(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787617
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】フレキシブル配線板および表示装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20150910BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20150910BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20150910BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K1/14 J
H05K1/14 C
H05K1/11 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-115351(P2011-115351)
(22)【出願日】2011年5月24日
(65)【公開番号】特開2012-244080(P2012-244080A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103747
【氏名又は名称】京セラディスプレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】権藤 賢二
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−029386(JP,A)
【文献】
特開2007−012662(JP,A)
【文献】
特開平11−340281(JP,A)
【文献】
特許第2928822(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/11
H05K 1/14
H05K 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂および導電性粒子を含む異方性導電材料を用いて基板に電気的に接続されるフレキシブル配線板であって、
基板に接続される端子部に、溝部を形成する周囲部が設けられ、
前記周囲部に、前記樹脂を前記溝部の外部に排出させるための開口部が設けられ、
前記溝部の深さが前記導電性粒子の径よりも小さく、
前記周囲部の幅が前記導電性粒子の径よりも小さく、
前記周囲部の頂辺が、外側に向かって膨れる曲面状である
ことを特徴とするフレキシブル配線板。
【請求項2】
前記周囲部の外側に、深さが前記導電性粒子の径よりも大きい外側溝部が設けられている
請求項1記載のフレキシブル配線板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のフレキシブル配線板が、表示部を形成する基板に接続された表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線板を用いて基板に電気的に接続されるフレキシブル配線板、およびフレキシブル配線板が接続された液晶表示装置などの表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルなどの表示パネルに信号線や電源線を接続するために、信号線や電源線を収容したフレキシブル配線板(フレキシブル基板:FPC)が使用されている。表示パネルにFPCを電気的に接続するために、一般に、熱硬化性樹脂等に導電性粒子が含有され接着剤として機能する異方性導電材料としての異方性導電フィルム(ACF)が用いられる。
【0003】
図5は、一般的なFPCと表示パネルの接続方法を説明するための説明図である。
図5(A)に示すように、ガラス基板100に形成されている端子部(以下、基板端子部という。)50と、FPC120に設けられているFPC端子部121とが電気的に接続される。以下、FPC端子部121と基板端子部50とを電気的に接続することを、FPC端子部121と基板端子部50とを接合すると表現することがある。
【0004】
FPC端子部121と基板端子部50とを接合する際に(
図5(C)参照)、ACFが基板端子部50に載置されるが、ACFに含まれている導電性粒子(
図5において、円形または楕円形で示されている。)が、FPC端子部121と基板端子部50との間に多数存在することが望ましい。
【0005】
FPC端子部121と基板端子部50との間に導電性粒子が少数しか存在しない場合には、2つのFPC端子部121の間(2つの基板端子部50の間でもある。)に相対的に多数の導電性粒子が存在することになる。
