特許第5787663号(P5787663)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5787663
(24)【登録日】2015年8月7日
(45)【発行日】2015年9月30日
(54)【発明の名称】端末支持装置取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16C 1/10 20060101AFI20150910BHJP
【FI】
   F16C1/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-176131(P2011-176131)
(22)【出願日】2011年8月11日
(65)【公開番号】特開2013-40630(P2013-40630A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2014年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭朋
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−089536(JP,A)
【文献】 特開平11−173322(JP,A)
【文献】 特開平10−110718(JP,A)
【文献】 特開平09−189320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターケーシングにインナーケーブルを摺動自在に挿通したコントロールケーブルの端部を固定するための端末支持装置と、
前記端末支持装置を軸線周りへの回動によって取り付けるためのブラケットとを備え、
前記ブラケットは、
開口部と、前記開口部に連通し前記開口部の幅よりも大きい直径の円弧状部分を有する取付用孔部と、前記開口部および前記取付用孔部の周囲に位置する肉厚部と、前記肉厚部から前記軸線方向に延設された係合部とを含み、
前記端末支持装置はソケットを含み、
前記ソケットは、
前記開口部に導入可能なように設けられた導入部と、前記開口部の前記幅よりも大きな幅を有し前記回動時に前記円弧状部分に摺接するための摺接部とを有する被取付部と、
前記被取付部を間に挟むように設けられ、前記回動時に前記取付用孔部の周縁の前記肉厚部を挟み込む1対のフランジ部と、
前記回動時に前記係合部に係合させるための爪部と、前記爪部を前記係合部に係合可能に支持するアーム部とを有する可撓部と、
前記回動により前記爪部が前記係合部を乗り越えた後に前記ソケットの回動を規制するための回動規制部とを含み、
前記回動規制部は前記係合部に当接することにより前記ソケットの回動を規制可能に設けられ、
前記アーム部および前記爪部が前記回動時に前記肉厚部から前記軸線方向に離間した位置にある、端末支持装置取付構造。
【請求項2】
前記係合部は突起であり、
前記爪部は前記ソケットが取付方向と逆方向に回動した際に、前記係合部と係合し、取付方向と逆方向の回動を防止するように形成された、請求項1に記載の端末支持装置取付構造。
【請求項3】
前記ソケットが前記ブラケットに組付けられたときに、前記ブラケットの前記係合部が前記爪部と前記回動規制部との間に介在する、請求項1または2に記載の端末支持装置取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末支持装置取付構造に関し、特に、アウターケーシングにインナーケーブルを摺動自在に挿通したコントロールケーブルの端部を固定するための端末支持装置取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンルームにあるトランスミッションの変速比を運転室にあるセレクトレバーによって切替える場合に、トランスミッションがコントロールケーブルを通じて遠隔操作される。コントロールケーブルの端部は端末支持装置により固定されており、この端末支持装置はブラケットにより車体に取付けられている。
【0003】
特開平9−189320号公報(特許文献1)には、突起部を有するアーム部が設けられた動作伝達遠隔制御組立体(上記の端末支持装置に相当)をリテーナ部を有する壁(上記のブラケットに相当)の開口部に挿入し、動作伝達遠隔制御組立体を軸方向に回動させることで、動作伝達遠隔制御組立体を壁に固定する方法が記載されている。
【0004】
