼ中央部にはセンター飾り7が配設されている。上記表示器3は液晶表示器等の画像表示器からなり、その画面4が上記センター飾り7の開口部に位置決めされている。
【0014】
ハート形状の枠状演出体5は、上記のような表示器3の画面4の前方に出没、つまり画面4の前方に現われたり画面4の前方から(盤面2からも)隠されたりされる演出体である。例えば、遊技者が短時間に多量の賞球を獲得できる所謂大当り発生時には、表示器3の画面(以下、表示器画面と記す。)4の前方に枠状演出体5によるハート形状が出現する。それ以外の時には、枠状演出体5は表示器画面4から隠蔽され(表示器画面4の周囲に隠され)、表示器画面4の前方にハート形状が出現しない、という遊技の演出をする。
【0015】
図3及び
図4から分かるように、上記枠状演出体5は、ハート形状の上部の左右方向ほぼ中央位置(ほぼV字状の窪み位置)で縦割にて二分された一対の縦割ハート部材8,9で形成されている。そして、この一対の縦割ハート部材8,9が、その各下端部分を支点10,11としてハート形状の上部の左右方向ほぼ中央位置(開閉端12,13)にて開閉可能に構成されている。
各縦割ハート部材8,9の正面側には、適宜の色彩や模様等からなる装飾あるいは電飾が施されている。
【0016】
上記のように枠状演出体5は、ハート形状の上部の左右方向ほぼ中央位置で縦割にて二分された一対の縦割ハート部材8,9で形成されているが、その理由を以下に述べる。
すなわち、ハート形状の枠状演出体5は、表示器画面4の前方にハート形状を出現させていない待機時(
図1,
図3参照)において表示器画面4の周囲に隠し易くするために2分割される。この2分割を上記のような縦割で行なえば、後述する待機姿勢として、一対の縦割ハート部材8,9が表示器画面4を左右側から挟むように開状態となし得る。
一対の縦割ハート部材8,9をこのような開状態にすることができれば、一対の縦割ハート部材8,9が待機姿勢において表示器画面4に露出し易い箇所は、その形状から、一対の縦割ハート部材8,9の開閉端12,13部分(ハート形状におけるほぼV字状の窪み位置に相当する部分)のみとなる。すなわち、1つの縦割ハート部材8,9について1箇所だけとなる。したがって、大型のハート形状を設定する場合には、この1箇所につき、表示器画面4の前方に露出する(表示器画面4に重なる)ことがないように注意すればよく、2箇所につき注意を要する従来技術に比べてハート形状を大型化できる。これに伴って表示器画面4の大型化も可能となり、演出効果の増大を図り得る。
なお、一対の縦割ハート部材8,9の待機姿勢時における表示器画面4前方への露出(表示器画面4への重なり)は、全く生じないことが望ましいが、僅かであれば許容される。表示器画面4のサイズは一般に規格化されているため、可能な限り大型化したハート形状を、その待機姿勢時において上記の露出を全くさせずに済む最適な表示器画面4のサイズが見当たらない場合がある。このような場合が僅かな露出の許容例として挙げられる。この場合の僅かな露出は、本実施形態の一対の縦割ハート部材8,9においては、
図1,
図3から分かるように、縦割ハート部材8,9の各開閉端12,13の先端部分、つまり各縦割ハート部材8,9について1箇所となる。したがって、上述したように従来技術に比べてハート形状を大型化でき、また、表示器画面4の大型化も可能となり、演出効果の増大を図り得る。
【0017】
また、ハート形状の枠状演出体5を、上記の一対の縦割ハート部材8,9で形成すれば、その開閉を表示器画面4の下方側に配置した駆動機構14で容易かつ円滑に行なうことができる。一対の縦割ハート部材8,9の開閉に重力を有効かつバランスよく利用できるからである。(一対の横割ハート部材の開閉を表示器画面の側方に配置した駆動機構によって行なう場合には、その一対の横割ハート部材の開閉を容易かつ円滑に行なうことが難しい。)