図5(B)において、導電性粒子の密集部分41Aが例示されている。密集部分41Aにおける密集の程度が高くなると、
図5(D)に示すように、隣接するFPC端子部121が電気的に導通してしまったり、隣接する基板端子部50が電気的に導通してしまったりする可能性がでてくる。
【0006】
特許文献1には、FPC端子部121と基板端子部50との間に、ACFに含有される導電性粒子を多数存在させることを目的としたフレキシブル配線板の接続構造が記載されている。
【0007】
図6は、特許文献1に記載された液晶表示装置を示す平面図である。
図6に示すように、ガラス基板100に形成される液晶表示パネルにおいて、表示領域101には、信号電極(図示せず)と走査電極(図示せず)とが設けられ、表示領域101の外に、信号電極を駆動する信号電極駆動回路102と走査電極を駆動する走査電極駆動回路103とが設置される。そして、FPC120がガラス基板100に接合される。また、信号電極駆動回路と走査電極駆動回路が内蔵される1チップ型駆動ICでも同様である。
【0008】
図7は、特許文献1に記載されたFPCの接続方法を示す説明図である。液晶表示パネルは、一般に、2枚のガラス基板等の基板間に液晶が封入された構造を有する。そして、一方のガラス基板100に基板端子部50が形成される。また、FPC120において、接続用のFPC端子部121が形成される。
図7(A)に示すように、FPC端子部121の構造は、ベース板としてのポリイミドフィルム125に、銅箔122、ニッケル層123および金めっき層124が積層された構造である。金めっき層124には、断面が半円状の凹部が形成されている。
【0009】
液晶表示パネルにFPCを接続するときに、まず、基板端子部50に、導電性粒子41を含有するACFを被せる。次に、FPC端子部121と基板端子部50とを位置合わせしつつ、FPC端子部121を含む部位を加熱しながら圧着ヘッドによってFPCをガラス基板100の側に押しつける。
【0010】
ACFは加熱と加圧によって基板端子部50の表面に沿って広がり、ACFに含まれる導電性粒子41によってFPC端子部121と基板端子部50との間の電気的導通がとられつつ、ACFにおける樹脂によってFPC端子部121が基板端子部50に機械的に接続される。
【0011】
図7(B)に示すように、導電性粒子41はFPC端子部121における凹部に捕捉されるので、FPC端子部121と基板端子部50との間の電気的導通が確実化される。
【0012】
図7に示すFPCの接続方法を用いると電気的導通が確実化されるが、FPC端子部121と基板端子部50との接合部においてACFにおける樹脂の残量が多い場合には、FPC端子部121または基板端子部50に接触しない導電性粒子41が多くなり、電気的導通の程度が低下する。
【0013】
特許文献2では、FPC端子部121と基板端子部50とを接続するときに、ACFにおける樹脂を接合部から効果的に流出させるFPCの接続構造が提案されている。
【0014】
図8は、特許文献2に記載されたFPCを示す斜視図(
図8(A))および断面図(
図8(B))である。
【0015】
図8(A)に示すように、FPC端子部121の表面(基板端子部50と接合される側)には、凹部18が形成されている。凹部18は、溝部20に連通している。溝部20は、2つの凸部17の間の開口部19を介して外部に対して開放されている。なお、
図8(A)では、凹部18の深さと溝部20の深さとが同じであるように記載されているが、実際には、
図8(B)に示すように、凹部18の深さt11は、溝部20の深さ(t11−t12)よりも大きい。また、導電性粒子41の径が4μmである場合には、深さt11は約2μmであり、溝部20の深さ(t11−t12)は約0.5μmである。
【0016】
図8(B)に示すように、FPC端子部121の構造は、例えば、ポリイミドフィルム21に、配線部としての銅箔22と金めっき層23とが積層された構造である。FPC端子部121が基板端子部50と接合されるときに、導電性粒子41は凹部18で捕捉され、溝部20から外部に流出しない。また、ACFにおける樹脂42は、溝部20および開口部19を介して外部に流出する。
【0017】
図8に示されたようなFPCを用いると、FPC端子部121と基板端子部50との間に多数の導電性粒子41が捕捉され、かつ、ACFにおける樹脂42が接合部から効果的に流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2003−280027号公報
【特許文献2】特開2007−12662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
