(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、位置決め装置および回路基板検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
最初に、回路基板検査装置1の構成について説明する。
図1に示す回路基板検査装置1は、回路基板の一例としての回路基板100a,100b(
図2〜
図7参照:以下、区別しないときには「回路基板100」ともいう)に対する電気的検査を実行可能に構成されている。具体的には、回路基板検査装置1は、一例として、
図1に示すように、位置決め装置2、プローブユニット3、プロービング機構4、検査用信号出力部5、スキャナ部6、測定部7、記憶部8および制御部9を備えて構成されている。
【0019】
位置決め装置2は、
図2に示すように、載置台11、第1位置決め機構12a、第2位置決め機構12bおよび給気機構13(
図1参照)を備え、載置台11に載置されている回路基板100を、その中心部Cが載置台11において予め規定された規定位置Prに位置するように(対向するように)位置決め可能に構成されている。この場合、
図2に示すように、一例として、回路基板100が載置される載置領域Fの中心位置が規定位置Prとして規定されている。
【0020】
載置台11は、
図2に示すように、全体として矩形の板状に形成され、表面11a(一方の面)における載置領域Fに回路基板100を載置可能に構成されている。また、載置台11には、裏面11b(他方の面:
図3参照)側に配設された後述する第2位置決め機構12bの先端部61を表面11a側に突出させるためのスリットSが載置領域Fの一部を切り抜くようにして形成されている。
【0021】
第1位置決め機構12aは、
図2に示すように、載置台11の表面11a側に配設され、載置台11に載置されている回路基板100における互いに対向する一対の端部101a,101bを押圧して、載置台11における第1方向(同図に示す矢印Xの方向であって、以下「X方向」ともいう)に沿って回路基板100を位置決め可能に構成されている。具体的には、第1位置決め機構12aは、一対のスライダ21a,21b、スライダ22、ガイドレール23a,23b、リンク部材24a,24b、および駆動部25を備えて構成されている。
【0022】
スライダ21a,21bは、第1スライダに相当し、
図2に示すように、X方向に沿って載置台11の表面11aに取り付けられているガイドレール23aに係合して、ガイドレール23aに沿って(つまり、X方向に沿って)スライド可能に載置台11に配設されている。また、スライダ21a,21bは、規定位置Pr(載置領域Fの中心位置)を挟んで互いに対向する位置に配設され、互いに近接するようにスライドさせられたときに、回路基板100における一対の端部101a,101bを各々の先端部51でそれぞれ押圧する。
【0023】
スライダ22は、第2スライダに相当し、
図2に示すように、第1方向(X方向)に直交する第2方向(同図に示す矢印Yの方向であって、以下「Y方向ともいう)に沿って載置台11の表面11aに取り付けられているガイドレール23bに係合して、ガイドレール23bに沿って(つまり、Y方向に沿って)スライド可能に載置台11に配設されている。
【0024】
リンク部材24a,24bは、第1リンク部材に相当し、同じ長さに形成されている。この場合、
図2に示すように、リンク部材24aは、スライダ21aの支持軸52およびスライダ22の支持軸53に両端部がそれぞれ支持されることにより、スライダ21aとスライダ22とを連結し、リンク部材24bは、スライダ21bの支持軸52およびスライダ22の支持軸53に両端部がそれぞれ支持されることにより、スライダ21bとスライダ22とを連結する。
【0025】
駆動部25は、第1駆動部に相当し、一例として、エアシリンダで構成されて、各スライダ21a,21b,22のいずれか1つ(この例では、スライダ22)をスライドさせる。具体的には、駆動部25は、給気機構13からの圧縮空気が供給口25a,25b(
図2参照)から供給されることによってロッド25c(同図参照)を伸縮させ、これによって、スライダ22をY方向に沿ってスライドさせる。
【0026】