この固定方法によれば、動作伝達遠隔制御組立体を壁に取付るときに、アーム部の突起部が壁の表面を摺動しながら回動する。そして、突起が壁のリテーナ部に到達したときに、突起がリテーナ部に収容されることで、動作伝達遠隔制御組立体が壁に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−189320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の固定方法によれば、動作伝達遠隔制御組立体が回動するときに、アーム部の突起が壁の表面を長距離にわたり摺動する。そのため、アーム部と壁の抵抗が大きくなりアーム部が折れてしまうおそれがあった。動作伝達遠隔制御組立体を壁から取り外すときも同様に、アーム部が壁の表面を長距離にわたり摺動しながら逆回動するので、アーム部が折れてしまうおそれがあった。
【0007】
また、動作伝達遠隔制御組立体に設けられたストッパーは、動作伝達遠隔制御組立体を壁の開口部に挿入して固定するときに、壁と同一平面になるように配置されている。
【0008】
したがって、動作伝達遠隔制御組立体を壁の開口部に挿入して動作伝達遠隔制御組立体を回動させるときに、ストッパーが壁の側面部に当接して回動が規制される。そのため、動作伝達遠隔制御組立体が90度回動することができず、動作伝達遠隔制御組立体が壁から抜けてしまうおそれがあった。
【0009】
それゆえに、本発明の主たる目的は、アーム部の破損を防止し、端末支持装置がブラケットから抜けてしまうことを防止することができる端末支持装置取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る端末支持装置取付構造は、端末支持装置と、ブラケットとを備えている。端末支持装置は、アウターケーシングにインナーケーブルを摺動自在に挿通したコントロールケーブルの端部を固定するためのものである。ブラケットは、端末支持装置を軸線周りへの回動によって取り付けるためのものである。ブラケットは、開口部と、取付用孔部と、肉厚部と、係合部とを含んでいる。取付用孔部は、開口部に連通し開口部の幅よりも大きい直径の円弧状部分を有する。肉厚部は、開口部および取付用孔部の周囲に位置する。係合部は、肉厚部から軸線方向に延設されている。端末支持装置はソケットを含んでいる。ソケットは、導入部と、摺接部とを有する被取付部と、1対のフランジ部と、爪部と、アーム部とを有する可撓部と、回動規制部とを含んでいる。導入部は、開口部に導入可能なように設けられている。摺接部は、開口部の幅よりも大きな幅を有し回動時に円弧状部分に摺接する。1対のフランジ部は、被取付部を間に挟むように設けられ、回動時に取付用孔部の周縁の肉厚部を挟む。爪部は、回動時に係合部に係合させられる。アーム部は、爪部を係合部に係合可能に支持する。回動規制部は、回動により爪部が係合部を乗り越えた後にソケットの回動を規制する。回動規制部は係合部に当接することによりソケットの回動を規制可能に設けられている。アーム部および爪部は回動時に肉厚部から軸線方向に離間した位置にある。
【0011】
本発明に係る端末支持装置取付構造によれば、ソケットに設けられたアーム部と爪部がブラケットの肉厚部から軸線方向に離間した位置にある。そのため、端末支持装置をブラケットに取付けるときに、爪部がブラケットの肉厚部の表面を長距離にわたり摺動することがないためにアーム部が折れてしまうおそれはない。また、端末支持装置をブラケットから取り外すときも同様にアームが折れてしまうおそれはない。
【0012】
さらに、回動規制部は係合部に当接することによりソケットの回動を規制可能に設けられている。係合部は肉厚部とは同一平面内にない部分であり、その係合部と当接するように設けられている回動規制部も肉厚部とは同一平面内にはない。そのため、回動規制部がブラケットの側面に当接してソケットの回動が規制されることがないので、ソケットを90度回動させることができる。したがって、端末支持装置がブラケットから抜けてしまうことを防止することができる。
【0013】
上記の端末支持装置取付構造において好ましくは、係合部は突起である。爪部はソケットが取付方向と逆方向に回動した際に、係合部と係合し、取付方向と逆方向の回動を防止するように形成されている。
【0014】
これにより、端末支持装置が取付方向と逆方向に回動することを防止することがきるので、端末支持装置がブラケットから抜けてしまうことを防止することができる。
【0015】