図8(A)に示すように、特許文献2に記載されたフレキシブル配線板には、比較的広い面積の凸部17が存在する。ACFを用いてFPC端子部121と基板端子部50とを接合するときに、一般に、ACFに含有される導電性粒子41の径が40〜50%になるように導電性粒子41が潰れるように、FPC120に圧力がかけられる。
【0020】
図8(B)に示すように、凸部17にも導電性粒子41が存在することがある。その場合には、凸部17に存在する導電性粒子41の径は好ましい程度(例えば、40〜50%)にまで潰れるが、凹部18において捕捉されている導電性粒子41は好ましい程度にまで潰れない。
【0021】
凹部18における導電性粒子41の潰れの程度が小さい場合には、電気的導通が不十分になって、FPC端子部121と基板端子部50との間の抵抗値が高くなるおそれがある。
【0022】
なお、凸部17にも導電性粒子41が存在しても凹部18において捕捉されている導電性粒子41が好ましい程度にまで潰れるようにするために、凸部17に存在する導電性粒子41の潰れの程度を大きくするように圧着ヘッドによる圧力を設定すると(接合時の圧力を高くすることに相当)、凸部17に導電性粒子41が存在しなかった場合には、凹部18において捕捉されている導電性粒子41が、好ましい程度を越えて潰れてしまう。
【0023】
そこで、本発明は、FPCの端子部と基板の端子部とを確実に電気的に導通させ、かつ、異方性導電材料における樹脂が接合部から効果的に流出できるようにし、さらに、確実に異方性導電材料に含有される導電性粒子を好ましい程度に潰すことができるフレキシブル配線板および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によるフレキシブル配線板は、樹脂および導電性粒子を含む異方性導電材料を用いて基板に電気的に接続されるフレキシブル配線板であって、基板に接続される端子部(例えば、FPC端子部11)に、溝部を形成する周囲部が設けられ、周囲部に、樹脂を溝部の外部に排出させるための開口部が設けられ、溝部の深さが導電性粒子の径よりも小さく、周囲部の幅が導電性粒子の径よりも小さ
く、周囲部の頂辺が、外側に向かって膨れる曲面状であることを特徴とする。
【0025】
周囲部の外側に、深さが導電性粒子の径よりも大きい外側溝部が設けられていてもよい。
【0026】
本発明による表示装置は、上記のフレキシブル配線板が、表示部を形成する基板に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、FPCの端子部と基板の端子部とを確実に電気的に導通させ、かつ、異方性導電材料における樹脂が接合部から効果的に流出できるようにし、さらに、確実に異方性導電材料に含有される導電性粒子を好ましい程度に潰すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明によるフレキシブル配線板を示す斜視図。
【
図2】FPC端子部の詳細な構造を示す斜視図および断面図。
【
図3】フレキシブル配線板を基板端子部に接続するときの作用を説明するための説明図。
【
図5】一般的なフレキシブル配線板と表示パネルの接続方法を説明するための説明図。
【
図7】従来のフレキシブル配線板の接続方法を示す説明図。
【
図8】従来のフレキシブル配線板を示す斜視図および断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明によるフレキシブル配線板を示す斜視図である。
図1(A)は、FPCの全体な構成を示す斜視図であり、
図1(B)は、FPC端子部を模式的に示す斜視図である。
【0031】
図1(A)には、一例として、4つのFPC端子部11が設けられているFPC10が例示されている。なお、
図1(A)には、配線パターンを外部環境から保護するための絶縁体としてのカバーレイ12も示されている。
【0032】
図1(B)に示すように、FPC端子部11の内部には、溝部13が設けられている。なお、溝部13をエッチングによって形成することができる。
【0033】
図2は、FPC10におけるFPC端子部11の詳細な構造を示す斜視図(
図2(A))、B−B断面図(
図2(B))ならびにC−C断面図およびD−D断面図(
図2(C))である。
図2(B),(C)に示すように、FPC端子部11の構造は、例えば、ポリイミドフィルム21(一例として、厚さ25μm)に、配線部としての銅箔22(一例として、厚さ18μm)と金めっき層23とが積層された構造である。
【0034】
図2(A)に示すように、FPC端子部11において、溝部13は、長手方向に設けられた複数の壁部14および長手方向と直交する方向に設けられた複数の壁部16で囲まれている。2つの壁部14の間、および2つの壁部16の間には、開口部15が形成されている。なお、