この第1位置決め機構12aでは、駆動部25によってスライダ22が
図2に示す矢印Y1の向きにスライドさせられたときに、リンク部材24aを介して連結されているスライダ21aが同図に示す矢印X1の向きにスライドし、リンク部材24bを介して連結されているスライダ21bが同図に示す矢印X2の向きにスライドする。また、駆動部25によってスライダ22が同図に示す矢印Y2の向きにスライドさせられたときに、スライダ21aが同図に示す矢印X2の向きにスライドし、スライダ21bが同図に示す矢印X1の向きにスライドする。つまり、スライダ21a,21bは、スライダ22のスライドに連動して互いに近接する向きおよび互いに離反する向きにスライドする。この場合、リンク部材24a,24bが同じ長さに形成されているため、スライダ21a,21bは、規定位置Prに対して互いに同じ距離だけ離間した状態を維持しつつ、つまり、規定位置Prを中心とする対称の位置関係を維持しつつX方向(同図における左右方向)に沿ってスライドする。
【0027】
第2位置決め機構12bは、
図3に示すように、載置台11の裏面11b側に配設され、載置台11に載置されている回路基板100における互いに対向する一対の端部101c,101d(上記した一対の端部101a,101bとは異なる他の一対の端部)を押圧して、載置台11におけるY方向に沿って回路基板100を位置決め可能に構成されている。具体的には、第2位置決め機構12bは、一対のスライダ31a,31b、スライダ32、ガイドレール33a,33b、リンク部材34a,34b、および駆動部35を備えて構成されている。
【0028】
スライダ31a,31bは、第3スライダに相当し、
図3に示すように、Y方向に沿って載置台11の裏面11bに取り付けられているガイドレール33aに係合して、ガイドレール33aに沿って(つまり、Y方向に沿って)スライド可能に載置台11に配設されている。また、スライダ31a,31bは、規定位置Prを挟んで互いに対向する位置に配設され、互いに近接するようにスライドさせられたときに、回路基板100における一対の端部101c,101dに各々の先端部61がそれぞれ押圧する。
【0029】
スライダ32は、第4スライダに相当し、
図3に示すように、X方向に沿って載置台11の裏面11bに取り付けられているガイドレール33bに係合して、ガイドレール33bに沿って(つまり、X方向に沿って)スライド可能に載置台11に配設されている。
【0030】
リンク部材34a,34bは、第2リンク部材に相当し、同じ長さに形成されている。この場合、
図3に示すように、リンク部材34aは、スライダ31aの支持軸62およびスライダ32の支持軸63に両端部がそれぞれ支持されることにより、スライダ31aとスライダ32とを連結し、リンク部材34bは、スライダ31bの支持軸62およびスライダ32の支持軸63に両端部がそれぞれ支持されることにより、スライダ31bとスライダ32とを連結する。
【0031】
駆動部35は、第2駆動部に相当し、駆動部25と同様のエアシリンダで構成されて、各スライダ31a,31b,32のいずれか1つ(この例では、スライダ32)をスライドさせる。具体的には、駆動部35は、給気機構13からの圧縮空気が供給口35a,35b(
図3参照)から供給されることによってロッド35c(同図参照)を伸縮させ、これによって、スライダ32をX方向に沿ってスライドさせる。
【0032】
この第2位置決め機構12bでは、駆動部35によってスライダ32が
図3に示す矢印X1の向きにスライドさせられたときに、リンク部材34aを介してスライダ32に連結されているスライダ31aが同図に示す矢印Y1の向きにスライドし、リンク部材34bを介してスライダ32に連結されているスライダ31bが、同図に示す矢印Y2の向きにスライドする。また、駆動部35によってスライダ32が同図に示す矢印X2の向きにスライドさせられたときに、スライダ31aが同図に示す矢印Y2の向きにスライドし、スライダ31bが同図に示す矢印Y1の向きにスライドする。つまり、スライダ31a,31bは、スライダ32のスライドに連動して互いに近接する向きおよび互いに離反する向きにスライドする。この場合、リンク部材34a,34bが同じ長さに形成されているため、スライダ31a,31bは、規定位置Prに対して互いに同じ距離だけ離間した状態を維持しつつ、つまり、規定位置Prを中心とする対称の位置関係を維持しつつY方向(同図における上下方向)に沿ってスライドする。