上記の端末支持装置取付構造において好ましくは、ソケットがブラケットに組付けられたときに、ブラケットの係合部が爪部と回動規制部との間に介在する。
【0016】
これにより、端末支持装置が取付方法と逆方向に回動することを防止し、かつ正規の取付位置を超えてさらに回動することを防止することができるため、端末支持装置がブラケットから外れてしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の端末支持装置取付構造によれば、アーム部と爪部がブラケットの肉厚部から軸線方向に離間して設けられている。そのため、ソケットをブラケットに取付けるときに、部材が破損することを防止することができる。また、ソケットを90度回動させることができるので、端末支持装置がブラケットから抜けてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態における端末支持装置取付構造の端末支持装置の構成を示す概略模式図である。
図2】本発明の一実施の形態における端末支持装置取付構造のブラケットの構成を示す概略平面図である。
図3】本発明の一実施の形態における端末支持装置取付構造のソケットの一例を示す概略斜視図である。
図4】ソケットの一対のフランジ部の間を、フランジ部と平行な平面で切断したときに、軸線方向にソケットを見た状態を示す概略断面図である。
図5】本発明の一実施の形態における端末支持装置取付構造のソケットの一例を示す概略部分側面図である。
図6図5のVI−VI線に沿うソケットの概略断面図である。
図7】本発明の一実施の形態における端末支持装置取付構造の端末支持装置がコントロールケーブルに取付けられた状態を示す概略模式図である。
図8】ソケットとブラケットとを固定する一連の動作を示す平面模式図(a)〜(e)である。
図9図8(d)に示す爪部が係合部に係合する直前の状態におけるソケットとブラケットとの側面模式図(a)、および図8(e)に示す爪部が係合部に係合した直後の状態におけるソケットとブラケットとの側面模式図(b)である。
図10図9(a)の一部拡大図(a)、および図9(b)の一部拡大図(b)である。
図11図8(d)に示す爪部が係合部に係合する直前の状態においてアーム部の高さの平面でソケットを切断した構成を示す図(a)、および図8(e)に示す爪部が係合部に係合した直後の状態においてアーム部の高さの平面でソケットを切断した構成を示す図(b)である。
図12】本発明の一実施の形態における端末支持装置取付構造の回動規制部の一例を示す概略断面図である。
図13】本発明の一実施の形態における端末支持装置取付構造の回動規制部の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0020】
まず、本発明の一実施の形態における端末支持装置取付構造の構成について図1図6を用いて説明する。
【0021】
図1および図2を参照して、本実施の形態の端末支持装置取付構造は、端末支持装置10(図1)と、ブラケット2(図2)とを有している。端末支持装置10は、コントロールケーブル50の端部に取り付けられることにより、コントロールケーブル50の端部をたとえば車体側に固定するためのものである。またブラケット2は、端末支持装置10を取り付けられるためのものであり、その取付は端末支持装置10をそのブラケット2に対して相対的に軸線周りへ回動させることにより行なわれる。つまりコントロールケーブル50側に固定された端末支持装置10が、たとえば車体側に固定されたブラケット2に回動によって取り付けられることにより、コントロールケーブル50をたとえば車体に固定することが可能となる。
【0022】
図1を参照して、上記の端末支持装置10は、ケーシングキャップ30と、ダンパーキャップ31と、ダンパーゴム32、33と、ソケット1と、ガイドパイプ34とを主に有している。ケーシングキャップ30は上記のコントロールケーブル50の端部に取り付けられる部分であり、ソケット1は上記ブラケット2に取り付けられる部分である。
【0023】
このソケット1のブラケット2への取付は、ソケット1の被取付部17が、図2に示すブラケット2の開口部21から取付用孔部22へ導入された後にソケット1がブラケット2に対して相対的に軸線周りへ回動されることにより行なわれるが、その詳細については後述する。
【0024】