図2(A),(C)に示す開口部15は、溝部13を囲む周囲部(開口部15が存在しない壁)から所用箇所が削り取られることによって形成されてもよいし、各々の壁部14,16を所定の間隔を空けて作成することによって形成されてもよい。溝部13をエッチングによって形成する場合には、所用箇所が削り取られることによって開口部15が形成される。
【0035】
図2(B)に示す溝部13の底部からの壁部14の高さt1 は、導電性粒子41の径よりも小さい。導電性粒子41の潰れの望ましい程度が50%である場合には、壁部14の高さt1 は、導電性粒子41の径の1/2であることが好ましい。導電性粒子41の径が4μmである場合には、高さt1 は、2μmであることが好ましい。壁部16の高さは、壁部14の高さt1 と同じである。壁部14,16の幅t3 は、導電性粒子41の径よりも小さく、導電性粒子41の径が4μmである場合には、4μm未満である。
【0036】
壁部14の外側(溝部13の反対側)も、導電性粒子41の径よりも大きく落ち込んでいる。すなわち、外側溝部が形成されている。落ち込みの程度(壁部14の外側の底部からの高さ:外側溝部の深さに相当)t2 は、導電性粒子41の径が4μmである場合には、例えば、6μmである。導電性粒子41の径よりも大きく落ち込んでいることは、壁部16についても同様である。
【0037】
なお、本実施の形態では、壁部14,16の外側の落ち込みの程度は内側における落ち込みの程度(溝部13の深さ)よりも大きいが、そのことは必須のことではなく、壁部14,16の外側の落ち込みの程度を内側における落ち込みの程度と同じにしてもよい。
【0038】
ただし、壁部14,16の外側の落ち込みの程度を大きくしておけば、FPC端子部11と基板端子部50と接合するときに圧着ヘッドが傾いた場合に、傾きによって接合が受ける影響を低減することができる。傾きによって接合が受ける影響として、例えば、壁部14,16の外側に導電性粒子41が存在することに起因して、溝部13に存在する導電性粒子41が好ましい程度にまで潰れることが阻害されることが挙げられる。
【0039】
また、本実施の形態では、壁部14,16がFPC端子部11の端部(最外側)からやや内側に形成されているが、そのことは必須のことではなく、壁部14,16をFPC端子部11の端部に形成してもよい。
【0040】
しかし、壁部14,16の形成容易性の観点からは、壁部をFPC端子部11の最外側から内側に形成した方が好ましい。例えば、壁部14,16をFPC端子部11の端部に配置する場合、壁部を形成するときの位置精度によっては、左右どちらか一方の壁部がFPC端子部11からずれて、FPC端子部11上に存在しないこともありえる。従って、壁部14,16の形成位置は、形成時の位置ずれ精度を勘案して、FPC端子部11の最外側から5μm以上内側にすることが好ましい。
【0041】
壁部14,16の幅t3 が導電性粒子41の径よりも小さいので、壁部14,16の上部に導電性粒子41が位置した場合に、その導電性粒子41は、溝部13または壁部14の外側に移動しやすい。
【0042】
図3(A),(B)は、フレキシブル配線板を基板端子部に接続するときの作用を説明するための説明図である。なお、壁部14の頂辺は平面形状であってもよいが、
図3(A)に示すように、外側に膨らむ曲面状であることが好ましい。壁部14の頂辺が曲面状である場合には、壁部14の頂辺に乗った導電性粒子41は、より容易に、溝部13または溝部13の反対側に移動する。なお、溝部13に移動した場合には、溝部13で捕捉される導電性粒子41の数が増加する。また、壁部16の頂辺も、外側に膨らむ曲面状であることが好ましい。
【0043】
液晶表示パネルにFPCを接続するときに、まず、基板端子部50に、導電性粒子41を含有するACFを被せる。次に、FPC端子部11と基板端子部50とを位置合わせしつつ、FPC端子部11を含む部位を加熱しながら圧着ヘッドによってFPCをガラス基板100の側に押しつける。
【0044】
ACFは加熱と加圧によって基板端子部50の表面に沿って広がり、ACFに含まれる導電性粒子41によってFPC端子部11と基板端子部50との間の電気的導通がとられつつ、ACFにおける樹脂によってFPC端子部11が基板端子部50に機械的に接続される。
【0045】
本実施の形態では、多数の導電性粒子41がFPC端子部11における溝部13に捕捉されるので、FPC端子部11と基板端子部50との間の電気的導通が確実化される。また、ACFにおける樹脂42(
図2(B)参照)は、
図3(B)において矢印で示すように、開口部19を介して外部に流出する。
【0046】