【0033】
給気機構13は、一例として、コンプレッサおよびおよび電磁弁(いずれも図示せず)を備えて構成され、制御部9の制御に従い、エアチューブ13aを介して第1位置決め機構12aにおける駆動部25の供給口25a,25b、および第2位置決め機構12bにおける駆動部35の供給口35a,35bに圧縮空気を供給することにより、駆動部25および駆動部35を作動させる。
【0034】
プローブユニット3は、
図1に示すように、回路基板100に形成されている各導体パターン(図示せず)にそれぞれプロービングさせる複数の検査用プローブ3aを備えて治具型に構成されている。プロービング機構4は、制御部9の制御に従い、プローブユニット3を上下方向に移動させることにより、位置決め装置2によって位置決めされている回路基板100の各導体パターンに対してプローブユニット3の各検査用プローブ3aをプロービングさせる。
【0035】
検査用信号出力部5は、制御部9の制御に従い、検査用信号(例えば、直流電圧信号)を出力する。スキャナ部6は、複数のスイッチ(図示せず)を備えて構成され、制御部9の制御に従って各スイッチをオン状態またはオフ状態に移行させることにより、プローブユニット3における検査用プローブ3aと検査用信号出力部5との接断(接続および切断)、および検査用プローブ3aと測定部7との接断を行う。
【0036】
測定部7は、例えば、回路基板100の各導体パターンに接触された検査用プローブ3aを介して各導体パターンに検査用信号が供給されている状態において、各導体パターン間の抵抗値を測定する測定処理を実行する。
【0037】
記憶部8は、プローブユニット3の各検査用プローブ3aを回路基板100の導体パターンにプロービングさせるのに必要なプロービング情報(例えば、プローブユニット3の中心位置を示す情報や、規定位置Prを示す情報)を記憶する。また、記憶部8は、測定部7によって測定された抵抗値(測定値)を記憶すると共に、制御部9によって実行される各導体パターンの間の絶縁状態の良否の検査の際に用いる抵抗の基準値を記憶する。
【0038】
制御部9は、図外の操作部から出力される操作信号に従って回路基板検査装置1を構成する各構成要素を制御する。具体的には、制御部9は、プロービング機構4によるプロービングを制御する。また、制御部9は、検査用信号出力部5による検査用信号の出力を制御する。
【0039】
また、制御部9は、検査部として機能し、検査用プローブ3aを介して入出力する電気信号に基づく回路基板100に対する電気的検査を実行する。具体的には、制御部9は、測定部7によって測定された抵抗値と基準値とを比較して、回路基板100における各導体パターンの間の絶縁状態の良否を検査する。
【0040】
次に、回路基板検査装置1を用いて回路基板100a,100bに対する検査を行う方法、およびその際の各構成要素の動作について、添付図面を参照して説明する。なお、
図2,3に示すように、初期状態において、スライダ21a,21bが互いに離間し、スライダ31a,31bが互いに離間しているものとする。
【0041】
まず、
図2に示すように、位置決め装置2の載置台11における表面11aの載置領域Fに回路基板100aを載置し、次いで、図外の操作部を操作して検査開始を指示する。この際に、制御部9が、操作部から出力された操作信号に従い、位置決め装置2の給気機構13を制御して、第1位置決め機構12aにおける駆動部25の供給口25aに圧縮空気を供給させる。
【0042】
続いて、給気機構13からの圧縮空気の供給により、
図4に示すように、ロッド25cが縮長する。この際に、ロッド25cに接続されているスライダ22が、ガイドレール23bに沿って、同図に示す矢印Y1の向きにスライドする。
【0043】
また、スライダ22のスライドに伴い、リンク部材24aを介してスライダ22に連結されているスライダ21aが、ガイドレール23aに沿って、