更に、ハート形状の枠状演出体5を、上記の縦割による一対の縦割ハート部材8,9で形成すれば、駆動機構14を表示器画面4の下方側へ容易に構成、配置できる。したがって、表示器画面4の側方に駆動機構14の配置スペースがない場合でもシャッタ役物装置の設置を容易に行なえる。
以上がハート形状の枠状演出体5を縦割による一対の縦割ハート部材8,9で形成した主な理由である。
【0018】
駆動機構14は、表示器画面4の下方側に配置され(
図3,
図4参照)、一対の縦割ハート部材8,9の開閉及び昇降を行なわせる駆動機構である。
この駆動機構14は、一対の縦割ハート部材8,9について、
図3に示す待機姿勢と
図4に示すハート完成姿勢との間を相互に移行駆動可能に構成されている。
ここで、待機姿勢とは、
図1に示すように、一対の縦割ハート部材8,9を、表示器画面4を左右側から挟むように開状態で下降位置に位置させていて、表示器画面4の前方にハート形状を出現させていないとき(表示器画面4の前方からの隠蔽時)の姿勢を指す。
またハート完成姿勢とは、
図2に示すように、一対の縦割ハート部材8,9を閉状態で上昇位置に位置させていて、表示器画面4の前方にハート形状(完成したハート形状)を出現させているときの姿勢を指す。
【0019】
上記駆動機構14を表示器画面4の下方側に配置したのは、表示器画面4の周囲において、側方側は比較的空きスペースが少なく、駆動機構14の設置スペースの確保が困難であることによる。また、駆動機構14の昇降や一対の縦割ハート部材8,9の開閉に際して、それらを、重力を利用してバランスよく、かつ円滑に作動させ易いことも、その理由である。
この駆動機構14は、遊技者に見せる必要のないパチンコ機の機械構成部分であり、盤面2からの隠蔽位置(遊技者側から見えない位置)に配置されることはいうまでもない。
【0020】
図3〜
図8に示すように、駆動機構14は、一対の縦割ハート部材8,9について、上記のように待機姿勢とハート完成姿勢との間を相互に移行駆動可能にするため、ハート部材昇降用駆動機構部(以下ハート部材昇降機構部と略記する。)15とハート部材開閉用駆動機構部(以下ハート部材開閉機構部と略記する。)16とを備えて構成されている。
【0021】
以下、ハート部材昇降機構部15について、
図5〜
図8を参照して説明する。
ハート部材昇降機構部15は、上記ハート部材開閉機構部16を昇降させる駆動機構部であって、図示例では、モータ17、リンク機構18、ガイド棒(ガイド体)19、コイルスプリング(弾性体)20、フォトインタラプタ21及びこれらを適宜支持するベース部材22を備えて構成されている。
この場合、リンク機構18は、一端がモータ17に固着された第1リンク23(
図5参照)及びこの第1リンク23の他端のピン(符号省略)が一端の長孔24(
図6参照)内に挿通され係合された第2リンク25を備えてなる。この第2リンク25は、ほぼく字状に形成され、その屈曲部(支点)26が静止部、図示例ではベース部材22に固定された軸27に軸支され、他端に穿設された長孔(符号省略)がハート部材開閉機構部16、詳しくはハート部材開閉機構部16のケース28の上部に固定された軸28に係合、支持されている。
【0022】
以上の構成において、ハート部材昇降機構部15は、
図5及び
図6に示すハート部材開閉機構部16が下降位置(一対の縦割ハート部材8,9が待機姿勢にある位置)にある状態から、モータ17が回転、例えば正転すると、第1リンク23が回動して第2リンク25が矢印リ方向に回動し、ハート部材開閉機構部16を引き上げる。すなわち、ハート部材開閉機構部16を上昇位置に向けて上昇させる(
図6〜
図8参照)。
【0023】