なおケーシングキャップ30とソケット1との間には、振動減衰などのためにダンパーゴム32、33が設けられており、ダンパーゴム32、33の脱落防止のためにダンパーキャップ31が設けられている。またガイドパイプ34は、ソケット1のコントロールケーブル50側とは反対側に取り付けられている。
【0025】
図3を参照して、上記のソケット1は、回動規制部6と、1対のフランジ部7、7と、可撓部9と、被取付部17とを主に有している。被取付部17は、上記のとおりブラケット2の開口部21に導入(挿入)される部分であり、導入部16と摺接部15とを主に有している。
【0026】
図4を参照して、導入部16は、断面形状において被取付部17の2つの略直線部で規定される部分である。この導入部16は、ブラケット2の開口部21に導入可能に構成されており、幅D1を有している。摺接部15は、断面形状において被取付部17の2つの略円弧状部により規定される部分である。この摺接部15は、ソケット1をブラケット2に対して相対的に軸線周りへ回動させる際にブラケット2の取付用孔部22の円弧状の壁部に摺接するための部分であり、かつ開口部21の幅W(図2)よりも大きな幅(直径)D2を有している。
【0027】
図3を参照して、1対のフランジ部7、7は、上記の被取付部17を間に挟むように設けられている。1対のフランジ部7、7の各々は、被取付部17よりも外方に張り出すように被取付部17の摺接部15の幅D2よりも大きな径を有している。これにより、1対のフランジ部7、7は、ソケット1をブラケット2に対して相対的に軸線周りへ回動させる際にブラケット2の取付用孔部22の周縁の肉厚部23を挟み込むように構成されている。
【0028】
図3図5および図6を参照して、可撓部9は可撓性の部材で構成されており、アーム部5と爪部3とを有している。アーム部5は爪部3を支持する部分である。
【0029】
爪部3は、ソケット1がブラケット2に固定されるときに、ブラケット2の係合部4(図2)に係合する部分である。このアーム部5および爪部3を有する可撓部9は、図5に示すように1対のフランジ部7、7のうち可撓部9側に位置するフランジ部7と被取付部17との境界面(図5の1点鎖線A−Aで示す面)から離間した位置に設けられている。これにより可撓部9は、ソケット1をブラケット2に対して相対的に軸線周りに回動させる際に、ブラケット2の肉厚部23(図2)から軸線方向Xに離間した位置に設けられている。またアーム部5および爪部3を有する可撓部9は、図6に示すように貫通孔18を中心とした円周に沿って延びるように設けられている。
【0030】
なお図5において境界面A−Aは図の表記の便宜上、実際の境界面からずれて表記されている。
【0031】
図3図5および図6を参照して、回動規制部6は、ソケット1をブラケット2に対して相対的に軸線周りへ回動させる際に、爪部3がブラケット2の係合部4(図2)を乗り越えた後に、その係合部4と当接することによりソケット1の回動を規制するための部分である。このため回動規制部6は、図6に示すように爪部3と同一円周上に位置している。また図6に示すように、爪部3と回動規制部6との間には周方向に沿うスペースがある。このスペースはソケット1がブラケットに固定されるときにブラケット2の係合部4(図2)が収容される部分である。また回動規制部6は、図5に示すようにフランジ部7の側面から軸線方向Xに沿って境界面A−Aに対して被取付部17とは反対側に延びるように設けられている。
【0032】
なお爪部3は、爪部3と回動規制部6との間のスペースにブラケット2の係合部4(図2)が収容された状態から、その係合部4が爪部3に向かう方向、つまりソケット1を取付方向と逆方向(以下、取外し方向)に回動させた場合に、係合部4と係合してソケット1の回動を防止するように形成されている。たとえば図5に示すように、上記取外し方向の回動の際に係合部4が係合する爪部3の面3aの回動方向(2点鎖線B−B)に対する傾斜角度θが、上記取外し方向とは反対方向(取付方向)の回動の際に係合部4が当接する爪部3の面3bの回動方向B−Bに対する傾斜角度δよりも大きくなるように構成されている。
【0033】
図2を参照して、ブラケット2は、開口部21と、取付用孔部22と、肉厚部23と、係合部4とを主に有している。開口部21は、ソケット1の導入部16が導入される部分である。開口部21の幅Wはソケット1の導入部16の幅D1とほぼ同じである。開口部21は導入部16を導入できればよく、開口部21の幅Wは、導入部16の幅D1よりも広くてもよいし狭くてもよい。たとえば、ブラケット2が金属で形成されており、ソケット1が樹脂で形成されている場合は、ブラケット2の開口部21の幅Wが導入部16の幅D1より若干狭くても、ソケット1を変形させることで導入部16を開口部21に導入することができる。