図4に示す矢印X1の向きにスライドする。また、スライダ22のスライドに伴い、リンク部材24bを介してスライダ22に連結されているスライダ21bが、ガイドレール23aに沿って、同図に示す矢印X2の向きにスライドする。つまり、スライダ21a,21bが互いに近接する向きにスライドする。
【0044】
次いで、スライダ21a,21bが上記した向きにさらにスライドさせられたときには、スライダ21a,21bにおける各々の先端部51が回路基板100aの端部101a,101bをそれぞれ押圧する。
【0045】
この場合、この第1位置決め機構12aでは、スライダ22のスライドに連動して、スライダ21a,21bが規定位置Prを中心として対称の位置関係を維持しつつX方向に沿ってスライドする。このため、回路基板100aが載置領域Fに載置された状態において、回路基板100aの中心部Cと規定位置Prとが位置ずれしているときには、回路基板100aが、X方向に沿った位置ずれ分だけスライダ21a,21bのスライドに伴ってX方向に沿って移動させられる結果、X方向に沿った位置ずれが矯正される。
【0046】
続いて、制御部9は、給気機構13を制御して、第2位置決め機構12bにおける駆動部35の供給口35aに圧縮空気を供給させる。この際に、給気機構13からの圧縮空気の供給により、
図5に示すように、ロッド35cが縮長する。この際に、ロッド35cに接続されているスライダ32が、ガイドレール33bに沿って、同図に示す矢印X2の向きにスライドする。
【0047】
また、スライダ32のスライドに伴い、リンク部材34aを介してスライダ32に連結されているスライダ31aが、ガイドレール33aに沿って、
図5に示す矢印Y2の向きにスライドする。また、スライダ32のスライドに伴い、リンク部材34bを介してスライダ32に連結されているスライダ31bが、ガイドレール33aに沿って、同図に示す矢印Y1の向きにスライドする。つまり、スライダ31a,31bが互いに近接する向きにスライドする。
【0048】
次いで、スライダ31a,31bが上記した向きにさらにスライドさせられたときには、スライダ31a,31bにおける各々の先端部61が回路基板100aの端部101c,101dをそれぞれ押圧する。
【0049】
この場合、この第2位置決め機構12bでは、スライダ32のスライドに連動して、スライダ31a,31bが規定位置Prを中心として対称の位置関係を維持しつつY方向に沿ってスライドする。このため、回路基板100aが載置領域Fに載置された状態において、回路基板100aの中心部Cと規定位置Prとが位置ずれしているときには、回路基板100aが、Y方向に沿った位置ずれ分だけスライダ31a,31bのスライドに伴ってY方向に沿って移動させられる結果、Y方向に沿った位置ずれが矯正される。これにより、中心部Cが規定位置Prに位置する(対向する)ように回路基板100aが確実に位置決めされる。この場合、この時点では、上記したように、第1位置決め機構12aにおけるスライダ21a,21bの先端部51によって回路基板100aの端部101a,101bが押圧されているため、Y方向に沿って回路基板100aが移動させられる際に先端部51と端部101a,101bとが摺動するが、摩擦抵抗が小さい材料で先端部51を形成することで、回路基板100aをY方向に沿ってスムーズに移動させることができる。
【0050】
なお、上記の例では、第1位置決め機構12aを作動させた後に第2位置決め機構12bを作動させて、X方向(第1方向)に沿った位置ずれの矯正(第1方向に沿った位置決め)を行った後にY方向(第2方向)に沿った位置ずれの矯正(第2方向に沿った位置決め)を行っているが、これとは逆に、第2位置決め機構12bを作動させた後に第1位置決め機構12aを作動させて、Y方向に沿った位置ずれの矯正を行った後にX方向に沿った位置ずれの矯正を行う構成を採用することもできる。また、第1位置決め機構12aおよび第2位置決め機構12bを並行して作動させて、X方向に沿った位置ずれの矯正とY方向に沿った位置ずれの矯正とを並行して行う構成を採用することもできる。
【0051】