図8はハート部材開閉機構部16が上昇位置に達した状態を示すが、この状態からモータ17が逆転すると、第1リンク23が上記とは逆方向に回動(逆回動)して第2リンク25が矢印リ方向とは逆方向に回動し、ハート部材開閉機構部16を押し下げる。すなわち、ハート部材開閉機構部16を下降位置に向けて下降させる(
図8〜
図6参照)。
【0024】
第2リンク25の一端側には遮光片29が固定され(
図6,
図7参照)、ハート部材開閉機構部16が下降位置に達したときに(
図6参照)、静止部、図示例ではベース部材22に取り付けられたフォトインタラプタ21を作動させる。そして、モータ停止信号をハート部材昇降機構部15の制御回路(図示せず)に与えてモータ17を停止させ、ハート部材開閉機構部16を下降位置で静止、すなわち一対の縦割ハート部材8,9を待機姿勢(
図5,
図6参照)に復帰させるように構成されている。
【0025】
ここで、ハート部材開閉機構部16のケース28の左右両端側には、各々上下方向に向けられたガイド棒19がベース部材(静止部)22に固定して設けられている。一方、上記ケース28の左右両側部には、上記ガイド棒19が各々挿通され、ガイド棒19とでケース28の昇降を案内するガイド枠30が各々設けられ、第2リンク25の回動によるハート部材開閉機構部16の昇降方向を垂直方向に導いている。
また、各ガイド棒19の側部には、同ガイド棒19に並行して弾性体、図示例ではコイルスプリング20が各々配置されている。各コイルスプリング20は、上端部がベース部材22に固定され、下端部がガイド枠30の下端部に連結されている。そして、各コイルスプリング20は、ハート部材開閉機構部16のケース28(以下、単にハート部材開閉機構部16とも記す。)が少なくともその下降位置にあるときに上方への偏倚力が働くようなばね力を有している。ハート部材開閉機構部16は、そのようなばね力を有するコイルスプリング20に吊り下げられており、ハート部材開閉機構部16の、特に上昇開始時において、第2リンク25の回動力によるハート部材開閉機構部16の上昇力を補い、上昇開始を助力する。
【0026】
次に、上記ハート部材開閉機構部16について、主に
図9〜
図11(正面図)及び
図12〜
図14(裏面図)を参照して説明する。
上記ハート部材開閉機構部16は、詳細を上述した一対の縦割ハート部材8,9の開閉を行なわせる駆動機構部である。このハート部材開閉機構部16は、
図9〜
図14に示すように、モータ31、小径の第1平歯車32、径を同じくする一対の大径歯車(第2平歯車33及び第3平歯車34)、フォトインタラプタ35及びこれらが組み付けられたケース28(
図5〜
図8参照)を備えて構成されている。
【0027】
図12〜
図14から分かるように、第1平歯車32は、モータ31の回転軸42に填め込み固着されて第2平歯車33に噛合し、この第2平歯車33は第3平歯車34に噛合している(以下、平歯車を単に歯車と記す)。第2歯車33及び第3歯車34の各側面には、両歯車33,34の各回転軸43,44から半径方向に等距離離れた位置にピン36,37が立設されている。
また、一対の縦割ハート部材8,9の各下端部分には、その一対の縦割ハート部材8,9の各開閉支点10,11から遠ざかる方向にアーム部38,39が延出形成され、また、各アーム部38,39には長孔40,41が穿設されている。このアーム部38,39及び長孔40,41は、枠状演出体5を二分して一対の縦割ハート部材8,9を形成する際の縦割線を対称軸として線対称に形成されている。上記開閉支点10,11、歯車33,34、ピン36,37も上記の縦割線を対称軸として対称な位置に位置決めされている。
なお、一対の縦割ハート部材8,9の開閉支点10,11は、その一対の縦割ハート部材8,9が各々回動自在にケース28(
図5〜
図8参照)に設定されている。