【0034】
取付用孔部22は開口部21に連通しており、開口部21の幅Wよりも大きい直径D0の円弧状部分24を有している。この取付用孔部22は、開口部21から導入されたソケット1の被取付部17が収容される部分である。取付用孔部22に被取付部17が収容された状態では、ソケット1の摺接部15は取付用孔部22の円弧状部分24に摺接可能である。
【0035】
肉厚部23は、開口部21および取付用孔部22の周囲に位置する略平板形状を有する部分である。ソケット1がブラケット2に組付けられた際に、肉厚部23の一部はソケット1の1対のフランジ部7、7の間に挟まれる。係合部4は、たとえば肉厚部23の表面の外縁部から軸線方向Xに延設されている。
【0036】
次に、本実施の形態の端末支持装置取付構造における端末支持装置10の取付状態について図7を用いて説明する。
【0037】
本実施の形態の端末支持装置10は、たとえばシフト用のコントロールケーブルの端部またはセレクト用のコントロールケーブルの端部に取り付けられる。図7では、本実施の形態の端末支持装置10がセレクト用のコントロールケーブル52のセレクトレバー側44の端部に取付られた構成を示している。しかし本実施の形態の端末支持装置10は、セレクト用のコントロールケーブル52のトランスミッション側42の端部において端末支持装置46に代えて取り付けられてもよく、またシフト用のコントロールケーブル51のシフトレバー側43の端部において端末支持装置47に代えて取り付けられていてもよく、またシフト用のコントロールケーブル51のトランスミッション側41の端部において端末支持装置45に代えて取り付けられていてもよい。
【0038】
コントロールケーブル51、52の各々は、アウターケーシング12とインナーケーブル11とを主に有し、インナーケーブル11はアウターケーシング12に摺動自在に挿通されている。このため、コントロールケーブルへの端末支持装置10の取付においては、端末支持装置10のケーシングキャップ30にコントロールケーブル52のアウターケーシング12が挿入されて固定される。
【0039】
このようにコントロールケーブル51、52に本実施の形態の端末支持装置10を取り付けて、その端末支持装置10を図2に示すブラケット2に取り付けることで、コントロールケーブル51、52を車体側に固定することが可能となる。
【0040】
次に、ソケット1がブラケット2に固定される手順について、図8を用いて説明する。
まず、図8(a)に示すように、ソケット1がブラケット2の開口部21の上方に配置される。次に、図8(b)に示すように、ソケット1の導入部16がブラケット2の開口部21を通って導入される。図8(c)に示すように、ソケット1の被取付部17がブラケット2の取付用孔部22に収容される。その後、図8(d)および図8(e)に示すように、ソケット1が軸線方向Xを回動軸として軸線周りに90度回動することにより、摺接部15が円弧状部分24に摺接しながらソケット1がブラケット2に対して相対的に回動し、ソケット1がブラケット2に固定される。図8(e)は、ソケット1とブラケット2との固定が完了した状態である。
【0041】
次に、上記の係合動作において爪部3が係合部4に係合される様子について、図9図11を用いて説明する。
【0042】
ここで、図9(a)、図10(a)および図11(a)は図8(d)の状態に対応しており、図9(b)、図10(b)および図11(b)は図8(e)の状態に対応している。
【0043】
図9(a)、図10(a)および図11(a)に示すように、ソケット1が回動することで、アーム部5に設けられた爪部3が係合部4に接近する。その後、爪部3の傾斜部8が係合部4の端部と接触して、傾斜部8が係合部4の上部に乗り上げてくる。このときアーム部5は上方に撓んでいる。ここで、傾斜部8は、爪部3が係合部4に乗り上げるときの抵抗を少なくするように設けられている。これにより、爪部3が容易に係合部4を乗り上げることができる。さらにソケット1が回動すると、爪部3の傾斜部8は係合部4の上面と摺動しながら係合部4を通過する。
【0044】