続いて、制御部9は、記憶部8からプロービング情報を読み出す。次いで、制御部9は、プロービング情報に基づいてプロービング機構4を制御してプロービングを行わせる。具体的には、制御部9は、プロービング情報に含まれているプローブユニット3の中心位置、および位置決め装置2における載置台11の規定位置Prを特定し、プローブユニット3の中心位置が規定位置Prに位置する(対向する)ように位置合わせさせつつ、プローブユニット3を下向きに移動させる。これにより、プローブユニット3の各検査用プローブ3aの先端部が回路基板100aの各導体パターンにプロービングさせられる。
【0052】
この場合、この回路基板検査装置1では、回路基板100aの中心部Cが規定位置Prに位置する(対向する)ように位置決め装置2によって回路基板100aが位置決めされているため、プロービングの際に、回路基板100aの中心部Cと規定位置Prとの位置ずれ分を補正する処理を省略することが可能なため、その分、プロービングが完了するまでの時間が短縮される結果、検査効率の向上が可能となっている。
【0053】
続いて、制御部9は、検査用信号出力部5を制御して、検査用信号(例えば、直流電圧信号)の出力を開始させる。次いで、制御部9は、スキャナ部6を制御して、検査用信号出力部5および測定部7と検査用プローブ3aとを接続させる。これにより、各導体パターンの間に検査用信号が供給される。続いて、制御部9は、測定部7に対して測定処理を実行させて、各導体パターン間の抵抗値を測定させると共に、測定された抵抗値(測定値)を記憶部8に記憶させる。次いで、制御部9は、制御部9から抵抗の基準値および測定値を読み出して両者を比較し、各導体パターンの間の絶縁状態の良否を検査する。この場合、制御部9は、測定値が基準値以上のときには、絶縁状態が良好と判定し、基準値よりも小さいときには、絶縁状態が不良と判定する。
【0054】
続いて、制御部9は、位置決め装置2の給気機構13を制御して、第1位置決め機構12aにおける駆動部25の供給口25b(
図2参照)に圧縮空気を供給させる。この際に、駆動部25のロッド25cが伸長し、ロッド25cに接続されているスライダ22が、同図に示す矢印Y2の向きにスライドする。
【0055】
また、スライダ22のスライドに伴い、スライダ21aが、
図2に示す矢印X2の向きにスライドし、スライダ21bが、同図に示す矢印X1の向きにスライドする。つまり、スライダ21a,21bが互いに離反する向きにスライドする。これにより、同図に示すように、スライダ21a,21bにおける各々の先端部51が回路基板100aの端部101a,101bからそれぞれ離反する。
【0056】
次いで、制御部9は、給気機構13を制御して、第2位置決め機構12bにおける駆動部35の供給口35b(
図2参照)に圧縮空気を供給させる。この際に、駆動部35のロッド35cが伸長し、ロッド35cに接続されているスライダ32が、同図に示す矢印X1の向きにスライドする。
【0057】
また、スライダ32のスライドに伴い、スライダ31aが、
図2に示す矢印Y1の向きにスライドし、スライダ31bが、同図に示す矢印Y2の向きにスライドする。つまり、スライダ31a,31bが互いに離反する向きにスライドする。これにより、同図に示すように、スライダ31a,31bにおける各々の先端部61が回路基板100aの端部101c,101dからそれぞれ離反する。続いて、回路基板100aを取り出す。以上により、回路基板100aに対する検査が終了する。
【0058】
次に、
図6に示すように、上記した回路基板100aよりも横長で大形の回路基板100bを検査する際には、載置台11の載置領域Fに回路基板100bを載置し、次いで、検査開始を指示する。この際に、制御部9が、上記したように、給気機構13を制御して圧縮空気を供給させることにより、
図7に示すように、第1位置決め機構12aおよび第2位置決め機構12bが上記したように作動する。
【0059】
この場合、第1位置決め機構12aでは、スライダ22のスライドに連動して、スライダ21a,21bが規定位置Prを中心として対称の位置関係を維持しつつX方向に沿ってスライドし、第2位置決め機構12bでは、スライダ32のスライドに連動して、スライダ31a,31bが規定位置Prを中心として対称の位置関係を維持しつつY方向に沿ってスライドする。このため、回路基板100aの大形の回路基板100bが載置領域Fに載置された状態において、回路基板100bの中心部Cと規定位置Prとが位置ずれしているときにも、スライダ21a,21bのスライドに伴ってX方向に沿った位置ずれ分だけ回路基板100bがX方向に沿って移動させられると共に、スライダ31a,31bのスライドに伴ってY方向に沿った位置ずれ分だけ回路基板100bがY方向に沿って移動させられる。この結果、