【0028】
上記第2歯車33及び第3歯車34の各ピン36,37は、一対の縦割ハート部材8,9の各アーム部38,39の長孔40,41内に挿通され係合されている。
各ピン36,37は、モータ31の回転、例えば正転による、第1歯車32→第2歯車33→第3歯車34の矢印イ、ロ、ハ方向の回転に伴い、第2歯車33,第3歯車34の各回転軸43,44を中心として矢印ロ,ハ方向に公転しながら各長孔40,41内を移動する。各ピン36,37は、一対の縦割ハート部材8,9の各開閉支点10,11に対して、始めに遠ざかる方向に移動し、その後、近づく方向に移動し、一対の縦割ハート部材8,9を閉状態に向けて回動させるためのピンである(
図12〜
図14、
図9〜
図11参照)。
図14は一対の縦割ハート部材8,9が閉状態に達した状態を示すが、この状態からモータ31が逆転すると、第1歯車32、第2歯車33、第3歯車34は矢印ホ、ヘ、ト方向(矢印イ、ロ、ハとは逆方向)に回転する。これにより各ピン36,37は、第2歯車33,第3歯車34の各回転軸43,44を中心として矢印ヘ、ト方向(矢印ロ,ハとは逆方向)に公転しながら各長孔40,41内を上記とは逆方向に移動する。そして、一対の縦割ハート部材8,9を開状態に向けて回動させる(
図14〜
図12、
図11〜
図9参照)。
【0029】
一対の縦割ハート部材8,9のアーム部38,39のいずれか一方、図示例では第1縦割ハート部材8のアーム部38には遮光片47が固定され、一対の縦割ハート部材8,9が開状態に達したときに(
図12参照)、上記ケース28に取り付けられたフォトインタラプタ35を作動させる。そして、モータ停止信号をハート部材開閉機構部16の制御回路(図示せず)に与えてモータ31を停止させ、一対の縦割ハート部材8,9を開状態で静止させるように構成されている。
【0030】
また、一対の縦割ハート部材8,9の各上部の開閉端12,13近傍には、ハート形状の外周側に延出するガイド片45,46が一体形成されている。一方、表示器画面4の周囲の構成部材、図示例では装飾部材100(
図1,
図2参照)の、上記一対の縦割ハート部材8,9の開閉方向に沿う方向には、上記ガイド片45,46が挿通されるガイド溝(図示せず)が形成されている。そして、一対の縦割ハート部材8,9の開閉時には、上記ガイド溝にガイド片45,46が案内されながら円滑にその開閉がなされるように構成されている。
【0031】
次に、このようなシャッタ役物装置の動作について説明する。
上述したように、一対の縦割ハート部材8,9について、待機姿勢とは、
図1,
図3に示すように、一対の縦割ハート部材8,9を開状態で下降位置に位置させていて、表示器画面4の前方にハート形状を出現させていないとき(表示器画面4の前方からの隠蔽時)の姿勢を指す。またハート完成姿勢とは、
図2,
図4に示すように、一対の縦割ハート部材8,9を閉状態で上昇位置に位置させていて、表示器画面4の前方にハート形状(完成したハート形状)を出現させているときの姿勢を指す。
【0032】
図1,
図3に示す待機姿勢では駆動機構14は
図5,
図6に示す状態にある。すなわち、駆動機構14のハート部材開閉機構部16は下降位置にあり、かつ、一対の縦割ハート部材8,9を開状態に静止させた状態にある。
この待機姿勢から
図2,
図4に示すハート完成姿勢に移行させるには、まず、ハート部材昇降機構部15を
図6〜
図8に示すように駆動する。すなわち、モータ17を正転させ、第1リンク23を回動させて第2リンク25を矢印リ方向に回動させ、ハート部材開閉機構部16を引き上げ、上昇位置に向けて上昇させる。
【0033】
ハート部材開閉機構部16が