また、本実施の形態では、壁部14,16の幅t3 が導電性粒子41の径よりも小さいので、導電性粒子41が壁部14,16の上部に滞留する可能性が低くなる。FPC端子部11と基板端子部50と接合するときに、壁部14,16の上部に導電性粒子41が存在する場合には、壁部14,16の上部に存在する導電性粒子41の径は好ましい程度(例えば、40〜50%)にまで潰れるが、溝部13において捕捉されている導電性粒子41は好ましい程度にまで潰れない。
【0047】
本実施の形態では、導電性粒子41が壁部14,16の上部に滞留する可能性が低くなっているので、溝部13において捕捉されている導電性粒子41が好ましい程度にまで潰れないという可能性を低減することができる。その結果、FPC端子部11と基板端子部50との間の抵抗値が高くなる可能性が低減する。
【0048】
図4は、本実施の形態の効果を説明するための説明図である。
図4(A)には、何らかの原因によって溝部13の一部(
図4(A)に示す例では、中央部)が圧着ヘッドによって強く押し込まれた例が示されている。その場合、強く押し込まれた箇所では、導電性粒子41が過大に潰れる。しかし、本実施の形態では、溝部13に多数の導電性粒子41が捕捉されるので、強く押し込まれた箇所以外の箇所において、導電性粒子41が好ましい程度にまで潰れる可能性が高い。
【0049】
図4(B)には、FPC端子部11と基板端子部50と接合するときに壁部14の上部に導電性粒子41が存在する例が示されている。上述したように、壁部14の上部に導電性粒子41が存在することに起因して、溝部13において捕捉されている導電性粒子41が好ましい程度にまで潰れない可能性があるが、本実施の形態では、FPC端子部11と基板端子部50と接合するときに壁部14の上部に導電性粒子41が存在する可能性が低減している。従って、溝部13において捕捉されている導電性粒子41が好ましい程度にまで潰れない可能性が低減している。
【0050】
なお、万一、FPC端子部11と基板端子部50と接合するときに壁部14,16の上部に導電性粒子41が存在してしまっても、本実施の形態では、溝部13に多数の導電性粒子41が捕捉されているので、抵抗値の増大をある程度は緩和することができる。
【0051】
以上に説明したように、本実施の形態では、FPC端子部11に、複数の壁部14,16で囲まれている溝部13が設けられ、溝部13の深さが導電性粒子41の径よりも小さく、壁部14,16の間に開口部15が形成され、かつ、幅が導電性粒子41の径よりも小さくなるように壁部14,16が形成されているので、FPC端子部11と基板端子部50とを確実に電気的に導通させ、かつ、ACFにおける樹脂42が接合部から効果的に流出し、さらに、ACFに含有される導電性粒子41が好ましい程度にまで潰れない可能性を低減することができる。
【0052】
特に、溝部13の深さが、好ましい程度(例えば、40〜50%)にまで潰れた導電性粒子41の径に相当する深さに設定されている場合には、壁部14,16の上部に導電性粒子41が滞留している可能性が低くなっていることから、より確実に、導電性粒子41を好ましい程度にまで潰すことができる。導電性粒子41によって阻害されない状態で圧着によって基板端子部50が壁部14,16の頂辺に接触する可能性が高く、かつ、そのときの導電性粒子41が存在可能な空間(溝部13によって形成される空間)の高さが、導電性粒子41の好ましい潰れの程度に相当しているからである。
【0053】
なお、本実施の形態では、溝部13の形状(上方から見た形状)は矩形であったが、溝部13の形状は矩形でなくてもよく、例えば、楕円形状であってもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、一つの溝部13が形成されているが、複数の溝部13が形成されていてもよい。複数の溝部13は、例えば、一つの溝部の内部に仕切り用の壁部を設けることによって形成される。
【0055】
また、本実施の形態では、表示装置として液晶表示装置を例にしたが、基板にFPCを接合する構造を有していれば、有機EL(Electroluminescence ) 表示装置などの液晶表示装置以外の表示装置にも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明を、ACFを用いてFPCが基板に接合される表示装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0057】
10 フレキシブル配線板(フレキシブル基板:FPC)
11 FPC端子部
12 カバーレイ
13 溝部
14,16 壁部
15 開口部
21 ポリイミドフィルム
22 銅箔
23 金めっき層
41 導電性粒子
42 樹脂
50 基板端子部
100 ガラス基板