図7に示すように、位置ずれが矯正されて、中心部Cが規定位置Prに位置する(対向する)ように回路基板100bが確実に位置決めされる。つまり、この位置決め装置2では、回路基板100の大きさや形状に拘わらず、位置ずれを矯正して、中心部Cが規定位置Prに位置するように回路基板100を確実に位置決めすることが可能となっている。
【0060】
続いて、制御部9は、プロービング機構4を制御してプロービングを行わせる。この場合、この回路基板検査装置1では、回路基板100の大きさや形状に拘わらず、回路基板100の中心部Cが規定位置Prに位置するように位置決め装置2によって回路基板100が位置決めされている。このため、大きさや形状が異なる複数種類の回路基板100に対する検査を行う場合には、プロービング時における回路基板100の中心部Cと規定位置Prとの位置ずれ分を補正する処理を省略することによって多くの時間が短縮され、その結果、検査効率をさらに向上させることが可能となる。
【0061】
この後、制御部9は、検査用信号出力部5を制御して、検査用信号(例えば、直流電圧信号)の出力を開始させる。次いで、制御部9は、スキャナ部6を制御して、検査用信号出力部5および測定部7と検査用プローブ3aとを接続させる。これにより、各導体パターンの間に検査用信号が供給される。続いて、制御部9は、測定部7によって測定された各導体パターン間の抵抗値(測定値)と抵抗の基準値とを比較し、各導体パターンの間の絶縁状態の良否を検査する。
【0062】
次に、制御部9は、位置決め装置2の給気機構13を制御して、第1位置決め機構12aにおける駆動部25の供給口25b、および第2位置決め機構12bにおける駆動部35の供給口35bに圧縮空気を供給させる。この際に、スライダ21a,21bが互いに離反する向きにスライドし、スライダ31a,31bが互いに離反する向きにスライドする。これにより、スライダ21a,21bにおける各々の先端部51が回路基板100bの端部101a,101bからそれぞれ離反し、スライダ31a,31bにおける各々の先端部61が回路基板100bの端部101c,101dからそれぞれ離反する。次いで、回路基板100bを取り出す。以上により、回路基板100bに対する検査が終了する。
【0063】
このように、この位置決め装置2および回路基板検査装置1では、駆動部25による各スライダ21a,21b,22のいずれか1つのスライドに連動してスライダ21a,21bが規定位置Prを中心として対称の位置関係を維持しつつX方向に沿って近接および離反するようにスライド可能に第1位置決め機構12aが構成され、駆動部35によるスライダ31a,31b,32のいずれか1つのスライドに連動してスライダ31a,31bが規定位置Prを中心として対称の位置関係を維持しつつY方向に沿って近接および離反するようにスライド可能に第2位置決め機構12bが構成されている。このため、この位置決め装置2および回路基板検査装置1によれば、回路基板100が載置領域Fに載置された状態において、回路基板100の中心部Cと規定位置Prとが位置ずれしているときには、スライダ21a,21bのスライドによって回路基板100をX方向に沿った位置ずれ分だけX方向に沿って移動させると共に、スライダ31a,31bのスライドによって回路基板100をY方向に沿った位置ずれ分だけY方向に沿って移動させることができる結果、位置ずれを矯正して中心部Cが規定位置Prに位置するように回路基板100を確実に位置決めを行うことができる。また、この位置決め装置2および回路基板検査装置1では、各スライダ21a,21b,31a,31bが規定位置Prを中心として対称の位置関係を維持しつつスライドすることで、回路基板100の大きさや形状に拘わらず、このような位置ずれが確実に矯正される。したがって、この位置決め装置2および回路基板検査装置1によれば、大きさが異なる複数種類の回路基板100を、その中心部Cが予め規定された規定位置Prに位置するように確実に位置決めすることができる。