図8に示す上昇位置に達すると、ハート部材昇降機構部15によるハート部材開閉機構部16の引き上げ上昇動作は停止する。ハート部材開閉機構部16が上昇位置に達したことは、例えばハート部材開閉機構部16の下降位置からのモータ17の回転角をハート部材昇降機構部15の制御回路(図示せず)が演算することによって検知される。
【0034】
ハート部材開閉機構部16が
図8に示す上昇位置に達し、ハート部材開閉機構部16の上昇動作が停止すると、ハート部材開閉機構部16は一対の縦割ハート部材8,9を開状態から閉状態に向けて回動させる。すなわち、
図12〜
図14に示すように、ハート部材開閉機構部16のモータ31を正転させて、第1歯車32→第2歯車33→第3歯車34を矢印イ、ロ、ハ方向に回転させ、第2歯車33,第3歯車34の各ピン36,37を矢印ロ,ハ方向に公転させて各長孔40,41内を移動させる。各ピン36,37は、一対の縦割ハート部材8,9の各開閉支点10,11に対して、始めに遠ざかる方向に移動され、その後、近づく方向に移動され、一対の縦割ハート部材8,9を閉状態に向けて回動させる。
【0035】
一対の縦割ハート部材8,9は、
図14(
図11)に示す閉状態に達すると、ハート部材開閉機構部16による上記した一対の縦割ハート部材8,9の回動は停止し、ハート完成姿勢を示す。すなわち、表示器画面4の前方にハート形状を出現させる(
図2,
図4参照)。
一対の縦割ハート部材8,9が閉状態に達したことは、例えばハート部材開閉機構部16の開状態からのモータ31の回転角をハート部材開閉機構部16の制御回路(図示せず)が演算することによって検知される。
【0036】
このハート完成姿勢から
図1,
図3に示す元の待機姿勢に復帰移行させるには、まず、ハート部材開閉機構部16は一対の縦割ハート部材8,9を閉状態から開状態に向けて回動させる。すなわち、
図14に示すように、ハート部材開閉機構部16のモータ31を逆転させて、第1歯車32→第2歯車33→第3歯車34を矢印ホ、ヘ、ト方向(矢印イ、ロ、ハとは逆方向)に回転させる。そして、第2歯車33,第3歯車34の各ピン36,37を矢印ヘ、ト方向(矢印ロ,ハとは逆方向)に公転させて各長孔40,41内を上記とは逆方向に移動させ、一対の縦割ハート部材8,9を開状態に向けて回動させる。
【0037】
一対の縦割ハート部材8,9が、
図12(
図9)に示す開状態に達すると、ハート部材開閉機構部16による上記の一対の縦割ハート部材8,9の逆回動は停止する。すなわち、表示器画面4の前方に出現していたハート形状が表示器画面4から隠蔽される。
一対の縦割ハート部材8,9が
図12に示す開状態に達したことは、ハート部材開閉機構部16のフォトインタラプタ35によって検知される。
【0038】
次に、ハート部材昇降機構部15を
図8〜
図6に示すように駆動する。すなわち、モータ17を逆転させ、第1リンク23の逆回動を介して第2リンク25を矢印リ方向とは逆方向に回動させ、ハート部材開閉機構部16を押し下げ、ハート部材開閉機構部16を下降位置に向けて下降させる。
【0039】
ハート部材開閉機構部16が
図6に示す下降位置に達すると、ハート部材昇降機構部15によるハート部材開閉機構部16の押し下げ下降動作は停止し、ハート部材開閉機構部16は下降位置で静止する。すなわち、一対の縦割ハート部材8,9は待機姿勢(
図5,
図6;
図1,
図3参照)に復帰する。
ハート部材開閉機構部16が下降位置に達したことは、ハート部材昇降機構部15のフォトインタラプタ21によって検知される。
なお、ハート部材開閉機構部16及びハート部材昇降機構部15の制御はそれらの制御回路(図示せず)により行なわれる。
【0040】
上述実施形態では、枠状演出体の形状をハート形状としたが、この形状のみに限定されることはない。例えば、扇形状、矢羽根形状あるいはスペード形状等であってもよい。基本的には閉じた形状とされる。