図9(b)、図10(b)および図11(b)に示すように、爪部3が係合部4を通過した後に、アーム部5の撓みはなくなり元の位置に戻る。ソケット1とブラケット2との組付けが完了した状態では、係合部4は爪部3と回動規制部6との間に介在する。それゆえ、ソケット1が取付方向にさらに回動した場合、係合部4が回動規制部6に当接する。これにより、ソケット1のさらなる取付方向の回動を規制することができる。また、ソケット1が取付方向と逆方向の取外し方向に回動しようとした場合、係合部4が爪部3の端部と当接することで、ソケット1が取外し方向に回動することを防止することができる。
【0045】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
アーム部5および爪部3は、ソケット1とブラケット2とを組付けた時にブラケット2の肉厚部23から軸線方向Xに離間した位置に設けられている。これにより、ソケット1をブラケット2に組付けるときに、爪部3が肉厚部23を長距離にわたって摺動することがなく、アーム部5が折れてしまうことを防止することができる。また、ソケット1をブラケット2から取外すときは、アーム部5を上方に持ち上げて、ソケット1を取付方向と逆方向に回動させる。この場合も、爪部3が肉厚部23を長距離にわたって摺動することがないので、アーム部5が折れてしまうことを防止することができる。
【0046】
また、ソケット1がブラケット2に組付けられたときに、ブラケット2の係合部4が爪部3と回動規制部6との間に介在する。これにより、ソケット1が取付方向にさらに回動した場合、係合部4が回動規制部6と当接することで、さらなる取付方向の回動を防止することができる。一方、ソケット1が取付方向と逆方向の取外し方向に回動しようとした場合、係合部4が爪部3の端部と当接することで、ソケット1が取外し方向に回動することを防止することができる。そのため、ソケット1がブラケット2から抜けてしまうことを防止することができる。
【0047】
さらに、回動規制部6は係合部4に当接することによりソケット1の回動を規制可能に設けられている。係合部4は肉厚部23とは同一平面内にない部分であり、その係合部4と当接するように設けられている回動規制部6の部分も肉厚部23とは同一平面内にはない。そのため、回動規制部6がブラケット2の側面に当接してソケット1の回動が規制されることがないので、ソケット1を90度回動させることができる。そのため、ソケット1がブラケット2から抜けてしまうことを防止することができる。
【0048】
次に、本発明の一実施形態の端末支持装置取付構造における回動規制部の他の形態について、図12および図13を用いて説明する。
【0049】
図12に示すように、回動規制部6は、側面の高さが係合部4に向かって低くなるように設けられていてもよい。この回動規制部6の係合部4に当接する側面の高さは、係合部4の高さよりも低い。この回動規制部6によれば、係合部4の下側の側面が回動規制部6に当接することで、ソケット1の回動を規制する。
【0050】
図13に示すように、回動規制部6には、係合部4側の側面に切込み部13が設けられていてもよい。この回動規制部6によれば、係合部4の上側の側面が回動規制部6に当接することでソケット1の回動を規制する。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、アウターケーシングにインナーケーブルを摺動自在に挿通したコントロールケーブルの端部を固定するための端末支持装置取付構造に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 ソケット、2 ブラケット、3 爪部、4 係合部、5 アーム部、6 回動規制部、7 フランジ部、8 傾斜部、9 可撓部、10 端末支持装置、11 インナーケーブル、12 アウターケーシング、13 切込み部、15 摺接部、16 導入部、17 被取付部、21 開口部、22 取付用孔部、23 肉厚部、24 円弧状部分、30 ケーシングキャップ、31 ダンパーキャップ、32 ダンパーゴム(後)、33 ダンパーゴム(前)、34 ガイドパイプ、41,42 トランスミッション側、43 シフトレバー側、44 セレクトレバー側、45,46,47 端末支持装置、51 シフト用のコントロールケーブル、52 セレクト用のコントロールケーブル、53 ロッド、W 開口部の幅、X 軸線方向、D0 取付用孔部の幅、D1 導入部の幅、D2 摺接部の幅。
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