【0064】
また、この位置決め装置2および回路基板検査装置1では、駆動部25がスライダ21a,21b,22のうちのスライダ22をスライドさせる。この場合、例えば、駆動部25がスライダ21a,21bの一方(例えば、スライダ21a)をスライドさせる構成では、リンク部材24aを介してスライダ21aに連結されているスライダ22が、スライダ21aのスライドによってスライドし、さらにリンク部材24bを介してスライダ22に連結されているスライダ21bが、スライダ22のスライドによってスライドする。このため、この構成では、スライダ21aには駆動部25の駆動力が直接伝達されるのに対して、スライダ21bには駆動部25の駆動力が直接伝達されない(つまり、駆動部25の駆動力が各スライダ21a,21bに均等に伝達されない)こととなり、スライダ21a,21bを規定位置Prを中心として対称の位置関係を維持しつつスムーズにスライドさせるのが困難となることがある。これに対して、この構成では、駆動部25がスライダ22をスライドさせるため、駆動部25の駆動力を各スライダ21a,21bに均等に伝達させることができる結果、回路基板100の中心部Cを規定位置Prに位置させる位置決めをより確実に行うことができる。
【0065】
また、この位置決め装置2および回路基板検査装置1では、駆動部35がスライダ31a,31b,32のうちのスライダ32をスライドさせる。この場合、例えば、駆動部35がスライダ31a,31bの一方(例えば、スライダ31a)をスライドさせる構成では、リンク部材34aを介してスライダ31aに連結されているスライダ32が、スライダ31aのスライドによってスライドし、さらにリンク部材34bを介してスライダ32に連結されているスライダ31bが、スライダ32のスライドによってスライドする。このため、この構成では、スライダ31aには駆動部35の駆動力が直接伝達されるのに対して、スライダ31bには駆動部35の駆動力が直接伝達されない(つまり、駆動部35の駆動力が各スライダ31a,31bに均等に伝達されない)こととなり、規定位置Prを中心として対称の位置関係を維持しつつスライダ31a,31bをスムーズにスライドさせるのが困難となることがある。これに対して、この構成では、駆動部35がスライダ32をスライドさせるため、駆動部35の駆動力を各スライダ31a,31bに均等に伝達させることができる結果、回路基板100の中心部Cを規定位置Prに位置させる位置決めをより確実に行うことができる。
【0066】
また、この位置決め装置2および回路基板検査装置1によれば、載置台11を板状に構成し、載置台11の表面11a側に第1位置決め機構12aを配置し、載置台11の裏面11b側に第2位置決め機構12bを配置したことにより、例えば、表面11aおよび裏面11bのいずれか一方側に第1位置決め機構12aおよび第2位置決め機構12bの双方を配置する構成と比較して、中心部Cが予め規定された規定位置Prに位置するように回路基板100を確実に位置決めする機能を確保しつつ位置決め装置2を全体として平面視で小形に構成することができる。
【0067】
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、エアシリンダで構成された駆動部25,35(第1駆動部および第2駆動部)を備えた例について上記したが、モータで構成された第1駆動部および第2駆動部を備えた構成を採用することもできる。また、回路基板検査装置1に組み込まれて、回路基板100に対してプロービングを行う際に、回路基板100を位置決めするために位置決め装置2を用いる例について上記したが、例えば、回路基板を製造する製造ライン内において、製造途中の回路基板100を受け渡す位置に位置決め装置2を配置して、受け渡しの際に回路基板の位置決めを行うために位置決め装置2を用いることもできる。
【0068】
また、駆動部25がスライダ22をスライドさせる構成例について上記したが、駆動部25がスライダ21a,21bのいずれか一方をスライドさせる構成を採用することもできる。また、駆動部35がスライダ32をスライドさせる構成例について上記したが、駆動部35がスライダ31a,31bのいずれか一方をスライドさせる構成を採用することもできる。